JP3008830B2 - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JP3008830B2
JP3008830B2 JP7280343A JP28034395A JP3008830B2 JP 3008830 B2 JP3008830 B2 JP 3008830B2 JP 7280343 A JP7280343 A JP 7280343A JP 28034395 A JP28034395 A JP 28034395A JP 3008830 B2 JP3008830 B2 JP 3008830B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクシステ
ムの光源などに用いられる低雑音自励発振型半導体レー
ザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年光通信、レーザプリンタ、光ディス
クなどの分野で半導体レーザの需要が高まり、GaAs
系、およびInP系を中心として活発に研究開発が進め
られてきた。光情報処理分野においては、特に波長が7
80nmのAlGaAs系半導体レーザの光による情報
の記録・再生を行う方式が実用化され、コンパクトディ
スク等で広く普及するに至っている。
【0003】しかし最近になってこれらの光ディスク装
置に益々記憶容量の増加が求められるようになり、それ
に伴い短波長のレーザの要望が強まってきている。Al
GaInP系半導体レーザは波長が610〜690nm
での赤色領域で発振が可能であり、現在実用レベルにあ
る半導体レーザの中で最も短波長の光が得られるもので
ある。したがって、従来のAlGaAs系半導体レーザ
に代わる次世代の大容量光情報記録用光源として有望で
ある。ところで、半導体レーザは光ディスクの再生時
に、ディスク面からの反射光の帰還や温度の変化により
強度雑音を発生し、信号の読取エラーを誘発する。した
がって光ディスクに用いる光ピックアップの光源用には
強度雑音の少ないレーザが不可欠となる。
【0004】従来、再生専用・低出力のAlGaAs系
半導体レーザでは雑音を低減するためにリッジストライ
プの両側に意図的に可飽和吸収体が形成されるような構
造を採用することによって低雑音化を図ってきた。これ
によって縦モードをマルチ化することができる。レーザ
が縦単一モードで発振しているときに光の帰還や温度変
化等の外乱が入ると利得ピークの微少な変化によって近
接する縦モードが発振を開始し、元の発振モードとの間
で競合を起こす。これが雑音の原因となっており、縦モ
ードをマルチ化すると各モードの強度変化が平均化さ
れ、しかも外乱によって変化しないので安定な低雑音特
性を得ることができる。
【0005】また、別の方法としてさらに安定な自励発
振特性を得る方法が特開昭63−202083号公報に
示されている。ここでは出力光を吸収することのできる
層を設けることによって自励発振型半導体レーザを実現
している。
【0006】さらに、特開平6−260716号公報で
は活性層のエネルギ−ギャップと吸収層のエネルギ−ギ
ャップをほぼ等しくすることによって特性を改善したと
報告がなされている。特に、歪量子井戸活性層のエネル
ギ−ギャップと歪量子井戸可飽和吸収層のそれがほぼ等
しくなっている。この構成によって良好な自励発振特性
を得ようとしている。同様の構成が、特開平7−226
95号公報にも記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら本発明者
らの検討によると、可飽和吸収層と活性層とのエネルギ
−ギャップをほぼ等しくするだけでは、良好な自励発振
特性が得られないことが明らかとなった。さらに、製造
時における可飽和吸収層のばらつきが、特性をもばらつ
かせる原因となることが明らかとなった。
【0008】そこで本発明は、可飽和吸収層と活性層と
のエネルギ−ギャップの差を検討し、さらに、可飽和吸
収層のばらつきを抑制することにより、低雑音特性に有
効な安定した自励発振特性をもつ半導体レーザを提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の半導体レーザは、少なくとも量子井戸層を有
する活性層と、可飽和吸収層とを備え、前記可飽和吸収
層の基底準位間のエネルギ−ギャップが、前記量子井戸
層の基底準位間のエネルギ−ギャップよりも、30〜2
