JPH11196879A - 植物プロモーター - Google Patents
植物プロモーターInfo
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- JPH11196879A JPH11196879A JP10133075A JP13307598A JPH11196879A JP H11196879 A JPH11196879 A JP H11196879A JP 10133075 A JP10133075 A JP 10133075A JP 13307598 A JP13307598 A JP 13307598A JP H11196879 A JPH11196879 A JP H11196879A
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Abstract
させるのに有用な植物プロモーターなどを提供するこ
と。 【解決手段】 配列番号1の塩基配列からなるDNA、
配列番号1の塩基配列において1もしくは複数の塩基が
欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ
植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA、
または、配列番号1の塩基配列からなるDNAとストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物プロ
モーターとして作用する能力を有するDNAを含む植物
プロモーター、それを含有する組換えベクター、それを
含む形質転換体など。
Description
モーター機能を有するDNA、いわゆる植物プロモータ
ーに関する。さらに詳しくは、本発明は、ワタ植物にお
いてワタ繊維などの発現を調節する植物プロモーターに
関する。本発明の植物プロモーターは、真核生物または
原核生物のいずれにおいても、外来遺伝子の発現を調節
することが可能である。
mRNA合成を開始するDNA上のシグナルであり、特
徴的な塩基の共通配列を有する。特に、真核生物におい
ては、転写開始点の20塩基前後上流に、「TATAボ
ックス」と呼ばれる共通配列があり、転写開始に必要な
部位であると考えられている。そして、目的のタンパク
を大量に産生させるためには、より強力なプロモーター
を用いることが有利であると考えられている。一般に、
植物ではその活性が強いことから、カリフラワーモザイ
クウイルス(CaMV)の35Sプロモーターがよく利用
されており、実際、除草剤耐性植物やウイルス抵抗性植
物の作出に用いられている。しかし、35Sプロモータ
ーは、組織特異性が低いので、組織特異性が要求される
用途には適していない。これまで、組織特異性を有する
植物プロモーターとして、シス因子、トランス因子の研
究が行われているが、組織特異性を有する植物プロモー
ターを用いると、所望の植物器官において、導入した遺
伝子の発現を調節することが可能な形質転換植物体を作
出することができる。
属に属するワタ植物を栽培し、得られたさく果(コット
ンボール)から採取することにより生産されている。ワ
タ繊維は、様々な物性(以下「繊維特性」という)によっ
て特徴付けられるが、その中でも特に重要なものとし
て、繊維長、繊度、強度などが挙げられる。従来から、
ワタの繊維特性を改善するために多大な努力がなされて
きた。今日、遺伝子工学の発展により、ワタ植物を形質
転換して、その繊維特性を変化させることが可能となっ
てきている。その際、目的遺伝子を所望の組織および時
期に発現させることは非常に重要なことである。しか
し、ワタ繊維の形成および伸長機構は充分に解明されて
おらず、関与する遺伝子やプロモーターについても充分
に知られていないのが現状である。目的遺伝子を所望の
組織または時期に発現させるには、CaMV35Sプロ
モーターのように常に発現しているものではなく、より
組織特異的または時期特異的なプロモーターを用いるこ
とが望ましい。特にワタ繊維の改良には、こうしたプロ
モーターが必要不可欠である。
ものであり、一本の繊維は一個の細胞から構成されてい
る。ワタ繊維は、成長開始、伸長、二次壁沈着、成熟の
段階を経て形成される。これまでにいくつかのワタ由来
のプロモーターが発見され、繊維特性を改善するのに有
用であると報告され(国際出願公開第WO94/12014号)、例
えば、E6プロモーターまたはB8プロモーターが開示
