JPH085775B2 - 殺菌剤含有顆粒剤及びこれを含有する歯磨剤 - Google Patents

殺菌剤含有顆粒剤及びこれを含有する歯磨剤

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JPH085775B2
JPH085775B2 JP6518193A JP6518193A JPH085775B2 JP H085775 B2 JPH085775 B2 JP H085775B2 JP 6518193 A JP6518193 A JP 6518193A JP 6518193 A JP6518193 A JP 6518193A JP H085775 B2 JPH085775 B2 JP H085775B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カチオン性殺菌剤を配
合した顆粒剤及びこれを含有する歯磨剤に関する。更に
詳しくは、う蝕、歯周疾患の好発部位である歯と歯の
間、歯と歯肉の隙間にカチオン性殺菌剤を直接作用させ
ることができ、歯垢形成抑制効果及び保存安定性に優れ
た顆粒剤及びこれを含有する歯磨剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】歯磨剤
に顆粒を配合するという技術は従来知られており、顆粒
の結合剤として、ワックス、熱可塑性樹脂、エチルセル
ロース等の有機結合剤を使用した歯磨剤が多数特許出願
されている。このような歯磨剤としては、例えば審美性
と製造のしやすさを目的としたもの(特開昭48−13
558号公報、特開昭48−19738号公報、特開昭
50−81594号公報、特開昭62−116506号
公報、米国特許第3929987号明細書、米国特許第
4202878号明細書、米国特許第4376762号
明細書、米国特許第4376763号明細書、米国特許
第4440877号明細書、米国特許第4663152
号明細書)、顆粒に色素、香料等を含有させ、歯磨終了
時のインジケーターを目的としたもの(特開昭60−1
6913号公報、特開昭62−116506号公報、特
開昭63−250314号公報、ベルギー特許第803
155号明細書)、顆粒に薬効成分を含有させ、その薬
剤の安定化を図ったもの(特開昭48−19738号公
報、特開昭49−132249号公報、特開昭54−8
0429号公報)等が挙げられる。
【0003】しかしながら、水不溶性の有機結合剤を用
いた顆粒剤は安定であるものの、触知できるほどの硬度
と大きさにすると口の中で不快な異物感として感じられ
るという欠点があった。
【0004】一方、顆粒の結合剤として、コロイダルシ
リカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの水不溶
性無機結合剤を使用した歯磨剤も知られている。このよ
うな結合剤を用いた顆粒剤はブラッシング時に崩壊する
ため、口の中で顆粒を触知でき効果感を認識できるにも
かかわらず、異物感をほとんど感じないという利点を有
している(特開昭64−38016号公報)。またこの
ような顆粒剤に薬効成分を配合した場合、薬効成分を歯
と歯の間、歯と歯肉の隙間に直接作用させることもでき
るという利点がある(特開平3−271215号公
報)。
【0005】しかしながら、このような水不溶性無機結
合剤を使用した顆粒剤に、薬効成分としてカチオン性殺
菌剤を配合すると、歯磨剤中において、カチオン性殺菌
剤の安定性が充分でなく、またカチオン性殺菌剤の作用
の持続性も悪いという問題があった。
【0006】従って、カチオン性殺菌剤を配合しても安
定で、作用の持続性に優れた顆粒剤が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行った結果、特定の多孔質シリカ
を配合すれば、カチオン性殺菌剤の保存安定性及び効果
の持続性に優れた顆粒剤が得られることを見出し、本発
明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、次の成分(a)〜
(c): (a)表面積が500〜1000m2/gの多孔質シリカ (b)カチオン性殺菌剤 (c)水不溶性無機結合剤 を含有し、歯磨きブラッシング時に崩壊する顆粒剤及び
これを含有する歯磨剤を提供するものである。
【0009】本発明の(a)成分である多孔質シリカ
は、表面積が500〜1000m2/gであることが必要
であり、特に650〜800m2/gであるのが好まし
い。表面積が500m2/g未満では本発明の効果は得ら
