JPH11199659A - 高純度炭化水素−フェノール樹脂の製造法 - Google Patents

高純度炭化水素−フェノール樹脂の製造法

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JPH11199659A
JPH11199659A JP36967897A JP36967897A JPH11199659A JP H11199659 A JPH11199659 A JP H11199659A JP 36967897 A JP36967897 A JP 36967897A JP 36967897 A JP36967897 A JP 36967897A JP H11199659 A JPH11199659 A JP H11199659A
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hydrocarbon
catalyst
phenol resin
phenol
phenols
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JP36967897A
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Satoshi Mori
智 森
Fumiaki Oshimi
文明 押見
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒残渣および未反応フェノール類を簡便か
つ効率的に除去して、不純物残存量の少ない炭化水素−
フェノール樹脂を製造する方法を提供する。 【解決手段】 (I)フリーデル−クラフツ触媒を用
い、不飽和炭化水素化合物とフェノール類とを反応させ
て炭化水素−フェノール樹脂を生成させる工程、(II)
反応液を無機塩基により中和して触媒を失活させる工
程、(III)上記で得られた触媒残渣を含む樹脂溶液に
吸着水を含む粉体を加えることにより、中和の際に生成
した錯体を触媒成分とフェノール類とに加水分解する工
程、および(IV)触媒成分、フェノール類および溶剤を
それぞれ除去する工程からなる炭化水素−フェノール樹
脂の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体封止材やプ
リント配線基板の原料として最適な炭化水素−フェノー
ル樹脂を、環境を汚染することなく、高純度にかつ簡便
に製造する方法に関するものである。さらに詳しくは、
本発明は、フェノール類と不飽和炭化水素との反応を行
った後、特定の処理を行うことにより、未反応フェノー
ル類およびイオン性不純物の残存量が極めて低い炭化水
素−フェノール樹脂を製造する方法に関する。本発明の
製造法により得られた炭化水素−フェノール樹脂は、未
反応フェノール類を含まないために、グリシジル化して
得られるエポキシ樹脂は硬化性が良好であり、かつイオ
ン性不純物も含まない。したがって、その硬化物は、電
気特性を始めとして、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐湿
性等に優れている。
【0002】
【従来の技術】前記炭化水素−フェノール樹脂は、通常
三フッ化ホウ素錯体や硫酸等の酸触媒の存在下に、フェ
ノール類と不飽和炭化水素化合物とを反応させることに
より得られるが、反応終了後にこれらの酸触媒または触
媒に由来する不純物が残存していると、得られた炭化水
素−フェノール樹脂を半導体封止材用樹脂組成物や積層
板用樹脂組成物などに用いた際に諸特性を著しく低下さ
せる原因となるので除去する必要がある。なお、電気特
性は微量の不純物の存在によっても影響されることがあ
るので、不純物の除去は徹底して行う必要がある。
【0003】また、未反応フェノール類が多量に残存す
る炭化水素−フェノール樹脂をグリシジル化してエポキ
シ樹脂を製造する場合には、不要な単量体が副生し、樹
脂物性、特に硬化性が悪化して硬化物の特性が著しく低
下し、また触媒に由来するイオン性の不純物が残存する
場合には、エポキシ樹脂原料として用いたりエポキシ樹
脂組成物の硬化剤として用いるときに、誘電率や誘電正
接に代表される電気特性が低下するという問題もある。
反応液を水洗することにより触媒等を除去することは可
能である。しかしながら、水洗の際の回収水中に未反応
フェノール類が混入し、回収水の廃棄と共に未反応フェ
ノール類が排出され、環境を著しく汚染するという重大
な問題がある。
【0004】そこで、水洗を行うことなく酸触媒または
触媒由来の不純物を除去する方法として、従来いくつか
の方法が提案されている。例えば特開平2−18272
1号公報には、反応液中の触媒を無機塩基の水溶液で中
和処理する方法が提案されている。この方法には、無機
塩基の入手が容易であり、酸触媒の中和が容易であると
いう利点がある。しかしながら、単にアルカリ水溶液で
処理するのみでは、生成樹脂中に多量の触媒残渣と未反
