JPH11200132A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体膜の製膜溶液および製膜方法 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体膜の製膜溶液および製膜方法

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JPH11200132A
JPH11200132A JP927398A JP927398A JPH11200132A JP H11200132 A JPH11200132 A JP H11200132A JP 927398 A JP927398 A JP 927398A JP 927398 A JP927398 A JP 927398A JP H11200132 A JPH11200132 A JP H11200132A
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eva
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water
vinyl alcohol
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JP927398A
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Tomoki Kakiuchi
智樹 垣内
Takahide Shigehisa
隆秀 重久
Takeshi Suehiro
健 末弘
Takehiko Okamoto
健彦 岡本
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製膜溶液中のエチレン−ビニルアルコール系
共重合体の濃度を下げても製膜するための十分な粘度を
得ることができる製膜溶液、または、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体の濃度はそのままでも粘度が高
く、膜厚を薄くすることが可能な製膜溶液およびこれを
用いた透過性の高いエチレン−ビニルアルコール系共重
合体膜の製造方法を提供する。 【解決手段】 エチレン−ビニルアルコール系共重合
体、3級アミン酸化物および水からなることを特徴とす
る製膜溶液を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエチレン−ビニルア
ルコール系共重合体(以下、EVAと略記)膜の製膜溶
液および製膜方法に関する。さらに詳しくは、EVA、
3級アミン酸化物および水からなるEVA膜の製膜溶液
および透過性の高いEVA膜の製膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】EVA膜は、適度な親水性を有し、か
つ、化学的安定性にも優れていることから医療用、工業
用の選択透過性分離膜として広く利用されている。EV
A膜は、とりわけ抗溶血性および抗血栓性が良好である
ことから、血液透析膜、血漿分離膜、血漿成分分離膜等
の血液処理用の膜として特に有用である。EVA膜の製
膜方法に関するものとしては、例えば特公昭55−22
563号、特公昭56−1122号、特公昭56−24
563号、特公昭56−25163号、特公昭57−3
65号等多くの出願がある。これらEVA膜の製膜溶液
は通常EVAおよび溶媒からなり、溶媒としてはジメチ
ルスルホキシド(以下、DMSOと略記)、N−メチル
ピロリドン(以下、NMPと略記)、N,N−ジメチル
ホルムアミド(以下、DMFと略記)、N,N−ジメチ
ルアセトアミド(以下、DMACと略記)等が開示され
ている。なかには、EVAおよび溶媒以外に少量の添加
剤を加えた製膜溶液もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、医療分野、工業
分野ともに膜に対する要求性能が高まってきている。例
えば、血液透析治療においては、省力化、透析時間の短
縮化等が求められており、これに伴い適度な透水性を有
し、低分子量物質の拡散透過性の高い膜が要望されてい
る。透過性の高いEVA膜を製膜する方法として、製膜
溶液中のEVA濃度を下げることにより得られた膜の空
孔率を高くする方法、または、製膜溶液中のEVA濃度
はそのままで膜厚を薄くする方法が考えられる。しか
