JPH11194003A - 鋼管の溶接シーム部の検出方法 - Google Patents

鋼管の溶接シーム部の検出方法

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JPH11194003A
JPH11194003A JP36698A JP36698A JPH11194003A JP H11194003 A JPH11194003 A JP H11194003A JP 36698 A JP36698 A JP 36698A JP 36698 A JP36698 A JP 36698A JP H11194003 A JPH11194003 A JP H11194003A
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JP
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steel pipe
magnetostrictive sensor
level
magnetic anisotropy
detecting
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JP36698A
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Inventor
Sadaaki Sakai
禎明 境
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非破壊で鋼管などの溶接シーム部の位置を検出
する。 【解決手段】溶接鋼管8の管軸方向の磁気異方性のレベ
ルを磁歪センサ3によって連続的又は一定間隔に測定す
る工程と、磁歪センサ3によって測定された磁気異方性
のレベルが所定範囲に含まれるか否かを判定する工程
と、磁歪センサ3によって測定された磁気異方性のレベ
ルが所定範囲に含まれるか否かの判定結果に基づいて溶
接シーム部を検出する工程とからなる鋼管の溶接シーム
部の検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板をプレス等の
曲げ加工後に縦シーム部を溶接することによって接合し
て製造される鋼管の溶接シーム部の位置を非破壊で検出
する方法に係り、特に磁歪センサを用いて、磁歪効果
(狭義には逆磁歪効果)によって生じる鋼管の磁気異方
性のレベルを測定することによって鋼管の溶接シーム部
の位置を検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼管は、シームレス鋼管などと呼ばれる
引き抜き製法により製造されるもの以外は、鋼板をプレ
スなどによって曲げ加工した後、縦シーム部を溶接によ
って接合して製造される。
【0003】この曲げ加工後の溶接方法には様々な方法
があるが、電縫管と呼ばれる種類の鋼管の製造には高周
波電気抵抗溶接法が用いられるため、溶接された縦シー
ム部、すなわち溶接シーム部の位置が外観上明瞭ではな
く、管の内外面を精密な目視によって調査することによ
って、かろうじてその位置が判定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような目視による溶接シーム部の位置の判定方法では、
管の内外面に錆などがある場合や、塗装が施されている
には、溶接シーム部の位置の判定が非常に困難となる。
【0005】一方、図6に例示するように、縦シーム部
1を溶接して製造された複数本の管2を管軸が同一とな
るように溶接連結して橋梁、鉄骨などの各種構造物やパ
イプラインを製作する場合に、溶接継ぎ手部のより高い
信頼性を得る目的から、図6(a)のように、溶接され
た縦シーム部1である溶接シーム部が互いに接近するの
ではなく、図6(b)のように、溶接シーム部が互いに
接近しないように配置して連結することが求められる場
合があるが、このように溶接シーム部の位置を考慮して
連結する際には溶接シーム部を正確に判定することが重
要になる。本発明は、以上のような実情に鑑みてなされ
たもので、非破壊で鋼管などの溶接シーム部の位置を検
出する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下のような手段を講じた。本発明は、溶
接鋼管の磁気異方性のレベルを磁歪センサによって管周
