JPH11199876A - コーキング減少性能を有するエチレン製造用熱分解管 - Google Patents

コーキング減少性能を有するエチレン製造用熱分解管

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JPH11199876A
JPH11199876A JP632298A JP632298A JPH11199876A JP H11199876 A JPH11199876 A JP H11199876A JP 632298 A JP632298 A JP 632298A JP 632298 A JP632298 A JP 632298A JP H11199876 A JPH11199876 A JP H11199876A
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tube
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ethylene
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Masahiro Inui
正弘 乾
Kenichi Mae
健一 前
Kaoru Hamada
薫 濱田
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料炭化水素ガスの過剰な高温加熱を防止
し、コーキング要因である遊離炭素の発生を抑制すると
ともに、過度の軽質化や重縮合反応を抑制し、目的生成
物であるエチレンの収率増加を図る。 【解決手段】 管体の内壁には、断面形状が半円形又は
半楕円形、高さが管内径の1/10以下の突条が螺旋状
に形成され、管の軸心を含む平面で切断し展開した状態
における螺旋突条と管壁の切断面とのなす鋭角交叉角を
15度〜75度としており、管壁付近を流れる原料炭化
水素ガスの一部は、螺旋突条の背後を旋回しながら管内
を流通するようになし、螺旋突条の背後領域における原
料炭化水素ガスの淀み発生を抑制するようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン製造プラ
ントにおける熱分解管の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン製造用熱分解炉では、ナフサ、
天然ガス、エタン等の炭化水素類は、水蒸気とのガス状
混合流体(温度約900K)として熱分解管内に送給さ
れ、管路内を高速(例えば管長約10〜13mの熱分解
管では、約0.1〜0.3秒)で通過する間に、管外部か
らの熱供給により所定温度(約1080〜1130K)に
加熱され、熱分解されてエチレン、プロピレン等のオレ
フィンを生成する。
【0003】上記熱分解操業においては、管内を高速で
通過する流体への熱伝達を効率良く行わせ、それと同時
に、熱分解温度域を越える不必要な高温加熱をできるだ
け回避することが必要である。
【0004】従来、上記熱分解管の熱伝達性能を高め、
管内流体を迅速に加熱昇温するための手段として、管路
の口径を小さくし、内容積に対する伝熱面積を大きくす
ることが行われている。
【0005】また、管の断面形状の工夫として、図4の
ように、管体(10)の横断面の内壁面を波状の凹凸面(15)
とし、伝熱面積を大きくした熱分解管も提案されている
(特開昭58−173022号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前者のように、熱分解
管の口径を小さくすることは、管内流体に対する熱伝達
性能を高めるのに有効ではあるけれども、同じエチレン
製造能力を維持しようとすれば、口径を小さくした分だ
け、熱分解管の炉内設置本数を多くする必要があり、運
転管理の煩雑化を免れない。
【0007】後者のように、管内壁の横断面形状を波状
凹凸面とした熱分解管についても、管壁内面積の増加量
に相当する程度の内部ガスの昇温の改善効果が得られる
が、凹面側の方が外部熱源に近く管壁温度が高いことか
ら、管内の凹面側を流れるガスの温度は凸面側に比べて
