JPH1087529A - ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法 - Google Patents
ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法Info
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- JPH1087529A JPH1087529A JP26917996A JP26917996A JPH1087529A JP H1087529 A JPH1087529 A JP H1087529A JP 26917996 A JP26917996 A JP 26917996A JP 26917996 A JP26917996 A JP 26917996A JP H1087529 A JPH1087529 A JP H1087529A
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- polyethylene terephthalate
- ethylene glycol
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 ポリエチレンテフタレ−ト廃棄物から原料
のテレフタル酸(アルカリ)とエチレングリコールとを
回収する、経済的な方法を提供する。 【構成】 ポリエチレンテフタレ−ト廃棄物をアルコ
−ルとエ−テル混合液中、アルカリで分解し、効率よ
く、テレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方
法。
のテレフタル酸(アルカリ)とエチレングリコールとを
回収する、経済的な方法を提供する。 【構成】 ポリエチレンテフタレ−ト廃棄物をアルコ
−ルとエ−テル混合液中、アルカリで分解し、効率よ
く、テレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方
法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば近年清涼飲料水
容器、調味料容器、包装材料等として、広く利用されて
いる、いわゆるポリエチレンテレフタレ−ト(以下、P
ETと略す)容器の廃棄物を原料モノマ−として回収
し、資源の有効利用とともに、社会的な問題となってい
る廃棄物公害を減少させ、生産流通更に生活を快適なら
しめんとするものである。
容器、調味料容器、包装材料等として、広く利用されて
いる、いわゆるポリエチレンテレフタレ−ト(以下、P
ETと略す)容器の廃棄物を原料モノマ−として回収
し、資源の有効利用とともに、社会的な問題となってい
る廃棄物公害を減少させ、生産流通更に生活を快適なら
しめんとするものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、高分子材料を回収し、再利用す
るとき、性能の劣化、汚れ等のため、非常に低い価値の
用途にしか向けるほかはなく、しかもこれらの加工は面
倒な手順を経、結局屡々焼却という処理手段に頼ること
になる。
るとき、性能の劣化、汚れ等のため、非常に低い価値の
用途にしか向けるほかはなく、しかもこれらの加工は面
倒な手順を経、結局屡々焼却という処理手段に頼ること
になる。
【0003】一方、PETを解重合して原料を再生する
方法としては、加水分解法、加グリコ−ル分解法や加メ
タノ−ル分解法のように、PETから水溶液中での加ア
ルカリ分解法或いは金属塩触媒存在下での加アルコ−ル
分解法によって、その構成モノマ−を回収する研究につ
いては、今までにも数多く報告されているが、いずれも
過酷な反応条件を必要とし、またその収率においても満
足する手法ということはできない。
方法としては、加水分解法、加グリコ−ル分解法や加メ
タノ−ル分解法のように、PETから水溶液中での加ア
ルカリ分解法或いは金属塩触媒存在下での加アルコ−ル
分解法によって、その構成モノマ−を回収する研究につ
いては、今までにも数多く報告されているが、いずれも
過酷な反応条件を必要とし、またその収率においても満
足する手法ということはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記問