し、溶媒として、公知であるDMSO、NMP、DM
F、DMAC等を用いた場合、製膜溶液中のEVA濃度
を下げると製膜するための十分な粘度を得ることができ
ず、また、製膜溶液中のEVA濃度はそのままで膜厚を
薄くすると機械的強度が不十分となるため、これらの方
法では透過性の向上は困難である。本発明は、従来知ら
れていた方法では達成できなかった、製膜溶液中のEV
A濃度を下げても製膜するための十分な粘度を得ること
ができる製膜溶液、または、EVA濃度はそのままでも
粘度が高く膜厚を薄くすることが可能な製膜溶液および
これを用いた透過性の高いEVA膜の製膜方法を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討を重ね、本発明に至った。す
なわち本発明は、EVA、3級アミン酸化物および水か
らなることを特徴とするEVA膜の製膜溶液である。
【0005】また、本発明のもう一つの実施態様は、E
VAを3級アミン酸化物および水に溶解した製膜溶液を
用いて製膜することを特徴とするEVA膜の製膜方法で
ある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるEVAとして
は、ランダム、ブロック、グラフトいずれの共重合体で
もよく、重合度としては、高重合度のものほど好ましい
が、少なくとも重合度が800以上のものを使用する必
要があり、好ましくは重合度1000以上のものが用い
られる。重合度が800未満のものを使用すると得られ
た膜の機械的強度が不十分となり、製膜工程中での変
形、また、耐圧不足等の問題が生じるため好ましくな
い。また、EVAとしては、エチレン含有量が10〜6
0モル%、なかでも20〜45モル%のものが好ましく
使用される。EVAのエチレン含有量が10モル%未満
であれば、得られた膜の湿潤時の機械的強度が不十分と
なるので好ましくない。さらに、EVAのケン化度とし
ては、得られた中空糸の湿潤時の機械的強度の点から9
5モル%以上のものを使用する必要があり、通常は99
モル%以上の実質的に完全ケン化のものが用いられる。
【0007】本発明において使用されるEVAとして
は、例えばメタクリル酸、ビニルクロライド、メチルメ
タクリレート、アクリロニトリル、ビニルピロリドン等
の共重合可能な重合性単量体が15モル%以下の範囲で
共重合されていてもよく、製膜前または製膜後において
EVAをホウ素化合物等の無機架橋剤あるいはジイソシ
アナート、ジアルデヒド等の有機架橋剤等によって処理
することにより架橋が導入されたものであってもよく、
また、EVAのビニルアルコール単位の官能性水酸基が
30モル%以内の範囲で、ホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒドでアセター
ル化されていてもよい。なかでも製膜後にアルデヒド化
合物により架橋処理を行うと膜の耐熱性と強度が大きく
改善されるので好ましい。
【0008】製膜原液中のEVA濃度は該製膜溶液から
膜が形成される範囲の濃度とする必要があり、通常3〜
40重量%の範囲、好ましくは5〜30重量%の範囲と
なるように調製される。製膜溶液中のEVA濃度が3重
量%未満であれば得られた膜の機械的強度は弱く、ま
た、EVA濃度が40重量%を越えると得られた膜の透
水性および低分子量物質の拡散透過性が低下する。
【0009】本発明において使用される3級アミン酸化
物としては、N−メチルモルホリンN−オキシド(以
下、N−MMOと略記)、N−メチルピロリジンN−オ
キシド、N−メチルピペリジンN−オキシド、N,N−
ジメチルベンジルアミンN−オキシド、N,N−ジメチ
ルエタノールアミンN−オキシド、N,N−ジメチルシ
クロヘキシルアミンN−オキシド等であり、これらの混
合物を用いてもよい。なかでもEVAに対し高い溶解性
を示すN−MMOが特に好ましい。3級アミン酸化物が
EVAの溶媒となるのは、EVAのビニルアルコール単
位の水酸基による分子間の水素結合を3級アミン酸化物
が切断するためであると考えられる。
【0010】本発明においては、3級アミン酸化物とと
もに、水の存在がEVAの溶解に重要な役割を果たして
いる。水の濃度は5〜35重量%の範囲、好ましくは1
0〜25重量%の範囲となるように調製される。水が3
5重量%を越えるとEVAの膨潤は起きるが溶解はしな
い。一方、水が5重量%未満の場合は、溶媒の融点が高
くなり、実用可能な溶液を得ることは困難である。
