JP3350696B2 - ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法 - Google Patents
ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば近年清涼飲料水
容器、調味料容器、包装材料等として、広く利用されて
いる、いわゆるポリエチレンテレフタレ−ト(以下、P
ETと略す)容器の廃棄物を原料モノマ−として回収
し、資源の有効利用とともに、社会的な問題となってい
る廃棄物公害を減少させ、生産流通更に生活を快適なら
しめんとするものである。
容器、調味料容器、包装材料等として、広く利用されて
いる、いわゆるポリエチレンテレフタレ−ト(以下、P
ETと略す)容器の廃棄物を原料モノマ−として回収
し、資源の有効利用とともに、社会的な問題となってい
る廃棄物公害を減少させ、生産流通更に生活を快適なら
しめんとするものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】一般に、高分子材料を回収
し、再利用するとき、性能の劣化、汚れ等のため、非常
に低い価値の用途にしか向けるほかない。しかも、これ
らの加工は面倒な手順を経、結局屡々焼却という処理手
段に頼ることになる。
し、再利用するとき、性能の劣化、汚れ等のため、非常
に低い価値の用途にしか向けるほかない。しかも、これ
らの加工は面倒な手順を経、結局屡々焼却という処理手
段に頼ることになる。
【0003】一方、PETを解重合して原料を再生する
方法としては、これまでに次の方法が知られていた。 (1)加水分解法 PETを強酸或いはアルカリ水溶液とともに加熱処理す
ることにより、テレフタル酸(以下、TPAと略す)或
いはその塩に変換して回収する方法。この方法によって
TPAを回収することができるが、生成したエチレング
リコ−ル(以下、EGと略す)が水中に溶解するため、
回収は困難であり、且つ廃水処理という問題を伴う。
又、反応時間を短縮するためには、高温高圧の過酷な条
件が必要である。 (2)加グリコ−ル分解法 金属塩触媒存在下でPETをEGやプロピレングリコ−
ル等とともに加熱処理することにより、解重合させて、
ビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト(以下、BHET
と略す)及びPETのオリゴマ−等を回収する方法。こ
の方法によって完全なモノマ−まで分解するのは困難で
あり、多量のEGや長い反応時間も必要である。生成し
たBHETの一部はEGに溶解するので、その分離は煩
雑となり、収率の点にも問題がある。又、これらが原因
となって回収コストが高い。 (3)加メタノ−ル分解法 金属塩触媒存在下でPETをメタノ−ルとともに加熱処
理することにより、TPAジメチルを回収する方法。こ
の方法によってTPAジメチルを回収することができる
が、生成したEGと溶媒メタノ−ルとの分離、又、TP
Aジメチルはメタノ−ルに可溶であるため、その分離工
程には蒸留を必要とし、収率も決して高くない。更に、
加水分解の場合と同様に高温高圧の過酷な分解条件が必
要である。
方法としては、これまでに次の方法が知られていた。 (1)加水分解法 PETを強酸或いはアルカリ水溶液とともに加熱処理す
ることにより、テレフタル酸(以下、TPAと略す)或
いはその塩に変換して回収する方法。この方法によって
TPAを回収することができるが、生成したエチレング
リコ−ル(以下、EGと略す)が水中に溶解するため、
回収は困難であり、且つ廃水処理という問題を伴う。
又、反応時間を短縮するためには、高温高圧の過酷な条
件が必要である。 (2)加グリコ−ル分解法 金属塩触媒存在下でPETをEGやプロピレングリコ−
ル等とともに加熱処理することにより、解重合させて、
ビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト(以下、BHET
と略す)及びPETのオリゴマ−等を回収する方法。こ
の方法によって完全なモノマ−まで分解するのは困難で
あり、多量のEGや長い反応時間も必要である。生成し
たBHETの一部はEGに溶解するので、その分離は煩
雑となり、収率の点にも問題がある。又、これらが原因