題点を解決するため、エチレングリコ−ル(以下、EG
と略す)中での加アルカリ分解に関する特許出願(特願
平8−127741号)を行っているが、更に本発明者
等はPETの効率的なアルカリ分解方法につき、系統的
な研究、実験を重ねた結果、系に加えるアルコ−ルに対
して使用するエ−テル類の混合比を工夫することによ
り、PETを比較的緩和な条件下で短時間内にモノマ−
にまで分解でき、テレフタル酸(以下、TPAと略す)
塩とアルコ−ル、エ−テル、エチレングリコ−ルとの分
離操作が簡単で、しかもそれらの回収率も高く、連続的
に分解回収することができるという新知見を得、本発明
を完成したのである。
題点を解決するため、エチレングリコ−ル(以下、EG
と略す)中での加アルカリ分解に関する特許出願(特願
平8−127741号)を行っているが、更に本発明者
等はPETの効率的なアルカリ分解方法につき、系統的
な研究、実験を重ねた結果、系に加えるアルコ−ルに対
して使用するエ−テル類の混合比を工夫することによ
り、PETを比較的緩和な条件下で短時間内にモノマ−
にまで分解でき、テレフタル酸(以下、TPAと略す)
塩とアルコ−ル、エ−テル、エチレングリコ−ルとの分
離操作が簡単で、しかもそれらの回収率も高く、連続的
に分解回収することができるという新知見を得、本発明
を完成したのである。
【0005】即ち、本発明は、PETの容器等にアルコ
−ル、エ−テルを加え、当量ないし過剰のアルカリと反
応させ、生成するTPA塩を固形物として分離すること
を特徴とするPETよりTPAとEGを回収する方法に
関するものである。
−ル、エ−テルを加え、当量ないし過剰のアルカリと反
応させ、生成するTPA塩を固形物として分離すること
を特徴とするPETよりTPAとEGを回収する方法に
関するものである。
【0006】
【発明を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成することができる。つまり、
PETとしては、小粒、粉末、小片或いはこれらの集ま
った塊状物、又はこれらの2つ以上の混合物を用いる。
アルコ−ルとしては、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパ
ノ−ル類、ブタノ−ル類を挙げることができ、これらの
アルコ−ルは少なくとも1つ或いは2つ以上の混合物を
用いることができる。
通りの本発明によって達成することができる。つまり、
PETとしては、小粒、粉末、小片或いはこれらの集ま
った塊状物、又はこれらの2つ以上の混合物を用いる。
アルコ−ルとしては、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパ
ノ−ル類、ブタノ−ル類を挙げることができ、これらの
アルコ−ルは少なくとも1つ或いは2つ以上の混合物を
用いることができる。
【0007】アルコ−ルに対して用いるエ−テル類とし
ては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメ
トキシエタン等を挙げることができ、これらのエ−テル
類は少なくとも1つ或いは2つ以上の混合物を用いるこ
とができる。反応を促進させるためにはアルコ−ルに対
してエ−テル類を0.05〜0.5容量比を添加すれば
よい。添加の容量比が0.05未満の場合には分解に長
時間を要し、0.5以上の場合には安全性・経済性の点
で不利益となる。使用するアルカリとしては、KOH、
NaOH等を挙げることができる。
ては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメ
トキシエタン等を挙げることができ、これらのエ−テル
類は少なくとも1つ或いは2つ以上の混合物を用いるこ
とができる。反応を促進させるためにはアルコ−ルに対
してエ−テル類を0.05〜0.5容量比を添加すれば
よい。添加の容量比が0.05未満の場合には分解に長
時間を要し、0.5以上の場合には安全性・経済性の点
で不利益となる。使用するアルカリとしては、KOH、
NaOH等を挙げることができる。
【0008】次に、本発明の基本手法となる化学反応式
を式1に示す。
を式1に示す。
【0009】
【化1】
【0010】例えば、式1で生成するTPA塩の溶解度
