JPH11193638A - コンクリ−ト構造物の亀裂補修剤及び防水・補修工法並びにコンクリ−トの改質方法 - Google Patents

コンクリ−ト構造物の亀裂補修剤及び防水・補修工法並びにコンクリ−トの改質方法

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JPH11193638A
JPH11193638A JP36789597A JP36789597A JPH11193638A JP H11193638 A JPH11193638 A JP H11193638A JP 36789597 A JP36789597 A JP 36789597A JP 36789597 A JP36789597 A JP 36789597A JP H11193638 A JPH11193638 A JP H11193638A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで工期が短く、しかも確実にコンク
リ−ト構造物の亀裂を補修して漏水を防止することがで
きるコンクリ−ト構造物の亀裂補修剤及び補修工法を提
供することを課題とする。 【解決手段】 カルシウム塩1%〜25%の水溶液にア
ルコ−ルを1%〜60%添加したことを特徴とするコン
クリ−ト構造物の亀裂補修剤、ないし、カルシウム塩の
水溶液にアルコ−ルを添加した溶液をコンクリ−ト構造
物1の亀裂2に注入することにより、前記アルコ−ルの
作用により迅速に乾燥させるとともにカルシウム塩の結
晶体を形成せしめ、前記結晶体により前記亀裂を充填す
ることを特徴とするコンクリ−ト構造物の亀裂補修工法
を以て上記課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋、陸屋根、建物
の外壁などの多孔質なコンクリ−ト構造物に亀裂が発生
し、そこから雨水が浸入して鉄筋を腐食させたり、コン
クリ−トの中性化の原因となったりすることを防止する
ためのコンクリ−ト構造物の亀裂補修剤及び補修工法、
並びにコンクリ−トの改質方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記のコンクリ−ト構造物は多孔質で、
熱収縮、コンクリ−トにとって宿命的な乾燥収縮、真夏
の熱膨張等によりコンクリ−トに亀裂が生じやすい。コ
ンクリ−トに亀裂が生ずると、雨水がコンクリ−ト内部
に浸入して鉄筋の爆裂、雨漏れ事故、醜いエフロレッセ
ッスの発生といった様々な問題を発生させる。このよう
な場合における従来の補修方法としては、亀裂に発泡ウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂、セメント系グラウト剤など
を注入する方法が一般的である。
【0003】しかし、補修処理としてこれらの補修剤を
コンクリ−トの亀裂に注入する場合は、亀裂幅が最低で
も0.3mm以上ないと注入することができない欠点が
あり、また、注入した個所周辺から再び亀裂が伸びて事
故が再発生することもある。
【0004】他の工法としては、コンクリ−トの亀裂部
に、電動カッタ−でU字状又はV字状の溝を入れてカッ
トした部分にシ−リング処理を施す方法がある。この工
法は、比較的低コストにて行うことができるが、経時的
に補修した個所にミミズ腫れ状態の痕跡が現れ、建物の
美観を損ねるだけでなく、耐久性にも乏しいという欠点
がある。
【0005】また、既存の陸屋根の防水層が破断した
り、コンクリ−トの亀裂が起こったりして、雨水が浸入
して漏水事故が発生した場合の補修方法として、アスフ
ァルト防水剤、ウレタン樹脂防水剤、FRP樹脂防水
剤、エポキシ樹脂防水剤、ゴムシ−ト防水剤などで陸屋
根全体を覆って改修する工法がある。
