JPH11210522A - ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置

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JPH11210522A
JPH11210522A JP10012659A JP1265998A JPH11210522A JP H11210522 A JPH11210522 A JP H11210522A JP 10012659 A JP10012659 A JP 10012659A JP 1265998 A JP1265998 A JP 1265998A JP H11210522 A JPH11210522 A JP H11210522A
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JP
Japan
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fuel injection
ion current
cold start
diesel engine
timing
Prior art date
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Application number
JP10012659A
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English (en)
Inventor
Michihiro Wakimoto
道弘 脇本
Jiro Takagi
二郎 高木
Hideomi Kawachi
秀臣 河内
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Denso Corp
Soken Inc
Original Assignee
Denso Corp
Nippon Soken Inc
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Publication date
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    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】エンジンの冷間始動時における白煙の排出量や
騒音を低減する。 【解決手段】ディーゼルエンジン43の燃料噴射ノズル
44は、分配型燃料噴射ポンプ1より圧送される高圧燃
料を各気筒に噴射供給する。エンジン燃焼室に設けられ
たグロープラグ50は、始動補助機能とイオン電流検出
機能とを有する。ECU40は、ディーゼルエンジン4
3が冷間始動状態にある旨を判定し、その冷間始動時に
おいて、グロープラグ50を発熱状態から一時的にイオ
ン電流検出状態に切り換える。また、同じく冷間始動時
において、噴射開始時期とイオン電流発生時期との差か
らから着火遅れ時間を求め、該求めた着火遅れ時間に基
づき、冷間始動時における目標噴射量及び目標噴射時期
を演算する。この目標噴射量及び目標噴射時期により、
燃料噴射ポンプ1による燃料噴射量並びに燃料噴射時期
が制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンの燃料噴射制御装置に係り、詳しくはエンジンの冷間
始動時における白煙(HC)の排出量や騒音を低減する
ための燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のディーゼルエンジン
の燃料噴射制御装置として、例えば特開平8−2964
77号公報の技術が開示されている。同公報の装置で
は、ディーゼルエンジンの暖機状態を表すパラメータと
してエンジン冷却水の温度(冷却水温)を用い、エンジ
ン始動時において、冷却水温とエンジン回転数とに基づ
いて燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御していた。特に
上記装置では、エンジンフリクションに打ち勝つだけの
トルクを発生させるために、冷却水温が低いほど、噴射
量を増量させると共に噴射時期を進角側に移行させるよ
う燃料噴射制御を実施していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術の場合、ディーゼルエンジンの実際の暖機状態に即し
た燃料噴射制御が実施できないという問題があった。つ
まり、冷間補正に使用される冷却水温は、例えばシリン
ダ内壁の温度といったエンジンの実際の暖機状態に即し
たものに対してその変化速度が遅く、温度上昇には時間
を要する。例えばエンジンの冷間始動直後に車両が急加
速される場合において、シリンダ温度が急激に上昇する
のに対し、冷却水温の上昇は比較的緩やかなものとな
る。
【0004】従って、前述のように冷却水温に応じて燃
料噴射制御を実施する場合、水温上昇が遅れるために、
燃料噴射量が過剰に増量補正されることとなる。よっ
て、燃料の一部が未燃のまま油滴の状態で排ガスに混じ
り、白煙となって排出される排ガスが増えるという問題
が生ずる。また他方で、燃料噴射時期が過剰に進角補正
されることで、エンジン騒音が増大するという問題が生
ずる。
【0005】本発明は、上記問題に着目してなされたも
のであって、その目的とするところは、エンジンの冷間
始動時における白煙の排出量や騒音を低減することがで
きるディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の燃料噴射制御装
置はその前提として、始動補助装置としてのグロープラ
グを備えたディーゼルエンジンに適用される。そして、
グロープラグの電極部を用いて燃焼火炎により発生する
イオン電流を検出する。燃焼火炎により発生するイオン
電流は、電圧の印加に伴い例えばグロープラグの電極部
とエンジンの燃焼室壁面との間で流れ、周知の検出回路
にて検出される。つまり、本発明にて使用されるグロー
プラグは、発熱して始動補助を行う本来の機能を有する
と共に、イオン電流の検出機能を有する。
【0007】ここで、イオン電流の発生時期は、シリン
ダ内温度、すなわちエンジン暖機状態に依存する。例え
ばエンジンの冷間始動直後においては比較的イオン電流
の発生時期が遅く、暖機が進むにつれてイオン電流の発
生時期が早くなる。同発生周期が変化する過程は、水温
情報とは異なり、エンジンの実際の暖機状態を逐次反映
したものとなる。従って、イオン電流の発生時期を検出
