JPH11194325A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JPH11194325A
JPH11194325A JP9360752A JP36075297A JPH11194325A JP H11194325 A JPH11194325 A JP H11194325A JP 9360752 A JP9360752 A JP 9360752A JP 36075297 A JP36075297 A JP 36075297A JP H11194325 A JPH11194325 A JP H11194325A
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liquid crystal
film
crystal cell
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liquid crystalline
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武裕 豊岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示コントラスト、階調特性および表示色の
視野角特性の改良されたツイステッドネマチック型液晶
表示装置を提供する。 【解決手段】 光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子
から実質的に形成され、当該液晶性高分子が液晶状態に
おいて形成したネマチックハイブリッド配向を固定化し
た少なくとも1枚の補償フィルム、電極を備えた一対の
透明基板と当該基板間に挟持されたネマチック液晶とか
ら構成される駆動用ツイステッドネマチック型液晶セル
および当該液晶セルの上下に配置される2枚の偏光板と
から構成され、且つ駆動用ツイステッドネマチック型液
晶セルの白表示時の駆動電圧を、当該液晶セルを構成す
るネマチック液晶分子のチルト角が10〜30度の範囲
になるように設定されているツイステッドネマチック型
液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示コントラス
ト、階調特性および表示色の視野角特性の改良されたツ
イステッドネマチック型液晶表示装置並びにその駆動方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】TFT素子あるいはMIM素子などを用
いたアクティブ駆動のツイステッドネマチック型液晶表
示装置(以下TN−LCDと略称する)は、薄型、軽
量、低消費電力というLCD本来の特長に加えて、正面
から見た場合CRTに匹敵する画質を有するために、ノ
ートパソコン、携帯用テレビ、携帯用情報端末などの表
示装置として広く普及している。しかしながら、従来の
TN−LCDにおいては、液晶分子の持つ屈折率異方性
のため斜めから見たときに表示色が変化するあるいは表
示コントラストが低下するという視野角の問題が本質的
に避けられず、その改良が強く望まれており、改良のた
めの様々な試みがなされている。
【0003】一つの画素を分割してそれぞれの画素への
印可電圧を一定の比で変える方法(ハーフトーングレー
スケール法)、一つの画素を分割してそれぞれの画素で
の液晶分子の立ち上がり方向を変える方法(ドメイン分
割法)、液晶に横電界をかける方法(IPS法)、垂直
配向させた液晶を駆動する方法(VA液晶法)、あるい
はベンド配向セルと光学補償板を組み合わせる方法(O
CB法)などが提案され、開発・試作されている。
【0004】しかしながらこれらの方法は一定の効果は
あるものの、配向膜、電極、液晶配向などを変えなけれ
ばならず、そのための製造技術確立および製造設備の新
設が必要となり、結果として製造の困難さとコスト高を
招いている。一方TN−LCDの構造は一切変えず、従
来のTN−LCDに光学補償フィルムを組み込むことで
視野角を拡大させる方法がある。この方法はTN−LC
D製造設備の改良・増設が不要でコスト的に優れてお
り、簡便に使用できる利点があるため注目されており多
くの提案がある。
【0005】ノーマリーホワイト(NW)モードのTN
−LCDに視野角問題が発生する原因は、電圧を印可し
た黒表示時のセル中の液晶の配向状態にある。この場合
液晶はほぼ垂直配向しており光学的に正の一軸性となっ
ている。したがって視野角を広げるための光学補償フィ
ルムとしては、液晶セルの黒表示時の正の一軸性を補償
するために、光学的に負の一軸性を示すフィルムを用い
る提案がなされている。またセル中の液晶が、黒表示時
においても、配向膜界面付近ではセル界面と平行もしく
は傾いた配向をしていることに着目し、光学軸が傾いた
負の一軸性のフィルムを用いて補償することによって、
さらに視野角拡大効果を高める方法も提案されている。
【0006】例えば特開平4−349424、6−25
0166号公報にはらせん軸が傾いたコレステリックフ
ィルムを用いた光学補償フィルムおよびそれを用いたL
CDが提案されている。しかしながららせん軸が傾いた
コレステリックフィルムを製造することは困難であり、
実際にもこれら特許中にはらせん軸を傾けるための方法
がまったく記載されていない。また特開平5−2495
47、6−331979号公報には光軸が傾いた負の一
軸補償器を用いたLCDが提案されており、具体的な実
施態様としては多層薄膜補償器を用いている。さらに特
開平7−146409、8−5837号公報などにおい
て光軸が傾いた負の一軸性補償フィルムとしてディスコ
チック液晶を傾斜配向させた光学補償フィルム及びそれ
を用いたLCDが提案されている。しかしながらディス
コチック液晶は化学構造が複雑であり合成が煩雑であ
る。また低分子液晶であるためにフィルム化する場合、
光架橋などの複雑なプロセスを必要とし、工業的製造に
困難が伴い結果的にコスト高となる。
【0007】補償フィルムの他の形態としては正の一軸
性を有する液晶性高分子を用いた配向フィルムも提案さ
れている。例えば特開平7−140326号公報におい
てねじれチルト配向した液晶性高分子フィルムからなる
LCD用補償板が提案されており、LCDの視野角拡大
に用いられている。しかしながらチルト配向に加えてね
じれ配向を同時に導入することは工業的には容易ではな
い。また特開平7−198942、7−181324号
公報には類似技術として、ネマチック液晶性高分子を光
軸が板面と交差するように配向させたフィルムからなる
視角補償板及びそれを用いたLCDが提案されている。
しかしながらこの場合も光軸を単純に傾斜させた補償板
を用いているため、視野角拡大効果が十分とは言えず、
特に白表示状態においては補償状態からのずれが最大と
なるため、輝度低下、階調の反転などの特性劣化が起こ
る問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら上記課
題を解決するものであり、特定の駆動電圧に設定された
駆動用ツイステッドネマチック型液晶セルとネマチック
ハイブリッド配向補償フィルムとを組み合わせることに
より、従来にない高コントラスト、広視野角化が達成さ
れたツイステッドネマチック型液晶表示装置およびその
駆動方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の第1
は、光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子から実質的
に形成され、当該液晶性高分子が液晶状態において形成
したネマチックハイブリッド配向を固定化した少なくと
も1枚の補償フィルム、電極を備えた一対の透明基板と
当該基板間に挟持されたネマチック液晶とから構成され
る駆動用ツイステッドネマチック型液晶セルおよび当該
液晶セルの上下に配置される2枚の偏光板とから少なく
とも構成され、且つ駆動用ツイステッドネマチック型液
晶セルの白表示時の駆動電圧を、当該液晶セルを構成す
るネマチック液晶分子のチルト角が10〜30度の範囲
になるように設定されていることを特徴とするツイステ
ッドネマチック型液晶表示装置に関する。さらに本発明
の第2は、駆動用ツイステッドネマチック型液晶セルの
白表示時の駆動電圧を、当該液晶セルを構成するネマチ
ック液晶分子のチルト角が10〜30度の範囲になるよ
うに設定することを特徴とする上記のツイステッドネマ
チック型液晶表示装置の駆動方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳し
く説明する。本発明に用いられる駆動用ツイステッドネ
マチック型液晶セル(以下、TN液晶セルと略す)を駆
動方式で分類すると、単純マトリクス方式、能動素子を
電極として用いるTFT(Thin Film Tra
sistor)電極、MIM(Metal Insul
ator Metal、およびTFD;Thin Fi
lm Diode)電極を用いるアクティブマトリクス
方式等のように細分化できる。本発明では、いずれの駆
動方式のTN液晶セルに対しても所望の駆動電圧に設定
し、当該液晶セルと後述する補償フィルムとを組み合わ
せることにより顕著な視野角改善効果を発揮した液晶表
示装置を得ることができる。本発明に用いられるTN液
晶セルの駆動電圧は、白表示時における当該液晶セルの
ネマチック液晶分子のチルト角を所望の値に設定するこ
とによって特徴付けられる。なお本発明におけるネマチ
ック液晶分子のチルト角とは、当該液晶セルの厚さ方向
における中央部(図1の実線で囲った部分(7))に存
在するネマチック液晶分子のチルト角である。
【0011】一般にノーマリーホワイトモードのTN液
晶セルにおいては、電圧無印加時に当該セルの膜厚方向
における中央部に存在するネマチック液晶分子のチルト
角は、セル基板界面のプレチルト角の値とほぼ同等、ま
たはねじれ構造の安定化のために添加されるカイラル剤
の影響によって当該プレチルト角より小さな値となって
いる。また白表示時における駆動電圧は、無印加または
無電印加時におけるネマチック液晶の配向構造を変化さ
せない電圧に通常設定されている。本発明に用いるTN
液晶セルの白表示時における駆動電圧は、上記の如き駆
動電圧の設定方法とは異なり、当該液晶セルの厚さ方向
における中央部に存在するネマチック液晶分子のチルト
角が絶対値として通常10〜30度、好ましくは15〜
25度となるように設定することが好ましい。チルト角
が30度より大きくなるように駆動電圧を設定したTN
液晶セルを、後述する補償フィルムと組み合わせて用い
た場合、視野角特性の改善はあるものの、正面輝度の低
下、コントラストの低下を生じる恐れがある。またチル
ト角が10度より小さくなるように駆動電圧を設定した
TN液晶セルを用いた場合には、当該補償フィルムと組
み合わせても視野角特性の改善効果が乏しくなる恐れが
ある。
【0012】上記チルト角を10〜30度の範囲になる
ように設定するための駆動電圧は、TN液晶セルを構成
するネマチック液晶の弾性定数や、当該セルのセルギャ
ップ、ねじれ角、プレチルト角などによって異なるため
一概には言えないが、絶対値として通常0.1V〜2.
