JPH11204297A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

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JPH11204297A
JPH11204297A JP10007991A JP799198A JPH11204297A JP H11204297 A JPH11204297 A JP H11204297A JP 10007991 A JP10007991 A JP 10007991A JP 799198 A JP799198 A JP 799198A JP H11204297 A JPH11204297 A JP H11204297A
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俊夫 増田
Junichi Tanaka
潤一 田中
Tetsunori Kaji
哲徳 加治
Katsuya Watanabe
克哉 渡辺
Toru Otsubo
徹 大坪
Ichiro Sasaki
一郎 佐々木
Shigeru Shirayone
茂 白米
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大口径のウエハに対してもエッチングレートや
選択比の均一性を確保し易いプラズマ処理装置及びプラ
ズマ処理方法を提供する。 【解決手段】高周波電源が前記一対の電極間に10MH
zないし300MHzの高周波電力を印加するものと
し、一対の電極の間隙が15mm以上100mm以下で
あり、この一対の電極の少なくとも一方に接する面にお
いて前記高周波電源により生じる電界と交差する方向に
静磁場もしくは低周波磁場を形成する磁場形成手段を備
え、この磁場形成手段は、前記一対の電極間に形成され
るプラズマのシース部において該シースに対して略平行
な2ガウス以上100ガウス以下の強度の磁場を形成
し、該磁場と前記電界との相互作用により、電子サイク
ロトロン共鳴または電子シース共鳴を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ処理装置お
よび処理方法に係り、特に半導体製造工程における微細
なパターンを形成するのに好適なプラズマ処理装置およ
びプラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体製造工程における微細
加工プロセスではプラズマ処理装置が広く用いられてい
るが、その中でもいわゆる平行平板型のプラズマ処理装
置は、構造が比較的簡単である、均一性にすぐれる、と
いったメリットがあるために広く使用されている。
【0003】一般的な平行平板型のプラズマ処理装置
は、処理室内の上下に対向して平行に設けられた平板型
の電極に高周波電力を印加して発生するプラズマにより
ウエハを処理するものであり、たとえばエッチング処理
の場合には、処理室内にエッチングガスを導入して、プ
ラズマによりエッチングガスを解離させてイオンとラジ
カル(励起活性種)を生成し、ウエハ表面に作用させて
エッチングを行う、いわゆる反応性イオンエッチング
(RIE:Reactive Ion Etching)法が用いられてい
る。
【0004】また、特開平7−297175号に記載さ
れるように、上下の電極に異なる周波数の電力を与える
ことにより、すなわちプラズマを発生させる電極に印加
する高周波電力の周波数を数十MHz以上とし、試料を
設置した電極に印加する電力の周波数を数MHz以下と
することにより、プラズマ密度と試料の自己バイアスす
なわちイオンのエネルギーを独立に制御する2周波励起
法(IEM:Ion Energy Modulation)が用いられてい
る。
【0005】一方、上記のような平行平板型のプラズマ
処理装置において、およそ30〜90ガウスの磁場を上
下電極に平行に加えたプラズマ処理装置(MERIE:
Magnetically Enhanced RIE)が用いられており、磁場
の効果によりRIEよりも高いエッチレートが得られ
る。また、特開平2−312231号に記載されるよう
に、100ガウス以上の磁場によりプラズマ密度を高め
たマグネトロン方式のRIEによるプラズマ処理装置
(M−RIE:Magnetron RIE)も用いられている。こ
れは電極間に平行な磁場を形成することにより、上部・
下部の電極間に発生する電界との相互作用によって電子
が磁力線にまきつくようにサイクロイド運動をすること
で電子とガスとの衝突頻度が高まるために高いプラズマ
密度が得られるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、半導体デバ
イスの高集積化にともない、プラズマ処理装置には、ア
スペクト比の大きな(すなわち細くて深い)コンタクト
ホールやヴィアホールを高速に再現性よく、しかも制御
性よくエッチングすること、すなわち微細加工性と処理
速度さらに選択比の向上が要求されている。さらにウエ
ハ径の大口径化にともない、大口径のウエハ全面にわた
ってエッチングレートや選択比の均一性を確保する必要
がある。
【0007】この要求に応えるためには、処理ガス圧を
低圧化してプラズマ中における分子衝突頻度を減少させ
てイオンやラジカルの方向性を増すとともに、プラズマ
を高密度化してイオンやラジカルの密度を増加させ、さ
らにエッチングガスの解離状態を制御してプロセス条件
を最適化することが必要である。また、このときにプラ
ズマ密度がリアクタ内部で局所的に高い領域があるとイ
オン・ラジカルの密度やエッチングガスの解離状態が分
布をもってしまい均一性の確保が難しくなるので、プラ
ズマの密度や解離状態を、プラズマ全体やウエハ全面に
わたって一様に制御できるのが望ましい。さらにさまざ
まなエッチング条件に対応するために、またプロセス構
築を短時間に行うために、最適なプロセス条件の範囲が
広くとれること、すなわちプロセスマージンを広くと
れ、しかも制御性がよいことも必要である。
【0008】このような要求に対して、前記の従来技術
では次のような課題があった。
【0009】前記の平行平板型のプラズマ処理装置で
は、周波数を上げることにより、低圧力でもプラズマ密
度を低下させることなくプラズマを安定に発生させるこ
とができる。しかし、単に圧力を低くしただけでは高エ
ネルギーのイオンが増加するためにウエハにダメージを
与えてしまう。
【0010】前記の2周波励起法(IEM)は、プラズ
マ密度とイオンのエネルギーを独立に制御することでこ
の問題を解決するものである。しかしながらこのIEM
法においては、プロセスを支配するエッチングガスの解
離状態は直接に制御できるものではなく、解離状態は処
理室内の圧力やエッチングガスの流量、高周波電力・バ
イアス電力などの条件を適宜組み合わせて間接的に制御
せざるをえない。そしてこれらの条件は相互に複雑に関
連しあっているためにプロセス構築が容易ではなかっ
た。
【0011】また、平行平板型のプラズマ処理装置で
は、プラズマの安定化のために、プラズマを発生させる
電極に比べて処理室内部の設置面積の部分を広くとる必
要があるが、このために処理室内部で電界の分布が一様
にならず、ウエハ周辺部に電界強度の高い部分が生じる
ため、プラズマ密度に分布が生じる。特にウエハ径の大
口径化にともなって電極径が大きくなるとこの傾向はい
っそう顕著になり、均一性の確保はますます困難とな
る。
【0012】また、前記のM−RIE法では、マグネト
ロンによりプラズマ密度を増加させるためには少なくと
も100ガウス以上の強い磁場が必要であるが、このよ
うな強磁場では電界と磁界の相互作用により生じるドリ
フト(E×Bドリフト)によりプラズマ密度に大きな偏
りが生じてしまう。また強磁場によってウエハ上の電位
が偏ることによりウエハにダメージが発生する。
【0013】この問題を解決するために、特開平7−2
88195号公報に記載されるように、磁場を発生させ
る磁石を回転することが行われているが、回転機構が大
がかりとなる欠点がある。またE×Bによる電子のドリ
フト方向に磁界強度が弱くなるように磁石を配置して磁
場に勾配を与えることにより、試料に平行な磁場の最大
値として200ガウスを加えても、偏りの無い均一なプ
ラズマが得られる。しかし、ウエハの大口径化にともな
い、ウエハ全面にわたる広い領域で均一なプラズマ密度
を得る磁場の設計は困難さを増す。また磁場強度の分布
を一度固定すると、プラズマが均一となる条件が特定の
狭い条件範囲に限定されるため、プロセスマージンが狭
く、さまざまな処理条件の変化に容易に対応できない欠
点がある。また強磁場を用いる場合、磁場の外部への漏
洩に対する対策も十分に行う必要がある。
【0014】また前記のMERIE法では、磁場強度が
およそ30〜90ガウスであるため、ドリフトの影響は
M−RIE法に比べれば小さいが、やはりおよそ50〜
60ガウスを越える磁場強度ではドリフトの影響が現れ
はじめてくる。このため、磁場に勾配を与える必要があ
り、M−RIE法と本質的に同じ課題を抱えている。
【0015】さらに、前記のRIE法やM−RIE法で
はさまざまなプロセス条件に対応するために、プロセス
ガスに微量の酸素ガスを添加してエッチングガスの解離
状態やエッチング特性を制御することが一般に行われて
いる。しかし、たとえば酸化膜エッチングでは、酸素ガ
スを添加するとSiO2のエッチング終了にともなうた
とえばCOといった酸素を含む分子を用いた終点検出が
行えなくなる欠点があり、エッチング深さを時間で管理
せざるをえず、エッチング精度の確保が難しい。また,
自己整合コンタクト(SAC:Self Aligned Contact)
では,窒化膜に対して酸化膜を高い選択比でエッチング
する必要があるが,酸素ガスを添加すると選択比が高く
とりにくいため,プロセスマージンが低下する。
【0016】このように、上記の平行平板型のプラズマ
処理装置では、IEM法やM−RIE法によっては、大
口径のウエハ全面にわたって低圧力で高密度のプラズマ
を均一に保った上でプラズマやエッチングガスの解離を
制御することは困難さを増している。また、圧力やガス
流量、電力などの条件を最適化してプロセス構築がよう
やく行えたとしても、最適なプロセス条件の範囲が狭
く、プロセス条件の変化への対応は困難である。また、
酸素ガスの添加によるガスの解離制御は、終点検出が行
えないという欠点をもつ。このためプラズマの状態やエ
ッチングガスの解離を制御できるあらたな好適な手段が
強く望まれるところである。
【0017】本発明はかかる状況においてなされたもの
