JPH10237225A - 防振ゴム組成物、防振ゴムおよびポリアミド・防振ゴム複合体 - Google Patents

防振ゴム組成物、防振ゴムおよびポリアミド・防振ゴム複合体

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JPH10237225A
JPH10237225A JP4057897A JP4057897A JPH10237225A JP H10237225 A JPH10237225 A JP H10237225A JP 4057897 A JP4057897 A JP 4057897A JP 4057897 A JP4057897 A JP 4057897A JP H10237225 A JPH10237225 A JP H10237225A
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JP
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vibration
rubber
polyamide
rubber composition
weight
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JP4057897A
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Takehiko Taguchi
武彦 田口
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 数平均分子量20万以上、粘度(ML1+4
21℃)120以上のEPDMと、DBP吸油量120
ml/100g以上のカーボンブラック、二重結合含有
シランおよび有機過酸化物とを含有する防振ゴム組成
物、その組成から得られる防振ゴム物、および防振ゴム
組成物をポリアミド上をポリアミド上で加硫成形してな
るポリアミド・防振ゴム複合体。 【効果】 本発明の防振ゴム組成物はポリアミドとの接
着力に優れ、接着剤を使用せずに成形の際にポリアミド
とゴムとが強固に接合した複合体を得ることができる。
本発明のポリアミド・防振ゴム複合体は、容易に製造で
き、従来の金属・防振ゴム複合体に代わる軽量の複合体
として自動車向けに利用することができ、自動車の軽量
化および燃費の向上に寄与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミドに対し
て接着性の良好な防振ゴム組成物に関する。さらに詳し
くいえば、金属材料・防振ゴム複合体に代えて樹脂・防
振ゴム複合体の使用を可能とする自動車向け等に有用な
防振ゴム組成物、その組成物から得られる防振ゴムおよ
びポリアミド・防振ゴム複合体に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】自動車のエンジン等を搭載す
る際に使用される防振ゴムには、エンジンの振動および
それに伴う騒音を軽減する防振性能、エンジンの発生熱
に対する耐熱性およびエンジンを機械的に支える支持性
能(強度)に加えて防振ゴムの支持材となる金属材料等
との接着性が要求される。防振性能の点からは、ゴムは
一般的に軟らかい程よいが、軟らかすぎると搭載物の重
量で撓んでその支持位置が変化し、支持物を含む構成体
全体の基本的な性能に悪い影響を及ぼすことになる。具
体的には、防振性能は振動を伝達する振動状態のばね定
数(動ばね定数)が小さいほどよく、一方支持性能(強
度)は支持剛性を示す静ばね定数が大きいもの程よく、
従って、動ばね定数と静ばね定数との比、すなわち動倍
率(動ばね定数/静ばね定数)の値の小さいゴムほど防
振ゴムとしてすぐれているといえる。
【0003】一方、防振ゴムの支持材としてはこれまで
金属材料からなる支持材に防振ゴムを加硫接着した金属
材料・防振ゴム複合体として使用されているが、金属支
持材料を樹脂材料に代えることにより防振ゴム複合体を
軽量化し、加工工程を見直して、さらに製造コストの低
減化を図る動きが進んでいる。樹脂・防振ゴム複合体
は、通常(1) 予め成形された樹脂部材に接着剤を塗布
し、ゴムの成形加硫時に接着を行なう方法、あるいは
(2) 予め加硫したゴムに接着剤を塗布し、樹脂成形時に
接着を行なう方法など、接着剤を使用する方法により製
造されている。この方法により得られる複合体は十分な
接着性能、信頼性等を有しているが、溶剤を伴う接着剤
を使用するため作業環境の管理上に問題を有している。
これらの問題を解決するために接着剤を使用しないでゴ
ムと樹脂とを接合する複合化方法が提案されている。
【0004】例えば、欧州特許出願公開第0196407号お
よび同第0315749号にはポリフェニレンエーテル(PP
E)をベースとする成形材料と硫黄あるいは過酸化物で
加硫可能なゴムとを接着剤を使用せずに複合化する方法
が開示されている。しかし、PPEは耐油性が劣るため
自動車部品、特に自動車用の防振ゴムに用いるのは困難