3V、好ましくは0.3V〜2.1Vの範囲である。設
定駆動電圧が上記範囲より外れた場合、所望のチルト角
を得ることができない恐れがある。また後述する補償フ
ィルムと組み合わせた場合、視野角特性の改善効果が乏
しくなる恐れがある。また本発明においては、駆動電圧
の印加法については特に制限はない。通常電圧を印加す
る方法としては、セル基板内側の電極に外部の駆動回路
から直接電圧を印加する方法、電極に2端子の非線型素
子または3端子の能動素子を配置し、この非線型素子の
スイッチングにより電圧を印加する方法などがある。こ
こで2端子の非線型素子としては、強誘電体を使用した
容量の非線型を利用したもの、電気抵抗の非線型を示す
ダイオード、MIM(Metal Insulator
Metal)、バリスタなどが例示される。また3端子
の能動素子としては、セル基板上に形成したTFT(T
hin Film Transistor)、MOS
(Metal−Oxide Semiconducto
r)アレイ、SOS(Silicon on Sapp
hire)などが例示される。またTN液晶セルの外側
に別途放電セルを設け、放電により発生する電圧を当該
液晶セルに印加する方法もある。本発明においては、い
ずれの方法も用いることができる。
【0013】また本発明に用いられるTN液晶セルは、
当該液晶セルに含まれるネマチック液晶の屈折率異方性
(Δn)と当該液晶セルの液晶層の厚み(d)との積で
示されるΔnd値が、通常300nm〜500nmであ
ることが好ましい。500nmより大きい場合、後述す
る補償フィルムと組み合わせた際の視野角改善効果が乏
しくなる恐れがある。また応答速度が遅くなる可能性も
ある。さらに300nmより小さい場合、当該補償フィ
ルムと組み合わせた際、視野角の改善効果はあるものの
正面の輝度、コントラストの低下を生じる恐れがある。
【0014】またTN液晶セルは、ネマチック液晶の液
晶分子の配向欠陥を低減するためにあらかじめ当該液晶
分子にプレチルト角を与えることが好ましい。プレチル
ト角は通常8°以下である。さらに一般にTN液晶セル
は、当該液晶セル内のネマチック液晶の長軸が上下基板
間で通常90°ねじれている。液晶セルに電圧を印可し
ない状態では入射した直線偏光はその旋光性により90
°ねじれて出射する。液晶セルに電圧を印可すると液晶
分子の長軸は電界方向に配向し旋光性は消失する。よっ
てこの旋光の効果を十分に得るために、本発明に用いら
れるTN液晶セルのツイスト角は、通常70°〜110
°、好ましくは85°〜95°であることが望ましい。
なお当該液晶セル中の液晶分子のねじれ方向は、左およ
び右方向のどちらでも良い。
【0015】次いで本発明に用いられる補償フィルムに
ついて説明する。当該フィルムは、光学的に正の一軸性
を示す液晶性高分子、具体的には、 光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子化合物、また
は 少なくとも1種の該液晶性高分子化合物を含有する光
学的に正の一軸性を示す液晶性高分子組成物、 から成り、該液晶性高分子化合物または該液晶性高分子
組成物が液晶状態において形成したネマチックハイブリ
ッド配向を固定化して形成される。
【0016】当該補償フィルムは、ネマチックハイブリ
ッド配向を固定化したフィルムであるがため、液晶性高
分子のダイレクターがフィルムの膜厚方向のすべての場
所において異なる角度を向いている。したがって当該補
償フィルムは、フィルムという構造体として見た場合、
もはや光軸は存在しない。
【0017】このようなネマチックハイブリッド配向を
固定化した補償フィルムは、該フィルムの上面と下面と
では光学的に等価ではない。したがって上記において説
明したTN液晶セルに配置する場合、どちらの面を該液
晶セル側に配置するかによって視野角拡大効果が多少異
なる。本発明では、どちらの面を配置しても十分な視野
角拡大効果を得ることができるが、なかでも補償フィル
ムの上下2面の内、液晶性高分子のダイレクターとフィ
ルム平面との成す角度が小さな方の面を液晶セルに最も
近接するように配置することが望ましい。ここで本発明
に用いられる補償フィルムの種々のパラメーターについ
て説明する。
【0018】先ず補償フィルムの膜厚は、通常0.1〜
20μm、好ましくは0.2〜10μm、特に好ましく
は0.3〜5μmの範囲である。膜厚が0.1μm未満
の時は、十分な補償効果が得られない恐れがある。また
膜厚が20μmを越えるとディスプレーの表示が不必要
に色づく恐れがある。
【0019】次いで補償フィルムの法線方向から見た場
合の面内の見かけのリターデーション値について説明す
る。ネマチックハイブリッド配向したフィルムでは、ダ
イレクターに平行な方向の屈折率(以下neと呼ぶ)と
垂直な方向の屈折率(以下noと呼ぶ)が異なってい
る。neからnoを引いた値を見かけ上の複屈折率とし
た場合、見かけ上のリターデーション値は見かけ上の複
屈折率と絶対膜厚との積で与えられる。この見かけ上の
リターデーション値は、エリプソメトリー等の偏光光学
測定により容易に求めることができる。該補償フィルム
の見かけ上のリターデーション値は、550nmの単色
光に対して、通常5〜500nm、好ましくは10〜3
00nm、特に好ましくは15〜150nmの範囲であ
る。見かけのリターデーション値が5nm未満の時は、
十分な視野角拡大効果が得られない恐れがある。また、
500nmより大きい場合は、斜めから見たときにディ
スプレーに不必要な色付きが生じる恐れがある。
【0020】次いで補償フィルムの上下界面におけるダ
イレクターの角度について説明する。該ダイレクターの
角度は、フィルムの上面または下面界面近傍の一方にお
いては、絶対値として通常60度以上90度以下、好ま
しくは80度以上90度以下の角度をなし、当該面の反
対面においては、絶対値として通常0度以上50度以
下、好ましくは0度以上30度以下である。
【0021】次いで補償フィルムの平均チルト角につい
て説明する。本発明においては、膜厚方向における液晶
性高分子のダイレクターと基板平面との成す角度の平均
値を平均チルト角と定義する。平均チルト角は、クリス
タルローテーション法を応用して求めることができる。
本発明に用いる補償フィルムの平均チルト角は、通常1
0〜60度、好ましくは20〜50度の範囲である。平
均チルト角が上記の範囲から外れた場合には、十分な視
野角拡大効果が得られない恐れがある。
【0022】本発明に用いられる補償フィルムは、上述
の液晶性高分子が実質的に形成され、該液晶性高分子の
ネマチックハイブリッド配向を有し、かつ上記のパラメ
ーターを有するものであれば特に限定されない。
【0023】本発明の液晶表示装置に用いられる補償フ
ィルムについてさらに詳しく説明する。該補償フィルム
を形成する液晶性高分子とは、具体的にはホメオトロピ
ック配向性液晶性高分子、より具体的にはホメオトロピ
ック配向性液晶性高分子化合物または少なくとも1種の
ホメオトロピック配向性の液晶性高分子化合物を含有す
る液晶性高分子組成物である。
【0024】ここでホメオトロピック配向とは、液晶の
ダイレクターが基板平面に対して略垂直に配向した状態
をいう。このホメオトロピック配向性液晶性高分子が、
本発明に用いる補償フィルムが形成しているネマチック
ハイブリッド配向を実現するための必須成分である。
【0025】液晶性高分子がホメオトロピック配向性で
あるか否かの判定は、基板上に液晶性高分子層を形成
し、その配向状態を判定することで行う。この判定に用
いることのできる基板としては特に限定はないが、例え
ばガラス基板、より具体的には、ソーダガラス、カリガ
ラス、ホウ珪酸ガラス、クラウンガラス、フリントガラ
スといった光学ガラスなどや、液晶性高分子の液晶温度
において耐熱性のあるプラスチックフィルムまたはシー
ト、より具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポ
リアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテル
ケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフ
ォンなどを基板として用いることができる。なお、上記
に例示した基板は、酸、アルコール類、洗剤などで表面
を清浄にした後に用いるが、シリコン処理などの表面処
理は行わずに用いる。
【0026】本発明におけるホメオトロピック配向性液
晶性高分子とは、上記に例示した基板上に液晶性高分子
の膜を形成し、該液晶性高分子が液晶状態を示す温度に
おいて、該基板の内どれか1種の基板上にてホメオトロ
ピック配向を形成するものをホメオトロピック配向性液
晶性高分子と定義する。ただし、液晶性高分子の種類や
組成などによっては、液晶−等方相転移点付近の温度で
特異的にホメオトロピック配向するものがある。したが
って、通常、液晶−等方相転移点より15℃以下、好ま
しくは20℃以下の温度で行うことが望ましい。
【0027】該ホメオトロピック配向性液晶性高分子と
しては、例えば、 液晶性高分子の主鎖を構成する構造単位中に嵩高い
置換基を有する芳香族基、長鎖アルキル基を有する芳香
族基、フッ素原子を有する芳香族基等を有する液晶性高
分子、 液晶性高分子鎖の末端または両末端に、炭素数3〜
20の長鎖アルキル基または炭素数2〜20の長鎖フル
オロアルキル基などを有し、モノアルコールやモノカル
ボン酸などの官能性部位を一つ有する化合物から誘導さ
れる一官能性の構造単位を有する液晶性高分子、 などが挙げられる。
【0028】上記の液晶性高分子に用いられる一官能
性の構造単位とは、液晶性高分子である縮合重合体を形
成する際に用いる二官能性単量体がもつ官能基に相当す
る官能基を1個持つ単量体を該重合体の製造時(重合反
応中または重合反応後)に共存させて該重合体分子中に
組み込まれた構造のことをいい、通常該重合体分子の片
末端または両末端に組み込まれる。従って該重合体分子
中に存在する該一官能性の構造単位の数は通常1分子あ
たり1〜2個である。該一官能性の構造単位を一般式で
表すと次のようになる。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】上記一般式において、R1 およびR2 は同
一または異なっていても良い。R1およびR2 は、炭素
数3〜20の長鎖アルキル基または炭素数2〜20の長
鎖フルオロアルキル基を表す。具体的には、
【0032】
【化3】
【0033】などを好ましいものとして例示することが
できる。またXは、水素、フッ素、塩素などのハロゲン
などである。またiは、0または1である。またjは、
0または1である。またkは、0または1である。さら
にaは0または1、bは0または1である。但し、a+
b≠0である。上記のモノアルコール、モノカルボン酸
およびこれらの機能性誘導体より形成される一官能性の
構造単位として、
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】などを好ましい単位として例示することが
できる。上記に例示した一官能性の構造単位から選ばれ
る1種若しくは2種によって高分子鎖の片末端または両
末端を構成する。なお両末端に該構造単位を有する際に
は、両末端の単位が同一である必要はない。
【0038】具体的な液晶性高分子としては、および
/またはの条件を満たす例えばポリエステル、ポリイ
ミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイ
ミド等の主鎖型液晶性高分子が挙げられる。これらの中
でも特に合成の容易さ、フィルム化の容易さおよび得ら
れたフィルムの物性の安定性などから液晶性ポリエステ
ルが好ましい。一般的に液晶性ポリエステルの主鎖は、
ジカルボン酸単位、ジオール単位およびオキシカルボン
酸単位などの二官能性構造単位や該単位以外の多官能性
の構造単位から形成される。本発明に用いられる補償フ
ィルムを形成する液晶性ポリエステルとしては、主鎖中
にオルソ置換芳香族単位を有するものがより好ましい。
具体的には次に示すようなカテコール単位、サリチル酸
単位、フタル酸単位、2,3−ナフタレンジオール単
位、2,3−ナフタレンジカルボン酸単位およびこれら
のベンゼン環に置換基を有するものなどを挙げることが
できる。
【0039】
【化7】
【0040】(YはCl、Brなどのハロゲン、メチル
基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基またはフェニル
基を示す。またkは0〜2である。) 以下に上記およびの条件を満たすホメオトロピック
配向性の液晶性ポリエステルの具体的な構造例を示す。
の条件を満たすものとしては、
【0041】
【化8】
【0042】l=m+n、k/l=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 n/m=100/0〜20/80、好ましくは98/2
〜30/70 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0043】
【化9】
【0044】l=m+n、k/l=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 m/n=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0045】
【化10】
【0046】l=m+n、k/l=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 n/m=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0047】
【化11】
【0048】m=n、(k+l)/m=20/10〜2
/10、好ましくは15/10〜5/10 k/l=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0049】
【化12】
【0050】k=m+n、l/m=100/0〜1/9
9、好ましくは90/10〜2/98 k,l,mはそれぞれモル組成比を示す。
【0051】
【化13】
【0052】l=m+n、k/l=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 m/n=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0053】
【化14】
【0054】l=m+n、k/l=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0055】
