JPH11207875A - ポリアミド・防振ゴム複合体およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド・防振ゴム複合体およびその製造方法

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JPH11207875A
JPH11207875A JP1035498A JP1035498A JPH11207875A JP H11207875 A JPH11207875 A JP H11207875A JP 1035498 A JP1035498 A JP 1035498A JP 1035498 A JP1035498 A JP 1035498A JP H11207875 A JPH11207875 A JP H11207875A
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rubber
polyamide
vibration
silane
double bond
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JP1035498A
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English (en)
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Jiyunichirou Suzuki
淳一朗 鈴木
Takehiko Taguchi
武彦 田口
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂とゴムとの接着性、耐久性、耐油性等に
優れ、容易に製造できる樹脂・防振ゴム複合体を提供す
る。 【解決手段】 ヨウ素価36以下の未架橋ゴム成分、二
重結合含有シランおよび有機過酸化物を含有するゴム組
成物を、アルカリ処理したポリアミド上で加硫成形して
なるポリアミド・防振ゴム複合体。未架橋ゴム成分とし
てはEPDM、EPM、H−NBRが好ましく使用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車部品等に有用
なポリアミド・防振ゴム複合体に関する。さらに詳しく
いえば、ポリアミドとゴムを接着剤を使用ぜずに加硫に
より接着してなるポリアミド・防振ゴム複合体に関す
る。
【0002】
【従来の技術とその課題】自動車のエンジン等を搭載す
る際に使用される防振ゴムには、エンジンの振動および
それに伴う騒音を軽減する防振性能、エンジンの発生熱
に対する耐熱性およびエンジンを機械的に支える支持性
能(強度)に加えて防振ゴムの支持材となる金属材料等
との接着性が要求される。防振性能の点からは、ゴムは
一般的に軟らかい程よいが、軟らかすぎると搭載物の重
量で撓んでその支持位置が変化し、支持物を含む構成体
全体の基本的な性能に悪い影響を及ぼすことになる。具
体的には、防振性能は振動を伝達する振動状態のばね定
数(動ばね定数)が小さいほどよく、一方支持性能(強
度)は支持剛性を示す静ばね定数が大きいもの程よく、
従って、動ばね定数と静ばね定数との比、すなわち動倍
率(動ばね定数/静ばね定数)の値の小さいゴムほど防
振ゴムとして優れているといえる。
【0003】一方、防振ゴムの支持材としてはこれまで
金属材料からなる支持材に防振ゴムを加硫接着した金属
材料・防振ゴム複合体として使用されているが、金属支
持材料を樹脂材料に代えることにより防振ゴム複合体を
軽量化し、加工工程を見直して、さらに製造コストの低
減化を図る動きが進んでいる。樹脂・防振ゴム複合体
は、通常(1)予め成形された樹脂部材に接着剤を塗布
し、ゴムの成形加硫時に接着を行なう方法、あるいは
(2)予め加硫したゴムに接着剤を塗布し、樹脂成形時に
接着を行なう方法など、接着剤を使用する方法により製
造されている。この方法により得られる複合体は十分な
接着性能、信頼性等を有しているが、溶剤を伴う接着剤
を使用するため作業環境の管理上に問題を有している。
これらの問題を解決するために接着剤を使用しないでゴ
ムと樹脂とを接合する複合化方法が提案されている。
【0004】例えば、欧州特許出願公開第0196407 号お
よび同第0315749 号にはポリフェニレンエーテル(PP
E)をベースとする成形材料と硫黄あるいは過酸化物で
加硫可能なゴムとを接着剤を使用せずに複合化する方法
が開示されている。しかし、PPEは耐油性が劣るため
自動車部品、特に自動車用の防振ゴムに用いるのは困難
であり、またPPEは溶融粘度が高く加工性が悪いとい
う問題もある。
【0005】欧州特許出願公開第0344427号には樹脂と
して耐油(溶剤)性、耐熱性に優れたポリアミド(P
A)ベース熱可塑性樹脂とカルボキシル基を含有するゴ
ムとの結合方法が開示されているが、使用するゴムがカ
ルボキシル基を含有する特殊なものであり、防振特性や