であり、またPPEは溶融粘度が高く加工性が悪いとい
う問題もある。
【0005】欧州特許出願公開第0344427号には樹脂と
して耐油(溶剤)性、耐熱性に優れたポリアミド(P
A)ベース熱可塑性樹脂とカルボキシル基を含有するゴ
ムとの結合方法が開示されているが、使用するゴムがカ
ルボキシル基を含有する特殊なものであり、防振特性や
耐久性にも問題があるため、防振ゴムとしての使用は困
難である。
【0006】さらに、特開平7-11013号公報には、ポリ
アミドを30重量%以上含有する材料と、二重結合含有
シランを含有し過酸化物で加硫されるゴム組成物とを複
合化する方法が開示されている。この方法によれば、過
酸化物加硫のみで、各種のゴム、すなわち、EP(D)
Mゴム、SBゴム、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム
(NR)、イソブテン−イソプレンゴム(IIR)、ニ
トリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ス
チレン含有ブロックコポリマー、ポリアルケニレン等を
ベースゴムとする組成物とポリアミド材料との接着が可
能であり、得られる複合体は、パッキン、モータ、電動
工具のケーシング、タイヤ、緩衝器、防音・防振材等に
使用できる旨記載されている。しかしながら、そこに具
体的に開示されている複合体は、耐久性が不十分であ
り、エンジン支持用の耐熱性防振ゴム等の用途には使用
困難である。
【0007】従って、本発明の目的は、樹脂・防振ゴム
複合体における上記の問題を解消し、耐油性、耐久性に
優れ自動車用防振ゴムの支持体として使用可能であり、
接着剤を使用することなく樹脂との接合ができる防振ゴ
ム組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、
上記ゴム組成物を用いた防振ゴム、並びに自動車用部品
として用いることのできる樹脂・防振ゴム複合体を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ベースゴ
ムとして高分子量のエチレン−プロピレン−非共役ジエ
ン共重合体を使用し、これに二重結合含有シランおよび
有機過酸化物を含有せしめ、さらにDBP吸油量が特定
の値のカーボンブラックを配合したゴム組成物が防振ゴ
ムとしての優れた特性を示すこと、またこの組成物はポ
リアミドとの接着性が極めて良好であることを見出し本
発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は以下の防振ゴム組成
物、防振ゴムおよびポリアミド・防振ゴム複合体を提供
するものである。 1)数平均分子量20万以上、粘度(ML1+4 121
℃)120以上のエチレン−プロピレン−非共役ジエン
共重合体(EPDM)、DBP吸油量120ml/10
0g以上のカーボンブラック、二重結合含有シランおよ
び有機過酸化物を含有することを特徴とする防振ゴム組
成物。 2)前記エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体
(EPDM)100重量部に対して、カーボンブラック
30重量部以上、二重結合含有シラン2〜6重量部、有
機過酸化物2〜8重量部を含有する前記1に記載の防振
ゴム組成物。 3)前記カーボンブラックのDBP吸油量が140ml
/100g以上である前記1〜2の防振ゴム組成物。 4)前記二重結合含有シランが、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2
−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプ
ロピル−トリメトキシシランおよび3−メタクリルオキ
シプロピル−トリエトキシシランから選ばれる1種以上
である前記1〜2の防振ゴム組成物。 5)前記有機過酸化物がジクミルパーオキサイドである
前記1〜2の防振ゴム組成物。 6)前記1〜5に記載の防振ゴム組成物を加硫成形して
なる防振ゴム。 7)前記1〜5に記載の防振ゴム組成物をポリアミド上
で加硫成形してなるポリアミド・防振ゴム複合体。 以下、本発明の防振ゴム組成物、防振ゴムおよびポリア
ミド・防振ゴム複合体について詳しく説明する。
【0010】
【防振ゴム組成物】
(1)エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体
(EPDM) 本発明では組成物のゴム成分として、数平均分子量が2
0万以上、粘度(ML1+4 121℃)が120以上の高
分子量のエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体
(EPDM)を使用する。分子量が20万未満であり、
またポリマー粘度が120未満である場合には強度や耐
久性に劣り、動倍率も高くなって防振特性も低下する。
分子量は30万以上が好ましく、ポリマー粘度は180