【化15】
【0056】k=l+m、l/m=100/0〜0/1
00、好ましくは95/5〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0057】
【化16】
【0058】k+l=m+n、k/l=100/0〜0
/100、好ましくは95/5〜5/95 n/m=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0059】
【化17】
【0060】m=n、(k+l)/m=20/10〜2
/10、好ましくは5/10〜5/10 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0061】
【化18】
【0062】l=m+n、k/l=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 n/m=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0063】
【化19】
【0064】n=m+l、k/n=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 m/l=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0065】
【化20】
【0066】l=m、k/l=20/10〜0/10、
好ましくは15/10〜0/10 k,l,mはそれぞれモル組成比を示す。
【0067】
【化21】
【0068】k+l=m+n、k/l=100/0〜0
/100、好ましくは95/5〜5/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。jは2〜
12の整数を示す。
【0069】
【化22】
【0070】k+l=m+n、k/l=100/0〜0
/100、好ましくは95/5〜5/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。jは2〜
12の整数を示す。
【0071】
【化23】
【0072】k+l=m+n、k/l=100/0〜0
/100、好ましくは95/5〜5/95 m/n=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0073】
【化24】
【0074】k+l=m+n、k/l=100/0〜1
/99、好ましくは90/10〜2/98 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0075】
【化25】
【0076】k+l=m+n、k/l=100/0〜0
/100、好ましくは95/5〜5/95 m/n=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0077】
【化26】
【0078】l=m+n、k/l=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0079】
【化27】
【0080】l=m+n、k/l=20/10〜0/1
0、好ましくは15/10〜0/10 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。jは2〜
12の整数を示す。
【0081】
【化28】
【0082】k+l=m+n、k/l=100/0〜0
/100、好ましくは95/5〜5/95 m/n=100/0〜1/99、好ましくは90/10
〜2/98 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。などが挙
げられる。またの条件を満たすものとしては、
【0083】
【化29】
【0084】m+n=k/2+l k/l=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0085】
【化30】
【0086】l=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0087】
【化31】
【0088】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0089】
【化32】
【0090】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0091】
【化33】
【0092】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0093】
【化34】
【0094】n+o=k/2+m k/m=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/(n+o)=20/10〜0/10、好ましくは1
5/10〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0095】
【化35】
【0096】m+n=k/2+l k/l=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0097】
【化36】
【0098】m=k/2+n k/n=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0099】
【化37】
【0100】l=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0101】
【化38】
【0102】l+m=k/2+n k/n=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0103】
【化39】
【0104】n+o=k/2+m k/m=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/(n+o)=20/10〜0/10、好ましくは1
5/10〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0105】
【化40】
【0106】m+n=k/2+o k/o=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/(m+n)=20/10〜0/10、好ましくは1
5/10〜5/10 iは2〜12の整数を示す。k,l,m,n,oはそれ
ぞれモル組成比を示す。
【0107】
【化41】
【0108】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0109】
【化42】
【0110】m+n=k/2+o k/o=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/(m+n)=20/10〜0/10、好ましくは1
5/10〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0111】
【化43】
【0112】l+m=k/2+n+o k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0113】
【化44】
【0114】n+o=k/2+m k/m=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0115】
【化45】
【0116】l+m=k/2+o k/o=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0117】
【化46】
【0118】n+o=k/2+l+m k/(l+m)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0119】
【化47】
【0120】m=k/2+n+o k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0121】
【化48】
【0122】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0123】
【化49】
【0124】n+o=k/2+l+m k/(l+m)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0125】
【化50】
【0126】o=k/2+m+n k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0127】
【化51】
【0128】l+m=k/2+n+o k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 iは2〜12の整数を示す。k,l,m,n,oはそれ
ぞれモル組成比を示す。
【0129】
【化52】
【0130】o=k/2+n k/n=80/60〜2/99、好ましくは40/80
〜10/95 l/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 (l+m)/o=20/10〜1/10、好ましくは1
5/10〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0131】
【化53】
【0132】o=k/2+l/2+m+n (k+l)/(m+n)=80/60〜2/99、好ま
しくは40/80〜10/95 k/l=100/0〜0/100、好ましくは90/1
0〜10/90 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0133】
【化54】
【0134】o+p=k/2+l/2+n (k+l)/n=80/60〜2/99、好ましくは4
0/80〜10/95 k/l=100/0〜0/100、好ましくは90/1
0〜10/90 o/p=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 m/n=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,o,pはそれぞれモル組成比を示す。
【0135】などが挙げられる。またホメオトロピック
配向性の液晶性高分子としては、嵩高い置換基を有する
芳香族基、長鎖アルキル基を有する芳香族基、フッ素原
子を有する芳香族基などの置換基を有する単位を側鎖と
して持つ側鎖型液晶性高分子、例えばポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリマロネ
ート等の側鎖型液晶性高分子も挙げられる。以下に具体
的な構造例を示す。
【0136】
【化55】
【0137】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0138】
【化56】
【0139】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0140】
【化57】
【0141】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0142】
【化58】
【0143】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0144】
【化59】
【0145】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0146】
【化60】
【0147】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0148】
【化61】
【0149】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0150】
【化62】
【0151】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0152】
【化63】
【0153】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0154】
【化64】
【0155】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0156】
【化65】
【0157】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0158】
【化66】
【0159】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0160】
【化67】
【0161】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0162】
【化68】
【0163】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0164】
【化69】
【0165】n/m=80/20〜20/80、好まし
くは75/25〜25/75
【0166】上記のホメオトロピック配向性液晶性高分
子において、の液晶性高分子の主鎖を構成する構造単
位に嵩高い置換基を有する芳香族基、長鎖アルキル基を
有する芳香族基、フッ素原子を有する芳香族基等を有す
る主鎖型液晶性高分子の場合、分子量は、各種溶媒中、
たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/40
(重量比))混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が
通常0.05〜2.0、好ましくは0.07〜1.0の
範囲である。対数粘度が0.05より小さい場合、補償
フィルムの機械的強度が弱くなる恐れがある。また、
2.0より大きい場合、ホメオトロピック配向性が失わ
れる恐れがある。また2.0より大きい場合には、液晶
状態において粘性が高くなりすぎる恐れがあり、ホメオ
トロピック配向したとしても配向に要する時間が長くな
る可能性がある。しかも後述にて説明する補償フィルム
製造時に、ネマチックハイブリッド配向が得られない恐
れがある。
【0167】またの高分子鎖の末端または両末端に、
炭素数3〜20の長鎖アルキル基または炭素数2〜20
の長鎖フルオロアルキル基などを有し、モノアルコール
やモノカルボン酸などの官能性部位を一つ有する化合物
から誘導される一官能性の単位を有する液晶性高分子の
場合、分子量は、各種溶媒中、たとえばフェノール/テ
トラクロロエタン(60/40(重量比))混合溶媒
中、30℃で測定した対数粘度が通常0.04〜1.