【0006】しかし、この工法の場合、低コストで施工
することが難しくて工期も長くなり、近隣に対する騒音
トラブル、臭気その他様々な問題が発生する欠点がある
だけでなく、数年おきに防水工事をやり直さなければな
らない煩わしさがある。
【0007】更に、中性化しているコンクリ−トの補強
方法としては、全体を塗膜で覆うか、あるいは中性化し
た部分のコンクリ−トを斫りモルタルで補修する方法な
どがある。
【0008】なお、本発明者は先に、カルシウムを亀裂
に注入し、乾燥後ケイ酸ナトリウムを亀裂内部に注入し
た後水を3回以上散水する方法を提唱している(特開平
7−26674号公報)。
【0009】この特開平7−26674号公報記載の発
明は、コンクリ−トの亀裂にカルシウムを注入して無機
質浸透性防水剤を塗布し、乾燥後水を3回塗布して亀裂
に防水層を形成するものであるが、それには以下の欠点
があることが判明した。
【0010】(1)コンクリ−トの亀裂に注入したカル
シウム水溶液が乾燥しにくい。 (2)カルシウム水溶液がコンクリ−トに浸透、吸着し
にくく、数回以上カルシウム溶液を亀裂に注入してから
ケイ酸ナトリウムを亀裂に注入しなければならない。 (3)カルシウム水溶液をコンクリ−トの亀裂に注入し
た後、直ちにケイ酸ナトリウムを注入すると、コンクリ
−トの亀裂表面で反応してそこに結晶体が形成されてし
まい、雨水の浸入を十分に防止することができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のコンクリ−ト構造物の亀裂補修工法には多くの問題点
があったので、本発明はそのような問題のない、即ち、
低コストで工期が短く、しかも確実にコンクリ−ト構造
物の亀裂を補修して漏水を防止することができるコンク
リ−ト構造物の亀裂補修剤及び補修工法を提供すること
を課題とする。
【0012】本発明はまた、中性化したコンクリ−トを
容易且つ確実に改質してその強度を保持させるためのコ
ンクリ−トの改質方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、カルシウム塩
1%〜25%の水溶液にアルコ−ルを1%〜60%添加
したことを特徴とするコンクリ−ト構造物の亀裂補修
剤、ないし、カルシウム塩の水溶液にアルコ−ルを添加
した溶液をコンクリ−ト構造物の亀裂に注入することに
より、前記アルコ−ルの作用により迅速に乾燥させると
ともにカルシウム塩の結晶体を形成せしめ、前記結晶体
により前記亀裂を充填することを特徴とするコンクリ−
ト構造物の亀裂補修工法、ないし、中性化したコンクリ
−トに上記補修剤を塗布又は注入して多孔質なコンクリ
−トの空洞に吸着させた後、ケイ酸アルカリを塗布して
多孔質なコンクリ−トの空洞にカルシウム塩の結晶体を
形成させてコンクリ−トを緻密化させてその強アルカリ
性を保持させることを特徴とするコンクリ−トの改質方
法を以て上記課題を解決した。
【0014】本発明において用いるカルシウム塩は、現
在医薬の原料、織物の捺染剤、有機合成触媒、食品の防
腐剤などに利用されているもので、建築用途には使用さ
れていない薬品であり、酢酸、蟻酸、乳酸等のモルカル
ボン酸、酒石酸、林檎酸、琥珀酸等のジカルボン酸、ク
エン酸等のポリカルボン酸、又は、バルミチン酸、ステ
アリン酸等の脂肪酸その他の有機酸カルシウムが含まれ
る。このカルシウム塩には、アルコ−ルで溶解すること
が難しいという問題がある。カルシウム塩の一種である
乳酸カルシウムなどは、水に溶解して食品類に多く使用
されているように、カルシウム塩は利用の仕方によって
は安全な薬品であるということができる。
【0015】今日建築・土木業界で多く使用されている
セメントの成分にはカルシウムが多く含まれ、構造物の
強度はそれが強アルカリ性を保持することによって保た