00meV小さく、前記可飽和吸収層上に、エッチング
ストッパ層を備えた構成とする。
【0010】さらに、少なくとも1つのクラッド層中に
光ガイド層を備えた構成とする。また、可飽和吸収層の
基底準位と、前記可飽和吸収層に隣接する層の伝導帯底
のとエネルギーギャップ差が、100〜210meVで
ある構成とする。
【0011】また、可飽和吸収層がGaInPまたはA
lGaInPであり、可飽和吸収層に隣接する層が、
(AlxGa1-x)yIn1-yPであり、y>0.25であ
る構成とする。
【0012】また、x×y>0.3とする。また、可飽
和吸収層がGaInP、またはAlGaInPであり、
可飽和吸収層に隣接する層が、(AlxGa1-x)yIn1
-yPであり、y≒0..51、x×y>0.3とする。
【0013】本発明は可飽和吸収層と活性層とのエネル
ギ−ギャップ差により自励発振が起こるかどうかを検討
した。検討の結果、このエネルギ−ギャップ差を30m
eVから200meVとすることで、可飽和吸収層がレ
ーザ光を効率よく吸収するとともに、光の吸収も飽和す
るため、安定した自励発振が得られることが明らかとな
った。30meVより小さければ自励発振は得られな
い。これはエネルギ−ギャップの差が小さいため、可飽
和吸収層があまりレーザ光を吸収しないためであると考
えられる。また、エネルギ−ギャップ差が200meV
を越えると、可飽和吸収層での光吸収が大きくなりす
ぎ、可飽和吸収層が飽和特性を示さなくなるので、自励
発振が起こらない。したがって、エネルギ−ギャップ差
は30〜200meVがよいことがわかった。
【0014】エネルギ−ギャップが、特に50meV〜
100meVの範囲では、可飽和吸収層の飽和条件が最
適となる。エネルギ−ギャップの差が100meVを越
えると、可飽和吸収層での光吸収がだんだん大きくな
り、動作電流もやや大きくなる。よってエネルギ−ギャ
ップ差は100meV以下であれば好ましいといえる。
50〜100meVの範囲では、半導体レーザの動作電
流が大きくならない上に、温度変化に対して安定な自励
発振特性が得られる。
【0015】また、可飽和吸収層の体積を小さくする
と、可飽和吸収層でのキャリア密度を容易に上げられ
る。活性層が放出したレーザ光を可飽和吸収層が吸収
し、電子とホールのペアを生じるが、可飽和吸収層の体
積が小さいと、単位体積あたりの光の吸収量が増加し、
このキャリア密度を容易に上げることができる。そして
飽和状態になりやすく、可飽和吸収の効果が顕著とな
る。したがって、強くて安定な自励発振特性を得ること
ができることが本発明者らの実験により明らかとなっ
た。
【0016】さらに半導体レーザは、この体積の小さい
可飽和吸収層と光ガイド層とを組み合わせた構成にもで
きる。光ガイド層を設けたのは、可飽和吸収層を量子井
戸層のように体積を小さくした場合、膜厚が薄くなるた
め光の閉じ込め率が極端に減少し、その結果、安定な自
励発振でなくなる可能性もあるからである。そこで、光
ガイド層を用いて閉じ込め率を増加させる。この構造を
用いると、活性層への光閉じ込め率が、5%以上の場
合、可飽和吸収層への閉じ込め率を、少なくとも1.2
%程度以上にすると自励発振を生じることが可能とな
る。可飽和吸収層を量子井戸にした場合、その膜厚が薄
く、体積が小さくとも、光ガイド層を設けることによ
り、可飽和吸収層へ有効な光閉じ込めができるので、こ
の構造を導入することにより安定した自励発振を実現で
きる。
【0017】可飽和吸収層と光ガイド層との位置関係
は、可飽和吸収層の体積および光閉じ込めを考慮して、
光ガイド層中に形成してもよいし、また光ガイド層近傍
のp型クラッド層中に形成してもよい。
【0018】本発明の説明で使用している「エネルギ−
ギャップ差」とは、基底準位間のエネルギー差をとって
いる。活性層が量子井戸層を含む場合は、伝導帯と価電
子帯の底ではなく、量子準位間のエネルギー差を言うの
で、バンドギャップの差よりも大きい。
【0019】エッチングストッパ層を設けることによ
り、リッジストライプ形成のためのエッチング工程にお
いても、可飽和吸収層がエッチングされることがないの
で、製造時のウエハ内でのばらつきも抑制できる。これ
により、ウエハ内で、特性のばらつきの少ない半導体レ
ーザを大量に製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施例1)図1は本発明の半導体レーザの構成断面図