以上が好ましい。
【0011】EPDM中のエチレン含有量は60〜80
モル%が好ましい。エチレン含量が60モル%を下回る
ものは加工性に難点がある。EPDMに含まれる非共役
ジエン成分としては、炭素数5〜20の非共役ジエンで
あり、例えば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジ
エン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,
5−ヘキサジエンおよび1,4−オクタジエンや、例え
ば1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、
ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン、例えば5−エ
チリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノ
ルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネンおよび2
−イソプロペニル−5−ノルボルネンなどのアルケニル
ノルボルネン等が挙げられる。上記ジエンの中では、ジ
クロロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ンなどが好ましい。
【0012】(2)カーボンブラック 本発明組成物においては、EPDM中への分散性のよい
特定のカーボンブラックを配合して防振特性や耐久性を
向上させる。カーボンブラックとしてはストラクチャー
の発達した、ジブチルフタレート(DBP)吸油量(JI
S K6221)の大きなものを使用する。具体的にはDBP
吸油量が120ml/100g以上、好ましくは140
ml/100g以上のものを用いる。すなわち、本発明
では使用するEPDMの分子量は20万以上と高く、練
り加工性に劣るため、カーボンブラックの分散性は低下
する傾向にあり、またEPDMはカーボンブラックとの
親和性が低いため耐久性向上効果が不十分となりやす
い。そこでカーボンブラックとしてDBP吸油量が高い
ものを用いることによりEPDM中への分散性を向上さ
せて、耐久性等を向上させる。DBP吸油量が低いもの
では前記のように分散が不十分となり耐久性の向上効果
が望めない。
【0013】カーボンブラックは平均粒径26〜200
nmのものが使用でき、具体的には、HAF(High Abr
ation Furnace;平均粒子径26〜30nm)、FEF
(Fast Extruding Furnace;平均粒子径40〜48n
m)、GPF(General PurposeFurnace;平均粒子径4
9〜60nm)、SRF(Semi Reinforcing Furnace;
平均粒子径61〜100nm)が挙げられる。
【0014】カーボンブラックの配合量は、EPDMを
100重量部として30重量部以上、好ましくは30〜
150重量部である。カーボンブラックの配合量が30
重量部未満だと練り加工性の悪化により分散性が低く満
足な耐久性が得られない。
【0015】(3)二重結合含有シラン 本発明ではポリアミドとの接着性の向上を目的としてゴ
ム組成物に二重結合含有シランを配合する。二重結合含
有シランとしては、例えばビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メト
キシエトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピル
−トリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル
−トリエトキシシランなどが挙げられ、これらは単独で
あるいは2種以上を利用することができる。好ましい二
重結合含有シランは3−メタクリルオキシプロピル−ト
リメトキシシランである。二重結合含有シランの配合量
はEPDM100重量部に対して2〜6重量部である。
配合量が2重量部未満だとポリアミドとの接着性が不十
分であり、また6重量部を超える配合は物性が低下傾向
を示し、また、コストの上昇につながる。好ましい配合
量は3〜5重量部である。
【0016】(4)有機過酸化物 本発明において、架橋に用いる有機過酸化物としては、
例えばベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミ
ルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパ
ーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキ
シ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベ
ンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、
1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ−t−
