JPH11199456A

JPH11199456A - 口腔用組成物

Info

Publication number: JPH11199456A
Application number: JP1205198A
Authority: JP
Inventors: Yoshichika Ebine; 慶周海老根; Makoto Yoshie; 誠吉江; Satoru Fukazawa; 哲深澤; Yasuo Kikuchi; 康夫菊池
Original assignee: Lion Corp
Current assignee: Lion Corp
Priority date: 1998-01-06
Filing date: 1998-01-06
Publication date: 1999-07-27

Abstract

(57)【要約】【解決手段】結晶セルロースパウダーを０．２〜２０
重量％及びＸ線回折法により測定した平均値が３００〜
３５００Åである結晶子を有するリン酸水素カルシウム
・無水和物を含有することを特徴とする口腔用組成物。【効果】本発明の口腔用組成物は、結晶セルロースパ
ウダーとＸ線回折法により測定された平均値が３００〜
３５００Åである結晶子を有するリン酸水素カルシウム
・無水和物とを併用したことにより、清掃効果が高く、
低研磨性の組成物を与えるもので、商品価値の高いもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、優れた清掃効果を
有する口腔用組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
歯磨等の口腔用組成物の清掃効果は、主として無機粉体
等の研磨剤の研磨力に依存しており、この口腔用組成物
の清掃効果は研磨剤の研磨力とほぼ比例関係にあるた
め、清掃効果を高める場合、研磨剤の配合量を多くする
必要があった。しかし、研磨剤の配合量を多くすると清
掃効果は高くなる反面、その研磨力により歯牙を削り損
傷を招くおそれがあった。そこで研磨力を上げず、清掃
効果の高い口腔用組成物の開発が望まれていた。

【０００３】一方、結晶セルロースパウダーを口腔用組
成物に使用することは公知であり、例えば、フッ素の塗
布剤を目的としてフッ素含有の水性ゲル状組成物に応用
されている（特開昭６１−１９２７５０号公報）。ま
た、マイルドな研磨性を目的として結晶子の平均値が３
００〜３５００Åのリン酸水素カルシウム・無水和物を
配合した提案（特開昭６０−１８８３０９号公報）が存
在する。しかしながら、これらのものでは十分な清掃効
果が得られなかった。

【０００４】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、研磨力を上げずに十分な清掃効果を与える
口腔用組成物を得るため鋭意検討を重ねた結果、結晶セ
ルロースパウダーと結晶子の平均値が３００〜３５００
Åであるリン酸水素カルシウム・無水和物を併用するこ
とにより、上記目的が達成されることを知見した。

【０００５】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明に用いられる結晶セルロースは、繊維性植物からパル
プとして得られたα−セルロースを酸加水分解又はアル
カリ加水分解して得られる実質的に一定の重合度を有す
るセルロース結晶子集合体をいい、例えば、インダスト
リアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー，第
４２巻（１９５０），第５０２〜５０７頁に記載されて
いるオー・エー・パチスタ氏の報文に定義されているよ
うなものである。結晶セルロースの乾燥状態における平
均粒径は５０〜２００μｍであることが好ましく、５０
μｍより小さいと十分な清掃力が得られず、２００μｍ
より大きいと使用時に異物感を与え、使用感を悪くする
場合が生じる。より好ましい平均粒径は７０〜１５０μ
ｍである。

【０００６】上記結晶セルロースの配合量は組成物全体
の０．２〜２０％（重量％、以下同じ）であり、配合量
が０．２％未満では十分な清掃力が得られず、２０％を
超えると使用時に異物感を与え、使用感を悪くする。好
ましくは０．５〜１０％、更に好ましくは１〜５％であ
る。

【０００７】一方、本発明に用いられるリン酸水素カル
シウム・無水和物は、Ｘ線回折法により測定した結晶子
の大きさが３００〜３５００Åである。３００Å未満で
あると十分な清掃力が得られず、３５００Åを超えると
研磨力が高くなりすぎる。好ましくは５００〜３０００
Åであり、更に好ましくは１０００〜２０００Åであ
る。なお、従来使用されているリン酸水素カルシウム・
無水和物は、Ｘ線回折法により測定した結晶子の大きさ
の平均値は３８００〜４３００Åであり、結晶セルロー
スパウダーと併用しても清掃力を高くすると研磨力が高
くなり、望ましくない。