れている。ただ経年変化によって中性化し、亀裂から雨
水が浸入してコンクリ−トが劣化していくのが現状であ
った。セメントの成分中にカルシウムが含まれていれ
ば、劣化している部分にカルシウム塩とケイ酸アルカリ
を交互に供与することにより、簡単に不具合を補修する
ことができる。
【0016】かかる知見から本発明者は、1%〜25%
のカルシウム塩の水溶液にアルコ−ルを1%〜60%添
加した補修剤を用い、コンクリ−ト亀裂内部から漏れる
水の水路をカルシウム塩の結晶体で埋めて雨水の浸入を
防止する工法を案出したのである。
【0017】本発明の特徴は、カルシウム塩を水で溶解
してアルコ−ルを添加することにある。カルシウム塩は
アルコ−ルで溶解できず、水で溶解してそのままコンク
リ−トの亀裂に使用すると乾燥に長時間を要し、止水効
果を発揮させるまでに多くの時間を必要とした。
【0018】本発明に係るコンクリ−ト構造物の亀裂補
修剤は、最初に水1リットルに対しカルシウム塩を1%
〜25%混合して溶解し、次いで溶解したカルシウム塩
水溶液にアルコ−ルを1%〜60%添加して混合攪拌し
て製造する。その場合アルコ−ルを60%以上添加する
と、攪拌、混合時に結晶化してコンクリ−トの亀裂に注
入できなくなる。
【0019】アルコ−ルの添加は、コンクリ−ト構造物
内部への浸透性をよくすると共に、乾燥しやすくして作
業性を向上させるためのものである。この止水用補修剤
は、コンクリ−ト構造物の亀裂内部における結晶化のス
ピ−ドを上げ、止水工事の簡素化を目的としている。
【0020】上述したように、アルコ−ル濃度の高い止
水溶液をコンクリ−ト亀裂に注入した場合、カルシウム
塩の結晶化が速いと亀裂内奥部まで到達しないで入り口
周辺で結晶化してしまい、雨水の浸入防止にならないと
いった事態が起きる。しかるに、本発明に係る補修剤
は、コンクリ−トの亀裂に注入後30分前後で乾燥する
ように配合されており、この溶解を繰り返し注入するこ
とにより、この止水溶液だけで以てコンクリ−ト構造物
の亀裂からの漏水を防止することができる。
【0021】好ましくは、コンクリ−ト構造物の亀裂に
補修剤の結晶体が形成された後、止水効果の持続性を向
上させるために、ケイ酸アルカリを再度塗布、注入する
ことにより、完全にコンクリ−ト構造物の亀裂内部の空
洞を埋め、止水して雨水の浸入を防止する。なお、カル
シウム塩の結晶体はPH8であるため、ケイ酸アルカリ
で強アルカリにすることにより、コンクリ−トの強度を
保持する溶液となす。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態につき、図面
を参照しつつ詳述する。図1は、コンクリ−ト構造物で
ある壁、床などに発生する亀裂の補修方法を示すもので
ある。コンクリ−ト構造物は、熱収縮、乾燥収縮、熱応
力などにより亀裂が発生し、そこから雨水が漏れてコン
クリ−トの寿命低下を招くという宿命を持っている。し
かし、本発明によれば、その問題を解決することができ
る。
【0023】図1に示す例では、コンクリ−ト構造物1
に発生した亀裂2に雨水が浸入し、亀裂2の浸入個所か
ら水漏れしている。本発明に係る補修工法においては、
亀裂2に本発明に係る補修剤を注入して乾燥するのを待
つ。補修剤はカルシウム塩の水溶液にアルコ−ルを添加
したものであるため、乾燥時間は30分程度と従来より
短い。
【0024】乾燥後にケイ酸アルカリをコンクリ−ト構
造物1の亀裂2に注入すると、1分〜20分程度で結晶
体3が形成され、亀裂2は内部までこの結晶体3で埋ま
り、雨水を通さなくなる。上記処理後再びきれいな水を
亀裂2周辺に、1回以上散水してコンクリ−トに溶液を
吸着させて浸透させ、防水力を高めて作業終了となる。
