JPH11199398A - 電磁波の偏波を利用した有機薄膜の製造方法および有機薄膜 - Google Patents

電磁波の偏波を利用した有機薄膜の製造方法および有機薄膜

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JPH11199398A
JPH11199398A JP10014856A JP1485698A JPH11199398A JP H11199398 A JPH11199398 A JP H11199398A JP 10014856 A JP10014856 A JP 10014856A JP 1485698 A JP1485698 A JP 1485698A JP H11199398 A JPH11199398 A JP H11199398A
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substrate
organic compound
thin film
molecules
molecule
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Application number
JP10014856A
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English (en)
Inventor
Yukiyasu Nakao
之泰 中尾
Hiroyuki Fuchigami
宏幸 渕上
Makoto Tsunoda
誠 角田
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子配向を制御することにより、有機分子の
有する機能の異方性を相殺することなく、分子集合体に
おける機能が向上した機能性有機薄膜を製造する方法お
よび有機薄膜を提供する。 【解決手段】 X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、
近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の
吸収に異方性を有する有機化合物分子を、基板上に蒸着
させる第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つ
の直線偏波を基板上に堆積した有機化合物分子に照射し
て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
有する分子だけを電磁波の吸収による分子運動の活性化
によって基板から再脱離させる第2の工程を連続的に繰
り返し行うあるいは、同時に行うまたあるいはその両方
によって、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する
方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスセンサー、半
導体素子用材料、非線形光学材料、電界発光素子材料な
どの機能性の有機薄膜やそれらを用いたデバイスに利用
される新規で有用な有機薄膜製造方法やその有機薄膜に
関する。
【0002】
【従来の技術】高度情報化社会を担う新機能素子を得る
ためには、有機材料特有の光・電子機能を利用した機能
性有機薄膜を製造することが有望である。このような有
機薄膜を製造する上で重要なポイントの一つとして、分
子配向を制御することが上げられる。分子配向を制御す
ることにより、有機分子の有する機能の異方性を相殺す
ることなく、分子集合体における機能を向上することが
必要である。
【0003】従来、有機薄膜の製造方法として、様々な
薄膜製造方法が用いられているが、有機薄膜の一般的な
製造方法の一つとして真空蒸着法がよく用いられてい
る。真空蒸着法は、真空中で原料を加熱して蒸発させ、
材料分子を基板上に付着させることにより薄膜を形成す
る方法であり、結晶性や分子配向などの膜構造の制御性
に優れているという利点がある。しかし、真空蒸着法に
おける基板面内の分子配向の制御は、基板に対するエピ
タキシャル成長を利用しているため、石英などのアモル
ファス基板へ堆積するばあい、面内分子配向の制御はで
きない。また、通常使用される結晶性の基板は、表面に
4回対称あるいは6回対称の対称性を有するため、基板
表面上に等価な方向が複数存在する。このため、シリコ
ンやアルカリハライドなどの結晶性基板へ堆積するばあ
いも、一方向に完全に面内配向した有機薄膜を製造する
ことは困難である。
【0004】こうしたことから、一軸配向した有機薄膜
を得る方法として、(1)表面の対称性が2回対称であ
る基板を用いて成膜する方法、(2)ラビング処理膜な
どの配向膜を予め用意する方法などが知られている。上
記(1)法として、微傾斜Si(001)−(2×1)−H基板
を利用する方法(M&BE最前線、[3](1997)、社
団法人 応用物理学会 有機分子・バイオエレクトロニ
クス分科会、中村、徳本、p.141−153参照)な
どが試みられている。また、上記(2)法として、基板
表面をラビング膜で皮膜する方法(例えば、ジャパン
ジャーナル オブ アプライド・フィジックス、34(1
995)、p.3876−3883参照)や直線偏光によっ
て配向処理を行ったポリイミド膜を基板に用いる方法
(例えば、アプライド フィジックス レター、70
[11](1997)(米)、p.1399−1401参照)
などが試みられている。しかし、これらの方法はいずれ
も、基板表面の性状に限定があり、一般的な金属表面や
絶縁膜表面には適用できない。
【0005】以上のように、一軸配向有機薄膜を製造す
る技術は、いずれも、特定の基板あるいは特定の有機材
料に限定されているのが現状である。本発明は、真空蒸
着法による成膜工程中、基板表面へ電磁波の直線偏波を
照射して、この電磁波を吸収する分子のみを基板表面か
ら再脱離させることによって、偏波方向と遷移双極子モ
ーメントが垂直になるように分子配向した一軸配向薄膜
を基板の制約を受けることなくあらゆる基板上に製造す
る方法を提供する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この問題を解決するた
めの手段として、表面の対称性が2回対称である基板を
用いて成膜する方法やラビング処理膜などの配向膜を予
め用意する方法が考えられる。しかし、これら従来の方
法は、限られた基板あるいは限られた有機材料を用いる
ばあいに限定されるという問題があった。
【0007】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたもので、真空蒸着法による成膜と直線偏波照射を組
み合わせることによって、任意の基板上に、一方向に配
向した薄膜を製造する方法およびその方法により得られ
る有機薄膜を提供すること目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1におけ
る一軸配向有機薄膜製造方法は、X線、真空紫外線、紫
外線、可視光線、近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ
波領域の電磁波の吸収に異方性を有する有機化合物分子
を、基板上に蒸着させる第1の工程、および上記電磁波
の少なくとも一つの直線偏波を基板上に堆積した有機化
合物分子に照射して、電磁波の偏波方向に平行な遷移双
極子モーメントを有する分子だけを電磁波の吸収による
分子運動の活性化によって基板から再脱離させる第2の
工程を連続的に繰り返し行うあるいは、同時に行うまた
あるいはその両方によって、偏波方向と遷移双極子モー
メントが直交する方向に配向されてなる一軸配向有機薄
膜を製造するものである。
【0009】また、本発明の請求項2における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板と
上記有機化合物分子の相互作用を利用することによっ
て、基板面外方向の分子配向を制御しながら有機化合物
分子を堆積するものである。
【0010】また、本発明の請求項3における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板に
結晶性基板を用いることによって、堆積する有機化合物
分子をエピタキシャル成長させ、さらに前記第2の工程
において、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基板上
の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移
双極子モーメントと直交させるものである。
【0011】また、本発明の請求項4における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第2の工程において、波長の
等しい二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面上
で交差しかつそれらの偏光面が一致するような方向か
ら、基板上へ堆積した有機化合物分子に照射するもので
ある。
【0012】本発明の請求項5における一軸配向有機薄
膜製造方法は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、
近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の
吸収に異方性を有する有機化合物分子を、基板上に蒸着
させる第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つ
の直線偏波を基板上に堆積した有機化合物分子に照射し
て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