となって回収コストが高い。 (3)加メタノ−ル分解法 金属塩触媒存在下でPETをメタノ−ルとともに加熱処
理することにより、TPAジメチルを回収する方法。こ
の方法によってTPAジメチルを回収することができる
が、生成したEGと溶媒メタノ−ルとの分離、又、TP
Aジメチルはメタノ−ルに可溶であるため、その分離工
程には蒸留を必要とし、収率も決して高くない。更に、
加水分解の場合と同様に高温高圧の過酷な分解条件が必
要である。
【0004】前述の(1)〜(3)の方法のように、P
ETから水溶液中での加アルカリ分解法或いは金属塩触
媒存在下での加アルコ−ル分解法によって、その構成モ
ノマ−を回収する研究については、今までも数多く報告
されている。しかし、EG中での加アルカリ分解につい
ては、全く報告されていない。
ETから水溶液中での加アルカリ分解法或いは金属塩触
媒存在下での加アルコ−ル分解法によって、その構成モ
ノマ−を回収する研究については、今までも数多く報告
されている。しかし、EG中での加アルカリ分解につい
ては、全く報告されていない。
【0005】次に、本発明の基本手法となる化学反応式
を式1に示す。
を式1に示す。
【0006】
【化1】
【0007】即ち、PETをEG中で加アルカリ分解す
ると、TPA塩とEGを生成する。生成したTPA塩は
EG中で析出するため、反応は完全にモノマ−まで分解
できる上、濾過により両方を分離回収できる。
ると、TPA塩とEGを生成する。生成したTPA塩は
EG中で析出するため、反応は完全にモノマ−まで分解
できる上、濾過により両方を分離回収できる。
【0008】更に驚くべきことに、比較的穏和な条件下
で短時間内にモノマ−にまで分解でき、特に生成したT
PA塩とEGとの分離操作は簡単であり、しかもそれら
の回収率も高く、連続的に分解回収することが可能であ
る点は、本発明の最大の特徴である。即ち、式1で生成
するTPAジナトリウムのEG中への溶解度が大変小さ
く、このため反応は全く容易に右式へ移行することが見
出されたのである。
で短時間内にモノマ−にまで分解でき、特に生成したT
PA塩とEGとの分離操作は簡単であり、しかもそれら
の回収率も高く、連続的に分解回収することが可能であ
る点は、本発明の最大の特徴である。即ち、式1で生成
するTPAジナトリウムのEG中への溶解度が大変小さ
く、このため反応は全く容易に右式へ移行することが見
出されたのである。
【0009】反応は、PET表面で進行するので、苛性
ソ−ダの量、溶解度、攪拌が大切であり、反応速度の上
昇のためにも高い温度が有利であるが、反応を制御する
上から、適宜操作温度を選ぶ必要がある。表面積の小さ
い形状の材料を処理するときは、高温にするか、或いは
温度を上げずに、アルコ−ル類、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンを代表とするエ
チレングリコ−ル系エ−テル類なる群から選ばれる促進
剤を適宜加えるのが有効である。反応温度は、室温〜1
95℃の範囲がよいが、経済性、安全性の点で、80〜
180℃で行うのが通常である。
ソ−ダの量、溶解度、攪拌が大切であり、反応速度の上
昇のためにも高い温度が有利であるが、反応を制御する
上から、適宜操作温度を選ぶ必要がある。表面積の小さ
い形状の材料を処理するときは、高温にするか、或いは
温度を上げずに、アルコ−ル類、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンを代表とするエ
チレングリコ−ル系エ−テル類なる群から選ばれる促進
剤を適宜加えるのが有効である。反応温度は、室温〜1
95℃の範囲がよいが、経済性、安全性の点で、80〜
180℃で行うのが通常である。
【0010】苛性ソ−ダのPETのカルボキシル基に対
する使用量は、1.0ないし3.5がよい。少ないと時間
が長くかかり、多すぎると系のかき混ぜの抵抗のため
か、遅くなる傾向がある。PETのEGに対する投入割
合が少ないほど反応が容易なのは、当然であるが、本発
明ではむしろ容積比で35%と高い割合でもかき混ぜが
できる限り、分解反応には支障のないことを見出すこと
ができた。
する使用量は、1.0ないし3.5がよい。少ないと時間
が長くかかり、多すぎると系のかき混ぜの抵抗のため
