JPH11194527A - 電子写真用トナー - Google Patents

電子写真用トナー

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JPH11194527A
JPH11194527A JP36777597A JP36777597A JPH11194527A JP H11194527 A JPH11194527 A JP H11194527A JP 36777597 A JP36777597 A JP 36777597A JP 36777597 A JP36777597 A JP 36777597A JP H11194527 A JPH11194527 A JP H11194527A
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JP
Japan
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toner
titanium oxide
oxide fine
fine particles
particles
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JP36777597A
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English (en)
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Hagumu Iida
育 飯田
Makoto Kanbayashi
誠 神林
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Canon Inc
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動性、帯電安定性、OHP透過性、環境安
定性に優れたトナーであって、カブリのない、画像濃度
の高い、細線再現性、ハイライト部の階調性に優れた鮮
明な画像が得られ、耐久安定性にも優れる電子写真用ト
ナーの提供。 【解決手段】 X線回折の2θ=20.0〜40.0deg.の範囲に
おける最大強度と最小強度との比が、5.0≦(Imax./I
min.)≦12.0の範囲にあり、且つ、BET比表面積が1
00〜350m2/gで、嵩が5〜20cc/gである酸化チタ
ン微粒子と、重量平均粒径が3〜9μmであって、4μm
以下の粒径のトナー粒子を5〜70個数%、8μm以上の
粒子を1〜65体積%含有し、更に、4μm以下の粒径の
トナー粒子の個数%をN、体積%をVとした場合に、N
/V=−0.05N+k(k=3.0〜20.0)の関
係を有するトナー粒子とからなる電子写真用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真、静電記
録、静電印刷等における静電荷像を現像するための乾式
の電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】静電手段によって光導電材料の表面に潜
像を形成し、トナーにより現像することは従来周知であ
り。例えば、米国特許第2,297,691号明細書、
特公昭42−23910号公報及び特公昭43−247
48号公報に記載の方法等、多数の方法が知られてい
る。一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段によ
り感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像上に、
トナーと呼ばれる極く微細に粉砕された検電材料を付着
させることによって、静電潜像に相当するトナー像を形
成して可視化し、次いで、該トナー像を紙の如き画像形
成部材の表面に転写した後、加熱、加圧或いは溶剤蒸気
等によって永久的に定着して、画像形成が行なわれる。
従来より、この定着工程は熱によるものが多く採用され
ている。更に、トナー画像を転写する工程を有する場合
には、通常、感光体上に転写されずに残った残余のトナ
ーを除去するためのクリーニング工程が設けられる。
【0003】上記のような画像形成方法において、電気
的潜像をトナーを用いて可視化する現像方法としては、
例えば、米国特許第2,221,776号明細書に記載
されている粉末雲法、米国特許第2,618,552号
明細書に記載されているカスケード現像法、米国特許第
2,874,063号明細書に記載されている磁気ブラ
シ法、及び米国特許第3,909,258号明細書に記
載されている導電性磁性トナーを用いる方法等が知られ
ている。
【0004】又、これらの現像法に適用されるトナーと
しては、一般には、熱可塑性樹脂に着色剤を混合分散し
て混練物を得、該混練物を微粉化した後、分級した着色
剤含有樹脂粒子が用いられる。上記熱可塑性樹脂として
は、ポリスチレン系樹脂が最も一般的であるが、ポリエ
ステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレ
タン系樹脂等も用いられている。着色剤としては、カー
ボンブラックが最も広く使用され、又、磁性トナーとす
る場合には、酸化鉄系の黒色の磁性粉が多く用いられ
る。更に、現像過程において、所謂、二成分系現像剤を
用いる方式の場合には、トナーは、通常、ガラスビー
ズ、鉄粉、フェライト粉等のキャリア粒子と混合して用
いられる。
【0005】近年、上記した画像形成方法を利用した複
写機等において、モノカラー複写からフルカラー複写へ
の展開が急速に進み、2色カラー複写機やフルカラー複
写機に対する検討、或いはこれらの実用化が多くなされ
ている。例えば、「電子写真学会誌」Vol.22,N
o.1(1983)や「電子写真学会誌」Vol.2
5,No.1,P52(1986)に、色再現性や階調
再現性の報告がある。しかしながら、テレビ、写真、カ
ラー印刷物のように、実物に近いと直ちに対比されるこ
とはなく、又、実物よりも美しく加工されたカラー画像
を見なれた人々にとっては、現在実用化されているフル
カラー電子写真画像は必ずしも満足しうるものとはなっ
ていない。
【0006】フルカラー電子写真法によるカラー画像形
成は、一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、シアン
の3色のカラートナーを用いて全ての色の再現を行うも
のである。その方法は、先ず、原稿からの光を、トナー
の色と補色の関係にある色分解光透過フィルターを通し
て光導電層上に静電潜像を形成させ、次いで、現像、転
写工程を経てトナーを画像形成部材に保持させる。そし
て、この工程を順次複数回行い、レジストレーションを
合わせつつ、同一画像形成部材上にトナーを重ね合わせ
た後、一回の定着によって最終のフルカラー画像を得て
いる。
【0007】一般に、トナーとキャリアとからなる現像
剤を用いる、所謂、二成分系の現像方式の場合には、キ
ャリアとの摩擦によってトナーを所要の帯電量及び帯電
極性に帯電せしめ、該帯電されたトナーによって静電引
力を利用して静電荷潜像を現像して可視像化する。従っ
て、良好な可視画像を得るためには、主として、キャリ
アとの関係によって定まるトナーの摩擦帯電性が良好で
あることが要求される。
【0008】今日、上記のような問題に対して、キャリ
アコア剤、キャリアコート剤の探索や、コート量の最適
化、或いはトナーに加える電荷制御剤、流動性付与剤の
検討、更には、母体となるバインダー樹脂の改良等、現
像剤を構成するあらゆる材料について、優れた摩擦帯電
性を達成すべく多くの研究がなされている。例えば、帯
電性微粒子の如き帯電補助剤をトナーに添加する技術と
して、特公昭52−32256号公報及び特開昭56−
64352号公報に、トナーと逆極性の樹脂微粉末を使
用することが、又、特開昭61−160760号公報に
は、フッ素含有化合物を現像剤に添加して安定した摩擦
帯電性を得るという技術が提案されており、今日でも多
くの帯電補助剤の開発が行われている。
【0009】更に、上記の如き帯電補助剤を添加する手
法も種々工夫されている。帯電補助剤を添加する方法と
しては、例えば、トナー粒子と帯電補助剤との静電力、
或いはファンデルワールス力等によりトナー粒子の表面
に帯電補助剤を付着させる手法が一般的であり、その手
段には、撹拌、混合機等が用いられる。しかしながら、
上記手法において、添加剤をトナー粒子表面に均一に分
散させることは容易ではない。又、トナー粒子に付着で
きなかった添加剤同士が凝集を起こすので、所謂、遊離
状態となった添加剤の存在を回避することも困難であ
る。この傾向は、添加する帯電補助剤の比電気抵抗が大
きいほど、粒径が細かいほど顕著となる。以上ような場
合には、トナーの性能にも影響が出てくる。例えば、摩
擦帯電量が不安定となって、画像濃度が一定せず、又、
カブリの多い画像となる。或いは、連続コピー等を行な
った場合に、帯電補助剤の含有量が変化してしまい、初
期時の画像品質を保持することができない等の問題点が
ある。
【0010】他の添加手法としては、例えば、トナーの
製造時に、結着樹脂や着色剤と共に、予め帯電補助剤を
添加(内添)してしまう手法がある。しかしながら、こ
の場合は、帯電補助剤を均一に分散することが容易では
ないこと、又、折角内添しても、実質的に帯電性に寄与
するのは、トナー粒子表面近傍のものだけであり、粒子
内部に存在する帯電補助剤や荷電制御剤は帯電性に寄与
しないため、帯電補助剤の添加量や表面への分散量等の
コントロールが容易ではない。更に、このような手法で
得られたトナーにおいても、トナーの摩擦帯電量が不安
定であり、現像剤特性を十分に満足するものを容易に得
ることが出来ず、帯電補助剤を使用するだけでは、充分
に満足のいく品質のトナー粒子が得られないのが実情で
ある。
【0011】又、トナー粒子に、酸化チタンを添加し
て、トナーに流動性を付与し、且つトナーの帯電性を安
定化させることが種々提案されている。しかし、本発明
者らが検討した結果、いずれも下記に挙げるように改良
すべき点があった。例えば、特開昭60−112052
号公報に記載されているトナーにおいては、体積固有抵
抗の低いアナターゼ型酸化チタンを使用しているため、
特に、高湿環境下での帯電リークが早く、帯電の安定化
の点で十分に満足のいくものではなく、改良すべき点が
ある。又、特開平5−72797号公報では、疎水性ア
モルファス酸化チタンを含有させたトナーに関しての提
案がなされている。しかし、アモルファス酸化チタン
は、結晶性の酸化チタンと比較して極端に研磨性が低い
ため、感光体表面に対する研磨性や、感光体表面の付着
物の除去性の向上といった点については不十分であっ
た。更に、アモルファス酸化チタンは、疎水化処理後も
OH基を多数有しているために、特に、高湿環境下にお
ける水分吸着による帯電性低下に関して改良すべき点も
あった。更に、トナーに対する流動性に関しての考慮は
されておらず、満足できるものではなかった。
【0012】更に、特開平6−332232号公報で
は、針状の大粒径酸化チタンをトナーに添加することを
提案しているが、この場合には、酸化チタンの形状、粒
径が大きく影響し、充分なトナー流動性が得られるもの
ではなかった。又、特開平6−332233号公報で
は、TiOx (但し、xは2未満)で表される酸化チタ
ン粒子を付着させたトナーに関しての提案がなされてい
るが、該酸化チタン粒子は、黒色又は青色であり、イエ
ロートナー又はマゼンタトナーの如きカラートナーの外
添剤としては不適当であり、酸化チタンの粒径が大きい
ため、トナーに対する流動性付与能が不充分であるばか
りか、ドラム表面を傷つけ易いという問題がある。又、
特開平5−188633号公報では、疎水化処理アナタ
ーゼ型酸化チタン微粉体を含有するトナーに関して提案
されているが、完全なアナターゼ結晶を有しているため
に一部酸化チタン粒子の凝集が起こり、感光体表面を傷
つけたり、又、小粒径のトナーに添加した場合には、充
分なトナー流動性を得ることができない等、改善すべき
点があった。
【0013】又、特開平4−70848号公報には、外
添剤の嵩密度について提案されている。しかし、該公報
には、嵩密度の測定方法に関する記載がないため、その
詳細は不明であるが、使用している外添剤の嵩としては
比較的低いものであるため、充分なトナー流動性の向上
は期待できない。更に、外添剤として用いるにしては質
量の大きな粒子であるため、トナーから遊離し易く、そ
の遊離した外添剤粒子がドラム表面を傷つけたり、クリ
ーニングブレード等のクリーニング手段の変形、損傷を
引き起こすため好ましくない。
【0014】又、特開平6−194865号公報にも、
外添剤の嵩密度について提案されているが、外添剤は単
に流動性付与を目的として添加しているに過ぎず、又、
疎水性も不充分であるため、流動性、帯電性、研磨性付
与に関して同時に満足することは困難である。以上、説
明したように、電子写真用トナーに対して、充分な、流
動性、帯電安定性、研磨性、環境安定性、耐久性及びO
HP透過性の全てについて、満足のいく状態で付与する
ことのできる酸化チタン微粒子は知られていないないの
が現状である。
【0015】更に近年、市場では、複写機に対するより
高精細、高画質化の要求が高まっており、当該技術分野
では、トナーの粒径を細かくして、高画質カラー化を達
成しようという試みがなされている。しかし、粒径が細
かくなると、単位重量当りの表面積が増え、トナーの帯
電量が大きくなる傾向があり、画像濃度薄や、耐久劣化
が懸念される。加えて、トナーの帯電量が大きいと、ト
ナー同士の付着力が強くなるので、流動性が低下し、ト
ナー補給の安定性や補給トナーへのトリボ付与に問題が
生じてくる。
【0016】又、カラートナーの場合には、磁性体やカ
ーボンブラック等の黒色の導電性物質を含有させること
ができないので、帯電をリークする部分がなく、一般に
帯電量が大きくなる傾向がある。この傾向は、特に、帯
電性能の高いポリエステル系のバインダー樹脂を使用し
た時により顕著になる。カラートナーにおいては、特
に、下記に示すような特性が強く望まれる。 (1)光に対して乱反射して色再現を妨げることのない
ように、トナーを定着した場合に、トナー粒子の形が判
別出来ないほどのほぼ完全溶融に近い状態となること。 (2)その色のトナー層の下に重ねられる異なった色調
のトナー層を遮蔽しない程度の透明性を有すること。 (3)カラー画像を形成するために組み合わされる各ト
ナーが、バランスのとれた色相及び分光反射特性と充分
な彩度を有すること。
【0017】上記したような観点から、多くの結着樹脂
(バインダーとも呼ぶ)に関する検討がなされており、
上記の特性を全て満足するトナーが待望されている。今
日、当該技術分野においては、ポリエステル系の樹脂が
カラー用結着樹脂として多く用いられているが、ポリエ
ステル系樹脂からなるトナーは、一般に、温度及び/又
は湿度の影響を受け易く、低湿下での帯電量過大、高湿
下での帯電量不足といった問題が起きており、広範な環
境下においても安定した帯電量を維持し得るカラートナ
ーの開発が急務とされている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上述のような従来技術の問題点を解決した電子写真
用トナーを提供することにある。即ち、本発明の目的
は、カブリのない鮮明な画像特性を有し、画像濃度が高
く、細線再現性、ハイライト部の階調性に優れた画像が
得られ、且つ、耐久安定性にも優れた電子写真用トナー
を提供することにある。本発明の更なる目的は、流動性
に優れ、且つ現像忠実性と転写性に優れた電子写真用ト
ナーを提供することにある。本発明の更なる目的は、感
光体表面、及び長期間の使用により発生する感光体表面
への付着物を研磨及び除去することができ、又、これら
の付着物の発生を抑制することのできる、画像欠陥のな
い安定した画像を得ることが可能な電子写真用トナーを
提供することにある。本発明の更なる目的は、温度及び
/又は湿度等の環境に左右されにくく、いかなる環境下
においても安定した摩擦帯電特性を有する電子写真用ト
ナーを提供することにある。本発明の更なる目的は、定
着性に優れ、且つOHP透過性にも優れた電子写真用ト
ナーを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明によって達成される。即ち、本発明は、トナー粒子と
疎水性酸化チタン微粒子とを有する電子写真用トナーに
おいて、上記疎水性酸化チタン微粒子が、X線回折にお
いて、2θ=20.0〜40.0deg.の範囲におけ
る最大強度Imax.と最小強度Imin.との強度比(Imax.
