JPH11204152A - 金属酸化物微粒子電極及びその製造方法 - Google Patents

金属酸化物微粒子電極及びその製造方法

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JPH11204152A
JPH11204152A JP10007854A JP785498A JPH11204152A JP H11204152 A JPH11204152 A JP H11204152A JP 10007854 A JP10007854 A JP 10007854A JP 785498 A JP785498 A JP 785498A JP H11204152 A JPH11204152 A JP H11204152A
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JP
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oxide fine
metal oxide
fine particles
fine particle
metal
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JP10007854A
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English (en)
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Yoshiyuki Ono
好之 小野
Akira Imai
彰 今井
Katsuhiro Sato
克洋 佐藤
Hidekazu Hirose
英一 廣瀬
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で可撓性を有し、光電変換素子化のため
の加工性に優れ、効率良くエネルギーを変換し得る金属
酸化物微粒子電極の提供。 【解決手段】 金属酸化物微粒子が高分子材料中に分散
されてなる複合材料を導電性支持体上に有してなること
を特徴とする金属酸化物微粒子電極である。導電性支持
体が、導電性処理を行った高分子フィルムを導電性基体
に被覆してなる態様、金属酸化物微粒子が、少なくとも
カルボキシル基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択さ
れる官能基を有する高分子化合物を含む溶液中において
金属アルコキシドを反応させて形成される態様、金属酸
化物微粒子が、酸化チタン微粒子である態様などが好ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量で可撓性を有
する金属酸化物微粒子膜(層)を有してなり、光電変換
素子化のための加工性に優れ、効率良くエネルギーを変
換し得る電極、及び該電極を簡便にかつ効率良く製造す
ることができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化石燃料の燃焼による地球温暖化や、人
口の増加に伴うエネルギー需要の増大は、人類の存亡に
関わる大きな課題となっている。太陽光は言うまでもな
く、太古以来現在まで、地球の環境を育み、人類を含む
総ての生物のエネルギー源となってきた。最近、無限で
かつ有害物質を発生しないクリーンなエネルギー源とし
て太陽光を利用することが検討されている。中でも、光
エネルギーを電気エネルギに変換するいわゆる太陽電池
が有力な技術的手段として注目されている。太陽電池用
の光起電力材料としては、単結晶、多結晶、アモルファ
スのシリコンやCuInSe、GaAs、CdSなどの
化合物半導体が使用されている。これらの無機半導体を
用いた太陽電池は10%から20%と比較的高いエネル
ギー変換効率を示すため、遠隔地用の電源や携帯用小型
電子機器の補助的な電源として広く用いられている。
【0003】しかしながら、冒頭に述べたような化石燃
料の消費を抑えて地球環境の悪化を防止するという目的
に照らすと、現時点では無機半導体を用いた太陽電池は
十分な効果をあげているとは言い難い。というのも、こ
れらの無機半導体を用いた太陽電池はプラズマCVD法
や高温結晶成長プロセスにより製造されており、素子の
作製に多くのエネルギーを必要とするためである。ま
た、Cd,As,Seなど環境に有害な影響を及ぼしか
ねない成分を含んでおり、素子の廃棄による環境破壊の
可能性も懸念される。
【0004】このような課題を解決する方法として、光
半導体(光照射によりキャリアが生成される半導体)と
電解質溶液との界面で生ずる光電気化学反応を利用した
光電気化学的なエネルギー変換装置が期待されている。
藤嶋らは、水溶液中の酸化チタン電極に光を照射する
と、水が分解され酸素と水素が得られるのと同時に対極
である白金電極と間に光電流が流れることを見い出した
(A.Fujishima,K.Honda,Natu
re,238,37(1972))。上述の光電気化学
的なエネルギー変換装置は、太陽エネルギーを電気エネ
ルギーに変換すると同時に、無尽蔵の天然資源である水
を分解してクリーンな燃料としての利用が期待される水
素を発生するものであり、注目すべきものである。
【0005】ここで電極材料として用いられている酸化
チタンは、光電気化学的に安定であり、光電気化学的な
エネルギー変換装置等の光半導体電極材料として優れた
面を有しているが、そのバンドギャップは3.0eVと
大きく、太陽光とのスペクトルマッチングが悪い。この
ため、電極材料等に酸化チタンを用いた場合には、光電
変換効率に優れたエネルギー変換装置が得られないとい
う問題がある。
【0006】このような現状の下、酸化チタンの表面に
有機色素を吸着させて増感させることが検討されている
(H.Tsubomura,Sol.Energy,2
1,93(1978)。一方、増感に寄与するのは酸化
チタンの表面に吸着された色素のみであることから、光
の利用効率を高める目的で、光半導体電極の材料等とし
て、比表面積の大きな酸化チタンを用いることが提案さ
れている(特開平1−220380号公報)。
【0007】上述の比表面積の大きな金属酸化物薄膜を
作製する手段としては、金属アルコキシドの加水分解コ
ロイド法が提案されている(特開平3−114150号
公報)。この金属アルコキシドの加水分解コロイド法
は、金属アルコキシドのアルコール溶液に、分散の安定
のために硝酸などの解謬剤の共存下で、過剰量の水を加