であり、本発明の目的は、プラズマ全体やウエハ全面に
わたる広い範囲にわたってプラズマ状態やエッチングガ
スの解離状態の制御を可能とし、大口径のウエハに対し
てもエッチングレートや選択比の均一性を確保し易いプ
ラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することに
ある。
【0018】本発明の他の目的は、最適なプロセス条件
の範囲が広くとれ、しかも制御性がよいプラズマ処理装
置及びプラズマ処理方法を提供することにある。
【0019】本発明の他の目的は、ウエハ上の電位の偏
りに起因するダメージや、これをさけるための勾配磁場
の設計にともなう困難さがないプラズマ処理装置及びプ
ラズマ処理方法を提供することにある。
【0020】本発明の他の目的は、酸化膜エッチングの
場合にも、COなどの酸素を含む分子を用いた終点検出
が可能で、精度の高い、しかも高選択なエッチングを実
現できるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供
することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、真空処
理室と、一対の電極を含むプラズマ生成手段と、前記電
極の一方を兼ねるとともに該真空処理室内で処理される
試料を載置する試料載置面を有する試料台と、前記一対
の電極間に高周波電力を印加する高周波電源と、前記真
空処理室を減圧する減圧手段とを有するプラズマ処理装
置において、前記高周波電源は、前記一対の電極間に1
0MHzないし300MHzの高周波電力を印加するも
のであり、前記一対の電極の間隙が15mm以上100
mm以下であり、該一対の電極の少なくとも一方に接す
る面において前記高周波電源により生じる電界と交差す
る方向に静磁場もしくは低周波磁場を形成する磁場形成
手段を備え、前記磁場形成手段は、前記一対の電極間に
形成されるプラズマのシース部において該シースに対し
て略平行な2ガウス以上100ガウス以下の強度の磁場
を形成し、該磁場と前記電界との相互作用により、電子
サイクロトロン共鳴(ECR−S)、または電子シース
共鳴(ESR)を生成することにある。
【0022】本発明の他の特徴は、真空処理室と、一対
の電極を含むプラズマ生成手段と、前記電極の一方を兼
ねるとともに該真空処理室内で処理される試料を載置す
る試料載置面を有する試料台と、前記真空処理室を減圧
する減圧手段とを有するプラズマ処理装置において、前
記一対の電極間に10MHzないし300MHzの高周
波電力を印加する高周波電源と、前記一対の電極の少な
くとも一方のプラズマに接する面において前記高周波電
源により生じる電界と交差する方向に100ガウス以下
の範囲で任意に制御可能な強度の静磁場もしくは低周波
磁場を形成する磁場形成手段とを備え、また前記磁場形
成手段は、電子共鳴磁場強度において、前記一対の電極
の少なくとも一方のプラズマに接する側の面の近傍の略
全面に対応する位置に前記磁場と前記電界との相互作用
による電子共鳴領域を形成し、また前記の電子共鳴現象
を前記磁場形成手段により制御することにより、プラズ
マ密度・プラズマの電子エネルギー分布・プロセスガス
の解離状態を制御することにある。
【0023】本発明の他の特徴は、前記磁場形成手段
が、前記高周波電力の周波数fに対して、 Bc(ガウス)=0.357×f(MHz) で定義される電子サイクロトロン共鳴(ECR−S)磁
場強度Bc、及び、 Bs(ガウス)=Bc/2(ガウス) で定義される電子シース共鳴(ESR)磁場強度Bsに
おいて、前記一対の電極の少なくとも一方のプラズマに
接する側の面の近傍の略全面に対応する位置に前記磁場
と前記電界との相互作用による電子サイクロトロン共鳴
領域または電子シース共鳴領域を形成し、また、前記磁
場形成手段により発生する磁場強度を100ガウス以下
の範囲で制御可能としたことにある。
【0024】本発明の他の特徴は、前記電極が、上部、
下部一対の平行平板電極からなり、平行磁場の発生位置
を上部電極板の下面にあわせることにより、前記電子共
鳴の生じる領域を、前記上部電極板の下面シース部のほ
ぼ全面にわたる領域に形成することにある。
【0025】本発明の他の特徴は、真空処理室と、一対
の電極を含むプラズマ生成手段と、前記電極の一方を兼
ねるとともに該真空処理室内で処理される試料を載置す
る試料載置面を有する試料台と、前記一対の電極間に高
周波電力を印加する高周波電源と、前記真空処理室を減
圧する減圧手段とを有するプラズマ処理装置による試料
のプラズマ処理方法において、前記高周波電源は、前記
一対の電極間に10MHzないし300MHzの高周波
電力を印加するものであり、前記一対の電極の間隙が1
5mm以上100mm以下であり、該一対の電極の少な
くとも一方に接する面において前記高周波電源により生
じる電界と交差する方向に静磁場もしくは低周波磁場を
形成する磁場形成手段を備え、前記一対の電極間に形成
されるプラズマのシース部において、前記磁場形成手段
により、該シースに対して略平行な2ガウス以上100
ガウス以下の強度の磁場を形成し、該磁場強度を変化さ
せてプラズマ密度・プラズマの電子エネルギー分布・プ
ロセスガスの解離状態を制御して、電子サイクロトロン
共鳴、または電子シース共鳴を生成させ、該両電子共鳴
の程度を制御することにより、前記試料を処理するプラ
ズマ密度・プラズマの電子エネルギー分布・プロセスガ
スの解離状態を制御することにある。
【0026】本発明によれば、2種類の電子共鳴(EC
R−S、ESR)の大きさを調整することにより、プラ
ズマの分布を制御できる。すなわち、電子共鳴の領域が
電極の略全面に対応する位置に形成されるために、プラ
ズマ状態やエッチングガス解離状態の制御が、プラズマ
中の局所的な領域ではなくプラズマ全体やウエハ全面に
わたる広い範囲にわたって可能であるために、大口径の
ウエハに対してもエッチングレートや選択比の均一性を
確保しやすい利点がある。
【0027】また、本発明によれば、10MHzないし
300MHz、望ましくは40MHzないし150MH
zの周波数に対応する電子共鳴現象を用いているため
に、ドリフトを生じさせるような100ガウス以上の強
い磁場を用いることなく、プラズマの状態やエッチング
ガスの解離状態の制御が可能である。従って、ウエハ上
の電位の偏りに起因するダメージや、これをさけるため
の勾配磁場の設計にともなう困難さがない。
【0028】また、本発明によれば、磁場によりプラズ
マ状態を制御できるので、プロセスマージンを広く採る
ことのできるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を
実現できる。
【0029】また、本発明によれば、プラズマ状態やエ
ッチングガス解離状態の制御が、酸素ガスの添加によら
ずに可能であるため、酸化膜エッチングの場合にも、C
Oなどの酸素を含む分子を用いた終点検出が可能であ
り、しかも高選択で精度の高いエッチングが実現でき
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
図面に基づいて説明する。
【0031】図1は、本発明をプラズマエッチング装置
へ適用した実施例を示すもので、当該プラズマエッチン
グ装置の断面模式図である。図1において、処理室10
はたとえば10ー6Torr程度の真空度を達成可能な真
空容器であり、その内部には一対の対向する電極、すな
わち上部電極20と下部電極30を備えており、両者で
平行平板電極を構成している。処理室10は接地線11
により接地され、上部電極20、下部電極30は、たと
えばセラミックなどの上部電極絶縁体21、下部電極絶
縁体31により、それぞれ処理室10と絶縁されてい
る。
【0032】上部電極20は、その下側表面に上部電極
板22を備えており、またその内部にガス分散板23を
備えたガス導入室24が設けられている。試料のエッチ
ング等の処理に必要なガスは、複数のガス供給源・バル
ブ・流量制御手段(いずれも図示していない)からなる
ガス供給手段25から、所定の流量と混合比をもってガ
ス導入室24に供給され、ガス拡散板23の開口部と上
部電極20および上部電極板22に設けられた孔によっ
て所定の分布に制御された上で、処理室10に供給され
る。一方、処理室10は、バルブ・圧力制御手段・真空
ポンプ(いずれも図示していない)からなる真空排気系
12により真空排気されて、処理室10の内部が所定の
処理圧力に調整される。なお、処理室10には、エッチ
ング処理の終了を検出する終点検出装置14が、ビュー
ポート15を通して処理室10内部の状態を検出できる
ように取り付けられている。
【0033】一方、処理室10の下部には、上部電極2
0に対向して下部電極30が設けられている。下部電極
30は双極式の静電吸着装置40により、その上面、す
なわち試料載置面41に試料42を載置保持する。すな
わち、下部電極30は、外側の第1下部電極30Aと、
その内側上方に絶縁体32を介して配置された第2下部
電極30Bによって構成され、さらに第1下部電極30
Aと第2下部電極30Bの上面には静電吸着用誘電体層
(以下、静電吸着膜と略称する)33が設けられてい
る。下部電極30Aと第2下部電極30Bは、それぞれ
高周波成分カット用のフィルタ35A、35Bを介して
直流電源36が接続されており、第2下部電極35B側
が正になるように数100V〜数kVの直流電圧を印加
する。これにより、静電吸着膜33を介して試料42と
下部電極30間に作用するクーロン力により、試料42
が下部電極30上に吸着、保持される。静電吸着膜33
としては、たとえば酸化アルミニウムや酸化アルミニウ
ムにチタン酸化物を混合した誘電体を用いる。
【0034】なお、本実施例では、双極式の静電吸着装
置を例に用いて説明したが、例えば単極式や多極式など
の他の方式の静電吸着装置でもよい。
【0035】上下電極の間隔、すなわち上部電極20の
上部電極板22の下面と下部電極30の静電吸着装置4
0の上面である試料載置面41の間の距離は、15mm
以上100mm以下、望ましくは20mm以上50mm
以下とする。
【0036】処理室10は、たとえばアルミニウムなど
の金属からなる真空容器であり、図示していない温度制
御手段を用いてその内部表面の温度をたとえば20℃か
ら150℃の範囲で変化させることにより、処理室10
内部の表面における化学反応や反応生成物の堆積を制御
する。
【0037】また、上部電極20と下部電極30も図示
していない温度制御手段により制御され、上部電極板2
2や試料42の温度を所定の温度に保って、その表面に