【0011】本発明は、EVA、3級アミン酸化物およ
び水以外の成分として、本発明の効果を阻害しない範囲
で、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、エチレングリコール等のアルコール類、ポリエチレ
ングリコール、ポリビニルピロリドン等の親水性高分
子、さらには無機塩を添加してもよい。
【0012】3級アミン酸化物は強酸化性を示すことか
ら、EVAの分解を防止するために、酸化防止剤を添加
することができる。酸化防止剤としては、例えば没食子
酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピルおよび硫
酸マグネシウムが挙げられる。また、3級アミン酸化物
の熱分解を防止するために、塩基を添加することができ
る。塩基としては、例えばアミン、アルカリ塩が挙げら
れ、これらの混合物でもよい。なかでも好適な塩基はア
ルカリ水酸化物、特に水酸化ナトリウム、アミンおよび
これらの混合物である。
【0013】本発明は、EVAの新たな溶媒を研究して
いる中で、3級アミン酸化物が、5〜35重量%の水分
の存在下でEVAのよい溶媒になり、かつ、高粘度の溶
液が得られることを見出したことに基づいている。本発
明のEVA膜の製膜溶液は、EVA、3級アミン酸化物
および水を混合し、加熱溶解することによって調製され
る。かかる製膜溶液は、EVAをDMSO、NMP,D
MF,DMAC等の公知である溶媒に溶解した製膜溶液
に比べ、粘度が著しく高い。上記したように製膜溶液中
のEVA濃度を3〜40重量%の範囲で調製した製膜溶
液に対して、得られた膜の機械的強度、透水性および低
分子量物質の拡散透過性から判断して、製膜溶液の粘度
は、90℃で5〜1000Pの範囲、好ましくは10〜
500Pの範囲に入るように調製するのがよい。
【0014】前述したように、透過性の高いEVA膜を
製膜する方法として、製膜溶液中のEVA濃度を下げる
ことにより得られた膜の空孔率を高くする方法、また
は、製膜溶液中のEVA濃度はそのままで膜厚を薄くす
る方法が考えられる。しかし、公知の溶媒であるDMS
O、NMP、DMF、DMAC等を用いた場合、製膜溶
液中のEVA濃度を下げると製膜するための十分な粘度
を得ることができない。また、製膜溶液中のEVA濃度
はそのままで膜厚を薄くすると機械的強度が不十分とな
るため、これらの方法では透過性の向上は困難である。
一方、本発明の製膜溶液は、EVA濃度を下げても製膜
するための十分な粘度を得ることができるため、得られ
た膜の空孔率を高くすることができ、透過性の高いEV
A膜を製膜することが可能である。また、EVA濃度は
そのままでも粘度が高いため、EVAの分子鎖がより伸
びた状態で、かつ、分子間で絡まり合った状態で溶液中
に存在することから、膜厚を薄くしても十分な機械的強
度を得ることができ、透過性の高いEVA膜を製膜する
ことが可能である。
【0015】次に本発明の製膜溶液を使用してEVA膜
を製造する方法について述べる。製膜操作は公知技術を
用いればよく、例えば平膜については、製膜溶液を平坦
な基盤上に流延し、その後、凝固液中に浸漬する方法に
よって製造することができる。また、中空糸膜について
は、製膜溶液を2重管状ノズルから中空形成剤とともに
押し出し、直接凝固液に浸漬することによって製造する
乾式製膜法、または、一定長の空気中を通してから凝固
液中に浸漬して製造する乾湿式製膜法が採用される。得
られたEVA膜は、水、温水によって洗浄される。ま
た、必要に応じて、延伸および熱処理が施される。膜
は、取り扱いの便利さという観点から乾燥されるが、膜
の乾燥方法としては、EVAのガラス転移点以下の温
度、好ましくは室温付近で常温または減圧乾燥する方
法、湿潤膜を液体窒素によって凍結し、減圧下で水分を
昇華する凍結乾燥、メタノール、エタノール、アセトン
等の水と混合性の有機溶媒にて水を置換し、しかる後に
有機溶媒を蒸発させる有機溶媒置換法等を挙げることが
できる。乾燥後の膜は所望により公知の方法に従って熱
処理が行われる。
【0016】中空形成剤としては、例えば窒素、空気等
の気体、あるいは注入液としてヘキサン等の製膜溶液に
対して非凝固性の溶剤が注入される。かかる注入液とし
ては、上記の非凝固性の気体、溶剤のみならず、DMS
O、NMP、DMF、DMAC、3級アミン酸化物、ア
ルコール等の水に可溶性の有機溶剤と水との混合物、あ