ブチルパーオキシバレレート等が挙げられる。これらの
中では、防振ゴムとして要求されるばね特性、耐久性な
どの各種特性のバランスが良好となる点から、ジクミル
パーオキサイドが好ましい。
【0017】有機過酸化物の配合量はEPDM100重
量部に対して2〜8重量部である。配合量が2重量部未
満だと架橋密度が低いため圧縮永久歪が大きくなり、ま
た接着性も低い。配合量が8重量部を超えると、架橋密
度が高くなり過ぎ接着性に劣り、耐久性も著しく低下す
る。
【0018】(5)添加剤 本発明のゴム組成物には上記成分のほか、従来よりゴム
用の添加剤として使用されている、補強材、共架橋剤、
架橋助剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤、充填材等を
配合することができる。
【0019】共架橋剤は過酸化物架橋において、ポリマ
ーのラジカル切断を抑制し架橋効果を向上させるための
添加剤であり、EPDM100重量部に対し3〜10重
量部程度用いることができる。共架橋剤の例としては、
テトラヒドロフルフリルメタクリレート、エチレンジメ
タクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、
1,4−メチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジ
メタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2,
2′−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)
プロパン、2,2′−ビス(4−アクリロキシジエトキ
シフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリア
クリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート、3−クロ
ロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、オリゴエ
ステルアクリレート、アルミニウム(メタ)アクリレー
ト、ジンク(メタ)アクリレート、マグネシウム(メ
タ)アクリレート、カルシウム(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリレート類、トリアリルイソシアヌレー
ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテー
ト、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート等の
アリル化合物、ジビニルベンゼン、2−ビニルピリジ
ン、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、p−キノ
ンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシ
ム、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、硫黄
等が挙げられる。
【0020】軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑
油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、
ワセリン等の石油系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタ
ネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜
ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類;リノー
ル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等が挙
げらる。その配合量は液状エチレン−プロピレンゴムと
の総量でEPDM100重量部に対して40重量部程度
まで用いられる。
【0021】老化防止剤(劣化防止剤)としては、フェ
ノール系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、ワッ
クス等が挙げられ、EPDM100重量部に対して0.5
〜10重量部程度配合することができる。
【0022】充填剤としては、炭酸カルシウム、クレ
ー、タルク等が挙げられ、EPDM100重量部に対し
て150重量部程度まで配合することができる。以上の
添加剤の他にも従来より知られている慣用の配合剤を用
いることもできる。
【0023】本発明の防振ゴム組成物は、上記のEPD
Mとカーボンブラック、二重結合含有シラン、有機過酸
化物その他の添加剤を用いて常法により調製することが
できる。すなわち、有機過酸化物を除いた各成分を予備