れない。なお、本発明において、表面積はBET法によ
り求められるものを使用した。これらの多孔質シリカ
は、平均粒子径が1〜10μm 、特に5〜10μm のも
のが好ましい。また、下記式で表わされる細孔指数が1
〜100m2/μm2・g、特に1〜10m2/μm2・gであ
るものが望ましい。
【0010】
【数1】
【0011】これらの多孔質シリカは、顆粒剤中に10
〜90重量%(以下、単に%で示す)、特に50〜70
%配合するのが好ましい。
【0012】(b)成分のカチオン性殺菌剤としては、
例えば第4級アンモニウム化合物や置換グアニジン類等
が挙げられ、次の一般式(1)〜(3)で表わされるも
のが好ましい。
【0013】
【化1】
【0014】これらのうち、特に塩化ベンザルコニウ
ム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩
酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンが好
ましい。カチオン性殺菌剤は顆粒剤中に0.01〜5
%、特に0.1〜2%配合するのが好ましい。
【0015】また、これらのカチオン性殺菌剤のうち、
水溶性カチオン性殺菌剤を用いた顆粒剤はそのままで充
分に保存安定性、効果持続性が良好である。一方、水不
溶性又は水難溶性のカチオン性殺菌剤を用いた顆粒剤
は、多価金属塩を顆粒中に併用すると、水溶性カチオン
性殺菌剤と同程度までに保存安定性、効果持続性を向上
させることができるので好ましい。このような多価金属
塩としては、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、塩化
カルシウム、硫酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、
ステアリン酸カルシウム、パントテン酸カルシウムなど
のカルシウム塩;酸化アルミニウム、水酸化アルミニウ
ム、硫酸アルミニウムカリウム、ステアリン酸アルミニ
ウム、イソステアリン酸アルミニウム、アラントインク
ロルヒドロキシアルミニウムなどのアルミニウム塩;リ
ン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリス
チン酸マグネシウムなどのマグネシウム塩;酸化亜鉛、
塩化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ラウ
リン酸亜鉛などの亜鉛塩等が挙げられる。これらのう
ち、特にアルミニウム塩が好ましい。これらの多価金属
塩を併用する場合、カチオン性殺菌剤と多価金属塩はあ
らかじめ混合してから、顆粒の製造に供するのが好まし
く、多価金属塩は顆粒剤中に0.01〜30%、特に
0.1〜5%添加するのが好ましい。
【0016】また、本発明で用いられる(c)成分の水
不溶性無機結合剤としては、例えばコロイダルシリカ、
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ベントナイト、モ
ンモリロナイト、カオリン、合成ケイ酸アルミニウム、
ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウムゲル、アルミナ
ゾル、炭酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、酸化
マグネシウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。これ
らは単独又は2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。これらの無機結合剤を使用し、噴霧造粒して顆粒
剤を製造する場合、スラリー状態でチキソトロピックな
性質を有するものが好ましく、特に、メタケイ酸アルミ
ン酸マグネシウムとコロイダルシリカとの組み合わせ、
合成ケイ酸アルミニウムとコロイダルシリカとの組み合
わせが好ましい。これらの無機結合剤は、顆粒剤中に1
0〜80%、特に30〜50%配合するのが好ましい。
【0017】これらの無機結合剤で造粒した顆粒剤は、
有機結合剤で造粒した場合と異なり、一定の荷重、例え
ばブラシのブリッスルの圧力がかかった場合、一気に崩
壊するという特徴を有しており、薬剤を局所(隙間)で
効率よく作用させることができる。また、この顆粒剤は
水分を含有しても隙間に到達できるだけの固さを保持
し、この固さは無機結合剤の種類、組み合わせ、配合