高くなる。原料炭化水素ガスの温度が高くなり熱分解温
度を越える温度域での滞留時間が長くなると、生成され
たエチレン等について更なる熱分解が進み、炭化水素の
過度の軽質化(例えば、メタン、遊離炭素等の生成)や、
分解生成物の重縮合反応等により、目的製品の収率が大
きく低下する。また、過度の熱分解により生成した遊離
炭素は、管体に沈積付着する傾向にある。この現象は一
般にコーキングと称され、コーキングが発生すると、有
効管内径の縮小及び伝熱面積の減少が著しくなり、分解
効率が急激に低下し、デコーキング(コーキング除去作
業)の実施頻度が増し、生産性の低下を免く。
【0008】それゆえ、管壁近傍を流れる原料炭化水素
ガスが過度の高温に加熱されるのを防止し、コーキング
要因である遊離炭素の発生を抑制するとともに、過度の
軽質化や重縮合反応の抑制による目的生成物(エチレ
ン、プロピレン等)の収率増加をなし得るエチレン製造
用熱分解管が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、外部熱源から加熱される管体の内部に、
原料炭化水素ガスを高速で流通させ、管内で炭化水素ガ
スを昇温し熱分解を行わせることによりエチレンを製造
する熱分解管において、管体の内壁には、断面形状が半
円形又は半楕円形、高さが管内径の1/10以下の突条
が螺旋状に形成され、管の軸心を含む平面で切断し展開
した状態における螺旋突条と管壁の切断面とのなす鋭角
交叉角を15度〜75度としており、管壁付近を流れる
原料炭化水素ガスの一部は、螺旋突条の背後を旋回しな
がら管内を流通するようになし、螺旋突条の背後領域に
おける原料炭化水素ガスの淀み発生を抑制するようにし
たことを特徴としている。
【0010】
【作用】本発明の熱分解管は、断面形状が半円形又は半
楕円形、高さが管内径の1/10以下の突条を管壁内面
に螺回形成したことにより、管内へ導入された原料炭化
水素ガスは、突条を乗り越えて管壁をたたく流れを生ず
るため、管壁の突条間でのガスの流れの淀み発生は抑制
され、ガスが常に入れ替わる結果、ガスは必要温度以上
に昇温しないので、過度の熱分解に伴うコーキングを防
止できる。しかし、管壁内面に螺旋突条を形成しただけ
では、管壁の突条間におけるガスの停滞は抑制できて
も、螺旋突条の背後では、ガスの管壁をたたく作用が比
較的弱いため、ガスの流れに淀みを生じ易い。そこで、
本発明の熱分解管は、螺旋突条を、管の軸心を含む平面
で切断し展開した状態における螺旋突条と管壁の切断面
とのなす鋭角交叉角を15度〜75度とすることによ
り、螺旋突条の背後を、ガスが旋回しながら螺旋突条に
沿って流れるようにした。このガスの流れは、スワール
流と称されるもので、このスワール流の発生により、螺
旋突条の背後領域におけるガスの淀み発生が抑制され
る。
【0011】このように、本発明の熱分解管は、管内壁
のどの部分でもガスの停滞が防止されるから、管内壁近
傍におけるガスの過度な高温加熱は防止され、コークの
発生量は低減される。また、熱伝達効率を低下させるコ
ーク発生量が減少することにより、操業時の管壁温度を
従来よりも低く設定できるので、管体の長寿命化を達成
できる。さらに、過度の熱分解を回避することができる
ため、過度の軽質化や重縮合反応が抑制され、エチレン
の収率を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の熱分解管の一実施
例を示しており、(10)は管体、(12)は管壁内面を螺回す
るように形成された螺旋突条である。図1では1条の螺
旋突条を示しているが、複数条として形成することもで
きる。突条(12)は、プラズマ粉体溶接などによるビード
肉盛層として、断面形状が半円形又は半楕円形に形成さ
れる。なお、突条(12)の高さは、管体(10)の内径に応じ
て適宜調節され、管内径の1/10以下、望ましくは管
内径の約1/15乃至1/20の高さに形成される。螺
旋突条(12)が形成される管体の領域は、管路の入口側か
ら出口側に到る軸方向の全領域、適宜位置における1又
は複数の領域に適宜形成することができる。なお、熱分