されている。特に、E6構造遺伝子について詳しく研究
されており、E6mRNAは、開花後15日目以降に繊
維で強く発現していることが示されている。また、様々
な組織のmRNAにE6cDNA由来のプローブを用い
て、ノーザンブロティングをロングエクスポーズする
と、花や胚珠、葉において弱いシグナルが得られている
[プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンシズ・オブ・ユー・エス・エイ(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA)89,5769-5773,1992の図1参
照]。さらに、FbL2Aプロモーターは、開花後25
〜30日目に繊維で強く発現することが示されている
[プラント・フィジオロジー(Plant Physiol.)(1996)11
2:1331-1341]。また、プロモーターの強さや作用する時
期などは、各々のプロモーターによって、様々に異なっ
ていることが知られている。しかし、開花後15日目以
降はワタの繊維形成において伸長の後半期にあたり、繊
維特性の改善には、これらのプロモーターだけでは充分
ではなく、開花直後から15日目までに作用するプロモ
ーターも必要である。また、繊維以外の組織でも作用す
る、いわゆる組織特異性の低いプロモーターであって
も、有用なものになると考えられる。
ワタの繊維特性を改善するのに有用なプロモーター、該
プロモーターを含有する組換えベクター、該組換えベク
ターを含む形質転換体などを提供することにある。さら
なる目的は、ワタ以外の植物においても、目的遺伝子を
所望の組織または器官で発現させて、形質転換植物体を
提供することにある。
ワタの繊維特性を改善あるいは生産性を向上させるため
に鋭意研究して、ワタ繊維よりいくつかのcDNAを単
離した(米国特許出願第08/391,696号、第08/580,545
号、特願平8-31987号)。これらの単離したcDNAの組
織特異的および時期特異的な発現を調べ、さらに、特に
遺伝子Gh3の上流配列をクローニングし、解析した結
果、ワタの繊維特性を改善あるいは生産性を向上させる
のに有用な植物プロモーターを見い出し、本発明を完成
するに至った。
たは(c)のDNAを含む植物プロモーターを提供する。 (a)配列番号1の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ植
物プロモーターとして作用する能力を有するDNA (c)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェント
な条件下でハイブリダイズし、かつ植物プロモーターと
して作用する能力を有するDNA
ベクターに挿入した植物発現ベクター、該植物発現ベク
ターを宿主植物細胞に導入した形質転換植物細胞、該形
質転換植物細胞から再生された形質転換植物体、該形質
転換植物体から得られた植物種子、上記植物プロモータ
ーを挿入した植物発現ベクターを宿主植物細胞に導入し
て形質転換植物細胞を得て、該形質転換植物細胞から形
質転換植物体を再生し、得られた形質転換植物体から植
物種子を得て、該種子から植物体を生産することを特徴
とする植物体の製造法を提供する。
からなるDNAを含む植物プロモーターを挿入した植物
発現ベクターを宿主ワタ植物細胞に導入して形質転換ワ
タ植物細胞を得て、該形質転換ワタ植物細胞から形質転
換ワタ植物体を再生し、得られた形質転換ワタ植物体か
らワタ植物種子を得て、該ワタ植物種子からワタ植物体
を生産することを特徴とするワタ植物体の製造法を提供
する。
は、植物においてプロモーターとして作用する能力(プ
ロモーター機能)を有するDNAのことである。「プロ
モーター」とは、DNAを鋳型としてmRNA合成(転
写)を開始するDNA上の特定塩基配列を意味し、塩基
の共通配列を有し、これを認識してmRNAを合成する
酵素(RNAポリメラーゼ)がmRNAを合成する。ここ
で、「プロモーター機能」とは、RNAポリメラーゼが
DNA上の特異的な領域に結合し、転写開始する作用を
いう。
は、以下の(a)、(b)または(c)のDNAを含む。 (a)配列番号1の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ植
物プロモーターとして作用する能力を有するDNA (c)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェント
な条件下でハイブリダイズし、かつ植物プロモーターと
して作用する能力を有するDNA
を得るために、アシルキャリアープロテイン遺伝子に対
し相同性を有するワタ繊維で発現する遺伝子Gh3の上
流領域をクローニングした。様々な組織のmRNAにG
h3cDNA由来のプローブを用いてノーザンブロッテ
ィングしたところ、Gh3は、開花後2日目から胚珠で
シグナル(転写産物)が認められ、開花後6〜8日目にピ
ークとなった。繊維と比べて、子葉、根、茎、葉、繊維
を取り除いた胚珠では、ほとんどシグナル(転写産物)が
認められなかった。しかし、Gh3遺伝子の上流領域を
レポーター遺伝子であるGUS遺伝子と連結したキメラ
遺伝子構築物を作成し、それを導入した形質転換ワタで
は、繊維でGUS活性が認められたほか、花柱、葯、花
弁、葉でもGUS活性が認められた。ノーザンブロッテ
ィングとプロモーター:GUS遺伝子構築物を導入した
形質転換体での発現パターンとの違いは、Gh3遺伝子
の転写後の修飾が考えられる。また、組織特異性を調節
する領域が、さらに上流に存在する可能性も考えられ
る。
属するワタ植物由来の遺伝子Gh3の上流領域は、繊維
形成・伸長時のワタ繊維組織だけでなく、花柱や葯など
の初期成長(ヤングディヴェロッピング)組織でもプロモ
ーター機能を示す植物プロモーターであり、その塩基配
列を決定したところ、配列番号1の塩基配列を有するこ
とが判明した。以下、この植物プロモーターを、特に
「Gh10」と呼ぶことがある。
の塩基配列からなるDNAだけでなく、配列番号1の塩
基配列において1もしくは複数の塩基が欠失、置換もし
くは付加された塩基配列からなり、かつ植物プロモータ
ーとして作用する能力を有するDNA、また、配列番号
1の塩基配列において、その3'末端に翻訳効率を上げ
る塩基配列などを付加したものや、プロモーター活性を
失うことなく、その5'末端を欠失したものを含む。
列番号1の塩基配列からなるDNAとストリンジェント
な条件下でハイブリダイズし、かつ植物プロモーターと
して作用する能力を有するDNAを含む。ここで、スト
リンジェントな条件とは、2xSSC(300mM Na
Cl、30mMクエン酸)、42℃である。
植物プロモーターをベクターに挿入したものである。ベ
クターとしては、大腸菌由来のベクター、例えば、pG
EM−Tベクター、β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝
子を含むプラスミド、pBI101−Hm2、シャトル
ベクター、ヘルパープラスミド、pRK2013などが
挙げられる。また、植物ウイルス、例えば、カリフラワ
ーモザイクウイルスを利用することもできる。ベクター
は、各々の宿主細胞に応じて選択する。なお、植物プロ
モーターをベクターに挿入する方法は、通常の遺伝子を
ベクターに挿入する方法に従う。
植物発現ベクターを宿主植物細胞に導入した形質転換植
物細胞である。宿主植物細胞としては、シロイヌナズ
ナ、トマト、タバコ、ペチュニア、コムギ、イネ、トウ
モロコシ、カボチャ、キュウリ、ワタなどが挙げられ
る。植物発現ベクターを宿主植物細胞に導入する形質転
換法としては、エレクトロポレーション法、プロトプラ
スト融合法、マイクロインジェクション法、ポリエチレ
ングリコール法、パーティクルガン法などが挙げられ
る。
質転換植物細胞から再生された形質転換植物体である。
再生方法としては、カルス状の形質転換細胞をホルモン
の種類、濃度を変えた培地へ移して培養し、不定胚を形
成させ、完全な植物体を得る方法がある。使用する培地
としては、ワタでは、MSIC培地(MS塩、0.75%
MgCl2、1.9g/l KNO3、30g/lグルコー
ス、2.0g/lジェランガム、pH5.8)、ニンジンで
は、カマダ・アンド・ハラダ(Kamada & Ha
rada)培地などが例示される。
記植物プロモーターを挿入した植物発現ベクターを宿主
細胞に導入して形質転換植物細胞を得て、該形質転換植
物細胞から形質転換植物体を再生し、得られた形質転換
植物体から植物種子を得て、該植物種子から植物体を生
産する工程を含む。
は、例えば、形質転換植物体を発根培地から採取し、水
を含んだ土を入れたポットに移植し、一定温度下で生育
させて、花を形成させ、最終的に種子を形成させる工程
という。また、種子から植物体を生産する工程とは、例
えば、形質転換植物体上で形成された種子が成熟したと
ころで、単離して、水を含んだ土に播種し、一定温度、