耐久性にも問題があるため、防振ゴムとしての使用は困
難である。
【0006】さらに、特開平7-11013号公報には、ポリ
アミドを30重量%以上含有する材料と、二重結合含有
シランを含有し過酸化物で加硫されるゴム組成物とを複
合化する方法が開示されている。この方法によれば、過
酸化物加硫のみで、各種のゴム、すなわち、EP(D)
Mゴム、SBゴム、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム
(NR)、イソブテン−イソプレンゴム(IIR)、ニ
トリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ス
チレン含有ブロックコポリマー、ポリアルケニレン等を
ベースゴムとする組成物とポリアミド材料との接着が可
能であり、得られる複合体は、パッキン、モータ、電動
工具のケーシング、タイヤ、緩衝器、防音・防振材等に
使用できる旨記載されている。しかしながら、そこに具
体的に開示されている複合体では、樹脂とゴムとの接着
性が不十分であり、エンジン支持用の耐熱性防振ゴム等
の用途には使用困難である。
【0007】従って、本発明の目的は、接着剤を使用す
ることなく、かつ簡易な方法により樹脂とゴムとが良好
に接着した樹脂・防振ゴム複合体を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は耐久性あるいは耐油性等
に優れ、自動車用部品として有用な樹脂・防振ゴム複合
体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ゴム組成
物を直接樹脂に加硫接着する場合において、樹脂として
ポリアミドを使用しその表面をアルカリ処理することに
より、特定のゴム組成物が前記ポリアミドと良好に接着
することを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は以下のポリアミド・防
振ゴム複合体およびその製造方法を提供するものであ
る。 1) ヨウ素価36以下の未架橋ゴム成分、二重結合含
有シランおよび有機過酸化物を含有するゴム組成物を、
アルカリ処理したポリアミド上で加硫成形してなるポリ
アミド・防振ゴム複合体。 2) ヨウ素価36以下の未架橋ゴム成分が、エチレン
−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)、エ
チレン−プロピレンゴム(EPM)または水素添加アク
リロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)である前
記1に記載のポリアミド・防振ゴム複合体。 3) 未架橋ゴム成分100重量部に対して、二重結合
含有シラン2〜10重量部、有機過酸化物1〜10重量
部を含有するゴム組成物を使用する前記1または2に記
載のポリアミド・防振ゴム複合体。 4) 二重結合含有シランが、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−
メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロ
ピル−トリメトキシシランおよび3−メタクリルオキシ
プロピル−トリエトキシシランから選ばれる1種以上で
ある前記1乃至3のいずれかに記載のポリアミド・防振
ゴム複合体。 5) 有機過酸化物がジクミルパーオキサイドである前
記1乃至3のいずれかに記載のポリアミド・防振ゴム複
合体。 6) アルカリ洗浄液により洗浄処理するか、あるいは
アルカリ洗浄液と研磨材とを用いてウェットブラスト処
理したポリアミド上で、接着剤を塗布することなく未架
橋ゴム成分、二重結合含有シランおよび有機過酸化物を
含有するゴム組成物を加硫成形することを特徴とするポ
リアミド・防振ゴム複合体の製造方法。以下、本発明の
ポリアミド・防振ゴム複合体について詳しく説明する。
【0010】[防振ゴム]本発明の複合体に使用する防
振ゴムは、ヨウ素価36以下の未架橋ゴム成分、二重結
合含有シランおよび有機過酸化物を含有するゴム組成物
を架橋してなる。ゴム成分としては、エチレン−プロピ
レンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジ
エン共重合体ゴム(EPDM)などのオレフィンゴム、
水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NB
R)等が使用できる。
【0011】本発明で使用するゴム成分はヨウ素価が3
6以下のものである。ヨウ素価が36を超えるゴム成分
を使用した場合、ポリアミドとの接着性が低下し複合体
としての耐久性に劣るものとなる。好ましいゴム成分の
ヨウ素価は特に28以下である。
【0012】EPDMに含まれる非共役ジエン成分は、
炭素数5〜20の非共役ジエンであり、例えば1,4−
ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサ
ジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよ
び1,4−オクタジエンや、例えば1,4−シクロヘキ
サジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン
などの環状ジエン、例えば5−エチリデン−2−ノルボ
ルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタ
リル−5−ノルボルネンおよび2−イソプロペニル−5
−ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネン等が挙げ
られる。上記ジエンの中では、ジクロロペンタジエン、
5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが好ましい。
【0013】H−NBRとは、ブタジエンとアクリロニ
トリルとを重合して得られるアクリロニトリル−ブタジ
エンゴム(NBR)に水素添加処理を施したものであ
る。上記ゴム成分の中でもEPDMが各種物性を充分に
満足するため、本発明において特に好ましく使用でき
る。
【0014】本発明で使用する二重結合含有シランとし
ては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリメト
キシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリエト
キシシランなどが挙げられる。これらは単独であるいは
2種以上を併用することができる。好ましい二重結合含
有シランは3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキ
シシランである。二重結合含有シランの配合量はゴム成
分100重量部に対して2〜10重量部である。配合量
が2重量部未満だと金属との接着性が不十分であり、ま
た10重量部を超える配合は物性が低下する傾向を示
し、また、コストの上昇につながる。好ましい配合量は
3〜6重量部である。
【0015】本発明において架橋に用いる有機過酸化物
としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−
ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパー
オキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−
ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチル
パーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパー
オキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ
サイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−
ジ−t−ブチルパーオキシバレレート等が挙げられる。
これらの中では、防振ゴムとして要求されるばね特性、
耐久性などの各種特性のバランスが良好な点から、ジク
ミルパーオキサイドが好ましい。
【0016】有機過酸化物の配合量はゴム成分100重
量部に対して1〜10重量部である。配合量が1重量部
未満だと架橋密度が低いため圧縮永久歪が大きくなり、
また接着性も低い。配合量が10重量部を超えると、架
橋密度が高くなり過ぎ接着性に劣り、耐久性も著しく低
下する。
【0017】本発明では上記成分のほか、従来よりゴム
用の添加剤として使用されている、カーボンブラックな
どの補強材、共架橋剤、架橋助剤、軟化剤、加工助剤、
老化防止剤、充填材等を配合することができる。
【0018】カーボンブラックの配合量は、ゴム成分を
100重量部として30重量部以上、好ましくは30〜
150重量部である。カーボンブラックの配合量が30
重量部未満だと練り加工性の悪化により分散性が低く満
足な耐久性が得られない。
【0019】本発明の防振ゴム組成物は、上記のゴム成
分と二重結合含有シラン、有機過酸化物およびその他の
添加剤を用いて常法により調製することができる。すな
わち、有機過酸化物を除いた各成分を予備混合した後、
80〜140℃で数分間混練する。その後、混練物にオ
ープンロール等のロール類を用いて有機過酸化物を追加
混合し、ロール温度40〜70℃で5〜30分間混練し
た後分出し、リボン状またはシート状のゴムを得ること
ができる。
【0020】[ポリアミド・防振ゴム複合体]本発明の
ポリアミド・防振ゴム複合体は、アルカリ処理してなる
ポリアミド上で接着剤を塗布することなく、直接上記の
ゴム組成物を加硫成形することにより得られる。ここ
で、アルカリ処理とは、ポリアミド表面をアルカリ洗浄
液により洗浄処理するか、あるいはアルカリ洗浄液と研