か、遅くなる傾向がある。PETのEGに対する投入割
合が少ないほど反応が容易なのは、当然であるが、本発
明ではむしろ容積比で35%と高い割合でもかき混ぜが
できる限り、分解反応には支障のないことを見出すこと
ができた。
【0011】反応促進剤の効果は、苛性ソ−ダのPET
表面との接触並びに反応速度の加速に役立つとみられ、
その使用量に特に制限はないが、多く用いると経済的で
なくなるため、必要最小量にすべきである。
表面との接触並びに反応速度の加速に役立つとみられ、
その使用量に特に制限はないが、多く用いると経済的で
なくなるため、必要最小量にすべきである。
【0012】
【実施例】次に、本発明の実施の態様を述べて、本発明
の有効性を一層明らかにする。しかし、本発明の主旨を
逸脱せざる限り、この説明のみに本発明の範囲が限定さ
れるものではない。
の有効性を一層明らかにする。しかし、本発明の主旨を
逸脱せざる限り、この説明のみに本発明の範囲が限定さ
れるものではない。
【0013】まず、試料及び試薬は、次のものを用い
る。PETには2mm×1mm(長さ×直径)のペレッ
ト状試料[重量平均分子量Mwは30000([η]=
0.941dl/g)]を用いた。EGと水酸化ナトリ
ウム(NaOHを96%含有)には市販一級品をそのま
ま使用した。滴定用HCl標準水溶液では市販の1N標
準溶液を蒸留水で0.2Nに希釈したものを使用した。
る。PETには2mm×1mm(長さ×直径)のペレッ
ト状試料[重量平均分子量Mwは30000([η]=
0.941dl/g)]を用いた。EGと水酸化ナトリ
ウム(NaOHを96%含有)には市販一級品をそのま
ま使用した。滴定用HCl標準水溶液では市販の1N標
準溶液を蒸留水で0.2Nに希釈したものを使用した。
【0014】0.48〜1.92gのPETペレットと
0.21〜0.84gのNaOH及び5mlのEGを試験
管中に入れ、窒素雰囲気下で150〜180℃のオイル
バス中で攪拌しながら、所定時間分解した。分解後、反
応を止め、試験管を速やかに冷水中で室温に冷却した。
試験管中の反応物と反応液を50mlの蒸留水中に投入
後、0.2NのHCl標準溶液でpH7まで滴定し、N
aOHの消耗量、つまり−COONaの生成量の変化を
追跡した(分解生成したテレフタル酸塩及び未分解のP
ETペレットをEGから濾過分離した後、濾液を滴定し
た結果と、未分離のまま滴定した結果とが同じであった
ので、滴定は未分離のまま行った。)。
0.21〜0.84gのNaOH及び5mlのEGを試験
管中に入れ、窒素雰囲気下で150〜180℃のオイル
バス中で攪拌しながら、所定時間分解した。分解後、反
応を止め、試験管を速やかに冷水中で室温に冷却した。
試験管中の反応物と反応液を50mlの蒸留水中に投入
後、0.2NのHCl標準溶液でpH7まで滴定し、N
aOHの消耗量、つまり−COONaの生成量の変化を
追跡した(分解生成したテレフタル酸塩及び未分解のP
ETペレットをEGから濾過分離した後、濾液を滴定し
た結果と、未分離のまま滴定した結果とが同じであった
ので、滴定は未分離のまま行った。)。
【0015】滴定後、濾過により未分解のペレット(ほ
とんどの場合は溶解して存在しなかった。)と分解生成
したTPA塩とを分離し、更に濾液中に過量のHCl溶
液を滴下することによりTPAを沈殿させ、濾過後にT
PAが得られた。得られたTPAと残ったペレットを乾
燥し、それらの重量を測定してPETの残留率とTPA
の収率を算出した。更に、1H NMRと蛍光X線で分解
生成物と残ったペレットを解析した。
とんどの場合は溶解して存在しなかった。)と分解生成
したTPA塩とを分離し、更に濾液中に過量のHCl溶
液を滴下することによりTPAを沈殿させ、濾過後にT
PAが得られた。得られたTPAと残ったペレットを乾
燥し、それらの重量を測定してPETの残留率とTPA
の収率を算出した。更に、1H NMRと蛍光X線で分解
生成物と残ったペレットを解析した。
【0016】次にPETの分解におけるペレットの重量
変化を図1に示す。分解につれてPETペレットの重量
は速やかに減少し、分解温度の増加につれてその減少速
度も速くなる。ペレットが完全になくなるまでに必要な
時間は150℃で約80分間、160℃で50分間、1
70℃で30分間及び180℃で15分間である。