方向に連続的又は一定間隔毎に測定する工程と、磁歪セ
ンサによって測定された磁気異方性のレベルが所定範囲
に含まれるか否かを判定する工程と、磁歪センサによっ
て測定された磁気異方性のレベルが所定範囲に含まれる
か否かの判定結果に基づいて溶接シーム部を検出する工
程とからなる鋼管の溶接シーム部の検出方法である。
【0007】溶接シーム部を有する鋼管において、溶接
シーム部の磁気異方性のレベルと溶接シーム部を含まな
い一般部の磁気異方性のレベルとの間には大きな差が生
じる。
【0008】したがって、本発明の鋼管の溶接シーム部
の検出方法においては、磁歪センサによって磁気異方性
のレベルを測定し、この測定された磁気異方性のレベル
が所定範囲に含まれるか否かを判定して溶接シーム部を
検出するため、電縫管などの鋼管の溶接シーム部の位置
を非破壊で確実に検出することができる。
【0009】また、溶接シーム部の位置を確実に検出す
ることによって、鋼管の接続時に溶接シーム部をずらし
て連結することができ、これにより構造物や配管系の信
頼性を向上させることができる。
【0010】本発明は、溶接鋼管の磁気異方性のレベル
を磁歪センサによって管周方向に連続的又は一定間隔毎
に測定する工程と、磁歪センサによって測定された磁気
異方性のレベルの変化量が所定範囲に含まれるか否かを
判定する工程と、磁歪センサによって測定された磁気異
方性のレベルの変化量が所定範囲に含まれるか否かの判
定結果に基づいて溶接シーム部を検出する工程とからな
る鋼管の溶接シーム部の検出方法である。
【0011】溶接シーム部を有する鋼管において、溶接
シーム部の磁気異方性のレベルと溶接シーム部を含まな
い一般部の磁気異方性のレベルとの間には大きな差が生
じる。
【0012】したがって、この磁歪センサによって測定
される磁気異方性のレベルの変化量が所定範囲に含まれ
るか否かを判定して溶接シーム部を検出することによ
り、上記の発明と同様の効果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。 (第1の実施の形態)本実施の形態においては、鋼管に
おける応力を測定する際に利用される磁歪センサを用い
て磁気異方性のレベルを測定し、この測定された磁気異
方性のレベルによって鋼管の溶接シーム部の位置を検出
する方法について説明する。
【0014】まず、磁歪センサの原理及び当該磁歪セン
サを用いた鋼管の応力の差の測定方法について説明す
る。鉄鋼材料などの強磁性体に作用している応力を測定
する応力測定方法としては、磁歪効果、すなわち応力に
よって磁気的性質が変化する現象を利用する方法があ
る。このような応力測定方法の中でも、磁歪効果によっ
て生じる磁気異方性を利用する応力測定方法は、鋼構造
物や機械部品に作用している応力を非破壊で比較的簡単
に測定できる方法であり、特開昭62−121325号
公報、実開平1−135338号公報、特開平7−11
0270号公報、日本金属学会会報第30巻第4号「新
技術・新製品」P310〜312(1991)、日本土
木学会第50回年次学術講演会講演概要集P662〜6
63(1995)等にその技術が開示されている。
【0015】図1は、この磁歪効果によって生じる磁気
異方性を利用する応力測定方法の一例を示す斜視図であ
り、応力の差を磁歪センサを用いて求める方法について
示したものである。
【0016】この応力測定方法において用いられる磁歪
センサ3は、励磁用コイル4を巻いたコの字型の励磁用
ヨーク5と、検出用コイル6を巻いたコの字型の検出用
ヨーク7とが互いにヨーク鞍部の中央部で直交するよう
に配置されており、さらに励磁用コイル4に交流電流を
流して鋼管8を励磁するための交流電源9と、検出用コ
イル6に誘起される起電力を測定して鋼管8を流れる磁
束を検出するための電圧計10とを備えている。
【0017】以下に、この磁歪センサ3を、鋼管8上に
励磁用ヨーク5及び検出用ヨーク7が鋼管8の長手方
向、すなわち管軸と45度の位置関係になるように設置
して鋼管8の応力の差を測定する場合について説明す
る。
【0018】いま、鋼管8のX軸方向に引っ張り応力σ
X が発生すると、磁性材料である鋼管8のX、Y軸方向
の透磁率μX 、μY には磁歪効果により下記の(1)式
の関係、すなわち磁気異方性が生じる。
【0019】μX > μY …(1) このような磁気異方性が生じている状態にある鋼管8に