【０００８】リン酸水素カルシウム・無水和物の配合量
は５〜６０％であることが好ましく、５％未満では十分
な清掃力が得られず、６０％を超えると研磨力が高くな
りすぎる場合が生じる。より好ましくは１０〜５０％で
ある。

【０００９】本発明に係る口腔用組成物は、練歯磨、液
状歯磨等に調製し得るが、この場合、他の成分として
は、通常使用される適宜な成分を配合することができ、
上記以外の研磨剤、粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、甘味
剤、香料、防腐剤、各種有効成分等が配合され得る。

【００１０】例えば、研磨剤としては、リン酸水素カル
シウム・２水和物、第３リン酸カルシウム、炭酸カルシ
ウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、無
水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナト
リウム、第３リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、
硫酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、
ポリメタクリル酸メチル、その他の合成樹脂等の１種又
は２種以上を本発明の効果を損なわない範囲で配合し得
る。

【００１１】また、粘結剤としては、カラギーナン、カ
ルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導
体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリ
コール等のアルギン酸誘導体、キサンタンガム、ジュエ
ランガム、トラガントガム、カラヤガム等のガム類、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カル
ボキシビニルポリマー等の合成粘結剤、シリカゲル、ビ
ーガム、ラポナイト等の無機粘結剤等の１種又は２種以
上を配合し得る。

【００１２】また、保湿剤としては、グリセリン、ソル
ビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、キシリトール、マルチトール、ラクシトール等の多
価アルコールの１種又は２種以上を配合し得る。

【００１３】界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリ
ウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリン酸デカグリセ
リル、ミリスチン酸ジエタノールアミド等の非イオン性
界面活性剤、ベタイン系等の両性界面活性剤を配合し得
る。

【００１４】香料成分として、メントール、アネトー
ル、カルボン、オイゲノール、リモネン、ｎ−デシルア
ルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、シネ
オール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チ
モール、ペパーミント油、スペアミント油、ウインター
グリーン油、丁字油、ユーカリ油等の香料を単独で又は
組み合わせて配合し得るほか、サッカリンナトリウム、
ステビオサイド、グリチルリチン、ペリラルチン、ソー
マチン等の甘味剤を配合し得る。

【００１５】また、有効成分としては、フッ化ナトリウ
ム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、デキ
ストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、アミラーゼ、
プロテアーゼ、溶菌酵素等の酵素、トラネキサム酸、イ
プシロンアミノカプロン酸、グリチルレチン酸、ビサボ
ロール、クロロフィル、塩化ナトリウム、水溶性無機リ
ン酸化合物、トリクロサン、セチルピリジニウムクロラ
イド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の
有効成分の１種又は２種以上を配合し得る。

【００１６】

【発明の効果】本発明の口腔用組成物は、結晶セルロー
スパウダーとＸ線回折法により測定された平均値が３０
０〜３５００Åである結晶子を有するリン酸水素カルシ
ウム・無水和物とを併用したことにより、清掃効果が高
く、低研磨性の組成物を与えるもので、商品価値の高い
ものである。

【００１７】

【実施例】以下、実験例及び実施例により本発明の効果
を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限さ
れるものではない。なお、各例中の％はいずれも重量％
である。また、リン酸水素カルシウム・無水和物の結晶
子は下記方法により測定した。