変化を図1に示す。分解につれてPETペレットの重量
は速やかに減少し、分解温度の増加につれてその減少速
度も速くなる。ペレットが完全になくなるまでに必要な
時間は150℃で約80分間、160℃で50分間、1
70℃で30分間及び180℃で15分間である。
【0017】得られたTPA塩を過量のHCl中でTP
Aに変換後秤量し、数式1に従って算出したTPAの収
率を図2に示す。180℃で約15分間加熱するとPE
Tが完全に分解され、TPAを100%回収できること
が示されている。
Aに変換後秤量し、数式1に従って算出したTPAの収
率を図2に示す。180℃で約15分間加熱するとPE
Tが完全に分解され、TPAを100%回収できること
が示されている。
【0018】
【数1】
【0019】図1及び図2の結果を比較すると、任意の
分解時間におけるTPAのモル収率はPETペレットの
モル減少率に等しいことがわかる。このことはEG中で
のPETの加アルカリ分解がPETペレットの表面で進
行することを示唆している。
分解時間におけるTPAのモル収率はPETペレットの
モル減少率に等しいことがわかる。このことはEG中で
のPETの加アルカリ分解がPETペレットの表面で進
行することを示唆している。
【0020】又、一定時間分解後生成した白い沈殿物と
残ったペレットを蛍光X線で解析した。そのスペクトル
を図3に示す。白い分解物は55.19(deg)(2
θ)の付近にナトリウムの強い散乱ピ−クを示すのに対
して、残留ペレットは反応条件を問わず、ほとんど散乱
を示さなかった。この結果によっても、EG中でのPE
Tの加アルカリ分解はPETペレットの表面で進行する
ことが明らかである。
残ったペレットを蛍光X線で解析した。そのスペクトル
を図3に示す。白い分解物は55.19(deg)(2
θ)の付近にナトリウムの強い散乱ピ−クを示すのに対
して、残留ペレットは反応条件を問わず、ほとんど散乱
を示さなかった。この結果によっても、EG中でのPE
Tの加アルカリ分解はPETペレットの表面で進行する
ことが明らかである。
【0021】分解速度に及ぼすNaOHの影響につい
て、次に述べる。160℃で種々のNaOH初期濃度下
でPETを5分間反応させ、生成した −COONa を
測定した。これから求めた分解速度に及ぼすNaOH濃
度の影響を図4に示す。いずれのPET初期添加量でも
NaOH濃度の増加につれて分解速度が増加するが、N
aOH濃度が2mol/lを越えると分解速度はかえっ
て遅くなる。又、これと同じ結果を用いて、分解速度に
及ぼすPET初期添加量の影響を図5に示す。PET濃
度の増加につれて分解速度が遅くなることが示されてい
る。
て、次に述べる。160℃で種々のNaOH初期濃度下
でPETを5分間反応させ、生成した −COONa を
測定した。これから求めた分解速度に及ぼすNaOH濃
度の影響を図4に示す。いずれのPET初期添加量でも
NaOH濃度の増加につれて分解速度が増加するが、N
aOH濃度が2mol/lを越えると分解速度はかえっ
て遅くなる。又、これと同じ結果を用いて、分解速度に
及ぼすPET初期添加量の影響を図5に示す。PET濃
度の増加につれて分解速度が遅くなることが示されてい
る。
【0022】PETの分解が進行するにつれて、EG中
でTPA塩の不溶性の白い沈殿物が生成する。この沈殿
物は水中で可溶であり、TPA或いはTPAにその低量
体オリゴマ−酸のナトリウム塩が微量混合したものであ
る可能性が疑われた。そこで次に、これを過量のHCl
水溶液中でTPA(及びそのオリゴマ−)に変換後、濾
過により得られたものついて、1H NMRで解析した。
160℃で25分間分解後、得られたものの1H NMR
スペクトルを図6に示す。このスペクトル解析の結果か
らEGの残基の存在は全く認められないので、生成した
白い沈殿物は完全なTPA塩であることがわかる。
でTPA塩の不溶性の白い沈殿物が生成する。この沈殿
物は水中で可溶であり、TPA或いはTPAにその低量
体オリゴマ−酸のナトリウム塩が微量混合したものであ
る可能性が疑われた。そこで次に、これを過量のHCl
水溶液中でTPA(及びそのオリゴマ−)に変換後、濾
過により得られたものついて、1H NMRで解析した。
160℃で25分間分解後、得られたものの1H NMR