し、その検出結果を燃料噴射制御に反映させることによ
り、冷間始動時の実際の暖機状態に即した最適な燃料噴
射制御が実施できる。
【0008】請求項1に記載の発明は、ディーゼルエン
ジンが冷間始動状態にある旨を判定する冷間始動判定手
段と、ディーゼルエンジンの冷間始動の旨が判定された
際に、グロープラグを発熱状態から一時的にイオン電流
検出状態に切り換える切換手段と、同じくディーゼルエ
ンジンの冷間始動の旨が判定された際に、前記検出した
イオン電流の発生時期から着火遅れ時間を検出する着火
遅れ検出手段と、前記検出した着火遅れ時間に基づき、
冷間始動時における燃料の噴射量又は噴射時期の少なく
とも一方を制御する燃料噴射制御手段とを備える。
【0009】上記構成によれば、ディーゼルエンジンの
冷間始動時においてはグロープラグが始動補助機能とイ
オン電流検出機能とを担うが、同グロープラグを発熱状
態から一時的にイオン電流検出状態に切り換えること
で、上記の両機能が果たされる。そして、イオン電流発
生時期から検出される着火遅れ時間に基づいて燃料の噴
射量又は噴射時期を制御することで、エンジンの実際の
暖機状態に即した燃料噴射制御が実施される。その結
果、エンジンの冷間始動時における白煙の排出量や騒音
を低減することができ、本発明の目的が達成される。
【0010】上記請求項1の発明では、請求項3に記載
したように、前記燃料噴射制御手段は、前記検出した着
火遅れ時間が大きいほど、燃料の噴射量を増量側に設定
するか、若しくは噴射時期を進角側に設定するとよい。
つまり、着火遅れ時間が大きいことは、イオン電流発生
時期が遅く、冷間の度合が大きいことを意味する。上記
制御によれば、冷間の度合に応じた燃料噴射制御が実施
できる。
【0011】また、請求項2に記載の発明は、ディーゼ
ルエンジンが冷間始動状態にある旨を判定する冷間始動
判定手段と、ディーゼルエンジンの冷間始動の旨が判定
された際に、前記グロープラグを発熱状態から一時的に
イオン電流検出状態に切り換える切換手段と、同じくデ
ィーゼルエンジンの冷間始動の旨が判定された際に、そ
の時々のエンジン運転状態に応じてイオン電流発生時期
の目標値を演算する目標値演算手段と、前記検出したイ
オン電流の発生時期が前記演算した目標値に一致するよ
う、冷間始動時における燃料噴射時期をフィードバック
制御するフィードバック制御手段とを備える。
【0012】請求項2の構成によれば、エンジンの冷間
始動時において、その時々のエンジン運転状態に応じて
イオン電流発生時期の目標値が演算されると共に、イオ
ン電流発生時期がその目標値に一致するよう、冷間始動
時における燃料噴射時期がフィードバック制御される。
この場合、イオン電流発生時期に基づくフィードバック
制御により、エンジンの実際の暖機状態に即した燃料噴
射制御が実施される。その結果、上記請求項1と同様
に、エンジンの冷間始動時における白煙の排出量や騒音
を低減することができ、本発明の目的が達成される。
【0013】上記請求項2の発明では、請求項4に記載
したように、前記目標値演算手段は、イオン電流発生時
期を一パラメータとして、当該発生時期が遅いほど、目
標値を進角側に設定するとよい。この場合、冷間の度合
に応じた燃料噴射制御が実施される。そのため、より一
層適切な制御が実施できる。
【0014】請求項5に記載の発明では、燃焼火炎によ
り発生するイオン電流が所定のしきい値を越えた際に、
イオン電流発生時期である旨を検出する。この場合、所
望とするイオン電流の発生時期が確実に検出できる。
【0015】請求項6に記載の発明では、多気筒エンジ
ンに適用される燃料噴射制御装置において、前記エンジ
ンの気筒毎にイオン電流情報を取り込み、該取り込んだ
情報から気筒毎に燃料の噴射量又は噴射時期を制御す
る。多気筒エンジンにおいて気筒毎に燃料噴射制御を実
施することにより、制御精度が高められると共に、冷間
始動時における各気筒の燃焼状態が改善され、始動性が
向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、この
発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明
する。本実施の形態では、分配型燃料噴射ポンプを備え
た4気筒ディーゼルエンジンの燃料噴射システムにおい
て、電子制御装置(以下、ECUという)により燃料噴
射量並びに燃料噴射時期を制御しており、特にエンジン
の低温始動時には、燃焼火炎により発生するイオン電流
を一パラメータとして燃料噴射制御を実施する。また、
ディーゼルエンジンの始動補助装置として用いられるセ
ラミックグロープラグを用い、このグロープラグにより
エンジンの低温始動時における燃料の着火及び燃焼を促
進させると共に、燃焼時に流れるイオン電流を検出する
こととしている。以下に、本実施の形態の詳細を説明す
る。
【0017】先ず図1を用い、本実施の形態における燃
料噴射システムの概略を説明する。図1において、燃料
タンク41内の燃料は低圧燃料供給ポンプ42によって
汲み上げられ、分配型燃料噴射ポンプ1に給送される。
燃料噴射ポンプ1は、所定の圧力まで燃料を昇圧させた
後、ディーゼルエンジン43の燃焼気筒の順序に合わ
せ、各気筒に設けられた燃料噴射ノズル44からエンジ
ン燃焼室に燃料を噴射供給させる。
【0018】また、ディーゼルエンジン43のシリンダ
ヘッド(燃焼室)には、セラミックグロープラグ(以
下、単にグロープラグという)50が気筒毎に設けられ
ている。グロープラグ50は、その先端発熱部を高温に
加熱する発熱機能と、燃料燃焼時に流れるイオン電流を
検出するイオン電流検出機能とを併せ持つものであり、
同プラグ50の動作はグロープラグ制御回路70により
制御される。但し、グロープラグ50及び制御回路70
の詳細な構成については後述する。
【0019】ECU40は、周知のマイクロコンピュー
タを主体として構成され、エンジン運転状態を検出する
ための各種センサの検出値を取り込み、この取り込んだ
センサ検出値に基づいて燃料噴射ポンプ1による燃料の
噴射量及び噴射時期を最適に制御する。ECU40に
は、所定クランク角毎に回転角信号を出力する回転角セ
ンサ25と、所定の基準位置信号(TDC信号)を出力
する基準位置センサ27と、アクセルペダルの踏込み操
作量(アクセル開度)を検出するためのアクセル開度セ
ンサ46と、エンジン冷却水の温度を検出するための冷
却水温センサ47とから、それぞれ検出値が入力される
他、グロープラグ50を介してグロープラグ制御回路7
0により検出されるイオン電流の検出値が入力される。