/Imin.)が、5.0≦(Imax./Imin.)≦12.0
の範囲にあり、且つ、そのBET比表面積が100〜3
50m2/gで、その嵩が5〜20cc/gであり、上
記トナー粒子の重量平均粒径が3〜9μmであって、且
つ、その粒度分布において、4μm以下の粒径のトナー
粒子を5〜70個数%、8μm以上の粒子を1〜65体
積%含有し、更に、上記4μm以下の粒径のトナー粒子
の個数%をNとし、その体積%をVとした場合に、下記
式の関係が成立することを特徴とする電子写真用トナー
である。 (式中、Nは4μm以下の個数%、Vは4μm以下の体
積%、kは3.0〜20.0の正の数を表わす。)
【0020】本発明者らは、上記した従来技術の問題点
を解決すべき鋭意検討の結果、電子写真用トナーの帯電
性の安定化と高い流動性の確保、トナーに感光体等に対
する研磨能を付与するには、上記した特定の特性を有す
る疎水性酸化チタン微粒子をトナーに添加することが有
効であり、更に、形成される画像が、高い画像濃度、ハ
イライト再現性、細線再現性、OHP透過性を有し、且
つ、画像形成の際におけるいずれの環境下においても安
定した画像が得られるという環境安定性を達成するに
は、上記の疎水性酸化チタン微粒子の利用に加えて、使
用するトナーの重量平均粒径、及びその粒度分布を上記
した特定ものとした場合に非常に優れた効果が得られる
ことを見いだして、本発明に至った。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電子写真トナーの
好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明において使用する特定の疎水性酸化チタン
微粒子について説明する。先ず、本発明で使用する酸化
チタン微粒子としては、そのX線回折において、2θ=
20.0〜40.0deg.の範囲における最大強度I
max.と最小強度Imin.との強度比(Imax./Imin.
が、5.0≦(Imax./Imin.)≦12.0の範囲にあ
るものを使用する。図2にX線回折のチャートを示した
が、本発明者らの検討によれば、この強度比(Imax.
min.)の値は、疎水性酸化チタン微粒子の結晶形態、
疎水化処理性、トナーに対する流動性付与能、研磨性付
与能及びOHP透過性付与能の程度と密接な関係を有し
ていることがわかった。即ち、(Imax./Imin.)の値
が、5.0より小さい場合には、酸化チタン微粒子は、
X線回折において顕著なピークを持たず、非結晶である
ことを示している。このような非結晶の疎水性酸化チタ
ン微粒子は、X線回折においてピークを有する疎水性酸
化チタンと比較して、トナーに対しての研磨性付与能が
著しく低いため、感光体表面の研磨や、感光体表面の付
着物の除去に関して充分な効果が得られにくい。これ
は、上記のような疎水性酸化チタン微粒子は、全く結晶
成長していないために粒子が柔らかく、例え、平均粒径
が1〜100nmの微粒子で加えたとしても、トナーに
対する研磨性付与能が著しく低いためと考えられる。
【0022】一方、(Imax./Imin.)の値が12.0
よりも大きい場合には、酸化チタン微粒子と疎水化剤の
反応点となる酸化チタン微粒子のOH基が極端に少ない
ことを示しており、疎水性を高めることが困難である。
これに対し、酸化チタン微粒子に充分な疎水性を付与す
るには多量の疎水化剤を添加することが必要となる。し
かし、この場合は、疎水化処理時に酸化チタン微粒子の
凝集体が発生したり、均一な疎水化処理が達成できなく
なり、酸化チタン微粒子の凝集体によるドラム表面の損
傷、クリーニングブレード等のクリーニング手段の寿命
低下を引き起こすだけでなく、トナー帯電量の制御が困
難となり、高品位な画像を安定的に得ることが困難にな
る。更に、(Imax./Imin.)の値が12.0より大き
くなる場合は、酸化チタン微粒子中に、製造時に生じた
凝集(合一)粒子を含有していることが多いが、このよ
うな凝集粒子の存在は、トナーの流動性付与能を不充分
なものにする上に、フィルミングの原因ともなる。又、
凝集粒子の存在は、疎水化処理をする際に、疎水化剤と
の均一な反応を阻害する要因ともなる。更に、(Imax.
/Imin.)の値が12.0より大きい場合には、酸化チ
タン微粒子の結晶成長が進んでいるため、OHPで投影
した際に光の遮蔽性が著しく高くなってしまい、OHP
の透過性レベルが悪くなる傾向がある。
【0023】又、これらの材料のX線回折結果について
更に検討を進めたところ、上記した要件に加えて、2θ
=20.0〜40.0deg.の範囲内におけるX線回
折チャートにおいて、図2に示したように、最大強度
(Imax.)が2θ=24.0〜26.0deg.の範囲
内にあって、最小強度(Imax.)が2θ=28.0〜3
3.0deg.の範囲内にある疎水性酸化チタン微粒子
を使用すると、より好ましい結果が得られることがわか
った。そして、X線回折チャートにおいて、このような
特徴を有する疎水性酸化チタン微粒子は、アモルファス
からアナターゼ型への結晶成長途上にあるか、或いは、
アモルファス及びアナターゼ型の結晶が混在している状
態にある疎水性酸化チタン微粒子であることを見いだし
た。
【0024】従って、本発明の電子写真トナーにおいて
使用する疎水性酸化チタン微粒子の原材料や製造方法等
は、X線回折チャートにおいて上記した特性を有すれば
特に制約されるものではないが、本発明者らが疎水性酸
化チタン微粒子の有する流動性付与能や、帯電特性及び
帯電安定性に関して鋭意検討した結果によれば、特に、
疎水化剤との反応点であるOH基を適正量含有している
アモルファスからアナターゼ型への結晶形態が移行する
途中段階の酸化チタン微粒子や、或いはアモルファス及
びアナターゼ型の結晶が混在している酸化チタン微粒子
を使用すると効果的であることがわかった。
【0025】以下に、本発明において好適に使用し得る
上記したような特性を有する酸化チタンの製造例を示
す。先ず、イルメナイトを出発原料とし、これを硫酸で
分解して得られたものを加水分解することによって、ス
ラリー状のメタチタン酸を生成させる。このメタチタン
酸スラリーのpH調整をした後、水系中で、粒子が凝集
しないように充分に分散させながら、疎水化剤を滴下混
合して反応させる。これを、ろ過した後、乾燥し、その
後、充分に解砕処理を行うことによって酸化チタン微粒
子が得られる。更に、本発明においてより好適な酸化チ
タン微粒子を得るためには、上記の酸化チタンの製造方
法において、イルメナイト原料を充分に乾燥させた後、
平均粒径が100μm程度になるまで粉砕させると、よ
り効果的に、嵩の高い酸化チタン微粒子が得られること
を見いだした。又、上記の酸化チタンの製造方法におい
て、TiO2相当分を50〜75%含有したメタチタン
酸〔TiO(OH)〕スラリーを使用することによっ
て、先に述べたX線回折チャートにおける(Imax./I
min.)の値を、5.0≦(Imax./Imin.)≦12.0
の範囲内に容易に調節できることを見いだした。
【0026】又、本発明に用いる酸化チタン微粒子を製
造する別の方法としては、下記の方法がある。先ず、原
料にチタンテトライソプロポキシドを使用し、該原料
を、ケミカルポンプで極く少量ずつ、チッ素ガスをキャ
リアガスとして用いて、200℃程度に加熱したベーパ
ライザーのグラスウールに送り込んで蒸発させ、反応器
内において300℃程度で瞬時に加熱分解した後、急冷
却を行って生成物を捕集する。次に、得られた生成物を
300℃程度で更に約2時間焼成すれば、本発明に好適
な酸化チタン微粒子が得られる。更に、アモルファス酸
化チタンと、アナターゼ型酸化チタンを任意の割合で充
分に分散混合することによっても、本発明の電子写真用
トナーを好適に構成し得る酸化チタン微粒子を得ること
ができる。本発明においては、上記した各種の製造方法
の中では、特に、イルメナイトを出発原料として製造さ
れた酸化チタン微粒子が好ましい。又、一般に酸化チタ
ンには、ルチル型結晶を有するものも知られているが、
BET比表面積が低く、針状或いは柱状に結晶成長する
ため、流動性、研磨性付与能が低く、本発明で使用する
ものとしては好ましくない。
【0027】更に、本発明の電子写真用トナーにおいて
は、上記のような方法で得られる疎水性酸化チタン微粒
子の中でも、BET比表面積が100〜350m2/g
の範囲のものを用いる。即ち、BET比表面積が100
2/gより小さい場合は、疎水性酸化チタン微粒子の
粒径が大きく、酸化チタンの凝集体或いは粗大粒子が存
在していることを示しており、これらが存在すると、ト
ナーの流動性が低下したり、感光体表面を傷つけたり、
クリーニングブレード等のクリーニング手段を変形、損
傷させる等の問題を生じる。又、疎水性酸化チタン微粒
子の粒径が大き過ぎると、外添させた場合にトナーから
遊離し易く、その結果、遊離した疎水性酸化チタン微粒
子が、多量に現像機内に存在したり、機械本体内の各種
装置に付着するので、画質低下や本体自身に悪影響を及
ぼすことになり、好ましくない。一方、BET比表面積
が350m2/gより大きい場合には、疎水性酸化チタ
ン微粒子への水分吸着量が極端に多くなってトナーの帯
電特性へ悪影響を及ぼす。特に、高湿環境下で画像を形
成した場合に、トナー帯電量が著しく低下してしまい、
トナー飛散、カブリ、画質劣化等の問題が生じる場合が
ある。
【0028】又、本発明者らの検討によれば、本発明に
おいてトナーに添加させる酸化チタン微粒子の嵩の値
は、酸化チタン微粒子中における凝集体の存在量や、疎
水化処理の均一性、更には、トナーに対する流動性付与
能、研磨性付与能、トナーのOHP透過性、トナー表面
への均一分散性と関連があり、本発明で使用するのに最
適な嵩の値の範囲があることがわかった。即ち、本発明
においては、嵩が、5〜20cc/gの範囲内にあるも
の、又は、好ましくは7〜15cc/gの範囲、より好
ましくは9〜13cc/gの範囲にある疎水性酸化チタ
ン微粒子を使用し、トナー中に添加する。即ち、疎水性
酸化チタン微粒子の嵩が5cc/gよりも小さい場合に
は、酸化チタン微粒子の凝集体が多く存在する傾向があ
り、疎水化処理が均一になされ難く、トナーに添加した
場合に、充分なトナー流動性や研磨性がが得られない。
更に、このような疎水性酸化チタン微粒子を使用する
と、酸化チタン微粒子の凝集体がトナー粒子から遊離
し、感光体を傷つけたり、クリーニングブレード等のク
リーニング手段を変形、損傷させる原因となって、画像
劣化、耐久性低下等の問題を引き起こす場合もある。
【0029】一方、トナーに添加する疎水性酸化チタン
微粒子の嵩が20cc/gより大きい場合には、トナー
の流動性が高くなり過ぎるため、現像器内でのトナーの
混合性が低下し、この結果、トナーの均一帯電が阻害さ
れてカブリやトナー飛散が問題となる。又、感光体表面
や、感光体表面への付着物に対する研磨性も低下して充
分でなくなるので、好ましくない。更に、嵩が20cc
/gより大きい疎水性酸化チタン微粒子が添加されたト
ナーを使用してOHP用の画像を形成し、該画像をOH
Pで投影した場合には、光の遮蔽性が著しく高くなって
しまい、OHPの透過性レベルが劣ることになる。又、
この場合には、酸化チタン微粒子がトナー表面に均一に
分散されにくく、OHPの透過性レベルの均一性につい
ても問題が生じる場合がある。
【0030】又、本発明において使用する疎水性酸化チ
タン微粒子の平均粒径は、トナーに対する流動性付与、
研磨性付与の点から、1〜100nmであることが望ま
しい。即ち、疎水性酸化チタン微粒子の平均粒径が1n
mより小さい場合には、酸化チタン微粒子がトナー表面
に埋め込まれ易く、トナー劣化が早期に生じてしまい、
トナーの耐久性が低下する傾向がある。又、トナーに充