スペクトルを図6に示す。このスペクトル解析の結果か
らEGの残基の存在は全く認められないので、生成した
白い沈殿物は完全なTPA塩であることがわかる。
【0023】PETとEGの仕込み比を1mol/l及
びNaOHの初期濃度を2mol/lとして、種々の反
応温度で測定した −COONa の生成速度を図7に示
す。反応はPETペレットの表面で進行することから、
図1、2及び7の結果によって、任意の反応時間の後に
生成した白い沈殿物は完全なTPAモノマ−のナトリウ
ム塩であることがわかる。これは図6の解析結果と一致
する。このことから本分解法において反応の途中で反応
を止めても、完全なTPA塩及びEGの回収ができるこ
とがわかる。
びNaOHの初期濃度を2mol/lとして、種々の反
応温度で測定した −COONa の生成速度を図7に示
す。反応はPETペレットの表面で進行することから、
図1、2及び7の結果によって、任意の反応時間の後に
生成した白い沈殿物は完全なTPAモノマ−のナトリウ
ム塩であることがわかる。これは図6の解析結果と一致
する。このことから本分解法において反応の途中で反応
を止めても、完全なTPA塩及びEGの回収ができるこ
とがわかる。
【0024】PETの分解速度は、分解操作に供せられ
るPETのペレットの表面積と攪拌速度に関係がある。
従って、回収廃PETを使用するとき、その破砕には注
意してできるだけ表面積の大きい形状にするのが好まし
い。特にポリオレフィン等との複合材料の回収品の場
合、分解処理の途中でポリオレフィンを系外へ取り出す
ようなことも必要になる。つまり、本発明者等は、発明
の技術を分かりやすくするためにPETペレットでの実
施例を示したが、PETが主体になる回収品を用いる限
り、本法が有効なことは明白である。
るPETのペレットの表面積と攪拌速度に関係がある。
従って、回収廃PETを使用するとき、その破砕には注
意してできるだけ表面積の大きい形状にするのが好まし
い。特にポリオレフィン等との複合材料の回収品の場
合、分解処理の途中でポリオレフィンを系外へ取り出す
ようなことも必要になる。つまり、本発明者等は、発明
の技術を分かりやすくするためにPETペレットでの実
施例を示したが、PETが主体になる回収品を用いる限
り、本法が有効なことは明白である。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、実施例にも示した通
り、PETをEG中で加アルカリ分解することにより、
比較的穏和な条件で短時間内にTPA塩とEGが生成
し、モノマ−単位として回収することが可能である。生
成したTPA塩とEGの両者の回収率が高く、分離も極
めて簡単であるため、廃棄PETプラスチックの工業的
リサイクル方法として価値が大きく、社会的に重要な課
題となっている廃棄プラスチック問題に対しても、明る
い材料を提供することができるので、本発明の産業上の
利用性は、非常に高いといえる。
り、PETをEG中で加アルカリ分解することにより、
比較的穏和な条件で短時間内にTPA塩とEGが生成
し、モノマ−単位として回収することが可能である。生
成したTPA塩とEGの両者の回収率が高く、分離も極
めて簡単であるため、廃棄PETプラスチックの工業的
リサイクル方法として価値が大きく、社会的に重要な課
題となっている廃棄プラスチック問題に対しても、明る
い材料を提供することができるので、本発明の産業上の
利用性は、非常に高いといえる。
【0026】
【図1】反応時間経過によるPETペレットの残存重量
変化を示す図である。
変化を示す図である。
【図2】反応時間経過によるTPA収率の変化を示す図
である。
である。
【図3】反応物の蛍光X線スペクトルを示す図である。
【図4】種々のPET初期仕込量において、NaOH添
加量が加アルカリ分解に及ぼす効果を示す図である。
加量が加アルカリ分解に及ぼす効果を示す図である。
【図5】種々のPET初期仕込量が種々のNaOH濃度
において、加アルカリ分解に及ぼす効果を示す図であ
る。
において、加アルカリ分解に及ぼす効果を示す図であ
る。
【図6】PETを160℃で25分間加アルカリ分解
後、過量HCl水溶液中で沈殿するにより得られたテレ
フタル酸の1H NMRスペクトルを示す図である。