有する分子だけを電磁波の吸収による化学結合の切断に
よって分解して基板から除去する第2の工程を連続的に
繰り返し行うあるいは、同時に行うまたあるいはその両
方によって、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交す
る方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造するも
のである。
【0013】また、本発明の請求項6における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板と
上記有機化合物分子の相互作用を利用することによっ
て、基板面外方向の分子配向を制御しながら有機化合物
分子を堆積するものである。
【0014】また、本発明の請求項7における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板に
結晶性基板を用いることによって、堆積する有機化合物
分子をエピタキシャル成長させ、さらに前記第2の工程
において、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基板上
の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移
双極子モーメントと直交させるものである。
【0015】また、本発明の請求項8における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第2の工程において、波長の
等しい二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面上
で交差しかつそれらの偏光面が一致するような方向か
ら、基板上へ堆積した有機化合物分子に照射するもので
ある。
【0016】本発明の請求項9における一軸配向有機薄
膜製造方法は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、
近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の
吸収に異方性を有する有機化合物A分子を、基板上に蒸
着させる第1の工程、上記電磁波の少なくとも一つの直
線偏波を基板上に堆積した有機化合物A分子に照射し
て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
有する有機化合物A分子だけを電磁波の吸収により反応
させて有機化合物B分子を得る第2の工程、および基板
温度を上げて、有機化合物Aと有機化合物Bのうち昇華
温度の低い方を基板から昇華して取り除く第3の工程の
三つの工程を連続的に繰り返し行うあるいは、同時に行
うまたあるいはその両方によって、偏波方向と遷移双極
子モーメントが直交する方向に配向してなる有機化合物
Aあるいは有機化合物Bの一軸配向有機薄膜を製造する
ものである。
【0017】また、本発明の請求項10における一軸配
向有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板
と上記有機化合物A分子の相互作用を利用することによ
って、基板面外方向の分子配向を制御しながら有機化合
物A分子を堆積するものである。
【0018】また、本発明の請求項11における一軸配
向有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板
に結晶性基板を用いることによって、堆積する有機化合
物A分子をエピタキシャル成長させ、さらに前記第2の
工程において、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基
板上の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物A分子
の遷移双極子モーメントと直交させるものである。
【0019】また、本発明の請求項12における一軸配
向有機薄膜製造方法は、前記第2の工程において、波長
の等しい二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面
上で交差しかつそれらの偏光面が一致するような方向か
ら、基板上へ堆積した有機化合物A分子に照射するもの
である。
【0020】本発明の請求項13における一軸配向有機
薄膜は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外
線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の吸収に
異方性を有する有機化合物分子が、基板上に蒸着される
第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つの直線
偏波が基板上に堆積した有機化合物分子に照射されて、
電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを有す
る分子だけが電磁波の吸収による分子運動の活性化によ
って基板から再脱離される第2の工程が連続的に繰り返
し行われるあるいは、同時に行われるまたあるいはその
両方によって製造されるものである。
【0021】また、本発明の請求項14における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板と上記有
機化合物分子の相互作用が利用されることによって、基
板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合物分子
が堆積されてなるものである。
【0022】また、本発明の請求項15における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板に結晶性
基板が用いられることによって、堆積される有機化合物
分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工程に
おいて、基板へ照射する電磁波の偏波方向が、基板上の
少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移双
極子モーメントと直交するものである。
【0023】また、本発明の請求項16における一軸配
向有機薄膜は、前記第2の工程において、波長の等しい
二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交差
しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基板
上へ堆積した有機化合物分子に照射されてなるものであ
る。
【0024】本発明の請求項17における一軸配向有機
薄膜は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外
線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の吸収に
異方性を有する有機化合物分子が、基板上に蒸着される
第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つの直線
偏波が基板上に堆積された有機化合物分子に照射され
て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
有する分子だけが電磁波の吸収による化学結合の切断に
よって分解して基板から除去される第2の工程が連続的
に繰り返し行われるあるいは、同時に行われるまたある
いはその両方によって製造されるものである。
【0025】また、本発明の請求項18における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板と上記有
機化合物分子の相互作用が利用されることによって、基
板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合物分子
が堆積されてなるものである。
【0026】また、本発明の請求項19における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板に結晶性
基板が用いられることによって、堆積される有機化合物
分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工程に
おいて、基板へ照射される電磁波の偏波方向が、基板上
の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移
双極子モーメントと直交するものである。
【0027】また、本発明の請求項20における一軸配
向有機薄膜は、前記第2の工程において、波長の等しい
二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交差
しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基板
上へ堆積された有機化合物分子に照射されてなるもので
ある。
【0028】本発明の請求項21における一軸配向有機
薄膜は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外
線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の吸収に
異方性を有する有機化合物A分子が、基板上に蒸着され
る第1の工程、上記電磁波の少なくとも一つの直線偏波
が基板上に堆積された有機化合物A分子に照射されて、
電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを有す
る有機化合物A分子だけが電磁波の吸収により反応し有
機化合物B分子が得られる第2の工程、および基板温度
が上げられ、有機化合物Aと有機化合物Bのうち昇華温