えて加熱し、金属アルコキシドを加水分解させて、金属
酸化物の微粒子が分散したコロイド溶液を得た後、この
コロイド溶液を塗布し、焼結させて金属酸化物微粒子薄
膜を作製する方法である。この方法によると、平均粒径
が数10nm程度の酸化チタン超微粒子が堆積した膜が
得られるが、塗布後に焼結させる際、400℃以上の温
度の熱処理が必要なため、導電性支持体に高分子フィル
ムを用いることができないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、軽量で可撓性を有する金属
酸化物微粒子膜(層)を有してなり、光電変換素子化の
ための加工性に優れ、効率良くエネルギーを変換し得る
金属酸化物微粒子電極、及び該金属酸化物微粒子電極を
簡便にかつ効率良く製造することができる金属酸化物微
粒子電極の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 金属酸化物微粒子が高分子材料中に分散されて
なる複合材料を導電性支持体上に有してなることを特徴
とする金属酸化物微粒子電極である。 <2> 導電性支持体が、導電性処理を行った高分子フ
ィルムを導電性基体に被覆してなる前記<1>に記載の
金属酸化物微粒子電極である。 <3> 金属酸化物微粒子が、少なくともカルボキシル
基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官能基を
有する高分子化合物を含む溶液中において金属アルコキ
シドを反応させて形成される前記<1>又は<2>に記
載の金属酸化物微粒子電極である。 <4> 金属酸化物微粒子が、酸化チタン微粒子である
前記<1>から<3>のいずれかに記載の金属酸化物微
粒子電極である。 <5> 高分子材料を溶解した溶媒中に金属酸化物微粒
子を分散させた金属酸化物微粒子分散液を導電性支持体
上に塗布し乾燥することを特徴とする金属酸化物微粒子
電極の製造方法である。 <6> 金属酸化物微粒子が、少なくともカルボキシル
基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官能基を
有する高分子化合物を含む溶液中で金属アルコキシドを
反応させ、該金属アルコキシドを含む複合ゲルを生成
し、更に反応を継続させることにより金属酸化物微粒子
コロイド分散ゾルを生成し、これを乾燥することにより
得られる前記<5>に記載の金属酸化物微粒子電極の製
造方法である。 <7> 複合ゲルの生成前に、少なくともカルボキシル
基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官能基を
有する高分子化合物と金属アルコキシドとを含む透明ゾ
ルを生成する前記<6>に記載の金属酸化物微粒子電極
の製造方法である。 <8> 金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子である前
記<5>から<7>のいずれかに記載の金属酸化物微粒
子凝集体の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の金属酸化物微粒子電極の
製造方法を説明すると共に、該説明を通じて本発明の金
属酸化物微粒子電極の内容を明らかにする。本発明の金
属酸化物微粒子電極の製造方法においては、高分子材料
を溶解した溶媒中に金属酸化物微粒子を分散させた金属
酸化物微粒子分散液を導電性支持体上に塗布し乾燥す
る。
【0011】−−金属酸化物微粒子分散液−− 前記金属酸化物微粒子分散液は、高分子材料を溶解した
溶媒中に金属酸化物微粒子を分散させてなる。
【0012】−金属酸化物微粒子− 前記金属酸化物微粒子は、例えば、少なくともカルボキ
シル基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官能
基を有する高分子化合物(以下、単に「高分子化合物」
と略称することがある。)を含む溶液中において金属ア
ルコキシドを反応させることにより好適に得ることがで
きる。
【0013】前記金属アルコキシドは、一般式、M(O
R)nで表される。ここで、Mは、金属元素を表す。R
は、アルキル基を表す。nは、金属元素の酸化数を表
す。前記金属アルコキシドとしては、例えば、亜鉛ジエ
トキシド等の亜鉛ジアルコキシド、タングステンヘキサ
エトキシド等のタングステンヘキサアルコキシド、バナ
ジルジエトキシド等のバナジルジアルコキド、すずテト
ライソプロポキシド等のすずテトラアルコキシド、スト
ロンチウムジイソプロポキシド等のストロンチウムジア
ルコキシド、チタニウムテトライソプロポキシド等のチ
タニウムテトラアルコキシドなどが挙げられる。これら
は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して
もよい。これらの中でも、耐久性、半導体特性の点でチ
タニウムテトラアルコキドが好ましい。
【0014】前記金属酸化物微粒子としてチタン酸スト
ロンチウム等の複合酸化物微粒子を得る場合には、前記
金属アルコキシドとして、該複合酸化物微粒子の成分で
ある少なくとも2種の金属を分子中に含むダブルアルコ
キシド等を使用することができる。この場合において、
前記複合酸化物微粒子の成分である少なくとも2種の金
属は、目的に応じて適宜選択することができる。
【0015】前記金属酸化物微粒子として酸化チタン微
粒子を得る場合、前記金属アルコキシドとしては、チタ
ニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノル
マルプロポキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタ
ニウムテトラノルマルブトキシド、チタニウムテトライ
ソブトキシド、チタニウムテトラターシャリーブトキシ
ドなどが好適に使用できる。これらの中でもチタニウム
テトライソプロポキシドが好ましく、また、後述の実施
例において使用したものが好ましい。
【0016】前記溶液には溶媒が含まれており、該溶媒
としては、有機溶媒が好適に挙げられる。本発明におい
ては、前記溶媒には極少量の水が含まれていてもよい。
前記有機溶媒としては、前記金属アルコキシドを溶解
し、かつ前記金属アルコキシドと反応しない性質を有す
るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択