である。本実施例の半導体レーザの構成は、n型のGa
Asからなる基板101上に、n型のGaAsからなる
バッファ層102、AlGaInPからなるn型クラッ
ド層103、AlGaInPおよびGaInPからなる
多重量子井戸構造の活性層104、p型のAlGaIn
Pからなる第1のp型クラッド層105a、p型のGa
InPからなる可飽和吸収層106、AlGaInPか
らなる第2のp型クラッド層105bが順次形成されて
いる。
【0021】第2のp型AlGaInPクラッド層10
5bはリッジ状になっており、このp型クラッド層10
5bおよびコンタクト層110の両側は、n型のGaA
s層からなる電流ブロック層111が形成されている。
さらにコンタクト層110と電流ブロック層111上に
はp型のGaAsからなるキャップ層112が形成され
ており、キャップ層112上にはp電極113、基板1
01側にはn電極114がそれぞれ形成されている。活
性層104は3層の井戸層と障壁層からなる多重量子井
戸構造となっている。
【0022】さらに、可飽和吸収層106上であり、p
型クラッド層105cのリッジストライプ下に、エッチ
ングストッパ層100を設けている。このエッチングス
トッパ層100は、Ga0.41In0.59Pであり、p型ク
ラッド層105cのAlGaInPとエッチング工程で
の選択比がとることができる。
【0023】ドーピングレベルおよび膜厚は以下の通り
である。
【0024】
【表1】
【0025】図2に半導体レーザの活性層付近から可飽
和吸収層付近までの(AlxGa1-x)0.5In0.5PのA
l組成xの分布を示す。n型クラッド層103、第1の
p型クラッド105a、第2のp型クラッド層105b
はAl組成を0.7としている。また井戸層および可飽和
吸収層は、Ga0.45In0.55P、Ga0.40In0.60Pと
しており、これらはまわりの層よりも格子定数が大きく
ともに圧縮歪がかかっている。
【0026】自励発振を安定に起こさせるための重要な
点は、活性層の量子井戸層と可飽和吸収層とのエネルギ
−ギャップ差である。実施例1では、そのエネルギ−ギ
ャップ差が57meVとなっており、後述するが図3,
4に示すように安定した自励発振が得られた。
【0027】ここで活性層の量子井戸層と可飽和吸収層
とのエネルギ−ギャップ差とは、活性層に量子井戸層を
用い、可飽和吸収層も量子井戸構造となっているので、
その差は、レーザ発振前の基底準位のエネルギ−ギャッ
プ差としている。このエネルギ−ギャップ差について検
討してみた。エネルギ−ギャップ差を変数として、Tma
x、Pmaxの特性を示したものを図5に示す。
【0028】まずPmaxについて先に説明しておく。図
6はPmaxを説明する図である。この図からわかるよう
にしきい値電流が40mAからレーザ発振が起こりはじ
め、A点で自励発振が停止し、通常のレーザ発振とな
る。この自励発振の最大パワー点をPmaxと呼んでい
る。A点以下の光出力では、図6(c)のように、時間
に対し光出力が大きく振動し、安定した自励発振にな
る。しかし光出力がA点を越えると、時間に対して光出
力が徐々に減少し通常のレーザ発振になる。このように
自励発振が得られる最高の温度をPmaxとしている。同
様に、温度Tを大きくすれば、自励発振特性を示さなく
なる傾向にあり、ここでTmaxを自励発振が観測される
最高温度とした。言い換えれば、自励発振が停止する温
度ともいえる。
【0029】図5について説明する。横軸にエネルギ−
ギャップ差(meV)をとり、縦軸にTmax(自励発振
が停止する温度)、Pmax(室温での自励発振の最大パ
ワー)をとったときのレーザ特性を示す。
【0030】実験の結果、エネルギーギャップ差が1
0、20meVでは自励発振は見られず、30meVで
自励発振となった。30meVでは、51℃まで自励発
振が観測でき、その時、光出力が5mWまで自励発振し
た。
【0031】エネルギ−ギャップ差が30meV以上に
なって自励発振がおこりはじめ、200meVまで自励
発振が確認できた。特にエネルギ−ギャップ差が50〜
100の範囲ではTmaxが高く、Pmaxも大きいので実用
的に好ましい範囲である。
【0032】エネルギ−ギャップ差が100meVを越
えると、活性層と可飽和吸収層とのエネルギ−ギャップ
の差から、可飽和吸収層でのレーザ光の吸収が大きくな