応フェノール類が残存するため問題が残る。一方、触媒
残渣については、処理し易い固体状で系外へ排出するこ
となどにより、環境問題も配慮しなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情に鑑み、触媒残渣や未反応フェノール類を簡便か
つ効率的に除去し、不純物残存量が少ない炭化水素−フ
ェノール樹脂を製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
は、次の工程(I)ないし(IV)からなる高純度炭化水
素−フェノール樹脂の製造法に関するものである。 (I)フリーデル−クラフツ触媒の存在下に、炭素−炭
素二重結合を2個以上有する不飽和炭化水素化合物とフ
ェノール類とを反応させることにより炭化水素−フェノ
ール樹脂を生成させる工程、(II)反応液を塩基、好ま
しくは無機塩基により中和して触媒を失活させる工程、
(III)上記で得られた触媒残渣を含む炭化水素−フェ
ノール樹脂の溶液に吸着水を含む粉体を加えることによ
り、前記中和処理の際に生成した錯体を加水分解して、
固体の触媒成分とフェノール類とに分離する工程、およ
び(IV)析出した触媒成分、フェノール類および溶剤を
それぞれ除去する工程。本発明の第2は、上記本発明の
第1において、フリーデル−クラフツ触媒が三フッ化ホ
ウ素系触媒であり、塩基が水酸化カルシウムである高純
度炭化水素−フェノール樹脂の製造法に関する。また本
発明の第3は、上記本発明の第1において、樹脂中のフ
ェノール類の残量が200ppm以下であり、かつホウ
素残量が100ppm以下である高純度炭化水素−フェ
ノール樹脂の製造法に関する。さらに本発明の第4は、
上記本発明の第1において、吸着水を含む粉体が、活性
白土、酸性白土、活性炭から選ばれる無機粉体である高
純度炭化水素−フェノール樹脂の製造法に関する。
【0007】フリーデル−クラフツ触媒の存在下に、炭
素−炭素二重結合を2個以上有する不飽和炭化水素化合
物とフェノール類とを反応させて得られる炭化水素−フ
ェノール樹脂液を無機塩基で失活処理して炭化水素−フ
ェノール樹脂を製造する際に、フェノール類は触媒成分
と錯塩を形成し、その一部は未反応フェノール類中にも
溶存するので、本発明においては、水の添加によりこれ
を分解し、触媒成分を固体状で析出させ、次いでこれを
除去することにより、触媒成分がほとんど残存しない高
純度の炭化水素−フェノール樹脂を製造する。さらに吸
着水を含む粉体を利用することにより、脱色の効果も期
待することができる。本発明の方法により、フェノール
類の残量が200ppm以下であり、かつ樹脂中のホウ
素残量が100ppm以下である高純度炭化水素−フェ
ノール樹脂を製造することが可能である。
【0008】
【発明の実施の態様】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。本発明の炭化水素−フェノール樹脂の製造法は、
まず工程(I)として、フリーデル−クラフツ触媒の存
在下において、フェノール類と炭素−炭素二重結合を2
個以上有する不飽和炭化水素化合物とを反応させる。不
飽和炭化水素化合物として、より具体的には、炭素−炭
素二重結合を2個以上有する比較的小さい分子量の炭化
水素(以下、「炭化水素(1)」という)およびブタジエ
ン等の鎖状共役ジエンの重合体(以下、「炭化水素
(2)」という)が例示される。上記炭化水素(1)は、炭
素数4〜16の範囲が好ましく、具体的にはブタジエ
ン、イソプレン、ピペリレンなどの鎖状共役ジエン化合
物、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、
ジシクロペンタジエン、リモネン、ビニルシクロヘキセ
ン、テトラヒドロインデン等の環状ジエン化合物および
これらの混合物、ならびに上記化合物中の共役ジエン化
合物を用いたディールス−アルダー反応生成物、例えば
ブタジエンとシクロペンタジエンとのディールス−アル
ダー反応生成物が例示される。
【0009】また、炭化水素(2)の鎖状共役ジエン重合
体として用いるブタジエン重合体の数平均分子量は、3
00〜4,000が好ましく、特に500〜3,000の
範囲であることが望ましい。上記ブタジエン重合体とし
ては、ブタジエンの単独重合体またはブタジエンと他の
コモノマーとの共重合体を挙げることができる。共重合
可能な他のコモノマーとしては、例えばイソプレン、ピ
ペリレン等の共役ジオレフィン、およびスチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンゼン等の
芳香族ビニルモノマーなどを挙げることができ、これら
をブタジエンとブロック共重合もしくはランダム共重合
させることにより前記ブタジエン共重合体を得ることが
できる。ブタジエンと他のコモノマーとの配合割合とし
ては、ブタジエン1モルに対して、他のコモノマー0.