が大変小さく、このため反応は全く容易に右式へ移行す
ることが見出されたのである。
が大変小さく、このため反応は全く容易に右式へ移行す
ることが見出されたのである。
【0011】反応は、PET表面で進行するので、アル
カリの量、溶解度、攪拌が大切であり、反応速度の上昇
のためには高い温度が有利であるが、安全に反応を制御
する上から、適宜操作温度を選ぶ必要がある。反応温度
は、室温〜195℃の範囲でよいが、経済性、安全性の
面から40〜80℃で行うのが好ましい。
カリの量、溶解度、攪拌が大切であり、反応速度の上昇
のためには高い温度が有利であるが、安全に反応を制御
する上から、適宜操作温度を選ぶ必要がある。反応温度
は、室温〜195℃の範囲でよいが、経済性、安全性の
面から40〜80℃で行うのが好ましい。
【0012】PETをアルコ−ルとエ−テルとの混合液
中で加アルカリ分解させると、TPA塩とEGが生成す
る。EGは、反応の進行により生成するものを用いるこ
とができるので、最初はアルコ−ルとエ−テルとの混合
液のみを用い、EGは最初に加える必要がない。生成し
たTPA塩は、不溶で析出するため、反応はほぼ完全に
モノマーまで分解する上、アルコ−ルとエ−テルとの混
合液とEGとは、分留で分離することができる。
中で加アルカリ分解させると、TPA塩とEGが生成す
る。EGは、反応の進行により生成するものを用いるこ
とができるので、最初はアルコ−ルとエ−テルとの混合
液のみを用い、EGは最初に加える必要がない。生成し
たTPA塩は、不溶で析出するため、反応はほぼ完全に
モノマーまで分解する上、アルコ−ルとエ−テルとの混
合液とEGとは、分留で分離することができる。
【0013】PETのカルボキシル基に対するアルカリ
の使用モル比が1.0ないし2.0の場合に、使用する
アルカリの濃度は、全反応系に対して1.0ないし4.
0Mが使用できるが、低濃度のときには時間が長くかか
り、高濃度のときには系のかき混ぜの抵抗のためか、遅
くなる傾向があり、実用上は1.5〜3.0Mの範囲が
好ましい。アルコ−ルとエ−テルとの混合液に対するP
ETの投入割合が少ないほど反応が容易なのは、当然で
あるが、本発明ではむしろ容積比で40%と高い割合で
もかき混ぜができる限り、分解反応には支障のないこと
を見出すことができた。しかし、特に好ましい該液の使
用割合は、PETg/混合液mlは、0.1ないし0.
5である。
の使用モル比が1.0ないし2.0の場合に、使用する
アルカリの濃度は、全反応系に対して1.0ないし4.
0Mが使用できるが、低濃度のときには時間が長くかか
り、高濃度のときには系のかき混ぜの抵抗のためか、遅
くなる傾向があり、実用上は1.5〜3.0Mの範囲が
好ましい。アルコ−ルとエ−テルとの混合液に対するP
ETの投入割合が少ないほど反応が容易なのは、当然で
あるが、本発明ではむしろ容積比で40%と高い割合で
もかき混ぜができる限り、分解反応には支障のないこと
を見出すことができた。しかし、特に好ましい該液の使
用割合は、PETg/混合液mlは、0.1ないし0.
5である。
【0014】
【実施例】次に、本発明の実施の態様を述べて、本発明
の有効性を一層明らかにする。しかし、本発明の主旨を
逸脱せざる限り、この説明のみに本発明の範囲が限定さ
れるものではない。
の有効性を一層明らかにする。しかし、本発明の主旨を
逸脱せざる限り、この説明のみに本発明の範囲が限定さ
れるものではない。
【0015】試料及び試薬は、次のものを用いる。ま
ず、PETには重量平均分子量Mw30000と330
00のペレット状試料[2mm×1mm(長さ×直
径)]を、メタノ−ル、エタノ−ル、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、ジメトキシエタン、KOH(純度80
%)及びNaOH(純度96%)には、市販特級品を使
用した。滴定用HCl標準水溶液には、市販の1N標準
溶液を蒸留水で0.2Nに希釈したものを使用した。
ず、PETには重量平均分子量Mw30000と330
00のペレット状試料[2mm×1mm(長さ×直
径)]を、メタノ−ル、エタノ−ル、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、ジメトキシエタン、KOH(純度80