することができるが、例えば、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、
ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ベ
ンゼンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用し
てもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの有機
溶媒の中でも、溶解性の点でアルコール類が好ましく、
その中でも反応制御性の点でメタノール、エタノール、
イソプロパノールが特に好ましい。なお、前記溶液は、
目的に応じて適宜選択したその他の成分を含むことがで
きる。
【0017】前記カルボキシル基を有する高分子化合物
としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する
ことができ、例えば、ポリアクリル酸、ポリペプチドな
どが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用して
もよいし、2種以上を併用してもよい。前記カルボキシ
ル基を有する高分子化合物の分子量としては、通常1,
000〜5,000,000であり、10,000〜1
00,000が好ましい。
【0018】前記ポリアクリル酸は、水溶性の高分子化
合物であり、上述のアルコール類等の有機溶媒には不溶
であるが、該アルコール類等の有機溶媒中で前記金属ア
ルコキシドを部分的に加水分解させた溶液には容易に溶
解し、均一な溶液となる性質を有する。これは、ポリア
クリル酸のカルボキシル基と前記金属アルコキシドとが
塩形成反応により結合し、高分子錯体状の化合物が形成
されるためである。
【0019】前記アミノ基を有する高分子化合物として
は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが
でき、例えば、下記構造式で表される化合物などが好適
に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。なお、下記構造式にお
いて、pは、重合度を表す。前記アミノ基を有する高分
子化合物の分子量としては、通常1,000〜5,00
0,000であり、10,000〜100,000が好
ましい。
【0020】
【化1】
【0021】前記ヒドロキシ基を有する高分子化合物と
しては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ
とができ、例えば、ポリビニルアルコールなどが好適に
挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2
種以上を併用してもよい。前記ヒドロキシ基を有する高
分子化合物の分子量としては、通常1,000〜5,0
00,000であり、10,000〜100,000が
好ましい。
【0022】前記金属酸化物微粒子は、具体的には、例
えば以下のようにして得られる。即ち、まず前記金属ア
ルコキシドを前記溶媒(例えば、アルコール類等の有機
溶媒)に添加する。ここに、前記金属アルコキシドが部
分的に加水分解するのに必要な水と、触媒としての塩
酸、硝酸、硫酸、酢酸等の酸等とを添加する。ここで添
加する水及び酸等の量は、用いる前記金属アルコキシド
(以下「金属酸化物前駆体」と称することがある)の加
水分解のし易さの程度により異なるので、一概に規定す
ることはできないが、適宜選択することができる。以上
により、前記金属アルコキシドと前記溶媒(例えば、ア
ルコール類等の有機溶媒)と前記水と前記触媒(例えば
酸)とによる混合溶液が得られる。
【0023】次に、前記混合溶液を室温〜80℃で撹拌
しながら乾燥窒素気流下で還流する。前記還流温度及び
時間も、用いる前記金属酸化物前駆体の加水分解のし易
さの程度により異なるので、一概に規定することはでき
ないが、適宜選択することができる。前記還流の結果、
前記金属アルコキシドは部分的に加水分解された状態に
なる。即ち、前記混合溶液に含まれる前記水の量は、前
記金属アルコキシドのアルコキシル基を十分に加水分解
することができない程度少量であるため、一般式、M
(OR)nで表される前記金属アルコキシドにおいて
は、その全−OR基の一部しか加水分解されず、結果と
して部分的に加水分解された状態になる。この部分的に
加水分解された状態の前記金属アルコキシドにおいて
は、重縮合反応は進行していない。このため、該金属ア
ルコキシド間において−M−O−M−の鎖は形成されて
いても、該金属アルコキシドはオリゴマー状態にある。
このオリゴマー状態にある前記金属アルコキシドを含む
前記還流後の混合溶液は、無色透明で粘度の上昇もほと
んどない。
【0024】次に、前記還流後の混合溶液の温度を室温
にまで下げてから、該混合溶液に前記少なくともカルボ
キシル基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官
能基を有する高分子化合物(好ましくはポリアクリル酸
等)を添加する。すると、本来、アルコール類等の有機
溶媒には溶解し難い、前記少なくともカルボキシル基、
アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官能基を有す
る高分子化合物が、この混合溶液には容易に溶解し、該
高分子化合物と前記金属アルコキシドとを少なくとも含
む透明ゾルが得られる。これは、前記高分子化合物のカ
ルボキシル基と前記金属アルコキシドとが塩形成反応に
より結合し、高分子錯体状の化合物が形成されるためで
ある。この透明ゾルは、通常、無色透明な均一溶液であ
る。
【0025】この透明ゾルに更に過剰量の水を加えて、
室温〜90℃程度に保持して更に反応を継続させると数
分間〜1時間程度で該透明ゾルがゲル化し、前記高分子
化合物と前記金属アルコキシドとを少なくとも含む架橋
構造の複合ゲルが形成される。
【0026】そして、前記複合ゲルを室温〜90℃程度
(通常、80℃程度)で5〜50時間保持し、更に反応
を継続させる。すると、該複合ゲルは再び溶解し、半透
明な金属酸化物微粒子コロイド分散ゾルが得られる。こ
れは、前記金属アルコキシドの加水分解反応及び重縮合
反応が進行すると共に、前記高分子化合物と前記金属ア
ルコキシドとによる塩構造が分解して金属酸化物微粒子
とカルボン酸エステル等とに変化することによるもので
ある。
【0027】以上により得られた半透明な金属酸化物微