分な研磨性を付与することが難しい。一方、疎水性酸化
チタン微粒子の平均粒径が100nmよりも大きい場合
には、トナーの流動性が著しく低下するために帯電が不
均一となり、その結果として、画質の劣化、トナー飛
散、カブリを生じ易い。又、大きな疎水性酸化チタン微
粒子の存在は、感光体表面に大きな傷を付ける原因とな
って、これが画像欠陥として現われたり、或いは、クリ
ーニングブレード等のクリーニング部材を変形、損傷さ
せる等の原因となって、極端な場合には、これがクリー
ニング不良として筋状の画像欠陥として現われる場合も
ある。
【0031】本発明者らは、特に、感光体表面の状態、
及び感光体表面やその表面への付着物の研磨や、その除
去に関する点からも、トナーに添加させる疎水性酸化チ
タン微粒子の最適な物性について検討した。この結果、
現像されずに感光体上に残った残留トナーは、感光体表
面上からクリーニングされる際に、感光体表面とクリー
ニングブレード等のクリーニング部材の圧着部に一時滞
留し、この滞留するトナーの表面に存在する疎水性酸化
チタン微粒子が、感光体表面や、その付着物を、研磨及
び除去する機能を果たすことを見いだした。更に、この
機能を果たすことのできる疎水性酸化チタン微粒子は、
トナー表面に埋め込まれることなく、トナー表面に存在
し、且つ、凝集体のない1次粒径に近い状態でトナー中
に分散されている状態のものであることがわかった。
又、上記のような良好な研磨性をトナーに発揮させるこ
とのできる疎水性酸化チタン微粒子は、その平均粒径が
1〜100nmの範囲内のものであることを見いだし
た。更に、特に、このような範囲の粒径を有する疎水性
酸化チタン微粒子であって、且つ、X線回折チャートに
おける最大強度(Imax.)と最小強度(Imin.)との強
度比(Imax./Imin.)の値が、5.0≦(Imax./I
min.)≦12.0の範囲内にある疎水性酸化チタン微粒
子をトナーに添加した場合に、非常に有効な結果が得ら
れることを見いだした。
【0032】又、本発明においては、トナー中に添加さ
せる疎水性酸化チタン微粒子の疎水化度が40〜90%
の範囲である場合に、より優れた効果が得られることが
わかった。即ち、疎水性酸化チタン微粒子の疎水化度が
40%より小さい場合には、疎水化処理が不充分であ
り、トナーの帯電量の低下、特に、高湿環境下において
帯電量が著しく低下し、トナー飛散、カブリ、画質劣化
等の発生原因となる。又、疎水化度が90%よりも大き
い酸化チタン微粒子を添加した場合には、酸化チタン微
粒子自身の帯電コントロールが困難であり、結果とし
て、特に、低湿環境下でのトナー帯電量のチャージアッ
プの原因となる。又、疎水性酸化チタン微粒子の疎水化
度が90%よりも大きい場合には、疎水化処理後におい
て粒子の凝集が発生し、トナー流動性が著しく低下する
原因となり易い。
【0033】本発明において、上記のような疎水化度の
疎水性酸化チタン微粒子を得るためには、下記に挙げる
ような疎水化剤を使用するとよい。この際に使用する疎
水化剤としては、例えば、シラン系、チタネート系、ア
ルミニウム系、ジルコアルミネート系等の各種カップリ
ング剤等、従来公知のものをいずれも使用できる。具体
的には、例えば、下記一般式(1)で表されるシランカ
ップリング剤が好ましく、例えば、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキ
シプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシ
シラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オ
クタデシルトリメトキシシラン等を使用することができ
る。 (上記式中、Rはアルコキシ基を表わし、mは1〜3の
整数を表わし、Yはアルキル基、ビニル基、フェニル
基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプ
ト基又はこれらの誘導体を表わし、nは1〜3の整数を
表わす。) 又、その使用量は、酸化チタン微粒子100重量部に対
して、好ましくは1〜60重量部、より好ましくは3〜
50重量部である。
【0034】本発明において、特に、酸化チタン微粒子
の好適な疎水化処理を達成するためには、下記一般式
(2)で示されるカップリング剤を用いるとよい。 (上記式中、nは4〜12の整数を表わし、mは1〜3
の整数を表わす。)
【0035】即ち、上記一般式におけるnが4より小さ
いと、処理は容易となるが疎水化度が充分に達成できな
し、nが12より大きいと、疎水化度は充分になるが、
酸化チタン微粒子同士が凝集することがが多くなって、
流動性付与能が低下してしまう。又、mが3よりも大き
いと、反応性が低下して疎水化が充分に行われなくなっ
てしまう。従って、本発明においては、上記式(2)中
のnの値が4〜12、好ましくは4〜8であり、mの値
が1〜3、好ましくは1〜2であるカップリング剤を用
いて疎水か処理した酸化チタン微粒子を用いることが好
ましい。上記したようなカップリング剤の処理量は、酸
化チタン微粒子100重量部に対して、好ましくは1〜
60重量部、より好ましくは3〜50重量部である。
【0036】又、酸化チタン微粒子の疎水化処理は、上
記したような疎水化剤を単独で用いて行ってもよいし、
或いは2種類以上の疎水化剤を使用して行なってもよ
い。例えば、1種類のカップリング剤単独で疎水化処理
を行ってもよいし、2種類のカップリング剤を混合して
同時に、又は、1種のカップリング剤で疎水化処理を行
った後に別のカップリング剤で更に疎水化処理を行って
もよい。尚、疎水化剤の使用方法、疎水化剤の添加方法
に特に制約はない。
【0037】本発明において、上記したような疎水化剤
を用いて酸化チタン微粒子の疎水化処理を行うには、以
下のような方法があるが、本発明は、これらの方法に制
約されるものではない。例えば、湿式法による疎水化処
理方法では、所定量の酸化チタン微粒子を有する溶液中
で、充分に機械的に混合撹拌しながら、所定量の疎水化
剤又はその希釈液或いはその混合液を添加する。そし
て、粒子が凝集しないように更に混合撹拌を行って充分
に混合撹拌した後、乾燥、解砕する。
【0038】又、乾式法による疎水化処理方法の例とし
ては、先ず、所定量の無機微粉体をブレンダー等の装置
によって撹拌しながら、所定量の疎水化剤、又はその希
釈液或いはその混合液を滴下又はスプレー等によって加
え、充分に混合撹拌する。その後、更に、所定量の疎水
化剤、又はその希釈液或いは混合液を加えた後、充分に
混合撹拌する。次に、得られた混合物を加熱して乾燥さ
せる。その後、ブレンダー等の装置によって撹拌して解
砕する。
【0039】又、本発明の電子写真トナーにおいて、ト
ナー中に添加させる上記したような特定の疎水性酸化チ
タン微粒子の含有量は、トナー中に0.1〜5重量%と
することが適当である。即ち、含有量が0.1重量%よ
りも少ない場合には、トナーの流動性が得られにくく、
含有量が5重量%を超える場合には、トナーの流動性が
高くなり過ぎてしまい、逆に均一な帯電が阻害される。
【0040】更に、本発明者らは、画像を形成した場合
に、画像濃度、ハイライト再現性、細線再現性、OHP
透過性が向上した画像が得られ、いかなる環境下におい
ても安定した画像形成が可能な環境安定性に優れたトナ
ーについて鋭意検討した結果、上記した疎水化処理を施
した疎水性酸化チタン微粒子を含有し、且つ、トナーの
重量平均粒径が3〜9μmにある時、感光体上の潜像に
対して忠実に現像が可能であることと、又、4μm以下
の粒子の量及びその粒度分布が特にハイライト再現性向
上に大きく寄与することを見出した。即ち、本発明にお
いては、トナー粒子の重量平均粒径が3〜9μmであっ
て、且つ、その粒度分布において、4μm以下の粒径の
トナー粒子を5〜70個数%、8μm以上の粒子を1〜
65体積%含有し、更に、上記4μm以下の粒径のトナ
ー粒子の個数%を(N)とし、4μm以下の粒径のトナ
ー粒子の体積%を(V)とした場合に、下記式の関係が
成立する粒度分布を有するトナーを用いる。 (式中、Nは4μm以下の個数%、Vは4μm以下の体
積%、kは3.0〜20.0の正の数を表わす。)
【0041】トナーの重量平均粒径が9μmより大きい
場合は、基本的に高画質化に寄与し得る微粒子が少ない
ことを意味しており、確かに、高い画像濃度が得られ易
く、トナーの流動性に優れる等のメリットもあるもの
の、ドラム上の微細な潜像上には忠実に付着しづらく、
ハイライト再現性に乏しい。更に、充分な解像性も得ら
れなくなってしまう。又、必要以上の現像、即ち、トナ
ーの乗り過ぎが起こり、トナー消費量の増大を招き易い
傾向もある。逆にトナーの重量平均粒径が3μmより小
さい時には、トナーの単位重量当たりの帯電量が極端に
高くなることを意味し、濃度薄、特に、低温低湿下での
画質濃度薄が顕著となる傾向がある。これでは、グラフ
ィック画像等の画質面積比率の高い用途には不向きであ
る。更に、重量平均粒径が3μmより小さい時には、キ
ャリアとの接触帯電がスムーズに行われず、充分に帯電
し得ないトナーが増大し、非画像部への飛び散り、即
ち、カブリが目立つようになる。これに対処すべく、キ
ャリアの比表面積を稼ぐためにキャリアの小径化という
手段も考えられるが、重量平均粒径が3μm未満のトナ
ーでは、トナーの自己凝集も起こり易く、キャリアとの
均一混合が短時間では達成されず、トナーの連続補給耐
久においては、どうしてもカブリが生じてしまう傾向が
ある。従って、本発明の電子写真トナーにおいては、そ
の重量平均粒径を3〜9μmの範囲にする。
【0042】又、本発明の電子写真トナーは、上記の重
量平均粒径を有すると共に、トナーの粒度分布におい
て、4μm以下の粒径のトナー粒子を全粒子数の5〜7
0個数%、好ましくは15〜60個数%の範囲で含有す
るトナーを用いる。即ち、トナー中の4μm以下の粒径
のトナー粒子の分布量を5個数%未満とすることは、高
画質化のために必須の成分である微小のトナー粒子が少
ないことを意味し、特に、コピー又はプリントアウトが
続けられて、トナーが連続的に使われるに従って、高画
質画像の形成に有効な微小トナー粒子成分が著しく減少
して、良好な画像形成に適したトナーの粒度分布のバラ
ンスが悪化するので、次第に、画質が低下するという傾
向を示す。一方、4μm以下の粒径のトナー粒子が70
個数%を超える微小トナー粒子が多く分布しているトナ
ーを使用すると、トナー粒子相互の凝集状態を生じ易
く、これらの凝集体が本来の粒径以上のトナー塊として
ふるまうことが多くなって、優れた画質の画像が得られ
難くなる。即ち、得られる画像が荒れた画像となった
り、解像性が低下したり、又、潜像のエッジ部と内部と
の濃度差が大きくなって中抜け気味の画像となり易い。
【0043】更に、本発明の電子写真トナーでは、トナ
ーの粒度分布において、8μm以上の粒径の比較的大き
な粒子が1〜65体積%、好ましくは5〜60体積%含
有されているトナーを使用する。即ち、8μm以上の粒
径のトナー粒子が65体積%よりも多いと、画像を形成
した場合に画質が悪化すると共に、必要以上の現像、即
ち、感光体表面へのトナーの乗り過ぎが起こり、トナー
消費量の増大を招く。一方、8μm以上の粒径のトナー
粒子が、1体積%未満であると、トナー処方をどんなに
工夫しても流動性の低下によって画像性が低下する恐れ
がある。
【0044】更に、本発明の電子写真用トナーにおいて
は、上記した特定の含有量で含まれる4μm以下のトナ
ー粒子が、その個数%を(N)、その体積%を(V)と
した場合に、下記式の関係を満足するような粒度分布に
調製されていることも本発明の特徴の一つである。即
ち、粒度分布における上記した他の特徴と共に、この範