%)及びNaOH(純度96%)には、市販特級品を使
用した。滴定用HCl標準水溶液には、市販の1N標準
溶液を蒸留水で0.2Nに希釈したものを使用した。
【0016】PETの分解に及ぼすエ−テルの添加効果 アルコ−ルに5〜50%のエ−テルを添加した混合液を
試験管中に5ml取り、0.35〜1.37gのKOH
或いはNaOHを溶解後、0.96gのPETペレット
を入れ、40〜75℃のオイルバス中で攪拌しながら、
所定時間反応させた。所定時間分解後、反応を止め、試
験管を速やかに冷水中で冷却した。試験管中の反応物と
反応液を50mlの蒸留水中に投入後、残存するKOH
或いはNaOH量を0.2NのHCl標準水溶液でpH
7まで滴定し、アルカリの消耗量すなわちTPA−K2
(Na2)の生成量を追跡した。
試験管中に5ml取り、0.35〜1.37gのKOH
或いはNaOHを溶解後、0.96gのPETペレット
を入れ、40〜75℃のオイルバス中で攪拌しながら、
所定時間反応させた。所定時間分解後、反応を止め、試
験管を速やかに冷水中で冷却した。試験管中の反応物と
反応液を50mlの蒸留水中に投入後、残存するKOH
或いはNaOH量を0.2NのHCl標準水溶液でpH
7まで滴定し、アルカリの消耗量すなわちTPA−K2
(Na2)の生成量を追跡した。
【0017】滴定後、濾過により未分解のペレットと分
解生成した水溶液中のTPA−K2(Na2)とを分離
し、この濾液中に過量のHCl溶液を滴下することによ
りTPAを沈殿させ、濾過してTPAを得た。得られた
TPAと残存ペレットを乾燥して重量を測定し、PET
ペレットの残留率とTPAの収率をそれぞれ算出した。
解生成した水溶液中のTPA−K2(Na2)とを分離
し、この濾液中に過量のHCl溶液を滴下することによ
りTPAを沈殿させ、濾過してTPAを得た。得られた
TPAと残存ペレットを乾燥して重量を測定し、PET
ペレットの残留率とTPAの収率をそれぞれ算出した。
【0018】NaOHとKOHを用いて、エタノ−ルに
各種エーテルを添加して、分解反応を50℃で行ったと
きに、分解時間とPET分解率の関係を測定した。その
結果を表1に示す。また、KOHを用いたとき、0.9
6gのPETの30分後の分解率は、エタノ−ル中のみ
では17%であったが、20vol%のジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン又はジオキサンを添加すると、
同じ条件下でそれぞれ65%、85%又は95%であっ
た。
各種エーテルを添加して、分解反応を50℃で行ったと
きに、分解時間とPET分解率の関係を測定した。その
結果を表1に示す。また、KOHを用いたとき、0.9
6gのPETの30分後の分解率は、エタノ−ル中のみ
では17%であったが、20vol%のジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン又はジオキサンを添加すると、
同じ条件下でそれぞれ65%、85%又は95%であっ
た。
【0019】
【表1】
【0020】0.5gのPETの分解に必要な時間は、
表2に示すようにメタノ−ル中では約300分、10v
ol%のジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンを添加するとそれぞれ105分,60分及び40
分であった。
表2に示すようにメタノ−ル中では約300分、10v
ol%のジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンを添加するとそれぞれ105分,60分及び40
分であった。
【0021】
【表2】
【0022】また、表3に示すように、NaOHを用い
たとき0.96gのPETの60分後の分解率は、メタ
ノ−ル中のみでは15%であったが、20vol%のジ
メトキシエタン、ジオキサンを添加すると同じ条件下で
それぞれ71%、79%であった。
たとき0.96gのPETの60分後の分解率は、メタ
ノ−ル中のみでは15%であったが、20vol%のジ
メトキシエタン、ジオキサンを添加すると同じ条件下で
それぞれ71%、79%であった。
【0023】
【表3】
【0024】表1及び表3に示すように、いずれのアル