磨材とを用いてウェットブラスト処理するものである。
アルカリ洗浄液により洗浄する方法は、アルカリ洗浄液
に被着体とするポリアミドを浸漬、撹拌するか、超音波
洗浄、洗浄液の吹き付け、洗浄液を染込ませた布等によ
る拭き取り、あるいはこれらの処理を組み合わせて行な
うことができる。アルカリ洗浄液としては、例えばケイ
酸ソーダ、リン酸ソーダ、苛性ソーダ、炭酸ソーダなど
の水溶液が使用でき、界面活性剤などの他の添加剤を配
合することもできる。使用するアルカリ洗浄液のpHは
通常10〜14程度、濃度は通常0.3〜10重量%程度
である。アルカリ洗浄後は水洗をする。必要に応じて湯
洗あるいは蒸気浴により洗浄し、熱風等により乾燥す
る。
【0021】アルカリ洗浄液と研磨材とを用いてウェッ
トブラスト処理する方法は、上記のアルカリ洗浄液にシ
リカやアルミナなどの研磨材を混合した処理液を、被着
体とするポリアミド表面に高圧で吹き付けることにより
行なうことができる。ブラスト処理方法は特に限定され
ないが、強力なブラスト処理効果が得られる具体的な方
法として、タンク内で混合したアルカリ洗浄液と研磨材
を、ブラスト専用ポンプでプロセスガンに供給し、前記
プロセスガン内で圧縮空気により加速してポリアミド表
面に吹き付ける方法がある。ブラスト処理後は水洗をす
る。水洗後は上記と同様に湯洗あるいは蒸気浴により洗
浄し、熱風等により乾燥することができる。
【0022】本発明で使用するポリアミドは、酸アミド
(−CONH−)結合を繰り返し単位にもつ高分子化合
物であり、重合形式により、(1)ジアミンと二塩基酸
との重縮合によるもの、例えば、ヘキサメチレンジアミ
ン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、
2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチ
レンジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシ
ルメタン)、m−またはp−キシリレンジアミンのよう
な脂肪族、脂環族または芳香族のジアミンと、アジピン
酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸のような脂肪族、脂
環族または芳香族のジカルボン酸とから製造されるポリ
アミド、(2)アミノカルボン酸の重縮合によるもの、
例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカ
ン酸、12−アミノドデカン酸のようなアミノカルボン
酸から製造される結晶性または非結晶性のポリアミド、
(3)ラクタムの開環重合によるもの、例えば、ε−カ
プロラクタム、ω−ドデカラクタムのようなラクタムか
ら製造されるポリアミド等が挙げられる。本発明では上
記ポリアミドの他、共重合ポリアミド、ポリアミドの混
合物、あるいはこれらポリアミドと他の樹脂とのポリマ
ーブレンドが使用できる。
【0023】上記ポリアミドの具体例としては、ナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン61
2、ナイロン11、ナイロン12、芳香族ナイロン、非
晶質ナイロン等が挙げられるが、これらの中では、剛性
および耐熱性が特に良好なナイロン6およびナイロン6
6が好ましい。上記ポリアミドには、従来ポリアミドの
添加剤として知られているガラス繊維などを配合するこ
とができる。
【0024】アルカリ処理したポリアミドとゴム組成物
との接着は、二重結合含有シランおよび有機過酸化物を
含むゴム成分を前記ポリアミド上で接着剤を塗布するこ
となく加硫成形することによって達成される。具体的に
はアルカリ処理したポリアミド上に、好ましくは予備成
形したゴム組成物を圧縮成形、押出成形、トランスファ
ー成形、射出成形などにより押出して圧接し、その後加
熱して架橋させる。架橋温度は150〜180℃が好ま
しく、また架橋時間は3〜30分程度である。
【0025】このようにして得られた本発明のポリアミ
ド・防振ゴム複合体は、自動車用防振ゴムの複合構成部
材、具体的にはエンジンマウント、ボディマウント、キ
ャブマウント、メンバーマウント、ストラットバークッ
ション、センタベアリングサポート、トーショナルダン
パー、ステアリングラバーカップリング、テンションロ
ッドブッシュ、ブッシュ、バウンドストッパー、FFエ
ンジンロールストッパー、マフラーハンガー等の各種部
材に利用することができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は下記の記載により限定
されるものではない。なお、各実施例および比較例にお
いて、原料および添加剤としては以下のものを使用し
た。
【0027】(1)ゴム成分 (1)EPM:住友化学工業(株)製エスプレン201、
(2)EPDM(ヨウ素価:5):住友化学工業(株)製エ
スプレン567、(3)EPDM(ヨウ素価:12):住友