囲を満足する粒度分布の4μm以下のトナー粒子を含有
したトナーは、微小スポットから形成されるデジタル潜
像に対しても優れた現像性を達成し得る。 (式中、Nは4μm以下の個数%、Vは4μm以下の体
積%、kは3.0〜20.0の正の数を表わす。)
【0045】本発明者らは、電子写真トナー中の粒径4
μm以下の微小トナー粒子の粒度分布を検討する中で、
前述した本発明の種々の目的を達成するのに最も適し
た、トナー中における微小トナー粒子の存在条件がある
ことを見いだした。即ち、ある特定Nの値に対して、N
/Vの値が大きくなると言うことは、4μm以下の微小
トナー粒子まで広く含んでいることを示しており、逆
に、N/Vの値が小さいということは、4μm付近のト
ナー粒子の存在率が高く、それ以外のトナー粒子が少な
いことを示していると解される。本発明者らの詳細な検
討によれば、トナー中に含有されている粒径4μm以下
の微小トナー粒子が、その粒度分布において、上記式中
のkの値が3.0〜20.0の範囲内になるような関係
を有する場合には、当該トナーを用いて長期間に多量の
複写プリントを行なったとしても、良好な細線再現性と
高解像性が安定して達成されることがわかった。
【0046】本発明者らの検討によれば、上記式におい
て、kの値が、k>20.0となる場合は、粒径が4μ
mより小さなトナー粒子の数が少な過ぎ、画像濃度、解
像力及び鮮鋭さで劣ったものとなる。このように、本発
明者らの検討によれば、従来は不要であると考えられて
いた微細なトナー粒子の適度な存在が、現像において、
トナーの細密充填化を果たし、均一な画像を形成するの
に貢献していることもわかった。特に、このような微細
なトナー粒子を適度に含むトナーを用いて画像を形成す
れば、細線及び画像の輪郭部を均一に埋めることができ
るので、視覚的にも鮮鋭さがより強調される。一方、k
の値が、k<3.0である場合には、必要以上の微粉の
存在によって、多枚数の複写時やプリント時に画像濃度
がやや低下したり、フィルミング等の問題が発生する傾
向がある。特に、本発明において、粒径が4μmより小
さな微粒子トナーを使いこなすためには、流動性の向上
と帯電の安定化が大きなポイントであり、これらの内の
どちらが欠けていても決して良好な画像形成は望めな
い。
【0047】それゆえ、上記の如き粒度分布を有する4
μm以下の微粒子トナーのポテンシャルを最大限に引き
出して、高解像度、高階調を達成するためには、先に述
べた、流動性付与能及び帯電特性に優れる特定の疎水性
酸化チタン微粒子を、トナー中に外添して用いることが
必須となり、両者を組み合わせることによってはじめて
良好な画像を得ることが可能となる。又、トナーの微粒
子化によってトナー1個当たりの有する電荷は小さくな
り、一般にトナー飛散を生じ易くなる傾向を示すが、本
発明に用いられる先に述べた特定の酸化チタン微粒子
は、帯電付与能も高いので、流動性向上と帯電安定化の
両立が図られる。これは従来知られている外添剤では、
決して達成し得なかったことである。
【0048】更に、本発明の電子写真用トナーにおいて
は、トナーの凝集度が、好ましくは2〜25%、より好
ましくは2〜20%、更に好ましくは2〜15%の範囲
のものを使用するとよい。即ち、凝集度が25%を超え
る場合には、トナーホッパーから現像器へのトナーの搬
送性の低下、トナーとキャリアとの混合不良、更にはト
ナーの帯電不良等の問題を発生し易い。この場合には、
トナーを細かくし、トナーの着色力を適正化しても、高
品位な画質が得られにくくなる。
【0049】本発明におけるトナーの着色剤含有樹脂粒
子に使用する結着物質(バインダー樹脂)としては、従
来の電子写真用トナー結着樹脂として知られる各種の材
料樹脂が用いられる。例えば、ポリスチレン、スチレン
・ブタジエン共重合体、スチレン・アクリル共重合体等
のスチレン系共重合体、ポリエチレン・エチレン・酢酸
ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体
のようなエチレン系共重合体、フェノール系樹脂、エポ
キシ系樹脂、アクリルフタレート樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸系樹脂等である。
又、いずれの樹脂もその製造方法等は特に制約されるも
のではない。これらの樹脂の中でも、特に負帯電能の高
いポリエステル系樹脂を用いたトナーの場合に、本発明
の効果は絶大となる。即ち、ポリエステル系樹脂は、定
着性に優れ、カラートナーに適している反面、負帯電能
が強く帯電が過大になり易いが、本発明の構成にポリエ
ステル樹脂を用いると弊害は改善され、優れたトナーが
得られる。
【0050】特に、次式で代表されるビスフェノール誘
導体、若しくは置換体をジオール成分とし、2価以上の
カルボン酸、又はその酸無水物、又はその低級アルキル
エステルからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、
マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)とを縮重合し
たポリエステル樹脂が、シャープな溶融特性を有するの
でより好ましい。
【0051】 (式中Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びy
はそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は
2〜10である。)
【0052】本発明の電子写真用トナーを構成する場合
に使用する着色剤としては、非磁性トナーとする場合
は、従来公知の染顔料、例えば、フタロシアニンブル
ー、インダスレンブルー、ピーコックブルー、パーマネ
ントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザ
イエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー
等を使用することができる。又、その含有量としては、
OHP用フィルムに画像を形成した場合に、透過光が敏
感に反映されるようにするためには、結着樹脂100重
量部に対して、着色剤を12重量部以下、好ましくは
0.5〜9重量部を含有させればよい。
【0053】又、本発明のトナーは、負帯電性、正帯電
性を限定するものではないが、負帯電性トナーとする場
合は、特に負荷電特性を安定化させる目的で帯電制御剤
を添加することが好ましい。負荷電制御剤としては、例
えば、アルキル置換サリチル酸の金属錯体(例えば、ジ
−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯体又は亜鉛錯
体)の如き有機金属錯体が挙げられる。又、正帯電性の
トナーとする場合には、正帯電性を示す荷電制御剤とし
て、ニグロシンやトリフェニルメタン系化合物、ローダ
ミン系染料、ポリビニルピリジン等を用いても構わな
い。又、カラートナーをつくる場合においては、トナー
の色量に影響を与えない無色又は淡色の正荷電制御剤を
用いることが望ましい。本発明におけるトナーには、必
要に応じてトナーの特性を損ねない範囲で、各種添加剤
を混合してもよい。そのような添加剤としては、例え
ば、有機樹脂粒子、金属酸化物の如きの帯電助剤、或い
はテフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン
の如き滑剤、或いは定着助剤(例えば、低分子量ポリエ
チレン、低分子量ポリプロピレン等)が挙げられる。
【0054】本発明の電子写真用トナーの製造にあたっ
ては、熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱
混練機によって構成材料をよく混練した後、機械的に粉
砕し、粉砕粉を分級してトナーを得る方法や、結着樹脂
溶液中に着色剤の如き材料を分散させた後、噴霧乾燥す
ることにより得る方法や、結着樹脂を構成すべき重合性
単量体に所定材料を混合して単量体組成物を得、この組
成物の乳化懸濁液を重合させることによりトナーを得る
懸濁重合によるトナー製造法が応用できる。
【0055】本発明のトナーを二成分現像剤として用い
る場合に、上記したトナーと共に、下記に挙げるキャリ
アを用いる。キャリアとしては、例えば、表面酸化又は
未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガ
ン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化
物及びフェライト等が挙げられる。又、その製造方法と
して特別な制約はない。又、本発明においては、上記し
たキャリアの表面を樹脂等で被覆したキャリアを使用す
ることが好ましいが、その製造方法としては、樹脂等の
被覆材を溶剤中に溶解若しくは懸濁させて塗布しキャリ
アに付着させる方法、単に粉体で混合する方法等、従来
公知の方法がいずれも適用できる。
【0056】キャリア表面に被覆させるための物質とし
ては、トナーの材料によっても異なるが、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチ
レン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、
ポリエステル樹脂、ジ−tert−ブチルサリチル酸の
金属錯体、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミ
ド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリ
レート樹脂、塩基性染料及びそのレーキ、シリカ微粉
末、アルミナ微粉末等を使用することができる。そし
て、これらを単独或いは複数で用いるのが適当である
が、必ずしもこれに制約されない。上記に挙げた化合物
によるキャリア表面の処理量は、一般には、総量でキャ
リアに対して、好ましくは0.1〜30重量%、より好
ましくは0.5〜20重量%の範囲とする。又、これら
キャリアの平均粒径は、好ましくは10〜100μm、
より好ましくは20〜70μmの範囲とすることが好ま
しい。
【0057】以下、本発明に用いることのできる具体的
なキャリアの態様としては、例えば、Cu−Zn−Fe
の3元素のフェライトをキャリア粒子として用い、下記
の方法で、その表面に被覆層を形成したものを使用する
ことが好ましい、しかし、特にこれに限定されるもので
はない。例えば、上記のキャリア粒子表面を、シリコー
ン樹脂、又は、フッ素系樹脂とスチレン系樹脂の如き樹
脂の組み合せ、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレ
ン−メチルメタクリレート樹脂;ポリテトラフルオロエ
チレンとスチレン−メチルメタクリレート樹脂、フッ素
系共重合体とスチレン系共重合体;シリコーン系樹脂等
を90:10〜20:80、好ましくは70:30〜3
0:70の比率の混合物としたもので、0.01〜5重
量%、好ましくは0.1〜1重量%コーティングし、そ
の後、250メッシュパス、400メッシュオンのキャ
リア粒子が70重量%以上に調整したコートキャリアが
好適に用いられる。上記で使用するフッ素系共重合体と
しては、フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン共重
合体(10:90〜90:10)が例示され、スチレン
系共重合体としては、スチレン−アクリル酸2−エチル
ヘキシル(20:80〜80:20)、スチレン−アク
リル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル(20