なお、先にケイ酸アルカリを注入し、その後本補修剤を
注入することとしてもよい。
【0025】従来コンクリ−ト構造物1の亀裂にカルシ
ウムの水溶液を注入した場合、24時間〜48時間を乾
燥時間が必要としていた。また、カルシウム塩が乾燥し
ない状態でケイ酸アルカリを亀裂に注入した場合、亀裂
の入口で結晶体が形成されてコンクリ−トの亀裂内奥部
まで埋めるのにカルシウム塩の溶液とケイ酸アルカリの
溶液を交互に数回繰り返して行っていた。
【0026】本発明の最大の特徴は、アルコ−ル入りカ
ルシウム塩を用いることである。本補修剤又はケイ酸ア
ルカリをコンクリ−ト構造物1の亀裂2に1〜2回注
入、塗布して乾燥させる工程を繰り返し行うことによ
り、亀裂巾0.1mm〜2mmまでなら亀裂2内部を完
全に埋めることができ、雨水を受け付けないようにする
ことができる。アルコ−ルの浸透力と揮発力で亀裂の奥
まで入り込み、多孔質なコンクリ−トの空洞に吸着して
結晶体が形成される。作業時間は2時間程度に短縮され
る。しかも、従来の樹脂系の注入方法と違い、結晶体で
コンクリ−トに2次被害(亀裂膨張の再発生)を及ぼす
ことがなく、簡単に施工できるようになった。
【0027】防水工事、止水工事などは完全補修を要求
されるが、補助剤としてケイ酸アルカリを用い、散水処
理を1回以上行うことで、永続的にコンクリ−ト構造物
1の亀裂部の止水、防水をすることができる。散水処理
を1回以上行うのは、コンクリ−トの奥深くまで浸透さ
せることと、ケイ酸アルカリとコンクリ−ト中の水酸化
カルシウム(遊離カルシウム)とが化学反応を起こして
結晶化し、多孔質なコンクリ−トを緻密化してコンクリ
−トを改質し、雨水の浸入を二重に防止するためであ
る。
【0028】図2はコンクリ−ト屋根屋上の補修工事例
を示すものであって、11はコンクリ−ト躯体、12は
パラペット、13は防水層、14は断熱材、15は収縮
目地、16は押さえコンクリ−ト、17はコンクリ−ト
スラブ、18はコンクリ−トの亀裂、19は防水層の破
断部である。このコンクリ−ト製屋上において防水層1
3に破断部19が生じ、コンクリ−トの亀裂18から室
内に漏水した場合、従来であると押さえコンクリ−ト1
6を撤去して防水層13の破断部19を増貼りして補修
し、再び押さえコンクリ−ト16の打ち直しを行うか、
屋上屋根全体に塗膜防水剤などを塗布して補修してい
た。
【0029】しかるに本発明においては、図2の収縮目
地15を撤去して良く掃除を行った後、そこにケイ酸ア
ルカリとアルコ−ル入りカルシウム塩の水溶液を交互に
塗布及び注入する作業を数回繰り返して行い、押さえコ
ンクリ−ト16の隙間に結晶体を形成させて雨水の浸入
を防止する。この工法を更に詳述すると以下の通りであ
る。
【0030】(1)アルコ−ル入りカルシウム塩の水溶
液を収縮目地15に注入し、乾燥を待つ(乾燥時間30
分〜1時間)。 (2)工程(1)終了後、ケイ酸アルカリを収縮目地1
5に注入し、カルシウム塩の結晶体が形成されるのを待
つ(2時間〜4時間)。 (3)工程(2)終了後、収縮目地15周辺に1回以上
清水の散水処理を行って終了となる。
【0031】上記(1)及び(2)の溶液は押さえコン
クリ−ト16の隙間に入り、防水層の破断部19を経由
してコンクリ−トの亀裂18の所まで到達する。注入し
た水溶液は、押さえコンクリ−ト16の隙間とコンクリ
−トの空洞内部全体に行き渡り、押さえコンクリ−ト1
6と防水層13の空間内部が結晶体で埋められることに
より、雨水の浸入が起こらない屋上となる。
【0032】上記工法においてアルコ−ル入りカルシウ
ム塩の水溶液を使用する理由としては、水溶液の乾燥時
間の短さが挙げられる。従来カルシウムを水に溶解して
押さえコンクリ−トの収縮目地15に注入して乾燥して
結晶体が形成されるまで、晴天時でも24時間〜48時