るいは塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウ
ム等の無機塩を含有する水溶液など、製膜溶液に対して
凝固性を有する液体を使用することもできる。また、上
記した注入液を2種類以上混合して使用してもよい。
【0017】凝固液としては、製膜溶液の溶媒である3
級アミン酸化物と混和性があり、かつEVAを凝固させ
る作用を有するものであればよく特に制限はないが、通
常水性のものが使用される。かかる凝固液として、例え
ばDMSO、NMP、DMF、DMAC、3級アミン酸
化物、アルコール等の水に可溶性の有機溶剤と水との混
合物、あるいは塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸
ナトリウム等の無機塩を含有する水溶液などを挙げるこ
とができる。また、上記した凝固液を2種類以上混合し
て使用してもよい。
【0018】凝固液および注入液の凝固性は、凝固液温
度と相俟って、得られる膜の構造に影響を与える。凝固
液あるいは注入液として、凝固性の高い液体を使用する
と、膜の表面には緻密な層が形成されやすく、これとは
逆に凝固性の低い液体を使用すると、膜の表面には大き
な孔径の微孔を有する膜を製造することができる。この
ように凝固液あるいは注入液の凝固性を調整することに
より、得られる膜の表面構造を制御することができる。
【0019】平膜は、通常膜厚5〜1000μm、好ま
しくは10〜500μm程度のものが使用される。ま
た、中空糸膜は、通常外径40〜3000μm、好まし
くは100〜2000μm程度、膜厚5〜1000μ
m、好ましくは10〜500μmのものが使用される。
【0020】上記のようにして得られたEVA膜は、公
知の方法により適宜モジュールに組み込まれ、血液透
析、血漿成分分離器等の血液処理用、または、タンパク
溶液の脱塩、分画、濃縮、果汁の濃縮等の食品用途、排
水処理等の工業用途等の各種処理用途に使用される。
【0021】
【実施例】以下、実施例によって、本発明のEVA膜の
製膜溶液およびそれを用いたEVA膜の製造方法を具体
的に説明する。実施例では、血液透析膜について例示す
るがこれに限定されるものではない。なお、微細孔の平
均孔径、空孔率、透水性およびクリアランス、耐圧の測
定は次の方法で行った。 (i)微細孔の平均孔径 乾燥状態の中空糸を室温(または25℃)の蒸留水に2
4時間浸漬し、膜を十分湿潤させた後、10mgをサン
プリングし、示差走査熱量計を用いて、走査速度2.5
℃/min、測定範囲−60〜20℃の条件で中空糸膜
の微細孔中に存在する水の凝固点を測定し、得られたD
SC曲線に基づいて平均孔径を算出した。 (ii)空孔率 膜を構成するEVAの比重(ρa)および膜の見かけの
比重(ρb)を測定し、下記の式より空孔率(P)を算
出した。 P=(1−ρb/ρa)×100 (iii)透水性、クリアランス 得られた乾燥状態の中空糸膜を使用して有効膜面積1.
2m2の中空糸膜モジュールを作製し、日本人工臓器学
会の透析性能評価基準に基づいて、水系の透水性および
尿素のクリアランスを測定した。 (iv)耐圧 1.2m2の中空糸膜モジュールの内圧側の一方を閉
じ、もう一方の内圧側から空気で圧力をかけ、圧力を徐
々に上げていき、膜が破裂したときの圧力を耐圧とし
た。
【0022】実施例1 エチレン−ビニルアルコール系共重合体[EVA(クラ
レ製 ECF100A)]を11重量%となるように、
25重量%の水を含有したN−メチルモルホリンN−オ
キシド(以下、N−MMOと略記)に加え、さらに酸化
防止剤として没食子酸n−プロピルをEVA濃度に対し
て0.25重量%加え、90℃で5時間加熱溶解し、製
膜溶液とした。この製膜溶液の粘度は、90℃で26P
であった。この溶液を90℃に保ち、外径0.45m
m、内径0.18mmの2重管ノズルより、注入液とし
て同じ温度に保ったN−MMO:水=50/50(重量
比)を注入しながら、同時に−4℃の20重量%N−M
MO水溶液中に吐出させ中空糸を得た。この中空糸膜に
対して常法に従い湿熱延伸、乾燥および乾熱処理を行
い、内径175μm、膜厚25μmの乾燥中空糸を得
た。得られた中空糸膜は平均孔径12nmの微細孔を空
孔率42%で有していた。1.2m2モジュールの水系
の透水性は21mL/(hr・m2・mmHg)、尿素
のクリアランスは171mL/minであった。
【0023】実施例2 エチレン−ビニルアルコール系共重合体[EVA(クラ