コ−ル中でもNaOHよりもKOHを用いた方が速い。
また、NaOHを用いた場合には、メタノ−ル中の方が
速く、KOHを用いた場合はエタノ−ル中の方が速い。
コ−ル中でもNaOHよりもKOHを用いた方が速い。
また、NaOHを用いた場合には、メタノ−ル中の方が
速く、KOHを用いた場合はエタノ−ル中の方が速い。
【0025】この結果から、少量のエ−テル性溶媒を添
加することにより、PETの加アルカリ分解は著しく加
速されることが明らかになった。PETの分解速度は添
加したエ−テルがジメトキシエタン<テトラヒドロフラ
ン<ジオキサンの順に増加し、アルコ−ル単独使用の場
合より大幅に増大した。この加速効果の理由として次の
2つの効果が考えられる。
加することにより、PETの加アルカリ分解は著しく加
速されることが明らかになった。PETの分解速度は添
加したエ−テルがジメトキシエタン<テトラヒドロフラ
ン<ジオキサンの順に増加し、アルコ−ル単独使用の場
合より大幅に増大した。この加速効果の理由として次の
2つの効果が考えられる。
【0026】即ち、エ−テル性溶媒がPETペレットを
膨潤させて表面反応速度を増加させる。添加したエ−テ
ル類の酸素原子がアルカリの金属イオンと弱いキレ−ト
を形成し、HO-の活性を増大させる。
膨潤させて表面反応速度を増加させる。添加したエ−テ
ル類の酸素原子がアルカリの金属イオンと弱いキレ−ト
を形成し、HO-の活性を増大させる。
【0027】次に、加速効果が著しかったジオキサンと
テトラヒドロフランの2つを用いてその添加量がPET
の分解に及ぼす影響を50℃で検討した。反応時間はジ
オキサン添加の場合は10分、テトラヒドロフラン添加
の場合は30分である。結果を図1に示す。エ−テル添
加量が増加するとPETの分解速度は増大し、エタノ−
ルとKOHを用いたときに添加量が約40〜50vol
%で最大速度に達したが、それ以上の添加はかえって分
解速度を減少させた。メタノ−ルとNaOHを用いたと
きに60vol%のジオキサンを添加するとNaOHが
沈殿した。そのエーテル混合率とPET分解率との関係
を表4に示す。
テトラヒドロフランの2つを用いてその添加量がPET
の分解に及ぼす影響を50℃で検討した。反応時間はジ
オキサン添加の場合は10分、テトラヒドロフラン添加
の場合は30分である。結果を図1に示す。エ−テル添
加量が増加するとPETの分解速度は増大し、エタノ−
ルとKOHを用いたときに添加量が約40〜50vol
%で最大速度に達したが、それ以上の添加はかえって分
解速度を減少させた。メタノ−ルとNaOHを用いたと
きに60vol%のジオキサンを添加するとNaOHが
沈殿した。そのエーテル混合率とPET分解率との関係
を表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】0.69gのKOH或いは0.41gのN
aOHを4mlのエタノ−ル或いはメタノ−ルに溶解
後、1mlのジオキサン、テトラヒドロフラン或いはジ
メトキシエタンをそれぞれ添加し、これらの混合液中5
0℃で0.96gのPETを分解した。図1及び図2に
示すようにPETの分解が進行するにつれてPETペレ
ットの重量は減少し、不溶性の白い沈殿物が生成した。
この白い沈殿物は水に可溶であり、EG中での分解生成
物と同様にTPAのカリウム及びナトリウム塩であり、
滴定分析によって求めたTPA−K2及びTPA−Na2
生成量の変化を表1及び表3に示す。
aOHを4mlのエタノ−ル或いはメタノ−ルに溶解
後、1mlのジオキサン、テトラヒドロフラン或いはジ
メトキシエタンをそれぞれ添加し、これらの混合液中5
0℃で0.96gのPETを分解した。図1及び図2に
示すようにPETの分解が進行するにつれてPETペレ
ットの重量は減少し、不溶性の白い沈殿物が生成した。
この白い沈殿物は水に可溶であり、EG中での分解生成
物と同様にTPAのカリウム及びナトリウム塩であり、
滴定分析によって求めたTPA−K2及びTPA−Na2
生成量の変化を表1及び表3に示す。
【0030】PETの分解に及ぼすアルカリの種類と濃
度効果 60℃のエタノ−ル中で種々の初期濃度のKOHを用い
てPETを10分間分解させ、分解に及ぼすアルカリ濃
度の効果について検討した。滴定分析によって求めたT