上記の磁歪センサ3を接近させ、この磁歪センサ3の励
磁用ヨーク5に巻かれた励磁用コイル4に交流電源9に
よって交流電流を流して鋼管8を励磁すると、励磁用ヨ
ーク5の一方の開口端5aから出た磁束の大部分は直接
励磁用ヨーク5の他方の開口端5bへ向かうが、鋼管8
には引っ張り応力σX により(1)式のような磁気異方
性が生じているため、磁束の一部は検出用ヨーク7を経
由して励磁用ヨーク5の開口端5bに流れる。このた
め、検出用ヨーク7に巻かれた検出用コイル6に取付け
られた電圧計10には、下記の(2)式に示す出力波形
の起電力が誘起される。
【0020】 V=M0 ・(μX −μY )・COS[ 2/(θ−4/π)] …(2) ここで、Vは検出用コイル6に誘起される交流起電力の
整流値、M0 は励磁条件や鋼管8の磁気的特性などによ
り定まる第1の定数、 COS[ 2/(θ−4/π)]
は余弦関数、θは検出用ヨーク7の一方の開口端7aと
他方の開口端7bとを結ぶ直線とX軸のなす角である。
【0021】透磁率の差(μX −μY )は応力の差(σ
X −σY )に比例するため、(2)式は下記の(3)式
に書き換え可能である。 V=M・(σX −σY )・COS[ 2/(θ−4/π)] …(3) ここで、Mは励磁条件やコイルの条件、鋼管8の磁気的
特性などにより定まる第2の定数である。
【0022】ゆえに、磁歪センサ3によって電圧Vを測
定し、この(3)式を用ることにより、鋼管8に作用し
ている応力の差を求めることができる。以上が磁歪効果
によって生じる磁気異方性を利用する応力測定方法の一
例であり、この応力測定方法においては磁歪センサ3の
測定電圧Vから応力の差が求められる。
【0023】一般的に、溶接シーム部では、溶接シーム
部ではない一般部に比べて高い残留応力が存在してお
り、またその高い残留応力の存在する範囲は溶接シーム
部の極近傍に限られる。
【0024】ゆえに、磁歪センサ3で残留応力の分布を
測定すると、溶接シーム部の近傍が残留応力の特異点と
なっている。ここで、磁気異方性のレベルは、(1)式
に示すように透磁率の差(μX −μY )によって示すこ
とができるが、この磁気異方性のレベル(μX −μY
は、(2)式に示すように磁歪センサ3による測定電圧
Vに比例するため、この電圧Vは磁気異方性のレベルに
相当すると考えられる。
【0025】また、磁気異方性のレベル(μX −μY
と応力の差(σX −σY )は比例関係にあるため、
(3)式によって求められる応力の差(σX −σY )も
磁気異方性のレベルに相当すると考えられる。
【0026】したがって、この磁気異方性のレベルに相
当する磁歪センサ3による測定電圧Vの分布や応力測定
方法によって求まる応力の差(σX −σY )の分布によ
り溶接シーム部の位置の検出が可能となる。
【0027】すなわち、磁歪センサ3による測定電圧値
Vや、応力測定方法による応力の差(σX −σY )は磁
気異方性のレベルに相当し、この磁気異方性のレベルに
は、溶接シーム部で測定された場合と一般部で測定され
た場合とで大きな差を有するという特徴がある。
【0028】本実施の形態に係る溶接シーム部の位置の
検出方法においては、この磁気異方性のレベルにより、
測定位置が溶接シーム部か否かの判定を行う。図2は、
本実施の形態に係る溶接シーム部の検出方法における処
理の流れを示すフローチャートであり、鋼管8が被測定
物となっており、磁気異方性のレベルに相当する値とし
て磁歪センサ3の測定電圧Vが利用される場合について
説明する。なお、磁気異方性のレベルに相当する値とし
て応力を用いる場合も同様の処理が実行される。
【0029】まず、本実施の形態においては、鋼管8で
ある溶接鋼管の管軸方向に対して励磁用ヨーク5及び検
出用ヨーク7をほぼ45度の位置関係になるように磁歪
センサ3の向きを合わせる(s1)。これは、想定され
るシームの溶接による応力の方向は鋼管8の管軸方向及
びこの管軸方向に垂直な鋼管8の周方向の成分を持って
いることが想定されるため、この管軸方向及び周方向の
応力に対して磁歪センサ3の感度が最も高くなるように
するためである。
【0030】次に、この向きを合わせた磁歪センサ3を
鋼管8のほぼ表面に設置し(s2)、設置した際にはル
ープ変数Nをゼロとする(s3)。次に、鋼管8の周方