度の低い方が基板から昇華して取り除かれる第3の工程
の三つの工程が連続的に繰り返し行われるあるいは、同
時に行われるまたあるいはその両方によって製造される
ものである。
【0029】また、本発明の請求項22における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板と上記有
機化合物A分子の相互作用が利用されることによって、
基板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合物A
分子が堆積されてなるものである。
【0030】また、本発明の請求項23における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板に結晶性
基板が用いられることによって、堆積される有機化合物
A分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工程
において、基板へ照射される電磁波の偏波方向が、基板
上の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物A分子の
遷移双極子モーメントと直交するものである。
【0031】また、本発明の請求項24における一軸配
向有機薄膜は、前記第2の工程において、波長の等しい
二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交差
しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基板
上へ堆積された有機化合物A分子に照射されてなるもの
である。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明で用いる有機化合物の制限
は特に無いが、電磁波の吸収に異方性を有する観点から
棒状あるいは平面状の分子構造を有することが望まし
い。また、有機化合物の真空蒸着を行うという観点か
ら、その有機化合物の分子量はおおよそ100〜100
0程度であるのが望ましい。例えば、棒状の分子構造を
有する長鎖飽和炭化水素や長鎖不飽和炭化水素やこれら
の誘導体、オリゴ−p−フェニレン、オリゴ−o−フェ
ニレン、オリゴ−α−チエニレン、オリゴ−β−チエニ
レン、オリゴ−p−フェニレンビニレン、オリゴ−α−
チエニレンビニレン、オリゴ−p−フェニレンエチニレ
ン、オリゴ−α−チエニレンエチニレン、オリゴアゾベ
ンゼンなどやこれらの誘導体、平面状の分子構造を有す
るナフタレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェ
ナントレン、ペンタセン、テトラセン、クリセン、クマ
リン、コロネン、ペリノンやこれら誘導体などの多環芳
香族化合物やポルフィリン、金属ポルフィリン、サレ
ン、金属サレンやこれらの誘導体などが挙げられる。ま
た、電磁波による化学結合の切断を利用するばあいは、
カルボニル基を有するケトン類やエステル類等の化合物
等を用いることができる。また、本発明で用いる電磁波
の吸収による反応は、例えば、アゾベンゼン類の光異性
化反応やジアリールエテン類の光開環・閉環反応等を用
いることができる。
【0033】本発明で用いる基板としてはどのようなも
のでも良く、シリコン、ゲルマニウム、GaAsなどの
各種化合物半導体、各種分子性結晶、アルカリハライド
などの各種イオン性結晶、サファイア結晶、石英、ガラ
ス、各種プラスチックなどの基板が適用できる。さらに
は、基板上に金属、半導体、絶縁体などの膜を被覆した
ものでも構わない。
【0034】本発明では、真空プロセスを用いる。真空
プロセスとしては、真空蒸着法、分子線蒸着法、分子線
エピタキシャル成長法、クラスターイオンビーム法、パ
ルスレーザ蒸着法などが使用可能である。中でも、分子
の配向性、結晶の配列性などの膜構造の制御性の観点か
ら、真空蒸着法、分子線蒸着法、分子線エピタキシャル
成長法が好ましい。ここでは、一例として分子線蒸着法
をベースに用いたものについて説明する。
【0035】図1は本発明の有機薄膜を製造するために
用いられる装置を示す説明図である。図1において、1
は真空槽、2は有機化合物、3はクヌーセンセル、4は
基板、5は電磁波、6は電磁波発生源、7は水晶振動子
式膜厚センサー、8は基板温度制御装置、9は真空窓、
10はシャッター、11は直線偏波器を示す。まず、有
機化合物2をクヌーセンセル3に入れ、真空槽1を真空
排気する。ここで、少なくとも10-2Paより高い真空
度とする。化合物や基板などの他の条件にもよるが、結
晶性の薄膜を得るためには、10-4Paより高い真空
度、さらに好ましくは10-7Paまで排気を行うのが好
ましい。真空槽1内に基板4を設置し、基板表面を清浄
化するため加熱処理などを施す。ここで、加熱処理は必
ずしも必要ではない。クヌーセンセル3を有機化合物2
の蒸発温度以下で加熱し、予め原料中の脱ガスを行っ
た。脱ガス処理後、蒸発温度までクヌーセンセル3を加
熱し、有機化合物2を蒸発させた。有機化合物2の堆積
速度は、間接的に堆積速度を読みとる装置、例えば水晶
振動子上に付着する膜による周波数変化から読みとる装
置(水晶振動子式膜厚センサー)7を用いて監視し、堆
積速度が一定になるようにクヌーセンセル4の温度をフ
ィードバック制御した。また、イオンゲージ方式の分子
線束モニターなどによって監視・制御しても構わない。
このとき、有機化合物2の堆積速度の制限は特にない
が、結晶性の薄膜を製造するばあいは、2.0nm・m
in-1以下にするのが望ましい。また、結晶性の基板を
用い、その上に有機化合物をエピタキシャル成長させる
ばあいは、0.5nm・min-1以下にするのが望まし
い。また、分子ビームはシャッター10を用いて瞬時に
遮蔽することができ、これにより分子ビームを照射する
タイミングを制御する。基板温度制御は、フィラメント
などの抵抗加熱方式などを用いた加熱機構と液体窒素等
を間接的に接触させる方法などを用いた冷却機構の両方
あるいはどちらか一方を備えた、基板温度制御装置8に
よって行った。また、励起エネルギーが目的分子以外の
分子に拡がるのを防ぐ観点から、結晶は離散的に存在す
るのが好ましい。このばあい、一つの結晶ドメイン内の
分子配向は同一であるのが好ましい。
【0036】次にシャッター10を開き、一定時間、有
機化合物2の分子線を基板に照射した後、シャッター1
0を閉じて有機化合物2の分子線の照射を中断した。こ
のときの分子線照射時間に特に制限は無いが、この時間
内に基板上に堆積・成長する有機化合物の結晶は小さい
程良く、分子線照射を開始してから結晶の堆積・成長が
始まるまでに要する時間より僅かに長い程度の時間が望
ましい。
【0037】次に、電磁波発生源6から発生した一つな
いしは二つ以上の電磁波5を直線偏波器11を通した
後、赤外線領域から紫外線領域の電磁波のばあいは光学
系によって、また、マイクロ波のばあいは導波管によっ
て、真空槽1に設けた真空窓9を介して真空槽内に導い
た。このとき電磁波5の基板4の表面に対する入射角に
制限はない。また、二つ以上の電磁波を入射するばあい
は、図2に示すような配置で照射する。図2は、本発明
の薄膜製造時に二本以上の偏光を照射するばあいの照射
方向と偏光面の関係を示す説明図である。図2におい
て、21は第一の電磁波、22は第一の電磁波の偏波
面、23は第二の電磁波、24は第二の電磁波の偏波
面、25は、第一の電磁波21、第一の電磁波の偏波面
22、第二の電磁波23、第二の電磁波の偏波面24を
含む平面(以下、含有平面という)、26は基板表面を
示す。この電磁波5(図1参照)の照射により、電磁波
5の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを有する分
子だけを電磁波の吸収による分子運動の活性化あるいは
化学結合の切断による分解または化学反応させる。ここ
で、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
有する分子とは、遷移双極子モーメントの偏波方向成分
を有する分子のことをいう。また、ここで照射する電磁
波5は、有機化合物2が吸収する波長の電磁波であれば
特に限定は無いが、分子の回転運動を励起するばあいで
あればマイクロ波領域の電磁波を、分子の振動運動を励
起するばあいであれば赤外領域の光を、また、電子励起
させた分子の熱緩和によって分子運動を活性化するばあ
いは、紫外可視領域の光を照射する。また、有機化合物
の電磁波の吸収による化学反応を利用するばあいは、そ
の反応を誘起する吸収帯の電磁波を照射する。このと
き、分子運動の活性化または分解あるいは化学反応を効
率的に行う点から、紫外可視領域の電磁波を用いるのが
望ましい。ここで、電磁波発生源6は、紫外可視から赤
外領域では、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、重水素
ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、シン
クロトロン放射光などが利用可能である。さらにこの領
域の電磁波発生源6として、KrF、XeClまたはA
rFなどのエキシマレーザ、Ar、KrまたはHeNe
などのイオンレーザ、YAGレーザ、COまたはCO2
などの気体レーザ、ローダミン6Gなどの有機色素を用
いた色素レーザ、COまたはCO2レーザを励起光源と
するスピンフリップ・ラマンレーザ、各種半導体レーザ
や非線形光学材料を用いたこれらレーザ光の高調波発振
器、和周波発振器、差周波発振器やパラメトリック発振
器などが単色性、指向性に優れる点で好ましい。また、
マイクロ波領域では、電磁波発生源6としてはBK管、
クライストロン、マグネトロン、アンプリトロン、ジャ
イロコンやジャイロトロン増幅管などのマイクロ波電子