り、その結果、動作電流がやや大きくなる傾向にある。
これについて図7を用いて説明する。
【0033】図7は横軸にエネルギーギャップ差(me
V)、縦軸に動作電流(mA)をとっている。エネルギ
ーギャップ差が100meVを越えると、動作電流が1
30mAよりおおきくなる。図8は動作電流と本実施例
の半導体レーザの寿命との相関関係を示している。光出
力は5mW、温度60℃での測定である。この図から寿
命を5000時間以上にするには、動作電流が130m
A以下であればよいことがわかる。したがって、この図
8と図7とから、エネルギーギャップ差は100meV
であることが寿命の点からは望ましいといえる。
【0034】図3は、この半導体レーザの電流−光出力
特性であり、横軸にレーザへの注入電流(mA)、縦軸
には光出力(mW)をとっている。閾値電流は、50mA
となった。通常の半導体レーザの特性と異なるのは、閾
値電流近傍で急激な立ち上がりが見られる点である。こ
れは可飽和吸収層が存在するために、ある程度のキャリ
アの注入量に達するまでは光出力が外部へ放出されない
ことによる。ある値を越えるとレーザ発振が生じ、注入
電流に比例して光出力が増加しはじめる。
【0035】図4は図3のP点で実際に測定した自励発
振型半導体レーザの出力波形を示す。図のようにわずか
2nsの間の時間に対して光出力が大きく振動してお
り、自励発振していることが確認できた。
【0036】本発明の半導体レーザでは、可飽和吸収層
のドーピングレベルを2×1018(cm-3)として、キ
ャリアの寿命時間を低減している。その結果、キャリア
の時間変化率に対する自然放出の寄与が増大し、自励発
振を容易に生じることができる。ドーピングは、1×1
018(cm-3)以上あれば、キャリアの寿命時間を低減
する効果がある。
【0037】この半導体レーザの製造工程について図9
を用いて説明する。まず、n型GaAs基板101上
に、n型のGaAsからなるバッファ層102、AlG
aInPからなるn型クラッド層103、AlGaIn
PおよびGaInPからなる多重量子井戸構造の活性層
104、p型のAlGaInPからなる第1のp型クラ
ッド層105a、p型のGaInPからなる可飽和吸収
層106、AlGaInPからなる第2のp型クラッド
層105b、エッチングストッパ層100、第3のp型
クラッド層105cを順次形成する。
【0038】第3のp型クラッド層105c上に、Si
O2膜をパターニングし、このSiO2膜をマスクにし
て、エッチング液(濃硫酸)でエッチングし、これによ
り、リッジストライプを形成する。
【0039】エッチングの停止は、p型クラッド層中に
形成したエッチングストッパ層で行なう。エッチングス
トッパ層はGaInPであり、p型クラッド層は、Al
GaInPであるので、エッチング液に対して、選択比
があるため、このエッチングストッパ層で、エッチング
は停止する。
【0040】この後、ストライプの両側にn型GaAs
の電流ブロック層を形成し、SiO2膜を除去したあ
と、p型GaInPキャップ層による埋め込み成長を行
なう。最後にキャップ層**上にはp型電極、n型Ga
As基板の裏面にはn型電極を形成し、半導体レーザが
完成する。
【0041】このように、本実施例では、可飽和吸収層
上のp型クラッド層中に、エッチングストッパ層を設け
ているので、エッチング工程による、可飽和吸収層への
影響はない。しかし、本実施例のようなエッチングスト
ッパを形成しない場合には、図10で示すようなことが
起こる。リッジストライプを形成するためのエッチング
は、濃硫酸を使ったウエットエッチングであり、その制
御を精度よくするのが最適ではあるが、ウエットエッチ
ングであるがゆえ、ウエハ面内でのエッチング量にもば
らつきが起こる。具体的には、リッジの形状がウエハ面
内で異なることになる。図10に示すように、可飽和吸
収層をエッチングすると、(a)はp型クラッド層のエ
ッチングが可飽和吸収層できっちり停止したときの断面
図である。これでは、可飽和吸収層の厚みはストライプ
の内部でも外部でも均一になっており、膜厚がかわらな
い。しかし、ウエハ面内には(a)のようにエッチング
できるものもあれば、(b)のようにエッチングが進行
しすぎるものもある。つまり、(b)では、エッチング
が進みすぎ、ストライプ外部の可飽和吸収層の膜厚が薄
くなっている。これがひどくなれば、(c)に示すよう