05〜0.8モルが好ましく、特に0.1〜0.7モルの
範囲が望ましい。
【0010】好ましい不飽和炭化水素化合物は、炭化水
素(1)としてはジシクロペンタジエンに代表される環状
ジエン化合物およびそれを用いたディールス−アルダー
反応生成物等であり、炭化水素(2)としてはブタジエン
重合体である。
【0011】本発明に用いるフェノール類は、フェノー
ル、アルキルフェノール、ナフトール、アルキルナフト
ール等であり、具体的には、例えば下記一般式〔1〕で
示されるフェノール類および下記一般式〔2〕で示され
るアルキルナフトール類が好ましい。
【0012】
【化1】 (式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜
10のアルキル基、シクロアルキル基もしくはアリール
基を示す。また、m、nは1〜3の整数を示す。)
【0013】
【化2】 (式中、R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜
10のアルキル基、シクロアルキル基もしくはアリール
基を示す。また、q、pは1〜3の整数を示す。)
【0014】なお、上式中のm、n、pまたはqが4以
上の化合物は製造が困難であるため、これらの値が3以
下のものが好ましい。フェノール類としては、具体的に
は、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾー
ル、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチ
ルフェノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピ
ルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピル
フェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−tert−
ブチルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p
−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロ
モフェノール、p−ブロモフェノール等の一価フェノー
ル類;レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,
2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1'
−ビス(ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1'−ビス
(ジヒドロキシナフチル)メタン等のナフトール類;テト
ラメチルビフェノール、ビフェノール等の二価フェノー
ル類;トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等の三価フェ
ノール類およびこれらの混合物等を挙げることができ
る。特にフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール
および2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン
等は経済性および製造の容易さの点から望ましい。
【0015】前記フェノール類と前記炭化水素(1)また
は炭化水素(2)との仕込み割合は、フェノール類が上記
炭化水素に対して通常0.8〜20倍モル当量、好まし
くは1〜8倍モル当量である。フェノール類を溶媒とし
て他の溶媒を用いない方法が反応速度等の点から有利で
あり、この場合にはフェノール類を炭化水素(1)または
炭化水素(2)に対して等モル当量以上用いることが好ま
しく、特に3〜15倍モル当量が好ましい。前記フェノ
ール類の仕込み割合が0.8倍モル当量未満の場合に
は、炭化水素の単独重合が併発し、20倍モル当量を超
える場合には、未反応のフェノール類の回収が困難にな
るので好ましくない。
【0016】前記フェノール類と炭化水素(1)もしくは