【0020】次に、フェイスカム式の分配型燃料噴射ポ
ンプ1の詳細な構成を図2を用いて説明する。燃料噴射
ポンプ1において、ポンプハウジング2にはドライブシ
ャフト3が回転可能に支持されている。ドライブシャフ
ト3の一端には、ディーゼルエンジン43のクランク軸
にベルト等を介して連結されたドライブプーリ26が設
けられ、ドライブシャフト3はディーゼルエンジン43
の2回転につき1回転する。ドライブプーリ26には突
起26aが設けられ、この突起26aに対向するようポ
ンプハウジング2に設けられた基準位置センサ27によ
りディーゼルエンジン43の基準クランク角度(例え
ば、TDC位置)が検出される。
【0021】ポンプハウジング2内にはベーン式ポンプ
よりなる燃料フィードポンプ4(図2には90度展開し
て示す)が設けられており、同フィードポンプ4はドラ
イブシャフト3の回転に伴い燃料を燃料室5に給送す
る。これにより、燃焼室5には約5気圧の燃料が貯留さ
れる。ドライブシャフト3には、外周面に複数の歯を有
する円板状のパルサ6が取り付けられ、さらにその先端
部(図の右方)には図示しないカップリングを介してカ
ムプレート7が連結されている。
【0022】パルサ6とカムプレート7との間には、ロ
ーラリング8が配設され、同ローラリング8にはカムプ
レート7のフェイスカム7aに対向する複数のカムロー
ラ9が取り付けられている。フェイスカム7aはディー
ゼルエンジン43の気筒数と同数だけ設けられている。
カムプレート7はスプリング12によって常にカムロー
ラ9に付勢係合されている。
【0023】ポンプハウジング2の右側部にはシリンダ
10が配設され、同シリンダ10には、前記カムプレー
ト7に一体回転可能に支持されたプランジャ11が嵌挿
されている。プランジャ11の図中右端面とシリンダ1
0を支持するキャップ13との間には加圧室14が形成
されている。プランジャ11には、その先端側外周にエ
ンジン気筒数と同数の吸入溝23が形成されると共に、
1箇所にのみ設けられた分配ポート24が形成されてい
る。また、ポンプハウジング2及びシリンダ10には、
前記燃料室5から加圧室14へ燃料を供給するための図
示しない吸入通路と、加圧燃料をディーゼルエンジン4
3の各燃料噴射ノズル44に分配供給するための分配通
路15とが形成されている。
【0024】つまり、カムプレート7及びプランジャ1
1は、ドライブシャフト3の回転に連動して回転運動す
ると共にカムプレート7とカムローラ9との係合によっ
て図の左右方向に往復運動する。このとき、プランジャ
11の回転及び往復運動により吸入溝23の1つが吸入
通路(図示しない)に連通することにより燃料室5から
加圧室14に燃料が吸入される。そして、該吸入された
燃料がプランジャ11の往復運動により加圧される際に
分配ポート24が分配通路15の1つに連通すると、加
圧燃料が分配通路15及びデリバリバルブ16を通って
燃料噴射ノズル44に供給される。
【0025】また、前記ポンプハウジング2及びシリン
ダ10には、燃料室5と加圧室14とを連通するスピル
通路17が形成されており、同スピル通路17の途中に
は電磁スピル弁18が配置されている。この電磁スピル
弁18は常開弁として構成され、コイル19の非通電
(オフ)時には、スプリング21の付勢力により弁体2
0を開放位置に保持して加圧室14内の燃料をスピル通
路17を通じて燃料室5へスピル(溢流)させる。ま
た、コイル19の通電(オン)時には、スプリング21
の付勢力に抗して弁体20を閉鎖位置に移動させ、加圧
室14から燃料室5への燃料のスピルを停止させる。こ
の電磁スピル弁18の開閉動作により燃料噴射ノズル4
4の燃料噴射量が調整される。
【0026】さらに、ポンプ下部には、燃料噴射時期を
調整するための油圧式のタイマ装置30が設けられてい
る。このタイマ装置30は、ドライブシャフト3の軸線
を中心としてローラリング8の回動位置を調整すること
により、カムプレート7のフェイスカム7aがカムロー
ラ9に係合する時期、すなわちカムプレート7及びプラ
ンジャ11の往復動タイミング(燃料噴射時期)を制御
するものである。
【0027】詳細には、タイマ装置30は、タイマハウ
ジング31と、タイマハウジング31内に嵌挿されスラ
イドピン34を介して前記ローラリング8に接続された
タイマピストン32と、タイマピストン32を図中右方
向に押圧付勢するスプリング33とを有し、タイマハウ
ジング31にはタイマピストン33の左右両側に面する
ようにしてタイマ低圧室35及びタイマ高圧室36が形
成されている。但し、タイマ装置30のタイマピストン
32は、前記ドライブシャフト3に対して直交する方向
に摺動可能に設けられるものであるが、図2にはタイマ
装置30を90度展開して示している。
【0028】かかる場合、燃料室5の高圧燃料が導入さ
れるタイマ高圧室36の燃料圧に応じてタイマピストン
32が図の左右方向に往復動すると、スライドピン34
を介してローラリング8が正逆いずれかの方向に回動せ
しめられる。このとき、タイマピストン32が図の左方
向に移動すると、それに伴いスライドピン34を介して
ローラリング8が回動し燃料噴射時期が進角側に制御さ
れ、逆に、タイマピストン32が図の右方向に移動する
と、それに伴いスライドピン34を介してローラリング
8が回動し燃料噴射時期が遅角側に制御されるようにな
っている。
【0029】また、タイマ低圧室35とタイマ高圧室3
6とは連通路37により連通されており、この連通路3
7の途中には電磁駆動式の油圧制御弁38が配設されて
いる。タイマ高圧室36の燃料圧は、デューティ駆動信
号で開閉制御される油圧制御弁38により調圧される。
【0030】一方、前記ローラリング8の上部には、前
記パルサ6の外周面に対向するようにして電磁ピックア
ップコイルよりなる回転角センサ25が固定支持されて
いる。回転角センサ25は、パルサ6の外周面に設けら
れた歯が通過する度にその通過を検知する。詳しくは、
パルサ6の外周面には、ディーゼルエンジン43の気筒
数と同数(本実施の形態では、4箇所)の欠歯部が等角
度間隔で形成され、各欠歯部の間には14個ずつの凸状
の歯が等角度間隔で形成されている。なお、欠歯部の間
隔は上記歯を2個欠落させた間隔に相当する。すなわ
ち、上記パルサ6の歯の間隔は5.625°(11.2
5°CAに相当する)であり、欠歯部のみ16.875
°(33.75°CA)である。従って、回転角センサ
25は、ドライブシャフト3並びにパルサ6の回転に伴
う歯の通過毎(11.25°CA毎、欠歯部のみ33.