にストライプ外部の可飽和吸収層がなくなってしまう。
ウエハ面内では、このように半導体レーザチップごとに
ばらつきが起こることがあり、このために、それぞれの
レーザチップの特性がばらついてしまう。特に自励発振
型のレーザでは、可飽和吸収層により、自励発振特性が
決定するため、可飽和吸収層の膜厚が一定であり、か
つ、チップごとのばらつきも抑えることが、特性のよい
レーザを大量生産できるポイントとなる。
【0042】つぎに、本実施例のようにしたレーザチッ
プのウエハ面内での光出力のばらつきを示したものを図
11に示す。
【0043】(a)のように、エッチングストッパ層を
用いた構造では、しきい値電流はほぼ60mAで一定で
あったが、エッチングストッパ層のない構造では(b)
のようにしきい値電流にばらつきがあった。つまり、エ
ッチングが進行しすぎてストライプ外部のエッチングス
トッパが薄くなるにしたがい、しきい値電流は小さくな
る。
【0044】つぎに、可飽和吸収層とエッチングストッ
パ層とを分離した場合に、可飽和吸収層でのキャリアが
可飽和吸収層に隣接する層に拡散するのを抑制する必要
もある。キャリアがエッチングストッパ層にあふれる
と、レーザの可飽和特性が変化してしまうからである。
それをもういちど図2を用いて説明する。
【0045】図2のように可飽和吸収層でレーザ光を吸
収すると、可飽和吸収層にキャリアが生成する。このキ
ャリアが拡散により可飽和吸収層からあふれるのがよく
ない。そのためには、キャリアの拡散がおこらないよう
にする必要がある。ここでは、可飽和吸収層と、それに
隣接する層、ここでは、p型クラッド層との伝導帯底の
エネルギーギャップ差について検討した。
【0046】エネルギ−レベルは、可飽和吸収層は量子
井戸構造になっているので、離散化した準位の底(基底
準位)を原点とし、隣接する層の伝導帯の底とのエネル
ギー差について検討した。この結果、特性のよいエネル
ギー差は、100meV〜210meVであることがわ
かった。エネルギー差が100meVより小さければ、
可飽和吸収層での光吸収により生じたキャリアがエッチ
ングストッパ層へ拡散してしまう。また、210meV
より大きければ、p型クラッド層での電気抵抗が高くな
ったり、結晶性が悪くなったりする。可飽和吸収層の基
底準位よりエネルギー差を大きくするためには、p型ク
ラッド層(AlxGa1-x)yIn1-yPのyを大きくする
必要があり、このため、p型クラッド層のドーピングが
しにくくなってしまい、電気抵抗が高くなる。また、y
を大きくすると、格子定数がGaAs基板よりも小さく
なり、p型クラッド層の歪が増え、欠陥が生じてしまう
ことがある。したがって、可飽和吸収層の基底準位と、
隣接するp型クラッド層とのエネルギー差を100〜2
10meVとするのがよい。
【0047】p型クラッド層(AlxGa1-x)yIn1-y
Pの組成は、GaAs基板に整合するためには、yが約
0.51であればよい。Al組成xは0.5以上(x×
y>0.25)、より好ましくは0.6以上(x×y>
0.3)が良い。キャリアの拡散を防ぐには伝導帯底の
エネルギー差を大きくとることが必要となるが、エネル
ギー差を大きくすることによりこれが実現できる。ま
た、GaAs基板よりも格子定数は小さくなり引張り歪
がかかるが、さらにy>0.51とするとエネルギーギ
ャップが確保できる。
【0048】(実施例2)この実施例の構造は、実施例
1の構造に光ガイド層をさらに備えた構造である。つま
り、この構造を図12に示す。p型クラッド層をリッジ
ストライプにエッチングするときに、エッチングストッ
パ層700によりエッチングを停止させるものであり、
これは実施例1と同様である。
【0049】この構造の伝導帯のバンド図を図13に示
す。この実施例の場合も可飽和吸収層でのキャリアが、
可飽和吸収層に隣接する層に拡散するのを抑制する必要
もある。ここでもエネルギ−ギャップ差は、可飽和吸収
層の基底準位と、隣接するクラッド層の伝導帯の底との
エネルギー差は、100meV〜210meVに設定す
る。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、可飽和吸
収層と活性層とのエネルギーギャップを制御し、かつ、
可飽和吸収層上にエッチングストッパ層を設けること
で、安定した自励発振特性のレーザを実現でき、しか