間以上必要としていたが、本発明に係る工法ではそれが
半減する。
【0033】カルシウム塩の水溶液にアルコ−ルを1%
〜60%添加することにより、アルコ−ルの揮発力で溶
液に含まれる水分まで同時に揮発するので、作業が簡素
化されて短時間でケイ酸アルカリを注入することが可能
となり、押さえコンクリ−ト16の隙間に結晶体が迅速
に形成されて完璧な防水保護層ができ上がる。
【0034】続いて、ケイ酸アルカリとアルコ−ル入り
カルシウム塩の水溶液を交互に使用する理由について述
べる。
【0035】カルシウム塩はPH8で弱アルカリ性であ
る。コンクリ−トが脆弱化するのは、それが中性化する
ためである。従って、コンクリ−トの強度を保持させる
には、その強アルカリ性を維持させればよい。そこに、
PH8の弱アルカリ性の溶液を注入した場合は中性化を
促進する可能性がある。本発明ではコンクリ−トの性能
を維持するために、カルシウム塩の水溶液を使用する場
合、その注入後乾燥時間を置いてケイ酸アルカリをその
場所に注入し、PHを12%以上に復元させてコンクリ
−トを保全する。
【0036】また、本発明によれば、アルコ−ルの浸透
力、共沸によって多孔質なコンクリ−トの空洞にカルシ
ウム塩水溶液が浸透したところで、ケイ酸アルカリ水溶
液を施工部分に注入して結晶体を作り、多孔質なコンク
リ−トを無孔質なコンクリ−トに変えることができる。
【0037】次に、屋上押さえコンクリ−ト防水工法の
原理について説明する。通常は押さえコンクリ−ト16
の裏側には雨水の溜まりがあり、この雨水は押さえコン
クリ−ト16と接触しているためコンクリ−ト中の水酸
化カルシウム(CaSiO3 )が流出し、押さえコンク
リ−ト16の下にはカルシウム(CaSiO3 )が充満
している。この水酸化カルシウムとケイ酸アルカリ水溶
液とが反応して結晶体が形成され、以て防水することが
可能となる。
【0038】
【化1】
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】上記方法で防水する場合、遊離カルシウム
の残留量が大きな意味を持つ。押さえコンクリ−ト16
の裏側に溜まった遊離カルシウムの残留量が多ければ、
ケイ酸アルカリ水溶液を注入するだけで結晶体が形成さ
れて防水層を形成するが、遊離カルシウムの残留量が少
なかった場合はカルシウムを補充する必要がある。この
現象は、同じくコンクリ−トの亀裂内部においても起こ
る。コンクリ−トの亀裂を塞ぐためには、カルシウム塩
水溶液の亀裂内部への注入量、乾燥時間、結晶化するま
での時間などが重要な要素となる。
【0042】カルシウム塩1%〜25%の水溶液を作る
場合、蒸留水を使用したほうが良い。通常の水道水で溶
解すると、夏場などにカビが発生しやすい。カルシウム
塩の粉体は食品、医薬品などでよく使用されているが、
コンクリ−ト亀裂に使用する場合は、できるだけ目の粗
い粉体を使用することが好ましい。目の粗いものの方
が、コンクリ−ト亀裂内部の破断面(コンクリ−トの気
泡)に吸着させやすいからである。微粒子のカルシウム
の水溶液をコンクリ−トの亀裂に注入した場合は、注入
した下端から流出してしまうことがあり、コンクリ−ト
亀裂内部をカルシウム結晶体で止水処理した後、月日が
経つにつれて水漏れ事故が発生することが多くなる。
【0043】本発明に係る工法は、コンクリ−トの亀裂
内部にカルシウム塩の結晶体を形成して止水し、雨水を
コンクリ−トの亀裂から漏らさないようにすることを特
徴とするものであるが、もう一つの特徴として、コンク
リ−トの亀裂に形成した結晶体が雨水を吸い込み、吸い
込んだ雨水以上の水は、表面張力によって受け付けない
ようになることである。
【0044】上述したようにカルシウム塩の粒子が微粒
