JPH11209680A - 皮膜形成性樹脂組成物、被覆剤及びその被覆物 - Google Patents

皮膜形成性樹脂組成物、被覆剤及びその被覆物

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JPH11209680A
JPH11209680A JP1405498A JP1405498A JPH11209680A JP H11209680 A JPH11209680 A JP H11209680A JP 1405498 A JP1405498 A JP 1405498A JP 1405498 A JP1405498 A JP 1405498A JP H11209680 A JPH11209680 A JP H11209680A
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JP
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cellulose
film
etherified
resin composition
titanium oxide
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JP1405498A
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English (en)
Inventor
Kazuo Yamamura
和夫 山村
Chika Tagaito
親 田垣内
Masataka Ooka
正隆 大岡
Nobuyoshi Shirai
伸佳 白井
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、光活性微粒子酸化チタンを含みミ
クロン・オーダーの厚みの硬化皮膜を形成することが可
能で、しかも有機系でありながら、期待すべき光活性と
皮膜特性を示し、膜厚み、透明性、皮膜硬度に優れるこ
とで、期待すべき光活性と皮膜特性を有する被覆剤を目
的とする。 【解決手段】(a)セルロース系樹脂と(b)アナター
ス型および/またはルチル型の光活性微粒子酸化チタン
とからなることを特徴とする皮膜形成性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る皮膜形成性樹脂組成物、被覆剤及び被覆物に関する。
さらに詳細には、本発明は、光活性微粒子酸化チタンを
含めることにより、ミクロン・オーダーの厚みの硬化皮
膜を形成せしめる、皮膜形成性樹脂組成物に関するもの
である。
【0002】そして、本発明に係る皮膜形成性樹脂組成
物は、主として、たとえば、金属、ガラス、プラスチッ
ク、窯業系基材あるいは成形品などのような種々の基材
へのコーティング用などとして有用なるものである。
【0003】
【従来の技術】光活性微粒子酸化チタンが、光を吸収す
ることによって、とりわけ、紫外線を吸収するというこ
とによって、窒素酸化物や、有機物などのような化合物
を光分解せしめることが知られており、たとえば、消臭
や脱臭、抗菌ないしは防汚などの分野での利用が、すで
に図られている。
【0004】こうした目的で以て、光活性微粒子酸化チ
タン膜を形成せしめる方法として、高温において、基材
に、酸化チタン膜を形成させるというような方法と、シ
リケート系結合剤を使用して、比較的低い温度で焼付皮
膜を形成させるというような方法などが提案されてはい
るけれども、汎用性の面からは、結合剤を使用するとい
う方法が望ましい。
【0005】テトラアルコキシシランや其の加水分解縮
合体などのような、いわゆるシリケート系結合材を使用
して、光活性微粒子酸化チタンを含めた形の組成物が提
案されてはいるけれども、これらは、低温で以て硬化可
能であるとは言うものの、ミクロン・オーダーの厚みの
皮膜を形成させようとした場合には、その皮膜に、多く
のクラックが発生し易いという特性の為に、基材から、
光活性微粒子酸化チタンが剥離し易いという難点を有す
るものである。
【0006】光活性微粒子酸化チタンの固定化の為に、
珪酸アルカリ金属塩を結着剤として(金属酸化物などを
硬化剤として使用する。)厚膜化可能なる方法も提案さ
れてはいるけれども、かかる方式の場合には、硬化皮膜
の耐水性の上において、自ずと限界がある。
【0007】そこで、高温での処理が困難なる基材の場
合や、皮膜形成方法それ自体に温度制限があるような場
合などの為には、比較的低温で以て強固なる皮膜を形成
することが出来て、しかも、光活性微粒子酸化チタンを
ミクロン・オーダーの厚みの皮膜の中に固定化させ得
る、有機系の結合剤の登場が、切に、望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来型技
術に従う限りは、どうしても、比較的低温で以て強固な
る皮膜を形成することが出来て、しかも、光活性微粒子
酸化チタンをミクロン・オーダーの厚みの皮膜の中に固
定化させ得る結合剤を提供するということは、頗る、困
難であった。
【0009】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、上述したような従来型技術における種々の問題点
の存在に鑑みて、主として、たとえば、ガラス、金属、
プラスチックあるいは窯業系基材などのような各種の基
材上に、ミクロン・オーダーの厚みの強固な皮膜を形成
し得ると共に、かかる皮膜内の光活性微粒子酸化チタン
の光活性能を利用し得る被覆剤に適した皮膜形成性樹脂
組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意研究を重ねた結果、(a)セルロース系樹
脂と、(b)アナタース型および/またはルチル型の光