おける化学反応を制御する。さらに下部電極30には、
静電吸着装置40と試料42の間に不活性ガス、たとえ
ばHeガスが、所定の流量と圧力に設定されて供給され
ており、静電吸着装置40と試料42との間の熱伝達性
を高めている。
【0038】処理室10の内部表面は処理室内面カバー
13により被覆され、処理室10の内部表面の金属部が
プラズマに対して露出しない構成となっている。また、
上部電極20、上部電極絶縁体21、および下部電極3
0、下部電極絶縁体31の表面もそれぞれ上部電極カバ
ー26、下部電極カバー34により被覆されて、プラズ
マに対して露出しない。これらの処理室内面カバー1
3、上部電極カバー26、下部電極カバー34は、プラ
ズマに対して耐性の高い、たとえばSiC、AlN、S
i、石英、あるいはたとえばアルマイト処理やアルミ溶
射膜形成を施したアルミニウム、あるいはたとえばポリ
イミド系の樹脂コーティングを施したアルミニウム、に
より構成される。これらのカバーは容易に交換可能な構
造とするとともに、前記の図示していない温度制御手段
により反応生成物の堆積量、すなわち堆積膜の厚みまた
は堆積速度を一定に制御して、プラズマへの露出にとも
なう表面損傷をさけるように維持することにより、交換
の間隔を長期化して、装置メンテナンスに要する時間と
費用を低減する。
【0039】上部電極20には、マッチングボックス
(自動インピーダンス整合装置)27を介して高周波電
力を供給する高周波電源28が接続されている。また、
上部電極20はフィルタ29を介して接地されており、
このフィルタ29は上部電極20の高周波電源28の周
波数に対しては高インピーダンス、下部電極30のバイ
アス電源38の周波数に対しては低インピーダンス、と
なるような周波数特性に設定されている。一方、下部電
極30(30A、30B)にはマッチングボックス(自
動インピーダンス整合装置)37を介してバイアス電力
を供給するバイアス電源38が接続されている。また、
下部電極30はフィルタ39を介して接地されており、
このフィルタ39は、その周波数特性が、下部電極30
のバイアス電源38の周波数に対しては高インピーダン
ス、上部電極20の高周波電源28の周波数に対しては
低インピーダンスとなるように設定されている。
【0040】さらに本実施例のプラズマエッチング装置
では、上部電極20の外周部に磁場形成手段50を設け
ている。磁場形成手段50は電磁コイル51と外周ヨー
ク52、コイルヨーク53を備えており、また電磁コイ
ル51にはコイル電源54が接続されている。磁場形成
手段50は、上部電極板22の下面と下部電極30の静
電吸着装置40の上面すなわち試料載置面41の少なく
とも一方に、電極面に対して平行な磁場を形成するよう
に構成されている。
【0041】ここで、上部電極20、下部電極30の周
波数および磁場形成手段により発生する磁場強度の関係
は次のように設定する。まず、上部電極20に印加する
プラズマ発生用の高周波の周波数は、10MHz〜30
0MHz、望ましくは40MHz〜150MHzの範囲
とし、また工業用周波数13.56MHzの整数倍から
選択するのが望ましい。下部電極のバイアス電源の周波
数は、300kHz以上で、かつ上部電極の周波数の1
/4以下とする。たとえば、上部電極の周波数68MH
z、下部電極の周波数800kHzとする。また、磁場
形成手段により発生する磁場は、100ガウス以下の範
囲で、望ましくは2ガウスから60ガウスまでの範囲
で、任意に磁場強度を制御できる静磁場(あるいは1k
Hz以下の低周波磁場)とする。
【0042】上記の実施例に示したような装置構成にお
いて、磁場を用いてプラズマ中の電子共鳴現象を制御す
ることにより、プラズマ状態とプロセスガスの解離状態
を制御することが可能となる。図2は、図1のプラズマ
エッチング装置の磁場形成手段による磁場の形成状態と
電子共鳴領域の関係を示した図である。すなわち、図2
は、上下電極間およびその近傍における磁場形成手段5
0による磁場の形成状態、すなわち磁力線61の分布を
示したものである。
【0043】本発明はプラズマのシース部における電子
共鳴現象を用いてプラズマ状態を制御するものであり、
この電子共鳴現象はプラズマシース部においてシースに
対して平行な磁場を形成することでもっとも強く生じ
る。そこで、上下電極間においてプラズマシースを形成
する電極に対して平行な磁場を形成することが必要とな
る。ところが、実際の装置では、終点検出装置14や試
料の搬入機構(図1には示していない)などとの配置と
干渉させないために、磁場形成手段50は電極間よりも
上方に、すなわち上部電極20の外周部付近に設置する
必要がある。したがって、電極に対して平行な磁場が形
成される領域は、電磁コイル51本体の中心よりも低い
位置とする必要がある。このような磁場形成は、図1に
示すように、コイルヨーク53を電磁コイル51に対し
て下方に吊下げられたように配置することにより可能と
なる。
【0044】このように、コイルヨーク53を電磁コイ
ル51の内側で下方に突き出して配置することにより、
図2に示したように、電極に対して平行な磁場、すなわ
ち磁力線61が、コイルヨークの高さで、すなわち電磁
コイル51本体の中心よりも低い位置において形成され
る。そして、磁場形成手段50を最適に設計して、さら
に磁場形成手段50の高さ方向の位置を調整して、図2
に示すように平行磁場の発生位置をたとえば上部電極板
22の下面にあわせることにより、電子共鳴の生じる領
域は、上部電極板22の下面シース部のほぼ全面にわた
る領域62、および下部電極20の試料載置面のほぼ全
面にわたる領域63となるため、プラズマ状態を電極面
および試料面の広い面積範囲で磁場により効率よく制御
できる。
【0045】以下、図3ないし図6の原理説明図と、こ
の原理のシミュレーションによる検証結果である図7〜
図10を用いて、本発明の原理を説明することとする。
【0046】平行平板型のプラズマ処理装置では、上下
の電極間に高周波を印加することにより、電極間には垂
直方向に振動電界が発生する。ここで、プラズマ中のポ
テンシャルの変化から考えて、電極間に生じる電界はプ
ラズマのバルク部分では小さくシース部分で大きい。す
なわち、振動電界は、平行平板型の電極近傍のプラズマ
シース部で強く発生することになる。一方、振動電界と
直交する方向に電子共鳴を引き起こす静磁界が印加され
ていると、電子は、磁界と電界との相互作用により共鳴
的に加速されて電子共鳴現象が生じる。
【0047】ところで磁場による電子共鳴現象として、
一般にマイクロ波の電子サイクロトロン共鳴(ECR:
Electron Cyclotron Resonance)が知られている。これ
は、プラズマを生成する2.45 GHzのマイクロ波の進行方
向に対して875ガウスの磁場を加えることで、磁場の中
を磁力線にそって運動する電子がマイクロ波を共鳴的に
吸収して加速されるものであるが、この場合にはマイク
ロ波の「回転電界」が電子共鳴を生じさせる。
【0048】一方、本実施例においては、「振動電界」
により電子共鳴が生じるものであるが、この様子を図3
(a)〜(c)に示す。本図はプラズマ(灰色部)とシースの
境界部分でのシース電場による電子の挙動を示したもの
で、磁力線は紙面に対して垂直に奥行方向に向かってい
る。このとき、(a) 電子はシース電界によりシースから
押し出される方向に加速されてバルクプラズマ中で磁力
線のまわりを回転し、(b) シース電界がもっとも小さく
なるときに電子が磁力線のまわりを半回転してバルクプ
ラズマからシースに突入し、(c) 電子がさらに半回転し
たところで再び最大となったシース電界により加速され
る。
【0049】このようにして、図4に示すように、電子
はプラズマとシースの境界部で磁力線にそって螺旋運動
を行いながら共鳴的に加速されていく。この現象は、磁
場の中を軌道運動する電子がその軌道周波数に等しい周
波数の電磁波を共鳴的に吸収する現象であり、いわゆる
電子サイクロトロン共鳴(ECR)であるが、一般的に
用いられているマイクロ波の回転電界によるECRと区
別して、シースにおける振動電界によるECRであるこ
とを明示するために、以下ではECR−S(Sはシース
の意味)と呼ぶことにする。また、ECRの共鳴磁場強
度Bc(ガウス)は、一般に知られているように Bc=0.357×f f:プラズマ生成用高周波周波数(MHz) であるが、これは回転電界に対応した値であり、振動電
界によるECR−Sの場合には電子の軌道周波数がシフ
トするために、共鳴磁場強度は上記の値よりもやや高い
値をとることが後に実験的に示される。しかし、ここで
は共鳴磁場強度の値として便宜的に前式の定義を用いて
説明を進めることとする。
【0050】ところで電子が振動電界により加速される
場合、電子の回転速度がECR−Sの1/2である場合
にも共鳴的な現象が生じる。これを図5(a)〜(c)に示
す。すなわち、(a) 電子はシース電界によりシースから
押し出される方向に加速されてバルクプラズマ中で磁力
線のまわりを回転するが(b) シース電界がもっとも小さ
くなるときには電子は磁力線のまわりを1/4回転して
プラズマ中を運動しており、(c) 電子が磁力線のまわり
を1/2回転してシースに再入射するときに最大となっ
たシース電界によりシースに押し出されて反射するよう
にして共鳴的に加速されていく。
【0051】この結果、図6に示すように、電子はプラ
ズマとシースの境界部でサイクロイド状の運動を行いな
がら共鳴的に加速されていく。この現象については同軸
円筒チャンバをもちいた基礎的な原理確認が報告されて
おり(Okuno etal, Appl.Phys.Lett 64(13) p1623-162
5)、その記述にしたがって以下、電子シース共鳴(E
SR:Electron Sheath Resonance)と呼ぶこととす
る。また、ESRにおいては電子の回転速度(すなわち
周波数)がECR−Sの1/2であるから、ESRの共
鳴磁場強度Bs(ガウス)はECR磁場強度の1/2、
すなわち Bs=Bc/2=1/2×0.357×f f:プラズマ生成用高周波周波数(MHz) となる。
【0052】したがって、平行平板型のプラズマ処理装
置において、上下電極の電極面に水平方向に(すなわち
プラズマシース部に生じる振動電界と直交する方向に)
電子共鳴を生じさせる強度の磁場Bc、Bsを加えるこ
とにより、電子は、磁界とシース部の振動電界の相互作
用により共鳴的に加速されてECR−S、ESRの二つ
の電子共鳴現象が生じることになる。そして磁場強度を
変化させることにより、電子共鳴の程度を制御すること
