JPH11204876A - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

Info

Publication number
JPH11204876A
JPH11204876A JP265198A JP265198A JPH11204876A JP H11204876 A JPH11204876 A JP H11204876A JP 265198 A JP265198 A JP 265198A JP 265198 A JP265198 A JP 265198A JP H11204876 A JPH11204876 A JP H11204876A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
refractive index
light emitting
index difference
emitting device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP265198A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiyasu Yoshihara
由容 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP265198A priority Critical patent/JPH11204876A/ja
Publication of JPH11204876A publication Critical patent/JPH11204876A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】レーザ光の出射対象である記録媒体に対する情
報の書き込みと読み取りの双方に適合した横方向発散角
を得る。 【解決手段】半導体基板2上に第1のクラッド層4、活
性層6、第2のクラッド層8を順に積層させてなる光導
波路を有し、動作電流Iopの流入経路を制限する電流狭
窄層10を第2のクラッド層側に設け、かつ動作電流I
opの分布に対応した光導波路部分に活性層6と平行な面
内で屈折率差Δn0 を設ける。動作電流値を変えたとき
に生じる出射光の活性層6に平行な面内での発散角θ//
の変化が当該発光素子1の出射対象である記録媒体の書
き込みと読み出しの双方に適合した範囲を含むように、
屈折率差Δn0 の値が設定されている。この発散角θ//
は、好ましくは、動作電流Iopを徐々に増大させたとき
に、最初に読み出し時に最適な値をとり、次に書き込み
時に最適な値をとるように減少する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性層を2つのク
ラッド層で挟んだ光導波構造を有し、当該光導波構造の
横方向に屈折率分布をもたせることによって光を閉じ込
める屈折率導波型半導体レーザ等の半導体発光素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】屈折率導波型の半導体レーザ素子は、一
般に、n型半導体基板上にn型クラッド層,活性層,p
型クラッド層を積層させてダブルヘテロ構造の光導波路
を形成し、p型クラッド層内又は上方に横モードを制御
するストライプ構造(ストライプ形電流狭窄層)を設け
ることによって利得領域を中央に局在させた構成を有す
る。この中央に局在する利得領域を中心とした領域が、
p型クラッド層および電流狭窄層等の厚さや位置関係に
よって活性層の厚み方向のみならず平行面内においても
屈折率が高い領域となっている。そして、この利得領域
上方に設けたpメタル層(アノード電極)から、基板裏
面側に設けたnメタル層(カソード電極)に動作電流を
流して、利得領域内の活性層を中心にレーザ光を励起さ
せて当該高利得領域に閉じ込めて発振させ、一方端面か
ら誘導放出させる。
【0003】一方、繰り返し書き込み可能な(録再用)
光ディスク装置に用いられる高出力半導体レーザ素子
は、通常、光学ピックアップ内に搭載された状態で用い
られる。書き込み時に、半導体レーザ素子からのレーザ
光を回折限界に絞ってパワー密度を高めた後に光ディス
クに照射し、これにより光ディスク面の磁性又は光学的
性質を変化させてピット列を形成してデータを記録す
る。また、再生時には、レーザ光のパワー密度を記録時
より充分に小さくして光ディスクに変化を与えないよう
にし、かつ回折限界に絞ってディスク上のピット列に照
射し、ディスクにおいて反射又は透過した光をフォトダ
イオード等で受光し、光電変換して記録信号を読み取
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来の録再用光デ
