JPH11207971A - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録ヘッドの製造方法に関す
るもので、インク吐出のためのノズルをエキシマレーザ
ーにより加工する必要もなく、また、ノズル断面形状が
あるテーパ角を持った台形となることもなく、インクの
流れに対して抵抗が小さく、インク吐出効率の良いイン
クジェット記録ヘッドが得られる。 【解決手段】 チャンネル形成部材１に形成された隔壁
により隔てられた互いに並行する複数のチャンネルを有
し、そのチャンネル内に充填されているインクを、チャ
ンネル毎に選択的にインク圧を変化せしめて、そのチャ
ンネルに連通したノズルより選択的に突出せしめるイン
クジェット記録ヘッドの製造方法であって、前記各チャ
ンネルの一端をチャンネル形成部材１の側面に開口せし
め、その端面に導電性の薄膜を形成し、その薄膜に、予
め電鋳法を用いて形成されたノズル５を有するノズルプ
レート２を電鋳法により接合したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、圧電セラミックス
などのチャンネル形成部材に形成された隔壁により隔て
られた互いに並行する複数のチャンネルを有し、前記チ
ャンネル内に充填されているインクを、チャンネル毎に
選択的にインク圧を変化せしめて、そのチャンネルに連
通したノズルより選択的に突出せしめるインクジェット
記録ヘッドの製造方法に関するものであり、特に前記ノ
ズルの製造方法に特徴を有するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば特開昭６３−２５２７
５０号公報に開示のようにインク吐出原理として圧電素
子のせん断モード変形を利用したインクジェット記録装
置が考えられている。この構成は図５に示すように、大
きく圧電セラミックスのチャンネル形成部材１とカバー
プレート３とノズルプレート２とプリント配線板６とか
ら構成されている。そのチャンネル形成部材１には、ダ
イヤモンドプレード等により切削加工された複数のチャ
ンネル９が、その一端をチャンネル形成部材１の側面に
開口した状態で形成されている。また、そのチャンネル
９間の側壁１0 は溝深さ方向に分極処理を施されてい
る。

【０００３】図４に示すようにそれらのチャンネル９は
同じ深さであり、かつ平行で、チャンネル９の深さは、
チャンネル形成部材１の後端面１１に近づくに従い次第
に浅くなっており、後端面１１付近にはチャンネルの浅
い領域が形成されている。そして、各チャンネル９の両
側面の上側半分には信号電極４がスパッタリングや蒸着
等によって形成されている。また、チャンネルの浅い領
域においても同様に側面及び底面に信号電極４がスパッ
タリングや蒸着等によって形成されている。これにより
チャンネル９の両側面に形成された信号電極４はチャン
ネルの浅い領域の底面に形成された信号電極４によって
電気的に接続されている。

【０００４】次に、カバープレート３は、セラミックス
材料または樹脂材料等から形成されている。カバープレ
ート３には、研削または切削加工等によって、インク供
給口８及びマニホールド７が形成されている。そして、
チャンネル形成部材１のチャンネル９の加工側の面とカ
バープレート３のマニホールド７の加工側の面とをエポ
キシ系接着剤１２によって接着する。このようにして、
インクジェット記録ヘッドにはチャンネル９の上面が覆
われて横方向に同じ間隔を有する複数のインク流路とし
てのチャンネル９が構成される。そのチャンネル９は長
方形断面の細長い形状であり、全てのチャンネル内に
は、インク供給口８からインクが充填される。

【０００５】また、図４に示すように、チャンネル形成
部材１およびカバープレート３の端面に、各チャンネル
９の位置に対応した位置にノズル５が位置するようにノ
ズルプレート２が接着されている。このノズルプレート
２はポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケ
トン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト等のプ
ラスチックによって形成されている。このノズルプレー
ト２はエポキシ系接着剤などを用いてチャンネル形成部
材１及びカバープレート３のインク吐出面側に貼付した
後に、各チャンネル９の中心を顕微鏡などにより位置決
めした後、エキシマレーザーなどの装置を用いて孔開け
を行っている。

【０００６】そして、チャンネル形成部材１のチャンネ
ル９と反対側の面には、プリント配線板６がエポキシ系
接着剤等によって接着されている。そのプリント配線板
６には各チャンネルの位置に対応した位置に導電性パタ
ーンが形成されている。その導電性パターンとチャンネ
ルの浅い領域の底面に形成した信号電極４はボンディン
グワイヤー１４で接続されていた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の構
成では、ノズルプレートを貼付した後に、インク吐出の
ためのノズル数と同等な数のノズルを加工しなければな
らないため、チャンネル形成部材１に形成したインク吐
出のためのチャンネルと同等な個数のノズル加工を必要
とし、インク吐出ノズル数の増加とともにこの工数も増
えることになり、またこの加工方法であると、ノズルの
断面形状が直線的にテーパーが付き、かつノズルとノズ
ルプレートの裏面の出会う位置に角が付いた形状となる
ため、チャンネルからノズル部へインクが突入するとき
のインクに対する流体抵抗を十分に小さくできなくな
る。

【０００８】本発明は、チャンネル形成部材の端面に、
電鋳法によりノズルを有するノズルプレートを形成する
ことで、従来のようにノズルプレートをチャンネル形成
部材の端面に貼付した後に、エキシマレーザーにより加
工することもなく、またノズル断面形状が台形となるこ
ともなく、インク吐出に対して効率の良いノズル形状を
達成するインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供す
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録ヘッドの製造方法は、チャンネル形成部材に形成さ
れた隔壁により隔てられた互いに並行する複数のチャン
ネルを有し、そのチャンネル内に充填されているインク
を、チャンネル毎に選択的にインク圧を変化せしめて、
そのチャンネルに連通したノズルより選択的に突出せし
めるインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、前
記各チャンネルの一端をチャンネル形成部材の側面に開
口せしめ、その端面に予め電鋳法を用いて形成されたノ
ズルを有するノズルプレートを接合したことを特徴とす
る。