解管の管壁温度は、管路出口付近が最も高くなるので、
管路の出口付近で原料炭化水素ガスが停滞すると、熱分
解温度以上に昇温し、コーキングを生じ易くなる。それ
ゆえ、コークの発生量を低減するには、少なくとも管路
の出口側に近い領域に前記構成の螺旋突条(12)を形成す
ることが好ましい。
【0013】図2及び図3は螺旋突条(12)を有する管体
(10)について、管壁内面における突条の螺旋パターンを
示す展開図である。θは、管の軸心を含む平面で切断し
展開した状態における螺旋突条と管壁の切断面(14)との
なす鋭角交叉角である。この鋭角交叉角θは、螺旋突条
の背面側での流体の流れにスワールを生じさせるため、
15度〜75度の範囲内に設定し、管体の内径をも考慮
してこの範囲内で適宜設定される。Pは、螺旋突条のピ
ッチであり、この例における螺旋突条(12)は1条である
ので、ピッチPは、螺旋突条に沿って管軸の周りを1回
転したときに進む管軸方向の距離(πD/tanθ)に等し
い。なお、図1乃至図3において、紙面左側が管路の入
口側、紙面右側が管路の出口側である。
【0014】突条(12)のピッチP又は鋭角交叉角θは、
必ずしも管路の全体に亘って一定である必要はなく、図
3に示す如く、例えば入口側のピッチPを大きく(鋭角
交叉角θを小さく)し、出口側のピッチPを小さく(鋭角
交叉角を大きく)することもできるし、或はその逆もま
た可能である。いづれの場合にも、コークを最も発生し
易い領域に、最適な鋭角交叉角を有する螺旋突条を形成
することが好ましい。
【0015】管壁内面を螺回する突条を設ける場合の一
例を次に示す。 ・管路口径D約150〜100mmの熱分解管 鋭角交叉角θ:40度〜75度 ピッチP :20〜560mm(20〜150mmが望ま
しい) ・管路口径D約100mm以下の熱分解管 鋭角交叉角θ:15度〜65度 ピッチP :50〜660mm(50〜300mmが望ま
しい)
【0016】突条(12)は、耐浸炭性にすぐれる耐熱合金
から形成することが好ましく、その種合金として、C:
0.1〜0.6%(重量%、以下同じ)、Si:4.0%以
下、Mn:5.0%以下、Ni:30.0〜50.0%(N
iはその20%以下をCoと置換してもよい)、Cr:
20.0〜50.0%、Al:4.0%以下、残部実質的
にFeからなる耐熱合金を挙げることができる。前記耐
熱合金には、所望により、W:10%以下、Ca:0.
5%以下、Hf:1.0%以下、Y:1.0%以下の群よ
り選ばれる1種又は2種以上の元素、及び/又は、N
b:4.0%以下、Mo:5.0%以下、Ti:1.0%
以下、Zr:1.0%以下、希土類元素:0.5%以下、
B:0.5%以下の群より選ばれる1種又は2種以上の
元素を含有してもよい。
【0017】エチレン製造用熱分解管の管体(10)の材質
は、用途・使用条件に応じて適宜選択可能である。例え
ば、25Cr−20Ni、25Cr−35Ni、インコ
ロイ、31Cr−43Ni、41Cr−48Ni−0.
3C等の耐熱合金が用いられ、遠心鋳造法等により製造
される。特に、31Cr−43Ni、41Cr−48N
i−0.3Cは、耐熱性及び耐浸炭性にすぐれるので、
コーク付着低減効果と相まって、管体の長寿命化を達成
できる。
【0018】本発明の熱分解管を用いたエチレン製造装
置の一例を図5乃至図7を参照すして説明する。図5を
参照すると、エチレン製造装置は、ナフサ、エタン等の
原料な炭化水素類の熱分解を行なう加熱炉(32)、加熱炉
(32)内に液状炭化水素を供給する圧力ポンプ(30)、加熱
炉(32)から出た熱分解ガスを冷却する冷却装置(34)、及
び冷却装置(34)から出たガスからエチレンを含む有機成
分に分離する分離装置(36)から構成される。
【0019】図6及び図7を参照すると、加熱炉(32)
は、主加熱ユニット(38)と、熱分解管(48)を加熱する多
数のバーナ(50)を具えている。主加熱ユニット(38)は、
2つの加熱室(38A)(38A)が互いに平行に配置され、バー
ナ(50)はそれぞれの加熱室(38A)の側壁及び底壁を貫通
して設けられる。熱分解管(48)は、垂直方向に延びる直
管部(48A)と、該直管部の各端部に連結されたベント部