レ製 ECF100A)]を17重量%となるように、
13.3重量%の水を含有したN−MMOに加え、90
℃で5時間加熱溶解し、製膜溶液とした。この製膜溶液
の粘度は、90℃で267Pであった。この溶液を90
℃に保ち、外径0.45mm、内径0.18mmの2重
管ノズルより、注入液として同じ温度に保ったN−MM
O:水=20/80(重量比)を注入しながら、同時に
4℃の20重量%N−MMO水溶液中に吐出させ中空糸
を得た。この中空糸膜に対して常法に従い湿熱延伸、乾
燥および乾熱処理を行い、内径175μm、膜厚13μ
mの乾燥中空糸を得た。得られた中空糸膜は平均孔径5
nmの微細孔を空孔率28%で有していた。1.2m2
モジュールの水系の透水性は17mL/(hr・m2
mmHg)、尿素のクリアランスは166mL/min
であった。また、機械的強度と関係する耐圧は1.6k
g/cm2であり良好であった。
【0024】実施例3 実施例1の製膜溶液を90℃に保ち、外径0.45m
m、内径0.18mmの2重管ノズルより、中空形成剤
として窒素を注入しながら、同時に−2℃の20重量%
N−MMO水溶液中に吐出させ中空糸を得た。この中空
糸膜に対して常法に従い湿熱延伸、乾燥および乾熱処理
を行い、内径175μm、膜厚25μmの乾燥中空糸を
得た。得られた中空糸膜は平均孔径14nmの微細孔を
空孔率45%で有していた。1.2m2モジュールの水
系の透水性は23mL/(hr・m2・mmHg)、尿
素のクリアランスは173mL/minであった。
【0025】比較例1 エチレン−ビニルアルコール系共重合体[EVA(クラ
レ製 ECF100A)]を17重量%となるように、
ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記)に加
え、90℃で5時間加熱溶解し、製膜溶液とした。この
製膜溶液の粘度は、50℃で27Pであった。この溶液
を50℃に保ち、外径0.45mm、内径0.18mm
の2重管ノズルより、中空形成剤として窒素を注入しな
がら、同時に−1℃の20重量%DMSO水溶液中に吐
出させ中空糸を得た。この中空糸膜に対して常法に従い
湿熱延伸、乾燥および乾熱処理を行い、内径175μ
m、膜厚25μmの乾燥中空糸を得た。得られた中空糸
膜は平均孔径4nmの微細孔を空孔率23%で有してい
た。1.2m2モジュールの水系の透水性は12mL/
(hr・m2・mmHg)、尿素のクリアランスは15
8mL/minであった。
【0026】比較例2 エチレン−ビニルアルコール系共重合体[EVA(クラ
レ製 ECF100A)]を11重量%となるように、
DMSOに加え、90℃で5時間加熱溶解し、製膜溶液
とした。この製膜溶液の粘度は、50℃で3.5Pであ
った。この溶液を50℃に保ち、外径0.45mm、内
径0.18mmの2重管ノズルより、注入液として窒素
を注入しながら、同時に−4℃の20重量%DMSO水
溶液中に吐出させ中空糸を得た。この中空糸膜に対して
常法に従い湿熱延伸、乾燥および乾熱処理を行い、内径
175μm、膜厚25μmの乾燥中空糸を得た。しか
し、製膜溶液の粘度が低いため、ノズル出および洗浄等
の工程で中空糸の変形および中空糸の切れが頻繁に発生
した。また、得られた中空糸は表面が凸凹したものであ
り、かつ、リークが多発したため、性能は測定できなか
った。
【0027】比較例3 比較例1の製膜溶液を50℃に保ち、外径0.45m
m、内径0.18mmの2重管ノズルより、中空形成剤
として窒素を注入しながら、同時に−1℃の20重量%
DMSO水溶液中に吐出させ中空糸を得た。この中空糸
膜に対して常法に従い湿熱延伸、乾燥および乾熱処理を
行い、内径175μm、膜厚17μmの乾燥中空糸を得
た。しかし、膜厚が薄いため、ノズル出および洗浄等の
工程で中空糸の変形および中空糸の切れが頻繁に発生し
た。また、得られた中空糸の耐圧は0.8kg/cm2
であり、機械的強度に問題があった。
【0028】実施例4 エチレン−ビニルアルコール系共重合体[EVA(クラ
レ製 ECF100A)]を11重量%となるように、
14.6重量%の水を含有したN,N−ジメチルエタノ
ールアミンN−オキシドに加え、さらに酸化防止剤とし
て没食子酸n−プロピルをEVA濃度に対して0.25
重量%加え、90℃で5時間加熱溶解し、製膜溶液とし
た。この製膜溶液の粘度は、90℃で22Pであった。
この溶液を90℃に保ち、外径0.45mm、内径0.