炭化水素(2)とを反応させる際に用いるフリーデル−ク
ラフツ触媒としては、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素
のエーテル錯体、水錯体、アミン錯体、フェノール錯体
またはアルコール錯体等の三フッ化ホウ素系錯体触媒;
三塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリ
ド等のハロゲン化アルミニウム化合物;塩化鉄等のハロ
ゲン化鉄;四塩化チタン等のハロゲン化チタン等が好ま
しく、特に活性と触媒の除去の容易さの点から三フッ化
ホウ素、三フッ化ホウ素錯体等の三フッ化ホウ素系触媒
が好ましい。中でも三フッ化ホウ素およ三フッ化ホウ素
−フェノール錯体が最も望ましい。
【0017】前記フリーデル−クラフツ触媒の使用量は
特に限定されるものではなく、使用する触媒により適宜
選択することができるが、例えば三フッ化ホウ素−フェ
ノール錯体の場合は、炭化水素(1)または炭化水素(2)
100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは
0.5〜10重量部を用いる。
【0018】前記フェノール類と炭化水素(1)または炭
化水素(2)との反応は、溶剤を使用し、あるいは使用せ
ずに行うことができる。溶剤としては、反応を阻害しな
いものであれば特に制限されない。好ましい溶剤として
はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等
が挙げられる。
【0019】前記反応における反応温度は、使用するフ
リーデル−クラフツ触媒の種類により異なるが、例えば
三フッ化ホウ素−フェノール錯体を使用する場合は、通
常20〜170℃、好ましくは50〜150℃である。
反応温度が170℃を超えると触媒の分解または副反応
が生じ、また20℃未満では反応に長時間を要し、いず
れも経済的に不利であるので好ましくない。
【0020】また前記反応において、反応を円滑に進行
させるためには、系内の水分を可能な限り少なくするこ
とが好ましく、特に100ppm以下に保つことが望ま
しい。更に前記反応においては、炭化水素(1)または炭
化水素(2)を逐次添加しながら重合を行うことが、これ
らの炭化水素の単独重合の防止および反応熱制御の点で
好ましい。上記反応により炭化水素−フェノール樹脂、
未反応フェノール類、触媒および必要に応じて加えた溶
媒を含む反応液が得られる。
【0021】次いで、工程(II)として、触媒を失活さ
せるために反応液を塩基、好ましくは無機塩基により中
和する。塩基による処理は、非常に速やかに進行するた
め、処理条件は特に制限されない。通常は比較的温和な
処理条件、例えば、温度を10〜150℃、好ましくは
30〜90℃の範囲、反応時間を10分〜10時間、好
ましくは20分〜5時間として加熱および攪拌すること
により、酸触媒を十分に失活させることができる。
【0022】本工程の失活操作に用いる塩基としては、
アルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの酸化
物、水酸化物、炭酸塩等の無機塩基の他、アンモニア、
尿素等の有機塩基が挙げられる。具体的には、例えば無
機塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム
など、有機塩基としてはアンモニア、尿素等が用いられ
る。無機塩基が好ましく、特にアルカリ金属またはアル
カリ土類金属の水酸化物が好ましい。
【0023】ここで、触媒として三フッ化ホウ素(BF
3)を用い、無機塩基として水酸化カルシウム(消石
灰、Ca(OH)2)を用いて中和する場合には、本工程の
中和において次の反応が進行する。 2BF3+3Ca(OH)2 → 3CaF2+2B(OH)3 CaF2は難溶性であるので固体で析出するが、ホウ酸
(B(OH)3)は残存する未反応フェノール類に溶解し
ている。したがって、反応液を単に濾過するのみでは残
留ホウ酸の除去は困難である。これに加えて、フェノー
ル類と三フッ化ホウ素とは、消石灰の添加により複数段