5、好ましくは0.06〜1.0の範囲である。対数粘
度が0.04より小さい場合、補償フィルムの機械的強
度が弱くなる。また1.5より大きい場合、ホメオトロ
ピック配向性が失われる恐れがある。また液晶状態にお
いて粘性が高くなりすぎる恐れがあり、ホメオトロピッ
ク配向したとしても配向に要する時間が長くなる可能性
がある。しかも後述にて説明する補償フィルム製造時
に、ネマチックハイブリッド配向が得られない恐れがあ
る。
【0168】さらに側鎖型液晶性高分子の場合、分子量
はポリスチレン換算重量平均分子量で通常1000〜1
0万、好ましくは3000〜5万の範囲が好ましい。分
子量が1000より小さい場合、補償フィルムの機械的
強度が弱くなる恐れがあり望ましくない。また、10万
より大きい場合、ホメオトロピック配向性が失われる恐
れがある。また10万より大きい場合には、該液晶性高
分子の溶媒に対する溶解性が低下する恐れがあり、後述
にて説明する補償フィルム製造の際に例えば塗布液の溶
液粘度が高くなりすぎ均一な塗膜を得ることができな
い、といった問題を生じる恐れがあり望ましくない。
【0169】上記の液晶性高分子の合成法は、特に制限
されるものではない。該液晶性高分子は、当該分野で公
知の重合法で合成することができる。例えば液晶性ポリ
エステル合成を例にとれば、溶融重合法あるいは対応す
るジカルボン酸の酸クロライドを用いる酸クロライド法
で合成することができる。
【0170】当該液晶性高分子を合成する際において、
一官能性の構造単位は、先に説明したモノアルコール、
モノカルボン酸化合物およびこれらの機能性誘導体、具
体的にはアセチル化物、ハロゲン化物などとして重合反
応に供される。該一官能性構造単位の液晶性高分子、具
体的には液晶性ポリエステル中に占める含有率は、ヒド
ロキシカルボン酸構造単位を除いた残りの構成成分量
中、モル分率で2/201〜80/240の範囲であ
る。より好ましくは、10/205〜20/220の範
囲である。一官能性構造単位の含有率が、2/210
(モル分率)より小さい場合には、液晶性ポリエステル
がホメオトロピック配向性を示さない恐れがある。ま
た、一官能性構造単位の含有率が80/240(モル分
率)より大きい場合には、液晶性ポリエステルの分子量
が所望の値まで上がらない恐れがある。また補償フィル
ムを作製した場合、該フィルムの機械的強度が弱くなり
好ましくない。なお、一官能性の構造単位の含有率は、
モノマー成分の仕込み量に応じたものである。
【0171】また正の一軸性を示す液晶性高分子として
は、先に説明したように該ホメオトロピック配向性の液
晶性高分子以外に、他の配向を示す液晶性高分子や、何
ら液晶性を示さない非液晶性高分子などを適宜混合して
組成物として用いてもよい。該組成物として用いること
により、 その組成比の調節でネマチックハイブリッド配向の
平均チルト角を自在に制御することができる、 ネマチックハイブリッド配向の安定化を図ることが
できる、 といった利点がある。ただし、混合して組成物とした液
晶性高分子が、光学的に正の一軸性を示し、該液晶性高
分子の液晶状態においてネマチックハイブリッド配向を
形成するものでなければ本発明に用いる補償フィルムは
得られない。なお組成物として用いる際には、上記にて
説明したホメオトロピック配向性の液晶性高分子を5重
量%以上含有することが望ましい。5重量%より少ない
場合、ネマチックハイブリッド配向が得られない恐れが
ある。
【0172】混合することができる当該高分子として
は、ホメオトロピック配向性の液晶性高分子との相溶性
の観点から、通常はホメオトロピック配向性以外の配向
を示す液晶性高分子を適宜混合する。用いられる液晶性
高分子の種類としては、主鎖型液晶性高分子;例えばポ
リエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、
ポリカーボネート、ポリエステルイミド等、側鎖型液晶
性高分子;例えばポリアクリレート、ポリメタクリレー
ト、ポリシロキサン、ポリマロネート等を例示すること
ができる。ホメオトロピック配向性の液晶性高分子との
相溶性を有するものならば特に限定されないが、なかで
もホモジニアス配向性液晶性高分子、より具体的にはホ
モジニアス配向性のポリエステル、ポリアクリレート、
およびポリメタクリレート等が好ましい。なかでも先に
例示した(〔化4〕)オルソ置換芳香族単位を主鎖に有
する液晶性ポリエステルが最も好ましい。以下にホモジ
ニアス配向性を示す液晶性高分子の具体的な構造例を示
す。
【0173】
【化70】
【0174】k=l+m l/m=80/20〜20/80、好ましくは75/2
5〜25/75 k,l,mはそれぞれモル組成比を示す。
【0175】
【化71】
【0176】o=m+n (k+l)/o=20/10〜0/10、好ましくは1
5/10〜0/10 m/n=100/0〜0/100、好ましくは98/2
〜2/98 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0177】
【化72】
【0178】n=l+m k/m=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜0/10 k,l,m,n,はそれぞれモル組成比を示す。
【0179】
【化73】
【0180】k+l=m+n k/l=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 m/l=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0181】
【化74】
【0182】k+l=m+n k/l=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0183】
【化75】
【0184】l=m+n k/l=15/10〜0/10、好ましくは10/10
〜0/10 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0185】
【化76】
【0186】m+n=k/2+l k/l=40/80〜0/100、好ましくは20/9
0〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0187】
【化77】
【0188】o=k/2+m+n k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0189】
【化78】
【0190】o=k/2+m+n k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0191】
【化79】
【0192】l=k/2+m+n k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 n/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0193】
【化80】
【0194】m=k/2+n+o k/(n+o)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/m=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0195】
【化81】
【0196】o=k/2+m+n k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 m/n=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 l/o=20/10〜0/10、好ましくは15/10
〜5/10 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0197】
【化82】
【0198】n+o=k/2+l+m k/(l+m)=40/80〜0/100、好ましくは
20/90〜0/100 l/m=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 n/o=100/0〜0/100、好ましくは95/5
〜5/95 k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0199】これらの分子量は、主鎖型液晶性高分子の
場合には、各種溶媒中、たとえばフェノール/テトラク
ロロエタン(60/40(重量比))混合溶媒中、30
℃で測定した対数粘度が通常0.05〜3.0が好まし
く、さらに好ましくは0.07〜2.0の範囲である。
対数粘度が0.05より小さい場合、補償フィルムの機
械的強度が弱くなる恐れがある。また、3.0より大き
い場合、ホメオトロピック配向を阻害する、あるいは液
晶形成時の粘性が高くなりすぎ、配向に要する時間が長
くなる、といった恐れがあるので望ましくない。
【0200】また側鎖型高分子液晶の場合、分子量はポ
リスチレン換算重量平均分子量で通常5000〜20
万、好ましくは1万〜15万の範囲が好ましい。分子量
が5000より小さい場合、補償フィルムの機械的強度
が弱くなる恐れがある。また、20万より大きい場合、
ポリマーの溶媒に対する溶解性が低下する、塗布液の溶
液粘度が高くなりすぎ均一塗膜を得ることができないな
どの製膜上の問題点を生じる恐れがあり望ましくない。
【0201】またホモジニアス配向性の判定は、ホメオ
トロピック配向性の判定と同様に、シリコン処理、ラビ
ング処理、一軸延伸処理などの表面処理を施していない
該基板を用いて行う。該基板上に液晶性高分子層を形成
し、その配向状態によってホモジニアス配向性を示すか
否かの判定を行う。
【0202】上記の液晶性高分子の合成法は、特に制限