向に連続的又は等間隔に磁歪センサ3を走査させて鋼管
8の磁気異方性のレベルに相当する電圧V1 〜Vn を測
定するためにループ変数Nをカウントアップし(s
4)、磁歪センサ3によって鋼管8の電圧VN を測定す
る(s5)。
【0031】次に、予め実験的又は経験的手法によって
求められている溶接シーム部のある場合の電圧Vと溶接
シーム部のない場合の電圧Vの差の許容範囲を示すしき
い値ΔVと、予め実験によって求められている溶接シー
ム部のない一般部の磁気異方性のレベルに相当する電圧
normalとを、データベースから読み出す(s6)。
【0032】次に、磁歪センサ3の測定電圧VN を、デ
ータベースから読み出した電圧Vnormalと比較し、下記
の(4)式によって溶接シーム部の存在を判定する(s
7)。
【0033】|VN −Vnormal|>ΔV …(4) この(4)式が成り立つ場合、すなわちVN が所定範囲
に含まれない場合には、磁歪センサ3による測定位置が
溶接シーム部であるとして出力され(s8)、この
(4)式が成り立たない場合、すなわちVN が所定範囲
に含まれる場合には、磁歪センサ3による測定位置が溶
接シーム部のない一般部であるとして出力される(s
9)。
【0034】そして、ループ変数Nがnと比較され(s
10)、ループ変数Nがn以上であり、電圧V1 〜Vn
の測定がなされている場合には処理が終了され、ループ
変数Nがnより小さく、電圧V1 〜Vn の測定がなされ
ていない場合にはさらに鋼管8の周方向に磁歪センサ3
の位置を移動させて(s11)、再びループ変数Nをカ
ウントアップして(s4)処理が繰り返される。
【0035】以上のように、本実施の形態に係る鋼管の
溶接シーム部の検出方法においては、鋼管8の周方向に
連続的又は等間隔に磁歪センサ3を走査させて鋼管8の
磁気異方性のレベルを測定し、この磁気異方性のレベル
に相当する電圧V1 〜Vn の測定位置のうち、当該電圧
1 〜Vn と一般部の電圧Vnormalとの較差がしきい値
ΔVよりも大きくなる場合の測定位置を溶接シーム部と
して判定する。
【0036】溶接シーム部における磁歪センサ3の出力
レベルと一般部における磁歪センサ3の出力レベルとに
は明確な差があるため、本実施の形態による鋼管の溶接
シーム部の検出方法を適用することで、電縫管などの鋼
管8の溶接シーム位置を非破壊で確実に検出することが
できる。
【0037】また、本実施の形態に係る鋼管の溶接シー
ム部の検出方法によって溶接シーム部の位置を確実に検
出した後、鋼管8どうしを接続する際に溶接シーム部を
ずらして連結する工程を設けることで、耐久性のある構
造物や配管系の製造が可能になり、この構造物や配管系
の信頼性を向上させることができる。
【0038】なお、本実施の形態に係る鋼管の溶接シー
ム部の検出方法では、磁気異方性のレベルに相当するも
のとして磁歪センサ3の出力レベルである電圧V1 〜V
n を用いて溶接シーム部の位置を判定しているが、これ
に限定されるものではなく、例えば磁気異方性のレベル
に相当するものとして応力測定方法によって求められる
応力を用いて溶接シーム部の位置を判定するとしても、
同様の作用効果を得ることができる。
【0039】また、本実施の形態に係る溶接シーム部の
検出方法においては、磁歪センサ3で各電圧V1 〜Vn
を測定する度に、この測定位置が溶接シーム部であるか
否かを判定しているが、これに限定されるものではな
く、例えば磁歪センサ3で測定した電圧V1 〜Vn を一
旦メモリ等の記憶装置に保存しておき、測定後に一括し
て溶接シーム部を検出するとしてもよい。
【0040】(第2の実施の形態)本実施の形態におい
ては、磁気異方性のレベルの微分値を求め、この求めた
微分値を磁気異方性のレベルの変化量とし、この変化量
が所定の範囲に含まれるか否かを判定して溶接シーム部
の位置を検出する鋼管の溶接シーム部の検出方法につい
て説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の
形態で説明したものと同一のものには同一の符号を付し
てその説明を省略する。
【0041】図3は、本実施の形態に係る鋼管のシーム
溶接部の検出方法における処理の流れを示すフローチャ
ートであり、磁気異方性のレベルに相当する値として、
磁歪センサ3による測定電圧Vを(3)式に代入して得
られる応力の差Pを用いる場合について説明する。な