75°CA毎)にパルス信号を出力する。
【0031】ここで、パルサ6は、例えばプランジャ1
1のリフトが開始されるタイミングで欠歯部に続く最初
の歯が検出されるように位置決めされている。また、回
転角センサ25はローラリング8と一体であるため、プ
ランジャ11のリフト位置と所定の歯の通過タイミング
とは、タイマ30の制御動作に関わりなく常に一定の関
係を保つようになっている。つまり、回転角センサ25
はローラリング8に固定されてその回転と共に移動する
ため、基準位置信号(TDC信号)及び回転角信号から
プランジャリフトのタイミング(すなわち、燃料の噴射
開始時期)や燃料噴射周期が検出できる。
【0032】ECU40は、上記回転角センサ25や基
準位置センサ27による検出信号を入力する他、エンジ
ン負荷の程度を示すアクセル開度信号、イオン電流信
号、冷却水温信号等を入力し、これらの各種入力信号等
を基に前記電磁スピル弁18やタイマ装置30の駆動を
制御する。
【0033】次に、グロープラグ50及びグロープラグ
制御回路70の構成について図3〜図5を用いて説明す
る。ここで、図3及び図4はグロープラグ50の概要を
示す断面構成図であり、図5はグロープラグ制御回路7
0の構成を示す電気回路図である。
【0034】図3,図4において、グロープラグ50は
金属製のハウジング51を有し、このハウジング51の
外周面には当該グロープラグ50をシリンダヘッドに取
り付けるための雄ねじ部52が形成されている。ハウジ
ング51の上部には、管状のプロテクションチューブ5
3が溶着されている。
【0035】また、前記ハウジング51にはセラミック
発熱部54が保持されている。このセラミック発熱部5
4は、導電性を有するU字状の発熱体55と、絶縁性を
有する耐熱性絶縁体56と、前記発熱体55の先端部に
成形されたイオン検出用電極57と、前記発熱体55の
両端に接続されると共に前記絶縁体56に埋設された2
本のリード線58a,58bとから構成されている。
【0036】詳しくは、発熱体55はその大部分が耐熱
性絶縁体56内に埋設されるものであるが、発熱体55
先端に成形されたイオン検出用電極57の端面は、耐熱
性絶縁体56の外周面と同一面上に設けられている。イ
オン検出用電極57の端面は、耐熱性絶縁体56から露
出し、その露出面には白金(Pt)がコーティングされ
ている。この場合、発熱体55とイオン検出用電極57
とは常に電気的に接続された状態となっている。かかる
構成において、発熱体55の露出部とディーゼルエンジ
ンの渦流室66(図4の破線部)の内壁とは、イオン電
流を検出するための対向電極を形成する。なお、セラミ
ック発熱部54の先端部(図の下端部)は半球面形状に
形成されている。
【0037】各リード線58a,58bの上端には導電
性の端子部59a,59bが各々接続され、端子部59
a,59bには各々に内部リード線60a,60bを介
して外部リード線61a,61bが接続されている。こ
れら2本の外部リード線61a,61bがグロープラグ
50の外部信号入力線となっている。なお、前記ハウジ
ング51及びプロテクションチューブ53と、リード線
60a,60b,61a,61bとの間は、絶縁チュー
ブ62及びゴムブッシュ63により電気的に絶縁されて
いる。
【0038】一方、図5に示されるように、グロープラ
グ50は、エンジンのシリンダヘッド65に対して、ハ
ウジング51の雄ねじ部52を螺合することにより装着
される。これにより、セラミック発熱部54の先端が渦
流室66に突出した状態で装着される。渦流室66は燃
焼室の一部をなし、同渦流室66にはピストン67上部
に設けられた主燃焼室68が連通している。
【0039】グロープラグ50の外部リード線61a,
61bは、グロープラグ制御回路70に接続されてい
る。すなわち、前記発熱体55の両端に電気的に接続さ
れる外部リード線61aと61bとの間には、グローリ
レー71と、直流電源72と、グローリレー73とが直
列に接続され、これらグロープラグ50、グローリレー
71,73及び直流電源72からなる閉回路によりグロ
ープラグ50の発熱がON/OFFされる。グローリレ
ー71,73は、ECU40により同時にON/OFF
制御される。かかる場合、リレーONの状態(図示の状
態)では、グロープラグ50の一対の外部リード線61
a,61bに直流電源72による電圧(例えば12ボル
ト)が印加され、発熱体55が通電されてグロープラグ
50が発熱状態で保持される。
【0040】また、一方の外部リード線61aには、イ
オンリレー74と、イオン電流検出用抵抗75と、直流
電源76とが直列に接続されている。直流電源76のマ
イナス側はシリンダヘッド65に接続されている。イオ
ンリレー74は、ECU40によりON/OFF制御さ
れる。なお、イオン電流検出用抵抗75は約500kΩ
の抵抗値を有し、この抵抗75を流れるイオン電流はそ
の両端の電位差として電位差計77により検出される。
【0041】要するに、イオンリレー74がONされる
と、発熱体55の先端に設けたイオン検出用電極57と
シリンダヘッド壁面との間に直流電源76による電圧
(例えば12ボルト)が印加される。この場合、渦流室
66内に燃焼イオンが存在すれば、イオン検出用電極5
7とシリンダヘッド壁面との間でイオン電流が流れ、こ
のイオン電流がイオン電流検出用抵抗75により検出さ
れてその検出値がECU40に取り込まれる。つまり、
燃料噴射ノズル44からの噴射燃料が渦流室66で燃焼
に供されると、その燃焼火炎帯ではイオン化されたプラ
スイオンとマイナスイオンとが大量に発生する。このと
き、イオン検出用電極57とそれに対向するシリンダヘ
ッド壁面との間に電源電圧が印加されることで、イオン
検出用電極57にはマイナスイオンが捕獲されると共
に、シリンダヘッド壁面にはプラスイオンが捕獲され
る。その結果、グロープラグ50のイオン検出用電極5
7を経由してイオン電流が流れる。
【0042】次に、上記の如く構成される燃料噴射制御
システムの作用について説明する。ここで、図6は、グ
ロープラグ50の制御ルーチンを示すフローチャートで
あり、同ルーチンはECU40により所定の時間割込み