管や周波数の異なる二つのレーザ光のヘテロダイン法を
用いたマイクロ波発振器などが利用できる。また、真空
窓9の材質は、照射する電磁波を吸収しない材質を選択
する必要があり、紫外可視領域においては、石英ガラス
等が、赤外光領域に於いてはガラス、水晶、フッ化リチ
ウム、蛍石、岩塩、臭化カリウム、KRS−5、ハロゲ
ン化タリウム、ハロゲン化セシウム、シリコン、ゲルマ
ニウム、セレン系ガラス、ポリエチレンやダイヤモンド
等が、マイクロ波領域ではガラス等が利用できる。また
電磁波の直線偏波器11には、用いる電磁波5の周波数
によって材質等を選択する必要があるが、マイクロ波か
ら遠赤外線領域ではワイヤーグレーティングなどの構造
の偏波器を、また近赤外から紫外線領域では偏光ビーム
スプリッター、ウォラストン・プリズム、グラン−トム
ソン・プリズム、ニコルプリズム、グラン−フーコー・
プリズム、アーレンス・プリズムや偏光板などの構造の
偏波器を用いることができる。
【0038】さらに、電磁波の吸収による化学反応を用
いるばあいは、光照射後、基板温度を上げて、基板表面
上の未反応の有機化合物2あるいは反応生成物のどちら
か一方を基板上から昇華することによって除去する工程
を行う。このばあい、電磁波による化学反応が反応生成
物の分子配向に与える影響を回避する観点から、反応生
成物の方を除去するか、あるいは、トポケミカルに進行
する光化学反応を利用するのが望ましい。
【0039】以上の有機化合物2を堆積する工程および
電磁波を照射する工程、さらに電磁波の吸収による化学
反応を用いるばあいは堆積物を昇華して除去する工程の
前者二つないしは三つの工程を、連続的に繰り返し行う
あるいは、同時に行うまたあるいはその両方によって、
偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する方向に分子
配向した一軸配向有機薄膜を製造することが可能とな
る。ここで、本製造方法の初期において基板上に結晶核
が存在する必要がある点から、上記各工程を少なくとも
一回、連続的に行うのが好ましい。また、ここで、一軸
配向薄膜とは、吸収スペクトル等の二色比が大きい薄膜
のことをさす。
【0040】以下、本発明を以下の具体的実施例にて説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0041】
【実施例】実施例1.本実施例では、チオフェン6量体
(以下6Tと略す)を用いた例を示す。以下に6Tの分
子構造を式(1):
【0042】
【化1】 に示す。
【0043】まず、真空中で6Tをクヌーセンセルで加
熱して蒸発させた。このとき、膜厚センサーでモニター
した6Tの堆積速度が一定になるようにクヌーセンセル
の温度を制御した。堆積速度が一定になった後、クヌー
センセルのシャッターを開き、基板上に6Tを堆積し
た。本実施例では、真空度を10-5Torr以下に、基
板温度を25℃に保ち、堆積速度を50nm・min-1
に、シャッタを開く時間を30秒に設定した。また、基
板には石英ガラス基板を用いた。次に、シャッターを閉
じた後、520nm付近にλmaxを示す6T分子のπ→
π*遷移を励起することが可能な波長の直線偏光を堆積
した6Tに照射した。本実施例では、その光源として、
色素にクマリン540を、励起光源にXeClエキシマ
レーザ(波長308nm)を用い、520nmの波長で
レーザ発振した色素レーザ光を用いた。また、この遷移
の遷移双極子モーメントが6Tの分子長軸方向と平行で
あることを考慮して、基板に平行な一方向を向いた分子
を除去するため、偏光の入射方向を基板に垂直方向に設
定して偏光方向を基板と平行にした。さらに、レーザ強
度を1パルスあたり10mJcm-2、発振周波数を1H
z、照射時間を5分間とした。以上の二つの工程を、5
0回繰り返し行った結果、基板上に6T薄膜を得た。こ
の紫外可視偏光吸収スペクトルを図3に示す。図3は、
本発明の薄膜製造法により製造した一軸配向有機薄膜の
紫外可視偏光吸収スペクトルを示すグラフである。図3
において、縦軸は吸光度、横軸は波長(nm)を示す。
さらに、イは測定光の偏光方向が薄膜製造時に照射した
偏光と直交するばあいのスペクトルを示し、ロは測定光
の偏光方向が薄膜製造時に照射した偏光と平行なばあい
のスペクトルを示す。この図で基板面内で大きな二色比
を示すことから、この薄膜中で6T分子が一軸配向して
いることがわかった。
【0044】比較例1.実施例1と同じ条件で6Tを蒸
発させて、石英ガラス基板に6Tを堆積した。このとき
の堆積時間は10分間とした。その結果得られた6T薄
膜は、紫外可視偏光吸収スペクトルの面内方向の二色比
を示さなかった。
【0045】実施例2.本実施例では、実施例1と同様
の方法でステアリン酸(以下SAと略す)の薄膜を製造
した例を示す。以下にSAの分子構造を式(2):
【0046】
【化2】 に示す。
【0047】本実施例では、SA分子を基板に対して平
行に分子配向するように堆積するために、真空度を10
-7Torr以下に、基板温度を0℃に保ち、堆積速度を
1nm・min-1に設定して、雲母基板を基板に用い
た。このとき、シャッタを開く時間を5分に設定した。
また、基板に照射する直線偏光は、240nm付近にλ
maxを示すSA分子の吸収帯を励起するために、KrF
エキシマレーザ光(波長248nm)を用いた。また、
この吸収帯の遷移双極子モーメントがSAの分子長軸方
向と平行であることを考慮して、基板に対して平行に分
子配向したSA分子の内、一方向を向いた分子を残存す
るため、偏光の入射方向を基板に垂直方向に設定して偏
光方向を基板と平行にした。また、レーザ強度を1パル
スあたり10mJcm-2、発振周波数を1Hz、照射時
間を5分間とした。以上のように設定して、実施例1に
記載した二つの工程を200回繰り返し実施することに
よって、SA薄膜を基板上に得た。この紫外可視偏光吸
収スペクトルは、実施例1と同様に、基板面内で大きな
二色比を示した。このことから、この薄膜中でSAが一
軸配向していることがわかった。
【0048】比較例2.実施例2と同じ条件でSAを蒸
発させて、雲母基板にSAを堆積した。このときの堆積
時間は100分間とした。その結果得られたSA薄膜
は、XRD測定から基板表面に対して平行に分子配向し
ていることがわかったが、紫外可視偏光吸収スペクトル
が基板面内方向の二色比を示さなかったことから、一軸
配向していないことがわかった。
【0049】実施例3.本実施例では、実施例1と同様
の方法でtrans、trans−スチリルスチルベン
(以下SSと略す)の薄膜を製造した例を示す。以下に
SSの分子構造を式(3):
【0050】
【化3】 に示す。
【0051】本実施例では、SS分子を基板に対して平
行に分子配向し、かつ、二方向にエピタキシャル成長さ
せるために、真空度を10-8Torr以下に、基板温度
を25℃に保ち、堆積速度を0.5nm・min-1に設
定して、KBr結晶を基板に用いた。このとき、シャッ
タを開く時間を10分に設定した。また、基板に照射す
る直線偏光は、375nm付近にλmaxを示すSS分子
のπ→π*遷移を励起するために、XeFエキシマレー
ザ光(波長351nm)を用いた。また、このπ→π*
遷移の遷移双極子モーメントがSSの分子長軸方向と平
行であることを考慮して、基板に対して二方向にエピタ
キシャル成長したSS分子の内、ひとつの方向に成長し
たSS分子を除去するため、偏光の入射方向を基板に垂
直方向に、偏光方向をKBr基板の<100>方向の一
つである[010]方向に設定した。また、レーザ強度
を1パルスあたり10mJcm-2、発振周波数を1H
z、照射時間を5分間とした。以上のように設定して、
実施例1に記載した二つの工程を20回繰り返し実施す
ることによって、基板上にSS薄膜を得た。この紫外可
視偏光吸収スペクトルは、実施例1と同様に、基板面内
で大きな二色比を示した。また、偏光顕微鏡写真を図4
に示す。図4は、本発明の薄膜製造方法により製造した
一軸配向有機薄膜をクロスニコル状態で観察した偏光顕
微鏡写真である。この写真からKBr結晶の[100]
方向に一軸配向していることがわかった。なお、KBr
基板の[100]方向と[010]方向は等価である。
【0052】比較例3.実施例3と同じ条件でSSを蒸
発させて、KBr基板にSSを堆積した。このときの堆
積時間は100分間とした。その結果得られたSS薄膜
は、偏光顕微鏡観察からKBrの二つの<100>方向
に二軸配向していることがわかった。
【0053】実施例4.本実施例では、実施例1と同じ
条件で6T分子を石英基板上に堆積した。また、基板に
照射する直線偏光も、実施例1と同じ光源を用いた。た
だし、本実施例では、二本の直線偏光を同時に基板表面
に堆積した6T分子に照射した。ここで、それぞれ光の
入射方向と石英基板表面のなす角がそれぞれ35度およ
び55度の二つの方向に、それぞれの偏光面が基板に対
して垂直になるように、また、二つの入射方向が作る平
面とそれぞれの偏光面の三つの平面が一致するように設
定した。以上のように設定して、実施例1に記載した二
つの工程を200回繰り返し実施することによって、基
板上に6T薄膜を得た。この紫外可視偏光吸収スペクト
ルは、実施例1と同様に、基板面内で大きな二色比を示
した。このことから、この薄膜中で6Tが一軸配向して
いることがわかった。また、紫外可視偏光吸収スペクト
ルを基板に対して30度の角度で測定光を入射して測定
して、基板表面に平行な方向の偏光(以下ではS偏光と
略す)スペクトルと基板表面に垂直な方向の偏光(以下
ではP偏光と略す)スペクトルを比較したところ、前者
に現れる吸収が後者と比較して極めて大きかった。この
ことから、基板に対して分子長軸が垂直に分子配向して
いる6T分子はほとんど存在せず、完全に面内の一方向
に一軸配向していることがわかった。
【0054】比較例4.実施例1で製造した6T薄膜の