の反応を経て錯体を形成することが判明した。すなわ
ち、中和工程の結果、フェノール類とホウ素との錯体が
生成する。しかもこの錯体は、未反応フェノール類に溶
解するとともに、反応溶媒や希釈用溶媒等にも、また樹
脂にもよく溶解し、したがってそのままでは除去が困難
である。なお、従来の炭化水素−フェノール樹脂の製造
方法においては、このように新規に生成するフェノール
類とホウ素との錯体の処理については全く考慮が払われ
ていない。
【0024】本発明においては触媒を失活させた後、工
程(III)の処理を行う前に、必要に応じ以下の操作を
行なう。まず、過剰のフェノール類を用いた場合には、
未反応フェノール類を濃縮回収する。濃縮は常圧、減
圧、加圧下もしくはこれらの併用のいずれで行ってもよ
い。濃縮温度は100〜300℃の範囲で行うのが好ま
しく、より好ましくは150〜270℃、さらに好まし
くは170〜250℃の範囲である。濃縮温度が300
℃を超えると樹脂の分解等を併発する懸念があるので、
これ以下の温度で行うことが好ましい。また、濃縮を円
滑かつ迅速に進行させるため、系内に窒素もしくは水蒸
気を吹き込んでもよい。溶媒の存在下に反応を行い、反
応後に溶剤が存在している場合には、フェノール類とと
もに溶剤も留去することができる。ただし、反応におい
てフェノール類よりも高い沸点の溶剤を用いた場合に
は、フェノール類のみを留去し、高沸点溶剤を残してお
くことにより、次の溶解操作を省くことができる。
【0025】未反応フェノール類の濃縮回収により除去
した後、溶剤が残留していない場合には固体の樹脂が得
られる。フェノール類に溶解したホウ酸は固体となって
析出し、固体樹脂の中に含まれる。また中和の際に生成
したフェノール類とホウ素の錯体も樹脂に含まれてい
る。この場合は樹脂が固体であるために、そのままでは
精製処理が困難である。そこで、未反応フェノール類の
回収後、触媒成分を含む粗炭化水素−フェノール樹脂を
有機溶剤に希釈する。樹脂の希釈に用いる溶媒は、炭素
数3〜10の炭化水素溶媒もしくはこれらの誘導体であ
ってホウ酸を溶解しないものが好ましい。具体的にはベ
ンゼン、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−
キシレン、メシチレン、アセトン、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノ
ール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジエ
チルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブ、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコ
ール、メチルプロピレングリコールなどが挙げられる
が、この中でもベンゼン、トルエン、キシレン類がより
好ましい。樹脂の希釈濃度は限定されないが、好ましく
は希釈後の溶液中の樹脂濃度が1〜80%、より好まし
くは5〜60%、さらに好ましくは20〜50%の範囲
で希釈を行う。
【0026】次いで、工程(III)として、触媒残渣を
含む樹脂希釈溶液を水と接触させ、含まれる錯体を加水
分解してフェノール類とホウ酸などの金属水酸化物とに
分離する。本発明においては、ここで添加する水とし
て、粉体に吸着されている水を用いる。このような水と
しては、化学吸着、物理吸着等の態様で吸着したもので
も、また結晶水の形態で含まれているものでもよい。い
ずれの場合も、常温では水を保有しているが、100℃
以上、例えば120℃に加熱することにより水を揮散す
る粉体を利用することができる。粉体としては、結晶水
や吸着水を有する活性白土、酸性白土、活性炭等の無機
固体が好ましく、特に結晶水よび吸着水を有する活性白
土を使用することが好ましい。これらの無機粉体を用い
ると、脱色効果を得ることもできる。
【0027】なお、水を単独で添加する場合には、水を
多量に用いるとホウ酸が水に溶解して除去が困難にな
る。なお、ここでいうホウ酸には、触媒中和の際に生成