で実行される。
【0043】図6において、ECU40は、先ずステッ
プ110でディーゼルエンジン43の始動後において同
エンジンの暖機が完了したか否かを判別する。この判別
に際し、例えば冷却水温Twが所定温度(60〜80℃
程度)以上であれば、暖機完了の旨を判別する。
【0044】ディーゼルエンジン43の低温始動時であ
れば、ステップ110が否定判別され、ECU40はス
テップ120に進む。そして、以降の処理において、E
CU40はグロープラグ50を発熱体加熱状態から一時
的にイオン検出状態に切り換えるための条件を判別す
る。すなわち、ECU40は、ステップ120でイオン
電流検出が実施中であることを表すためのイオン電流検
出フラグFIONが「1」か否かを判別する。FION
=1は実施中である旨を表し、FION=0は実施中で
ない旨を表す。
【0045】FION=0の場合、ECU40はステッ
プ130に進み、燃料噴射ノズル44が閉状態から開状
態に移行した直後であるか否か、すなわち燃料噴射の開
始直後であるか否かを判別する。この判別に際し、例え
ば燃料噴射ポンプ1のプランジャリフトに対応する回転
角信号から判別したり、燃料噴射ノズル44にノズルリ
フトセンサを設け、同センサの検出値から判別したりす
ればよい。
【0046】図7のタイムチャートに示されるように、
例えば時刻t1以前においてはステップ130が否定判
別される。従って、ECU40は、ステップ130から
ステップ180に進み、前記図5のグローリレー71,
73をONすると共に、イオンリレー74をOFFする
(図5の状態とする)。これにより、グロープラグ50
が発熱体加熱状態で保持される。すなわち、図7の時刻
t1以前において、ECU40は、ステップ110→1
20→130→180の順に処理を実行する。
【0047】また、所定の燃料噴射時期において、燃料
噴射ノズル44が閉状態から開状態に移行すると、EC
U40はステップ130を肯定判別してステップ140
に進む。ECU40は、ステップ140でイオン電流検
出フラグFIONに「1」をセットし、続くステップ1
50でグローリレー71,73をOFFすると共に、イ
オンリレー74をONする。これにより、グロープラグ
50がイオン電流検出状態に移行する。すなわち、図7
の時刻t1では、ECU40は、ステップ110→12
0→130→140→150の順に処理を実行する。
【0048】イオン電流検出フラグFIONが「1」に
操作されると、それ以降、ECU40はステップ120
を肯定判別してステップ160に進む。ECU40は、
ステップ160で前記図5のイオン電流検出用抵抗75
により検出されるイオン電流が所定のしきい値Ith以
上になったか否かを判別する。イオン電流<Ithの場
合、ECU40はステップ150に進み、グローリレー
71,73をOFFすると共に、イオンリレー74をO
Nする(イオン電流検出状態で保持する)。すなわち、
図7の時刻t1〜t2では、ECU40は、ステップ1
10→120→160→150の順に処理を実行する。
【0049】その後、燃料噴射ノズル44による噴射燃
料が燃焼に供されてイオン電流が流れ、その値がしきい
値Ithを越えると、ECU40はステップ160を肯
定判別してステップ170に進む。ECU40は、ステ
ップ170でイオン電流検出フラグFIONを「0」に
クリアし、続くステップ180でグローリレー71,7
3をONすると共に、イオンリレー74をOFFする
(発熱体加熱状態とする)。すなわち、図7の時刻t2
では、ECU40は、ステップ110→120→160
→170→180の順に処理を実行する。時刻t2後
は、イオン電流検出フラグFIONが「0」にクリアさ
れるために、再びステップ120が否定判別され、上記
と同じ処理が繰り返し実行される。
【0050】以上のように、ディーゼルエンジン43の
暖機前においては、グロープラグ50による発熱を行っ
て燃料の着火・燃焼を補助しつつ、燃料の燃焼期間に対
応する期間にのみ一時的にイオン電流の検出を実施す
る。
【0051】ディーゼルエンジン43の暖機が完了する
と、ECU40はステップ110を肯定判別してそのま
まステップ150に進み、グローリレー71,73をO
Nさせると共に、イオンリレー74をOFFさせる(イ
オン電流検出状態とする)。そして、それ以降、イオン
電流検出状態を維持する。
【0052】図8は、燃料噴射ポンプ1による燃料噴射
制御ルーチンを示すフローチャートであり、同ルーチン
は各気筒の燃料噴射毎(本実施の形態では、180°C
A毎)にECU40により実行される。
【0053】ECU40は、先ずステップ210でエン
ジン回転数Neとアクセル開度Acとを読み取り、続く
ステップ220で冷却水温Twを読み取る。また、EC
U40は、ステップ230で前記読み取った冷却水温T
wが所定温度a以上であるか否かを判別する。ここで、
所定温度aは、ディーゼルエンジン43の暖機が終了し
たとみなされる冷却水温(例えば80℃)であり、その
値は予め設定されている。
【0054】エンジン暖機前において、ステップ230
が否定判別されると、ECU40はステップ240に進
み、ステップ240〜270の冷間始動時制御に入る。
以下にその詳細を説明する。
【0055】ECU40は、先ずステップ240で燃料
噴射ノズル44による噴射開始時期tfを読み取る。噴
射開始時期tfは、燃料噴射ポンプ1のプランジャリフ
トに同期するものであって、例えば基準位置センサ27
による基準信号(TDC信号)や回転角センサ25によ
る回転角信号に基づき求められる。
【0056】次に、ECU40は、ステップ250で燃
料の燃焼に伴うイオン電流出力時期tiを読み取る。イ
オン電流出力時期tiは、例えば図7に示されるよう
に、グロープラグ制御回路70(イオン電流検出用抵抗
75)により検出されるイオン電流が所定のしきい値I
thを越える時期であり、基準位置信号(TDC信号)
を基に、回転角信号と同期させて求められる。
【0057】さらに、ECU40は、続くステップ26
0で前記読み取ったイオン電流出力時期tiから噴射開
始時期tfを減算して着火遅れ時間trを算出する(t