量、顆粒の製造条件等によって変化させることができ
る。
【0018】なお、上記水不溶性無機結合剤以外の結合
剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することもで
きるが、水溶性結合剤を配合することは顆粒強度の低下
を招き、好ましくない。本発明の顆粒剤は、例えば噴霧
造粒法、押出し造粒法等により製造することができる
が、特に噴霧造粒法により製造するのが好ましい。噴霧
造粒法により製造すると、顆粒形状がほとんど真球とな
り、歯を傷つける恐れが少なく、また、製造後の取り扱
いも容易である。
【0019】本発明の顆粒剤の製造に際しては、その粒
径を口腔内の歯と歯の間や歯と歯肉の間の隙間に入りや
すい粒径にする必要がある。顆粒剤の粒径は10〜50
0μm 、特に50〜400μm 、更に100〜300μ
m の範囲が好ましい。粒径の測定は、走査型電子顕微鏡
を用いて行えばよい。粒径が10μm 未満では上記隙間
等へほとんど侵入せず、500μm を超えると口腔内で
異物感として触知され、製品上好ましくない。
【0020】また、顆粒剤の強度も重要であり、歯磨き
ブラッシング時に崩壊することが必要で、顆粒1個当た
り0.1〜10gの荷重を加えたときに崩壊する強度で
あるのが好ましい。顆粒が0.1g未満の荷重で崩壊す
る場合、隙間に堆積した歯垢の中に潜り込むことができ
ず、隙間底部に侵入する前に崩壊してしまい、薬効成分
を直接作用させることができない。また、顆粒が10g
を超える荷重でも崩壊しない場合、通常の1〜5分間の
ブラッシングでは崩壊せず、歯と歯の間や歯と歯肉の間
に挟まってしまい、薬効成分の効果を発揮させることが
できない。顆粒の粒径及び強度の調整は、水不溶性無機
結合剤の種類、組み合わせ及び配合量並びに顆粒の製造
条件の選択により行うことができる。
【0021】このようにして得られた本発明の顆粒剤
は、水分を含有する種々の組成物、例えばクリーム、軟
膏等にも配合することができるが、特に歯磨剤に配合す
るのが好適である。
【0022】本発明の顆粒剤を歯磨剤に配合する場合、
その配合量は歯磨中に0.01〜50重量%、特に0.
1〜30重量%、更に0.1〜5%の範囲であるのが好
ましい。歯磨剤は常法に従って製造することができ、通
常の歯磨剤に使用されるその他の成分、例えば研磨剤、
粘結剤、界面活性剤、湿潤剤、甘味料、香料、水、薬効
成分等を配合することができる。具体的には、研磨剤と
しては、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウ
ム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウ
ム、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、ピロリン酸カルシウム、ゼオライト、複合ア
ルミノケイ酸塩、炭酸マグネシウム、ベンガラ、硫酸カ
ルシウム、無水ケイ酸、ケイ酸ジルコニウム、合成樹
脂、結晶化セルロース等が挙げられる。
【0023】粘結剤としては、カルボキシメチルセルロ
ース及びその塩類、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、増粘性シリカ、モンモリロナイト、カラギーナン、
アルギン酸ナトリウム、グアガム、キサンタンガム、ビ
ーガム、ラポナイト、ペクチン等が挙げられ、界面活性
剤としては、アシルグルタミン酸ナトリウム、アシルサ
ルコシン酸ナトリウム等のアシルアミノ酸の塩類、ラウ
リルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸の塩類、ラウ
リル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸の塩類、蔗糖脂肪
酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレン脂肪酸エステルなどが挙げられ、湿潤剤として
は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソル
ビトール、グリセリン、マルチトール、キシリトール等
が挙げられる。また、薬効成分としては、フッ化ナトリ
ウム、フッ化錫、モノフルオロリン酸ナトリウム、ビタ
ミンE、ビタミンC、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、
塩化ナトリウム、グリチルレチン酸、アズレン、β−グ
リチルレチン酸、ジヒドロコレステロール、エピジヒド