されるものではない。該液晶性高分子は、当該分野で公
知の重合法で合成することができる。例えばポリエステ
ル合成を例に取れば、溶融重合法あるいは対応するジカ
ルボン酸の酸クロライドを用いる酸クロライド法で合成
することができる。
【0203】上記の如き正の一軸性を有する液晶性高分
子を用いて、均一にネマチックハイブリッド配向を固定
化した補償フィルムを得るには、以下に説明する配向基
板および各工程を踏むことが本発明において望ましい。
【0204】先ず、配向基板について説明する。正の一
軸性の液晶性高分子を用いてネマチックハイブリッド配
向を得るためには、該液晶性高分子層の上下を異なる界
面で挟むことが望ましい。上下を同じ界面で挟んだ場合
には、該液晶性高分子層の上下界面における配向が同一
となってしまい、ネマチックハイブリッド配向を得るこ
とが困難となってしまう。
【0205】具体的な態様としては、一枚の配向基板と
空気界面とを利用する。具体的には、液晶性高分子層の
下界面を配向基板に、また該液晶性高分子層の上界面を
空気に接するようにする。上下に界面の異なる配向基板
を用いることもできるが、製造プロセス上、一枚の配向
基板と空気界面とを利用する方が望ましい。
【0206】本発明に用いることのできる配向基板は、
液晶の傾く向き(ダイレクターの配向基板への投影)を
規定できるように、異方性を有していることが望まし
い。液晶の傾く向きを規定できない場合には、無秩序な
方位に傾いた配向しか得ることができない(ダイレクタ
ーを該基板へ投影したベクトルが無秩序になる)。
【0207】上記配向基板として、具体的には面内の異
方性を有しているものが望ましく、ポリイミド、ポリア
ミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケト
ンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフ
ォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオ
キサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセ
タール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル
樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロ
ース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂
などのプラスチックフィルム基板および一軸延伸プラス
チックフィルム基板、表面にスリット状の溝を付けたア
ルミ、鉄、銅などの金属基板、表面をスリット状にエッ
チング加工したアルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリ
ントガラスなどのガラス基板、などである。
【0208】本発明においては上記プラスチックフィル
ム基板にラビング処理を施したラビングプラスチックフ
ィルム基板、またはラビング処理を施したプラスチック
薄膜、例えばラビングポリイミド膜、ラビングポリビニ
ルアルコール膜などを有する上記各種基板、さらに酸化
珪素の斜め蒸着膜などを有する上記各種基板なども用い
ることができる。
【0209】上記各種配向基板において、ネマチックハ
イブリッド配向に形成せしめるのに好適な該基板として
は、ラビングポリイミド膜を有する各種基板、ラビング
ポリイミド基板、ラビングポリエーテルエーテルケトン
基板、ラビングポリエーテルケトン基板、ラビングポリ
エーテルスルフォン基板、ラビングポリフェニレンサル
ファイド基板、ラビングポリエチレンテレフタレート基
板、ラビングポリエチレンナフタレート基板、ラビング
ポリアリレート基板、セルロース系プラスチック基板を
挙げることができる。また、これらの基板に施されたラ
ビング方向は、先に説明した補償フィルムのチルト方向
に通常対応する。
【0210】本発明の液晶表示装置に用いられる補償フ
ィルムは、上述にて説明したように該フィルムの上面と
下面とで液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面と
のなす角度が異なる。配向基板に接したフィルム面の界
面近傍における該角度は、その配向処理の方法や液晶性
高分子の種類によって0度以上50度以下または60度
以上90度以下のどちらかの角度範囲に調節される。通
常、配向基板に接したフィルム面の界面近傍における該
液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面とのなす角
度を0度以上50度以下の角度範囲に調整する方が製造
プロセス上望ましい。
【0211】該補償フィルムは、上記の如き配向基板上
に均一に光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子を塗布
し、次いで均一配向過程、配向形態の固定化過程を経て
得られる。該液晶性高分子の配向基板への塗布は、通常
該液晶性高分子を各種溶媒に溶解した溶液状態または該
液晶性高分子を溶融した溶融状態で行うことができる。
製造プロセス上、溶液塗布が望ましい。
【0212】溶液塗布は、液晶性高分子を適当な溶媒に
溶かし、所定濃度の溶液を調製する。上記溶媒として
は、正の一軸性の液晶性高分子の種類(組成比など)に
よって一概には言えないが、通常はクロロホルム、ジク
ロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロ
ロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレ
ン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハ
ロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノー
ルなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなど
の芳香族炭化水素類、アセトン、酢酸エチル、tert
−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリ
ドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエ
チルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ア
セトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素など、およ
びこれらの混合溶媒、例えばハロゲン化炭化水素類とフ
ェノール類との混合溶媒などが用いられる。
【0213】溶液の濃度は、用いる正の一軸性の液晶性
高分子の溶解性や最終的に目的とする補償フィルムの膜
厚に依存するため一概には言えないが、通常3〜50重
量%の範囲で使用され、好ましくは7〜30重量%の範
囲である。
【0214】上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整した
正の一軸性の液晶性高分子溶液を、次に上述にて説明し
た配向基板上に塗布する。塗布の方法としては、スピン
コート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ
法、カーテンコート法などを採用できる。
【0215】塗布後、溶媒を除去し、配向基板上に膜厚
の均一な液晶性高分子の層を形成させる。溶媒除去条件
は、特に限定されず、溶媒がおおむね除去でき、液晶性
高分子の層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ
良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱
風の吹き付けなどを利用して溶媒を除去する。
【0216】この塗布・乾燥工程の段階は、先ず基板上
に均一に液晶性高分子の層を形成させることが目的であ
り、該液晶性高分子は、まだネマチックハイブリッド配
向を形成していない。次の熱処理工程により、モノドメ
インなネマチックハイブリッド配向を完成させる。
【0217】熱処理によってネマチックハイブリッド配
向を形成するにあたって、正の一軸性の液晶性高分子の
粘性は、界面効果による配向を助ける意味で低い方が良
い。従って熱処理温度は高い方が望ましい。また液晶性
高分子によっては、得られる平均チルト角が熱処理温度
により異なることがある。その場合には、目的に応じた
平均チルト角を得るために熱処理温度を設定する必要が
ある。例えば、あるチルト角を有する配向を得るために
比較的低い温度で熱処理を行う必要が生じた場合、低い
温度では液晶性高分子の粘性が高く、配向に要する時間
が長くなる。そのような場合には、一旦高温で熱処理
し、モノドメインな配向を得た後に、段階的、もしくは
徐々に熱処理の温度を目的とする温度まで下げる方法が
有効となる。いずれにせよ、用いる光学的に正の一軸性
を示す液晶性高分子の特性に従い、ガラス転移点以上の
温度で熱処理する事が望ましい。熱処理温度は、通常5
0℃〜300℃の範囲、特に100℃〜260℃の範囲
が好適である。
【0218】また配向基板上において、液晶性高分子が
十分な配向をするために必要な熱処理時間は、用いる該
液晶性高分子の種類(例えば組成比など)、熱処理温度
によって異なるため一概にはいえないが、通常10秒〜
120分の範囲、特に30秒〜60分の範囲が好まし
い。10秒より短い場合、配向が不十分となる恐れがあ
る。また120分より長い場合には、生産性が低下する
恐れがあり望ましくない。