照度下で生育させることにより、植物体を生産する工程
をいう。
下のようにして製造し、利用することができる。
遺伝子のプロモーター領域の単離 ワタ繊維から得られた組織特異的遺伝子Gh3の塩基配
列から合成オリゴヌクレオチドを調製し、インバースP
CR法を行う。ワタ繊維からゲノムDNAを抽出した
後、制限酵素EcoRIで切断し、自己連結させた後、
PCRの鋳型として用いる。第一プライマー群を用いて
PCRを行った後、反応産物をさらに第二プライマー群
を用いてPCRを行い、上流領域をクローニングする。
ローンを得た後、TAクローニングベクターにサブクロ
ーニングして、配列決定を行う。得られたPCR断片の
塩基配列の一部がGh3の塩基配列と完全に一致するこ
とから、Gh3の上流の存在する植物プロモーターと判
断する。
子のプロモーター領域の利用 上記方法で得た植物プロモーターを、ワタ植物またはそ
の他の植物において、キメラ遺伝子構築物を作成し、繊
維形成および伸長に関与するタンパクの発現制御に利用
することができる。さらに、シグナルペプチドをコード
するDNA配列と組み合わせると、細胞壁での各種タン
パクの発現による細胞壁成分の改変が可能となり、耐病
性などを付与した新規植物の育種にも応用できる。
伝子を本発明の植物プロモーターに接続して、ワタ植物
またはその他の植物に導入すると、目的タンパクの含量
を増大させることができる。これに対し、マイナス鎖
(コード配列に相補的な配列)の少なくとも一部を逆向き
に植物プロモーターに接続したものを植物に導入し、い
わゆるアンチセンスRNAを発現させると、目的タンパ
クの含量を低下させることができる。
と宿主植物細胞の形質転換 植物細胞の形質転換方法としては、プロトプラストに電
気パルス処理してプラスミドを植物細胞へ導入するエレ
クトロポレーション法や、小細胞、細胞、リソソームな
どとプロトプラストとの融合法、マイクロインジェクシ
ョン法、ポリエチレングリコール法、あるいは、パーテ
ィクルガン法などの方法が挙げられる。
することによって、目的遺伝子を植物体に導入すること
ができる。利用可能な植物ウイルスとしては、例えば、
カリフラワーモザイクウイルスが挙げられる。すなわ
ち、まず、ウイルスゲノムを大腸菌由来のベクターなど
に挿入して組換え体を調製した後、ウイルスのゲノム中
に、これらの目的遺伝子を挿入する。このようにして修
飾されたウイルスゲノムを制限酵素によって該組換え体
から切り出し、植物体に接種することによって、これら
の目的遺伝子を植物体に導入することができる[ホーン
(Hohn)ら、モレキュラー・バイオロジー・オブ・プラン
ト・チューモアーズ(Molecular Biology of Plant Tumo
rs)、アカデミック・プレス、ニューヨーク、549-560(1
982)、米国特許第4,407,956号]。
ミドを利用する方法がある。アグロバクテリウム(Agrob
acterium)属に属する細菌が植物に感染すると、それが
有するプラスミドDNAの一部を植物ゲノム中に移行さ
せるという性質を利用して、目的遺伝子を植物体に導入
することができる。アグロバクテリウム属に属する細菌
のうちアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobac
terium tumefaciens)は植物に感染してクラウンゴール
と呼ばれる腫瘍を形成し、アグロバクテリウム・リゾゲ
ネス(Agrobacteriumu rhizogenes)は植物に感染して毛
状根を発生させる。これらは、感染の際にTiプラスミ
ドまたはRiプラスミドと呼ばれる各々の細菌中に存在
するプラスミド上のT−DNA領域(Transferred DNA)
と呼ばれる領域が植物中に移行し、植物のゲノム中に組
み込まれることに起因する。さらに、TiまたはRiプ
ラスミド上には、vir領域と呼ばれる領域があり、T
−DNA領域が植物中に移行し、植物のゲノム中に組み
込まれるのに必須である。vir領域自体は、植物中に
移行することはなく、また、T−DNA領域が存在する
プラスミドとは別のプラスミド上にあっても機能しうる
[ネイチャー(Nature)303,179(1983)]。
領域中に、植物ゲノム中に組み込みたいDNAを挿入し
ておけば、アグロバクテリウム属の細菌が植物体に感染
する際に目的とするDNAを植物ゲノム中に組込むこと
ができる。ここで、TiまたはRiプラスミドのT−D