18mmの2重管ノズルより注入液として同じ温度に保
ったN,N−ジメチルエタノールアミンN−オキシド:
水=50/50(重量比)を同時に−8℃の20重量%
N,N−ジメチルエタノールアミンN−オキシド水溶液
中に吐出させ中空糸を得た。この中空糸膜に対して常法
に従い湿熱延伸、乾燥および乾熱処理を行い、内径17
5μm、膜厚25μmの乾燥中空糸を得た。得られた中
空糸膜は平均孔径14nmの微細孔を空孔率40%で有
していた。1.2m2モジュールの水系の透水性は19
mL/(hr・m2・mmHg)、尿素のクリアランス
は172mL/minであった。
【0029】実施例5 エチレン−ビニルアルコール系共重合体[EVA(クラ
レ製 ECF100A)]を17重量%となるように、
25重量%の水を含有したN,N−ジメチルシクロヘキ
シルアミンN−オキシドに90℃で5時間加熱溶解し、
製膜溶液とした。この製膜溶液の粘度は、90℃で19
8Pであった。この溶液を90℃に保ち、外径0.45
mm、内径0.18mmの2重管ノズルより注入液とし
て同じ温度に保ったN,N−ジメチルシクロヘキシルア
ミンN−オキシド:水=20/80(重量比)を同時に
0℃の20重量%N,N−ジメチルシクロヘキシルアミ
ンN−オキシド水溶液中に吐出させ中空糸を得た。この
中空糸膜に対して常法に従い湿熱延伸、乾燥および乾熱
処理を行い、内径175μm、膜厚15μmの乾燥中空
糸を得た。得られた中空糸膜は平均孔径6nmの微細孔
を空孔率28%で有していた。1.2m2モジュールの
水系の透水性は16mL/(hr・m2・mmHg)、
尿素のクリアランスは165mL/minであった。ま
た、機械的強度と関係する耐圧は1.8kg/cm2
あり良好であった。
【0030】
【発明の効果】本発明により、EVA、3級アミン酸化
物および水からなる高粘度の製膜溶液を得ることができ
る。本発明の製膜溶液を使用して製膜することにより、
透過性の高いEVA膜を得ることができるので、高透過
性が必要とされる医療分野、工業分野の選択透過膜とし
てたいへん有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 29/04 (72)発明者 岡本 健彦 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−ビニルアルコール系共重合
    体、3級アミン酸化物および水からなることを特徴とす
    るエチレン−ビニルアルコール系共重合体膜の製膜溶
    液。
  2. 【請求項2】 3級アミン酸化物がN−メチルモルホリ
    ンN−オキシドである請求項1に記載のエチレン−ビニ
    ルアルコール系共重合体膜の製膜溶液。
  3. 【請求項3】 エチレン−ビニルアルコール系共重合体
    の濃度が3〜40重量%であり、90℃での粘度が5〜
    1000Pである請求項1に記載のエチレン−ビニルア
    ルコール系共重合体膜の製膜溶液。
  4. 【請求項4】 エチレン−ビニルアルコール系共重合体
    を3級アミン酸化物および水に溶解した製膜溶液を用い
    て製膜することを特徴とするエチレン−ビニルアルコー
    ル系共重合体膜の製膜方法。
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