混合した後、80〜140℃で数分間混練する。その
後、混練物にオープンロール等のロール類を用いて有機
過酸化物を追加混合し、ロール温度40〜70℃で5〜
30分間混練した後分出し、リボン状またはシート状の
ゴムを得ることができる。
【0024】
【ポリアミド・防振ゴム複合体】本発明の防振ゴム組成
物はポリアミドと良好な接着を示すので、本発明に係る
ポリアミド・防振ゴム複合体を製造することができる。
ポリアミドとは、酸アミド(−CONH−)結合を繰り
返し単位にもつ高分子化合物であり、重合形式により、
(1)ジアミンと二塩基酸との重縮合によるもの、例え
ば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、
ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,
4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−また
は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス
(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−
キシリレンジアミンのような脂肪族、脂環族または芳香
族のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸のような脂肪族、脂環族または芳香族のジカル
ボン酸とから製造されるポリアミド、(2)アミノカル
ボン酸の重縮合によるもの、例えば、6−アミノカプロ
ン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカ
ン酸のようなアミノカルボン酸から製造される結晶性ま
たは非結晶性のポリアミド、(3)ラクタムの開環重合
によるもの、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ドデカ
ラクタムのようなラクタムから製造されるポリアミド等
が挙げられる。本発明では上記ポリアミドの他、共重合
ポリアミド、ポリアミドの混合物、あるいはこれらポリ
アミドと他の樹脂とのポリマーブレンドが使用できる。
【0025】上記ポリアミドの具体例としては、ナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン61
2、ナイロン11、ナイロン12、芳香族ナイロン、非
晶質ナイロン等が挙げられるが、これらの中では、剛性
および耐熱性が特に良好なナイロン6およびナイロン6
6が好ましい。上記ポリアミドには、従来ポリアミドの
添加剤として知られているガラス繊維などを配合するこ
とができる。
【0026】ポリアミドと防振ゴム組成物との接着は、
一段階または二段階で成形加工する際に、二重結合含有
シランを含むゴム成分とポリアミドを共架橋することに
よって達成される。一段階で共架橋する場合は、例えば
二色射出成形法などにより、ポリアミドと防振ゴム組成
物の両方の溶融物を同じ金型内に誘導した後、加熱して
架橋させる。また、二段階で共架橋する場合には、例え
ば予めポリアミドを成形しておき、その成形体上に好ま
しくは予備成形した防振ゴム組成物を圧縮成形、押出成
形、トランスファー成形、射出成形などにより押出して
圧接し、その後加熱して架橋させる。いずれの場合に
も、架橋温度は150〜180℃が好ましく、また架橋
時間は3〜30分程度である。
【0027】このようにして得られた本発明のポリアミ
ド・防振ゴム複合体は、自動車用防振ゴムの複合構成部
材、具体的にはエンジンマウントを始めとして、ボディ
マウント、キャブマウント、メンバーマウント、ストラ
ットバークッション、センタベアリングサポート、トー
ショナルダンパー、ステアリングラバーカップリング、
テンションロッドブッシュ、ブッシュ、バウンドストッ
パー、FFエンジンロールストッパー、マフラーハンガ
ー等の各種部材に利用することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は下記の記載により限定
されるものではない。なお、各実施例および比較例にお
いて、原料および添加剤としては、以下のものを使用し
た。
【0029】(1)EPDM (1)EPDM1:重量平均分子量38万,粘度(ML
1+4 121℃)215,住友化学(株)製エスプレン60
1、 (2)EPDM2:重量平均分子量28万,粘度(ML
1+4 121℃)165,住友化学(株)製エスプレン60
6、 (3)EPDM3:重量平均分子量18万,粘度(ML
1+4 121℃)100,住友化学(株)製エスプレン55
3。
【0030】(2)カーボンブラック(CB) (1)FEF1:DBP吸油量115ml/100g,平
均粒径43nm,東海カーボン(株)製シーストSO、 (2)FEF2:DBP吸油量137ml/100g,平
均粒径42nm,旭カーボン(株)製アサヒ#66、 (3)FEF3:DBP吸油量160ml/100g,平