(48B)を有しており、W型又はジグザグ型に形成され
る。熱分解管(48)は、それぞれの加熱室(38A)内に垂直
に固定され、バーナ(50)との距離が一定になるように配
置される。
【0020】主加熱ユニット(38)の上部には、予備加熱
ユニット(40)が配備され、加熱室(38A)の中で発生した
廃熱を利用して、炭化水素及び水蒸気を予熱できるよう
にしている。予備加熱ユニット(40)には、その内部に予
備加熱管(40A)が配置され、夫々の予備加熱管の上端部
(42)は圧力ポンプ(30)に接続され、下端部(45)はそれぞ
れの熱分解管(48)の一方の端部に接続されている。な
お、熱分解管(48)の他方の端部は、冷却装置(34)の入口
に接続されている。予備加熱ユニット(40)へ水蒸気を供
給するための供給管(図示せず)が配備され、該供給管は
冷却装置(34)の蒸気出口と予備加熱管(40A)に接続され
ている。
【0021】冷却装置(34)で発生した水蒸気は、予備加
熱管(40A)に流入し、予熱によってガス化した炭化水素
と均一に混合される。この混合ガスは、熱分解管(48)の
中を流通していく。炭化水素ガスと水蒸気の混合比は、
1:0.3乃至1:0.5の範囲が望ましい。また、熱分
解管(48)を流れる混合ガスの流速は50m/s乃至100m
/sの範囲が望ましい。熱分解管(48)の入口部における混
合ガスの温度は、850K〜900Kの範囲が望まし
い。混合ガスは、熱分解管(48)を流動する間に、107
0K〜1120Kの温度に昇温される。熱分解管(48)を
流動する混合ガスの圧力は、一般的には1〜2kg/cm2
範囲内である。
【0022】熱分解管(48)から出た分解ガスは、冷却装
置(34)の冷却水によって急速冷却される。この過程にお
いて、冷却水は水蒸気になって予備加熱ユニット(40)へ
供給される。熱分解管(48)から出る分解ガスの温度は、
一般的には1070K乃至1120Kである。冷却装置
(34)にて、分解ガスは望ましくは570K〜670Kま
で冷却される。
【0023】冷却装置(34)の出口は、図5に示されるよ
うに、分離装置(36)の入口に接続されている。分離装置
(36)では、分離蒸留により、エチレン、プロピレン、ブ
チレン、ブタジエンを含む有用な有機物質が抽出され
る。
【0024】前述したように、管壁内面に螺回形成した
突条の作用により、管壁から原料炭化水素ガスへの熱移
動が効果的に行われので、突条なしの熱分解管と比べ
て、管壁の温度をより低い温度に設定して操業すること
ができる。他方、管壁温度を、突条なしの熱分解管と同
等温度に設定して操業を行なうと、熱分解管(48)への原
料炭化水素ガス供給量を増やし、エチレン製造量を増大
させることができる。
【0025】
【実施例】管壁内面に鋭角交叉角θが異なる螺旋突条を
形成した種々の供試管と、管壁内面に螺旋突条を有しな
い供試管を作製し、これら供試管の中へエタンを原料ガ
スとして導入し、エチレンの収率と管内壁面におけるコ
ーク付着を調べた。
【0026】供試管及び突条の形態と試験条件を以下に
記す。 供試管 ・内径D: 38mm ・長さ : 3600mm 螺旋突条 ・形状 : 断面半楕円形 ・高さh: 2mm(管内径に対する比:1/19) ・幅 w: 8mm ・ピッチP: 表1参照 ・鋭角交叉角θ: 表1参照 供試管の加熱温度 エチレン収率を正確に比較するために、各々の供試管の
入口、中央部及び出口部の加熱温度は、エタンの65%
コンバージョンを達成できるように予め予備試験を行な
うことにより決定した。なお、「エタンの65%コンバ
ージョン」とは、原料としてのエタンの65%が他の物
質に変換し、35%が熱分解されずにエタンとして残存
することを意味する。 エタンの流通条件 ・フィード量: 20kg/h ・レイノルズ数: 100,000 ・試験時間: 90時間 エチレンの製造 前述したように、フィード量20kg/h、流通時間90時
間、エタンコンバージョン65%という条件の下でエタ
ンを流通させた。エタンが熱分解してできたエチレンの
量は、管の出口に設けたガスクロマトグラフィーにて計