〜60:5〜30:10〜50)が例示される。
【0058】上記のようにして得られるコートキャリア
は、特に、粒径分布がシャープな場合に、本発明のトナ
ーに対して好ましい摩擦電性を与え、更に電子写真特性
を向上させる効果がある。上記のようなキャリアを本発
明の電子写真用トナーと混合して二成分系現像剤を調整
する場合は、その混合比率を、現像剤中のトナー濃度と
して表した場合に、2〜15重量%、好ましくは3〜1
3重量%、より好ましくは4〜10重量%にすると、通
常、良好な結果が得られる。即ち、トナー濃度が2重量
%未満では画像濃度が低く実用不可であり、15重量%
を超える場合は、カブリや機内飛散を増加せしめ、現像
剤の耐用寿命が短くなる傾向がある。
【0059】以下、上記したような構成の本発明の電子
写真用トナーを使用して、非磁性一成分トナー現像を行
う場合の現像装置の一例を説明するが、本発明は必ずし
もこれに限定されるものではない。図1に、潜像保持体
上に形成された静電像を現像する装置を示す。潜像保持
体1において、潜像形成は、不図示の電子写真プロセス
手段又は静電記録手段によりなされる。現像剤担持体2
は、アルミニウム或いはステンレス等からなる非磁性ス
リーブからなる。非磁性一成分カラートナーは、ホッパ
ー3に貯蔵されており、供給ローラー4により現像剤担
持体2上へ供給される。供給ローラー4は現像後の現像
剤担持体2上のトナーのはぎ取りも行っている。現像剤
担持体2上に供給されたトナーは、現像剤塗布ブレード
5によって均一且つ薄層に塗布される。現像剤塗布ブレ
ード5と現像剤担持体2との当接圧力は、スリーブ母線
方向の線圧として、3〜250g/cm、好ましくは1
0〜120g/cmが有効である。当接圧力が3g/c
mより小さい場合は、トナーの均一塗布が困難になり、
トナーの帯電量分布がブロードになり、カブリや飛散の
原因となり易い。一方、当接圧力が250g/cmを超
えると、トナーに大きな圧力がかかるために、トナー同
士が凝集したり、或いは粉砕され易く好ましくない。当
接圧力を3〜250g/cmに調整することで小粒径ト
ナーの凝集を良好にほぐすことが可能になり、トナーの
摩擦帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。現像
剤塗布ブレード5には、所望の極性にトナーを帯電する
に適した摩擦帯電系列の材質のものを用いるとよい。
【0060】上記現像剤塗布ブレード5としては、シリ
コーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム
等の材質からなるものを、いずれも好適に用いることが
できる。例えば、導電性ゴムを使用すれば、トナーが過
剰に摩擦帯電するのを防ぐことができる。更に、上記の
ような材質からなる現像剤塗布ブレード5の表面には、
必要に応じてコートされたものでもよい。特に、ネガト
ナーとして使用する場合には、ポリアミド樹脂の如き正
帯電性樹脂をコートするのが好適である。
【0061】上記したような現像剤塗布ブレード5によ
り、現像剤担持体2上にトナーを薄層コートするシステ
ムにおいては、充分な画像濃度を得るために、現像剤担
持体2上のトナー層の厚さを現像剤担持体2と潜像保持
体1との対向空隙長よりも小さくし、この空隙に交番電
場を印加することが好ましい。図1に示すバイアス電源
6により現像剤担持体2と潜像保持体1との間に交番電
場又は交番電場に直流電場を重畳した現像バイアスを印
加することにより、現像剤担持体2上から潜像保持体1
上のトナーの移動を容易にし、更に良質の画像を得るこ
とができる。
【0062】以下に各特性値の測定法について述べる。 (1)疎水性酸化チタン微粒子のX線回折チャートにお
ける最大強度(Imax.)と、最小強度(Imin.)の測定
方法 Cuの特性X線のKα線を線源として用い、疎水性酸化
チタン微粒子のX線回折スペクトルを求める。そして、
得られたX線回折チャートの2θ=20.0〜40.0
deg.の範囲における最大強度をImax.(Kcp
s)、最小強度をImin.(Kcps)とする。X線回折
スペクトルの測定機としては、例えば、強力型全自動X
線回折装置MXP18(マックサイエンス社製)を利用
することができる。
【0063】(2)疎水性酸化チタン微粒子の平均粒径
の測定方法 疎水性酸化チタン微粒子の一次粒子径は、透過電子顕微
鏡で観察し、視野中の100個の酸化チタン微粒子の粒
子径を測定して、その平均粒子径を求めた。
【0064】(3)疎水性酸化チタン微粒子のBET比
表面積測定方法 湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装
置、オートソープ1を使用し、吸着ガスに窒素を用い、
BET多点法により、疎水性酸化チタン微粒子のBET
の実測を行なった。サンプルの前処理として、50℃で
10時間の脱気を行った。
【0065】(4)疎水性酸化チタン微粒子の嵩測定 酸化チタン微粒子の測定試料は、23℃で60%RHの
環境下で約12時間放置したものを用い、測定は23℃
で60%RHの環境下で、JIS−5105に準じて行
った。
【0066】(5)疎水性酸化チタン微粒子の疎水化度
の測定方法 疎水化された表面を有する無機微粉体の疎水化度を確認
する実験的試験であるメタノール滴定試験によって測定
した。具体的には、疎水化度測定を、次のように行っ
た。先ず、サンプルとして疎水性酸化チタン微粒子0.
2gを、容量250mlの三角フラスコ内の水50ml
中に添加する。次に、メタノールをビュレットから滴定
する。この際、フラスコ内の溶液は、マグネチックスタ
ーラーで常時撹拌する。疎水性酸化チタン微粒子の沈降
終了時点は、全量が液体中に懸濁することによって確認
され、疎水性酸化チタン微粒子の疎水化度は、沈降終了
時点に達した際のメタノール及び水の液状混合物中のメ
タノールの百分率として表される。
【0067】(6)トナーの粒度分布の測定 測定装置としては、コールターカウンターTA−II或い
はコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用
いる。電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて、
約1%NaCl水溶液を調整して使用する。電解液とし
てはは、例えば、ISOTON−II(コールターサイエ
ンティフィックジャパン社製)を使用することができ
る。具体的な測定方法としては、上記電解液100〜1
50ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくは、
アルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5ml加
え、更に、測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁
させた電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理
を行って、上記の測定装置により、アパーチャーとして
100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及
び個数を各チャンネルごとに測定して、トナーの体積分
布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の体
積分布から求めた重量基準のトナーの重量平均粒径(各
チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を
求める。
【0068】下記に挙げる範囲を、夫々のチャンネルと
した。チャンネルとしては、2.00μm以上2.52
μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.1
7μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.0
4μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.
35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上1
0.08μm未満;10.08μm以上12.70μm
未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.
00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上
25.40μm未満;25.40μm以上32.00μ
m未満;32.00μm以上40.30μm未満の13
チャンネルを用いた。
【0069】(7)凝集度測定方法 外添剤を有するトナー等の試料の流動特性を測定する一
手段として知られている、凝集度を用いて流動特性を測
定する方法によった。この凝集度の値が大きいほど、試
料の流動性は悪いと判断できる。測定装置としては、デ
ジタル振動計(デジバイブロ MODEL 1332)
を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)を用い
た。具体的な測定方法としては、先ず、振動台に200
メッシュ、100メッシュ、60メッシュの篩いを、目
開の狭い順に、即ち、60メッシュ篩いが最上位にくる
ように200メッシュ、100メッシュ、60メッシュ
の篩い順に重ねてセットする。次に、このセットした6
0メッシュ篩い上に、正確に秤量した試料5gを加え、
振動台への入力電圧が21.7Vになるようにし、デジ
タル振動計の変位の値を0.130にし、その際の振動
計の振幅が60〜90μmの範囲に入るように調整し
(レオスタット目盛り約2.5)、約15秒間振動を加
える。その後、各篩い上に残った試料の重量を測定し、
下式に基づき凝集度を得た。
【0070】 尚、試料は23℃で60%RHの環境下で約12時間放
置したものを用い、23℃で60%RHの測定環境で測
定した。
【0071】
【実施例】次に、本発明の実施例及び比較例を挙げて本
発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限
定されるものではない。 [疎水性酸化チタン微粒子の製造例1]出発原料とし
て、TiO2相当分を51%含有したイルメナイト鉱石
を使用した。この原料を、150℃で2時間乾燥させ、
平均粒径が100μm程度になるまで粉砕を行った後、
硫酸を添加して溶解させることによって、TiOSO4
溶液を得た。これを濃縮させた後、TiOSO4を12
0℃で加水分解して、TiO2相当分を70%含有した
TiO(OH)2スラリーを得た。この得られたスラリー
をpH5〜6で繰り返し水洗浄して、硫酸、FeS
4、不純物を充分に除去した。そして、メタチタン酸
スラリー1〔TiO(OH)2〕を得た。
【0072】次に、上記で得られたメタチタン酸スラリ
ー1のpHを8〜9に調整した後、ボールミルで充分に
粉砕を行い、その後、充分に撹拌しながらスラリーの温
度を30℃、pHを2程度に調整した。このメタチタン
酸スラリー1の100重量部に対して、下記式で表され
る疎水化剤を固形分で50重量部用い、粒子が凝集しな
いように充分に撹拌しながら滴下混合し、反応させた。
【0073】更に、充分に撹拌しながら、スラリーのp
Hを6.5に調整する。これを濾過、乾燥した後、15
0℃で2時間加熱処理し、その後、酸化チタン微粒子の
凝集体がなくなるまで、繰り返し解砕処理を行い、疎水
性酸化チタン微粒子Aを得た。この得られた疎水性酸化
チタン微粒子Aについて各種の測定を行なった。図2
に、疎水性酸化チタン微粒子AのX線回折チャートを示
したが、X線回折においては、2θ=25.2deg.