均粒径70nm,試作カーボンブラック、 (4)FEF4:DBP吸油量180ml/100g,平
均粒径38nm,旭カーボン(株)製アサヒF200。
【0031】(3)シラン (1)二重結合含有シラン(3−メタクリルオキシプロピ
ル−トリメトキシシラン:信越シリコーン(株)製KBM
503)、 (2)その他シラン(γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン:信越シリコーン(株)製KBE903)。
【0032】(4)有機過酸化物 (1)パークミルD(ジクミルパーオキサイド:日本油脂
(株)製)、 (2)パーヘキサ3M(1,1−ジ−t−ブチルパーオキ
シ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン:日本油脂
(株)製)、 (3)ペロキシモンF(ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイ
ソプロピルベンゼン:日本油脂(株)製)。
【0033】(5)他の添加剤 架橋助剤:亜鉛華(ZnO)、 軟化剤:パラフィンオイルおよびステアリン酸、 老化防止剤:2−メルカプトベンズイミダゾール(M
B)および2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロ
キノリン重合体(RD)。
【0034】実施例1〜7および比較例1〜7 有機過酸化物および架橋助剤(亜鉛華)を除く各成分を
表1〜3に示す割合でバンバリーミキサーを用いて12
0℃で5分間混練した。次いで、その混練物にオープン
ロールを用いて有機過酸化物および架橋助剤(亜鉛華)
を追加混合し、50℃で10分間混練した後分出し、シ
ート状のゴム組成物を調製した。
【0035】
【表1】
【0036】得られた配合ゴム組成物を後述のように成
形、架橋して試験片とし、これを用いて以下の方法で常
態特性(破断強度TB(MPa)、破断伸びEB(%)
および硬度HS)、圧縮永久歪、耐久性および動特性を
測定した。またポリアミドとの接着性(接着力および破
壊モード)測定評価した。結果を表2〜3に併せて示
す。物性は以下に記載の方法により測定した。
【0037】1)常態特性 170℃で20分間架橋してなる試験片をダンベル型
(JIS K6301)に成形した後、JIS K6301に記載の方法に
従い、破断強度TB(MPa)および破断伸びEB
(%)を測定した。また、硬度HSについてはJIS K630
1に記載の方法に準じて測定した。
【0038】2)圧縮永久歪 配合ゴム組成物を170℃で30分加熱することにより
架橋した試験片に荷重を負荷し、120℃で70時間維
持した後、荷重を取り去り室温に戻してから変形量(圧
縮永久歪)を測定した。なお、試験片の大きさや形状お
よび変位量(圧縮率)はJIS K6301によった。
【0039】3)耐久性 配合ゴム組成物を170℃で30分間加熱することによ
り架橋した試験片を図1および図2(図1のII−II断面
図)に示す測定用部材に組み込み、その耐久性を測定評
価した。測定用部材は、外径81mm、高さ49mmの
薄肉円筒金具(1)の内孔内に、外径10mm、高さ7
0mmの厚肉円筒金具(2)が前記薄肉円筒金具(1)
の軸心に位置するように配置されると共に、それら両円
筒金具(1,2)が試験片(3)にて一体的に連結せし
めてなる構造を有し、前記試験片(3)は、長さL1
38mm、両円筒金具(1,2)を連結する部位の幅L
2が22mm、厚肉円筒金具(2)に固着せしめる部位
の幅L3が36mmとなるように構成した。この測定用
部材を用い、図2において矢印で示される方向に、初期
±14mmの変位相当の荷重で、3Hzの周波数により
一定加振を行ない、試験片(3)が破断に至るまでの加
振回数を調べた。そしてこの破断時の加振回数(破断回
数)をもって、各防振ゴムの耐久性を評価した。
【0040】4)動特性 配合ゴム組成物を170℃で30分間加熱することによ
り架橋した直径50mm、高さ25mmの円柱体形状の
試験片を作製し、その上面および下面に直径60mm厚
さ6mmの円形金具をそれぞれ取り付け、静ばね定数
(Ks)、動ばね定数(Kd100)を測定し、動倍率
(Kd100/Ks)を求めた。静ばね定数は、上記の円
柱体形状の試験片を円柱の軸方向に7mm圧縮し、2回
目の往きの荷重撓み曲線から1.5mmと3.5mmの撓み時
の荷重を読み取り計算した。動ばね定数は、試験片を軸
方向に2.5mm圧縮し、この2.5mm圧縮の位置を中心
に、下方から100Hzの周波数により振幅±0.05mm
の定変位調和振動を加え、試験片上方に取り付けたロー
ドセルにて動的荷重を測定し、JIS K6394に準拠して計
算した。動倍率はこれらの値の比である。
【0041】5)接着性 配合ゴム組成物を直径40mm、高さ15mmの円柱体
形状の試験片に成形し、その上面および下面に直径40
mmの円柱体形状のポリアミド(PA66,宇部興産