PA−K2の生成量の変化を表5に示す。KOH濃度の
増加につれて分解速度が増加し、2〜3mol/lで最
大値に達し、この濃度を超えると分解速度はかえって遅
くなった。この減少の説明の一つとして、KOH濃度が
一定の濃度を越えると分解反応溶液の粘度増加等が原因
で、ペレット表面に生成したTPA−K2が付着し、剥
落しにくくなるためであろうと推測する。
度効果 60℃のエタノ−ル中で種々の初期濃度のKOHを用い
てPETを10分間分解させ、分解に及ぼすアルカリ濃
度の効果について検討した。滴定分析によって求めたT
PA−K2の生成量の変化を表5に示す。KOH濃度の
増加につれて分解速度が増加し、2〜3mol/lで最
大値に達し、この濃度を超えると分解速度はかえって遅
くなった。この減少の説明の一つとして、KOH濃度が
一定の濃度を越えると分解反応溶液の粘度増加等が原因
で、ペレット表面に生成したTPA−K2が付着し、剥
落しにくくなるためであろうと推測する。
【0031】
【表5】
【0032】アルコ−ル中でのPETの加アルカリ分解
は、ジオキサン、テトラヒドロフラン及びジメトキシエ
タン等のエ−テル類溶媒の添加によって著しく促進され
ることが見出された。表6に示すように、この方法によ
って室温〜80℃の範囲でPETが短時間内にTPA塩
とEGに分解し、TPAモノマ−が定量的に回収でき
る。
は、ジオキサン、テトラヒドロフラン及びジメトキシエ
タン等のエ−テル類溶媒の添加によって著しく促進され
ることが見出された。表6に示すように、この方法によ
って室温〜80℃の範囲でPETが短時間内にTPA塩
とEGに分解し、TPAモノマ−が定量的に回収でき
る。
【0033】
【表6】
【0034】PETの分解速度は、分解操作に供せられ
るPETのペレットの表面積と攪拌速度に関係がある。
従って、回収廃PETを使用するとき、その破砕には注
意してできるだけ表面積の大きい形状にするのが好まし
い。特にポリオレフィン等との複合材料の回収品の場
合、分解処理の途中でポリオレフィンを系外へ取り出す
ようなことも必要になる。つまり、本発明者等は、発明
の技術を分かりやすくするためにPETペレットでの実
施例を示したが、PETが主体になる回収品を用いる限
り、本法が有効なことは明白である。
るPETのペレットの表面積と攪拌速度に関係がある。
従って、回収廃PETを使用するとき、その破砕には注
意してできるだけ表面積の大きい形状にするのが好まし
い。特にポリオレフィン等との複合材料の回収品の場
合、分解処理の途中でポリオレフィンを系外へ取り出す
ようなことも必要になる。つまり、本発明者等は、発明
の技術を分かりやすくするためにPETペレットでの実
施例を示したが、PETが主体になる回収品を用いる限
り、本法が有効なことは明白である。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、実施例にも示した通
り、アルコ−ルとエ−テル混合液中でPETを加アルカ
リ分解することにより、比較的穏和な条件で短時間内に
TPA塩とEGが生成し、モノマ−単位として回収する
ことが可能である。生成したTPA塩とEGの両者の回
収率が高く、分離も極めて簡単であるため、廃棄PET
プラスチックの工業的リサイクル方法として価値が大き
く、社会的に重要な課題となっている廃棄プラスチック
問題に対しても、明るい材料を提供することができるの
で、本発明の産業上の利用性は、非常に高いといえる。
更に、本発明の技術は、フィルム、繊維等のPET成型
品の迅速表面処理法にも適用することができる。
り、アルコ−ルとエ−テル混合液中でPETを加アルカ
リ分解することにより、比較的穏和な条件で短時間内に
TPA塩とEGが生成し、モノマ−単位として回収する
ことが可能である。生成したTPA塩とEGの両者の回
収率が高く、分離も極めて簡単であるため、廃棄PET
プラスチックの工業的リサイクル方法として価値が大き
く、社会的に重要な課題となっている廃棄プラスチック
問題に対しても、明るい材料を提供することができるの
で、本発明の産業上の利用性は、非常に高いといえる。
更に、本発明の技術は、フィルム、繊維等のPET成型
品の迅速表面処理法にも適用することができる。
【0036】
【図1】エタノ−ルとエ−テルの混合溶媒中でKOHを