NA中のクラウンゴールまたは毛状根を発生させる部分
を、目的とする移行機能を損なうことなく取り除き、得
られたものをベクターとして使用することもできる。
クターを用いることができる。例えば、バイナリーベク
ターと呼ばれるpBI101(クロンテック社)などのベ
クターに、本発明の植物プロモーターに繊維形成および
伸長に関与する遺伝子をセンスまたはアンチセンス方向
で接続したものを挿入して、これらを植物細胞に導入す
ることができる。なお、これらのベクターは、上記のv
ir領域を有していないので、該ベクターを導入して用
いるアグロバクテリウム属の細菌は、vir領域を含む
他のプラスミドを有する必要がある。
リウム属の細菌だけではなく、大腸菌においても増幅す
ることができるシャトルベクターである。従って、Ti
プラスミドの組換え操作は、大腸菌を用いて行うことが
できる。また、これらのベクターは、抗生物質耐性遺伝
子を含んでおり、大腸菌、アグロバクテリウム属の細菌
または植物細胞などを形質転換する際に、形質転換体を
容易に選別することができる。さらに、これらのベクタ
ーには、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の3
5Sプロモーターが存在しており、これらのベクターに
目的遺伝子を挿入して植物ゲノム中に組み込んだ後、非
調節的に発現させることが可能となる。
ついて、アグロバクテリウムによる目的遺伝子の導入お
よび形質転換植物細胞の植物体への再生法を以下に詳述
する。
し、無菌的に栽培する。発根した胚軸の切片を用いてカ
ルス培養を行う。本発明の植物プロモーターに目的遺伝
子を接続し、抗生物質耐性遺伝子を有するプラスミドに
より形質転換したアグロバクテリウムを培養し、カルス
化した胚軸の切片と共存培養する。アグロバクテリウム
が肉眼で観察できるまで充分に増殖したら、除菌操作を
行う。形質転換した切片は増殖を続け、カルスが現れて
くる。抗生物質で選択しているので、非形質転換切片は
褐変する。形質転換体が5cm程度の大きさになり、シ
ュートを形成するまで培養する。完全なシュートの形状
を示すようになったら、発根プレートに移植し、発根
後、ロックウール上に定植する。
に移植して種子を得る。この種子を滅菌処理し、発芽さ
せることにより形質転換体を得る。この形質転換体から
常法に従ってDNAを抽出し、このDNAを適当な制限
酵素で切断し、繊維形成および伸長に関与する遺伝子を
プローブに用いてサザーンハイブリダイゼーションを行
い、形質転換の有無を確認する。
ウムによる目的遺伝子の導入および形質転換植物細胞の
植物体への再生法を以下に詳述する。
inder)らの方法[セオレティカル・アンド・アプライド
・ジェネティクス(Theor. Appl. Genet.)(1992)83:645-
649]で行うことができる。具体的には、まず、ワタ種子
を殺菌した後、発芽させる。その胚軸をアグロバクテリ
ウムに感染させ、培養を続ければ、数カ月でカルスが得
られる。さらに生育させて直径1cm程度になれば、懸
濁培養を行う。胚を約1cmに成熟させた後、培養チュ
ーブで発育させる。ある程度まで生育させた後、土壌に
移植すれば、最終的に複数個の形質転換ワタ植物体が得
られる。得られた形質転換体について、ゲノムDNAを
PCR法で確認することで、目的遺伝子が導入されてい
るかどうかを調べることができる。
換体からRNAを抽出し、繊維形成および伸長に関与す
る遺伝子のセンス配列またはアンチセンス配列を有する
プローブを作成し、これらのプローブを用いてノーザン
ハイブリザイゼーションを行ない、目的遺伝子の発現の
状態を調べることができる。
ーの強さの評価 本発明の植物プロモーターは、例えば、その3'末端に
レポーター遺伝子、例えば、植物で広く用いられている
GUS遺伝子を連結して用いれば、GUS活性を調べる
ことでプロモーターの強さを簡単に評価することができ
る。なお、レポーター遺伝子としては、GUS遺伝子以
外にも、ルシフェラーゼ、グリーンフルオレセイントプ
ロテインなども用いることができる。
は、ワタ繊維細胞において、ワタ繊維形成過程で発現し
繊維伸長に関与するので、その塩基配列の上流領域など
を用いることで、ワタ繊維の伸長に関与する転写因子な
どが同定される可能性がある。従って、本発明の植物プ
ロモーターは、ワタ繊維形成および伸長に関与するプロ
モーターであり、繊維形成および伸長を誘導する技術の
確立、繊維伸長に関与するシス因子やトランス因子の単