紫外可視偏光吸収スペクトルを基板に対して30度の角度
で測定光を入射して測定したところ、S偏光とP偏光で
二色比はほとんど認められなかった。このことから、6
T分子は、基板面内方向に配向性を有するものの、基板
に対して垂直方向に、配向性を有しないことがわかっ
た。
【0055】実施例5.本実施例では、実施例1と同様
の方法でベンゾフェノン(以下BPと略す)の薄膜を製
造した例を示す。以下にBPの分子構造を式(4):
【0056】
【化4】 に示す。
【0057】本実施例では、真空度を10-6Torr以
下に、基板温度を−20℃に保ち、堆積速度を10nm
・min-1に設定して、石英ガラス基板上にBPを堆積
した。このとき、シャッタを開く時間を30秒に設定し
た。また、基板に照射する直線偏光は、340nm付近
のn→π*遷移を誘起してBP分子を分解するために、
XeFエキシマレーザ光(波長351nm)を用いた。
また、このn→π*遷移の遷移双極子モーメントがC=
O結合と平行であることを考慮して、基板に平行な一方
向を向いた分子を除去するため、偏光の入射方向を基板
に垂直方向に設定して偏光方向を基板と平行にした。ま
た、レーザ強度を1パルスあたり10mJcm-2、発振
周波数を5Hz、照射時間を5分間とした。以上のよう
に設定して、実施例1に記載した二つの工程を200回
繰り返し実施することによって、基板上にBP薄膜を得
た。この紫外可視偏光吸収スペクトルは、実施例1と同
様に、基板面内で大きな二色比を示した。このことか
ら、この薄膜中でBPが一軸配向していることがわかっ
た。
【0058】実施例6.本実施例では、実施例1と同様
の方法でアントラキノン(以下AQと略す)の薄膜を製
造した例を示す。以下にAQの分子構造を式(5):
【0059】
【化5】 に示す。
【0060】本実施例では、AQ分子を基板に対して平
行に分子配向するように堆積するために、真空度を10
-7Torr以下に、基板温度を0℃に保ち、堆積速度を
1nm・min-1に設定して、石英基板を基板に用いた
(比較例5)。このとき、シャッタを開く時間を5分に
設定した。また、基板に照射する直線偏光は、251n
m付近にλmaxを示すAQ分子のn→π*遷移を誘起して
AQ分子を分解して除去するために、KrFエキシマレ
ーザ光(波長248nm)を用いた。また、このn→π
*遷移の遷移双極子モーメントがC=O結合と平行であ
ることを考慮して、基板に対して平行に分子配向したS
A分子の内、一方向を向いた分子を残存するため、偏光
の入射方向を基板に垂直方向に設定して偏光方向を基板
と平行にした。また、レーザ強度を1パルスあたり10
mJcm-2、発振周波数を5Hz、照射時間を5分間と
した。以上のように設定して、実施例1に記載した二つ
の工程を200回繰り返し実施することによって、基板
上にAQ薄膜を得た。この紫外可視偏光吸収スペクトル
は、実施例1と同様に、基板面内で大きな二色比を示し
た。このことから、この薄膜中でAQが一軸配向してい
ることがわかった。
【0061】比較例5.実施例6と同じ条件でAQを蒸
発させて、石英基板にAQを堆積した。このときの堆積
時間は100分間とした。その結果得られたAQ薄膜
は、XRD測定から基板表面に対して平行に分子配向し
ていることがわかったが、紫外可視偏光吸収スペクトル
が面内方向の二色比を示さなかったことから、一軸配向
していないことがわかった。
【0062】実施例7.本実施例も、実施例1と同様の
方法でAQの薄膜を製造した例を示す。本実施例では、
tPAB分子を基板に対して平行に分子配向し、かつ、
二方向にエピタキシャル成長させるために、真空度を1
-8Torr以下に、基板温度を10℃に保ち、堆積速
度を0.5nm・min-1に設定して、KBr結晶を基
板に用いた。このとき、シャッタを開く時間を10分に設
定した。また、基板に照射する直線偏光は、実施例6と
同じ光源を用いた。ただし、本実施例では、基板に対し
て平行に分子配向し、かつ、二方向にエピタキシャル成
長したAQ分子の内、ひとつの方向に成長した分子を分
解して除去するために、偏光の入射方向を基板に垂直方
向に、偏光方向をKBr基板の<100>方向の一つで
ある[010]方向に設定した。また、レーザ強度、発
振周波数および照射時間は実施例6と同じ値に設定し
た。以上のように設定して、実施例1に記載した二つの
工程を40回繰り返し実施することによって、基板上に
AQ薄膜を得た。この紫外可視偏光吸収スペクトルは、
実施例1と同様に、基板面内で大きな二色比を示した。
また、偏光顕微鏡写真からKBr結晶の[100]方向
に一軸配向していることがわかった。
【0063】比較例6.実施例7と同じ条件でAQを蒸
発させて、KBr基板にAQを堆積した。このときの堆
積時間は100分間とした。その結果得られたAQ薄膜
は、偏光顕微鏡観察からKBrの二つの<100>方向
に二軸配向していることがわかった。
【0064】実施例8.本実施例では、実施例5と同じ
条件でBP分子を石英基板上に堆積した。また、基板に
照射する直線偏光も、実施例5と同じ光源を用いた。た
だし、本実施例では、二本の直線偏光を同時に照射し
た。ここで、それぞれ光の入射方向と石英基板表面のな
す角がそれぞれ35度および55度の二つの方向に、そ
れぞれの偏光面が基板に対して垂直になるように、ま
た、二つの入射方向が作る平面とそれぞれの偏光面の三
つの平面が一致するように設定した。以上のように設定
して、実施例1に記載した二つの工程を200回繰り返
し実施することによって、基板上にBP薄膜を得た。こ
の紫外可視偏光吸収スペクトルは、実施例5と同様に、
基板面内で大きな二色比を示した。このことから、この
薄膜中でBPが一軸配向していることがわかった。ま
た、紫外可視偏光吸収スペクトルを基板に対して30度
の角度で測定光を入射して測定して、基板表面に平行な
方向の偏光(以下ではS偏光と略す)スペクトルと基板
表面に垂直な方向の偏光(以下ではP偏光と略す)スペ
クトルを比較したところ、前者に現れる吸収が後者と比
較して極めて大きかった。このことから、基板に対して
C=O結合が垂直に分子配向しているBP分子はほとん
ど存在せず、完全に面内の一方向に一軸配向しているこ
とがわかった。
【0065】比較例7.実施例5で製造したBP薄膜の
紫外可視偏光吸収スペクトルを基板に対して30度の角
度で測定光を入射して測定したところ、S偏光とP偏光
で二色比はほとんど認められなかった。このことから、
BP分子は、基板面内方向に配向性を有するものの、基
板に対して垂直方向に、配向性を有しないことがわかっ
た。
【0066】実施例9.本実施例では、実施例1と同様
の方法で1,2−ジヒドロ−4,5−ジシアノベンゾ
[2,3−b:5,6−b′]ジチオフェン(以下HC
BTと略す)の薄膜を製造した例を示す。以下にHCB
Tの分子構造を式(6):
【0067】
【化6】 に示す。
【0068】本実施例では、真空度を10-5Torr以
下に、基板温度を−10℃に保ち、堆積速度を10nm
・min-1に設定して、石英ガラス基板上にHCBTを
堆積した。このとき、シャッタを開く時間を30秒に設
定した。また、基板に照射する直線偏光は、650nm
のπ→π*遷移を誘起してHCBT分子から1,2−ジ
シアノ−1,2−ジチエニル−エテン(以下CTEと略
す)への光化学反応を誘起するために、655nmの波
長でレーザ発振させた色素レーザ光(色素:DCM、励
起光源:XeClエキシマレーザ(波長308nm))
を用いた。以下にCTEの分子構造を式(7):
【0069】
【化7】 に示す。
【0070】また、この反応を誘起するπ→π*遷移の
遷移双極子モーメントが式(6)に示した方向であるこ
とを考慮して、基板に平行な一方向に遷移双極子モーメ
ントが向いたHCBT分子をCTEに変化させるため、
偏光の入射方向を基板に垂直方向に設定して偏光方向を
基板と平行にした。また、レーザ強度を1パルスあたり
0.2mJcm-2、発振周波数を5Hz、照射時間を5
分間とした。さらに、本実施例では、光照射終了後、基
板温度を25℃に上げて、基板上のCTEを昇華し取り
除いた。以上のように設定して、実施例1に記載した二
つの工程および基板加熱する工程の三つの工程を40回
繰り返し実施することによって、基板上にHCBT薄膜
を得た。この紫外可視偏光吸収スペクトルは、実施例1
と同様に、基板面内で大きな二色比を示した。このこと
から、この薄膜中でHCBTが一軸配向していることが
わかった。
【0071】実施例10.本実施例では、実施例9と同
様の方法でtrans,trans−p−ビス(フェニ
ルアゾ)ベンゼン(以下tPABと略す)の薄膜を製造
した例を示す。以下にtPABの分子構造を式(8):
【0072】
【化8】 に示す。
【0073】本実施例では、tPAB分子を基板に対し
て平行に分子配向するように堆積するために、真空度を
10-7Torr以下に、基板温度を25℃に保ち、堆積
速度を1nm・min-1に設定して、金基板上にtPA
Bを堆積した。このとき、シャッタを開く時間を5分に
設定した。また、基板に照射する直線偏光は、500n
mのπ→π*遷移を誘起してtPAB分子からcis,
cis−p−ビス(フェニルアゾ)ベンゼン(以下cP
ABと略す)への光異性化反応を誘起するために、52
0nmの波長でレーザ発振させた色素レーザ光(色素:
クマリン504、励起光源:XeClエキシマレーザ
(波長308nm))を用いた。以下にcPABの分子
構造を式(9):
【0074】
【化9】 に示す。
【0075】また、この反応を誘起するπ→π*遷移の
遷移双極子モーメントがtPAB分子の分子長軸と平行
であることを考慮して、基板に対して平行に分子配向し
たtPAB分子の内、偏光方向に平行な分子をcPAB
に異性化させるため、偏光の入射方向を基板に垂直方向
に設定した。ここで、レーザ強度を1パルスあたり0.