お、磁気異方性のレベルに相当する値として電圧値Vを
用いる場合も同様の処理が実行されるため、ここでは説
明を省略する。
【0042】まず、本実施の形態においては、第1の実
施の形態において説明した図2のフローチャートと同様
に、溶接された鋼管8の管軸方向に励磁用ヨーク5及び
検出用ヨーク7がほぼ45度の位置関係になるように磁
歪センサ3の向きを合わせ(t1)、この向きを合わせ
た磁歪センサ3を鋼管8のほぼ表面に設置する(t
2)。
【0043】次に、磁歪センサ3を設置した際にループ
変数Nをゼロとし(t3)、この磁歪センサ3によって
電圧VN 、すなわちV0 を測定して(3)式から応力の
差P0 を求める(t4)。
【0044】次に、磁歪センサ3の位置を鋼管8の周方
向に移動させる(t5)。また鋼管8の周方向に連続的
又は等間隔に磁歪センサ3を走査させて順次電圧V1
nを測定して応力の差P1 〜Pn を求めるためのルー
プ変数Nをカウントアップし(t6)、磁歪センサ3に
よって電圧VN を測定して応力の差PN を求める(t
7)。さらに、磁歪センサ3による電圧VN の測定位置
と電圧VN-1 の測定位置とから区間距離ΔXを求める
(t8)。
【0045】次に、予め実験的又は経験的手法によって
求められている一般部での同区間距離ΔXでの応力の差
の微分値の許容範囲を示すしきい値Kをデータベースか
ら読み出す(t9)。
【0046】次に、求められた応力の差PN と応力の差
N-1 の差を区間距離ΔXで割って微分値を求め、この
求めた微分値としきい値Kを比較する下記の(5)式に
よって溶接シーム部の存在を判定する(t10)。
【0047】 |(PN −PN-1 )/ΔX|>K …(5) この(5)式が成り立つ場合には、磁歪センサ3による
測定位置が溶接シーム部であるとして出力され(t1
1)、この(5)式が成り立たない場合には、磁歪セン
サ3による測定位置が溶接シーム部のない一般部である
として出力される(t12)。
【0048】そして、ループ変数Nがnと比較され(t
13)、ループ変数Nがn以上であり、応力の差P1
n の判定が行なわれた場合には処理が終了され、応力
の差P1 〜Pn の判定が行なわれていない場合には再び
鋼管8の周方向に磁歪センサ3の位置を移動させて(t
5)ループ変数Nをカウントアップして(t6)処理が
繰り返される。
【0049】以上のように、本実施の形態に係る鋼管の
溶接シーム部の検出方法においては、磁歪センサ3の測
定電圧V1 〜Vn から求めた応力の差P1 〜Pn の微分
値の絶対値、すなわち磁気異方性の変化量の絶対値が、
しきい値Kよりも大きくなる場合の測定位置を溶接シー
ム部として判定する。
【0050】これにより、本実施の形態に係る鋼管の溶
接シーム部の検出方法によれば、先に説明した第1の実
施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。な
お、本実施の形態に係る鋼管の溶接シーム部の検出方法
では、磁気異方性のレベルの変化量を示すものとして磁
歪センサ3の出力レベルである電圧V1 〜Vn から求め
た応力の差P1 〜Pn の微分値を用いて溶接シーム部の
位置を判定しているが、これに限定されるものではな
く、例えば磁気異方性のレベルを示すものとして磁歪セ
ンサ3の測定電圧V1 〜Vn の微分値を用いて溶接シー
ム部の位置を判定するとしても、同様の作用効果を得る
ことができる。
【0051】また、本実施の形態に係る鋼管の溶接シー
ム部の検出方法においては、磁歪センサ3で各電圧V1
〜Vn を測定して応力の差P1 〜Pn の微分値を求める
度に、この測定位置が溶接シーム部であるか否かを判定
しているが、これに限定されるものではなく、例えば磁
歪センサ3で測定した各電圧V1 〜Vn から求めた応力
の差P1 〜Pn の微分値を一旦メモリ等の記憶装置に保
存しておき、測定後に一括して溶接シーム部を検出する
としてもよい。
【0052】
【実施例】以下、本発明の溶接シーム部の検出方法によ
る検出状態を調べるために行った実験の結果について説
明する。図4は、本実験の測定状態を示す斜視図であ
り、図1及び図6と同一の部分には同一の符号を付して
その説明を省略する。
【0053】本実験は、磁歪センサ3の位置を鋼管8の
周方向aに移動させながら電圧Vを測定するものであ