r=ti−tf)。なお、イオン電流出力時期tiに応
じて算出される着火遅れ時間trは、ディーゼルエンジ
ン43のシリンダ内壁温に依存し、壁温が低いほど着火
遅れ時間trが大きくなるという性質がある。
【0058】その後、ECU40は、ステップ270で
予め試験により求めておいた変換マップを用い、その時
々のエンジン回転数Ne,アクセル開度Ac,着火遅れ
時間trに対応した冷間始動時目標噴射量Fcと冷間始
動時目標噴射時期Tcとを決定する。つまり、 Fc=f3(Ne,Ac,tr) Tc=f4(Ne,Ac,tr) として冷間始動時の目標噴射量Fcと目標噴射時期Tc
とを算出する。これらの制御値Fc,Tcにより燃料噴
射ポンプ1の電磁スピル弁18及びタイマ装置30(油
圧制御弁38)が制御されることとなる。
【0059】ステップ270の処理をより詳しく説明す
れば、図9に示す通り、エンジン回転数Neとアクセル
開度Acとのマップから基本噴射量を演算すると共に、
エンジン回転数Neと着火遅れ時間trとのマップから
補正係数を演算し、これら演算した基本噴射量と補正係
数との積から冷間始動時目標噴射量Fcを算出する。図
9では、着火遅れ時間trが大きいほど、噴射量が増量
補正されるような関係が設定されている。
【0060】また、図10に示す通り、エンジン回転数
Neとアクセル開度Acとのマップから基本噴射時期を
演算すると共に、エンジン回転数Neと着火遅れ時間t
rとのマップから補正係数を演算し、これら演算した基
本噴射時期と補正係数との積から冷間始動時目標噴射時
期Tcを算出する。図10では、着火遅れ時間trが大
きいほど、燃料噴射時期が進角側に補正されるような関
係が設定されている。
【0061】一方、ディーゼルエンジン43の暖機が完
了してステップ230が肯定判別されると、ECU40
はステップ280に進み、通常運転時の目標噴射量FN
と目標噴射時期TNとを、 FN=f1(Ne,Ac,Tw) TN=f2(Ne,Ac,Tw) として算出する。このとき、予め試験により求めておい
た変換マップを用い、エンジン回転数Ne,アクセル開
度Ac,冷却水温Twに対応した目標噴射量FNと目標
噴射時期TNとを決定する。これらの制御値FN,TN
により燃料噴射ポンプ1の電磁スピル弁18及びタイマ
装置30(油圧制御弁38)が制御されることとなる。
但し、上記FN,TNの算出に際し、冷却水温Twをパ
ラメータから除外してもよい。
【0062】なお本実施の形態では、上記図6のステッ
プ110又は上記図8のステップ230が請求項記載の
冷間始動判定手段に相当し、図6のステップ120〜1
80が切換手段に相当する。また、図8のステップ26
0が着火遅れ検出手段に相当し、同ステップ270が燃
料噴射制御手段に相当する。
【0063】以上詳述した本実施の形態によれば、以下
に示す効果が得られる。 (a)本実施の形態では、ディーゼルエンジン43の冷
間始動時において、グロープラグ50を発熱体加熱状態
から一時的にイオン電流検出状態に切り換えるようにし
た。そして、イオン電流出力時期ti(イオン電流発生
時期)から着火遅れ時間trを求め、該求めた着火遅れ
時間trに基づき、冷間始動時における燃料の噴射量及
び噴射時期を制御するようにした。
【0064】上記構成によれば、ディーゼルエンジン4
3の冷間始動時においてはグロープラグ50が始動補助
機能とイオン電流検出機能とを担うが、同グロープラグ
50を発熱体加熱状態から一時的にイオン電流検出状態
に切り換えることで、上記の両機能が果たされる。なお
このとき、グロープラグ50がイオン電流検出状態に切
り換えられる時間は微小時間であるため、同プラグ50
による始動補助機能が損なわれることはない。そして、
イオン電流出力時期tiから検出される着火遅れ時間t
rに基づいて燃料の噴射量及び噴射時期を制御すること
で、エンジン43の実際の暖機状態に即した燃料噴射制
御が実施される。その結果、エンジン43の冷間始動時
における白煙の排出量や騒音を低減することができ、本
発明の目的が達成される。
【0065】本願発明者によれば、上記の通り冷間始動
時の燃料噴射量が最適化された結果、エンジン始動から
暖機終了までのトータルの白煙排出量が従来既存の装置
に比べて大幅に低減されるのが確認されている。また、
冷間始動時の燃料噴射時期が最適化された結果、エンジ
ン回転数Ne,アクセル開度Ac一定の条件下で比較し
て、暖機終了までの期間で騒音レベルが従来既存の装置
よりも大幅に低減されるのが確認されている。特に、冷
却水温Twが上昇開始していない冷間始動当初において
は、上記の効果が顕著に発揮される。
【0066】(b)着火遅れ時間trが大きいほど、燃
料噴射量を増量側に補正し、且つ噴射時期を進角側に補
正するようにした。つまり、着火遅れ時間trが大きい
ことは、イオン電流出力時期tiが遅く、冷間の度合が
大きいことを意味する。上記制御によれば、冷間の度合
に対応した燃料噴射制御が実施できるようになる。
【0067】(c)燃焼火炎により発生するイオン電流
が所定のしきい値Ithを越えた際に、イオン電流出力
時期tiである旨を検出するようにした。この場合、所
望とするイオン電流出力時期tiが確実に検出できる。
【0068】(d)多気筒ディーゼルエンジン43にお
いて、気筒毎にイオン電流情報を取り込み、該取り込ん
だ情報から気筒毎に燃料の噴射量及び噴射時期を制御す
るようにした。多気筒エンジンにおいて気筒毎に燃料噴
射制御を実施することにより、制御精度が高められると
共に、冷間始動時における各気筒の燃焼状態が改善さ
れ、始動性が向上する。
【0069】(e)着火遅れ時間tfに応じた燃料噴射
制御は、仮に暖機後であっても支障無く適用できる。そ
のため、冷却水温Twに基づき冷間状態から暖機完了へ
の移行を判定する上記構成において(前記図6のステッ
プ110,図8のステップ230)、Tw上昇の遅れに
より暖機完了の判定に誤差が生じても、精度の良い燃料
噴射制御が継続できる。
【0070】(f)また、前記図3の構成のグロープラ
グ50を用いてイオン電流を検出することとしたため、
簡単で且つ安価な構成を採用しつつ、精度の良いイオン
電流検出が実施できる。