2mJcm-2、発振周波数を5Hz、照射時間を5分間
とした。また、光照射終了後に行う基板加熱の設定温度
を50℃として、基板上のcPABを昇華し取り除い
た。以上のように設定して、実施例9に記載した三つの
工程を200回繰り返し実施することによって、基板上
にtPAB薄膜を得た。この紫外可視偏光吸収スペクト
ルは、実施例1と同様に、基板面内で大きな二色比を示
した。このことから、この薄膜中でtPABが一軸配向
していることがわかった。
【0076】比較例8.実施例10と同じ条件でtPA
Bを蒸発させて、金基板にtPABを堆積した。このと
きの堆積時間は100分間とした。その結果得られたt
PAB薄膜は、XRD測定から基板表面に対して分子長
軸が平行に分子配向していることがわかったが、紫外可
視偏光吸収スペクトルが面内方向の二色比を示さなかっ
たことから、一軸配向していないことがわかった。
【0077】実施例11.本実施例も、実施例9と同様
の方法でtPABの薄膜を製造した例を示す。本実施例
では、tPAB分子を基板に対して平行に分子配向し、
かつ、二方向にエピタキシャル成長させるために、真空
度を10-8Torr以下に、基板温度を25℃に保ち、
堆積速度を0.5nm・min-1に設定して、KBr結
晶を基板に用いた。このとき、シャッタを開く時間を1
0分に設定した。また、基板に照射する直線偏光は、実
施例10と同じ光源を用いた。ただし、本実施例では、
基板に対して二方向にエピタキシャル成長したtPAB
分子の内、ひとつの方向に成長した分子をcPABに異
性化させるため、偏光の入射方向を基板に垂直方向に、
偏光方向をKBr基板の<100>方向の一つである
[010]方向に設定した。また、レーザ強度、発振周
波数および照射時間は実施例10と同じ値に設定した。
さらに、本実施例では、光照射終了後、実施例10と同
様に基板温度を上げてcPABを昇華し取り除いた。以
上のように設定して、実施例9に記載した三つの工程を
20回繰り返し実施することによって、基板上にtPA
B薄膜を得た。この紫外可視偏光吸収スペクトルは、実
施例1と同様に、基板面内で大きな二色比を示した。ま
た、偏光顕微鏡写真からKBr結晶の[100]方向に
一軸配向していることがわかった。
【0078】比較例9.実施例11と同じ条件でtPA
Bを蒸発させて、KBr基板にtPABを堆積した。こ
のときの堆積時間は100分間とした。その結果得られ
たtPAB薄膜は、偏光顕微鏡観察からKBrの二つの
<100>方向に二軸配向していることがわかった。
【0079】実施例12.本実施例では、実施例9と同
じ条件でHCBT分子を石英基板上に堆積した。また、
基板に照射する直線偏光も、実施例9と同じ光源を用い
た。ただし、本実施例では、二本の直線偏光を同時に照
射した。ここで、それぞれ光の入射方向と石英基板表面
のなす角がそれぞれ35度および55度の二つの方向
に、それぞれの偏光面が基板に対して垂直になるよう
に、また、二つの入射方向が作る平面とそれぞれの偏光
面の三つの平面が一致するように設定した。以上のよう
に設定して、実施例9に記載の三つの工程を200回繰
り返し実施することによって、基板上にHCBT薄膜を
得た。この紫外可視偏光吸収スペクトルは、実施例9と
同様に、基板面内で大きな二色比を示した。このことか
ら、この薄膜中でHCBTが一軸配向していることがわ
かった。また、紫外可視偏光吸収スペクトルを基板に対
して30度の角度で測定光を入射して測定して、基板表
面に平行な方向の偏光(以下ではS偏光と略す)スペク
トルと基板表面に垂直な方向の偏光(以下ではP偏光と
略す)スペクトルを比較したところ、前者に現れる吸収
が後者と比較して極めて大きかった。このことから、基
板に対して上記遷移双極子モーメントが垂直に分子配向
しているHCBT分子はほとんど存在せず、完全に面内
の一方向に一軸配向していることがわかった。
【0080】比較例10.実施例9で製造したHCBT
薄膜の紫外可視偏光吸収スペクトルを基板に対して30
度の角度で測定光を入射して測定したところ、、S偏光
とP偏光で二色比はほとんど認められなかった。このこ
とから、HCBT分子は、基板面内方向に配向性を有す
るものの、基板に対して垂直方向に、配向性を有しない
ことがわかった。
【0081】
【発明の効果】本発明の請求項1における一軸配向有機
薄膜製造方法は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光
線、近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁
波の吸収に異方性を有する有機化合物分子を、基板上に
蒸着させる第1の工程、および上記電磁波の少なくとも
一つの直線偏波を基板上に堆積した有機化合物分子に照
射して、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメン
トを有する分子だけを電磁波の吸収による分子運動の活
性化によって基板から再脱離させる第2の工程を連続的
に繰り返し行うあるいは、同時に行うまたあるいはその
両方によって、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交
する方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造する
ものであるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺
することなく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交
する方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造する
ことができる。
【0082】また、本発明の請求項2における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板と
上記有機化合物分子の相互作用を利用することによっ
て、基板面外方向の分子配向を制御しながら有機化合物
分子を堆積するものであるので、有機分子の有する機能
の異方性を相殺することなく、偏波方向と遷移双極子モ
ーメントが直交する方向に配向されてなる一軸配向有機
薄膜を製造することができる。
【0083】また、本発明の請求項3における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板に
結晶性基板を用いることによって、堆積する有機化合物
分子をエピタキシャル成長させ、さらに前記第2の工程
において、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基板上
の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移
双極子モーメントと直交させるものであるので、有機分
子の有する機能の異方性を相殺することなく、偏波方向
と遷移双極子モーメントが直交する方向に配向されてな
る一軸配向有機薄膜を製造することができる。
【0084】また、本発明の請求項4における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第2の工程において、波長の
等しい二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面上
で交差しかつそれらの偏光面が一致するような方向か
ら、基板上へ堆積した有機化合物分子に照射するもので
あるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺するこ
となく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する方
向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造することが
できる。
【0085】本発明の請求項5における一軸配向有機薄
膜製造方法は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、
近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の
吸収に異方性を有する有機化合物分子を、基板上に蒸着
させる第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つ
の直線偏波を基板上に堆積した有機化合物分子に照射し
て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
有する分子だけを電磁波の吸収による化学結合の切断に
よって分解して基板から除去する第2の工程を連続的に
繰り返し行うあるいは、同時に行うまたあるいはその両
方によって、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交す
る方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造するも
のであるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺す
ることなく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交す
る方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造するこ
とができる。
【0086】また、本発明の請求項6における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板と
上記有機化合物分子の相互作用を利用することによっ
て、基板面外方向の分子配向を制御しながら有機化合物
分子を堆積するものであるので、有機分子の有する機能
の異方性を相殺することなく、偏波方向と遷移双極子モ
ーメントが直交する方向に配向されてなる一軸配向有機
薄膜を製造することができる。
【0087】また、本発明の請求項7における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板に
結晶性基板を用いることによって、堆積する有機化合物
分子をエピタキシャル成長させ、さらに前記第2の工程
において、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基板上
の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移
双極子モーメントと直交させるものであるので、有機分
子の有する機能の異方性を相殺することなく、偏波方向
と遷移双極子モーメントが直交する方向に配向されてな
る一軸配向有機薄膜を製造することができる。
【0088】また、本発明の請求項8における一軸配向
有機薄膜製造方法は、前記第2の工程において、波長の
等しい二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面上
で交差しかつそれらの偏光面が一致するような方向か
ら、基板上へ堆積した有機化合物分子に照射するもので
あるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺するこ
となく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する方
向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造することが
できる。
【0089】本発明の請求項9における一軸配向有機薄
膜製造方法は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、
近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の
吸収に異方性を有する有機化合物A分子を、基板上に蒸
着させる第1の工程、上記電磁波の少なくとも一つの直
線偏波を基板上に堆積した有機化合物A分子に照射し
て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
有する有機化合物A分子だけを電磁波の吸収により反応
させて有機化合物B分子を得る第2の工程、および基板
温度を上げて、有機化合物Aと有機化合物Bのうち昇華
温度の低い方を基板から昇華して取り除く第3の工程の
三つの工程を連続的に繰り返し行うあるいは、同時に行
うまたあるいはその両方によって、偏波方向と遷移双極
子モーメントが直交する方向に配向してなる有機化合物
Aあるいは有機化合物Bの一軸配向有機薄膜を製造する
ものであるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺
することなく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交
する方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造する
ことができる。
【0090】また、本発明の請求項10における一軸配
向有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板
と上記有機化合物A分子の相互作用を利用することによ
って、基板面外方向の分子配向を制御しながら有機化合
物A分子を堆積するものであるので、有機分子の有する
機能の異方性を相殺することなく、偏波方向と遷移双極
子モーメントが直交する方向に配向されてなる一軸配向
有機薄膜を製造することができる。
【0091】また、本発明の請求項11における一軸配
向有機薄膜製造方法は、前記第1の工程において、基板
に結晶性基板を用いることによって、堆積する有機化合