後、過量HCl水溶液中で沈殿するにより得られたテレ
フタル酸の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図7】滴定により求めた反応時間経過にともなうテレ
フタル酸ジナトリウム塩の生成量変化を示す図である。
フタル酸ジナトリウム塩の生成量変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−157402(JP,A) 特開 平8−302061(JP,A) 特開 平6−199734(JP,A) 特開 平6−72922(JP,A) 特開 平7−330662(JP,A) 特開 昭58−4735(JP,A) 特開 昭50−104276(JP,A) 特開 昭49−28578(JP,A) 特表 平11−502870(JP,A) 特表 平11−502868(JP,A) 特表 平11−502869(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 27/02 C07C 31/20 C07C 51/087 C07C 63/26 C07C 63/28
Claims (5)
- 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレ−トの小粒、粉
末、小片或いはこれらの集まった塊状物、又はこれらの
2つ以上の混合物を、エチレングリコ−ル中にて過剰の
苛性ソ−ダと、室温から195℃の間でかき混ぜ、接触
させ、生成するテレフタル酸ソ−ダを固形物として分離
することを特徴とする、ポリエチレンテレフタレ−トよ
りテレフタル酸とエチレングリコ−ルとを回収する方
法。 - 【請求項2】 反応促進剤として、メチルアルコ−
ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル類、ブチル
アルコ−ル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,
2−ジメトキシエタンなるエ−テル群から選ばれる、少
なくとも1つ或いは2つ以上の混合物を適宜反応系に添
加することを特徴とする、請求項1記載のポリエチレン
テレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコ−ル
とを回収する方法。 - 【請求項3】 原料ポリエチレンテレフタレ−トが50
%以上含有されるプラスチックス廃棄物である、請求項
1記載のポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸
とエチレングリコ−ルとを回収する方法 - 【請求項4】 苛性ソ−ダの対ポリエチレンテレフタレ
−トの使用割合が、ポリエチレンテレフタレ−トのカル
ボキシル基当たり1.0ないし3.5である、請求項1記
載のポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエ
チレングリコ−ルとを回収する方法。 - 【請求項5】 ポリエチレンテレフタレ−トの対エチレ
ングリコ−ルの容積比が35%以下である、請求項1記
載のポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエ
チレングリコ−ルとを回収する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12774196A JP3350696B2 (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12774196A JP3350696B2 (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09286744A JPH09286744A (ja) | 1997-11-04 |
JP3350696B2 true JP3350696B2 (ja) | 2002-11-25 |
Family
ID=14967542
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3350696B2 (ja) |
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