活性微粒子酸化チタンとからなることを特徴とする皮膜
形成性樹脂組成物それ自体が、種々の基材上に、ミクロ
ン・オーダーの厚みの強固なる皮膜を形成し得ると共
に、その皮膜内の光活性微粒子酸化チタンの光活性能を
利用し得る、極めて実用性の高いコーティング剤を提供
することの出来ることを見出すに及んで、ここに、本発
明を完成させるに到った。
【0011】すなわち、本発明は、(a)セルロース系
樹脂と、(b)アナタース型および/またはルチル型の
光活性微粒子酸化チタンとからなることを特徴とする皮
膜形成性樹脂組成物を提供しようとするものであり、
【0012】さらに具体的には、前記した(a)セルロ
ース系樹脂が、セルロースの有する水酸基の全て若しく
は一部がアセチル化、プロピロイル化、ブチロイル化、
あるいは、これらの混合アシル化された構造を有するも
のである皮膜形成性樹脂組成物を提供しようとするもの
であり、
【0013】あるいは、前記した(a)セルロース系樹
脂が、セルロースの有する水酸基の全て若しくは一部が
メチルエーテル化、エチルエーテル化、プロピルエーテ
ル化、2−ヒドロキシエチルエーテル化、2−ヒドロキ
シプロピルエーテル化、あるいは、これらの混合エーテ
ル化された構造を有するものである皮膜形成性樹脂組成
物を提供するものであり、
【0014】また、具体的には、上記した(a)セルロ
ース系樹脂が、セルロースの有する水酸基の全て若しく
は一部がアセチル化、プロピロイル化、ブチロイル化、
あるいは、これらの混合アシル化された構造を有するも
の、若しくは、セルロースの有する水酸基の全て若しく
は一部がメチルエーテル化、エチルエーテル化、プロピ
ルエーテル化、2−ヒドロキシエチルエーテル化、2−
ヒドロキシプロピルエーテル化、あるいは、これらの混
合エーテル化された構造を有するものであって、さら
に、−CO2H基、 −OP(O)(OH)2基、−OS
(O)2(OH)基なる群から選ばれる少なくとも1種
の酸性基を含有するものであることを特徴とする皮膜形
成性樹脂組成物を提供しようとするものであり、
【0015】あるいはまた、上記した(a)セルロース
系樹脂が、セルロースの有する水酸基の全て若しくは一
部がアセチル化、プロピロイル化、ブチロイル化、ある
いは、これらの混合アシル化された構造を有するもの、
若しくは、セルロースの有する水酸基の全て若しくは一
部がメチルエーテル化、エチルエーテル化、プロピルエ
ーテル化、2−ヒドロキシエチルエーテル化、2−ヒド
ロキシプロピルエーテル化、あるいは、これらの混合エ
ーテル化された構造を有するものであって、さらに、
−CO2H基、 −OP(O)(OH)2基、−OS
(O)2(OH)基なる群から選ばれる少なくとも1種
の酸性基を含有し、かかる酸性基の全て、若しくは、一
部が、ナトリウムを含有しない塩基で中和されたもので
あることを特徴とする皮膜形成性樹脂組成物を提供しよ
うとするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する
ことにする。
【0017】本発明において用いるセルロース系樹脂
(a)とは、いわゆる繊維素(セルロース)の有する水
酸基の全て若しくは一部が有機エステル化、若しくは、
有機エーテル化された構造を有する各種のセルロース類
をはじめ、さらにはこれらセルロース類がさらに、リン
酸エステル化あるいは硫酸エステル化された構造を有す
るセルロース類の樹脂を指称する。
【0018】そして、かかる各種のセルロース類は、例
えば、祖父江、右田編集「セルロースハンドブック」
(朝倉書店、昭和32年)、第10章、第12章、ある
いは、Kirk−Othmer著「Encyclope
dia of Chemical Technolog
y」、Fourth−Edition、Vol.5、p
p.496−563に記載されているが如き周知の方法
にて製造される各種のセルロース類が使用可能である。
【0019】それらのうちで、先ず、有機エステル化さ
れたセルロース類として代表的なものを例示すると、ア
セチル化セルロース(3酢酸セルロース、2酢酸セルロ
ース)、プロピロイル化セルロース、ブチロイル化セル
ロース(酪酸セルロース)、アセチル化プロピロイル化
セルロース、アセチル化ブチロイル化セルロース(酢酸
酪酸セルロース)、アセチル化ペンチロイル化セルロー
ス、などの如き各種のアシル化、若しくは、混合アシル
化セルロース類など、セルロースの有する水酸基の一部
若しくは全てがアシル化されたセルロース類を挙げる事
が出来る。
【0020】そして、そのうちで、水酸基の一部がアシ
ル化されたセルロース類にあっては、その含有される全
水酸基のうちのアシル化された割合、即ち、アシル化率
が10%以上、好ましくは、20%以上のものが樹脂と
して好適に使用される。アシル化率が10%未満である
場合には、本発明の樹脂組成物とした場合に、得られる
硬化皮膜の硬度が低下し易いので、好ましく無い。
【0021】かかる(a)アシル化セルロース系樹脂
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)な
どによって測定される、重量平均分子量(Mw)が、好
ましくは2,000〜300,000の範囲内が、とり
わけ、4,000〜300,000の範囲内が適切であ
る。
【0022】次に、前記した有機エーテル化されたセル
ロース類として代表的なものを例示すると、メチルエー
テル化セルロース、エチルエーテル化セルロース、プロ
ピルエーテル化セルロース、ブチルエーテル化セルロー
ス、メチルエーテル化エチルエーテル化セルロース、メ
チルエーテル化プロピルエーテル化セルロース、メチル
エーテル化ブチルエーテル化セルロース、エチルエーテ