【0071】(第2の実施の形態)次に、本発明におけ
る第2の実施の形態を図11を用いて説明する。但し、
第2の実施の形態の構成において、上述した第1の実施
の形態と同等であるものについては図面に同一の記号を
付すと共にその説明を簡略化する。そして、以下には第
1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0072】上記第1の実施の形態との相違点として、
本実施の形態における燃料噴射制御システムでは、イオ
ン電流出力時期を目標時期にフィードバック制御するこ
とで燃料噴射ノズル44の燃料噴射時期を制御する。そ
の詳細を、図11の燃料噴射制御ルーチンに従い説明す
る。
【0073】図11において、ECU40は、先ずステ
ップ310でエンジン回転数Neとアクセル開度Acと
を読み取り、続くステップ320でグロープラグ制御回
路70により検出されるイオン電流信号を基にイオン電
流出力時期tiを読み取る(前記図7参照)。また、E
CU40は、ステップ330で冷却水温Twを読み取
る。
【0074】その後、ECU40は、ステップ340で
前記冷却水温Twが所定温度a(例えば80℃)以上で
あるか否かを判別する。エンジン暖機前において、ステ
ップ340が否定判別されると、ECU40はステップ
350に進む。ECU40は、ステップ350で冷間始
動時の目標噴射量Fcと目標イオン電流出力時期Tic
とを、 Fc=f3’(Ne,Ac,Tw,ti) Tic=f4’(Ne,Ac,Tw,ti) として算出する。このとき、予め試験により求めておい
た変換マップを用い、エンジン回転数Ne,アクセル開
度Ac,冷却水温Tw,イオン電流出力時期tiに対応
した目標噴射量Fcと目標イオン電流出力時期Ticと
を決定する(冷却水温Twは除外可)。より具体的に
は、図9の関係に従い目標噴射量Fcを求める。また、
図10の関係に従い、同図の目標噴射時期Tcに代えて
目標イオン電流出力時期Ticを求める。但し、図9,
図10において、補正係数の算出には「横軸=イオン電
流出力時期ti」として置き換えたマップを用いる。
【0075】その後、ECU40は、ステップ360で
その時実際のイオン電流出力時期tiと目標イオン電流
出力時期Ticとが一致するように、燃料噴射ノズル4
4による燃料噴射時期をフィードバック制御する。
【0076】一方、エンジン暖機後において、ステップ
340が肯定判別されると、ECU40はステップ37
0に進み、通常運転時の目標噴射量FNと目標イオン電
流出力時期TiNとを、 FN=f1’(Ne,Ac,Tw) TiN=f2’(Ne,Ac,Tw) として算出する。このとき、予め試験により求めておい
た変換マップを用い、エンジン回転数Ne,アクセル開
度Ac,冷却水温Twに対応した目標噴射量FNと目標
イオン電流出力時期TiNとを決定する(冷却水温Tw
は除外可)。
【0077】その後、ECU40は、ステップ380で
その時実際のイオン電流出力時期tiと目標イオン電流
出力時期TiNとが一致するように、燃料噴射ノズル4
4による燃料噴射時期をフィードバック制御する。
【0078】上述した本実施の形態によれば、上記第1
の実施の形態と同様に、ディーゼルエンジン43の冷間
始動時における白煙の排出量や騒音を低減することがで
き、本発明の目的が達成される。特に、本実施の形態で
は、エンジン43の冷間始動時において、その時々のエ
ンジン運転状態(Ne,Ac,Tw,ti)に応じてイ
オン電流出力時期の目標値Ticを演算すると共に、実
際のイオン電流出力時期tiがその目標値Ticに一致
するよう、冷間始動時における燃料噴射時期をフィード
バック制御した。この場合、イオン電流出力時期tiに
基づくフィードバック制御を行うことで、エンジン43
の実際の暖機状態に即した燃料噴射制御が実施される。
【0079】また、イオン電流出力時期tiを一パラメ
ータとして、当該出力時期tiが遅いほど、目標値Ti
cを進角側に設定するようにした。この場合、冷間の度
合に応じた燃料噴射制御が実施される。そのため、より
一層適切な制御が実施できるようになる。
【0080】上記第2の実施の形態においては、前記図
11のステップ340が冷間始動判定手段に相当し、同
ステップ350が目標値演算手段に相当し、同ステップ
360がフィードバック制御手段に相当する。
【0081】なお、本発明の実施の形態は、上記以外に
次の形態にて実現できる。上記第1の実施の形態では、
イオン電流出力時期tiに対応する着火遅れ時間trに
基づき、冷間始動時における噴射量と噴射時期とを制御
したが(前記図8のステップ270)、これら2つの制
御量のうち少なくとも一方のみを着火遅れ時間trに基
づき制御するように変更してもよい(噴射量,噴射時期
のいずれか一方を従前通りの制御とする)。かかる構成
においても、着火遅れ時間trを燃料噴射制御に反映さ
せることができ、従来既存の装置に比べて白煙排出量や
騒音が低減される。
【0082】上記第2の実施の形態では、エンジン暖機
前及び後のいずれにおいてもイオン電流出力時期を目標
値にフィードバックさせることで燃料噴射時期を制御し
ていたが、これを変更する。イオン電流出力時期のフィ
ードバック制御をエンジン暖機前にのみ実施し、エンジ
ン暖機後には目標噴射時期のオープン制御(従前通りの
制御)を実施するように構成してもよい。
【0083】噴射量及び噴射時期の制御に際し、イオン
電流出力時期ti(又は着火遅れ時間tr)が冷間始動
時にのみ必要であれば、当該イオン電流出力時期tiが
冷間始動時にのみ算出されるように構成してもよい。
【0084】上記各実施の形態では、各気筒毎にイオン
電流検出機能を有するセラミックグロープラグを設置
し、気筒毎にイオン電流検出信号を取り込む構成とした
が、特定の1気筒にのみ上記機能のグロープラグを設置
して構成することも可能である。また、単気筒エンジン
への適用も可能である。
【0085】上記図5におけるグロープラグ制御回路7
0の構成において、直流電源72,76を共通電源とす
る。この場合、グローリレーとイオンリレーとを一体化
したリレー回路を設け、このリレー回路の切り換え操作