用いた加アルカリ分解におけるPETペレットの重量変
化を示す図である。
用いた加アルカリ分解におけるPETペレットの重量変
化を示す図である。
【図2】メタノ−ルとエ−テルの混合溶媒中でNaOH
を用いた加アルカリ分解におけるPETペレットの重量
変化を示す図である。
を用いた加アルカリ分解におけるPETペレットの重量
変化を示す図である。
[図1における符号] ○ エタノ−ルのみ ● 1,4−ジオキサン ■ テトラヒドロフラン △ 1,2−ジメトキシエタン [図2における符号] ○ メタノ−ルのみ ● 1,4−ジオキサン ■ テトラヒドロフラン △ 1,2−ジメトキシエタン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 63/28 C07C 63/28
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレ−トを当量ない
し過剰のアルカリと反応させることによりテレフタル酸
塩を固形物として分離する方法において、アルカリと反
応させる際にアルコールとエーテルを加えることを特徴
とする、ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸
とエチレングリコ−ルとを回収する方法。 - 【請求項2】 アルコ−ルが、メタノ−ル、エタノ−
ル、プロパノ−ル類、ブタノ−ル類なる群から選ばれる
少なくとも1つ或いは2つ以上の混合物であることを特
徴とする、請求項1記載のポリエチレンテレフタレ−ト
よりテレフタル酸とエチレングリコ−ルとを回収する方
法。 - 【請求項3】 アルコ−ルに対して用いるエ−テル類が
テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシ
エタンなる群から選ばれる少なくとも1つ或いは2つ以
上の混合物であり、アルコ−ルに対して0.05〜0.
5容量比を添加することを特徴とする、請求項1記載の
ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレ
ングリコ−ルとを回収する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26917996A JPH1087529A (ja) | 1996-09-18 | 1996-09-18 | ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26917996A JPH1087529A (ja) | 1996-09-18 | 1996-09-18 | ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1087529A true JPH1087529A (ja) | 1998-04-07 |
Family
ID=17468786
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26917996A Withdrawn JPH1087529A (ja) | 1996-09-18 | 1996-09-18 | ポリエチレンテレフタレ−トよりテレフタル酸とエチレングリコールとを回収する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1087529A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100429385B1 (ko) * | 2001-04-09 | 2004-04-29 | 한국화학연구원 | 폴리에틸렌 테레프탈레이트로부터 고순도 테레프탈산의제조방법 |
-
1996
- 1996-09-18 JP JP26917996A patent/JPH1087529A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100429385B1 (ko) * | 2001-04-09 | 2004-04-29 | 한국화학연구원 | 폴리에틸렌 테레프탈레이트로부터 고순도 테레프탈산의제조방법 |
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