粒子コロイド分散ゾルを、乾燥乃至焼結することによ
り、金属酸化物微粒子が得られる。前記乾燥は、例え
ば、風乾でもよいし、オーブン等の乾燥器を用いて行う
乾燥でもよいし、真空凍結乾燥でもよいし、ロータリー
エバポレーター等の機器を用いて前記溶媒を蒸発させて
もよい。前記乾燥の温度、時間等も目的に応じて適宜選
択することができる。
【0028】前記乾燥の温度にもよるが、前記金属酸化
物微粒子を含む混合物を乾燥(前記溶媒等を含む液体成
分の除去)しただけでは、前記金属酸化物微粒子中に
は、通常、前記高分子化合物又はその反応生成物が残留
している。このため、引続き、これらを除去し純粋な金
属酸化物とするため、焼成を行うのが好ましい。前記焼
成は、例えば炉等を用いて行うことができ、焼成の温度
としては、用いた前記の官能基を有する高分子化合物の
種類により異なるが、約400 ℃以上の温度が一般に採用
される。前記焼成により、有機高分子成分が熱分解する
と共に、金属酸化物微粒子の結晶化と金属酸化物微粒子
同士の焼結とが進行する。前記乾燥乃至前記焼成によ
り、二次粒子の形態の金属酸化物微粒子が得られる。な
お、前記金属酸化物微粒子コロイド分散ゾルの形成を省
略して前記複合ゲルをそのまま乾燥乃至焼結させて金属
酸化物微粒子を得てもよい。
【0029】該金属酸化物微粒子の形態としては、特に
制限はなく、例えば、前記金属酸化物微粒子コロイド分
散ゾルを、粒子状にしてから乾燥して、二次粒子の形態
の金属酸化物微粒子を得てもよいし、薄膜状にしてから
乾燥して、薄膜状の金属酸化物微粒子を得てもよい。
【0030】前記金属酸化物微粒子の製造においては、
拡散が規制された複合ゲル中で金属酸化物微粒子の形成
反応が進行するため、粗大粒子の形成や、粒子の沈降に
よる凝集等が起こらず、粒径の小さな超微粒子が均一に
分散した金属酸化物微粒子コロイド分散ゾルを得ること
ができる。また、前記金属アルコキシドの加水分解反応
及び脱水縮合反応の過程を通して、高分子錯体状の均一
相であったものが、高分子相と金属酸化物ネットワーク
相とに分離し、ミクロ相分離構造の金属酸化物微粒子が
効率よく形成される。こうして得られた金属酸化物微粒
子は、空隙に富み、嵩密度の低い粉砕性のよいため、増
感色素の吸着特性に優れ、かつ分散性にも優れる。
【0031】前記金属酸化物微粒子の大きさ、凝集構造
の周期、凝集相と空隙相との体積比等については、例え
ば、前記金属アルコキシドに対する前記高分子化合物の
添加量と、前記金属アルコキシドと前記高分子化合物と
を合わせた固形成分の前記混合溶液全体に対する割合で
所望の程度に制御することができる。即ち、前記高分子
化合物の添加量を増やすと、得られる金属酸化物微粒子
における空隙相の体積比が増し、前記金属アルコキシド
と前記高分子化合物とを合わせた固形成分の前記混合溶
液全体に対する割合を減らすと、得られる金属酸化物微
粒子の凝集構造の周期が小さくなり、空隙相の密度は増
すが、金属酸化物微粒子そのものの大きさは大きくな
る。
【0032】前記金属アルコキシドに対する前記高分子
化合物の添加量としては、前記固形成分の前記混合溶液
全体に対する割合に応じて異なるため、一概には規定す
ることはできないが、一般には重量比で0.1〜1が好
ましく、0.2〜0.8がより好ましい。前記重量比
が、0.1未満であると、−M−O−M−の大きな3次
元ネットワークが成長してしまうため、複合ゲルが再溶
解せず、1を越えると、比較的大きな空隙が生じ不透明
な金属酸化物の粒子乃至膜となってしまう。
【0033】前記固形成分の前記混合溶液全体に対する
割合としては、前記金属アルコキシドに対する前記高分
子化合物の添加量に応じて異なるため、一概には規定す
ることはできないが、一般には1〜10wt%が好まし
く、2〜5wt%がより好ましい。前記割合が、1wt
%未満であると、複合ゲル化反応の進行が遅く、流動性
の高い透明ゾル状態で金属酸化物微粒子が形成され、粗
大な微粒子が形成され、10wt%を越えると透明ゾル
から複合ゲルへの進行が速く、均一な複合ゲルが得られ
ないことがある。
【0034】次に、本発明の好ましい態様の一例であ
る、チタニウムテトライソプロポキシドを用いた酸化チ
タン微粒子を得る場合について説明する。まず、チタニ
ウムテトライソプロポキシドをアルコールに添加して混
合溶液を調製する。このとき、該アルコールには、水と
触媒としての酸とが添加されるが、該水はチタニウムテ
トライソプロポキシドに対して0.1倍モル〜等モル程
度、該酸はチタニウムイソプロポキシドに対して0.0
5倍モル〜0.5倍モル程度それぞれ添加するのが好ま
しい。
【0035】次いで、チタニウムテトライソプロポキシ
ドとアルコールと水と酸とによる混合溶液を、室温〜8
0℃で撹拌しながら乾燥窒素気流下で還流する。ここで
の還流温度及び時間は、80℃で30分〜3時間程度が
好ましい。この還流の結果、透明な混合溶液が得られ
る。この混合溶液中では、チタニウムテトライソプロポ
キシドは部分的に加水分解された状態になっており、オ
リゴマー状態にある。
【0036】そして、この混合溶液の温度を室温にまで
下げて、この混合溶液にポリアクリル酸を添加する。す
ると、本来アルコールには解けにくいポリアクリル酸が
この混合溶液には容易に溶解し無色の透明ゾルが得られ
る。これは、ポリアクリル酸のカルボン酸とチタニウム
テトライソプロポキシドとが塩形成反応により結合し、
高分子錯体状の化合物が形成されるためである。この透
明ゾルに更に過剰量の水を加えて、室温〜80℃に保持
すると数分間〜1時間程度で該透明ゾルがゲル化し、ポ
リアクリル酸とチタニウムテトライソプロポキシドとを
少なくとも含む架橋構造の複合ゲルが形成される。
【0037】この複合ゲルを80℃程度で5〜50時間
保持すると、該複合ゲルは再び溶解し半透明なゾルが得
られる。これは、チタニウムテトライソプロポキシドの
加水分解反応及び重縮合反応が進行すると共に、ポリア
クリル酸とチタニウムテトライソプロポキシドとの塩構
造が分解して、酸化チタンとカルボン酸エステルとに変
化するためである。こうして得られたゾル溶液を、ディ
ップコーティング法等によって適当な基板に塗布し、約
400℃以上の高温に加熱する。すると、酸化チタン微
粒子の結晶化と酸化チタン微粒子同士の焼結が進行する
と同時に高分子相が熱分解して、酸化チタンが相分離状
に凝集した膜状の酸化チタン微粒子が形成される。
【0038】チタニウムテトライソプロポキシドに対す
るポリアクリル酸の量としては、重量比で0.3〜0.