ィスク装置に用いられる半導体レーザ素子は、そのビー
ム形状がガウシアン分布に近い形をしており、ディスク
上のピット列として記録された信号を読み取る際、ビー
ムの絞り易さと読み取り時のS/N比向上の両面からビ
ーム形状の中心付近を使用するのが望ましい。そのた
め、読み取り時に半導体レーザ素子から出射される発光
ビームは、その発散角がなるべく広いものがよい。一
方、書き込み時には、半導体レーザ素子はディスク面の
磁性膜(或いは光学膜)をある一定温度以上に昇温する
熱源として用いられる。このため一定のパワー密度でデ
ィスク面に照射する必要があり、このとき、素子出射光
量に対する光学レンズ等の光学系への入射光量比(カッ
プリング効率)が問題となる。カップリング効率が悪い
と、レーザ素子に流す動作電流を増大して発光素子とし
ての出力をより大きくしなければならず好ましくない。
したがって、高いカップリング効率が求められるが、そ
のためには半導体レーザの発光ビームの横方向発散角を
なるべく小さくして、レーザ光を効率よく光学レンズに
入射させることが重要である。
【0005】通常、光学ピックアップ内に搭載された半
導体レーザ素子は、光学レンズ等との相対位置が固定さ
れているため、両者の距離を調整して、読み取り時には
カップリング効率を落とし書き込み時には上げるような
調整はできない。したがって、従来の半導体レーザ素子
では、その横方向発散角が書き込み時と読み取り時の双
方に最適値が存在することとなるが、両者を兼ね備える
ことができないため、一般には、レーザの横方向発散角
は、読み取り性能を満足する値で設計し、書き込み時の
入力パワー上げてディスク面上での必要なパワー密度を
得る使われ方がされていた。
【0006】とくに高出力パワーレーザ素子では、放熱
設計に多くの労力と工夫が費やされていることからも明
らかなように、信頼性(寿命)が入力パワーに大きく依
存する。また、ピックアップ自体の消費電力低減の面か
らも、このような無駄な入力パワーの増大は出来るだけ
避けなけれならないが、従来の半導体レーザ素子では、
かかる無駄な入力パワーの増大を余儀なくされていると
いった不利益があった。
【0007】本発明は、このような実情に鑑みてなさ
れ、レーザ光の出射対象である記録媒体に対する情報の
書き込みと読み取りの双方に適合した横方向発散角が得
られる半導体レーザ素子を新たに提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した従来技術の問題
点を解決し、上記目的を達成するために、本発明の半導
体発光素子は、半導体基板上に直接に又はバッファ層を
介して、第1のクラッド層、活性層、第2のクラッド層
を順に積層させてなる光導波路を有し、上記第2のクラ
ッド層に流れ込む動作電流の流入経路を制限する電流狭
窄層を第2のクラッド層側に設け、かつ当該動作電流の
分布に対応した前記光導波路部分に上記活性層と平行な
面内で屈折率差を設けることによって、動作電流により
励起した光を前記光導波路部分の活性層を中心に閉じ込
め、発振後に出射する半導体発光素子であって、前記動
作電流値を変えたときに生じる出射光の活性層に平行な
面内での発散角変化が当該発光素子の出射対象である記
録媒体の書き込みと読み出しの双方に適合した範囲を含
むように、前記屈折率差の値が設定されている。この発
散角は、好ましくは、前記動作電流を徐々に増大させた
ときに、最初に読み出し時に最適な値をとり、次に書き
込み時に最適な値をとるように減少する。
【0009】好適に、前記屈折率差の値は、前記電流狭
窄層と前記第2のクラッド層との屈折率差、前記電流狭
窄層から前記活性層までの距離を含むパラメータ群から
選択される単一又は複数のパラメータを調整することで
設定されている。この場合、好ましくは、前記電流狭窄
層および前記第2のクラッド層は、それぞれ3族と5族
の元素による化合物で、かつ互いに導電型が異なる半導
体材料から構成され、当該電流狭窄層の混晶比が、前記
屈折率差の値を決めるパラメータとして前記第2のクラ
ッド層における混晶比と異なる値に設定されている。ま
た、他の好適な屈折率差の設定例として、前記電流狭窄
層によって制限された前記電流流入経路に、前記光導波
路部分に屈折率差をつける屈折率設定層を更に有し、前
記屈折率差の値は、上記屈折率設定層の厚み、屈折率設
定層と前記第2のクラッド層との屈折率差、屈折率設定
層から前記活性層までの距離を含むパラメータ群から選
択される単一又は複数のパラメータを調整することで設
定されている。この場合、好ましくは、前記屈折率設定
層および前記第2のクラッド層は、それぞれ3族と5族
の元素による化合物で、かつ互いに導電型が同じ半導体