ル化プロピルエーテル化セルロース、エチルエーテル化
ブチルエーテル化セルロース、2−ヒドロキシエチルエ
ーテル化セルロース、2−ヒドロキシプロピルエーテル
化セルロース等の如き各種のアルキルエーテル化あるい
は2−ヒドロキシアルキルエーテル化セルロース類、若
しくは、これらの、混合エーテル化セルロース類を挙げ
ることが出来る。
【0023】そして、これらの内で水酸基の一部がエー
テル化されたセルロース類にあっては、その含有される
全水酸基のうちのエーテル化された割合、即ち、エーテ
ル化率が10%以上、好ましくは、20%以上のものが
樹脂として好適に使用される。エーテル化率が10%未
満である場合には、本発明の樹脂組成物とした場合に、
得られる硬化皮膜の硬度が低下し易いので、好ましく無
い。
【0024】かかる(a)エーテル化セルロース系樹脂
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)な
どによって測定される、重量平均分子量(Mw)が、好
ましくは2,000〜300,000の範囲内、とりわ
け、4,000〜200,000の範囲内が適切であ
る。
【0025】本発明で使用されるセルロース系樹脂
(a)は、有機溶剤類、あるいは、水に溶解した状態、
あるいは、ゾル様の膠化分散状態のいずれの形態として
も使用できる。
【0026】セルロース系樹脂(a)を溶解あるいは膠
化分散させる目的で使用される有機溶剤としては各種の
溶剤が使用可能であり、その代表的な溶剤としては、メ
タノール、エタノール、変性エタノール、ノルマル(n
−)プロパノール、イソ(iso−)プロパノール、n
−ブタノール、イソブタノール、セカンダリー(sec
−)ブタノール、ターシャリー(t−ないしはtert
−)ブタノール、2−ヒドロキシメチルテトラヒドロフ
ラン、ダイアセトンアルコールの如き、各種のアルコー
ル類;
【0027】エチレングリコールモノメチルエーテル
や、エチレングリコールモノエチルエーテルや、エチレ
ングリコールモノ−n−プロピルエーテルや、エチレン
グリコールモノ−イソプロピルエーテルやエチレングリ
コールモノブチルエーテルなどに代表される、各種の水
溶性のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プ
ロピレングリコールモノメチルエーテルや、プロピレン
グリコールモノエチルエーテルや、プロピレングリコー
ルモノ−イソプロピルエーテルなどに代表される、各種
のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0028】ジエチレングリコールモノメチルエーテル
や、ジエチレングリコールモノエチルエーテルや、ジエ
チレングリコールモノ−イソプロピルエーテルなどに代
表される、各種のジエチレングリコールモノアルキルエ
ーテル類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
や、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどに
代表される、各種のジプロピレングリコールモノアルキ
ルエーテル類;エタンジオール、1,2−プロパンジオ
ールや、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジ
オールや1,3−ブタンジオールや、1,4−ブタンジ
オールなどに代表される、各種のジオール類を始めとし
て、
【0029】さらには、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケト
ン、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサノン、イソ
ホロンの如き、各種のケトン類;ジメチルエーテル、メ
チルエチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサンまたはエチレングリコールジメチル
エーテルや、エチレングリコールジエチルエーテルや、
エチレングリコールジ−n−プロピルエーテルや、プロ
ピレングリコールジメチルエーテルや、プロピレングリ
コールジエチルエーテルの如き、各種のエーテル類;
【0030】エチル−n−プロピルエーテル、ジ−イソ
プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテルまたはエチ
レングリコールジ−イソプロピルエーテルや、エチレン
グリコールジブチルエーテルなどに代表される、各種の
エチレングリコールジアルキルエーテル類あるいはプロ
ピレングリコールジ−イソプロピルエーテルなどに代表
される、各種のプロピレングリコールジアルキルエーテ
ル類;ジエチレングリコールジメチルエーテルや、ジエ
チレングリコールジエチルエーテルや、ジエチレングリ
コールジ−イソプロピルエーテルなどに代表される、各
種のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
【0031】ジプロピレングリコールジメチルエーテル
や、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどに代
表される、各種のジプロピレングリコールジアルキルエ
ーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセ
テートや、エチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テートや、エチレングリコールモノ−n−プロピルエー
テルアセテートや、エチレングリコールモノ−イソプロ
ピルエーテルアセテートや、エチレングリコールモノブ