7が好ましい。前記重量比が、0.3未満であると−M
−O−M−の大きな3次元ネットワークが成長してしま
い、ゲルが再溶解せず、0.7以上であると、比較的大
きな空隙が生じ不透明な膜となってしまう。また、チタ
ニウムテトライソプロポキシドとポリアクリル酸との固
形成分の前記混合溶液全体に対する割合としては、1w
t%〜10wt%が好ましい。前記割合が、1wt%以
下であると、複合ゲル化反応の進行が遅く、流動性の高
いゾル状態で酸化チタン微粒子が形成され、粗大な酸化
チタン微粒子が形成され、10wt%を越えると、透明
ゾルから複合ゲルへの進行が速く、均一な複合ゲルが得
られない。
【0039】前記金属酸化物微粒子は、一次粒子の形態
の金属酸化物微粒子が複数個凝集した相と、金属酸化物
微粒子が無い空隙相とに分離した相分離状構造を有す
る。前記金属酸化物微粒子において、それ自身が二次粒
子としての、あるいは薄膜としての形態を維持するため
に、一次粒子の形態の金属酸化物微粒子が凝集した相
は、3次元的に連続したネットワーク状の連続相を呈し
ている。このような構造をとることにより、前記金属酸
化物微粒子においては、金属酸化物微粒子同士の間に体
積の小さな空隙や、金属酸化物微粒子が複数個凝集した
相同士の間にそれよりも大きい空隙が生ずる。
【0040】なお、前記金属酸化物微粒子の構造は、一
つ一つの金属酸化物微粒子の粒径と相分離の平均的な空
間周期、相分離構造のトポロジー、凝集相と空隙相との
体積比等により規定することができる。本発明の金属酸
化物微粒子の構造としては、特に制限はなく、目的に応
じて適宜選択することができるが、例えば、これらに色
素吸着を行い、光電変換素子等として用いる場合には、
色素の浸透のための空間を確保するため、相分離の平均
的な空間周期が少なくとも金属酸化物微粒子の粒径より
も大きいことが要請される。また、該空間周期が、薄膜
の厚み、素子の大きさと比較して十分に小さいことが、
素子の特性の空間的なばらつきを抑えることができる点
で好ましい。また、該薄膜全体に色素などを浸透させる
ためには、金属酸化物微粒子における凝集相中の色素等
の拡散長と同程度の周期にすることが好ましい。
【0041】前記金属酸化物微粒子の粒径としては、通
常1〜600nmであり、5〜200nmが好ましく、
10〜100nmがより好ましい。前記粒径が、1nm
未満であると製造性を損なうことがあり、600nmを
超えると機能が相対的に減少することがある。
【0042】これらの外に前記金属酸化物微粒子の構造
を規定するパラメーターとしては、特に制限はないが、
相分離構造のトポロジーにおいては、凝集相が3次元的
に連続していることが素子の機械的強度、電子的な特性
の観点から重要になる。凝集相と空隙相との体積比とし
ては、特に制限はないが、必要以上の空隙相が存在する
と単位膜厚当たりの表面積が低下する点で不利になる。
【0043】前記金属酸化物微粒子の種類としては、例
えば、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化タング
ステン微粒子、酸化バナジウム微粒子、酸化すず微粒
子、酸化銅微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子等が
好適に挙げられる。これらの中でも、前記金属酸化物微
粒子を光電極等として利用した場合に光照射時に溶解す
る等の問題がなく安定な酸化チタン微粒子、チタン酸ス
トロンチウム微粒子等が特に好適に挙げられる。
【0044】−高分子材料− 前記高分子材料としては、公知の樹脂の中から適宜選択
することができ、例えば、ポリビニルブチラール、ポリ
ビニルカルバゾール、ポリエステル類、ポリカーボネー
ト類、ポリビニルクロライド類、ポリアクリレート類、
ポリメタクリレート類、塩化ビニル/酢酸ビニルの共重
合体、フェノキシ樹脂、ポリウレタン類、ポリビニルア
ルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンなどが
挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、
2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分散性の
良好な点でポリビニルブチラールが好ましい。
【0045】−溶媒− 前記高分子材料を溶解する溶媒としては、公知の溶剤の
中から適宜選択することができ、例えば、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノー
ル等のアルコール類、シクロヘキサン、トルエン、キシ
レン、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、塩
化メチレン、トリクロロエチレン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、酢酸ブチル、酢酸エチル
等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分散
性の点で酢酸ブチルが好ましい。
【0046】−金属酸化物微粒子分散液の調製− 前記金属酸化物微粒子分散液は、前記高分子材料を溶解
した前記溶媒中に前記金属酸化物微粒子を分散させるこ
とにより得られる。前記高分子材料と前記金属酸化物微
粒子との容量比としては、特に制限はなく、目的に応じ
て適宜選択することができるが、10〜90vol%程
度が好ましい。前記容量比が、90vol%を越えると
得られる金属酸化物微粒子電極の機械的強度が低下する
ことがある一方、10vol%未満であると金属酸化物