(株)製)をそれぞれ貼りあわせ、170℃で30分間加
熱して架橋を行ない接着させる。次いで上部のポリアミ
ドの上面と下部のポリアミドの下面とに円形金具をそれ
ぞれ取り付けた後、下金具を固定し、上金具を上方に5
0mm/分の速度で引っ張り、破断させる。破断したと
きの荷重を接着力(kgf/cm2)とし、また破断面の状態
(破壊モード)を測定・評価した。なお、表中、破壊モ
ードの欄で“RXおよびPY”(XおよびYは0〜10
0の数字)は、ゴム部分においてX%破断し、ポリアミ
ド部分においてY%破断したことを意味し、例えば“R
100”とはゴム組成物部分において100%破断した
ことを意味する。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】表2〜3に示す通り、EPDMとして分子
量および粘度の低いものを使用した場合(比較例2)は
強度や耐久性、防振特性に劣り、カーボンブラックとし
てDBP吸油量115ml/100gのものを使用した
場合(比較例1)には耐久性や防振特性に劣る。またシ
ランを配合しないか、あるいは二重結合含有シランでは
ないその他のシランを配合した場合には(比較例3〜
4)ポリアミドと接着しない。それらに対して本発明の
組成物(実施例1〜7)は耐久性、防振特性に優れポリ
アミドとの接着性も良好であることがわかる。特に実施
例1〜3と比較例1、実施例4〜5と比較例2、実施例
1と比較例3〜4などの比較により本発明組成物が優れ
た効果を有することが分かる。
【0045】
【発明の効果】本発明の防振ゴム組成物はポリアミドと
の接着力に優れており、接着剤を使用することなく成形
の際に共架橋により接着してポリアミド・防振ゴム複合
体とすることができる。本発明のポリアミド・防振ゴム
複合体は、容易に製造でき、従来の金属・防振ゴム複合
体に代わる軽量の複合体として自動車向けに利用するこ
とができ、自動車の軽量化および燃費の向上に寄与す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 防振ゴムの耐久性試験用試料の縦断面図であ
る。
【図2】 図1におけるII−II断面図である。
【符号の説明】
1 薄肉円筒金具 2 厚肉円筒金具 3 ゴム

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量20万以上、粘度(ML
    1+4 121℃)120以上のエチレン−プロピレン−非
    共役ジエン共重合体(EPDM)、DBP吸油量120
    ml/100g以上のカーボンブラック、二重結合含有
    シランおよび有機過酸化物を含有することを特徴とする
    防振ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 前記エチレン−プロピレン−非共役ジエ
    ン共重合体(EPDM)100重量部に対して、カーボ
    ンブラック30重量部以上、二重結合含有シラン2〜6
    重量部、有機過酸化物2〜8重量部を含有する請求項1
    に記載の防振ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 前記カーボンブラックのDBP吸油量が
    140ml/100g以上である請求項1または2に記
    載の防振ゴム組成物。
  4. 【請求項4】 前記二重結合含有シランが、ビニルトリ
    メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−
    トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリ
    ルオキシプロピル−トリメトキシシランおよび3−メタ
    クリルオキシプロピル−トリエトキシシランから選ばれ
    る1種以上である請求項1または2に記載の防振ゴム組
    成物。
  5. 【請求項5】 前記有機過酸化物がジクミルパーオキサ
    イドである請求項1または2に記載の防振ゴム組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかの項に記載の
    防振ゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかの項に記載の
    防振ゴム組成物をポリアミド上で加硫成形してなるポリ
    アミド・防振ゴム複合体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015012018A1 (ja) * 2013-07-25 2015-01-29 Nok株式会社 トーショナルダンパー用epdm組成物
JP2018501344A (ja) * 2014-12-05 2018-01-18 アランセオ・ネザーランズ・ベー・フェー 加硫可能なゴム組成物

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