【0219】このようにして、まず液晶状態で配向基板
上全面にわたって均一なネマチックハイブリッド配向を
得ることができる。
【0220】なお、上記の熱処理工程において、液晶性
高分子をネマチックハイブリッド配向させるために磁場
や電場を利用しても特に構わない。しかし、熱処理しつ
つ磁場や電場を印加した場合、印加中は均一な場の力が
液晶性高分子に働くために、該液晶のダイレクターは一
定の方向を向きやすくなる。すなわち、本発明の如くダ
イレクターがフィルムの膜厚方向によって異なる角度を
形成しているネマチックハイブリッド配向は得られ難く
なる。一旦ネマチックハイブリッド配向以外、例えばホ
メオトロピック、ホモジニアス配向またはそれ以外の配
向を形成させた後、場の力を取り除けば熱的に安定なネ
マチックハイブリッド配向を得ることができるが、プロ
セス上特にメリットはない。
【0221】こうして液晶状態において形成したネマチ
ックハイブリッド配向を、次に当該液晶性高分子の液晶
転移点以下の温度に冷却することにより、該配向の均一
性を損なわずに固定化することができる。
【0222】上記冷却温度は、液晶転移点以下の温度で
あれば特に制限はない。たとえば液晶転移点より10℃
低い温度において冷却することにより、均一なネマチッ
クハイブリッド配向を固定化することができる。冷却の
手段は、特に制限はなく、熱処理工程における加熱雰囲
気中から液晶転移点以下の雰囲気中、例えば室温中に出
すだけで固定化される。また、生産の効率を高めるため
に、空冷、水冷などの強制冷却、除冷を行ってもよい。
ただし正の一軸性の液晶性高分子によっては、冷却速度
によって得られる平均チルト角が若干異なることがあ
る。このような該液晶性高分子を使用し、厳密に平均チ
ルト角を制御する必要が生じた際には、冷却操作も適宜
冷却条件を考慮して行うことが好ましい。
【0223】次いで、ネマチックハイブリッド配向のフ
ィルム膜厚方向における角度制御について説明する。液
晶性高分子のダイレクターとフィルム平面との成す角度
は、使用する液晶性高分子の種類、組成比などや、配向
基板、熱処理条件などを適宜選択することにより所望の
角度にそれぞれ制御することができる。また、ネマチッ
クハイブリッド配向を固定化した後でも、例えばフィル
ム表面を均一に削る、溶剤に浸してフィルム表面を均一
に溶かす、などといった方法を用いることにより所望の
角度に制御することができる。なおこの際に用いられる
溶剤は、液晶性高分子の種類や、配向基板の種類によっ
て適宜選択しなければならない。
【0224】以上の工程によって得られる補償フィルム
は、ネマチックハイブリッド配向という配向形態を均一
に配向・固定化したものであり、また、該配向を形成し
ているので、該フィルムの上下は等価ではなく、また面
内方向にも異方性がある。
【0225】また該補償フィルムを上述にて説明したよ
うにTN液晶セルと上側および/または下側偏光板の間
に配置する際の使用形態として 配向基板を該フィルムから剥離して、補償フィルム単
体で用いる、 配向基板上に形成したそのままの状態で用いる、 配向基板とは異なる別の基板に補償フィルムを積層し
て用いる、 という形態が挙げられる。なお、の状態で用いる場
合、配向基板がネマチックハイブリッド配向を得るため
に必要なものではあるが、TN−LCDとして好ましく
ない影響を与えうる該基板を用いた際には、その配向基
板をネマチックハイブリッド配向固定化後に除去するこ
とができる。本発明に用いられる配向固定化後の補償フ
ィルムは、配向基板を除去しても配向乱れなどが起こる
ことはない。以上、本発明の液晶表示装置においては、
いずれの形態を有する補償フィルムであってもよい。
【0226】また該補償フィルムは、表面保護、強度増
加、環境信頼性向上などの目的のために透明プラスチッ
クフィルムなどの保護層を設けることもできる。また保
護層として光学性質上好ましい基板、例えばポリメタク
リレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、
ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリアリレ
ート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、トリ
アセチルセルロースなどのプラスチック基板を光学グレ
ードの接着剤または粘着剤を介して貼り合わせて用いる
こともできる。
【0227】次に、上述の補償フィルムを先に説明した
TN液晶セルと組み合わせる場合の配置について具体的
に説明する。本補償フィルムの配置位置は偏光板とTN
液晶セルとの間であればよく、1枚または複数枚の補償
フィルムを配置することができる。本発明では、1枚ま
たは2枚の補償フィルムを用いて視野角補償を行うこと
が実用上好ましい。3枚以上の補償フィルムを用いて
も、視野角補償は可能であるが、コストアップに繋がる
ためあまり好ましいとはいえない。具体的な配置位置を
例示すると以下のようになる。ただし、これらはあくま
で代表的な配置位置であり本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0228】先ず、本発明における補償フィルムのチル
ト方向とは、該フィルムの上下2面の内、該液晶性高分
子のダイレクターとフィルム平面との成す角度がより小
さな面における該液晶性高分子のダイレクターの投影方
向と定義する。具体的には、例えば図2において該補償
フィルムの上下2面をb面、c面と仮定する。この補償
フィルムのb面側およびc面側における液晶性高分子の
ダイレクターとフィルム平面との成す角度は、b面側の
角度>c面側の角度の関係である。次いで該補償フィル
ムのb面からフィルム膜厚方向にc面を見た場合に、b
面側のダイレクターとc面側のダイレクターとの成す角
度が鋭角となる方向で、かつb面側のダイレクターとc
面側のダイレクターのフィルム平面に対する投影成分と
が平行となる方向を本発明では補償フィルムのチルト方
向と定義する。
【0229】次いでTN液晶セルのプレチルト方向を以
下のように定義する。通常TN液晶セル中のネマチック
液晶は、図3の如くセル基板界面に対して平行ではな
く、ある角度をもって傾いている(ネマチック液晶のツ
イスト角が0度の場合)。この状態において、該液晶の
ダイレクターと液晶セル基板平面との成す角度が鋭角で
ある方向で、かつ該ダイレクターの投影成分が平行な方
向を本発明ではプレチルト方向と定義する。したがって
プレチルト方向は、図3に示すようにTN液晶セルにお
ける上下の液晶セル基板にそれぞれ一方向ずつ定義され
る。
【0230】先ず補償フィルム1枚を配置する場合につ
いて説明する。補償フィルムは偏光板とTN液晶セルの
間に配置し、当該液晶セルの上面側でも良いし下面側で
も良い。この配置の際、補償フィルムのチルト方向と、
該補償フィルムが最も近接した液晶セル基板とは反対側
のセル基板におけるプレチルト方向との成す角度を通常
165〜195度、好ましくは170〜190度、特に
好ましくは175〜185度の範囲で配置する。すなわ
ち補償フィルムをTN液晶セルの上面に配置している場
合には、下側の該液晶セル基板におけるプレチルト方向
との成す角度、また補償フィルムをTN液晶セルの下面
に配置している場合には、上側液晶セル基板におけるプ
レチルト方向との成す角度を上記の角度範囲を満たすよ
うに配置する。上記の角度範囲を満たさない場合には、
十分な視野角補償効果が得られない恐れがある。
【0231】次に、本補償フィルム2枚を配置する場合
について説明する。2枚補償フィルムを配置する場合、
2枚を同じ側、例えばTN液晶セルと上側偏光板との間
または該液晶セルと下側偏光板との間に2枚配置しても
良い。また上側および下側偏光板とTN液晶セルとの間
にそれぞれ1枚配置しても良い。なお2枚の補償フィル
ムは、同一の光学パラメーターを有するものを用いても
良いし、また光学パラメーターが異なる該フィルムを用
いても良い。
【0232】上側および下側偏光板とTN液晶セルとの
間にそれぞれ1枚ずつ配置する場合について説明する。
該配置においては、それぞれの補償フィルムを上述の1
枚を配置する場合と同様な配置にする。すなわち、それ
ぞれの補償フィルムのチルト方向と補償フィルムが近接
したTN液晶セルの基板とは反対のセル基板におけるプ
レチルト方向との成す角度を通常165〜195度、好
ましくは170〜190度、特に好ましくは175〜1
85度の範囲に配置する。
【0233】次いでTN液晶セルと上側または下側偏光
板との間のどちらか一方に2枚の補償フィルムを配置す
る場合について説明する。なおTN液晶セルに最も近接
した位置に配置する補償フィルムをフィルム1、該フィ
ルム1と上側または下側偏光板との間に配置される補償
フィルムをフィルム2と仮定する。該配置においてTN
液晶セルに最も近接したフィルム1については、上述の
1枚の補償フィルムを配置する条件と同様に配置する。
すなわちフィルム1のチルト方向と、フィルム1が最も
近接したTN液晶セルの基板とは反対側のセル基板にお
けるプレチルト方向との成す角度を通常165〜195
度、好ましくは170〜190度、特に好ましくは17
5〜185度の範囲で配置する。次いでフィルム1と上
側または下側偏光板との間に配置されるフィルム2の配
置条件について説明する。フィルム2は、フィルム1が
最も近接したTN液晶セルのセル基板のプレチルト方
向、すなわちフィルム1の配置条件の際に基準とした該
セル基板とは逆のセル基板におけるプレチルト方向との
成す角度を165〜195度、好ましくは170〜19
0度、特に好ましくは175〜185度の範囲に配置す
る。
【0234】次いで偏光板の配置について説明する。通