物A分子をエピタキシャル成長させ、さらに前記第2の
工程において、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基
板上の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物A分子
の遷移双極子モーメントと直交させるものであるので、
有機分子の有する機能の異方性を相殺することなく、偏
波方向と遷移双極子モーメントが直交する方向に配向さ
れてなる一軸配向有機薄膜を製造することができる。
【0092】また、本発明の請求項12における一軸配
向有機薄膜製造方法は、前記第2の工程において、波長
の等しい二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面
上で交差しかつそれらの偏光面が一致するような方向か
ら、基板上へ堆積した有機化合物A分子に照射するもの
であるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺する
ことなく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する
方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造すること
ができる。
【0093】本発明の請求項13における一軸配向有機
薄膜は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外
線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の吸収に
異方性を有する有機化合物分子が、基板上に蒸着される
第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つの直線
偏波が基板上に堆積した有機化合物分子に照射されて、
電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを有す
る分子だけが電磁波の吸収による分子運動の活性化によ
って基板から再脱離される第2の工程が連続的に繰り返
し行われるあるいは、同時に行われるまたあるいはその
両方によって製造されるものであるので、有機分子の有
する機能の異方性を相殺することなく、偏波方向と遷移
双極子モーメントが直交する方向に配向されてなる一軸
配向有機薄膜を製造することができる。
【0094】また、本発明の請求項14における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板と上記有
機化合物分子の相互作用が利用されることによって、基
板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合物分子
が堆積されてなるものであるので、有機分子の有する機
能の異方性を相殺することなく、偏波方向と遷移双極子
モーメントが直交する方向に配向されてなる一軸配向有
機薄膜を製造することができる。
【0095】また、本発明の請求項15における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板に結晶性
基板が用いられることによって、堆積される有機化合物
分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工程に
おいて、基板へ照射する電磁波の偏波方向が、基板上の
少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移双
極子モーメントと直交するものであるので、有機分子の
有する機能の異方性を相殺することなく、偏波方向と遷
移双極子モーメントが直交する方向に配向されてなる一
軸配向有機薄膜を製造することができる。
【0096】また、本発明の請求項16における一軸配
向有機薄膜は、前記第2の工程において、波長の等しい
二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交差
しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基板
上へ堆積した有機化合物分子に照射されてなるものであ
るので、有機分子の有する機能の異方性を相殺すること
なく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する方向
に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造することがで
きる。
【0097】本発明の請求項17における一軸配向有機
薄膜は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外
線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の吸収に
異方性を有する有機化合物分子が、基板上に蒸着される
第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つの直線
偏波が基板上に堆積された有機化合物分子に照射され
て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
有する分子だけが電磁波の吸収による化学結合の切断に
よって分解して基板から除去される第2の工程が連続的
に繰り返し行われるあるいは、同時に行われるまたある
いはその両方によって製造されるものであるので、有機
分子の有する機能の異方性を相殺することなく、偏波方
向と遷移双極子モーメントが直交する方向に配向されて
なる一軸配向有機薄膜を製造することができる。
【0098】また、本発明の請求項18における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板と上記有
機化合物分子の相互作用が利用されることによって、基
板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合物分子
が堆積されてなるものであるので、有機分子の有する機
能の異方性を相殺することなく、偏波方向と遷移双極子
モーメントが直交する方向に配向されてなる一軸配向有
機薄膜を製造することができる。
【0099】また、本発明の請求項19における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板に結晶性
基板が用いられることによって、堆積される有機化合物
分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工程に
おいて、基板へ照射される電磁波の偏波方向が、基板上
の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移
双極子モーメントと直交するものであるので、有機分子
の有する機能の異方性を相殺することなく、偏波方向と
遷移双極子モーメントが直交する方向に配向されてなる
一軸配向有機薄膜を製造することができる。
【0100】また、本発明の請求項20における一軸配
向有機薄膜は、前記第2の工程において、波長の等しい
二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交差
しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基板
上へ堆積された有機化合物分子に照射されてなるもので
あるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺するこ
となく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する方
向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造することが
できる。
【0101】本発明の請求項21における一軸配向有機
薄膜は、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外
線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の吸収に
異方性を有する有機化合物A分子が、基板上に蒸着され
る第1の工程、上記電磁波の少なくとも一つの直線偏波
が基板上に堆積された有機化合物A分子に照射されて、
電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを有す
る有機化合物A分子だけが電磁波の吸収により反応し有
機化合物B分子が得られる第2の工程、および基板温度
が上げられ、有機化合物Aと有機化合物Bのうち昇華温
度の低い方が基板から昇華して取り除かれる第3の工程
の三つの工程が連続的に繰り返し行われるあるいは、同
時に行われるまたあるいはその両方によって製造される
ものであるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺
することなく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交
する方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造する
ことができる。
【0102】また、本発明の請求項22における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板と上記有
機化合物A分子の相互作用が利用されることによって、
基板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合物A
分子が堆積されてなるものであるので、有機分子の有す
る機能の異方性を相殺することなく、偏波方向と遷移双
極子モーメントが直交する方向に配向されてなる一軸配
向有機薄膜を製造することができる。
【0103】また、本発明の請求項23における一軸配
向有機薄膜は、前記第1の工程において、基板に結晶性
基板が用いられることによって、堆積される有機化合物
A分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工程
において、基板へ照射される電磁波の偏波方向が、基板
上の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物A分子の
遷移双極子モーメントと直交するものであるので、有機
分子の有する機能の異方性を相殺することなく、偏波方
向と遷移双極子モーメントが直交する方向に配向されて
なる一軸配向有機薄膜を製造することができる。
【0104】また、本発明の請求項24における一軸配
向有機薄膜は、前記第2の工程において、波長の等しい
二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交差
しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基板
上へ堆積された有機化合物A分子に照射されてなるもの
であるので、有機分子の有する機能の異方性を相殺する
ことなく、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する
方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有機薄膜を製造するための装置を示
す説明図である。
【図2】 本発明の薄膜製造時に二本以上の偏光を照射
するばあいの照射方向と偏光面の関係を示す説明図であ
る。
【図3】 本発明の薄膜製造法により製造した一軸配向
有機薄膜の紫外可視偏光吸収スペクトルを示すグラフで
ある。
【図4】 本発明の薄膜製造方法により製造した一軸配
向有機薄膜をクロスニコル状態で観察した偏光顕微鏡写
真である。
【符号の説明】
1 真空槽、2 有機化合物、3 クヌーセンセル、4
基板、5 電磁波、6 電磁波発生源、7 水晶振動
子式膜厚センサー、8 基板温度制御装置、9 真空
窓、10 シャッター、11 直線偏波器。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/203 H01L 21/203 Z 51/00 H05B 33/10 // H05B 33/10 H01L 29/28

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、
    近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の
    吸収に異方性を有する有機化合物分子を、基板上に蒸着
    させる第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つ
    の直線偏波を基板上に堆積した有機化合物分子に照射し
    て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
    有する分子だけを電磁波の吸収による分子運動の活性化
    によって基板から再脱離させる第2の工程を連続的に繰
    り返し行うあるいは、同時に行うまたあるいはその両方
    によって、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交する
    方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造する方
    法。
  2. 【請求項2】 前記第1の工程において、基板と上記有
    機化合物分子の相互作用を利用することによって、基板
    面外方向の分子配向を制御しながら有機化合物分子を堆
    積する請求項1記載の一軸配向有機薄膜製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1の工程において、基板に結晶性