のときに、Imax.=1.05Kcps、2θ=32.3
deg.のときに、Imin.=0.13Kcpsを示し
た。又、BET表面積=195m2/g、嵩=10.5
cc/g、平均粒径=24nmであった。
【0074】[疎水性酸化チタン微粒子の製造例2]原
料にチタンテトライソプロポキシドを使用した。ケミカ
ルポンプで原料をごく少量ずつ、チッ素ガスをキャリア
ガスとして使用して、200℃に加熱したペーパーライ
ザーのグラスウールに送り込んで蒸発させ、反応器内で
温度320℃で加熱分解した後、急冷却を行い、生成物
を捕集し、酸化チタン微粉体1を得た。これを400℃
で3時間焼成し、酸化チタン微粉体2を得た。次に、ト
ルエン中で上記酸化チタン微粉体2を均一分散させた
後、製造例1で使用したと同様の疎水化剤を、酸化チタ
ン微粉体2の100重量部に対して固形分で35重量部
となる割合で用い、粒子が凝集しないように分散させな
がら滴下混合し、加水分解反応させた。そして、濾過、
乾燥した後、130℃で2時間焼き付けし、その後、解
砕処理して疎水性酸化チタン微粒子Bを得た。この得ら
れた疎水性酸化チタン微粒子Bについて各種の測定を行
なったところ、X線回折においては、2θ=25.8d
eg.のときに、Imax.=1.17Kcps、2θ=3
1.3deg.のときにImin.=0.11Kcpsであ
った。又、BET表面積=119m2/g、嵩=9.3
cc/g、平均粒径=32nmであった。
【0075】[疎水性酸化チタン微粒子の製造例3]疎
水性酸化チタン微粒子の製造例2で製造した酸化チタン
微粉体1(平均粒径=25nm、BET=130m2
g)70重量部と、親水性のアナターゼ型酸化チタン微
粒子(平均粒径=30nm、BET=110m2/g)
30重量部とを用い、乾式で充分に分散混合し、酸化チ
タン微粉体3(平均粒径=26nm、BET=125m
2/g)を得た。次に、トルエン中で酸化チタン微粉体
3を充分に分散させた後、実施例1で使用したと同様の
疎水化剤を、酸化チタン微粉体3の100重量部に対し
て固形分で30重量部となる割合で用い、粒子が凝集し
ないように分散させながら滴下混合し、加水分解反応さ
せた。その後、濾過、乾燥させ、130℃で2時間焼き
付けし、酸化チタン微粒子の凝集体が存在しなくなるま
で解砕処理を繰り返して、疎水性酸化チタン微粒子Cを
得た。この得られた疎水性酸化チタン微粒子Cについて
各種の測定を行なったところ、X線回折においては、2
θ=25.0deg.のときに、Imax.=0.6Kcp
s、2θ=28.8deg.のときに、Imin.=0.1
1Kcpsであった。又、BET表面積=105m2
g、嵩=12.1cc/g、平均粒径=29nmであっ
た。
【0076】[疎水性酸化チタン微粒子の製造例4]疎
水性酸化チタン微粒子の製造例1において、疎水化剤と
して、下記に示す2種類の疎水化剤(A)と(B)と
を、(A):(B)=4:5の割合で混合したものを使
用すること以外は製造例1と同様にして、疎水性酸化チ
タン微粒子Dを得た。
【0077】この得られた疎水性酸化チタン微粒子Dに
ついて各種の測定を行なったところ、X線回折において
は、2θ=25.1deg.のときに、Imax.=1.0
6Kcps、2θ=32.2deg.のときにImin.
0.13Kcpsであった。又、BET表面積=128
2/g、嵩=10.2cc/g、平均粒径=66nm
であった。
【0078】[酸化チタン微粒子の製造例5]疎水性酸
化チタン微粒子の製造例1において、疎水化剤の添加量
を15重量部とし、疎水化処理後にpH6.5に調整し
た後、酸化チタンスラリー1をボールミルで充分に粉砕
すること以外は同様にして、疎水性酸化チタン微粒子E
を得た。この得られた疎水性酸化チタン微粒子Eについ
て各種の測定を行なったところ、X線回折においては、
2θ=25.0deg.のときに、Imax.=0.7Kc
ps、2θ=30.1deg.のときにImin.=0.1
1Kcpsであった。又、BET表面積=349m2
g、嵩=16.5cc/g、平均粒径=20nmであっ
た。
【0079】[酸化チタン微粒子の製造例6]疎水性酸
化チタン微粒子の製造例2において、疎水化剤の添加量
を65重量部とし、疎水化処理後の解砕処理を酸化チタ
ンの凝集体が存在しなくなるまで繰り返し行うこと、そ
して、濾過、乾燥した後、140℃で3時間焼き付けを
行うこと以外は同様にして、疎水性酸化チタン微粒子F
を得た。この得られた疎水性酸化チタン微粒子Fについ
て各種の測定を行なったところ、X線回折においては、
2θ=25.7deg.のときにImax.=1.17Kc
psであり、2θ=31.2deg.のときにImin.
0.10Kcpsであった。又、BET表面積=100
2/g、嵩=6.9cc/g、平均粒径=83nmで
あった。
【0080】[疎水性酸化チタン微粒子の製造例7]出
発原料として、TiO2相当分を50%含有したイルメ
ナイト鉱石を使用した。この原料を、150℃で2時間
乾燥させ、平均粒径が1mm程度にまるまで粉砕を行っ
た後、硫酸を添加して溶解させることによって、TiO
SO4溶液を120℃で加水分解して、TiO2相当分を
85%含有したTiO(OH)2スラリーを得た。この
得られたスラリーをpH5〜6で繰り返し水洗浄して、
硫酸、FeSO4及び不純物を充分に除去した。そし
て、メタチタン酸スラリー2〔TiO(OH)2〕を得
た。次に、上記で得られたメタチタン酸スラリー2を、
400℃で5時間加熱処理した後、充分に解砕処理を行
い、BET=120m2/g、平均粒径=100nm、
親水性を有するアナターゼ型結晶の酸化チタンを得た。
次に、水系中で、上記で得られた親水性アナターゼ型結
晶の酸化チタン100重量部に対して、製造例1で用い
たと同様の疎水化剤を固形分で25重量部となるように
用いて、充分に分散させながら滴下混合し、疎水化処理
を行った。これを、濾過、120℃で5時間乾燥した
後、170℃で5時間加熱処理し、その後、酸化チタン
微粒子の凝集体がなくなるまで、解砕処理を行って疎水
性酸化チタン微粒子Gを得た。得られた疎水性酸化チタ
ン微粒子Gについて各種の測定を行なったところ、X線
回折においては、2θ=25.3deg.のときに、I
max.=1.85Kcps、2θ=29.1deg.のと
きにImin.=0.11Kcpsであった。又、BET表
面積=91m2/g、嵩=7.3cc/g、平均粒径1
31nmであった。
【0081】[疎水性酸化チタン微粒子の製造例8]疎
水性酸化チタン微粒子の製造例7で得られたメタチタン
酸スラリー2を150℃で3時間加熱処理した後、充分
に解砕処理を行い、BET=130m2/g、平均粒径
=93nmの親水性を有するアナターゼ型結晶の酸化チ
タンを得た。次に、水系中で上記親水性の酸化チタン1
00重量部に対して、て製造例1で用いたと同様の疎水
化剤を固形分で20重量部を用い、充分に分散させなが
ら滴下混合し、疎水化処理を行った。これを、濾過、1
70℃で3時間加熱処理し、その後、酸化チタン微粒子
の凝集体がなくなるまで、解砕処理を行い、疎水性酸化
チタン微粒子Hを得た。この得られた疎水性酸化チタン
微粒子Hについて各種の測定を行なったところ、X線回
折においては、2θ=25.4deg.のときに、I
max.=1.47Kcps、2θ=29.3deg.のと
きにImin.=0.11Kcpsであった。又、BET表
面積=109m2/g、嵩=7.5cc/g、平均粒径
111nmであった。
【0082】[疎水性酸化チタン微粒子の製造例9]疎
水性酸化チタン微粒子の製造例2で得られた酸化チタン
微粉体2をトルエン中で均一分散させた後、製造例1で
用いたと同様の疎水化剤を酸化チタン微粒子100重量
部に対して固形分で20重量部となるように用い、撹拌
しながら滴下混合して加水分解反応させる。これを、濾
過、乾燥した後、120℃で焼き付けし、その後解砕処
理して疎水性酸化チタン微粒子Iを得た。得られた疎水
性酸化チタン微粒子Iについて各種の測定を行なったと
ころ、X線回折においては、2θ=39.6deg.の
ときに、Imax.=0.13Kcps、2θ=20.6d
eg.のときに、Imin.=0.04Kcpsであった。
又、BET表面積=120m2/g、嵩=10.0cc
/g、平均粒径27nmであった。
【0083】[疎水性酸化チタン微粒子の製造例10]
疎水性酸化チタン微粒子の製造例2において使用した、
酸化チタン微粉体1を800℃で6時間焼成すること以
外は製造例2と同様にして、疎水性酸化チタン微粒子J
を得た。得られた疎水性酸化チタン微粒子Jについて各
種の測定を行なったところ、X線回折においては、2θ
=25.5deg.のとき、Imax.=1.85Kcps
であり、2θ=29.4deg.のときImin.=0.1
2Kcpsであった。又、BET=80m2/g、嵩=
4.9cc/g、平均粒径70nmであった。
【0084】[疎水性酸化チタン微粒子の製造例11]
四塩化チタンの火炎法によって得られる親水性のアナタ
ーゼ型結晶とルチル型結晶が混在した酸化チタン微粉体
を100重量部、トルエン中に均一分散させた。その
後、製造例1で用いたと同様の疎水化剤を固形分で20
重量部、粒子が凝集しないように分散させながら滴下混
合して加水分解反応させた。これを、濾過、乾燥した
後、120℃で焼き付けし、その後解砕処理して疎水性
酸化チタン微粒子Kを得た。得られた疎水性酸化チタン
微粒子Kについて各種の測定を行なったところ、X線回
折においては、2θ=27.3deg.のときに、I
max.=1.68Kcpsであり、2θ=29.2de
g.のときImin.=0.12Kcpsであった。又、B
ET=65m2/g、嵩=8.3cc/g、平均粒径5
5nmであった。
【0085】[疎水性酸化チタン製造例12]出発原料
として、TiO2相当分を54%含有したイルメナイト
鉱石を使用した。この原料を、250℃で4時間乾燥さ
せ、平均粒径が30μm程度になるまで粉砕を行った
後、硫酸を添加して溶解させることによって、TiOS
4溶液を得た。これを濃縮させた後、TiOSO4を1
20℃で加水分解して、TiO2相当分を70%含有し
たTiO(OH)2スラリーを得た。この得られたスラ
リーをpH5〜6で繰り返し水洗浄して、硫酸、FeS
4及び不純物を充分に除去した。そして、メタチタン
酸スラリー3〔TiO(OH)2〕を得た。
【0086】次に、上記出会えられたメタチタン酸スラ
リー3のpH8〜9に調整し、ボールミルで充分に粉砕
を行った後、充分に撹拌しながらスラリーの温度を30
℃、pH2程度に調整した。次に、このメタチタン酸ス
ラリー100重量部に対して製造例1で用いたと同様の
疎水化剤を固形分で30重量部となるように用いて、粒
子が凝集しないように分散させながら滴下混合し、反応
させた。更に、充分に撹拌しながら、スラリーのpHを
6.5に調整する。その後、ボールミルで充分に粉砕を
行う。これを、濾過、乾燥した後、120℃で3時間加
熱処理し、その後、酸化チタン微粒子の凝集体がなくな
るまで、繰り返し解砕処理を行って疎水性酸化チタン微
粒子Lを得た。得られた疎水性酸化チタン微粒子Lにつ
いて各種の測定を行なったところ、X線回折において
は、2θ=24.8deg.のときに、Imax.=1.1
1Kcpsであり、2θ=31.7deg.のときにI
min.=0.12Kcpsであった。又、BET表面積=
213m2/g、嵩=22.0cc/g、平均粒径=2
2nmであった。
【0087】[疎水性酸化チタン製造例13]疎水性酸
化チタン製造例1において、イルメナイト鉱石の粉砕を
行わないこと、疎水化処理時の濾過、乾燥後に行う解砕
処理を1回とする以外は疎水性酸化チタン製造例1と同