材料から構成され、当該屈折率設定層の混晶比が、前記
屈折率差の値を決めるパラメータとして前記第2のクラ
ッド層における混晶比と異なる値に設定されている。
【0010】このような構成の半導体発光素子では、そ
の発光部分における活性層に平行は面内での(即ち、い
わゆる横方向の)屈折率差が所定値に設定され、これに
より動作電流値を変えたときに生じる出射光の活性層に
平行な面内での発散角が当該発光素子の出射対象である
記録媒体の書き込みと読み出しの双方に適合した範囲を
含むように変化する。また、出射光の横方向の発散角
が、比較的に小さな読み出し時の電流値では読み出しに
最適な値、即ち発散角が大きくなり、比較的に大きな書
き込み時の電流値では書き込みに最適な値、即ち発散角
が小さくなるように変化する。したがって、このような
半導体発光素子を光ディスク録再用の光学ピックアップ
に搭載した場合等にあっては、とくに大きな動作電流を
必要とする書き込み時で、発散角が最適化されて他の光
学部品とのカップリング効率がよい。このため、ディス
ク面上での所定のパワー密度を得るために、従来のよう
に半導体発光素子の出力を更に上げる必要がなく、書き
込み時の出射光の利用効率がよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、ディスク等の記録媒体の書
き込み時と読み取り時で最適値を有する発散角の定義等
をした後、本発明に係る半導体発光素子の実施形態を、
図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】図7は、半導体レーザ素子を例えば光学ピ
ックアップに実装したときの様子を示す図である。図7
において、符号1は半導体レーザ素子、100は光(磁
気)ディスク等の記録媒体、102と104はピックア
ップ内の光学系のうちコリメタリーレンズと対物レンズ
をそれぞれ示す。半導体レーザ素子1から出射されたレ
ーザ光は、コリメタリーレンズ102に入射され、図示
せぬビームスプリッタ等を透過し、対物レンズ104で
収束されて記録媒体100の記録面100a上に集光さ
れる。
【0013】一般に、光ディスク録再用の光学ピックア
ップにおいて、ディスク等に記録された情報の読み取り
性能は、光源及び光学部品の性能のほか、その光源と光
学部品のカップリング効率で決まり、このカップリング
効率は、光源のビーム形状(半導体レーザの場合、出射
レーザ光のFFP(Far Field Pattern) )のどの部分を
使用するかを決めるフィル条件に依存する。フィル条件
とは、図8に示すように、光源のビームの蹴られ量Wに
対する光学部品の開口径A(図7では、コリメタリーレ
ンズ102のアパチャー径)の比、即ちA/W(Apertur
/beam Waist) をいう。ビーム形状がガウシアン分布で
あると仮定すると、このビームの蹴られ量Wはビーム径
Bにほぼ比例する。ビーム径Bは、図8(a)に示すよ
うに、ビーム最大光量の1/e2 (e:自然対数)にお
けるビームの大きさで定義される。A/Wが大きいと光
源からの出射ビームの殆どが光学部品に入射されたこと
を意味しカップリング効率が高く、A/Wが小さいとカ
ップリング効率が悪い。
【0014】ディスク情報の読み取りにおいては、A/
Wが小さすぎると出射ビームが光学部品で蹴られる量が
多くなり、このためディスク上で収束ビームの周りにサ
イドリングが立ち、これが反射して図示せぬ受光素子に
入るので、読み取ろうとする記録信号が隣の信号とクロ
ストークを起こしやすくなりS/Nが悪くなる。一方、
A/Wが余り大きすぎると、ディスク上でビームが絞り
難くなって、却って信号は読み取りずらくなる。すなわ
ち、読み取り性能を上げるには、A/Wが適度な値にな
るのが望ましい。
【0015】図7には、半導体レーザ素子1からの出射
レーザ光のパラレル方向(後述する活性層に平行な方
向)の出射レーザ光の発散角θ//が広い場合と、狭い場
合が図示されている。また、図9には、発散角θ//が広
い場合と狭い場合のFFPを図示している。一般に、半
導体レーザ素子の出射レーザ光のパラレル方向発散角θ
//は、その垂直方向の発散角より小さいため、上記A/
Wは大きくなる。したがって、読み取り時には、図9
(a)に示すように、ビームの発散角を大きくしてブロ
ードなFFPが得られるようにして、光学系との関係で
は図7中の符号LB(R) で示すように配置して、ビーム
の中央部分のみ光学部品(この場合、コリメタリーレン
ズ102)に入射させ、あとのビームの周辺部分はレン
ズ102によって蹴られるようにするのが望ましい。こ
れによって、同じ焦点距離のレンズを用いた場合、A/
Wを適度な値にするにはパラレル方向の発散角θ//が広