測し、90時間に亘って1時間毎に定量分析を行なっ
た。1時間毎にエチレンの生成量を測定し、その平均値
をエチレンの生産量として表1に記載している。なお、
表1に示すエチレンの収率は、次式から算出したもので
ある。
【0027】
【数1】
【0028】コークの堆積 エタンを90時間供給した後、それぞれの供試管に空気
を流した。これは、堆積したカーボンを燃焼させて、デ
コーキング(カーボンの除去)を行なうためである。この
時に発生したCO2とCO量を管出口において、分散型
赤外分析計で測定し、燃焼したカーボン量を求めた。こ
のデコーキングプロセスにおけるコークの総量及びコー
キング率を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1中、No.1〜No.16は管壁内面に螺旋
突条を形成した供試管であり、そのうちNo.3〜No.15
が本発明の実施例、No.1、No.2、No.16が比較例で
ある。また、No.17は従来の突条を有しない供試管で
ある。
【0031】表1の結果に示されるように、管壁内面に
螺旋突条を設けることにより、エチレンの収率が向上す
ることがわかる。また、突条と管壁の切断面とのなす鋭
角交叉角が大きくなるにつれてエチレンの収率が向上す
ること示している。この理由は、管壁内面に螺旋突条を
設けることにより、管内を流通する原料炭化水素ガスは
層流から乱流になり、突条を乗り越えて管壁をたたく流
れを生じ、管壁近傍における流れの停滞は抑制される結
果、管壁から管内流体に対する熱伝達性能が高められ、
熱分解温度まで迅速に昇温することによる。また、突条
と管壁切断面とのなす鋭角交叉角が大きくなるにつれ
て、原料炭化水素ガスの乱流形成効果も大きくなり、エ
チレンの収率向上に繋がっているものと考えられる。
【0032】コーキング率は、No.8〜No.10の供試管
が最も少ない結果となっている。これは、鋭角交叉角θ
が40度〜50度のとき、管壁付近を流れる原料炭化水
素ガスの一部は、螺旋突条の背後で略完全なスワール流
を生じているものと考えられる。即ち、突条背後の領域
における原料炭化水素ガスの流れは、スワール流の発生
により、淀みを生じることなく流動し、過度の温度上昇
が防止されるためである。
【0033】表1のコーキング率の結果からみて、スワ
ール流の発生は螺旋突条の鋭角交叉角に依存しており、
管壁付近を流れる原料炭化水素ガスの一部が螺旋突条の
背面側領域で少なくともスワール流を発生するのは、鋭
角交叉角θが15度〜75度のときと考えられ、25度
〜65度の範囲がより多く、40度〜50度の範囲が最
も多く発生すると考えられる。本発明では、従来の熱分
解管よりもコーキング率の低下を達成するために、鋭角
交叉角θを15度〜75度の範囲に規定するが、前述の
如く、25度〜65度の範囲内がより好ましく、40度
〜50度の範囲が最も好ましい。
【0034】No.6とNo.17の供試管について、管路の
入口部、中央部及び出口部における管壁外面の表面温度
を測定した。その温度測定結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果は、エタンの65%コンバージ
ョンを得るのに、No.6の供試管の方がNo.17の供試管
よりも管壁外面の温度を低くできることを示している。
これは、No.6の供試管の内壁表面に形成された螺旋突
条が、管壁内面における原料炭化水素ガスの淀み発生を
抑制する結果、管壁から管内流体への熱伝達効率が向上
したためである。このように、原料炭化水素ガスの熱分
解反応を従来よりも低温度域で行なうことができるの
で、管体の長寿命化を期待できる。
【0037】図8(A)及び(B)は、前記実施例と同じ条
件で、供試管と同一形状の透明パイプの中へ模擬流体を
導入したときの流体の流れ状態を模式的に描いた図であ
る。図8(A)は、鋭角交叉角60度の螺旋突条を有する
No.6の供試管における流体の流れ状態を示しており、
突条の背後にスワール流が発生しており、流体の流れに
層状化は認められず、また突条の背後領域での流体の淀
みはない。図8(B)は、螺旋突条を設けないNo.17の