常、TN−LCDでは上下偏光板の透過軸が互いに直交
または平行に配置する場合がある。また上下偏光板の透
過軸が互いに直交するように配置する場合は、偏光板の
透過軸と偏光板に近い側のTN液晶セル基板に施された
ラビング方向とを直交、平行または45度の角度をなす
ように配置する場合がある。本発明の液晶表示装置にお
いては、補償フィルム上に偏光板を装着する場合には、
該配置は特に限定されず上記のうちいずれの配置であっ
ても良い。なかでも本発明の液晶表示装置では、上下偏
光板の透過軸が互いに直交し、かつ偏光板の透過軸と偏
光板に近い側のTN液晶セル基板に施されたラビング方
向とを直交または平行に配置することが望ましい。
【0235】以上、本発明は特定の光学パラメーターを
有するTN液晶セルにネマチックハイブリッド配向を固
定化した補償フィルムを配置することにより、TFT素
子またはMIM素子を用いたツイステッドネマチック液
晶表示装置として従来にない高コントラスト化、広視野
角化が成された当該液晶表示装置を得ることができる。
【0236】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
制限されるものではない。なお実施例で用いた各分析法
は以下の通りである。 (1)液晶性高分子の組成の決定 ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、400MHzの1H−NMR(日
本電子製JNM−GX400)で測定し決定した。 (2)対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定
した。 (3)液晶相系列の決定 DSC(Perkin Elmer DSC−7)測定
および光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製BH2偏光
顕微鏡)観察により決定した。 (4)屈折率の測定 アッベ屈折計(アタゴ(株)製Type−4)により屈
折率を測定した。 (5)偏光解析 (株)溝尻光学工業製エリプソメーターDVA−36V
WLDを用いて行った。 (6)膜厚測定 (株)小坂研究所製 高精度薄膜段差測定器 ET−1
0を用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫
外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデ
ータから膜厚を求める方法も併用した。
【0237】〔参考例1〕 〈液晶性ポリエステルの合成〉6−ヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸 100mmol、テレフタル酸 100mm
ol、クロロヒドロキノン 50mmol、tert−
ブチルカテコール 50mmol、および無水酢酸 6
00mmolを用いて窒素雰囲気下で、140℃で2時
間アセチル化反応を行った。引き続き270℃で2時
間、280℃で2時間、300℃で2時間重合を行っ
た。次に得られた反応生成物をテトラクロロエタンに溶
解したのち、メタノールで再沈澱を行って精製し、液晶
性ポリエステル(式(1))40.0gを得た。この液
晶性ポリエステルの対数粘度は0.35、液晶相として
ネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度は300
℃以上、ガラス転移点は135℃であった。
【0238】〈液晶性ポリエステルの配向性試験〉この
液晶性ポリエステルを用い10wt%のフェノール/テ
トラクロロエタン混合溶媒(6/4重量比)溶液を調製
した。この溶液を、ソーダガラス板上に、スクリーン印
刷法により塗布し、乾燥し、230℃で30分熱処理し
たのち、室温下で冷却・固定化した。膜厚20μmの均
一に配向したフィルム1を得た。コノスコープ観察した
ところ該液晶性ポリエステルが光学的に正の一軸性に示
すことが判明した。また当該ポリエステルがホメオトロ
ピック配向性を有することが判明した。
【0239】〈配向構造の確認操作〉式(1)の液晶
性ポリエステルの8wt%テトラクロロエタン溶液を調
製し、ラビングポリイミド膜を有するガラス上にスピン
コート法により塗布し、乾燥し、250℃で30分間熱
処理したのち、空冷し固定化した結果、フィルム2を得
た。得られた基板上のフィルム2は、透明で配向欠陥は
なく均一で膜厚は2.0μmであった。図4、図5に示
した光学測定系を用いて、フィルム2を配向基板のラビ
ング方向に傾けていき、リターデーション値を測定し
た。その結果、図6のような左右非対称でかつリターデ
ーション値が0になる角度がない結果が得られた。この
結果から、液晶性ポリエステルのダイレクターが基板に
対して傾いており均一チルト配向(ダイレクターと基板
表面のなす角が膜厚方向で一定な配向状態)ではないこ
とが分かった。
【0240】
【化83】
【0241】〈配向構造の確認操作〉次いで基板上の
フィルム2を5枚に切り分け、それぞれ一定時間クロロ
ホルムを5wt%含むメタノール溶液に浸漬し、液晶層
上面より溶出させた。浸漬時間を15秒、30秒、1
分、2分、5分とした場合に、溶出せずに残った液晶層
の膜厚は、それぞれ1.5μm、1.2μm、1.0μ
m、0.8μm、0.5μmであった。図4、図5の光
学系を用いてθ=0度の場合のリターデーション値(正
面リターデーション値)を測定し、膜厚とリターデーシ
ョン値との関係を得た(図7)。図7から分かるように
膜厚とリターデーション値は直線関係にはなく、このこ
とからも均一チルト配向ではないことが分かった。図中
の点線は均一チルト配向したフィルムにおいて観測され
る直線である。
【0242】〈配向構造の確認操作〉次に、式(1)
の液晶性ポリエステルをラビングポリイミド膜を有する
高屈折率ガラス基板(屈折率は1.84)上に、上記と
同様な方法を用いて配向・固定化し、フィルム3を作製
した。得られたフィルム3を用いて屈折率測定を行っ
た。屈折計のプリズム面にガラス基板が接するようにフ
ィルム3を配置した場合、フィルム面内の屈折率には異
方性が有り、ラビング方向に垂直な面内の屈折率は1.
56、平行な面内の屈折率は1.73であり、膜厚方向
の屈折率はフィルム3の方向によらず1.56で一定で
あった。このことから、ガラス基板側では液晶性ポリエ
ステルを構成する棒状の液晶分子は、基板に対して平行
に平面配向していることが判明した。次に屈折率計のプ
リズム面にフィルム3の空気界面側が接するように配置
した場合、面内の屈折率には異方性がなく屈折率は1.
56で一定で、膜厚方向の屈折率はフィルム3の方向に
よらず1.73で一定であった。このことから、空気界
面側では液晶性ポリエステルを構成する棒状の液晶分子
が基板平面に対して垂直に配向していることが判明し
た。以上のからの操作より、式(1)の液晶性ポリ
エステルから形成されたフィルムがネマチックハイブリ
ッド配向を形成し、ラビングによる基板界面の規制力お
よび空気界面の規制力により、図8に示したように配向
しているものと推察した。
【0243】〈チルト方向の解析および配向基板界面に
おけるダイレクターと基板平面との成す角度の推定〉ラ
ビングポリイミド膜を有する高屈折ガラス基板上に形成
されたフィルム3の上に、もう一枚ラビングポリイミド
膜を有するガラス基板をかぶせ密着させた。すなわちフ
ィルム3を2枚のラビングポリイミド膜で挟んだ構成に
した。なお、上下のラビング膜のラビング方向が互い1
80度になるように配置した。この状態で230℃で3
0分間熱処理した。こうした得られた試料フィルムにつ
いて屈折率測定および偏光解析を行った。屈折率測定の
結果、該試料フィルムの上下に関して同じ値が得られ、
フィルム面内の屈折率はラビング方向に垂直な面内では
1.56、平行な面内では1.73、該フィルムの膜厚
方向では1.56であった。このことから基板の界面付
近では試料フィルムの上下ともにダイレクターが基板平
面に対して略平行であることが分かった。さらに偏光解
析の結果、屈折率構造はほぼ正の一軸性であり、クリス
タルローテーション法に基づき詳細な解析を行った結
果、基板界面付近では、わずかにダイレクターは傾いて
いた。また基板平面とダイレクターとの成す角度は約3
度であった。さらにダイレクターの傾く向きは、ラビン
グ方向と一致していた(フィルムのチルト方向とラビン
グ方向とは一致する)。以上のことより、基板界面にお
けるダイレクターは、液晶性ポリエステルと配向基板界
面の相互作用によってほぼ決まると考えると、前述の一
枚の配向基板上に形成されたフィルム3の基板界面にお
けるダイレクターとフィルム平面との成す角度は3度で
あると推定される。
【0244】〔参考例2〕 <TN液晶セルのチルト角解析について>液晶材料とし
てZLI−4792を用い、セルギャップ4.8μm、
Δnd470nm、ねじれ角90度(左ねじれ)のTN
液晶セル1を作製した。また別途、同じ液晶材料を用い
てねじれのない液晶セル2(セルギャップはTN液晶セ
ル1と同じ)を作製した。セル2のクリスタルローテー
ション法に基づいた詳細な結果、試作したTN液晶セル
1の配向基板面でのプレチルト角は3度であることが確
認された。この液晶セル1を図9、図10に示した光学
測定計を用いて、電圧を印加しながら、当該セルの厚さ
方向における中央部に存在する液晶分子の長軸方向に傾
けていき、透過率を測定した。その結果およびTN液晶
セル1の厚さ方向における中央部の液晶分子のチルト角
を変化させたときにおける透過率の角度依存性の計算値
を図11に示す。測定データと計算値の一致から、各印
加電圧におけるTN液晶セルの厚さ方向における中央部
に存在する液晶分子のチルト角を決定した。
【0245】〔実施例1〕参考例1で使用した液晶性ポ