【００１０】このようにチャンネル形成部材の端面に、
電鋳法により形成されたノズルをノズルプレートを接合
することで、従来のようにノズルプレートをチャンネル
形成部材の端面に貼付した後に、エキシマレーザーによ
りノズル加工を行う必要もなく、またノズル断面形状が
台形となることもなく、インク吐出に対して効率の良い
ノズル形状を達成することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】（実施の形態）以下に、本発明の
請求項１に記載された発明の実施の形態について、図１
乃至図３を用いて説明する。なお、図４、図５で示した
従来例と実質的に同一な構成部品には同一符号を付して
いる。

【００１２】まず図３に示したように、従来と同様にし
て作成されたカバープレート２とチャンネル形成部材１
を接着したアクチュエータユニットのノズルプレートの
形成面に、薄膜の導電性材料としてSiNなどのメッキ液
に対する耐薬品性を有する導電性樹脂層１６を形成して
おく。このアクチュエータユニット部材のノズルプレー
ト２形成面を図２に示すように、メッキ浴２２の中に浸
漬する。この面に対向させるように従来の電鋳法と同様
な方法で、ノズルを形成すべき部位にレジストフィルム
１９をパターニングしたグラビアブロック１８を前記ア
クチュエータユニットのノズルプレート形成面に対向さ
せて設置する。

【００１３】このノズルプレート形成面と導電性のグラ
ビアブロック１８の間に対向電極１７を設置する。この
対向電極１７の電位をマイナス側に設定し、ノズルプレ
ート形成面及びグラビアブロック１８をプラス側に設定
する。この電鋳法により、グラビアブロック１８上にNi
電鋳プレート２３を形成する。ノズルプレート形成面側
のNi電鋳プレート２３の厚さは、数μｍの厚さにする。
グラビアブロック側のNi電鋳プレート２３の厚さは、ノ
ズルプレート２の最終厚さにほぼ等しいメッキ厚さまで
成長させたところで停止させる。その後、対向電極１７
を取り外し、ノズルプレート２形成面とグラビアブロッ
ク１８上のNiメッキ層２３を、図２（ｂ）に示すように
概略接触させて、アクチュエータユニットのノズルプレ
ート形成面上の導電性薄膜１６とグラビアブロック１８
を同電位にして、再度電鋳法によりNiメッキ層２１を成
長させる。このようにして、アクチュエータユニットの
ノズルプレート形成面上のNiメッキ層２１と、グラビア
ブロック１８上のNi電鋳プレート２３を一体化させて、
結果的にアクチュエータユニットのノズルプレート形成
面上に、電鋳法で形成されたノズルプレート２を形成す
る。

【００１４】しかる後に、グラビアブロック１８を除去
して図１に示すインクジェット記録ヘッドを得る。この
ように、電鋳法によりノズルプレートを形成すること
で、従来のようにポリイミドなどの樹脂からなるノズル
プレートをチャンネル形成部材の端面に貼着した後に、
インク吐出のためのノズルの開口をエキシマレーザーに
より加工する必要もなく、また、ノズル断面形状がある
テーパ角を持った台形となることもなく、インクの流れ
に対して抵抗が小さく、インク吐出効率の良いインクジ
ェット記録ヘッドが得られる。

【００１５】

【発明の効果】本発明のインクジェット記録ヘッドの製
造方法によれば、電鋳法によりノズルプレートを形成す
ることで，従来のようにポリイミドなどの樹脂からなる
ノズルプレートをチャンネル形成部材の端面に貼着した
後に、インク吐出のためのノズルをエキシマレーザーに
より加工する必要もなく、また、ノズル断面形状がある
テーパ角を持った台形となることもなく、インクの流れ
に対して抵抗が小さく、インク吐出効率の良いインクジ
ェット記録ヘッドが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態におけるインクジェット
記録ヘッドの製造方法を適用したせん断モード型インク
ジェット記録ヘッドの斜視図

【図２】同実施の形態におけるインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法の製造工程を示した平面図

【図３】同実施の形態におけるインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法の製造工程を示した斜視図

【図４】従来のインクジェット記録ヘッドの長手方向断
面図

【図５】従来のインクジェット記録ヘッドの分解斜視図

【符号の説明】

１ チャンネル形成部材 ２ ノズルプレート ３ カバープレート ４ 信号電極 ５ ノズル ６ プリント配線板 １８ グラビアブロック １９ レジストフィルム ２１ メッキ層 ２３ 電鋳プレート

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】チャンネル形成部材に形成された隔壁によ
   り隔てられた互いに並行する複数のチャンネルを有し、
   そのチャンネル内に充填されているインクを、チャンネ
   ル毎に選択的にインク圧を変化せしめて、そのチャンネ
   ルに連通したノズルより選択的に突出せしめるインクジ
   ェット記録ヘッドの製造方法であって、前記各チャンネ
   ルの一端をチャンネル形成部材の側面に開口せしめ、そ
   の端面に予め電鋳法を用いて形成されたノズルを有する
   ノズルプレートを接合したことを特徴とするインクジェ
   ット記録ヘッドの製造方法。
2. 【請求項２】前記側端面に導電性層を形成し、その導電
   性層と前記ノズルプレートを電鋳法により接合したこと
   を特徴とする請求項１記載のインクジェット記録ヘッド
   の製造方法。