チルエーテルアセテートなどに代表される、各種のエチ
レングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0032】プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテートや、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ルアセテートや、プロピレングリコールモノ−n−プロ
ピルエーテルアセテートや、プロピレングリコールモノ
−イソプロピルエーテルアセテートや、プロピレングリ
コールモノブチルエーテルアセテートなどに代表され
る、各種のプロピレングリコールモノアルキルエーテル
アセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテートや、ジエチレングリコールモノエチルエー
テルアセテートや、ジエチレングリコールモノ−n−プ
ロピルエーテルアセテートや、ジエチレングリコールモ
ノ−イソプロピルエーテルアセテートや、ジエチレング
リコールモノブチルエーテルアセテートなどに代表され
る、各種のジエチレングリコールモノアルキルエーテル
アセテート類;
【0033】ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテートや、ジプロピレングリコールモノエチルエ
ーテルアセテートや、ジプロピレングリコールモノ−n
−プロピルエーテルアセテートや、ジプロピレングリコ
ールモノ−イソプロピルエーテルアセテートや、ジプロ
ピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどに
代表される、各種のジプロピレングリコールモノアルキ
ルエーテルアセテート類
【0034】;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プ
ロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イ
ソブチル、酢酸アミルの如き、各種のエステル類;ある
いは亦、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、芳香族石油ナフサの如き、各種の芳香族炭化水素類
であり、これらの各溶剤は、2種以上を併用してもよい
ことは、勿論である。
【0035】次に、以上に詳述した如きセルロース系類
が、さらに、−CO2H基、 −OP(O)(OH)
2基、−OS(O)2(OH)基なる群から選ばれる少な
くとも1種の酸性基を含有するものをセルロース系樹脂
(a)として使用した場合にあっては、これを、光活性
微粒子酸化チタン(b)と配合せしめて皮膜形成性樹脂
組成物と成した場合には、硬度の高い硬化皮膜が得られ
るという点で、好ましく使用される。
【0036】かかる目的で使用可能な(a)セルロース
系樹脂として、その代表的なものを例示すると、カルボ
キシメチルエーテル化アセチル化セルロース、カルボキ
シメチルエーテル化エチル化セルロース、カルボキシメ
チルエーテル化アセチル化セルロース、カルボキシメチ
ルエーテル化エチルエーテル化セルロース、2−カルボ
オキシエチルエーテル化メチルエーテル化セルロース、
2−カルボオキシエチルエーテル化アセチル化セルロー
ス、2−カルボオキシエチルアセチル化ブチロイル化セ
ルロース、3−カルボオキシプロピロイル化セルロー
ス、3−カルボオキシプロピロイル化メチルエーテル化
セルロース、3−カルボオキシプロピロイル化エチルエ
ーテル化セルロース、3−カルボオキシプロピロイル化
−2−ヒドロキシプロピルエーテル化セルロース、3−
カルボオキシプロピロイル化アセチル化セルロース、3
−カルボオキシプロピロイル化ブチロイル化セルロー
ス、3−カルボオキシプロピロイル化アセチルブチロイ
ル化セルロース、オルト(o−)カルボキシベンゾイル
エステル化セルロース、 オルト(o−)カルボキシベ
ンゾイルエステル化メチルエーテル化セルロース、 オ
ルト(o−)カルボキシベンゾイルエステル化エチルエ
ーテル化セルロース、 オルト(o−)カルボキシベン
ゾイルエステル化−2−ヒロロキシプロピルエーテル化
セルロース、オルト(o−)カルボキシベンゾイルエス
テル化アセチル化セルロース、オルト(o−)カルボキ
シベンゾイルエステル化ブチロイル化セルロース、オル
ト(o−)カルボキシベンゾイルエステル化アセチル化
ブチロイル化セルロース、などの如き各種の、カルボキ
シル基含有セルロース類;
【0037】リン酸エステル化メチルエーテル化セルロ
ース、リン酸エステル化アセチル化セルロース、リン酸
エステル化カルボキシメチルエーテル化セルロース、リ
ン酸エステル化カルボキシメチルエーテル化メチルエー
テル化セルロース、リン酸エステル化カルボキシメチル
エーテル化エチルエーテル化セルロース、リン酸エステ
ル化カルボキシメチルエーテル化ブチロイル化セルロー
スなどの如き、各種の−OP(O)(OH)2基を含有
する各種のセルロース類;
【0038】硫酸エステル化メチルエーテル化セルロー
ス、硫酸エステル化アセチル化セルロース、硫酸エステ
ル化カルボキシメチルエーテル化セルロース、硫酸エス
テル化カルボキシメチルエーテル化メチルエーテル化セ
ルロース、硫酸エステル化カルボキシメチルエーテル化
エチルエーテル化セルロース、硫酸エステル化カルボキ
シメチルエーテル化ブチロイル化セルロースなどの如
き、各種の−OP(O)(OH)2基を含有する各種の
セルロース類;などの各種の酸性基含有セルロース類を
挙げる事が出来る。
【0039】そして、上記した−CO2H基含有の各種
のセルロース類は、各種のセルロース系樹脂類の含有す
る水酸基を、クロロ酢酸を使用してエーテル化反応させ