して残存するホウ酸も含まれる。したがって、この場合
に加える水の量は、錯体を分解するために十分であっ
て、しかもホウ酸などの金属酸化物を溶解させない範囲
であることが必要である。しかしながら、吸着水または
結晶水の形態で水を含む粉体を利用するときには、粉体
の添加量を厳密に調整する必要はない。すなわち、やや
多量に粉体を添加しても、ホウ酸などの金属水酸化物の
再溶解が起こる懸念は少ない。したがって、粉体の添加
量は粉体中の水分量と触媒の量に応じて適宜選択するこ
とができ、十分な量の粉体を加えることが好ましい。三
フッ化ホウ素触媒を用いる場合には、三フッ化ホウ素の
量に対して水分量がモル比で1〜50の範囲になるよう
に粉体を添加することが好ましく、特に5〜40の範囲
において効率よく触媒成分を回収することができる。
【0028】結晶水や吸着水を有する粉体の形で水を添
加した後、溶液を撹拌することにより不純物を効率よく
析出させることができる。溶液の撹拌条件は特に限定さ
れないが、20〜100℃で15〜120分間行うこと
が好ましく、さらに好ましくは30〜50℃で30〜6
0分間行う。
【0029】上記撹拌の終了後、工程(IV)として、加
えた粉体と併せて析出した固体不純物および溶剤の除去
を行う。固体不純物の除去方法は特に限定されない。溶
液中の固体除去には、濾過を採用することが効率の上か
ら好ましい。具体的な濾過の方法も特に制限されるもの
ではなく、常圧、減圧、加圧のいずれの条件下で行って
もよいが、効率よく不純物を除去するためには、減圧下
もしくは加圧下で行うことが好ましい。
【0030】加えた粉体と固体不純物とを除去した後、
濾液から溶剤を濃縮回収する。この濃縮回収において
は、触媒の錯体が加水分解されて分離した微量のフェノ
ール類の除去にも有効であるため、蒸留を利用すること
が好ましい。濃縮は常圧、減圧、加圧下またはこれらの
併用のいずれの蒸留で行ってもよい。また、濃縮温度は
樹脂の分解を併発しないよう300℃以下の範囲で行う
ことが好ましい。さらに、濃縮を円滑かつ迅速に進行さ
せるため、系内に窒素、もしくは水蒸気を吹き込んでも
よい。溶剤の濃縮時間も特に限定されるものではない
が、濃縮後の炭化水素−フェノール樹脂中の未反応フェ
ノール類の残存量が200ppm以下になるまで濃縮を
行うことが好ましく、より好ましくは100ppm以
下、さらに好ましくは50ppm以下になるまで行う。
【0031】上記の方法により得られる高純度炭化水素
−フェノール樹脂は、樹脂中に触媒残渣および未反応フ
ェノール類を含まないため、エポキシ樹脂やシアネート
樹脂の原料として利用することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 <実施例1> (炭化水素−フェノール樹脂の合成−1)フェノール
2,000gとトルエン400gとを、還流冷却器(リ
ービッヒコンデンサー)を備えた容量5リットルの反応
器に仕込み、170℃に加熱して、トルエン350gを
留出させ、反応系内の水分含有量を70ppmとした。
次いで、反応系を70℃まで冷却し、三フッ化ホウ素−
フェノール錯体10gを添加した後、反応温度を70℃
に制御しながら、水分含有量が20ppmのジシクロペ
ンタジエン400gを1.5時間かけて徐々に滴下し、
滴下終了後、100℃で5時間反応を行った。反応終了
後、得られた反応生成物に水酸化カルシウム12gを添
加し、30分間撹拌して触媒を失活させた後、未反応フ
ェノールを濃縮回収して粗炭化水素−フェノール樹脂を
得た。次いで、得られた触媒残差を含む粗炭化水素−フ
ェノール樹脂をトルエン950gに溶解した後、120
℃で1時間乾燥後に測定した水分量が10%である活性
白土300gを添加し、40℃で30分間撹拌した。析
出した固体を濾過により除去し、溶剤を濃縮回収したと
ころ、炭化水素−フェノール樹脂(A)910gを得
た。得られた炭化水素−フェノール樹脂(A)は、軟化
点が93℃であり、フェノール性水酸基当量は170g/
eq であった。また、樹脂中の残存フェノールは5pp
m以下、残存ホウ素は8ppm、フッ素は1ppm以下
であった。結果を表1に示す。