ロコレステロール、イソプロピルメチルフェノール、ト
リクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオー
ル、アラントイン、トラネキサム酸、プロポリス等が挙
げられる。
【0024】練歯磨剤とする場合、通常研磨剤5〜75
%、粘結剤0.5〜5%、界面活性剤0.05〜10
%、湿潤剤及び水を合計で10〜75%、香料及び甘味
料を合計で0.01〜5%配合するのが好ましい。
【0025】
【発明の効果】本発明の顆粒剤又はこれを含有する歯磨
剤は、カチオン性殺菌剤の保存安定性に優れ、しかもう
蝕、歯周疾患の好発部位である歯と歯の間、歯と歯肉の
隙間にカチオン性殺菌剤を直接作用させることができ、
歯垢形成抑制効果にも優れたものである。
【0026】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】実施例1 表1に示す組成の顆粒剤を製造し、顆粒強度を測定し
た。 (製法)固形分として成分(1)〜(9)を含有する水
スラリーを攪拌ミキサーで1時間混合した後、噴霧造粒
機により顆粒剤を製造した。 (測定法)この粒径範囲の顆粒をとりだし、熱応力分析
装置(セイコー株式会社製,SS−10)で荷重(LO
AD 2g/min )をかけ、顆粒1個当たりの崩壊時の
荷重を測定し、10回の測定値の平均を顆粒強度とし
た。
【0028】
【表1】
【0029】得られた顆粒剤は、本発明品1〜3及び比
較品1〜3のいずれも顆粒剤全量の99%が粒径50〜
500μm であった。
【0030】実施例2 実施例1で得られた本発明品1〜3及び比較品1〜3の
顆粒剤を用い、次に示す組成の歯磨剤を常法により製造
した。
【0031】
【表2】 (成分) 顆粒剤 1.0(%) 炭酸カルシウム 30.0 グリセリン 10.0 ソルビット液 25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0 サッカリンナトリウム 0.1 メチルパラベン 0.1 香料 0.8 精製水 バランス 100.0
【0032】試験例 実施例2で得た歯磨剤について、カチオン性殺菌剤の保
存安定性及び歯垢形成抑制効果を調べた。結果を表3に
示す。
【0033】(保存安定性)歯磨剤(カチオン性殺菌剤
の初期濃度0.01%)を50℃で1カ月保存した後、
高速液体クロマトグラフィーによりカチオン性殺菌剤の
濃度を測定し、以下の基準により評価した。
【0034】5:カチオン性殺菌剤の残存率が95%以
上 4:カチオン性殺菌剤の残存率が85%以上95%未満 3:カチオン性殺菌剤の残存率が80%以上85%未満 2:カチオン性殺菌剤の残存率が75%以上80%未満 1:カチオン性殺菌剤の残存率が75%未満
【0035】(歯垢形成抑制効果)歯磨剤を10名の被
験者に使用させ、歯垢形成を調べた。すなわち、まず被
験者に対し、歯科衛生士1名が術者となり歯垢除去を行
い、完全に歯垢指数0の状態にした。次に、被験者に対
し、歯磨剤を用いて3分間術者が磨きを行い、その後、
一昼夜ブラッシングを停止した後、歯垢付着状態を以下
に示す歯垢指数を用いて評価した。なお、歯垢の有無は
歯垢染色液による染めだし(赤色になる)により判断し
た。
【0036】(歯垢指数) 1:歯垢がほとんどない 2:歯垢が線状にある 3:歯面の1/3に歯垢がある
【0037】
【表3】
【0038】表3の結果から明らかなように、本発明の
歯磨剤はカチオン性殺菌剤の保存安定性に優れ、しかも
これを用いると、特に歯間部及び歯肉周縁部といった歯
垢の付着しやすい部位の歯垢の形成を効果的に抑制でき
ることがわかった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の成分(a)〜(c): (a)表面積が500〜1000m2/gの多孔質シリカ (b)カチオン性殺菌剤 (c)水不溶性無機結合剤 を含有し、歯磨きブラッシング時に崩壊する顆粒剤。
  2. 【請求項2】 (b)カチオン性殺菌剤が水溶性である
    請求項1記載の顆粒剤。
  3. 【請求項3】 (b)カチオン性殺菌剤が水不溶性又は
    水難溶性であり、更に(d)多価金属塩を含有する請求
    項1記載の顆粒剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の顆粒
    剤を含有する歯磨剤。
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