る方法、あるいは、無水コハク酸、無水フタル酸、無水
マレイン酸、若しくは、それらのハーフエステル類を使
用してエステル化反応させるなどの、周知の各種のカル
ボキシル基を導入する方法によって、得られる。
【0040】また、−OP(O)(OH)2基の酸性基
を含有する形のセルロース類は、 −OP(O)(O
H)2基を含有しない形の、対応する各種のセルロース
類の含有する水酸基を、例えば、オキシ塩化リンや活性
リン酸エステルをはじめとする各種のリン酸エステル化
剤類との反応を経て得る方法や、工業化学雑誌、71
巻、157−158頁、1968年に記載のリン酸エス
テル化法に準じた方法によって、リン酸エステル化する
方法によって得る事が出来る。
【0041】そしてまた、−OS(O)2(OH)基の
酸性基を含有する形のセルロース類は、−OS(O)2
(OH)基を含有しない形の、対応する各種のセルロー
ス類の含有する水酸基を、クロロスルフォン酸などの硫
酸エステル化剤との反応を経て硫酸エステル化する方法
によって得る事が出来る。
【0042】さらには、上記した酸性基の少なくとも2
種類以上を有するセルロース類は、上記した如きの、カ
ルボキシル基を導入する各種の方法、リン酸エステル化
する方法、硫酸エステル化する方法を組み合わせて、得
る事が可能である。
【0043】そして、上記のこれら各種のセルロース系
樹脂が含有する酸性基の、その含有量としては、セルロ
ース系樹脂の重量当たり、好ましくは1%〜46%、更
には、2%から40%が好ましい。1%未満である場合
にあっては、本発明の樹脂組成物とした場合に、得られ
る硬化皮膜の硬度が十分でなく、他方、46%を越える
場合にあっては、樹脂組成物とした場合の、その粘度が
あまりにも高くなる、若しくは、ゲル化する傾向を示す
結果、いずれの場合も好ましく無い。
【0044】また次に、先に詳述した如き各種のエーテ
ル化セルロース類やエステル化セルロース類が、さら
に、 −CO2H基、 −OP(O)(OH)2基、−OS
(O) 2(OH)基なる群から選ばれる少なくとも1種
の酸性基を含有するものであって、かかる酸性基の全
て、若しくは、一部が、ナトリウムを含有しない塩基で
中和されたものである場合にあっては、(b)光活性微
粒子酸化チタンと配合させた形の、本発明の樹脂組成物
とした場合に、透明性に優れる硬化皮膜が得られるとい
う点で、本発明に好適に利用できるものである。
【0045】かかる中和された酸性基を含ませた形のセ
ルロース系樹脂を得る方法としては、(1)先に、酸性
基を含有するセルロース類として詳述した如き各種のセ
ルロース系樹脂に、ナトリウムを含有しない塩基を添加
して調製しても良いし、あるいは、(2)ナトリウムを
含有しない塩基で中和されたイオン基を有するセルロー
ス類を、前記した如きの各種溶剤に溶解させて樹脂を調
製しても良いが、(1)の方法が簡便である。
【0046】酸性基を中和する際にに使用する塩基がナ
トリウムを含む場合にあっては、ナトリウムが光活性微
粒子酸化チタンの光活性を損なう事が知られている事か
ら、かかる塩基としてはナトリウムを含有しない塩基が
好ましい。
【0047】そして、かかるナトリウムを含まない塩基
として、その代表的なものを例示すると、アンモニアを
初め、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、
ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプ
ロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、
トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタ
ノールアミン、ジエチルエタノールアミンなどの如きア
ミン類;水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化
カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化
カリウム、水酸化ストロンチウムなどの如き各種の水酸
化金属塩類;
【0048】炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カ
リウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸ストロンチウムなどの如き各種の炭酸金属塩
類;炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウムなどの如き各
種の炭酸水素金属塩類;等を挙げる事が出来る。
【0049】そして、アンモニアをはじめ、各種のアミ
ン類の内で揮発性のアミン類を使用する場合にあって
は、セルロース系樹脂の含有する酸性基を一部を中和す
るに際して、その中和の率としては、セルロース系樹脂
類の含有する全酸性基モル量の好ましくは10%以上、
より好ましくは15%以上が中和された形のものが好ま
しい。
【0050】以上、詳述した如き、各種の酸性基を含有
する形の、もしくは、これらがナトリウムを含有しない
塩基で中和された形の、各種のセルロース系樹脂類
は、、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)
などによって測定される、重量平均分子量(Mw)が、
好ましくは5,000〜300,000の範囲内が、と
りわけ、6,000〜200,000の範囲内が適切で
ある。
【0051】本発明で使用される(a)セルロース系樹
脂は、前記した有機溶剤類、あるいは、水に溶解した状
態、あるいは、ゾル様の膠化分散状態のいずれの形態と
しても使用できる事は前記した通りである。