離、繊維形成および伸長のメカニズムの解明またはそれ
を調節する遺伝子の単離に利用することができ、細胞形
成および伸長に関する技術分野において極めて有用であ
る。また、初期成長組織で発現を示すことより、初期成
長組織で目的遺伝子をセンス方向やアンチセンス方向で
発現させることにより、期待する変化を得ることができ
る。
維形成および伸長に関与するタンパクをコードする塩基
配列と連結したキメラ遺伝子を作成し、特定の組織の植
物細胞壁の構造を変化させることができ、産業分野で用
いられる植物原料の加工に有用である。また、一般にC
aMV35Sプロモーターを用いることによって、植物
の器官全体に生活環の全過程を通して形態変化をもたら
すことができる。光、熱、傷害などに対する調節性プロ
モーターを用いれば、生育環境に応じて、その形態が変
化しうる植物体を作製することができる。また、器官ま
たは組織に特異的なプロモーターを用いれば、特定の器
官または組織だけに形態変化を生じさせることができ
る。つまり、本発明のプロモーターを用いることによっ
て、繊維の形成を制御し繊維特性の変化をもたらすこと
ができる。また、初期成長組織においても適用できる。
より、特定の植物組織で特異的に目的遺伝子を発現させ
ることができる。特に植物の初期成長組織やワタ繊維で
目的遺伝子を発現させることができる。例えば、本発明
の植物プロモーターを用い、特定の遺伝子をワタ繊維で
発現させることにより、ワタ繊維の繊維長、繊度、強度
などの繊維特性の改善および生産性の向上を行うことが
可能となる。換言すれば、本発明の植物プロモーターを
利用することにより、より優れた繊維特性を有し、かつ
生産性の高い新規なワタ品種を作出することができる。
する。
10)のクローニング ゴシピウム属(Gossypium)に属するワタ植物(コーカー3
12)を播種した後、100日目の植物体の葉から、マ
ーレイ(Murray)およびトンプソン(Thompson)の改良法で
ゲノムDNAを抽出し、インバースPCR法でゲノムD
NAのクローニングを行った。
coRIで切断した後、T4ライゲースで自己連結させ
た。連結したDNA500μgを鋳型にしてTaqDN
Aポリメラーゼを用いて、Gh3遺伝子の上流領域(以
下「Gh10」という)を増幅した。この反応は、配列
番号2および3の塩基配列を有する第一プライマー群を
用い、98℃、30秒間および68℃、6分間を35サ
イクル実施した。次に、このPCR産物を用いて、配列
番号4および5の塩基配列を有する第二プライマー群を
用いて、同様の条件でPCRを行った。このPCR産物
を電気泳動に付して量および長さを確認し、得られたD
NA断片をベクターpGEM−T(プロメガ社)に導入
し、大腸菌(Escherichia coli)JM109を形質転換し
てクローニングした。こうして得られたプラスミドクロ
ーンをpGh10と命名した。その後、シーケネースシ
ークエンスキット(アマシャム社)を用いて、pGh10
の塩基配列を決定した。この塩基配列はプライマーの配
列よりcDNAと全て一致し、cDNAに対応するゲノ
ム領域であることが確認できた。この塩基配列を配列番
号1に示す。
との融合 NcoI制限酵素部位を有する3'末端のプライマー
(5'-GCAATAGAAGCCATGGGAGAGAG-3')を合成した。この
プライマーとT7プライマーを用いて、1069bpの
断片をPCRで増幅した。この断片を制限酵素部位を用
いてpGEM−Tベクターにサブクローニングした。サ
ブクローニングされたものから制限酵素PstIおよび
NcoIで切断して断片を取り出し、GUSレポーター
遺伝子および35Sターミネーターに連結した。正しく
連結されたプラスミドをpGh10:GUSと命名し
た。
Sを制限酵素PstIで切断し、電気泳動後、断片をバ
イナリーベクターpCGN1578のPstI制限酵素
部位に挿入して、新規なプラスミドpCGN−Gh1
0:GUSを得た。その概略を図1に示す。次に、この
プラスミドpCGN−Gh10:GUSで大腸菌JM1
09を形質転換して、大腸菌JM109/pCGN−G
h10:GUSを得た。
導入 (2)で得られた大腸菌JM109/pCGN−GGh1
0:GUSと、ヘルパープラスミドpRK2013を有
する大腸菌とを、各々、50mg/lのカナマイシンを
含むLB培地で、37℃で一晩培養した。別途、アグロ
バクテリウムEHA101株を50mg/lのカナマイ
シンを含むLB培地で37℃で二晩培養した。