ができ、したがってプラズマ中の電子の状態、すなわち
電子密度と電子のエネルギー分布を制御することが可能
となる。また、プロセスガスの解離はプラズマ中の電子
の状態により変化するので、磁場強度の変化により、プ
ロセスガスの解離状態が制御される。このようにして、
磁場を用いてプラズマ中の電子共鳴現象を制御すること
により、プラズマ状態とプロセスガスの解離状態を制御
することが可能となる。
【0053】また平行平板型の容量結合プラズマでは、
電子がシース部で加速されて統計的に加熱されることに
よりプラズマ中の電子にエネルギーが受け渡されていく
が、上記のECR−S、ESRでは、電子がシース部で
共鳴的に加速されるためにシース部分での電子の加速す
なわち統計加熱が効率的に行われるので、プラズマ中の
電子状態を効果的に制御することが可能となる。
【0054】次に、本実施例の装置構成における上記の
原理、すなわち水平磁場印加によるプラズマ特性とプロ
セスガスの解離状態の変化を、Arガスを用いたシミュ
レーションにより検証した結果を説明する。上部電極2
0の高周波電源28の周波数の望ましい範囲および磁場
強度との関係については後に詳しく述べることとし、以
下では高周波電源28の周波数68MHzを例にとって
説明する。この場合、ECR−S磁場強度は24ガウ
ス、ESR磁場強度はその半分の12ガウスである。
【0055】図7はプラズマ密度の磁場強度による変化
を示す。電極間隔は20mm、圧力は0.7Paであ
る。この場合、磁場強度の増加とともにプラズマ密度は
増加し15ガウスで最大となるが、その後30ガウス付
近で肩部をもちながら低下し、さらに40ガウス以上で
また増加に転じる。この挙動は、図7において破線で示
す2つのピーク、すなわちESR磁場強度である12ガ
ウスおよびECR−S磁場強度である24ガウスを中心
とする2つのピークの重ね合わせとして理解でき、EC
R−S、ESRによる効果が相互に補完的に作用してプ
ラズマ密度が変化していると考えることができる。した
がって、磁場強度をESRおよびECR磁場強度を含む
範囲で制御することによりプラズマ密度を制御すること
が可能となるわけである。
【0056】また、プラズマ密度の変化は、ECR−
S、ESR磁場強度で鋭いピークをもつのではなく、な
だらかな分布をもっている。これは、ECR−S、ES
Rの電子共鳴が、共鳴磁場強度付近の狭い範囲でのみ生
じるのでなく、ある程度の磁場強度の幅をもって生じる
ことを示しており、このような特性は制御しやすい、す
なわち制御性にすぐれた利点となる。また、電極面の全
面にわたって広い範囲で完全に均一な磁場を形成しなく
とも、ある程度までの磁場強度分布であれば、電子共鳴
が局在化することなく広い領域で生じるため、プラズマ
密度分布やプロセスガスの解離が局所的な分布をもつこ
とがないので、均一性に悪影響を及ぼしにくい。
【0057】ところで、磁場の効果は、単にプラズマ密
度の制御にとどまるものではなく、磁場強度の制御によ
りプラズマ中の電子のエネルギー分布やプロセスガスの
解離の状態をも制御することが可能となる。
【0058】図8はプラズマの電子エネルギー分布の磁
場による変化を計算した結果である。計算条件は図7と
同じである。図中、実線は磁場を印加しないときの、破
線はECR−S磁場強度に対応する24ガウスの磁場を
印加したときの、それぞれの電子エネルギー分布を示
す。この結果から、24ガウスの磁場印加により、5e
V以下の低エネルギーの電子が減少し、5〜20eVの
電子が斜線で示したように増加しており、プラズマの電
子エネルギー分布すなわちプラズマの状態が変化するこ
とがわかる。ここでは示していないが、本発明者らは、
上記の電子エネルギー分布の変化が磁場強度に応じて連
続的に生じることをシミュレーションにより確認してお
り、したがって磁場強度を制御することにより、プラズ
マの電子エネルギー分布すなわちプラズマ状態を連続的
に制御できることがわかる。また、上記のように磁場印
加による電子エネルギー分布の変化は5〜20eVで顕
著であるが、このエネルギー範囲の電子はプロセスガス
を解離させるので、ECR−S強度の磁場によりプロセ
スガスの解離状態が効率よく制御できることになる。
【0059】次に、磁場印加によるプラズマ状態の制御
がプロセスガスの解離やエッチング特性の変化にどのよ
うに影響するかを検討する。ガスの解離やエッチングは
イオンとラジカルの生成量に大きく支配される。そこ
で、イオンとラジカルの生成効率を評価するために、A
rの電子エネルギー分布と衝突断面積とから、Arガス
のイオン化衝突・励起衝突の頻度を計算した。ここで、
イオン化衝突とは電子とArガスが衝突してArガスが
イオン化される衝突過程、励起衝突とは電子とArガス
が衝突してArガスが励起される衝突過程、をそれぞれ
意味する。すなわち、 イオン化衝突:e-+Ar→e-+e-+Ar 励起衝突: e-+Ar→e-+e-+Ar である。したがって、イオン化衝突(または励起衝突)
の頻度はイオン化(または励起)の効率を示す指標であ
ると考えられる。
【0060】図9は、磁場を変化させたときのArのイ
オン化衝突の頻度の電子エネルギーに対する依存性を示
したものである。同様に、磁場を変化させたときのAr
の励起衝突の頻度の電子エネルギーに対する依存性を示
したのが図10である。両図の中で、実線は無磁場、一
点鎖線はESR磁場強度(12ガウス)、破線はECR
−S磁場強度(24ガウス)での、それぞれのイオン化
衝突(図9)または励起衝突(図10)の頻度を示して
いる。図9に示されるように、磁場を加えることにより
イオン化衝突の頻度のピークは低電子エネルギー側にシ
フトする。イオンの生成効率は各グラフの積分により比
較できるが、無磁場に比べて特にESRでイオン化効率
が増加していることがわかる。また、図10からわかる
ように、励起衝突の頻度が、ECR−S、ESRにより
無磁場に比べて約2倍近くにまで増加している。これら
の結果から、イオンおよびラジカルの生成量が磁場によ
り制御できることがわかる。したがって、磁場強度を無
磁場からESR磁場強度、またはさらにECR−S磁場
強度を含む範囲で変化させることにより、イオン化効率
と励起効率の比率、すなわちプラズマ中のイオンとラジ
カルの比を制御するようにプラズマ状態を制御すること
も可能である。
【0061】このように本発明の特徴は、シース部にお
ける磁場と電界の相互作用による電子共鳴現象を用いる
ことにより、ドリフトを生じさせないような、たかだか
数10ガウスの磁場によってプラズマの状態を効率的に
制御できることにある。さらに、電子共鳴現象は電極面
のシース部の広い領域にわたって生じるので、プラズマ
の密度や解離状態を、局所的な分布を生じさせることな
く、プラズマ全体やウエハ全面にわたる広い範囲で一様
に制御できることも大きな利点である。
【0062】ここで、上記の実施例によるプラズマエッ
チング装置とマグネトロン型のM−RIEとの違いを考
察する。すでに述べたように、M−RIEでは電子が磁
力線にそってまきつくようにサイクロトロン運動をする
ことで、電子の衝突確率が増大して低圧力でも高密度の
プラズマが生成可能となる。しかし、 M−RIEは強磁
場によって電子を拘束するものであり、電子の共鳴現象
を用いるものではないため、電子の加速が効率的には行
われない。そして電子を拘束するためには少なくとも1
00ガウス程度の強い磁場が必要であり、これに起因し
てプラズマ密度のドリフトやウエハ上の電位の偏りによ
るダメージが発生するので、たとえば磁場を回転させた
り、あるいは磁場に勾配を設けたりすることが必要とな
る。また磁場の漏洩に対する対策も十分に行う必要があ
る。一方、上記の実施例によるプラズマエッチング装置
では、ECR−SとESRの二つの電子共鳴現象を用い
ており、電子が効率的に加速される。このとき必要な磁
場強度はドリフトの影響が現れ始めてくる60ガウス以
下で良い。
【0063】したがって、ドリフトによるプラズマ密度
の不均一やウエハ上の電位の偏りは生じないので、磁場
強度は均一とすればよい。また磁場強度が小さいので磁
場を発生する電磁コイルも小型でよく、磁場の漏洩に対
する対策も容易となる。
【0064】ところで、ECR−SやESRの電子共鳴
は、低圧力ほど電子と気相中の分子の衝突が生じにく
く、共鳴現象の効果が大きく現れやすい。シミュレーシ
ョンの結果でも、磁場によるプラズマ密度の増加の効果
は2Pa以下で特に強く現れている。一方、半導体デバ
イスの高集積化にともなって微細加工性が要求されてい
るが、数Pa以下の低圧力領域では、プラズマ中におけ
る分子衝突頻度が減少してイオンやラジカルの方向性が
増すために、微細加工性が向上する。また、本発明者ら
の計算によれば、2Pa以下ではイオンエネルギーが単
色化される効果もある。したがって、電子共鳴が効果的
に生じる圧力領域は、今後必要とされる微細加工性のた
めにも望ましい方向である。
【0065】これまでに説明したように、本発明はプラ
ズマのシース部における電子共鳴現象を用いてプラズマ
状態を制御するものであり、この電子共鳴現象はプラズ
マシース部においてシースに対して平行な磁場を形成す
ることでもっとも強く生じる。
【0066】本発明の他の実施例によれば、上下電極間
においてプラズマシースを形成する電極に対して平行な
磁場を形成するとともに、磁場形成手段50の高さ方向
の位置を調整することにより、電子共鳴の生じる領域の
大きさを変化させられるので、プラズマやガス解離の状
態の面内分布を制御することができる。例えば、図11
のように、磁場形成手段50を図1よりも上方に配置す
れば、上部電極板22の下面にはやや下向きの湾曲磁場
61’が形成されるので、上部電極板22のシース部に
おける平行磁場の領域は中心付近に限定されて、斜線で
示したように上部電極板下面の主に中心部分の領域6
2’、および下部電極20の試料載置面の中心付近の領
域63’で電子共鳴が生じる。このように磁場形成手段
50の高さ方向の位置を調整することで、電子共鳴の生
じる領域の大きさを制御して、プラズマ状態の変化の程
度を調整することができる。ところで、前に述べたよう
に、一般に平行平板型のプラズマ処理装置では、電極の
外縁部に電界強度の高い部分が生じるため、プラズマ密
度は、電極外周で高く中心で低くなる傾向にある。とこ
ろが、上記のように、電子共鳴は電極の中心付近の領域
62’、および下部電極20の試料載置面の中心付近の
領域63’で生じ、しかも電子共鳴の生じる領域の大き
さは磁場により制御することができる。したがって、磁
場形成手段50の高さ方向の位置を調整し、かつ磁場強