【0052】次に、本発明において使用するアナタース
型および/またはルチル型の光活性微粒子酸化チタン
(b)とは、光、とりわけ、紫外光を吸収して、酸化サ
イトと還元サイトとを形成する結果、各種の化合物を酸
化分解ないしは還元分解する効率の高い、酸化チタンを
指称するものである。
【0053】斯かる光活性なる、いわゆる光活性微粒子
酸化チタンとして特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、アナテース型(アナターゼ型)、ルチル型、
ブルーカイト型の如き、各種の二酸化チタン類が包含さ
れるが、光活性の点からは、(b)アナテース型ないし
はルチル型の光活性微粒子酸化チタンの使用が望まし
い。
【0054】この光活性微粒子酸化チタンは、光活性の
点から好ましくは0.5ミクロン(μm)以下の平均粒
径を有する、微粒子状のものが好ましいという処から、
微粒子状のアナタース型(アナターゼ型)または微粒子
状のルチル型の光活性微粒子酸化チタンが好ましく用い
られる。
【0055】そして、かかる(b)アナタース型および
/またはルチル型の光活性微粒子酸化チタンは、その性
状として、粉末微粒子状またはゾル微粒子状のものを用
いることが可能である。
【0056】以上に詳述したように、(a)セルロース
系樹脂と(b)アナタース型および/またはルチル型の
光活性微粒子酸化チタンとから、本発明に係る皮膜形成
性樹脂組成物を調製するには、(b)アナタース型およ
び/またはルチル型の光活性微粒子酸化チタンの固形分
100重量部当たり、(a)セルロース系樹脂の配合量
を、その固形分で好ましくは6〜2,000重量部の範
囲内、より好ましくは10〜1,000重量部の範囲内
で配合せしめるというようにすればよい。
【0057】6重量部未満の場合には、どうしても、皮
膜の硬度が充分ではなくなり易いし、(b)アナタース
型および/またはルチル型の光活性微粒子酸化チタンが
基材から容易に剥離するようになり易くなる処となり、
他方、2,000重量部を超えて余りにも多くなるよう
な場合には、どうしても、(b)アナタース型および/
またはルチル型の光活性微粒子酸化チタンの含有量が低
いという処から、光活性が不十分なる結果となるので、
いずれの場合も好ましくない。
【0058】さらに、本発明に係る皮膜形成性樹脂組成
物を被覆剤として用いるには、必要に応じて、なおか
つ、本発明の目的を逸脱しないような範囲内において、
あるいは本発明の効果たる、とりわけ、ミクロン・オー
ダーの厚みの皮膜を与えるという皮膜形成性や、光活性
などを損なわない範囲内で、必要に応じてレベリング
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、あるいは、各種の分散
剤や分散助剤、充填剤、硬化剤、あるいは、顔料類など
を始め、公知慣用の種々の添加剤などをも配合せしめる
ことが出来るし、さらには、セルロース系樹脂を使用す
る各種コーテイング用組成物の成分として用いられる、
各種の可塑剤や樹脂など、公知慣用の成分などをも配合
せしめることが出来る。
【0059】上記した硬化剤としては、セルロース系樹
脂の含有する水酸基と反応しうる官能基を含有する硬化
剤が挙げられ、その代表的なものを例示すると、メラミ
ン樹脂、エーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂などの各種
のアミノ樹脂類を始め、各種のジイソシアネート類や各
種のトリイソシアネート類から得られる、各種のイソシ
アネートプレポリマー類などである。
【0060】かくして得られる、本発明に係る皮膜形成
性樹脂組成物から硬化皮膜を形成させるには、公知慣用
の種々の方法によって基材上に塗布せしめたのち、
(a)セルロース系樹脂の含有量、該(a)セルロース系
樹脂が有している基の種類や其の含有量、水酸基などの
反応性基の種類や其の含有量、(b)光活性微粒子酸化
チタンの含有量、種類、粒径などに応じて、さらには、
適用される基材の耐熱性などに応じて、好ましくは60
〜300℃、より好ましくは、80〜250℃の温度に
おいて、30秒〜10時間のあいだ、加熱することによ
って、高い硬度の被膜が得られる。
【0061】本発明に係る皮膜形成性樹脂組成物を必須
成分とした被覆剤を各種の基材上に塗布する方法として
は、アプリケーター、バーコーター、はけ、ブラシ、ロ
ーラー等を使用する方法をはじめ、スプレーコート法、
デイップコート法、スピンコート法等の各種の方法が用
いられる。
【0062】そして、本発明に係る皮膜形成性樹脂組成
物を必須成分とした被覆剤の塗布される被覆物は、主と
して、例えば、木材類、紙類、金属類(鉄、ステンレ
ス、銅、アルミ)、ガラス類、プラスチック類(塩化ビ
ニル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂)製
品、ゴム類(NBR、SBR、EPDM、フッ素ゴ
ム)、アスファルト類、窯業系基材(セメントコンクリ
ート、粘土製品、セラミック類)、繊維及び繊維製品
(編物、織物、不織布)、皮革類、FRP成形品等のよ
うな種々の基材である。特にコーティング用などとして
有用なるものである。これら基材は、下塗り塗料の塗布
されたものでも良い。
【0063】本発明の被覆物とは、光の直接・間接に当
たる物であればいずれの物でも良いが、具体的には、室
内(台所、居間、浴室、トイレ、玄関)の内装材(壁
紙、壁材、天井材、床材)、カーテン、絨毯、;外装
材;公共性のもの例えば電話機、電車・バスのシート
等;、自動車部品等が挙げられる。
【0064】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例により、一