ーブに取り、集菌した後、LB培地で洗浄した。これら
の菌体を1mlのLB培地に懸濁後、三種の菌を100
μlずつ混合し、LB寒天培地にプレートし、28℃で
培養して両方のプラスミドをアグロバクテリウムに接合
伝達させた。1〜2日後に一部を白金耳で掻き取り、5
0mg/lカナマイシン、20mg/lハイグロマイシン
および25mg/lクロラムフェニコールを含むLB寒
天培地上に塗布した。28℃で2日間培養後、単一コロ
ニーを選択した。得られた形質転換体をEHA101/
pCGN−GGh10:GUSと命名した。
0:GUSを用いて、ワタ植物(コーカー312)を形質
転換した。形質転換法としては、エヌ・トロリンダー
(N. Trolinder)らの方法[セオレティカル・アンド・ア
プライド・ジェネティクス(Theor. Appl. Genet.(1992)
83:645-649)]を用いた。コーカー312の種子を3%次
亜塩素酸ナトリウム水溶液で20分殺菌した後、セファ
トキシム入りの滅菌水で3回洗浄した。次にスチュワー
ト(Stewart)培地で6日間発芽させた。その胚軸を5m
mほどに切断し、一晩培養したアグロバクテリウムを約
10μl感染させ、0.8%アガロース培地上に置き、
常温で暗所に3日間放置した。次に、この胚軸をB5ビ
タミン、30g/lグルコース、0.1mg/ml 2,4
D、0.5mg/lカイネチン、1.6mg/mlゲルライ
ト(ケルコ社製)、750μg/ml塩化マグネシウムを
含むMS培地で、30℃、3日間前培養した。抗生物質
は50μg/lカナマイシン、500μg/lセファタキ
シムを用いた。この後、植え継ぎは4週間毎に行った。
ように行った。得られたコーカー312のカルスが直径
約1cm程度になった後で懸濁培養液に移した。培地は
カルスイニシエーション培地と同じ組成であるが、ホル
モンとゲル化剤を含まないものを使った。10mlの懸
濁培養液には約100mgのカルスを用いた。培養は1
20rpm、30℃、照明下で行った。植え継ぎは約1
カ月毎に行った。細胞懸濁培養液のプレーティングを行
い、胚の発達は半固体の培地の上で行った。
上になった成熟した胚を用いて、25×150mmの培
養チューブ内で培養した。培養チューブには、0.1m
g/lのIAA入りスチュワート・アンド・シュー(Stew
art and Hsu)培地を含浸したバーミキュライトを満たし
た。胚は、90μEm-2g-1の光照射下、28℃で培養
した。発芽およびシュート形成時には、新鮮な培地をバ
ーミキュライトに補給した。最終的に複数個の形質転換
ワタ植物体が得られた。このうち形質転換ワタ植物体#
3−5、#4−1、#4−3、#4−9、#4−8につ
いて、遺伝子が導入されているかどうか、ゲノムDNA
をPCR法で確認したところ、図2に示すように、明ら
かに導入されていることを示すDNA断片が得られた。
り取り、切片を数mlの固定液(0.03%ホルマリン、
10mM MES(pH5.6)、0.3Mマンニトール)に
室温で45分間浸した。次に50mMリン酸バッファー
(pH7.0)で数回洗浄した。切片をGUS染色液(50
mMリン酸バッファー、0.5Mフェリシアン化カリウ
ム、0.5Mフェロシアン化カリウム、1mM X−Gl
uc)に浸し、真空装置で吸引して溶液を試料内部まで
よく染み込ませ、37℃で一晩インキュベートした。ク
ロロフィルを除くため、5%ホルマリンに10分間浸し
た後、5%酢酸に10分間、50%エタノールに10分
間、100%エタノールに10時間浸した。青く染まっ
た組織を顕微鏡で観察したところ、形質転換ワタ植物体
においてプロモーター活性が認められた。図3に示すよ
うに、開花後2日目の繊維(左)は染色されたが、野生型
ワタ(右)は染色されなかった。図4に示すように、開花
後12日目の繊維(右)も染色されたが、野生型ワタ(左)
は染色されなかった。また、図5に示すように、花柱
(右)も染色されたが、野生型ワタ(左)は染色されなかっ
た。さらに、図6に示すように、葯(左)も染色された
が、野生型ワタ(右)は染色されなかった。
に示すように、形質転換ワタ植物体#4−8および#4
−9において発育中の胚珠で強いGUS活性が認められ
た。次に、様々な組織においてGUS活性を測定したと
ころ、図8に示すように、花柱や葯に加えて、葉や花弁
でも活性が認められた。
は、ワタ植物の繊維、花弁、葯、花柱および葉において
プロモータ機能を有することが明らかである。
31