微粒子同士の接触十分に得られず、得られる金属酸化物
微粒子電極の電気的特性が低下することがある。
【0047】前記分散は、前記金属酸化物微粒子と、前
記高分子材料と、前記溶媒とを、ペイントシェーカー、
ボールミル、サンドミル、磨砕機等の装置内に充填し、
これらを混合すること等により達成できる。この際、ガ
ラスビーズ、スチールショット、セラミックビーズなど
の粉砕補助媒体を前記装置内に入れてもよい。
【0048】−−導電性支持体−− 前記導電性支持体としては、導電性を有するものであれ
ば特に制限はなく、例えば、ガラス表面上に酸化スズや
インジウム・スズ酸化物の薄層を設けたいわゆる透明導
電性ガラス、ポリマーフィルムの表面上に酸化スズやイ
ンジウム・スズ酸化物、金、白金、チタンなどの薄層を
設けたもの、金属基体、該金属基体等の導電性基体に導
電性処理を行った高分子フィルムを被覆してなるもの、
等が挙げられる。これらの中でも、軽量でかつ可撓性を
有する金属酸化物微粒子電極を得ることができる点で、
特にポリマーフィルムの表面上に酸化スズやインジウム
・スズ酸化物、金、白金、チタンなどの薄層を設けたも
の、金属基体等の導電性基体に導電性処理を行った高分
子フィルムを被覆してなるもの、が有利である。
【0049】−−金属酸化物微粒子電極の製造−− 本発明の金属酸化物微粒子電極は、前記金属酸化物微粒
子分散液を導電性支持体上に塗布し乾燥することにより
製造することができる。前記塗布は、特に制限はなく、
公知の方法に従って行うことができ、例えば、ディップ
法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ロ
ーラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法
などの方法により行うことができる。前記乾燥は、例え
ば、加熱により好適に行うことができ、該加熱の温度と
しては、使用する前記溶媒の種類により異なり、一概に
規定することができないが、一般的に100〜200℃
程度でよい。
【0050】以上により得られる金属酸化物微粒子電極
における、金属酸化物微粒子を含有する層(換言すれ
ば、前記金属酸化物微粒子が前記高分子材料中に分散さ
れてなる複合材料による層、以下「金属酸化物微粒子
層」又は「金属酸化物微粒子膜」と称することがあ
る。)の厚みとしては、該金属酸化物微粒子と前記高分
子材料との量比に依存するが、0.05〜10μmが好
ましい。前記金属酸化物微粒子層の厚みが、0.05μ
m未満であると機能が不十分なことがあり、10μmを
超えると製造性が損なわれることがある。なお、本発明
においては、前記金属酸化物微粒子膜(層)が可撓性を
有し、軽量であることから、可撓性の導電性支持体を特
に選択すれば、可撓性を有する金属酸化物微粒子電極を
得ることができる。
【0051】本発明の金属酸化物微粒子電極において
は、特に可視光への光感度を増加させる観点から、増感
作用をもたらす色素、いわゆる増感色素を吸着させるこ
とができる。前記増感色素としては、増感作用を示すも
のであれば特に制限はないが、例えば、ローダミンB 、
ローズベンガル、エオシン、エリスロシン等のキサンテ
ン系色素、キノシアニン、クリプトシアニン等のシアニ
ン系色素、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシ
ン、メチレンブルー等の塩基性染料、クロロフィル、亜
鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリン等のポルフ
ィリン系化合物、その他アゾ色素、フタロシアニン化合
物、Ruトリスビピリジル等の錯化合物、アントラキノン
系色素、多環キノン系色素等が挙げられる。
【0052】前記増感色素の吸着は、前記金属酸化物微
粒子電極を作製した後、これを、前記増感色素を適当な
溶媒に溶かした溶液に浸漬することにより達成すること
ができる。このほか、金属酸化物微粒子の分散液を調製
する際に、前記増感色素を加えて分散処理を行うことに
よっても達成することができる。
【0053】本発明の金属酸化物微粒子電極において
は、前記金属酸化物微粒子が、空隙に富み、嵩密度の低
く、粉砕性が良好であることから、該金属酸化物微粒子
電極は前記増感色素の吸着特性に優れる。
【0054】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0055】(実施例1)チタニウムテトライソプロポ
キシド6.41gをエタノール20mlで希釈し、撹拌
しながら比重1.38の硝酸0.514g及び水0.2
mlを添加して混合溶液を調製した。以上の操作は乾燥
窒素気流下で行った。この混合溶液を80℃に昇温し、
乾燥窒素気流下で2時間還流して、無色透明の混合溶液
を得た。この混合溶液を室温まで冷却した後、該混合溶
液2gに対して撹拌しながらポリアクリル酸0.1gを
添加したところ、ポリアクリル酸は完全に溶解し無色の
透明ゾルが得られた。この透明ゾルに更に水2mlを添
加して無色で均一な透明ゾルを得た。
【0056】この透明ゾルをガラス容器に密閉して80
℃に昇温した。透明ゾルは5分ほどで複合ゲル化し、ほ
ぼ透明で均一な複合ゲルが得られた。80℃で更に15
時間反応を継続させると該複合ゲルは再び溶解してやや
白っぽい半透明の酸化チタン微粒子コロイド分散ゾル液
となった。この酸化チタン微粒子コロイド分散ゾル液か
らロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、得
られた固形物を450℃に昇温し20分保持して焼成