様にして、疎水性酸化チタン微粒子Mを得た。得られた
疎水性酸化チタン微粒子Mについて各種の測定を行なっ
たところ、X線回折においては、 2θ=25.3de
g.のときに、Imax.=1.04Kcpsであり、2θ
=32.5deg.のときに、Imin.=0.13Kcp
sであった。又、BET表面積=60m2/g、嵩=
3.9cc/g、平均粒径=95nmであった。上記で
得られた疎水性酸化チタン微粒子A〜Mの特性値を表1
にまとめて示した。
【0088】表1:疎水性酸化チタン微粒子(A〜M)
の特性値
【0089】 実施例1 ・プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸を縮重合して得られたポリエステル 樹脂 100重量部 ・フタロシアニン顔料 4重量部 ・ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯体 4重量部 上記成分をヘンシェルミキサーにより充分予備混合を行
い、二軸押出式混練機により溶融混練し、冷却した後、
ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次
いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。
更に、得られた微粉砕物を分級して、重量平均粒径が
6.1μmであり、その粒度分布において、8.0μm
以上の粒子を9.4体積%含有し、4.0μm以下の粒
子を、N=39.0個数%、及びV=9.7体積%(N
/V=4.02、k=5.97)含有する負摩擦帯電性
のシアン色の粉体を得た。上記で得られたシアン色粉体
を100重量部と、先に作製した疎水性酸化チタン微粒
子Aを1.5重量部とをヘンシェルミキサーで混合し、
シアントナーを得た。得られたトナーについて、先に述
べた方法で凝集度を測定し、得られた結果を表2に示し
た。
【0090】このシアントナーに、シリコン樹脂コート
キャリアをトナー濃度が6%の割合となるように混合し
て2成分系現像剤を作製した。そして、得られた現像剤
をカラー複写機CLC−800(キヤノン製)に搭載し
て、画像面積比率25%のオリジナル原稿を用いて、高
温高湿環境下(30℃/80%)、常温低湿環境下(2
3℃/5%)で、普通紙に夫々1万枚ずつの画出し(耐
刷試験)を行なった。そして、耐刷試験で得られた画像
の状態(画像濃度、カブリ、トナー飛散、ハイライト再
現性)、耐刷試験後の感光体表面の状態、耐刷試験後に
おける現像剤中のトナー濃度の安定性を、下記の方法で
評価し、その結果を表2に示した。更に、OHP用の記
録シートに画像を形成し、透過性の評価も行なった。
【0091】1.OHP透過性 OHP用シートにトナー像を転写し、定着したものをオ
ーバーヘッドプロジェクターで透光し、スクリーン上の
投影像を観察する。 ◎:(良好)スクリーン上の投影像は鮮明であり、色の
くすみも見られない。 ○:(実用上問題なし)スクリーン上の投影像は鮮明
で、若干色のくすみが見られるが、実用上問題のないレ
ベルである。 △:(実用上問題あり)スクリーン上の投影像が鮮明性
に欠け、色のくすみが見られ、実用上問題となるレベル
である。 ×:(使用不可)スクリーン上の投影像が不鮮明であ
り、色のくすみが見られ実用不可能なレベルである。
【0092】2.トナー濃度の安定性 耐久1万枚後に現像容器内から現像剤を取り出し、現像
剤中のトナー濃度は、少量の界面活性剤を添加した水で
洗浄してトナーを除去することによって測定した。そし
て、トナー濃度の安定性を下記の基準で評価した。 ◎:良好 ○:実用上問題なし △:実用上問題あり ×:使用不可
【0093】3.画像濃度 マクベス画像濃度測定装置を用いて、ベタ黒部分の画像
濃度を測定した。
【0094】4.カブリ カブリの評価は、東京電色社製REFRECTOMET
ER MODEL TC−6DSを使用して測定し、シ
アントナー画像ではamberフィルターを使用し、下
記式より算出した。数値が小さい程、カブリが少ないこ
とを示す。 ◎:カブリが1.0%以下であり、良好なレベル。 ○:カブリが1.0%〜2.0%であり、実用上問題の
ないレベルである。 △:カブリが2.0%〜4.0%であり、実用上問題と
なるレベルである。 ×:カブリが4.0%以上であり、実用不可能なレベル
である。
【0095】5.トナー飛散 耐久1万枚後の現像装置、本体内現像装置周辺のトナー
による汚れ具合を観察する。 ◎:現像装置、本体内現像装置周辺のトナーによる汚れ
が全く観察されない。 ○:現像装置で微量のトナーによる汚れが観察されるが
実用上問題のないレベルである。 △:現像装置、本体内現像装置周辺のトナーによる汚れ
が観察され、実用上問題となるレベルである。 ×:現像装置、本体内現像装置周辺がトナーによって著
しく汚れ、実用不可能なレベルである。
【0096】6.ハイライト再現性 マクベス画像濃度0.3〜0.6の画像を出力し、濃度
の均一性、がさつきの程度を目視により評価する。 ◎:画像濃度の均一性に優れた良好な出力画像である。 ○:画像濃度の均一性にやや欠けるが、実用上問題のな
いレベルである。 △:画像濃度の均一性にが悪く、がさついた出力画像で
あり、実用上問題となるレベルである。 ×:画像濃度の均一性が著しく悪く、がさついた出力画
像であり、実用不可能なレベルである。 7.感光体表面の状態 耐久1万枚後の感光体表面を走査電子顕微鏡で観察し、
下記の基準で評価した。
【0097】この結果、本実施例で使用した現像剤は、
表2に示した通り、耐刷試験における画像濃度及びトナ
ー帯電量の変動が極めて小さく(カブリの発生がな
い)、1万枚後のトナー飛散も見られなかった。又、画
質に関してはハイライト再現性が良好であり、高精細、
高画質の画像が得られ、非常に優れた結果であった。
又、耐久1万枚後においても感光体表面を走査電子顕微
鏡で観察したところ、付着物及び傷は全く認められず非
常に良好な表面状態であった。尚、以下の実施例及び比
較例についても同様の評価を行った。その結果も表2に
まとめて示した。
【0098】実施例2 疎水性酸化チタン微粒子Bを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後でもトナー帯電量の変動が小さく、画
像濃度が高く且つ安定しており、カブリがなく、ハイラ
イト再現性に優れ、トナー飛散も発生せず、高精細な画
像が得られた。又、耐久後の感光体表面には、付着物
も、傷の発生も認められなかった。
【0099】実施例3 疎水性酸化チタン微粒子Cを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚を通してトナー帯電量の変動が小さく、
画像濃度が安定し、カブリもなく、トナー飛散も発生せ
ず良好な結果が得られた。但し、ハイライト再現レベル
が若干悪かった。又、耐久後の感光体表面に、数カ所で
トナー付着が認められた。しかし、実用上問題になるよ
うなレベルではなかった。
【0100】実施例4 疎水性酸化チタン微粒子Dを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後でもトナー帯電量の変動が小さく、画
像濃度が高く且つ安定し、カブリのない良質な画像が得
られた。又、トナー飛散も発生せず良好な結果が得られ
た。更に、耐久後の感光体表面に、付着物も、傷の発生
も認められなかった。表2に示したように、本実施例の
トナーは、凝集度が若干高く、このため、ハイライト部
の再現性に関して若干の難点が認められたものの、実用
上問題となるほどのレベルではなかった。
【0101】実施例5 疎水性酸化チタン微粒子Eを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後で若干画像濃度が高くなり、カブリの
発生も見られ、極く少量のトナー飛散も生じた。これ
は、耐久につれてトナー帯電量が若干低下したためと考
えられる。しかしながら、これらの現象は、いずれも実
用上問題となるほどのレベルではなかった。又、耐久後
における感光体表面への付着物や傷の発生は認められな
かった。
【0102】実施例6 疎水性酸化チタン微粒子Fを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後に画像濃度がやや低下したものの、カ
ブリ、トナー飛散も見られず良好な結果が得られた。こ
れは、耐久1万枚後で若干トナー帯電量が上昇したため
と考えられる。又、耐久後の感光体表面に、酸化チタン
微粒子の凝集体によるものと思われる僅かな傷の発生が
認められたが、画像欠陥は生じておらず、実用上問題と
なるようなレベルではなかった。
【0103】比較例1 疎水性酸化チタン微粒子Gを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後に、画像濃度が著しく上昇し、カブ
リ、トナー飛散が発生した。これら現象は、特に、高温
高湿環境下で顕著に発生した。これは、耐久につれて、
トナー帯電量が極端に低下し、且つ帯電量分布幅が広く
なってしまったためと考えられる。又、耐久後の感光体
表面を観察したところ、全面に深い傷が多数生じている
様子が見られ、これらの傷が画像欠陥として現われてい
た。本比較例で使用した疎水性酸化チタン微粒子Gは、
表1に示したように、X線回折の(Imax./Imin.)の
値が大きく、酸化チタン微粒子の凝集体が多数含まれて
いることを示している。このため、トナーに添加した場
合に、充分なトナー流動性が得らない上に、感光体表面
を傷つけてしまったものと考えられる。又、疎水性酸化
チタン微粒子Gは、X線回折の(Imax./Imin.)の値
が大きく、このような酸化チタン微粒子は、疎水化剤と
の反応点となるOH基が極端に少ないので疎水化剤との
均一な反応が達成されず、トナー帯電量の制御が困難と
なり、これらのことが原因となって上記のような弊害を
生じたものと考えられる。
【0104】比較例2 疎水性酸化チタン微粒子Hを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後に画像濃度が上昇し、カブリ、トナー
飛散が発生した。これは、耐久1万枚後で若干トナー帯
電量が上昇したためと考えられる。これら現象は、特
に、高温高湿環境下で顕著に発生した。又、耐久後の感
光体表面を観察したところ、全面に深い傷が多数発生し
ている様子が見られ、これらの傷は画像欠陥として現わ
れていた。本比較例で使用した疎水性酸化チタン微粒子
Hは、疎水化処理前に焼成しているために結晶が成長し
ていると考えられる上に、表1に示したように、X線回
折の(Imax./Imin.)の値が大きく、酸化チタン微粒
子の凝集体が多数含まれていることを示している。これ
らが原因して、疎水性酸化チタン微粒子Hをトナーに添
加した場合には、流動性が充分に得らないだけでなく、
感光体表面を傷つけてしまうものと考えられる。又、O
HPの透過性レベルが若干悪かったのも、酸化チタン微
粒子の結晶成長や凝集体の成長が進んでいるために、O
HPで投影した際に光の遮蔽性が著しく高くなってしま
たためと考えられる。又、比較例1で使用した疎水性酸
化チタン微粒子Gと同様に、疎水化剤との均一な反応が
達成されていないため、トナー帯電量の制御が困難であ
り、これらのことが原因となって上記のような弊害を生
じているものと考えられる。
【0105】比較例3 疎水性酸化チタン微粒子Iを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後でも、画像濃度の変動は、問題となら
ないレベルであった。又、トナー帯電量の変動によって
画像に生じると考えられる、カブリ、トナー飛散は見ら