いビーム形状の半導体レーザ素子を用いたほうが、読み
取り性能が向上する。
【0016】つぎに書き込みについて、一般に、光ディ
スク用の光学ピックアップに搭載される半導体レーザ素
子は、光ディスクに情報を書き込む際の熱源として用い
られる。例えば、光磁気ディスク(MO)では記録面の
磁性体膜に熱を加えキューリ温度以上にすることによ
り、その部分の磁極を反転させ書き込み信号に応じた所
望の反転磁極パターンを形成する。また、相変化の場合
は、熱の加えかたにより記録面の所定層を単結晶にした
りアモルファス化したりする。したがって、書き込み時
は、カップリング効率を上げて半導体レーザからの光を
レンズ等でロスすることなくして、記録面に集光された
ビームスポットのパワー密度を上げるほうが、低消費電
力化、光の利用効率の面から望ましい。とくに、半導体
レーザは、信頼性(寿命)が入出力パワーロスに大きく
依存し、また、このパワーロスが必要以上に大きいと放
熱設計等の自由度及びコスト面でも影響が大きいことか
ら、なるべく大パワー化を避けたい要請が強い。以上よ
り、書き込み時では、図9(b)のように出射光の集中
性をよくして、図7中の符号LBw で示すように、レン
ズ102の径の仰角より小さなパラレル方向発散角θ//
(W) とした半導体レーザ素子を用いる必要がある。
【0017】光ディスク録再用光学ピックアップ等で
は、省スペース、小型化が求められているので、一般
に、光学部品が読み取り時と書き込み時で共通化され、
また半導体レーザ素子は光学部品の比較的近くに固定し
て用いられる。したがって、この半導体レーザ素子は、
読み取り時と書き込み時でパラレル方向発散角θ//を変
更できることの要請が強い。本発明の半導体レーザ素子
は、以上述べてきた用途に好適でパラレル方向発散角θ
//を変更できる特徴を有する。
【0018】図1は、本発明の実施形態に係る半導体レ
ーザ素子の構造例を示す発光端面から見た断面構造図で
ある。図1において、符号1は半導体レーザ素子、2は
n−GaAs等のn型半導体基板、4はn−Al0.47
aAs等のn型クラッド層(第1のクラッド層)、6は
活性層、8はp−Al0.47GaAs等のp型クラッド層
(第2のクラッド層)、10はn−GaAs等の電流狭
窄層、10aは電流狭窄層の開口部、12はアノード電
極層(pメタル層)、14はカソード電極層(nメタル
層)を示す。
【0019】図1に例示する半導体レーザ素子1におい
て、n型半導体基板2上には、n型の第1のクラッド層
4,活性層6及びp型の第2のクラッド層8が順に積層
され、これにより活性層6の厚み方向(垂直方向)に光
を閉じ込める光導波路が形成されている。第2のクラッ
ド層8の表面側には、半導体レーザ素子1のほぼ中央に
開口部10aを有する電流狭窄層10が埋め込まれてい
る。電流狭窄層10は、特に図示しないが、図1の紙面
に垂直な方向に長いストライプ形状を有する。電流狭窄
層10の表面にpメタル層12が設けられ、また半導体
基板2の裏面にnメタル層14が設けられている。これ
らの電極層12,14は、GaAsにオーミック接触可
能な金属、例えばTi/Pt/Auの積層金属膜等から
なる。このような構成の半導体レーザ素子1では、全体
では活性層6付近にpn接合が形成されたダイオードで
あり、nメタル層14を基準にpメタル層12に正電圧
を印加すると、あるしきい値を境に動作電流が流れ始め
る。電流狭窄層10は、この動作電流を半導体レーザ素
子1の中央付近に集めるための電流ブロック層として機
能し、ブロックした電流を開口部10aから流すことで
電流を中央部に局在分布させる。
【0020】以上述べてきた半導体レーザ素子1の断面
構成は、従来と基本的に変わらないが、本実施形態の半
導体レーザ素子1は、活性層6に平行な面内の屈折率差
の設定値が従来と異なり、これによって動作電流に応じ
て屈折率差が敏感に変化するという特徴がある。図2
は、活性層6を中心とした光導波路において、活性層6
と平行な面内での屈折率分布を示す図である。図2
(a)は動作電流が比較的に大きなときの屈折率分布、
図2(c)は動作電流が小さなときの屈折率分布、図2
(b)は動作電流が中間値をとるときの屈折率分布を示
す。
【0021】図2に示すように、活性層6と平行な面内
での屈折率分布において、pメタル層12の印加電圧を
上げて、初期の屈折率差Δn0 の状態から電流を注入す
る量を増やすと、いわゆるプラズマ効果により注入電流
の増加にともなって屈折率差が初期値から低下する。動
作電流Iopが小さい初期の段階では屈折率差による光閉
じ込め効果は比較的に大きため、レーザ素子から出射さ
れるレーザ光のビームスポット(又は、NFP(Near Fi