    基板を用いることによって、堆積する有機化合物分子を
    エピタキシャル成長させ、さらに前記第2の工程におい
    て、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基板上の少な
    くとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移双極子
    モーメントと直交させる請求項1記載の一軸配向有機薄
    膜製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の工程において、波長の等しい
    二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面上で交差
    しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基板
    上へ堆積した有機化合物分子に照射する請求項1、2ま
    たは3記載の一軸配向有機薄膜製造方法。
  5. 【請求項5】 X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、
    近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の
    吸収に異方性を有する有機化合物分子を、基板上に蒸着
    させる第1の工程、および上記電磁波の少なくとも一つ
    の直線偏波を基板上に堆積した有機化合物分子に照射し
    て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
    有する分子だけを電磁波の吸収による化学結合の切断に
    よって分解して基板から除去する第2の工程を連続的に
    繰り返し行うあるいは、同時に行うまたあるいはその両
    方によって、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交す
    る方向に配向されてなる一軸配向有機薄膜を製造する方
    法。
  6. 【請求項6】 前記第1の工程において、基板と上記有
    機化合物分子の相互作用を利用することによって、基板
    面外方向の分子配向を制御しながら有機化合物分子を堆
    積する請求項5記載の一軸配向有機薄膜製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1の工程において、基板に結晶性
    基板を用いることによって、堆積する有機化合物分子を
    エピタキシャル成長させ、さらに前記第2の工程におい
    て、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基板上の少な
    くとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移双極子
    モーメントと直交させる請求項5記載の一軸配向有機薄
    膜製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2の工程において、波長の等しい
    二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面上で交差
    しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基板
    上へ堆積した有機化合物分子に照射する請求項5、6ま
    たは7記載の一軸配向有機薄膜製造方法。
  9. 【請求項9】 X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、
    近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁波の
    吸収に異方性を有する有機化合物A分子を、基板上に蒸
    着させる第1の工程、上記電磁波の少なくとも一つの直
    線偏波を基板上に堆積した有機化合物A分子に照射し
    て、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメントを
    有する有機化合物A分子だけを電磁波の吸収により反応
    させて有機化合物B分子を得る第2の工程、および基板
    温度を上げて、有機化合物Aと有機化合物Bのうち昇華
    温度の低い方を基板から昇華して取り除く第3の工程の
    三つの工程を連続的に繰り返し行うあるいは、同時に行
    うまたあるいはその両方によって、偏波方向と遷移双極
    子モーメントが直交する方向に配向してなる有機化合物
    Aあるいは有機化合物Bの一軸配向有機薄膜を製造する
    方法。
  10. 【請求項10】 前記第1の工程において、基板と上記
    有機化合物A分子の相互作用を利用することによって、
    基板面外方向の分子配向を制御しながら有機化合物A分
    子を堆積する請求項9記載の一軸配向有機薄膜製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記第1の工程において、基板に結晶
    性基板を用いることによって、堆積する有機化合物A分
    子をエピタキシャル成長させ、さらに前記第2の工程に
    おいて、基板へ照射する電磁波の偏波方向を、基板上の
    少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物A分子の遷移
    双極子モーメントと直交させる請求項9記載の一軸配向
    有機薄膜製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第2の工程において、波長の等し
    い二つ以上の電磁波の偏波を、電磁波が基板表面上で交
    差しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基
    板上へ堆積した有機化合物A分子に照射する請求項9、
    10または11記載の一軸配向有機薄膜製造方法。
  13. 【請求項13】 X線、真空紫外線、紫外線、可視光
    線、近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁
    波の吸収に異方性を有する有機化合物分子が、基板上に
    蒸着される第1の工程、および上記電磁波の少なくとも
    一つの直線偏波が基板上に堆積した有機化合物分子に照
    射されて、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメ
    ントを有する分子だけが電磁波の吸収による分子運動の
    活性化によって基板から再脱離される第2の工程が連続
    的に繰り返し行われるあるいは、同時に行われるまたあ
    るいはその両方によって製造される、偏波方向と遷移双
    極子モーメントが直交する方向に配向されてなる一軸配
    向有機薄膜。
  14. 【請求項14】 前記第1の工程において、基板と上記
    有機化合物分子の相互作用が利用されることによって、
    基板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合物分
    子が堆積されてなる請求項13記載の一軸配向有機薄
    膜。
  15. 【請求項15】 前記第1の工程において、基板に結晶
    性基板が用いられることによって、堆積される有機化合
    物分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工程
    において、基板へ照射する電磁波の偏波方向が、基板上
    の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷移
    双極子モーメントと直交する請求項13記載の一軸配向
    有機薄膜。
  16. 【請求項16】 前記第2の工程において、波長の等し
    い二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交
    差しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基
    板上へ堆積した有機化合物分子に照射されてなる請求項
    13、14または15記載の一軸配向有機薄膜。
  17. 【請求項17】 X線、真空紫外線、紫外線、可視光
    線、近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁
    波の吸収に異方性を有する有機化合物分子が、基板上に
    蒸着される第1の工程、および上記電磁波の少なくとも
    一つの直線偏波が基板上に堆積された有機化合物分子に
    照射されて、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モー
    メントを有する分子だけが電磁波の吸収による化学結合
    の切断によって分解して基板から除去される第2の工程
    が連続的に繰り返し行われるあるいは、同時に行われる
    またあるいはその両方によって製造される、偏波方向と
    遷移双極子モーメントが直交する方向に配向されてなる
    一軸配向有機薄膜。
  18. 【請求項18】 前記第1の工程において、基板と上記
    有機化合物分子の相互作用が利用されることによって、
    基板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合物分
    子が堆積されてなる請求項17記載の一軸配向有機薄
    膜。
  19. 【請求項19】 前記第1の工程において、基板に結晶
    性基板が用いられることによって、堆積される有機化合
    物分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工程
    において、基板へ照射される電磁波の偏波方向が、基板
    上の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物分子の遷
    移双極子モーメントと直交する請求項17記載の一軸配
    向有機薄膜。
  20. 【請求項20】 前記第2の工程において、波長の等し
    い二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交
    差しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基
    板上へ堆積された有機化合物分子に照射されてなる請求
    項17、18または19記載の一軸配向有機薄膜。
  21. 【請求項21】 X線、真空紫外線、紫外線、可視光
    線、近赤外線、遠赤外線あるいはマイクロ波領域の電磁
    波の吸収に異方性を有する有機化合物A分子が、基板上
    に蒸着される第1の工程、上記電磁波の少なくとも一つ
    の直線偏波が基板上に堆積された有機化合物A分子に照
    射されて、電磁波の偏波方向に平行な遷移双極子モーメ
    ントを有する有機化合物A分子だけが電磁波の吸収によ
    り反応し有機化合物B分子が得られる第2の工程、およ
    び基板温度が上げられ、有機化合物Aと有機化合物Bの
    うち昇華温度の低い方が基板から昇華して取り除かれる
    第3の工程の三つの工程が連続的に繰り返し行われるあ
    るいは、同時に行われるまたあるいはその両方によって
    製造される、偏波方向と遷移双極子モーメントが直交す
    る方向に配向されてなる有機化合物Aあるいは有機化合
    物Bの一軸配向有機薄膜。
  22. 【請求項22】 前記第1の工程において、基板と上記
    有機化合物A分子の相互作用が利用されることによっ
    て、基板面外方向の分子配向が制御されながら有機化合
    物A分子が堆積されてなる請求項21記載の一軸配向有
    機薄膜。
  23. 【請求項23】 前記第1の工程において、基板に結晶
    性基板が用いられることによって、堆積される有機化合
    物A分子がエピタキシャル成長し、さらに前記第2の工
    程において、基板へ照射される電磁波の偏波方向が、基
    板上の少なくとも一つの方向に並んだ有機化合物A分子
    の遷移双極子モーメントと直交する請求項21記載の一
    軸配向有機薄膜。
  24. 【請求項24】 前記第2の工程において、波長の等し
    い二つ以上の電磁波の偏波が、電磁波が基板表面上で交
    差しかつそれらの偏光面が一致するような方向から、基
    板上へ堆積された有機化合物A分子に照射されてなる請
    求項21、22または23記載の一軸配向有機薄膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016143872A1 (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 国立大学法人東京大学 多孔性化合物の単結晶、単結晶の良否判別方法、解析対象化合物を含む溶液の調製方法、結晶構造解析用試料の作製方法、及び解析対象化合物の分子構造決定方法
CN115260057A (zh) * 2022-08-19 2022-11-01 中国科学院大学 一种通过2,5-二硝基噻吩脱硫制备功能化的顺反式二氰基乙烯类化合物的改进方法

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