供試管における原料炭化水素ガスの流れ状態を示してお
り、流体の流れは層状化していることがわかる。流れの
層状化が起こると、管壁内面での流速が遅くなり、ひい
ては原料炭化水素ガスの停滞を招き、管壁近傍を流れる
流体は過熱され易くなり、過分解によってコーキングが
発生する。
【0038】次に、No.6とNo.17の供試管の中へ、ナ
フサを原料ガスとして導入し、エチレンの収率、管内壁
面におけるコーク付着、及び供試管中央部における管壁
外面における表面温度を測定した。その測定結果を表3
に示している。なお、ナフサの流通条件は、フィード量
が12kg/h、レイノルズ数が100,000、試験時間
が100時間である。
【0039】
【表3】
【0040】表3の結果を参照すると、原料炭化水素ガ
スとしてナフサを用いたときも、エタンの場合と同様、
本発明の供試管No.6は、従来の供試管No.17と比べ
て、エチレン及びプロピレンの収率増加だけでなく、コ
ーク発生量も低下することを示している。また、管体中
央部における管壁外面の温度が低く、管壁と管内を流れ
る流体との熱伝達効率にすぐれることを示している。
【0041】なお、供試管の出口部において分解ガスの
温度を測定したところ、No.6の供試管は1114K、N
o.17の供試管は1123Kであった。このように、N
o.6の供試管は、No.17の供試管と比べて9Kも温度
が低くなっている。これは、No.6の供試管を流れる流
体は、乱流形成とスワール流の発生により、効果的にガ
ス攪拌が行われており、管内へ導入される供給ガスの熱
量が小さいにも拘わらず、熱分解反応が均一に行われて
いることを示している。それゆえ、熱分解に必要な熱供
給量を少なくすることができ、熱分解操業における省エ
ネルギー化を達成できる。
【0042】
【発明の効果】本発明のエチレン製造用熱分解管は、管
壁内面を螺回するように形成した突条により、管壁付近
を流れる原料炭化水素ガスの一部は螺旋突条の背面に沿
ってスワール流を作りながらに管内を流通するから、特
に螺旋突条の背後領域での淀み発生が抑制される。従っ
て、原料炭化水素ガスは管内壁近傍での過度な高温加熱
が防止されるので、コーキング要因である遊離炭素の発
生、過度の軽質化や重縮合反応が抑制される。その結
果、本発明の熱分解管は、目的生成物であるエチレンの
収率増加と管体の長寿命化を達成することができ、工業
的価値は極めて大きいといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱分解管の軸方向断面図である。
【図2】本発明の熱分解管を軸方向で切断し展開した図
である。
【図3】本発明の異なる実施例の熱分解管を軸方向で切
断し展開した図である。
【図4】従来の熱分解管の径方向断面図である。
【図5】エチレン製造用プラントの設備構成の概略説明
図である。
【図6】加熱炉と冷却装置の略説明図である。
【図7】加熱炉の説明図である。
【図8】供試管中における模擬流体の流れ状態を模式的
に示す図である。
【符号の説明】
(10) 管体 (12) 突条

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部熱源から加熱される管体の内部に、
    原料炭化水素ガスを高速で流通させ、管内で炭化水素ガ
    スを昇温し熱分解を行わせることによりエチレンを製造
    する熱分解管において、管体の内壁には、断面形状が半
    円形又は半楕円形、高さが管内径の1/10以下の突条
    が螺旋状に形成され、管の軸心を含む平面で切断し展開
    した状態における螺旋突条と管壁の切断面とのなす鋭角
    交叉角を15度〜75度としており、管壁付近を流れる
    原料炭化水素ガスの一部は、螺旋突条の背後を旋回しな
    がら管内を流通するようになし、螺旋突条の背後領域に
    おける原料炭化水素ガスの淀み発生を抑制するようにし
    たことを特徴とするコーキング減少性能を有するエチレ
    ン製造用熱分解管。
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