【0033】<実施例2> (炭化水素−フェノール樹脂の合成−2)活性白土の添
加した後、さらに水を添加して、40℃で30分撹拌し
た以外は、実施例1と同様に反応および精製を行い、炭
化水素−フェノール樹脂(B)910gを得た。得られ
た炭化水素−フェノール樹脂(B)は、軟化点が93℃
であり、フェノール性水酸基当量は170g/eq であっ
た。また、樹脂中の残存フェノールは5ppm以下、残
存ホウ素は1ppm以下、フッ素は1ppm以下であっ
た。結果を表1に示す。
【0034】<比較例1> (炭化水素−フェノール樹脂の合成−3)未反応フェノ
ールを濃縮回収した後の粗炭化水素−フェノール樹脂を
トルエンに希釈し、活性白土と接触させることなく濾過
した以外は、実施例1と同様に反応および精製を行い、
炭化水素−フェノール樹脂(C)940gを得た。得ら
れた炭化水素−フェノール樹脂(C)は、軟化点が94
℃であり、フェノール性水酸基当量は170g/eq であ
った。また、樹脂中の残存フェノールは140ppmで
あり、残存ホウ素は620ppm、フッ素は1ppm以
下であった。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の炭化水素−フェノール樹脂の製
造法は、無機塩基による中和処理を行い、次いで未反応
フェノール類を除去し有機溶剤を加えた後、吸着水を含
む粉体を加え、不純物を析出させて除去することを特徴
としており、溶剤を濃縮回収して得られる炭化水素−フ
ェノール樹脂は、未反応フェノール類ならびに触媒残差
に由来するイオン性不純物、具体的にはホウ素およびフ
ッ素の残存量が極めて低く、簡便かつ容易に高純度の炭
化水素−フェノール樹脂類を製造することが可能であ
る。また、本発明の製造法により得られる炭化水素−フ
ェノール樹脂は低吸水性であるため、上記樹脂をグリシ
ジル化して得られるエポキシ樹脂は、電気特性をはじ
め、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐湿性等に非常に優れ
ている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程(I)ないし(IV)からなる高
    純度炭化水素−フェノール樹脂の製造法。 (I)フリーデル−クラフツ触媒の存在下に、炭素−炭
    素二重結合を2個以上有する不飽和炭化水素化合物とフ
    ェノール類とを反応させることにより炭化水素−フェノ
    ール樹脂を製造する工程、(II)反応液を塩基、好まし
    くは無機塩基により中和して触媒を失活させる工程、
    (III)上記で得られた触媒残渣を含む炭化水素−フェ
    ノール樹脂の溶液に吸着水を含む粉体を加えることによ
    り、前記中和処理の際に生成した錯体を加水分解して、
    固体の触媒成分とフェノール類とに分離する工程、およ
    び(IV)析出した触媒成分、フェノール類および溶剤を
    それぞれ除去する工程
  2. 【請求項2】 前記フリーデル−クラフツ触媒が三フッ
    化ホウ素系触媒であり、塩基が水酸化カルシウムである
    請求項1記載の高純度炭化水素−フェノール樹脂の製造
    法。
  3. 【請求項3】 前記樹脂中のフェノール類の残量が20
    0ppm以下であり、かつホウ素の残量が100ppm
    以下である請求項1記載の高純度炭化水素−フェノール
    樹脂の製造法。
  4. 【請求項4】 前記吸着水を含む粉体が、活性白土、酸
    性白土および活性炭から選ばれる無機粉体である請求項
    1記載の高純度炭化水素−フェノール樹脂の製造法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009102456A (ja) * 2007-10-19 2009-05-14 Jfe Chemical Corp ジシクロペンタジエン類変性フェノール樹脂の製造方法および未反応フェノール類の再利用方法

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