【００１８】結晶子の測定方法粉体のＸ線回折を行い、ピークのブロードニングから粉
体の結晶性を結晶子の大きさを指標として定量的に表し
た。ここで、Ｘ線源はＣｕ−Ｋα線を用いて測定し、Ｘ
線回折のデータをＳｃｈｅｒｒｅｒの式Ｄ＝Ｋλ／βｃ
ｏｓθを用いて重なりのない主なピークについて解析
し、平均結晶子の大きさを求めた。この場合、主なピー
クとして２θ＝５３．１°，４９．３°，４７．３°，
３６．１°，３２．９°，３２．６°，３１．１°，３
０．２５°，２８．６５°，１３．１５°について平均
をとった。なお、Ｄは結晶子の大きさ（Å）、λは測定
Ｘ線波長（Å）、βは純粋に結晶子の大きさに基づく回
折線の広がり（［ｒａｄ］，α−Ａｌ₂Ｏ₃粉体を１１０
０℃で２４時間焼成したものを基準として用いた）、Ｋ
は形状因子（定数＝０．９とした）、θは回折線のブラ
ッグ角とした。また、βは実験的に求めた半値幅から同
じ条件下における結晶性の非常によい物質によって与え
られる半値幅を差し引いた値である。

【００１９】〔実験例１〕表１に示す種類、濃度の成分
を含む下記歯磨剤を調製し、清掃効果を下記の方法によ
り評価した。結果を表１に示す。

【００２０】＜歯磨剤組成＞セルロース粉末表１に示す量結晶セルロース表１に示す量リン酸水素カルシウム・無水和物表１に示す量（結晶子の大きさ：１６６０Å）ラウリル硫酸ナトリウム１．５％カラギーナン１％ソルビット２５％香料１％精製水残合計１００％

【００２１】清掃力評価法タバコヤニを通常の方法により収集し、これを溶液状と
してタイル上に均一に塗布し、加熱乾燥した後、これを
研磨容器にセットし、歯磨１５ｇを８５％グリセリン２
５ｇに均一に分散した液を用い、荷重２００ｇにおいて
２０００回ブラッシングし、ブラッシング後、タイルの
タバコヤニの除去率を肉眼にて評価した。なお、ブラシ
としては毛束数４４個、毛の太さ８ミル（約０．２ｍ
ｍ）、毛の長さ１２ｍｍのナイロン材質で家庭品品質表
示法でＭのものを使用した。評価基準評点１：タバコヤニ除去率０〜２０％２：タバコヤニ除去率２１〜４０％３：タバコヤニ除去率４１〜６０％４：タバコヤニ除去率６１〜８０％５：タバコヤニ除去率８１〜１００％

【００２２】

【表１】

【００２３】表１の結果より、本発明に従って結晶セル
ロースとリン酸水素カルシウム・無水和物を併用する
と、高い清掃効果が発揮されることが確認された。

【００２４】〔実験例２〕表２に示す結晶セルロースの
粒径の異なるサンプル及び結晶子の大きさの異なるリン
酸水素カルシウム・無水和物を用い、下記の組成の歯磨
剤を調製し、清掃力及び下記の方法により研磨力（ＲＤ
Ａ値）を測定した。

【００２５】＜歯磨剤組成＞結晶セルロース２％リン酸水素カルシウム・無水和物３０％ラウリル硫酸ナトリウム２％カラギーナン１％ソルビット２５％香料１％精製水残合計１００％

【００２６】研磨力測定法Ｊ．ｄｅｎｔ．Ｒｅｓ．，Ｖｏｌ．５５，Ｎｏ．４，
Ｐ．５６３〜５７３に記載されている方法によりＲＤＡ
（ＲａｄｉｏａｃｔｉｖｅＤｅｎｔｉｎＡｂｒａｓ
ｉｏｎ）値を測定した。

【００２７】

【表２】

【００２８】表２の結果より、結晶セルロースの平均粒
径が５０〜２００μｍ及びリン酸水素カルシウム・無水
和物の結晶子の大きさが３００〜３５００Åの場合、低
研磨性で高い清掃効果が得られることが認められる。

【００２９】〔実施例１〕練歯磨結晶セルロース（平均粒径１２０μｍ）５％リン酸水素カルシウム・無水和物５（結晶子の大きさ：１６６０Å）リン酸水素カルシウム・２水和物２０カラギーナン０．５キサンタンガム０．７プロピレングリコール３グリセリン（８５％）３０ラウリル硫酸ナトリウム２ラウリン酸デカグリセリル０．６モノフルオロリン酸ナトリウム０．７６サッカリンナトリウム０．２香料１精製水残計１００％