度を変化させることにより、プラズマ状態だけでなく、
プラズマ密度の均一性をも制御することが可能となる。
【0067】次に、磁場形成手段50の構成とこれによ
り発生する磁場の平面内での磁場パターンを図12〜図
14を用いて説明する。
【0068】図12は、電磁コイル51と外周ヨーク5
2、コイルヨーク53の配置がわかりやすいように、磁
場形成手段50を上方から見たものである。電磁コイル
51は、くら型に湾曲した6個の電磁コイル51A〜5
1Fが上部電極20(ここでは図示していない)に対し
て同心円状にかつ軸対称に配置され、それぞれコイル電
源54A〜54Fに接続される。また、ヨークは、外周
ヨーク52は6個の電磁コイル51A〜51Fの外周を
とり囲むように設置され、一方、コイルヨーク53は6
個のコイルそれぞれに対応する形で53A〜53Fが分
割して配置される。そして電磁コイル51を、たとえば
51A−51D、51B−51E、51C−51Fとい
うように線対称に組合わせて、51Aから51D、51
Bから51E、51Cから51Fに向かうような磁場を
発生することで、全体として図12の上で左から右に向
かう磁場が発生する。
【0069】なお、図12ではくら型に湾曲した電磁コ
イルを用いており、この場合磁場形成手段50の外径を
小さく内径を大きくとることができる。一方、湾曲した
電磁コイルのかわりに角形の電磁コイルを用いてもよ
く、この場合、製作が容易であり、磁場形成手段50を
低コストで製作することが可能となる。
【0070】また、コイルの組合せを、51D−51
E、51A−51F、51B−51C、さらに51E−
51F、51D−51C、51A−51Bというように
順々に連続的に変えていくことにより、磁場を回転させ
ることも可能である。また、ここではわかりやすいよう
に、6個の電磁コイルが6台のコイル電源に接続される
として説明したが、もちろん、6個の電磁コイルを駆動
回路を用いて1台のコイル電源により駆動してもよい。
また、ここでは電磁コイル51の個数を6個として説明
したが、電磁コイルは2個を一組として組み合わせるの
で、偶数個であればよい。
【0071】さらに、6個のコイルに流す電流の比を変
えることで、磁場のパターンを変化させることも可能で
ある。図13〜図15は、電磁コイルの組合せを51A
−51D、51B−51E、51C−51Fとした場合
について、それぞれの電流値I1、I2、I3の比を変
えた場合の磁力線分布、すなわち磁場パターンを示して
いる。図中の破線は、試料42の領域の大きさを示して
いる。図13は、I1:I2:I3=1:1:1、すな
わち各組のコイルに同じ電流を流した場合であり、この
場合発散型の磁場パターンが得られる。一方、図14
は、I1:I2:I3=0:1:0、すなわち上下のコ
イル(51A−51D、51C−51F)には電流を流
さない場合であり、この場合ミラー型の磁場パターンが
得られる。また図15は、I1:I2:I3=1:2:
1とした場合であり、図13と図14の中間的な、ほぼ
平行な磁場パターンが得られる。後に示すように、この
ような磁場のパターンの違いにより、プラズマ状態の変
化の様子が異なることを実験的に確認している。
【0072】本実施例によるプラズマエッチング装置は
以上のように構成されており、このプラズマエッチング
装置を用いて、たとえばシリコン酸化膜のエッチングを
行う場合の具体的なプロセスを、再び図1を用いて説明
する。
【0073】まず、処理の対象物であるウエハ41は、
図示していない試料搬入機構から処理室10に搬入され
た後、下部電極30の上に載置され、静電吸着装置40
により吸着される。そして、処理室10内は真空排気系
12により真空排気されていく。一方、試料42のエッ
チング処理に必要なガス、たとえばC4F8とArが、
ガス供給手段25から、所定の流量と混合比、たとえば
Ar流量200sccm、C4F8流量10sccmを
もって、ガス導入室24に供給され、ガス分散板23と
上部電極20および上部電極板22に設けられた孔を通
過して所定の分布に制御されて処理室10に供給され
る。同時に、処理室10は、真空排気系12に備えられ
た真空ポンプと圧力制御手段(図示していない)によ
り、処理室10の内部が所定の処理圧力、例えば0.4
〜4.0Pa(パスカル)になるように圧力が調整され
る。他方、磁場制御手段50により、電極間に所定の強
度の平行な磁場が形成される。次に、高周波電源28よ
り68MHzの高周波電力を出力して、処理室10の処
理ガスをプラズマ化して解離によりイオン・ラジカルを
発生させるとともに、バイアス電源38により試料にバ
イアスをかけてエッチングをおこなう。このとき磁場制
御手段50により発生する磁場強度および磁場分布は、
圧力や流量などのプロセス条件に応じて所定の値に設定
され、プラズマ中の電子共鳴の状態やプラズマ密度およ
び分布、さらに処理ガスの解離状態を適切に制御する。
また、エッチング中は、磁場形成手段50により、たと
えば5rpm〜30rpmの速度で、磁場を回転させ
る。さらに、エッチングの進行に応じて、磁場強度を変
化させてもよい。そして、処理室10に設けられた終点
検出装置14にりよりエッチング終了を検出して、ある
いはエッチング処理の一定時間後に、高周波電力・バイ
アス電力・処理ガスの供給を停止してエッチングを終了
する。
【0074】次に、本実施例で示したプラズマエッチン
グ装置において、磁場によるプラズマ状態やエッチング
特性の制御の効果を実験的に評価した結果を示す。
【0075】まず、磁場強度によるプラズマ特性の変化
をAr/C4F8のプロセスガスを用いてイオン電流密
度およびプラズマ発光により評価した結果を図16、図
17に示す。プロセスガスは、流量比Ar/C4F8
200/6sccmの混合ガスであり、電極間隔は30
mm、処理圧力は1Paである。図16はイオン電流密
度の変化を示しており、ESR磁場強度である12ガウ
スおよび30〜36ガウス付近にピークをもち、40ガ
ウス以上では漸増していくが、この全体的な傾向は図6
に示した磁場強度によるプラズマ密度の変化のシミュレ
ーション結果に定性的に一致している。次に、磁場強度
によるプラズマ特性の変化をAr原子、Arイオンの発
光により評価した結果を図17に示す。図17で実線は
Ar原子の発光(波長452.2 nm)を、破線はArイオン
の発光(波長461.0 nm)を示す。おのおのの発光の励起
エネルギーは次のとおりである。
【0076】 Ar原子線 14.46eV Arイオン線 21.14eV したがって、Ar原子線は14.46eV以上の、Ar
イオン線は21.14eV以上のエネルギーをもつ電子
の状態を定性的に示しており、これらの発光強度の変化
はプラズマのおよそ15〜20eV以上のエネルギーの
電子の状態の変化を定性的に反映していると考えられ
る。図17でわかるように、Ar原子の発光強度は磁場
強度の増加とともに漸増していくが、一方Arイオンの
発光強度はESRに相当する約12ガウスまで増加した
後に低下に転じ、以後漸減する。この結果から、プラズ
マの状態は磁場強度の増加とともに一様に変化するので
はなく、ESR、ECR−S磁場強度で共鳴的に変化す
ることがわかる。なお、ECR磁場強度Bcは計算上は
24ガウスであるが、先に述べたように、この値は回転
電界に対応したものであり、振動電界によるECR−S
の場合にはやや高い値をとるために共鳴磁場強度が約3
0〜36ガウスになっているものと考える。
【0077】次に、エッチング用のプロセスガスの解離
状態、すなわちラジカルの生成状態の磁場による変化を
計測した結果を図18に示す。プロセスガスは、流量比
Ar/C4F8/O2 500/12/10sccmの
混合ガスであり、このガスの解離状態をCF2、CFお
よびFの発光強度により計測した。 電極間隔は30m
m、処理圧力は1Paである。Fの発光強度は磁場強度
の増加とともにESR磁場強度である約12ガウスで急
激に立ち上がり、約40ガウスを越えるまで単調増加分
に対して山をもったような形で推移する。このような挙
動は、図中に示すように、ESRとECR−Sの二つの
共鳴による効果が相互に補完的に作用した結果と考えら
れる。一方、CFやCFは磁場強度が増加しても発光
強度がほとんど変化しない。したがって、磁場によりF
ラジカルとCFラジカルCFラジカルの成分比を変
化させる、いわばラジカルの単色制御が可能なことがわ
かる。
【0078】このような単色的な解離状態の変化は、た
とえば電力や圧力・流量などのプロセスパラメータを変
化させても得られない。たとえば図19は高周波電力を
変化させたときのCF2、Fの発光強度の変化を示して
いるが、CF2、Fとも発光強度は同じような傾向をも
って増加しており、磁場のようなラジカルの単色制御の
効果は得られない。
【0079】このようなラジカル成分比の変化によりエ
ッチング特性も変化することが容易に予想されるが、こ
れを実験により確認した結果を図20〜図23により示
す。試料は、Siウエハ上に酸化膜(厚さ約2.4μ
m)・レジスト膜(厚さ約0.7μm)を形成し、0.2
8μm 〜0.40μm径のホールを加工したウエハであ
り、エッチング条件は図18と同一である。
【0080】図20は、ホールのエッチング形状の磁場
による改善の効果を示したものであり、0.3μmのホ
ールの断面のSEM写真を模式的に示したものを(a)
磁場を印加しない場合と(b)30ガウスの磁場を印加
した場合(ECR−Sに相当)を比較しているが、これ
で明らかなように、磁場の印加によりホール内壁の垂直
度と底部の開口性が向上して、ホールの抜け性・加工性
が改善されている。これは磁場印加によりラジカル成分
比F/CF2が大きくなった効果と考えられる。
【0081】図21は同じく30ガウスの磁場を印加し
た場合(実線)と磁場を印加しない場合(破線)につい
て、0.28μm 〜0.40μmの各ホールサイズ(ホ
ール径)に対するホール底部の開口径をプロットした図
であるが、磁場を印加することにより、底部開口径がホ
ール径と一致する点線の方向に近づいており、ホール底
部での形状が0.28μm 〜0.40μmのいずれにつ
いても改善されている。
【0082】また、図22はマイクロローディング(小
さい径のホールでエッチングレートが低下する現象)の
磁場による改善効果を示したものである。ここではフラ
ットサンプルでのエッチングレートを基準にした相対値
を、プロットしており、点線(=1.0)に近いほど、
マイクロローディングが小さいことを意味している。こ
の図より、30ガウスのECR−S強度の磁場を印加し
た場合(実線)には磁場を印加しない場合(破線)に比