eld Pattern))は比較的に小さい。回折の原理によって
小さい発光点から出た光は広がり大きな発光点からの光
は余り広がらないことから、この場合、レーザ素子から
遠く離れた場所では、図2(c)に示すように横方向に
拡がったFFPが得られる。動作電流Iopの量を次第に
大きくするにしたがって、屈折率差が低下して光閉じ込
め効果が薄れていくために、出射レーザ光のビームスポ
ット(又は、NFP)が横方向に拡がってくる。このた
め、電流注入量が最大の図2(a)では、ビームスポッ
ト(又は、NFP)は横方向に比較的に大きなものとな
るが、上記回折の原理により、この場合のFFPとし
て、図2(c)の電流注入の初期段階に比べて横方向に
集中性のよい光分布パターンが得られる。
【0022】このプラズマ効果によって電流注入量とと
ともに大きくなるFFPの横方向の拡大は、動作電流I
opの増大にともなう利得領域の変化によって、より拡大
する方向に働く。動作電流Iopが比較的に小さいとき
は、屈折率差を設けた真ん中の部分(利得領域)だけに
電流が流れて発光し、周囲の吸収領域は光らない。動作
電流Iopを大きくすると、全体のゲインが持ち上がるう
え、電流分布が利得領域を越えて両側の吸収領域端部に
延びるため、この両側の吸収領域端部も光だす結果、出
射ビームスポットが横方向に拡がり、動作電流Iopが比
較的に小さいときよりも横方向に集中性がよいFFPが
得られる。
【0023】このような動作電流値に応じてFFPの横
方向拡がり具合、即ち先に記述したパラレル方向発散角
θ//を変化させるために、本実施形態では、動作電流を
流さない初期の横方向の屈折率差(屈折率差の設定値Δ
n0 )を、従来より小さく設定している。具体的な数値
例を挙げると、従来の半導体レーザ素子における屈折率
差の設定値を例えば4.0×10-3以上とすると、本実
施形態の半導体レーザ素子1における屈折率差の設定Δ
n0 は、好ましくは、1.0×10-3以上で4.0×1
-3未満の範囲内に設定されている。
【0024】この屈折率差の設定は、図1の断面構造に
おいて、電流狭窄層10から活性層6までの距離をYと
すると、その距離のパラメータYと、電流狭窄層10と
第2のクラッド層8の材料,厚み等の違いによる屈折率
差とを含む複数のパラメータのうち、単一又は複数のパ
ラメータを調整することにより達成される。たとえば、
第2のクラッド層8と電流狭窄層10間でAlの混晶比
を変えると両者の屈折率差が変化し、これによって活性
層6を中心とした利得領域の等価屈折率差Δnが変化す
る。この場合、Alの混晶比を大きくした方が屈折率が
小さくなるので、これにより等価屈折率差Δnを変化さ
せることが可能である。また、電流狭窄層10を薄くす
る、或いは電流狭窄層10と第2のクラッド層8との距
離Yを大きくすることによっても上記等価屈折率差Δn
が変化(この場合、低下)する。
【0025】図3は、この等価屈折率差を調整するパラ
メータを追加する構成を備え、より屈折率差の設定の自
由度を高めた本実施形態の他の断面構造例を示す。図3
に示す半導体レーザ素子20は、電流の注入領域、例え
ば電流狭窄層10の開口部10a内に屈折率設定層24
が設けられている。先の電流狭窄層10や第2のクラッ
ド層8は、電流をブロックする或いは光導波路の活性層
6に垂直な屈折率差を設定するものであり、その材料,
サイズ及び位置関係をむやみに変えられないので、この
意味から横方向の屈折率差を変更するパラメータとして
制限がある。本例では、例えばAl0.3 GaAs等から
なる屈折率設定層24を設けることによって、横方向の
屈折率差を設定するパラメータを増やし、その設定の自
由度を拡大している。たとえば、電流狭窄層10等によ
っては前記等価屈折率差が殆ど得られないときは、この
屈折率設定層24の厚さ、材料等を適宜選択して周囲よ
り屈折率が高い層とし、これにより前記等価屈折率差の
設定を行う。また、電流狭窄層10等による前記等価屈
折率差が大きすぎるときは、逆に、この屈折率設定層2
4の屈折率を周囲より低くする。屈折率設定層24を厚
くする、又はAlの混晶比を大きくすると等価屈折率差
Δnは共に低下する。
【0026】なお、本例では、半導体基板2と第1のク
ラッド層4との間にバッファ層22が設けられている
が、この層は省略も可能である。また、電流狭窄層10
の開口部上方に電流集中のためにp+ 高濃度不純物領域
を設けてもよいし、電流狭窄層10の機能をpメタル層
12をパターニングすることにより達成してもよい。こ
の場合、図示のような埋め込み型の電流狭窄層10は省
略でき、代わりにpメタル層12を中央部のみ残された
ストライプ状に形成することによって、中央部に局在し
た電流分布を得る。この場合のストライプ状pメタル層