化学工業(株)製エスプレン512F、(4)EPDM(ヨ
ウ素価:24):住友化学工業(株)製エスプレン50
5、(5)EPDM(ヨウ素価:36):住友化学工業
(株)製エスプレン586、(6)H−NBR(ヨウ素価:
4):日本ゼオン(株)製ゼットポール2000L、(7)H−
NBR(ヨウ素価:11):日本ゼオン(株)製ゼットポ
ール2010L、(8)H−NBR(ヨウ素価:28):日本ゼ
オン(株)製ゼットポール2020L、(9)H−NBR(ヨウ
素価:56):日本ゼオン(株)製ゼットポール2030
L。
【0028】(2)シラン (1)二重結合含有シラン(3−メタクリルオキシプロピ
ル−トリメトキシシラン:信越化学工業(株)製KBM
503)、(2)その他シラン(γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン:信越化学工業(株)製KBE90
3)。
【0029】(3)有機過酸化物 パークミルD(ジクミルパーオキサイド:日本油脂
(株)製)。
【0030】(4)他の添加剤 (1)カーボンブラック(FEF):東海カーボン(株)
製シーストSO、(2)カーボンブラック(FT):旭カ
ーボン(株)製アサヒ#15、(3)軟化剤:パラフィン
オイル (4)加硫促進助剤:亜鉛華、ステアリン酸。
【0031】実施例1 有機過酸化物を除く各成分をバンバリーミキサーを用い
て120℃で5分間混練した。次いで、その混練物にオ
ープンロールを用いて有機過酸化物を追加混合し、50
℃で10分間混練した後分出し、シート状のゴム組成物
を調製した。なお、配合量はゴム成分によって表1に示
す割合で行なった。
【0032】
【表1】 EPM EPDM H−NBR (1)ゴム成分 100 100 100 (2)シラン 4 4 4 (3)有機過酸化物 2.8 2 4 (4)カーボンブラックFEF 60 45 − カーボンブラックFT − − 20 亜鉛華 5 5 5 パラフィンオイル 20 20 5 ステアリン酸 1 1 2 (重量部)
【0033】得られた配合ゴム組成物を後述のように成
形、架橋して試験片とし、これを用いて以下の方法で常
態特性(破断強度TB(MPa)、破断伸びEB(%)
および硬度HS)を測定した。またアルカリ洗浄処理を
行なったポリアミドとの接着性(接着力および破壊モー
ド)、および溶剤脱脂処理を行なったポリアミドとの接
着性(接着力および破壊モード)を測定評価した。結果
を表2に併せて示す。物性は以下に記載の方法により測
定した。
【0034】1)常態特性 170℃で20分間架橋してなる試験片をダンベル型
(JIS K6301)に成形した後、JIS K6301に記載の方法に
従い、破断強度TB(MPa)および破断伸びEB
(%)を測定した。また、硬度HSについてはJIS K630
1に記載の方法に準じて測定した。
【0035】2)ポリアミドの表面処理 アルカリ洗浄処理は、ケイ酸ソーダ1.5重量%、リン酸
ソーダ1.0重量%および界面活性剤を含有する水溶液
(アルカリ処理液)にポリアミド(60×25×4m
m)を80℃で10分間浸漬した後、水洗(40℃,2
分間)および湯洗(80℃,1分間)し、熱風で乾燥す
ることにより行なう。また、溶剤脱脂処理は、トルエン
で湿らせた布によりポリアミド(60×25×4mm)
の表面を拭き取ることにより行なう。
【0036】3)接着性 上記の処理をしたポリアミド板の両端17.5mmにテフロ
ンテープを貼り付け被着面に配合ゴム組成物を接触させ
た後、油圧プレスを用いて170℃で30分間加熱して
架橋を行ない接着させる。次いでテフロンテープにより
接着していない部分を用いて金属板を水平に固定し、ゴ
ムを上方に50mm/分の速度で引っ張り、破断させ
る。破断したときの荷重を接着力(N/mm)とし、また
破断面の状態(破壊モード)を測定・評価した。なお、
表中、破壊モードの欄で“RXおよびPY”(Xおよび
Yは0〜100の数字)は、ゴム部分においてX%破断
し、ポリアミドとゴムの界面部分においてY%破断した
ことを意味し、例えば“R100”とはゴム部分におい
て100%破断したことを意味する。
【0037】
【0038】表2から明らかなように、いずれの試料に
おいてもポリアミド表面を溶剤脱脂したものに比べてア
ルカリ洗浄することにより、その接着性が向上してい
る。特にヨウ素価の高いゴム成分を使用した場合には、
溶剤脱脂したポリアミドとの接着性が低下するが(比較
試料1)、アルカリ洗浄を行なうことによりゴム組成物
との接着性は向上することが分かる(試料1〜8)。ま
たヨウ素価が36のもの(試料5)は、破壊状態はR9
5%、P5%であるが、ヨウ素価が28以下のものはR
100%であり、ヨウ素価は特に28以下が好ましいこ
とが分かる。
【0039】実施例2 配合するシランの種類および量を表4に示す通りとした
他は、実施例1の試料3(EPDMのヨウ素価が12の
もの)と同組成のゴム組成物を使用し、常態物性および