層、具体的に説明することにするが、本発明は、決し
て、これらの例示例のみに限定されるものではない。以
下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべ
て、重量基準であるものとする。
【0065】参考例1(セルロース系樹脂の調製例) CAB−321(イーストマンコダック製、アセチル化
ブチロイル化セルロース)の62部と、レシチンの3部
を酢酸エチルの100部に溶解させ、n−ブタノールで
希釈して不揮発分(以下、NVと略記する。)が20%
の樹脂溶液を得た。以下、このものを樹脂(a−1)と
略記する。
【0066】参考例2(同上) カルボキシメチルエチルセルロース(興人製、カルボキ
シメチルエーテル化エチルエーテル化セルロース、カル
ボキシメチル基重量が、全重量の12.2%で、エトキ
シ基重量が、40.2%)をセロソルブアセテートに溶
解させて、そのNVが20%の樹脂溶液を調製した。以
下、このものを樹脂(a−2)と略記する。
【0067】参考例3(同上) 参考例2のカルボキシメチルエチルセルロースの20部
と、レシチンの1部を、セロソルブアセテートの63部
に溶解させ、セロソルブアセテートで希釈する事によっ
て、NV=20%の樹脂溶液を調製した。以下、これを
樹脂(a−3)と略記する。
【0068】参考例4(同上) 参考例2のカルボキシメチルエチルセルロースの20部
を、セロソルブアセテートの63部に溶解させ、これ
に、含有されるカルボキシル基の20モル%に相当する
量のアンモニアとなるように、28%アンモニア水を添
加した後、セロソルブアセテートで希釈して、NVが2
0%の樹脂溶液を調製した。以下、これを樹脂(a−
4)と略記する。
【0069】参考例5(同上) アセチル化フタロイル化セルロース(キシダ化学製)の
20部を、セロソルブアセテートの126部に溶解さ
せ、これに、含有されるカルボキシル基の20モル%に
相当する量のエタノールアミンを添加した後、セロソル
ブアセテートで希釈して、NV=10%の樹脂溶液を調
製した。以下、このものを樹脂(a−5)と略記する。
【0070】参考例6(同上) 工業化学雑誌、71巻、157−158頁、1968年
に記載のリン酸化方法に準じて、セルロースの150量
体に相当する2酢酸セルロース(ジアセチル化セルロー
ス)の45部と、尿素の35部と、正リン酸の4部と、
ジメチルフォルムアミド(以下、DMFと略記する。)
の113部の混合物を、150度Cで、1時間のあいだ
反応させた。その後、過剰の水に反応溶液を添加して、
目的生成物を白色の沈殿として得た。水洗・真空乾燥の
後、リン(P)の含有率が5%のリン酸エステル化2酢
酸セルロースを得た。
【0071】得られたリン酸エステル化2酢酸セルロー
スとセロソルブアセテートとから、NV=10%で、M
w=36、900のセルロース系樹脂を得た。以下、こ
のものを樹脂(a−6)と略記する。
【0072】参考例7(同上) 参考例3のカルボキシメチルエチルセルロースの45部
と、尿素の35部と、正リン酸の4部と、DMFの11
3部の混合物を、参考例6と同様の方法で処理して、リ
ン(P)の含有率が3%のリン酸エステル化カルボキシ
メチルエチルセルロースを得た。このものの赤外吸収ス
ペクトルにおいて、1250−1300cm-1と920
−1050cm-1の位置にC−OP(O)に基づく吸収
を示した。このものとセロソルブアセテートと酢酸エチ
ルの95:5比率の混合溶剤とから、NVが10%のセ
ルロース系樹脂を得た。以下、このものを樹脂(a−
7)と略記する。
【0073】以下に実施例を詳述する。ここにおいて、
下に掲げるような各種の光活性微粒子酸化チタン(以
下、酸化チタン(b−1)、酸化チタン(b−2)、酸
化チタン(b−3)と略記する。)を使用した。
【0074】 酸化チタン(b−1)………「P−25」〔日本アエロ
ジル(株)製の、粉末状酸化チタン〕 酸化チタン(b−2)………「ST−01」〔石原テク
ノ(株)製の、粉末状光活性微粒子酸化チタン〕 酸化チタン(b−3)………「STS−02」〔石原テ
クノ(株)製の、ゾル状光活性微粒子酸化チタン;固形
分=30%〕
【0075】実施例1 樹脂(a−1)と酸化チタン(b−2)とを、顔料重量
含有率(以下、PWCと略記する。)が20%となるよ
うに配合せしめて、さらに、このものにビーズを添加し
てペイントシェーカーを用いて良く配合させて、目的の
組成物を得た。
【0076】実施例2 樹脂(a−2)と酸化チタン(b−2)とを使用した以
外は実施例1と同様の方法にて、目的の組成物を得た。
【0077】実施例3 樹脂(a−3)と酸化チタン(b−3)とを使用した以
外は実施例1と同様の方法にて、目的の組成物を得た。
【0078】実施例4 樹脂(a−4)と酸化チタン(b−3)とを使用した以
外は実施例1と同様の方法にて、目的の組成物を得た。
【0079】実施例5 樹脂(a−5)と酸化チタン(b−1)とを使用した以
外は実施例1と同様の方法にて、目的の組成物を得た。
【0080】実施例6 樹脂(a−6)と酸化チタン(b−2)とを使用した以
外は実施例1と同様の方法にて、目的の組成物を得た。
【0081】実施例7 樹脂(a−7)と酸化チタン(b−3)とを使用した以
外は実施例1と同様の方法にて、目的の組成物を得た。
【0082】実施例1〜7で得た、それぞれの皮膜形成
性樹脂組成物を、シリケートプライマーで前処理したガ
ラス基板上に、1.5ミル厚みのアプリケーターを用い
て塗布せしめ、100℃にて1時間のあいだ焼き付け
て、それぞれの硬化皮膜を得た。しかるのち、それぞれ
の皮膜について、膜厚と鉛筆硬度の測定を行なった。そ
れらの結果も、まとめて、表1に示す。
【0083】さらに得られたそれぞれの硬化皮膜の透明