は、本発明における“電流狭窄層”に該当する。
【0027】他の構成、即ち半導体基板2,第1のクラ
ッド層4,活性層6,第2のクラッド層8,nメタル層
14は、先の図1の構造例と変わらない。ただし、図1
の場合も含め、先の等価屈折率差Δn0 が所望の値を得
られるのであれば、各構成の材料に限定はない。
【0028】つぎに、図1の場合を例に、半導体レーザ
素子の製造方法を簡単に説明する。なお、この説明にお
いて、特に限定しない限り、半導体層の積層方法はMO
CVD法、MBE法等の各種成膜法による。図4(a)
に示すように、n型半導体基板2を用意し、その上に上
記各種成膜法を用いて、第1のクラッド層4、活性層
6、第2のクラッド層8を順に積層させて、活性層と垂
直方向に光を閉じ込める光導波路を形成する。
【0029】第2のクラッド層8上に、更に電流狭窄層
となる周囲と逆導電型の半導体層(n−GaAs)を積
層させ、この半導体層を例えばストライプ状に抜いた形
状にパターンニングする。これにより、図4(b)に示
すように、ほぼ中央に開口部10aを有する電流狭窄層
10が形成される。
【0030】この電流狭窄層10の少なくとも開口部1
0aを埋め込むように、例えば第2のクラッド層8と同
じ材料の層8’を形成し、その上を、図1では省略して
いたが必要に応じて、例えばp型のGaAsからなるキ
ャップ層11で覆う。
【0031】最後に、図4(d)に示すように、最上部
にpメタル層12、基板裏面にnメタル層14を、それ
ぞれ蒸着等の成膜法により形成する。その後は、劈開、
端面反射膜の形成等を経て、当該半導体レーザ素子1を
完成させる。
【0032】図5には、このような方法により実際に製
造した半導体レーザ素子の出射レーザ光の発散角変化の
測定データを、従来の半導体レーザ素子と比較して表に
示す。図5(a)は本実施例の半導体レーザ素子、図5
(b)は比較例とした従来の半導体レーザ素子について
である。従来の半導体レーザ素子においては、初期設定
した前記等価屈折率差Δn0 は4.×10-3の場合で
も、発散角θ//の変化は殆どみられない。これに対し、
この実施例の半導体レーザ素子において、初期設定した
前記等価屈折率差Δn0 は1.8×10-3であり、入力
パワーを上げていくと、動作電流Iopの増加とともにF
FPの横方向の拡がり具合を示す活性層に平行な方向の
発散角θ//が、12度から8.4度までほぼリニアに減
少する特性が得られた。
【0033】図6は、この実施例の半導体レーザ素子に
おいて、出射レーザ光のFFPを最大光強度で規格化し
たときのパターン図である。図6(a)には入力パワー
Pinが4mW前後、発散角θ//が10.6度でのFF
P、図6(b)は入力パワーPinを更に上げて発散角θ
//を7.1度まで低下させたときのFFPをそれぞれ示
す。この図から、実際のFFPにおいて活性層に平行な
方向の発散角θ//を、読み取り時に最適な10度〜14
度の範囲から、書き込みに最適な6度〜10度までの範
囲内に変化できることが確認できる。
【0034】
【発明の効果】本発明に係る半導体発光素子では、当該
発光素子の出射光の活性層に平行な方向の発散角を、そ
の出射対象である記録媒体への書き込み時と読み出し時
にそれぞれ最適な値に変更できる。このため、読み取り
時には当該発散角を比較的に広くしてS/Nよく読み取
りができる。一方、書き込み時には、発散角を比較的に
狭くして必要最小限の光出力ですみ、したがって、光の
利用効率が良く低消費電力であるだけでなく、半導体発
光素子の信頼性(寿命等)が向上する。また、放熱設計
等の自由度が増して素子自体を小型化できるうえ、場合
によっては実装面でヒートシンク等が不要になることか
ら、コスト削減効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体レーザ素子の構
造例を示す発光端面から見た断面構造図である。
【図2】図1の半導体レーザ素子の活性層を中心とした
光導波路において、活性層と平行な面内での屈折率分布
を示す図である。
【図3】本実施形態の変形例を示す半導体レーザ素子の
断面構造図である。
【図4】図1に示す断面構造の半導体レーザ素子の各製
造過程を示す断面図である。
【図5】本実施形態の半導体レーザ素子の出射レーザ光
の発散角変化の測定データを、従来の半導体レーザ素子
と比較して示す表である。
【図6】図5の測定に用いた半導体レーザ素子におい
て、出射レーザ光のFFPを最大光強度で規格化したと
きのパターン図である。
【図7】半導体レーザ素子を、例えば光学ピックアップ
に実装したときの様子を示す図である。
【図8】ビームの大きさとフィル条件の定義を示す図で
ある。
【図9】パラレル方向の発散角が広い場合と狭い場合の