遺伝子がGh10プロモーターに連結されたpGh1
0:GUSキメラ遺伝子構築物の概念図である。この遺
伝子構築物は、アグロバクテリウム感染による遺伝子組
換えワタ植物の作出に用いられた。
ワタ植物体のゲノムDNAを用いたPCR法による分析
の結果を示すバンド図である。
図(生物の形態を表す図面代用写真)である。
す図(生物の形態を表す図面代用写真)である。
を表す図面代用写真)である。
表す図面代用写真)である。
光定量分析の結果を示す棒グラフ図である。ここで、
「DPA」という用語は開花後の日数(days post-anthe
sis)の略であり、例えば、「4DPA」は開花後4日目
を表す。
現の蛍光定量分析の結果を示す棒グラフ図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 以下の(a)、(b)または(c)のDNAを
含む植物プロモーター。 (a)配列番号1の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ植
物プロモーターとして作用する能力を有するDNA (c)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェント
な条件下でハイブリダイズし、かつ植物プロモーターと
して作用する能力を有するDNA - 【請求項2】 請求項1記載の植物プロモーターをベク
ターに挿入した植物発現ベクター。 - 【請求項3】 請求項2記載の植物発現ベクターを宿主
植物細胞に導入した形質転換植物細胞。 - 【請求項4】 請求項3記載の形質転換植物細胞から再
生された形質転換植物体。 - 【請求項5】 請求項4記載の形質転換植物体から得ら
れた植物種子。 - 【請求項6】 請求項1記載の植物プロモーターを挿入
した植物発現ベクターを宿主植物細胞に導入して形質転
換植物細胞を得て、該形質転換植物細胞から形質転換植
物体を再生し、得られた形質転換植物体から植物種子を
得て、該植物種子から植物体を生産することを特徴とす
る植物体の製造法。 - 【請求項7】 配列番号1の塩基配列からなるDNAを
含む植物プロモーターを挿入した植物発現ベクターを宿
主ワタ植物細胞に導入して形質転換ワタ植物細胞を得
て、該形質転換ワタ植物細胞から形質転換ワタ植物体を
再生し、得られた形質転換ワタ植物体からワタ植物種子
を得て、該ワタ植物種子からワタ植物体を生産すること
を特徴とするワタ植物体の製造法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/009443 | 1998-01-20 | ||
US09/009,443 US6259003B1 (en) | 1997-01-21 | 1998-01-20 | Cotton plant promoters |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11196879A true JPH11196879A (ja) | 1999-07-27 |
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ID=21737684
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13307598A Expired - Fee Related JP4118385B2 (ja) | 1998-01-20 | 1998-05-15 | 植物プロモーター |
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JP (1) | JP4118385B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021122798A (ja) * | 2020-02-06 | 2021-08-30 | 株式会社荏原製作所 | ガス溶解液製造装置 |
-
1998
- 1998-05-15 JP JP13307598A patent/JP4118385B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021122798A (ja) * | 2020-02-06 | 2021-08-30 | 株式会社荏原製作所 | ガス溶解液製造装置 |
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