【００３０】〔実施例２〕練歯磨結晶セルロース（平均粒径１６０μｍ）２％リン酸水素カルシウム・無水和物１０（結晶子の大きさ：２１００Å）リン酸水素カルシウム・２水和物５シリカ１０カルボキシメチルセルロースナトリウム０．８アルギン酸ナトリウム０．４プロピレングリコール４ソルビット（７０％）３０ラウリル硫酸ナトリウム１．５トラネキサム酸０．１サッカリンナトリウム０．２香料１精製水残計１００％

【００３１】〔実施例３〕練歯磨結晶セルロース（平均粒径６０μｍ）０．５％リン酸水素カルシウム・無水和物３０（結晶子の大きさ：２８００Å）炭酸カルシウム５キサンタンガム１プロピレングリコール３グリセリン（８５％）１５ソルビット（７０％）２０ラウリル硫酸ナトリウム２サッカリンナトリウム０．１５香料１精製水残計１００％

【００３２】〔実施例４〕練歯磨結晶セルロース（平均粒径１００μｍ）３％リン酸水素カルシウム・無水和物７（結晶子の大きさ：２０００Å）水酸化アルミニウム２５キサンタンガム０．５アルギン酸ナトリウム０．５プロピレングリコール３ソルビット（７０％）２３ラウリル硫酸ナトリウム１．５ミリスチン酸ジエタノールアミド０．５サッカリンナトリウム０．２香料１精製水残計１００％

【００３３】〔実施例５〕練歯磨結晶セルロース（平均粒径８０μｍ）１０％リン酸水素カルシウム・無水和物１０（結晶子の大きさ：２５００Å）リン酸水素カルシウム・２水和物１５シリカ３カラギーナン０．８アルギン酸ナトリウム０．３プロピレングリコール３グリセリン（８５％）２５ラウリル硫酸ナトリウム１．５トリクロサン０．１サッカリンナトリウム０．２香料１精製水残計１００％

【００３４】〔実施例６〕練歯磨結晶セルロース（平均粒径１８０μｍ）１５％リン酸水素カルシウム・無水和物２０（結晶子の大きさ：５００Å）シリカ５カラギーナン０．６カルボキシメチルセルロースナトリウム０．６プロピレングリコール３ソルビット（７０％）２５ラウリル硫酸ナトリウム１．５サッカリンナトリウム０．１５香料１精製水残計１００％

【００３５】〔実施例７〕練歯磨結晶セルロース（平均粒径６０μｍ）２０％リン酸水素カルシウム・無水和物２５（結晶子の大きさ：３２００Å）シリカ４カラギーナン０．３カルボキシメチルセルロースナトリウム０．９プロピレングリコール３グリセリン（８５％）３０ラウリル硫酸ナトリウム１．５サッカリンナトリウム０．２香料１精製水残計１００％

【００３６】〔実施例８〕液状歯磨結晶セルロース（平均粒径１２０μｍ）３％リン酸水素カルシウム・無水和物５（結晶子の大きさ：２８００Å）シリカ１０キサンタンガム０．１５プロピレングリコール３グリセリン（８５％）４５ラウリル硫酸ナトリウム１．５ラウリン酸デカグリセリル０．５モノフルオロリン酸ナトリウム０．７６サッカリンナトリウム０．２香料１精製水残計１００％

【００３７】〔実施例９〕液状歯磨結晶セルロース（平均粒径８０μｍ）５％リン酸水素カルシウム・無水和物１０（結晶子の大きさ：１５００Å）シリカ５キサンタンガム０．２プロピレングリコール３グリセリン（８５％）３０ソルビット（７０％）３０ラウリル硫酸ナトリウム１．５ミリスチン酸ジエタノールアミド０．３トリクロサン０．１サッカリンナトリウム０．１香料１精製水残計１００％

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者菊池康夫東京都墨田区本所１丁目３番７号ライオン株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】結晶セルロースパウダーを０．２〜２０
重量％及びＸ線回折法により測定した平均値が３００〜
３５００Åである結晶子を有するリン酸水素カルシウム
・無水和物を含有することを特徴とする口腔用組成物。