アルカリ洗浄したポリアミドに対する接着性を測定・評
価した。結果を表3に併せて示す。
【0040】
【0041】表3から明らかなように、二重結合含有シ
ランを配合することにより接着性が向上することが分か
る。試料1から二重結合含有シランを除いたゴム組成物
を用い、ポリアミド表面に接着剤を塗布し接着して得ら
れる従来法によるポリアミド・防振ゴム複合体の接着力
は12.3N/mm、破壊状態はR100であり、本発明に
よる複合体の接着性は従来法によるものと同等あるいは
それ以上あることから、強固な接着性の要求されるポリ
アミド・防振ゴム複合体として実用上十分な性能を有し
ていることが分かる。
【0042】実施例3 ポリアミドとして表面をアルカリ洗浄液によるウェット
ブラスト処理したものを使用し、実施例1の試料3のゴ
ム組成物との接着性を評価した。ウェットブラスト処理
は以下に示す操作により行なった。結果を実施例1のア
ルカリ洗浄と溶剤処理との接着性データと併せて表4に
示す。 ウェットブラスト処理:ケイ酸ソーダを1.5重量%、リ
ン酸ソーダを1.0重量%、および界面活性剤を含有する
水溶液(アルカリ洗浄液)とアルミナ(研磨材:平均粒
径20μm)をタンク内で混合してなる処理液を、ブラ
スト専用ポンプでプロセスガンに供給し、前記プロセス
ガン内で圧縮空気により加速してポリアミド板(60×
25×4mm)表面に10分間吹き付けた。その後、水
洗(25℃,2分間)および湯洗(80℃,1分間)
し、熱風で乾燥した。
【0043】
【0044】表4から明らかなように、表面処理をして
いない場合、あるいは溶剤脱脂のみを行なった場合は、
接着性に劣り防振ゴムとしては使用できない。表面をア
ルカリ処理をするか、アルカリ洗浄液によるウェットブ
ラスト処理をすることによりゴム破壊が100%とな
り、防振ゴムとして十分な接着力が得られることがわか
る。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアミドとゴムとの
接着性、耐久性、耐油性等に優れたポリアミド・防振ゴ
ム複合体を、接着剤を塗布する繁雑な工程を要せずに容
易に製造できる。本発明のポリアミド・防振ゴム複合体
は、従来の金属・防振ゴム複合体に代わる軽量の複合体
として自動車用部品として有用であり、自動車の軽量化
および燃費の向上に寄与する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヨウ素価36以下の未架橋ゴム成分、二
    重結合含有シランおよび有機過酸化物を含有するゴム組
    成物を、アルカリ処理したポリアミド上で加硫成形して
    なるポリアミド・防振ゴム複合体。
  2. 【請求項2】 ヨウ素価36以下の未架橋ゴム成分が、
    エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPD
    M)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)または水素
    添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)
    である請求項1に記載のポリアミド・防振ゴム複合体。
  3. 【請求項3】 未架橋ゴム成分100重量部に対して、
    二重結合含有シラン2〜10重量部、有機過酸化物1〜
    10重量部を含有するゴム組成物を使用する請求項1ま
    たは2に記載のポリアミド・防振ゴム複合体。
  4. 【請求項4】 二重結合含有シランが、ビニルトリメト
    キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリ
    ス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリルオ
    キシプロピル−トリメトキシシランおよび3−メタクリ
    ルオキシプロピル−トリエトキシシランから選ばれる1
    種以上である請求項1乃至3のいずれかに記載のポリア
    ミド・防振ゴム複合体。
  5. 【請求項5】 有機過酸化物がジクミルパーオキサイド
    である請求項1乃至3のいずれかに記載のポリアミド・
    防振ゴム複合体。
  6. 【請求項6】 アルカリ洗浄液により洗浄処理するか、
    あるいはアルカリ洗浄液と研磨材とを用いてウェットブ
    ラスト処理したポリアミド上で、接着剤を塗布すること
    なく未架橋ゴム成分、二重結合含有シランおよび有機過
    酸化物を含有するゴム組成物を加硫成形することを特徴
    とするポリアミド・防振ゴム複合体の製造方法。
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Cited By (3)

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