れたものの問題のないレベルであった。しかし、耐久後
の感光体表面を観察したところ、傷は付いていないもの
のトナーの付着しているところが多数確認された。そし
て、トナーの付着している部分は、画像欠陥として現わ
れており、実用上に適さないレベルであった。本比較例
で使用した疎水性酸化チタン微粒子Iは、表1に示した
ように、(Imax./Imin.)の値が3.3と小さく、X
線回折においてピークを有しないことから、非結晶の酸
化チタンであるといえる。このため、本比較例で使用し
た疎水性酸化チタン微粒子Iは、全く結晶成長しておら
ず粒子としては柔らかいものとなるので、平均粒径が2
7nmの微粒子であっても、トナーに対する研磨性付与
能が極端に低く、感光体表面に付着したトナーを除去す
ることができなかったものと考えられる。
【0106】比較例4 疎水性酸化チタン微粒子Jを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、画像濃度が上昇し、カブリ、トナー飛散が生じた。
これは、耐久1万枚後にトナー帯電量が低下し、更には
帯電量分布幅が広くなってしまったためと考えられる。
又、耐久後の感光体表面を観察したところ、全面に傷が
多数発生している様子が見られ、これらの傷の部分は、
画像上に白い点として現われていた。本比較例で使用し
た疎水性酸化チタン微粒子Jは、高温で長時間焼成して
得られた酸化チタン微粉体を疎水化処理したものである
ために、結晶が成長していると考えられ、表1に示した
ように、X線回折の(Imax./Imin.)の値が大きく、
BET比表面積も低く、凝集体を多量に含んでいること
を示している。このような疎水性酸化チタン微粒子Jを
添加した場合には、トナー流動性が充分に得られないた
め、ハイライト再現性レベルが悪くなり、トナー帯電量
の制御が困難となるので、上記した弊害が生じるものと
考えられる。又、酸化チタンの凝集体が感光体表面を傷
つけたしまうものと考えられる。更に、OHPの透過性
レベルが若干悪かったのも、酸化チタン微粒子の結晶成
長や凝集体の成長が進んでいるために、OHPで投影し
た際に光の遮蔽性が著しく高くなってしまたためと考え
られる。
【0107】比較例5 疎水性酸化チタン微粒子Kを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、画像濃度が上昇し、カブリ、トナー飛散も発生し
た。これは、耐久1万枚後にトナー帯電量が低下し、且
つ帯電量分布がブロード化したためと考えられる。又、
耐久後の感光体表面には、全面に多数の深い傷が生じて
いる様子が観察され、これらの傷は画像欠陥として現わ
れた。本比較例で使用した疎水性酸化チタン微粒子K
は、アナターゼ型及びルチル型に結晶化されており、表
1に示したように、X線回折の(Imax./Imin.)の値
が大きく、又、BET比表面積が低く、凝集体を多数含
んでいることを示している。このような疎水性酸化チタ
ン微粉体Kをトナーに添加した場合には、充分なトナー
流動性が得られない上に、感光体表面を傷つける。更に
は、トナー帯電量の制御が困難となる。これらのことが
原因となって、上記のような弊害を生じたものと考えら
れる。
【0108】比較例6 疎水性酸化チタン微粒子Lを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後で、どちらの環境においても画像濃度
が大きく上昇し、カブリ、トナー飛散が著しく発生し、
ハイライト再現性レベルも悪かった。又、耐久後のドラ
ム表面を観察したところ、多くの場所でトナーが付着し
ており、その部分は画像欠陥となって現れていた。疎水
性酸化チタン微粒子Lは嵩が22cc/gと高いため
に、トナーの流動性が高くなり過ぎて、トナーの帯電不
良が発生したり、研磨性の低下を生じ、前述のような現
象が発生したものと考えられる。又、本比較例では、本
発明で採用する粒度分布を有するトナー粒子に疎水性酸
化チタン微粒子Lを混合しているが、この場合には、特
に、酸化チタン微粒子の嵩が高すぎることも影響して、
トナー粒子表面に均一分散されないことが生じると考え
られる。このため、表2に示したように、OHP透過性
レベルが悪かった上に、OHP透明性レベルの均一性と
いう点でも好ましくなかった。更に、トナー粒子の一つ
一つの流動性が異なってしまうため、実機耐久でのトナ
ー補給時に排出性が安定せず、その結果として、現像剤
中のトナー濃度が変動し、画像濃度変動、カブリ、トナ
ー飛散等の問題を生じたものと考えられる。
【0109】比較例7 疎水性酸化チタン微粒子Mを用いた以外は実施例1と同
様にして2成分系現像剤を作製し、更に得られた現像剤
を用いて実施例1と同様の耐刷試験を行ない、実施例1
と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久1万枚後で、画像濃度が大きく低下し、カブ
リ、トナー飛散が著しく発生した。又、ハイライト再現
性レベルが悪く、高精細、高画質な画像は得られなかっ
た。更に、耐久後のドラム表面を観察したところ、全面
に傷が多数発生している様子が観察され、これらの傷の
部分は、画像上に白い点として現れていた。酸化チタン
微粒子Mは、表1に示したように、嵩が低い上に、BE
T比表面積が低く、凝集体を多数含んでいることを示し
ており、トナーの流動性が悪く、特に、感光体表面とク
リーニング部材の当接部でのトナーの搬送性が悪くな
り、又、酸化チタンの凝集体が存在することも影響し
て、感光体表面に多数の傷を発生させたものと考えられ
る。更に、本比較例では、本発明で採用する粒度分布を
有するトナー粒子に疎水性酸化チタン微粒子Mを混合し
ているが、この場合には、特に、トナー粒子表面の酸化
チタン微粒子の存在状態が、トナー粒子毎に極端に異な
ったものとなることが生じると考えられる。このため、
本比較例で使用する疎水性酸化チタン微粒子Mでは、ハ
イライト再現性に有利なトナー粒子のポテンシャルを充
分に引き出すことができないと考えられる。
【0110】比較例8 重量平均粒径が1.86μmであり、その粒度分布にお
いて、4.0μm以下のトナー粒子が、V=99.3体
積%、N=91.5個数%であり(N/V=0.92、
k=5.50)、8.0μm以上のトナー粒子が、N=
0体積%である負摩擦帯電性のシアン色の粉体(トナ
ー)を使用した以外は実施例1と同様にして2成分系現
像剤を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この結
果、表2に示したように、耐久1万枚後で、画像濃度が
大きく低下し、カブリ、トナー飛散も発生した。これ
は、トナーの重量平均粒径が小さく、超微粒子トナーが
多量に存在しているため、酸化チタンとの組み合わせに
おいては、トナーの単位重量当たりの帯電量が極端に高
くなり、著しい画像濃度低下が発生したものと考えられ
る。更に、キャリアとの接触帯電がスムーズに行われて
いないために、帯電不良のトナーが増大し、カブリ、ト
ナー飛散を発生させたものと考えられる。
【0111】比較例9 重量平均粒径が10.94μmであり、その粒度分布に
おいて、4.0μm以下のトナー粒子が、V=0.1体
積%、N=8.6個数%(N/V=86、k=86.
4)、8.0μm以上のトナー粒子が80.7体積%で
ある負摩擦帯電性のシアン色の粉体(トナー)を使用し
た以外は実施例1と同様にして現像剤を作製し、実施例
1と同様の評価を行った。この結果、表2に示したよう
に、耐久の前後で画像濃度に大きな変化はなく、カブ
リ、トナー飛散の発生も見られなかった。しかし、ハイ
ライト再現性に乏しく、高精細な画像は得られなかっ
た。これは、トナーの重量平均粒径が大きく、高画質
化、ハイライト再現性に寄与する微粒子トナーが極端に
少ない上に、疎水性酸化チタンとの組み合わせにおい
て、トナーのハイライト再現性を高めることができなか
ったためと考えられる。
【0112】表2:評価結果 *1:感光体表面に深い傷あり、 *2:感光体表面に
トナー付着
【0113】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
良好な帯電性、流動性、転写性を有しており、これを使
用して画像を形成した場合に、あらゆる環境下で高精細
且つ高品位な画像が安定して得られる電子写真用トナー
が提供される。又、本発明によれば、トナー中に含有す
る疎水性酸化チタン微粒子の研磨効果によって、長期間
の使用においても感光体表面への付着物が発生せず、
又、感光体表面に付着物が発生した場合にも、それを研
磨、除去することができるので、画像欠陥のない高品位
な画像を安定的に得られる電子写真用トナーが提供され
る。更に、本発明によれば、特定な嵩、特定の(Imax.
/Imin.)の値を有する疎水性酸化チタン微粒子を含有
しているため、OHP画像を投影した際にOHP透過性
が高く、高精細な投影画像を安定的に得られる電子写真
用トナーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用トナーを使用することので
きる現像装置の一具体例を示す概略説明図である。
【図2】疎水性酸化チタン微粒子AのX線回折チャート
である。
【符号の説明】
1:潜像保持体(感光ドラム) 2:現像剤担持体(現像スリーブ) 3:ホッパー 4:供給ローラー 5:現像剤塗布ブレード 6:電源

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナー粒子と疎水性酸化チタン微粒子と
    を有する電子写真用トナーにおいて、上記疎水性酸化チ
    タン微粒子が、X線回折において、2θ=20.0〜4
    0.0deg.の範囲における最大強度Imax.と最小強
    度Imin.との強度比(Imax./Imin.)が、5.0≦
    (Imax./Imin.)≦12.0の範囲にあり、且つ、そ
    のBET比表面積が100〜350m2/gで、その嵩
    が5〜20cc/gであり、上記トナー粒子の重量平均
    粒径が3〜9μmであって、且つ、その粒度分布におい
    て、4μm以下の粒径のトナー粒子を5〜70個数%、
    8μm以上の粒子を1〜65体積%含有し、更に、上記
    4μm以下の粒径のトナー粒子の個数%をNとし、その
    体積%をVとした場合に、下記式の関係が成立すること
    を特徴とする電子写真用トナー。 (式中、Nは4μm以下の個数%、Vは4μm以下の体
    積%、kは3.0〜20.0の正の数を表わす。)
  2. 【請求項2】 疎水性酸化チタン微粒子の平均粒径が、
    1〜100nmである請求項1記載の電子写真用トナ
    ー。
  3. 【請求項3】 疎水性酸化チタン微粒子が、疎水化処理
    されており、疎水化度が40〜90%である請求項1又
    は請求項2に記載の電子写真用トナー。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007033947A (ja) * 2005-07-27 2007-02-08 Kyocera Mita Corp 画像形成装置用現像剤
US8129085B2 (en) 2007-07-23 2012-03-06 Sharp Kabushiki Kaisha Toner, method of manufacturing the same, two-component developer, developing device, and image forming apparatus

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