べて、マイクロローディングが小さくなっており、マイ
クロローディングが磁場により抑制されていることがわ
かる。
【0083】さらに図23は磁場によるエッチングレー
トの均一性の向上の効果を示しており、中心と外周にお
けるエッチングレートの比(外周/中心)を、磁場印加
(30ガウス)(実線)と磁場印加なし(破線)につい
て比較している。いずれのホール径でも、磁場を印加し
たほうが中心と外周でのエッチングレートの差が小さく
なっており、磁場印加によりエッチングレートの均一性
が向上していることがわかる。これは、無磁場では電極
外縁部のエッジ効果により外周部でイオン電流密度が低
下するために外周部での抜け性が中心部に比べて低下し
ていたものが、磁場を加えることによりウエハ面全体に
わたってイオン電流密度が増加し、抜け性が向上した結
果と考えられる。
【0084】ところで、上に示した結果は、図13に示
すような発散型の磁場パターンについて得られた結果で
あった。一方、図15に示すようなミラー型の磁場につ
いては、F、CF2ラジカルの発光強度の磁場による変
化は、CF2については発散型と同様にほぼ一定である
が、Fについては図18に示した破線のようにほぼリニ
アに増加していく。したがって、磁場パターンを変化さ
せることにより、ラジカル成分比を制御することが可能
となる。
【0085】このように、本実施例で示したプラズマエ
ッチング装置においては、シース部における磁場と電界
の相互作用による電子共鳴現象を用いることにより、ド
リフトを生じさせないような、100ガウス以下、望ま
しくは2ガウスから60ガウスまでの範囲で磁場強度や
磁場パターンを制御することにより、プラズマの解離状
態やラジカル成分比、あるいはプラズマ密度や分布を制
御することができる。そして、磁場の効果により、ホー
ルのエッチング形状、マイクロローディング、エッチン
グレートの均一性を改善することが可能となる。さら
に、本発明では電子共鳴現象が電極面のシース部の広い
領域にわたって生じるので、プラズマの密度や解離状態
を、局所的な分布を生じさせることなく、プラズマ全体
やウエハ全面にわたる広い範囲で一様に制御できる。
【0086】また、従来技術の項で説明したように、R
IE法やM−RIE法ではプロセスガスに微量の酸素ガ
スを添加してラジカル成分比を変化させることでエッチ
ング特性を変化させること、たとえば抜け性を改善させ
たりすることが行われている。これは、たとえば圧力や
ガス流量といったプロセス条件を変化させると、プロセ
スウインドウからはずれてしまい、たとえば均一性が悪
化したりしてしまうためである。しかし、酸素ガスを添
加すると、たとえば酸化膜エッチングの場合には、Si
O2のエッチング終了にともなうCO分子を用いた終点
検出が行えない欠点がある。また,特にSACエッチン
グでは,酸素ガス添加により窒化膜がエッチングされる
ために酸化膜/窒化膜選択比が高くとりにくい。
【0087】ところが、これまでに説明したように、磁
場印加の制御は、プラズマの状態やエッチングガスの解
離を制御できるあらたな手段として有効であり、プロセ
ス条件を最適化することで、均一性を維持しつつラジカ
ル成分比すなわちエッチング特性を変化させることが可
能となる。したがって、酸素ガスを添加することなくエ
ッチング特性を変化させることができ、COのような酸
素を含む分子を用いた終点検出が可能となり、SACエ
ッチングの場合にも高い選択比を実現してプロセスマー
ジンを広げ、エッチングの高精度化をはかることができ
る。
【0088】次に、上部電極20に印加する高周波の周
波数と磁場形成手段50により形成される磁場強度の関
係を考察する。上記の実施例で示したプラズマエッチン
グ装置を平行平板型の容量結合プラズマとしてみた場
合、上部電極20に印加する高周波の周波数は、工業用
周波数である13.56MHzの整数倍が望ましいもの
の、RF帯域からVHF帯域の、たとえば10MHz〜
300MHzの範囲から選べばよい。一方、先に述べた
ように、ECR−S、ESR磁場強度Bc、Bs(ガウ
ス)は、次式で表わされる。
【0089】 Bc=0.357×f Bs=Bc/2=1/2×0.357×f f:プラズマ生成用高周波周波数(MHz) ここで、いくつかの周波数fについてBs、Bcを表で
示すと次のようである。
【0090】 f(MHz) Bs(G) Bc(G) 13.6 2.4 4.8 27 5 10 40 7 14 68 12 24 100 18 36 150 27 54 200 36 72 300 54 108 先に述べたように、磁場を無磁場からESR磁場強度、
またはさらにECR−S磁場強度を含む範囲で変化させ
ることによりプラズマ状態を制御できる。しかし、f=
10MHz以下ではESR磁場強度、ECR―S磁場強
度は1〜数ガウス以下となり、磁場が弱すぎるために外
乱の影響を受けやすく電子状態の制御が難しい。また、
ESR、ECR−Sの原理からわかるように電子は周波
数fに同期して運動するわけであるが、ESR、ECR
−Sの効果が現れるのはf=68MHzでおよそ1Pa程
度であり、f=10MHz以下では電子の運動の周波数
が低すぎるために、ESR、ECR−Sの効果が現れる
のはおよそ0.1Pa以下の低い圧力範囲に限られてし
まう。したがってプラズマ生成用高周波の周波数fは1
0MHz以上が必要である。また、周波数fを40MH
z以上とすれば、磁場の制御範囲は数ガウス〜10ガウ
ス以上となり、磁場の制御性がよくなる。またESR、
ECR−Sの効果が現れる圧力もおよそ0.5Pa以上
の範囲となる。したがってプラズマ生成用高周波の周波
数fは40MHz以上とするのが望ましい。
【0091】他方、たとえばf=300MHzの場合、
ESR磁場強度は54ガウス、ECR−S磁場強度は1
08ガウスとなるが、先にM−RIE法およびMERI
E法の課題で述べたように、磁場強度がおよそ50〜6
0ガウスを越えると、ドリフト(E×Bドリフト)が現
れはじめ、100ガウス以上ではドリフトの影響が顕著
となってプラズマ密度に偏りが生じたり、ウエハ上の電
位が偏ってウエハにダメージが発生したりする。したが
って、磁場形成手段により発生する磁場の強度は、10
0ガウス以下、より好ましくは60ガウス以下の範囲で
任意に制御するのが望ましく、この場合プラズマ生成用
高周波の周波数fを300MHz以下とすれば、60ガ
ウス以下の範囲ではESRを、100ガウス以下の範囲
ではESR、ECR−Sの両方を含めたかたちで、プラ
ズマ状態の制御が可能となる。さらに、周波数fを15
0MHz以下とすれば、ドリフトの影響がさほど大きく
ない60ガウス以下の範囲でESR、ECR−Sの両方
によりプラズマ状態の制御が可能となる。したがって、
プラズマ生成用高周波の周波数fは150MHz以下と
するのが望ましい。
【0092】また,ESRの効果はESR磁場強度のお
よそ1/3以下では小さくなる。ESRの大きさの程度
によってプラズマ状態を制御するには,たとえば周波数
40MHzの場合,ESR磁場強度7ガウスから考え
て,磁場強度をおよそ2ガウス以上の範囲で制御すれば
よい。したがって磁場形成手段は2ガウス以上の磁場を
発生させるものとする。もちろん,磁場形成手段のコイ
ル電流を0Aとすれば磁場は発生しないので,無磁場ま
で含めて磁場範囲を制御してもよい。
【0093】上記の磁場によるプラズマ状態の変化の周
波数による違いを概念的にまとめたのが図24である。
ここでは例として、図18に示したCF2およびFの発
光強度によるガスの解離状態の変化をもとにして、磁場
強度0〜100ガウスの範囲での発光強度の比F/CF
2の変化を周波数68MHz、150MHz、300M
Hzについて示している。
【0094】周波数68MHz(実線)では、ESR磁
場強度は12ガウス、ECR−S磁場強度は24ガウス
であり、F/CF2の値は図18に示したように磁場強
度の増加とともに約12ガウスで急激に立ち上がり、約
40ガウスを越えるまで単調増加分に対して山をもった
ような形で推移する。周波数150MHz(破線)で
は、ESR、ECR−S磁場強度に相当する27ガウス
およびおよそ54〜60ガウスに二つのピークを持ち、
またピークの高さは68MHzよりも高い。周波数30
0MHz(一点鎖線)では、ECR−S磁場強度は10
0ガウスを越えるため、ERS磁場強度の54ガウス付
近に150MHzよりもさらに高いピークがあらわれて
いる。このように、周波数が高いほどESR、ECR−
S磁場強度は大きくなるとともに、ESR、ECR−S
により解離が進んでF/CF2比が大きな値をとるよう
になる。
【0095】以上をまとめると、プラズマ生成用高周波
の周波数fは10MHz以上300MHz以下とし、4
0MHz〜150MHzの範囲が望ましい。また、磁場
強度は100ガウス以下、望ましくは60ガウス以下の
範囲で、任意に制御する。周波数が高いほどESR、E
CR−Sの効果、すなわちESR、ECR−Sによるプ
ラズマ状態や解離状態あるいはイオン化効率・励起効率
の変化は強く現れるが、これは当然プロセスによっても
大きく変わる。また、周波数が高いほどESR、ECR
−S磁場強度も大きくなる。さらにプラズマの分布状態
は電極間隔や電極径により変わるが、周波数によっても
分布状態は変化する。したがってプラズマ生成用高周波
の周波数はこれらを総合的に考慮して、最適な値を選択
すればよい。
【0096】次に図25により、本発明の他の実施例に
なる、カソードカップリング型のプラズマエッチング装
置を説明する。図25では、図1に示す実施例装置と対
応する部分には同一符号を付けて説明を省略する。図2
5に示す実施例では、カソードカップリング型として、
上部電極20が接地され、試料42を載置する下部電極
でプラズマ生成とバイアス印加を同時に行うとともに、
単極式の静電吸着装置40’を用いていることが図1に
示す実施例装置と異なっている。下部電極30’には、
高周波電源28、バイアス電源38がそれぞれマッチン
グボックス(自動インピーダンス整合装置)27、3
7、フィルタ29、39を介して接続されている。フィ
ルタ29は高周波電源28の周波数に対しては低インピ
ーダンス、バイアス電源38の周波数に対しては高イン
ピーダンスとなるように、さらにフィルタ39はバイア
ス電源38の周波数に対しては低インピーダンス、高周
波電源28の周波数に対しては高インピーダンスとなる
ように設定されている。このため、高周波電源28、バ
イアス電源38はお互いに干渉することなく動作して、
高周波電力を供給してプラズマを生成するとともに、試
料42にバイアスを印加する。また、下部電極30’に