FFPを測定により求めたパターン図である。
【符号の説明】
1,20…半導体レーザ素子(半導体発光素子)、2…
半導体基板、4…第1のクラッド層、6…活性層、8…
第2のクラッド層、10…電流狭窄層、10a…電流狭
窄層の開口部、12…pメタル層、14…nメタル層、
22…バッファ層、24…屈折率設定層、100…記録
媒体、100a…記録面、102…コリメータレンズ、
104…対物レンズ、θ//…活性層と平行な方向の発散
角。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板上に直接に又はバッファ層を介
    して、第1のクラッド層、活性層、第2のクラッド層を
    順に積層させてなる光導波路を有し、上記第2のクラッ
    ド層に流れ込む動作電流の流入経路を前記光導波路上方
    の一部に限定する電流狭窄層を第2のクラッド層側に設
    け、かつ当該動作電流の分布に対応した前記光導波路部
    分に上記活性層と平行な面内で屈折率差を設けることに
    よって、動作電流により励起した光を前記光導波路部分
    の活性層を中心とした領域に閉じ込め、発振後に出射す
    る半導体発光素子であって、 前記動作電流値を変えたときに生じる出射光の活性層に
    平行な面内での発散角変化が当該発光素子の出射対象で
    ある記録媒体の書き込みと読み出しの双方に適合した範
    囲を含むように、前記屈折率差の値が設定されている半
    導体発光素子。
  2. 【請求項2】前記発散角は、前記動作電流を徐々に増大
    させたときに、最初に読み出し時に最適な値をとり、次
    に書き込み時に最適な値をとるように減少する請求項1
    に記載の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】前記屈折率差の値は、前記電流狭窄層と前
    記第2のクラッド層との屈折率差、前記電流狭窄層から
    前記活性層までの距離を含むパラメータ群から選択され
    る単一又は複数のパラメータを調整することで設定され
    ている請求項1に記載の半導体発光素子。
  4. 【請求項4】前記電流狭窄層によって限定された前記電
    流流入経路に、前記光導波路部分に屈折率差をつける或
    いは調整する屈折率設定層を更に有し、 前記屈折率差の値は、上記屈折率設定層の厚み、屈折率
    設定層と前記第2のクラッド層との屈折率差、屈折率設
    定層から前記活性層までの距離を含むパラメータ群から
    選択される単一又は複数のパラメータを調整することで
    設定されている請求項1に記載の半導体発光素子。
  5. 【請求項5】前記パラメータ群に、前記電流狭窄層と前
    記第2のクラッド層との屈折率差、前記電流狭窄層から
    前記活性層までの距離を含む請求項4に記載の半導体発
    光素子。
  6. 【請求項6】前記電流狭窄層および前記第2のクラッド
    層は、それぞれ3族と5族の元素による化合物で、かつ
    互いに導電型が異なる半導体材料から構成され、 当該電流狭窄層の混晶比が、前記屈折率差の値を決める
    パラメータとして前記第2のクラッド層における混晶比
    と異なる値に設定されている請求項3に記載の半導体発
    光素子。
  7. 【請求項7】前記屈折率設定層および前記第2のクラッ
    ド層は、それぞれ3族と5族の元素による化合物で、か
    つ互いに導電型が同じ半導体材料から構成され、 当該屈折率設定層の混晶比が、前記屈折率差の値を決め
    るパラメータとして前記第2のクラッド層における混晶
    比と異なる値に設定されている請求項4に記載の半導体
    発光素子。
JP265198A 1998-01-08 1998-01-08 半導体発光素子 Pending JPH11204876A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP265198A JPH11204876A (ja) 1998-01-08 1998-01-08 半導体発光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP265198A JPH11204876A (ja) 1998-01-08 1998-01-08 半導体発光素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11204876A true JPH11204876A (ja) 1999-07-30

Family