によりグロープラグ50の発熱体加熱状態とイオン電流
検出状態との2状態が適宜切り換えられる構成とすれば
よい。
【0086】上記各実施の形態における燃料噴射制御シ
ステムでは、フェイスカム式の分配型燃料噴射ポンプを
用いたが、これに代えてインナカム式の燃料噴射ポンプ
を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるディーゼルエンジン
の燃料噴射制御システムの概要を示す全体構成図。
【図2】分配型燃料噴射ポンプの構成を示す断面図。
【図3】グロープラグの構成を示す断面図。
【図4】グロープラグの要部構成を示す断面図。
【図5】グロープラグ制御回路の構成を示す電気回路
図。
【図6】グロープラグ制御ルーチンを示すフローチャー
ト。
【図7】イオン電流出力のタイミングを示すタイムチャ
ート。
【図8】燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャート。
【図9】冷間始動時の目標噴射量を算出するための図。
【図10】冷間始動時の目標噴射時期を算出するための
図。
【図11】第2の実施の形態において、燃料噴射制御ル
ーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
1…燃料噴射ポンプ、40…冷間始動判定手段,切換手
段,着火遅れ検出手段,燃料噴射制御手段,目標値演算
手段,フィードバック制御手段を構成するECU(電子
制御装置)、43…ディーゼルエンジン、44…燃料噴
射ノズル、50…グロープラグ、57…イオン検出用電
極、70…グロープラグ制御回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河内 秀臣 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】始動補助装置としてのグロープラグを備え
    たディーゼルエンジンに適用され、前記グロープラグの
    電極部を用いて燃焼火炎により発生するイオン電流を検
    出するようにした燃料噴射制御装置であって、 ディーゼルエンジンが冷間始動状態にある旨を判定する
    冷間始動判定手段と、 ディーゼルエンジンの冷間始動の旨が判定された際に、
    前記グロープラグを発熱状態から一時的にイオン電流検
    出状態に切り換える切換手段と、 同じくディーゼルエンジンの冷間始動の旨が判定された
    際に、前記検出したイオン電流の発生時期から着火遅れ
    時間を検出する着火遅れ検出手段と、 前記検出した着火遅れ時間に基づき、冷間始動時におけ
    る燃料の噴射量又は噴射時期の少なくとも一方を制御す
    る燃料噴射制御手段とを備えることを特徴とするディー
    ゼルエンジンの燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】始動補助装置としてのグロープラグを備え
    たディーゼルエンジンに適用され、前記グロープラグの
    電極部を用いて燃焼火炎により発生するイオン電流を検
    出するようにした燃料噴射制御装置であって、 ディーゼルエンジンが冷間始動状態にある旨を判定する
    冷間始動判定手段と、 ディーゼルエンジンの冷間始動の旨が判定された際に、
    前記グロープラグを発熱状態から一時的にイオン電流検
    出状態に切り換える切換手段と、 同じくディーゼルエンジンの冷間始動の旨が判定された
    際に、その時々のエンジン運転状態に応じてイオン電流
    発生時期の目標値を演算する目標値演算手段と、 前記検出したイオン電流の発生時期が前記演算した目標
    値に一致するよう、冷間始動時における燃料噴射時期を
    フィードバック制御するフィードバック制御手段とを備
    えることを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射制
    御装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の燃料噴射制御装置におい
    て、 前記燃料噴射制御手段は、前記検出した着火遅れ時間が
    大きいほど、燃料の噴射量を増量側に設定するか、若し
    くは噴射時期を進角側に設定するディーゼルエンジンの
    燃料噴射制御装置。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の燃料噴射制御装置におい
    て、 前記目標値演算手段は、イオン電流発生時期を一パラメ
    ータとして、当該発生時期が遅いほど、目標値を進角側
    に設定するディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。
  5. 【請求項5】燃焼火炎により発生するイオン電流が所定
    のしきい値を越えた際に、イオン電流発生時期である旨
    を検出する請求項1又は請求項2に記載のディーゼルエ
    ンジンの燃料噴射制御装置。
  6. 【請求項6】多気筒エンジンに適用される燃料噴射制御
    装置において、前記エンジンの気筒毎にイオン電流情報
    を取り込み、該取り込んだ情報から気筒毎に燃料の噴射
    量又は噴射時期を制御する請求項1又は請求項2に記載
    のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008050975A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Toyota Motor Corp 内燃機関の始動制御装置
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JP2011162124A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Toyota Motor Corp ハイブリッド自動車およびその制御方法
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