は高周波電源28、バイアス電源38の周波数成分をカ
ットするフィルタ35を介して直流電源36が接続され
ており、下部電極30’に数100V〜数kVの直流電
圧を印加する。下部電極30’には、その上面に静電吸
着用誘電体層(以下、静電吸着膜と略称する)33’が
設けられており、静電吸着膜33’を介して試料42と
下部電極30’間に作用するクーロン力により、試料4
2が下部電極30’上に吸着・保持される。
【0097】本実施例においては、下部電極30’に印
加する電源の周波数は図1の実施例と同様であり、プラ
ズマ発生用の高周波の周波数は100MHz以上300
MHz以下、望ましくは40MHz〜150MHzの範
囲として、工業用周波数13.56MHzの整数倍から
選択するのが望ましく、バイアス電源の周波数は、30
0kHz以上で、かつプラズマ発生用の高周波の周波数
の1/4以下とする。たとえば、プラズマ発生用の高周
波の周波数68MHz、バイアス電源の周波数800k
Hzとする。また、磁場形成手段により発生する磁場
は、100ガウス以下、望ましくは2ガウスから60ガ
ウスまでの範囲で、任意に磁場強度を制御できる静磁場
(あるいは1kHz以下の低周波磁場)とする。
【0098】本実施例の構成によれば、図1の実施例と
同様に、シース部における磁場と電界の相互作用による
電子共鳴現象を用いることができ、ドリフトを生じさせ
ないような、たかだか数10ガウスの磁場によってプラ
ズマの状態を制御できる。また、電子共鳴現象は電極面
のシース部の広い領域にわたって生じるので、プラズマ
の密度や解離状態を、局所的な分布を生じさせることな
く、プラズマ全体やウエハ全面にわたる広い範囲で一様
に制御できる利点も失われない。さらに、上部電極から
はプラズマ発生用の高周波電力を印加しないため、上部
電極の構造が簡単にできるので、たとえば装置内部の堆
積膜の清掃やメンテナンスが容易になる利点がある。
【0099】次に図26により,本発明の他の実施例に
なるプラズマエッチング装置を説明する。図26では,
図1に示す実施例装置と対応する部分には同一符号を付
けて説明を省略する。図26に示す実施例は,図25と
同様にカソードカップリング型の装置であるが、上部電
極20の外側に第2上部電極20’を設けている点が図
25の実施例と異なる。
【0100】試料42を載置する下部電極30’は、電
源38’、マッチングボックス(自動インピーダンス整
合装置)37’,フィルタ39’によりプラズマ生成と
バイアス印加を同時に行う。
【0101】一方、上部電極20は設地され、その外側
に設けられた第2上部電極20’には,高周波電源2
8’がマッチングボックス(自動インピーダンス整合装
置)27’,フィルタ29’を介して接続されている。
フィルタ29’、39’、35はお互いに干渉すること
なく動作するように設定されている。また,下部電極3
0’は単極式の静電吸着装置40’として動作する。
【0102】第2上部電極20’に印加する電源の周波
数は,10MHz〜300MHz、望ましくは40MH
z〜150MHzの範囲とする。一方、下部電極30’
に印加する電源の周波数は,300kHz以上で,かつ
第2上部電極に印加する電源周波数の1/4以下とす
る。たとえば,第2上部電極20’の高周波の周波数を
100MHz,下部電極30’の周波数を13.56M
Hzとする。また,磁場形成手段により発生する磁場
は,100ガウス以下,望ましくは60ガウス以下とし
て、任意に磁場強度を制御できる静磁場(あるいは1k
Hz以下の低周波磁場)とする。
【0103】本実施例では、下部電極30’はプラズマ
生成とバイアス印加を主に行い、第2上部電極はその下
面シース部における磁場と電界の相互作用による電子共
鳴現象を用いて、プラズマの状態を制御する。このよう
に,下部電極30’と第2上部電極20’に異なる周波
数の電源を印加することにより、プラズマ生成・バイア
ス印加とプラズマ状態制御を独立して行えるのが本実施
例の特徴である。また電子共鳴現象は第2上部電極面の
シース部の広い領域にわたって生じるのでプラズマの局
所的な分布は生じない。ただし、電子共鳴の生じる領域
がウエハ外周部にあたるため、ウエハの内周と外周でエ
ッチング特性に差が生じないように上下の電極間隔は3
0mm以上とするのが望ましい。
【0104】なお、前記の各実施例は、一対の上部電極
と下部電極を有する平行平板型のプラズマ処理装置に関
するものであるが、本発明は磁場と電極シース部におけ
る電界との相互作用を用いるものであるから,電極シー
ス部において電界を発生させる他の方式のプラズマ処理
装置,たとえば,マイクロ波やUHF帯の電磁波による
電界放射を利用したプラズマ処理装置,あるいは誘導結
合方式のプラズマ処理装置に前記磁場形成手段を付加す
ることでも実現できる。
【0105】また、前記の各実施例は、いずれも処理対
象が半導体ウエハであり、これに対するエッチング処理
の場合であったが、本発明はこれに限らず、例えば処理
対象が液晶基板の場合にも適用でき、また処理自体もエ
ッチングに限らず、たとえばスパッタリングややCVD
処理に対しても適用可能である。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、電子共鳴磁場強度にお
いて、前記一対の電極の少なくとも一方のプラズマに接
する側の面の近傍の略全面に対応する位置に前記磁場と
前記電界との相互作用による電子共鳴領域を形成し、ま
た前記の電子共鳴現象を前記磁場形成手段により制御す
ることにより、プラズマ密度・プラズマの電子エネルギ
ー分布・プロセスガスの解離状態を制御するようにした
ため、プラズマ状態やエッチングガス解離状態の制御
が、プラズマ中の局所的な領域ではなくプラズマ全体や
ウエハ全面にわたる広い範囲にわたって可能である。そ
のために、大口径のウエハに対してもエッチングレート
や選択比の均一性を確保しやすい利点がある。しかも、
ドリフトを生じさせるような強い磁場を用いることはな
いので、勾配磁場の設計にともなう困難さがない。また
酸素ガスの添加によらないため、酸化膜エッチングの場
合にも、COなどの酸素を含む分子を用いた終点検出が
可能であり、精度の高いエッチングが実現できる。
【0107】また、本発明によれば、シース部における
磁場と電界の相互作用によるECR、ESRの電子共鳴
現象を磁場により制御することにより、プラズマの状態
やエッチングガスの解離状態の制御が効率的に可能であ
るため、制御性が高く、かつプロセスマージンの広いプ
ラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することが
できる。
【0108】電子共鳴磁場強度は、プラズマを発生させ
る高周波電力の周波数がたとえば68MHzの場合はE
CR磁場強度24ガウス、ESR磁場強度12ガウスで
あるので、磁場の制御範囲はたかだか数10ガウスまで
の範囲であり、ドリフトを生じさせるような強い磁場を
用いる必要がないので、ウエハ上の電位の偏りに起因す
るダメージや、これをさけるための勾配磁場の設計に伴
う困難さがない。また、電子共鳴現象は電極面のシース
部の広い領域にわたって生じるので、プラズマの密度や
解離状態を、局所的な分布を生じさせることなく、プラ
ズマ全体やウエハ全面にわたる広い範囲で一様に制御で
き、大口径のウエハに対してもエッチングレートや選択
比の均一性を確保しやすい。さらに電子共鳴領域の大き
さを調整することにより、プラズマの分布をもあわせて
制御することが可能である。さらに、プラズマ状態やエ
ッチングガス解離状態の制御が、酸素ガスの添加によら
ずに可能であるため、酸化膜エッチングの場合にも、C
Oなどの酸素を含む分子を用いた終点検出が可能であ
り、SACエッチングの場合にも高選択比を実現して精
度の高いエッチングを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例になる、プラズマエッチング
装置の断面模式図である。
【図2】図1のプラズマエッチング装置の磁場形成手段
による磁場の形成状態と電子共鳴領域の関係を示した図
である。
【図3】シースにおける電子サイクロトロン共鳴(EC
R−S:Electron Cyclotron Resonance)の原理説明図
である。
【図4】シースにおける電子サイクロトロン共鳴の原理
説明図である。
【図5】シースにおける電子シース共鳴(ESR:Elec
tron Sheath Resonance)の原理説明図である。
【図6】シースにおける電子シース共鳴の原理説明図で
ある。
【図7】磁場がプラズマ密度の変化におよぼす効果をシ
ミュレーションにより計算した結果である
【図8】磁場がプラズマの電子エネルギー分布の変化に
およぼす効果をシミュレーションにより計算した結果で
ある
【図9】磁場がArのイオン化衝突の頻度におよぼす効
果をシミュレーションにより計算した結果である
【図10】磁場がArの励起衝突の頻度におよぼす効果
をシミュレーションにより計算した結果である
【図11】本発明の他の実施例になる、プラズマエッチ
ング装置の断面模式図および、磁場の形成状態と電子共
鳴領域の関係を示した図である。
【図12】本発明の実施例の磁場形成手段を上方から見
た平面図である。
【図13】磁場形成手段による磁場パターンの一例とし
て、発散型の磁場パターンを示す図である。
【図14】磁場形成手段による磁場パターンの他の例と
して、ミラー型の磁場パターンを示す図である。
【図15】磁場形成手段による磁場パターンの他の例と
して、ほぼ平行な磁場パターンを示す図である。
【図16】磁場によるプラズマ特性の変化を、イオン電
流密度により実験的に評価した結果を示す図である。
【図17】磁場によるプラズマ特性の変化を、Arプラ
ズマの発光により実験的に評価した結果を示す図であ
る。
【図18】磁場によるプロセスガスの解離状態の変化
を、CF、CFおよびFの発光強度により計測した結
果を示す図である。
【図19】高周波電力を変化させたときのプロセスガス
の解離状態の変化を、CF、Fの発光強度により計測し
た結果を示す図である。
【図20】磁場によるエッチング特性の変化を、ホール
のエッチング形状の改善効果により示す、エッチング断
面形状図である。
【図21】磁場によるエッチング特性の変化を、ホール
のエッチング形状の改善効果により示した図である。
【図22】磁場によるエッチング特性の変化を、マイク
ロローディングの改善効果により示した図である。
【図23】磁場によるエッチング特性の変化を、エッチ
ングレートの均一性の向上の効果により示した図であ
る。
【図24】磁場によるプロセスガスの解離状態の変化