性を以下の5段階で評価し、それら結果も、まとめて、
同表に示す。透明性評価の基準としては、1は不透明に
近い、2は不透明とスリガラス状の中間程度の透明性、
3はスリガラス状、4はスリガラス状態と完全透明の中
間程度の透明性、5は完全透明、とした。
【0084】比較例 ゾル状光活性微粒子酸化チタン「STS−02」に、I
PAを加えて、NVが20%となるようにして、対照用
の組成物を調製した。次いで、この組成物を、ガラス基
板上に、1.5ミル厚みのアプリケータを用いて塗布
し、100℃において1時間のあいだ焼き付けを行なっ
た。その結果は、酸化チタンの殆どが、基板から剥離し
て仕舞って、目的とするような、ミクロン・オーダーの
厚みの硬化皮膜を得ることが出来なかった。
【0085】<光活性の評価判定の要領>硬化皮膜の光
酸化活性を評価判定するために、実施例1〜7の各組成
物で以て得られたそれぞれの硬化皮膜について、アセト
アルデヒド除去率(%)を測定した。
【0086】すなわち、硬化皮膜を形成させたガラス基
板(2cm×12cm)をガラス容器(223ミリ・リ
ットル容)に入れ、この容器中に、アセトアルデヒド
を、90ppm濃度となるように注入し、6ワット
(W)のブラック・ライトを、3時間のあいだ照射せし
め、しかるのちに、残留アセトアルデヒドの濃度を、F
ID検出器付きガスクロマトグラフで以て測定した。
【0087】斯かる測定値に基いて、それぞれの硬化塗
膜について、次式により、アセトアルデヒドの除去率を
算出した。それらの結果を、まとめて、表1に示した。
【0088】アセトアルデヒドの除去率(%)=(初期
アセトアルデヒド濃度−残留アセトアルデヒド濃度)×
100/(初期アセトアルデヒド濃度)
【0089】上記のアセトアルデヒドに対する、それぞ
れの硬化皮膜の光酸化活性評価を、アセトアルデヒドの
除去率が80%を越えるまでの時間のあいだ行った後、
硬化皮膜の鉛筆硬度を測定した。それらの結果を、まと
めて、表1に示した。
【0090】表1に示したように、本発明に係る皮膜形
成性樹脂組成物は、ミクロン・オーダーの厚みの硬化皮
膜を与えると共に、この硬化皮膜のアセトアルデヒド除
去率が高いということが確認されたし、加えて、高い光
酸化活性作用による有機物分解能が高く、その後の硬化
皮膜が十分な硬度を維持するということも亦、確認され
た。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明に係る皮
膜形成性樹脂組成物は、主として、ガラス、金属、プラ
スチックあるいは窯業系基材などの各種の基材上に、す
でに記述した通りの要領に従って、ミクロン・オーダー
の厚みの硬化被膜を形成させることを可能としたもので
あり、その結果として、初めて、本発明に係る皮膜形成
性樹脂組成物から得られる硬化皮膜が、膜厚み、透明
性、皮膜硬度に優れることで、期待すべき光活性と皮膜
特性を示すというものであり、被覆剤として極めて実用
性の高いものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)セルロース系樹脂と、(b)アナ
    タース型および/またはルチル型の光活性微粒子酸化チ
    タンとからなることを特徴とする皮膜形成性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記した(a)セルロース系樹脂が、セ
    ルロースの有する水酸基の全て若しくは一部がアセチル
    化、プロピロイル化、ブチロイル化、あるいは、これら
    の混合アシル化された構造を有するものである、請求項
    1に記載の皮膜形成性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記した(a)セルロース系樹脂が、セ
    ルロースの有する水酸基の全て若しくは一部がメチルエ
    ーテル化、エチルエーテル化、プロピルエーテル化、2
    −ヒドロキシエチルエーテル化、2−ヒドロキシプロピ
    ルエーテル化、あるいは、これらの混合エーテル化され
    た構造を有するものである、請求項1に記載の皮膜形成
    性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記した(a)セルロース系樹脂が、さ
    らに、−CO2H基、 −OP(O)(OH)2基、−O
    S(O)2(OH)基なる群から選ばれる少なくとも1
    種の酸性基を含有するものであることを特徴とする、請
    求項2または3に記載の皮膜形成性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記した(a)セルロース系樹脂が、さ
    らに、 −CO2H基、 −OP(O)(OH)2基、−O
    S(O)2(OH)基なる群から選ばれる少なくとも1
    種の酸性基を含有し、かかる酸性基の一部、若しくは、
    全てが、ナトリウムを含有しない塩基で中和されたもの
    であることを特徴とする、請求項2または3に記載の皮
    膜形成性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載の皮膜形成性
    樹脂組成物を必須成分とすることを特徴とする被覆剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5いずれか記載の皮膜形成性
    樹脂組成物を被覆したことを特徴とする被覆物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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