る。図5は、磁歪センサ3による測定位置と、当該測定
位置における磁歪センサ3の出力電圧Vの関係を示す状
態図であり、鋼管8の周方向角度によって磁歪センサ3
の測定位置を示している。
【0054】この図5の実験結果に示すように、溶接シ
ーム部と一般部とでは、磁歪センサ3の出力電圧には明
確な差があり、磁歪センサ3の出力電圧の特異点を検出
し、この特異点の測定位置を溶接シーム部として検出す
ることで正確に溶接シーム部を検出することができる。
【0055】
【発明の効果】以上詳記したように本発明の鋼管の溶接
シーム部の検出方法においては、溶接鋼管の磁気異方性
のレベルを磁歪センサによって測定し、磁歪センサによ
って測定された磁気異方性のレベル又は磁気異方性のレ
ベルの変化量が所定範囲に含まれるか否かを判定し、こ
の判定による結果に基づいて溶接シーム部を検出する。
【0056】被測定物が溶接シーム部を有する鋼管の場
合において、溶接シーム部の磁気異方性のレベルと溶接
シーム部を含まない一般部の磁気異方性のレベルとの間
には大きな差が生じる。
【0057】したがって、磁気異方性のレベル又は磁気
異方性のレベルの変化量によって溶接シーム部であるか
否かを判定することで、電縫管などの鋼管の溶接シーム
部の位置を非破壊で確実に検出することができる。
【0058】また、溶接シーム部の位置を確実に検出す
ることによって、鋼管の接続時に溶接シーム部をずらし
て連結することができ、これにより構造物や配管系の信
頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁歪効果によって生じる磁気異方性を利用する
応力測定方法の一例を示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る溶接シーム部
の検出方法における処理の流れを示すフローチャート。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る溶接シーム部
の検出方法における処理の流れを示すフローチャート。
【図4】実験における磁歪センサと鋼管の状態を示す斜
視図。
【図5】磁歪センサによる測定位置と、当該測定位置に
おける磁歪センサの出力電圧の関係を示す状態図。
【図6】縦シーム部を溶接して製造された複数本の管を
管軸が同一となるように溶接連結する状態を示す斜視
図。
【符号の説明】
1…縦シーム部 2…管 3…磁歪センサ 4…励磁用コイル 5…励磁用ヨーク 6…検出用コイル 7…検出用ヨーク 8…鋼管 9…交流電源 10…電圧計

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接鋼管の磁気異方性のレベルを磁歪セ
    ンサによって管軸方向に連続的又は一定間隔毎に測定す
    る工程と、 前記磁歪センサによって測定された磁気異方性のレベル
    が所定範囲に含まれるか否かを判定する工程と、 前記磁歪センサによって測定された磁気異方性のレベル
    が前記所定範囲に含まれるか否かの判定結果に基づいて
    溶接シーム部を検出する工程とからなることを特徴とす
    る鋼管の溶接シーム部の検出方法。
  2. 【請求項2】 溶接鋼管の磁気異方性のレベルを磁歪セ
    ンサによって管軸方向に連続的又は一定間隔毎に測定す
    る工程と、 前記磁歪センサによって測定された磁気異方性のレベル
    の変化量が所定範囲に含まれるか否かを判定する工程
    と、 前記磁歪センサによって測定された磁気異方性のレベル
    の変化量が前記所定範囲に含まれるか否かの判定結果に
    基づいて溶接シーム部を検出する工程とからなることを
    特徴とする鋼管の溶接シーム部の検出方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005249440A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Nichiden Koshuha Kk 溶接部検出方法および溶接部検出装置
CN108872370A (zh) * 2018-07-26 2018-11-23 爱德森(厦门)电子有限公司 一种评估正交涡流传感器检测焊缝有效性的辅助方法

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