を、ミラー型の磁場について、CF2およびFの発光強
度により計測した結果を示す図である。
【図25】本発明の他の実施例になる、アノードカップ
リング型のプラズマエッチング装置の断面模式図であ
る。
【図26】本発明の他の実施例になるプラズマエッチン
グ装置の断面模式図である。
【符号の説明】
10…処理室、12…真空排気系、13…処理室内面カ
バー、14…終点検出装置、15…ビューポート、20
…上部電極、21…上部電極絶縁体、22…上部電極
板、23…ガス分散板、24…ガス導入室、25…ガス
供給手段、26…上部電極カバー、27…マッチングボ
ックス(自動インピーダンス整合装置)、28…高周波
電源、30…下部電極、31…下部電極絶縁体、32…
絶縁体、33…静電吸着用誘電体層、34…下部電極カ
バー、36…直流電源、37…マッチングボックス(自
動インピーダンス整合装置)、38…バイアス電源、4
0…静電吸着装置、41…試料、50…磁場形成手段、
51…電磁コイル、52…外周ヨーク、53…コイルヨ
ーク、54…コイル電源、61…磁力線、、62…電子
共鳴領域、63…電子共鳴領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/3065 H01L 21/302 C (72)発明者 渡辺 克哉 山口県下松市大字東豊井794番地 株式会 社日立製作所笠戸工場内 (72)発明者 大坪 徹 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 佐々木 一郎 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 白米 茂 山口県下松市大字東豊井794番地 株式会 社日立製作所笠戸工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空処理室と、一対の電極を含むプラズマ
    生成手段と、前記電極の一方を兼ねるとともに該真空処
    理室内で処理される試料を載置する試料載置面を有する
    試料台と、前記真空処理室を減圧する減圧手段とを有す
    るプラズマ処理装置において、 前記一対の電極間に10MHzないし300MHzの高
    周波電力を印加する高周波電源と、 前記一対の電極の少なくとも一方のプラズマに接する面
    において前記高周波電源により生じる電界と交差する方
    向に、100ガウス以下の範囲で任意に制御可能な強度
    の静磁場もしくは低周波磁場を形成する磁場形成手段と
    を備え、 前記一対の電極の少なくとも一方のプラズマに接する側
    の面の近傍の略全面に対応する位置において、前記磁場
    と前記電界との相互作用により、電子サイクロトロン共
    鳴(ECR−S)、または電子シース共鳴(ESR)を
    生成することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 【請求項2】真空処理室と、一対の電極を含むプラズマ
    生成手段と、前記電極の一方を兼ねるとともに該真空処
    理室内で処理される試料を載置する試料載置面を有する
    試料台と、前記真空処理室を減圧する減圧手段とを有す
    るプラズマ処理装置において、 前記一対の電極間に10MHzないし300MHzの高
    周波電力を印加する高周波電源と、 前記一対の電極の少なくとも一方のプラズマに接する面
    において前記高周波電源により生じる電界と交差する方
    向に100ガウス以下の範囲で任意に制御可能な強度の
    静磁場もしくは低周波磁場を形成する磁場形成手段とを
    備え、 前記磁場形成手段により、電子共鳴磁場強度において、
    前記一対の電極の少なくとも一方のプラズマに接する側
    の面の近傍の略全面に対応する位置に前記磁場と前記電
    界との相互作用による電子共鳴領域を形成し、該電子共
    鳴現象を制御することにより、プラズマ密度・プラズマ
    の電子エネルギー分布・プロセスガスの解離状態を制御
    することを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】真空処理室と、一対の電極を含むプラズマ
    生成手段と、前記電極の一方を兼ねるとともに該真空処
    理室内で処理される試料を載置する試料載置面を有する
    試料台と、前記真空処理室を減圧する減圧手段とを有す
    るプラズマ処理装置において、 前記一対の電極間に10MHzないし300MHzの高
    周波電力を印加する高周波電源と、 前記一対の電極間に形成されるプラズマとシースの境界
    部分において、該シースに対して略平行な磁場を形成す
    る磁場形成手段とを備え、 前記一対の電極の間隙が15mm以上100mm以下で
    あり、 前記磁場形成手段は、前記一対の電極の電極面に略平行
    な方向に電子共鳴を生じさせる電子共鳴磁場強度の磁場
    を加え、該磁場の強度を変化させて前記電子共鳴の程度
    を制御可能としたことを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. 【請求項4】請求項2または3に記載のプラズマ処理装
    置において、前記電子共鳴を、前記高周波電力の周波数
    fに対して、 Bc(ガウス)=0.357×f(MHz) で定義される磁場強度Bcで生じる電子サイクロトロン
    共鳴、または Bs(ガウス)= 1/2×0.357×f(MHz) で定義される磁場強度で生じる電子シース共鳴の少なく
    とも一方としたことを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし3のいずれかに記載のプラ
    ズマ処理装置において、前記磁場形成手段は、前記真空
    処理室の外側上方に設けられた電磁コイルと、該電磁コ
    イルの内側で下方に突き出して配置されたコイルヨーク
    とを備え、前記電磁コイルの中心よりも低い位置におい
    て前記電極に対して平行な磁場を形成することを特徴と
    するプラズマ処理装置。
  6. 【請求項6】請求項1ないし3のいずれかに記載のプラ
    ズマ処理装置において、前記高周波電源は、前記一対の
    電極間に40MHzないし150MHzの高周波電力を
    印加するものであることを特徴とするプラズマ処理装
    置。
  7. 【請求項7】請求項1ないし3のいずれかに記載のプラ
    ズマ処理装置において、前記磁場形成手段は、前記一対
    の電極の少なくとも一方のプラズマに接する面において
    前記高周波電源により生じる電界と交差する方向に60
    ガウス以下の範囲で任意に制御可能な強度の静磁場もし
    くは低周波磁場を形成することを特徴とするプラズマ処
    理装置。
  8. 【請求項8】請求項5ないし7のいずれかに記載のプラ
    ズマ処理装置において、 前記電極は上部、下部一対の平行平板電極からなり、平
    行磁場の発生位置を上部電極板の下面にあわせることに
    より、前記電子共鳴の生じる領域を、前記上部電極板の
    下面シース部のほぼ全面にわたる領域に形成することを
    特徴とするプラズマ処理装置。
  9. 【請求項9】真空処理室と、一対の電極を含むプラズマ
    生成手段と、前記電極の一方を兼ねるとともに該真空処
    理室内で処理される試料を載置する試料載置面を有する
    試料台と、前記真空処理室を減圧する減圧手段とを有す
    るプラズマ処理装置によるプラズマ処理方法おいて、 高周波電源により前記一対の電極間に10MHzないし
    300MHzの高周波電力を印加し、 磁場形成手段により、前記一対の電極の少なくとも一方
    のプラズマに接する面において前記高周波電源により生
    じる電界と交差する方向に100ガウス以下の範囲で任
    意に制御可能な強度の静磁場もしくは低周波磁場を形成
    し、電子共鳴磁場強度において、前記一対の電極の少な
    くとも一方のプラズマに接する側の面の近傍の略全面に
    対応する位置に前記磁場と前記電界との相互作用によ
    り、電子サイクロトロン共鳴または電子シース共鳴を生
    成し、前記電子共鳴現象を前記磁場形成手段により制御
    することにより、プラズマ密度・プラズマの電子エネル
    ギー分布・プロセスガスの解離状態を制御することを特
    徴とするプラズマ処理方法。
  10. 【請求項10】真空処理室と、一対の電極を含むプラズ
    マ生成手段と、前記電極の一方を兼ねるとともに該真空
    処理室内で処理される試料を載置する試料載置面を有す
    る試料台と、前記一対の電極間に高周波電力を印加する
    高周波電源と、前記真空処理室を減圧する減圧手段とを
    有するプラズマ処理装置による試料のプラズマ処理方法
    において、 前記一対の電極の間隙が15mm以上100mm以下で
    あり、 前記高周波電源により、前記一対の電極間に10MHz
    ないし300MHzの高周波電力を印加し、 前記磁場形成手段により、前記一対の電極の電極面に略
    平行な方向に電子共鳴を生じさせる強度の磁場を加え、
    該磁場強度を変化させて前記電子共鳴の程度を制御する
    ことを特徴とするプラズマ処理方法。
  11. 【請求項11】真空処理室と、一対の電極を含むプラズ
    マ生成手段と、前記電極の一方を兼ねるとともに該真空
    処理室内で処理される試料を載置する試料載置面を有す
    る試料台と、前記一対の電極間に高周波電力を印加する
    高周波電源と、前記真空処理室を減圧する減圧手段とを
    有するプラズマ処理装置により、プロセスガスを用いて
    試料をエッチングする試料のプラズマ処理方法におい
    て、 前記高周波電源は、前記一対の電極間に10MHzない
    し300MHzの高周波電力を印加するものであり、 前記一対の電極の間隙が15mm以上100mm以下で
    あり、 前記一対の電極間に形成されるプラズマとシースの境界
    部分において、磁場形成手段により、該シースに対して
    略平行な磁場を形成し、該磁場強度を変化させて生成さ
    れるESRとECR−Sの二つの共鳴により、前記プロ
    セスガスの各ラジカルの成分比を制御することを特徴と
    する試料のプラズマ処理方法。
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