も、特性のばらつきの少ない半導体レーザを安定に大量
生産することができる。
【0051】さらに、可飽和吸収層に隣接するクラッド
層とのエネルギーギャップ差を調整することにより、可
飽和吸収層から隣接する層へのキャリアの拡散が抑制さ
れ、特性のよい自励発振特性をもつレーザを実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の半導体レーザの構造断面図
【図2】第1の実施例のバンドギャップエネルギー図
【図3】第1の実施例の光出力特性図
【図4】第1の実施例の特性図
【図5】本発明の第1の実施例のTmax、Pmax特性図
【図6】Pmaxの説明図
【図7】本発明のエネルギーギャップと動作電流との関
係とを示す特性図
【図8】本発明の動作電流と寿命時間との関係を示す特
性図
【図9】第1の実施例の製造工程断面図
【図10】ストライプの内部と外部とで可飽和吸収層の
厚みが異なった構造断面図
【図11】光出力のばらつきを示す特性図
【図12】第2の実施例の半導体レーザの構造断面図
【図13】第2の実施例のバンドギャップエネルギー図
【符号の説明】
100 エッチングストッパ層 101 基板 102 バッファ層 103 n型クラッド層 104 活性層 105 p型クラッド層 106 可飽和吸収層 110 コンタクト層 111 電流ブロック層 112 キャップ層 113 p電極 114 n電極 700 エッチングストッパ層 707 光ガイド層
フロントページの続き (72)発明者 福久 敏哉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 高森 晃 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−260716(JP,A) 特開 平6−196810(JP,A) 特開 平2−226780(JP,A) 国際公開97/13303(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 3/18 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも量子井戸層を有する活性層と、
    可飽和吸収層とを備え、 前記可飽和吸収層の基底準位間のエネルギ−ギャップ
    が、前記量子井戸層の基底準位間のエネルギ−ギャップ
    よりも、30〜200meV小さく、 前記可飽和吸収層上に、エッチングストッパ層を備えた
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 【請求項2】少なくとも量子井戸層を有する活性層と、
    前記活性層を挟む1対のクラッド層と、前記少なくとも
    1つのクラッド層中に形成した光ガイド層と、可飽和吸
    収層とを備え、 前記可飽和吸収層の基底準位間のエネルギ−ギャップ
    が、前記量子井戸層の基底準位間のエネルギ−ギャップ
    よりも、30〜200meV小さく、 前記可飽和吸収層上に、エッチングストッパ層を備えた
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  3. 【請求項3】前記可飽和吸収層の基底準位と、前記可飽
    和吸収層に隣接する層の伝導帯底のとエネルギーギャッ
    プ差が、100〜210meVであることを特徴とする
    請求項1または2に記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】前記可飽和吸収層がGaInPまたはAl
    GaInPであり、前記可飽和吸収層に隣接する層が、
    (AlxGa1-x)yIn1-yPであり、y>0.25であ
    ることを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】さらに、x×y>0.3であることを特徴
    とする請求項3に記載の半導体レーザ。
  6. 【請求項6】前記可飽和吸収層がGaInP、またはA
    lGaInPであり、前記可飽和吸収層に隣接する層
    が、(AlxGa1-x)yIn1-yPであり、y>0..5
    1、x×y>0.3であることを特徴とする請求項3に
    記載の半導体レーザ。
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