リエステル(式(1))の5wt%のテトラクロロエタ
ン溶液を調製した。当該溶液をラビングポリイミド膜を
有するガラス基板上にスピンコート法により塗布し、溶
媒を除去した。次いで250℃で30分間熱処理した。
熱処理した後、冷却し、当該液晶性ポリエステルの配向
を固定化した。こうして得られたガラス基板上の液晶性
ポリエステルからなるフィルム4は、ネマチックハイブ
リッド配向を有しており、透明で配向欠陥はなく、均一
な膜厚(0.60μm)であった。また当該フィルム4
の平均チルト角は、35度であり、チルト方向はラビン
グ方向と一致していた。このラビングポリイミド膜を有
するガラス基板上に形成したフィルム4を2枚用いて、
図12の配置となるようにTN液晶セルの上下に1枚ず
つ配置した。なおTN液晶セルの上下に配置されたフィ
ルム4は、共に該フィルム4のガラス基板側をセル基板
に近接するように配置した。使用したTN液晶セルは、
液晶材料としてZLI−4792を用い、セルパラメー
ターはセルギャップ4.8μm、Δnd470nm、ね
じれ角90度(左ねじれ)、プレチルト角3度であっ
た。またプレチルト方向は、セル基板のラビング方向に
一致していた。当該液晶セルに対して、300Hzの矩
形波で電圧を印加した。白表示1.92V、黒表示6V
とし、白の透過率と黒の透過率の間を透過率が8分割さ
れるように各階調の駆動電圧を設定した。1.92V印
加時のTN液晶セル単体の斜め入射光による偏光解析の
結果、当該液晶セルの厚さ方向における中央部の液晶分
子のチルト角は、参考例2と同様にして求めた結果、約
17度であった(図11)。図12の如くフィルムを配
置したTN液晶セルの全方位からの透過率測定を浜松ホ
トニクス(株)製FEP光学系DVS−3000を用い
て行い、上下および左右の階調特性を評価した。その結
果を図13に示す。左右方向では各階調間での反転は認
められず、上方向(視野角が正の方向)で白レベルの階
調反転視野角が白表示の駆動電圧を0Vとしたときと比
較して約10度広がった。また正面の透過率及びコント
ラストの低下は、白表示の駆動電圧を0Vとしたときと
比較して0.5%以下に抑えられていた。
【0246】〔実施例2〕参考例1で使用した液晶性ポ
リエステル(式(1))の10wt%のフェノール/テ
トラクロロエタン溶液を調製した。当該溶液をラビング
ポリイミド膜を有するガラス基板にスクリーン印刷法に
より塗布し、溶媒を除去した。その後240℃で35分
間熱処理した。熱処理後、冷却し、当該液晶性ポリエス
テルの配向を固定化した。得られたガラス基板上のフィ
ルム5は、ネマチックハイブリッド配向を有しており、
透明で配向欠陥はなく、均一な膜厚(0.70μm)で
あった。また平均チルト角は、45度であり、チルト方
向はラビングポリイミド膜に施されたラビング方向と一
致していた。このラビングポリイミド膜を有するガラス
基板上に形成したフィルム5を2枚用い、図12の配置
となるようにTN液晶セルの上下に1枚ずつ配置した。
なおTN液晶セルの上下に配置されたフィルム5は、共
に当該フィルム5のガラス基板側をセル基板と近接する
ように配置した。使用したTN液晶セルは、液晶材料と
してZLI−4792を用い、セルパラメーターはセル
ギャップ4.4μm、Δnd420nm、ねじれ角90
度(左ねじれ)、プレチルト角3度であった。またプレ
チルト方向は、液晶セル基板のラビング方向に一致して
いた。上記TN液晶セルに対して、300Hzの矩形波
で電圧を印加した。白表示2V、黒表示6Vとし、白の
透過率と黒の透過率の間を透過率が等間隔で8分割され
るように各階調の駆動電圧を設定した。参考例2と同様
な方法によって、2V印加時におけるTN液晶セル単体
の斜め入射光による偏光解析の結果、当該液晶セルの厚
さ方向における中央部に存在する液晶分子のチルト角は
約25度であった。図12の如くフィルムを配置したT
N液晶セルの全方位からの透過率測定を行い、上下およ
び左右の階調特性を評価した。その結果を図14に示
す。左右方向では各階調間での反転は認められず、上方
向(視野角が正の方向)で白レベルの階調反転視野角が
白表示の駆動電圧を0Vとしたときと比較して、約12
度広がった。また正面の透過率およびコントラストの低
下は、白表示の駆動電圧を0Vとしたときと比較して5
%以下に抑えられていた。
【0247】〔比較例1〕実施例1で、白表示の駆動電
圧を0Vとした以外は、全て同様にしてTN液晶セルの
階調特性を評価した。なおTN液晶セル単体の斜め入射
光による偏光解析の結果、当該液晶セルの厚さ方向にお
ける中央部の液晶分子のチルト角は約2度であった。階
調特性の評価結果を図15に示す。左右方向では白レベ
ルの階調反転が認められ、上方向の白レベル反転視野角
も実施例1と比較して約10度悪化した。
【0248】〔比較例2〕実施例1で、白表示の駆動電
圧を2.4Vとした以外は、全て同様にしてTN液晶セ
ルの階調特性を評価した。なおTN液晶セル単体の斜め
入射光による偏光解析の結果、当該液晶セルの厚さ方向
における中央部の液晶分子のチルト角は約40度であっ
た。階調特性の評価結果を図16に示す。左右方向およ
び上方向の階調特性は改善されたが、正面の透過率、コ
ントラストは比較例1と比較して約20%低下した。
【0249】〔比較例3〕実施例2で白表示の駆動電圧
を0Vとした以外は、全て同様にしてTN液晶セルの階
調特性を評価した。なおTN液晶セル単体の斜め入射光
による偏光解析の結果、当該液晶セルの厚さ方向におけ
る中央部の液晶分子のチルト角は約2度であった。階調
特性の評価結果を図17に示す。左右方向では白レベル
の階調反転が認められ、上方向の白レベル反転視野角も
実施例と比較して約12度悪化した。
【0250】〔比較例4〕実施例1で液晶性ポリエステ
ルから形成されたネマチックハイブリッド配向を固定化
したフィルムを用いない以外は、全て同様にしてTN液
晶セルの階調特性の評価した。その結果を図18に示
す。左右方向では黒レベルの階調反転が認められ、上方
向の白レベル反転視野角も実施例1と比較して約15度
悪化した。
【図面の簡単な説明】
【図1】白表示時における駆動用ツイステッドネマチッ
ク型液晶セルの概念図。 1,1’ 電極 2,2’ 透明基板 3,3’ 補償フィルム 4,4’ 偏光板 5 ネマチック液晶分子 6 駆動用ツイステッドネマチック型液晶セル 7 液晶セルの厚さ方向における中央部
【図2】本発明に用いられる補償フィルムのチルト方向
の概念図。
【図3】駆動用ツイステッドネマチック型液晶セルのプ
レチルト方向の概念図。
【図4】本発明に用いられる補償フィルムのチルト角測
定に用いた光学測定系の配置図。
【図5】本発明に用いられる補償フィルムのチルト角測
定に用いた光学測定系の試料および偏光板の軸方位の関
係図。
【図6】参考例1において、基板のラビング方向に沿っ
て傾けて測定した見かけのリターデーション値と試料の
傾き角の関係図。
【図7】参考例1において、フィルムの浸漬後の膜厚と
試料の正面での見かけのリターデーション値の測定結
果。
【図8】本発明に用いられる補償フィルムの配向構造の
概念図。
【図9】参考例2において、駆動用ツイステッドネマチ
ック型液晶セルの厚さ方向における中央部に存在する液
晶分子のチルト角測定に用いた光学測定系の配置図。
【図10】参考例2において、駆動用ツイステッドネマ
チック型液晶セルの厚さ方向における中央部に存在する
液晶分子のチルト角測定に用いた光学測定系の試料およ
び偏光板の軸方位の関係図。
【図11】参考例2において、電圧を印加しながら駆動
用ツイステッドネマチック型液晶セルの厚さ方向におけ
る中央部に存在する液晶分子の長軸方向に傾けて測定し
た透過率、試料の傾き角の関係および計算により求まる
透過率の関係図。
【図12】実施例1および2における各光学素子の軸配
置。
【図13】実施例1における左右および上下(上方向が
視野角正)の階調特性。
【図14】実施例2における左右および上下(上方向が
視野角正)の階調特性。
【図15】比較例1における左右および上下(上方向が
視野角正)の階調特性。
【図16】比較例2における左右および上下(上方向が
視野角正)の階調特性。
【図17】比較例3における左右および上下(上方向が
視野角正)の階調特性。
【図18】比較例4における左右および上下(上方向が
視野角正)の階調特性。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子
    から実質的に形成され、当該液晶性高分子が液晶状態に
    おいて形成したネマチックハイブリッド配向を固定化し
    た少なくとも1枚の補償フィルム、電極を備えた一対の
    透明基板と当該基板間に挟持されたネマチック液晶とか
    ら構成される駆動用ツイステッドネマチック型液晶セル
    および当該液晶セルの上下に配置される2枚の偏光板と
    から少なくとも構成され、且つ駆動用ツイステッドネマ
    チック型液晶セルの白表示時の駆動電圧を、当該液晶セ
    ルを構成するネマチック液晶分子のチルト角が10〜3
    0度の範囲になるように設定されていることを特徴とす
    るツイステッドネマチック型液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 駆動用ツイステッドネマチック型液晶セ
    ルの白表示時の駆動電圧を、当該液晶セルを構成するネ
    マチック液晶分子のチルト角が10〜30度の範囲にな
    るように設定することを特徴とする請求項1記載のツイ
    ステッドネマチック型液晶表示装置の駆動方法。
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