し、酸化チタン微粒子を得た。この酸化チタン微粒子2
5mgを、下記構造式(1)で表されるキサンテン系色
素のエタノール溶液(濃度10-3mol/l)1mlに
浸漬し、1晩放置した。
【0057】
【化2】
【0058】この酸化チタン微粒子をエタノールで数回
リンスした後、80℃で5時間真空乾燥し、ピンク色の
酸化チタン微粒子を得た。この酸化チタン微粒子5mg
を水酸化ナトリウム水溶液(pH=11.66)3gに
浸漬し、1晩放置して、酸化チタン微粒子に吸着してい
た前記キサンテン系色素を抽出した。この抽出液の吸収
スペクトルを図1に示した。この吸収スペクトルから単
位質量の酸化チタン微粒子に吸着していた前記キサンテ
ン系色素の量を計算した結果、9.36×10-6mol
/gであった。
【0059】この酸化チタン微粒子25mgを、ポリビ
ニルブチラール樹脂(積水化学社製、エスレックBM−
S)の酢酸ブチル溶液(濃度1.8重量%)1g、スチ
ールショット(径1/8インチ)12gと共にガラス瓶
に入れ、ペイントシェーカーで2時間震盪して分散処理
を施し、均一な分散液を得た。この分散液をスピンコー
ト法により、ITOガラス基板に塗布した後、130℃
で10分間乾燥して酸化チタン微粒子電極を得た。
【0060】得られた酸化チタン微粒子電極における酸
化チタン微粒子膜の結晶構造をX線回折により調べた結
果、アナターゼ型の酸化チタンが形成されていることが
確認された。この酸化チタン微粒子電極を用いて、図2
に示す光電気化学セルを作製した。この光電気化学セル
における、対向電極として白金ワイヤーを用い、電解液
として硫酸ナトリウムの0.1mol/l水溶液を用い
た。酸化チタン微粒子電極に、照度500μW/cm2
の単色光(波長350〜700nm)を照射しながら、
該酸化チタン微粒子電極と前記対向電極との間に流れる
短絡電流(光電流)を測定した。表1にその結果を示し
た。
【0061】(実施例2)実施例1において、ポリアク
リル酸をポリアリルアミンに代え、酸化チタン微粒子コ
ロイド分散ゾル液から真空凍結乾燥機を用いて溶媒を除
去した外は、実施例1と同様にした。また、実施例1と
同様にして、酸化チタン微粒子に吸着していた前記キサ
ンテン系色素を抽出し、この抽出液の吸収スペクトルを
図1に示した。この吸収スペクトルから単位質量の酸化
チタン微粒子に吸着していた前記キサンテン系色素の量
を計算した結果、1.18×10-5mol/gであっ
た。また、実施例1と同様にして光電気化学セルを作製
し、酸化チタン微粒子電極と対向電極との間に流れる短
絡電流(光電流)を測定した。その結果を表1に示し
た。
【0062】(実施例3)実施例1において、ポリアク
リル酸をポリビニルアルコールに代え、酸化チタン微粒
子コロイド分散ゾル液から真空凍結乾燥機を用いて溶媒
を除去した外は、実施例1と同様にした。また、実施例
1と同様にして、酸化チタン微粒子に吸着していた前記
キサンテン系色素を抽出し、この抽出液の吸収スペクト
ルを図1に示した。この吸収スペクトルから単位質量の
酸化チタン微粒子に吸着していた前記キサンテン系色素
の量を計算した結果、9.24×10-6mol/gであ
った。また、実施例1と同様にして光電気化学セルを作
製し、酸化チタン微粒子電極と対向電極との間に流れる
短絡電流(光電流)を測定した。その結果を表1に示し
た。
【0063】(実施例4)実施例1において、酸化チタ
ン微粒子を前記キサンテン系色素のエタノール溶液に浸
漬せず、該酸化チタン微粒子25mgを、ポリビニルブ
チラール樹脂(積水化学社製、エスレックBM−S)の
酢酸ブチル溶液(濃度1.8重量%)1g、前記構造式
(1)で表されるキサンテン系色素5mg、スチールシ
ョット(径1/8インチ)12gとともにガラス瓶に入
れ、ペイントシェーカーで2時間震盪させて分散処理を
施し、均一な分散液を得た外は、実施例1と同様にし
た。また、実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子に
吸着していた前記キサンテン系色素を抽出し、この抽出
液の吸収スペクトルを得て、その吸収スペクトルから単
位質量の酸化チタン微粒子に吸着していた前記キサンテ
ン系色素の量を計算した結果、8.52×10-6mol
/gであった。また、実施例1と同様にして光電気化学
セルを作製し、酸化チタン微粒子電極と対向電極との間
に流れる短絡電流(光電流)を測定した。その結果を表
1に示した。
【0064】(実施例5)実施例4において、前記構造
式(1)で表されるキサンテン系色素を下記構造式
(2)で表されるRu錯体に代えた外は、実施例4と同
様にした。また、実施例4と同様にして、酸化チタン微
粒子に吸着していた前記Ru錯体を抽出し、この抽出液
の吸収スペクトルを得て、その吸収スペクトルから単位
質量の酸化チタン微粒子に吸着していた前記Ru錯体の
量を計算した結果、5.24×10-6mol/gであっ
た。ここで得られた酸化チタン微粒子分散液をワイヤー
バー法により、表面に半透明のチタンの薄層が設けられ
たマイラーシートに塗布した後、130℃で10分間乾
燥して酸化チタン微粒子電極を得た。この酸化チタン微
粒子電極が保持されたマイラーシートと、対向電極とし
て白金の薄層が設けられたマイラーシートとを張り合わ
せた後、一部の開口部を残して端面をエポキシ接着剤で
シールし、両シートの間に電解液を毛細現象を利用して
しみ込ませて図3に示す光電気化学セルを作製した。な
お、電解液としては、エチレンカーボネートとアセトニ
トリルとの混合溶液(体積比でそれぞれ4:1の割合で
調整)10ml中にテトラプロピルアイオダイド1.4