ID=11535268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP265198A Pending JPH11204876A (ja) 1998-01-08 1998-01-08 半導体発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11204876A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001308439A (ja) * 2000-04-20 2001-11-02 Rohm Co Ltd 発光モジュールおよびその組み立て方法
JP2009164389A (ja) * 2008-01-08 2009-07-23 Sony Corp 半導体レーザ及びこれを用いた記録再生用ピックアップ装置、並びに、半導体レーザの製造方法
CN111244760A (zh) * 2020-01-20 2020-06-05 江西德瑞光电技术有限责任公司 一种调节垂直腔面发射半导体激光器光束发散角的方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001308439A (ja) * 2000-04-20 2001-11-02 Rohm Co Ltd 発光モジュールおよびその組み立て方法
JP2009164389A (ja) * 2008-01-08 2009-07-23 Sony Corp 半導体レーザ及びこれを用いた記録再生用ピックアップ装置、並びに、半導体レーザの製造方法
CN111244760A (zh) * 2020-01-20 2020-06-05 江西德瑞光电技术有限责任公司 一种调节垂直腔面发射半导体激光器光束发散角的方法
CN111244760B (zh) * 2020-01-20 2021-09-10 江西德瑞光电技术有限责任公司 一种调节垂直腔面发射半导体激光器光束发散角的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7936801B2 (en) Two-dimensional photonic crystal surface emitting laser light source
US6757311B2 (en) Laser diode, semiconductor light-emitting device, and method of production thereof
KR100323928B1 (ko) 반도체 레이저 및 이 반도체 레이저를 이용한 광디스크 장치
US6930024B2 (en) Semiconductor laser device and method for fabricating the same
US6185237B1 (en) Semiconductor laser
JP2006294984A (ja) 半導体レーザ素子とその製造方法およびそれを用いた光ピックアップ装置
JP3797151B2 (ja) レーザダイオード、光学ピックアップ装置、光ディスク装置および光通信装置
US6920091B2 (en) Optical reproduction apparatus and optical recording and reproduction apparatus
JPH11204876A (ja) 半導体発光素子
JP2889626B2 (ja) 半導体レーザ
JP2009164389A (ja) 半導体レーザ及びこれを用いた記録再生用ピックアップ装置、並びに、半導体レーザの製造方法
JP3154726B2 (ja) 半導体レーザ及びディクス装置
JP2940462B2 (ja) 半導体レーザ
JP2004087980A (ja) 端面発光型半導体レーザ、電子機器、端面発光型半導体レーザの制御方法及び端面発光型半導体レーザの製造方法
JP2967238B2 (ja) 半導体レーザ及び該半導体レーザを用いた光ディスク装置
JP2001308459A (ja) 窒化物系化合物半導体レーザ装置
JP3005297B2 (ja) 半導体レーザ及び該半導体レーザを用いた光デイスク装置
JP3008830B2 (ja) 半導体レーザ
JP2002223038A (ja) 半導体レーザ装置
JP2004128351A (ja) 面発光レーザ、電子機器及び面発光レーザの製造方法
JP2000138419A (ja) 半導体レーザ素子及びその製造方法
JPH09283840A (ja) 半導体レーザ
JPH10177732A (ja) 光記録再生方法、光記録再生装置、半導体レーザ装置及びその製造方法
JP2955877B2 (ja) 半導体レーザ
JP2004158505A (ja) 面発光レーザ、電子機器及び面発光レーザの製造方法