4gとヨウ素0.076gとを溶解させたものを使用し
た。この酸化チタン微粒子電極と対向電極との間に流れ
る短絡電流(光電流)を測定した。その結果を表1に示
した。
【0065】
【化3】
【0066】(実施例6)実施例1において、チタニウ
ムテトライソプロポキシド6.41gをタングステンヘ
キサエトキシド11.36gに代え、前記構造式(1)
で表されるキサンテン系色素を用いなかった外は、実施
例1と同様にした。酸化タングステン微粒子膜は、不均
一であり、機械的強度の劣るものであった。また、実施
例1と同様にして光電気化学セルを作製し、酸化チタン
微粒子電極と対向電極との間に流れる短絡電流(光電
流)を測定した。その結果を表1に示した。
【0067】(比較例1)実施例1において、ポリアク
リル酸を用いなかった外は、実施例1と同様にした。そ
の結果、粉末が得られ、実施例1と同様にして、該粉末
に吸着していた前記キサンテン系色素を抽出し、この抽
出液の吸収スペクトルを図1に示した。この吸収スペク
トルから単位質量の該粉末に吸着していた前記キサンテ
ン系色素の量を計算した結果、2.70×10-7mol
/gであった。該粉末は、ピンク色に極僅かに着色して
いた。また、実施例1と同様にして光電気化学セルを作
製し、該粉末による電極と対向電極との間に流れる短絡
電流(光電流)を測定した。その結果を表1に示した。
【0068】(比較例2)実施例1において、ポリアク
リル酸0.1gをポリエチレングリコールモノオクチル
フェニルエーテル2.0gに代えた外は、実施例1と同
様にした。その結果、粉末が得られ、該粉末による膜
は、不均一であり、機械的強度の劣るものであった。ま
た、実施例1と同様にして光電気化学セルを作製し、該
粉末による電極と対向電極との間に流れる短絡電流を測
定した。その結果を表1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】本発明によると、前記従来における諸問
題を解決し、軽量で可撓性を有する金属酸化物微粒子膜
(層)を有してなり、光電変換素子化のための加工性に
優れ、効率良くエネルギーを変換し得る金属酸化物微粒
子電極、及び該金属酸化物微粒子電極を簡便にかつ効率
良く製造することができる金属酸化物微粒子電極の製造
方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1、実施例2、実施例3及び比
較例1において作製された薄膜の吸収スペクトルを示す
図である。
【図2】図2は、実施例1で得られた電極を用いて作製
した光電気化学セルの概略説明図である。
【図3】図3は、実施例5で得られた電極を用いて作製
した光電気化学セルの概略説明図である。
フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 英一 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属酸化物微粒子が高分子材料中に分散
    されてなる複合材料を導電性支持体上に有してなること
    を特徴とする金属酸化物微粒子電極。
  2. 【請求項2】 導電性支持体が、導電性処理を行った高
    分子フィルムを導電性基体に被覆してなる請求項1に記
    載の金属酸化物微粒子電極。
  3. 【請求項3】 金属酸化物微粒子が、少なくともカルボ
    キシル基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官
    能基を有する高分子化合物を含む溶液中において金属ア
    ルコキシドを反応させて形成される請求項1又は2に記
    載の金属酸化物微粒子電極。
  4. 【請求項4】 金属酸化物微粒子が、酸化チタン微粒子
    である請求項1から3のいずれかに記載の金属酸化物微
    粒子電極。
  5. 【請求項5】 高分子材料を溶解した溶媒中に金属酸化
    物微粒子を分散させた金属酸化物微粒子分散液を導電性
    支持体上に塗布し乾燥することを特徴とする金属酸化物
    微粒子電極の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属酸化物微粒子が、少なくともカルボ
    キシル基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官
    能基を有する高分子材料を含む溶液中で金属アルコキシ
    ドを反応させ、該金属アルコキシドを含む複合ゲルを生
    成し、更に反応を継続させることにより金属酸化物微粒
    子コロイド分散ゾルを生成し、これを乾燥することによ
    り得られる請求項5に記載の金属酸化物微粒子電極の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 複合ゲルの生成前に、少なくともカルボ
    キシル基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される官
    能基を有する高分子化合物と金属アルコキシドとを含む
    透明ゾルを生成する請求項6に記載の金属酸化物微粒子
    電極の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子で
    ある請求項5から7のいずれかに記載の金属酸化物微粒
    子凝集体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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