子の場合は、コンクリ−トの亀裂全体に結晶体が形成さ
れ、その自然乾燥が繰り返し行われると結晶体に割れを
生じ、水が漏れ始める欠点がある。
【0045】ケイ酸アルカリ15%〜30%を水溶解
し、PHを12以内にして使用することが好ましい。も
ともとケイ酸アルカリは、比重が1.4、PH13前後
であり、比重が重いとコンクリ−ト内部に浸透しにく
く、カルシウム塩の水溶液と化学反応させる場合コンク
リ−ト亀裂内に入っていかない。
【0046】次に酢酸カルシウムにアルコ−ルを添加す
る理由について述べる。カルシウム塩は水には溶解する
が、アルコ−ルに対しては難溶である。そこで、カルシ
ウム塩の1%〜25%水溶液を作り、これにアルコ−ル
を1%〜60%添加する。アルコ−ルは沸点78.3度
で蒸発し、アルコ−ルの蒸発とともに水も一緒に共沸
し、また、カルシウム塩の水溶液の水も同時に蒸発する
ため、乾燥速度が速く、作業性に優れていることが確認
された。
【0047】コンクリ−トの亀裂内部に蓄積した雨水又
はカルシウム塩の水溶液を急激に乾燥させるためには、
熱が必要となる。アルコ−ルをカルシウム塩の水溶液に
添加することにより、コンクリ−トの亀裂内部に注入さ
れた溶液と溜まり水などが共に共沸することが本発明の
狙いとなっている。通常カルシウムをコンクリ−トの亀
裂内部や押さえコンクリ−トの内部6に注入した場合、
乾燥に24時間から48時間以上を必要としたが、アル
コ−ルの添加によって乾燥時間を短縮することに成功し
た。
【0048】カルシウム塩の水溶液にアルコ−ルを添加
する場合の配合比であるが、1%〜48%が簡単に溶解
する範囲であり、49%〜60%では多少の結晶体がで
きるが、この結晶は攪拌と共に消え正常な溶液となる。
60%以上のアルコ−ルを添加すると、配合中に結晶化
してしまう特徴がある。
【0049】また、アルコ−ルがコンクリ−トの空洞
(多孔質)内部までカルシウム塩の水溶液とともに浸透
するため、防水層の結晶体形成が容易となった。
【0050】上記実例は、あくまで数多くある本発明の
実施形態の一例であって、本発明は上述した亀裂の補修
だけでなく、コンクリ−ト二次製品(ヒュ−ム管、ボッ
クスカルバ−ト、ブロック)の補強、あるいは、コンク
リ−ト製道路、防波堤、堤防、電車の橋梁の補強や亀裂
の補修にも適用できる。
【0051】
【発明の効果】本発明は以上のように、カルシウム塩の
水溶液にアルコ−ルを添加することにより、コンクリ−
ト構造物の亀裂又は中性化した多孔質なコンクリ−トに
カルシウム塩水溶液を十分に吸着させて、ケイ酸アルカ
リ水溶液及び水を用いて化学反応による結晶体をコンク
リ−ト内部に迅速に形成させるもので作業性がよくて、
コストの低減を計ることができ、今日のコンクリ−ト構
造物の亀裂から漏れる水を防止する工法並びに補修剤と
して最適なものが得られ、更に、同時に、コンクリ−ト
の中性化を防止してその強度を保持させることができる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る工法を説明するための概略図で
ある。
【図2】 本発明に係る工法を説明するための概略図で
ある。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム塩1%〜25%の水溶液にア
    ルコ−ルを1%〜60%添加したことを特徴とするコン
    クリ−ト構造物の亀裂補修剤。
  2. 【請求項2】 カルシウム塩が、酢酸、蟻酸、乳酸等の
    モルカルボン酸、酒石酸、林檎酸、琥珀酸等のジカルボ
    ン酸、クエン酸等のポリカルボン酸、又は、バルミチン
    酸、ステアリン酸等の脂肪酸のいずれかの有機酸カルシ
    ウムである請求項1に記載のコンクリ−ト構造物の亀裂
    補修剤。
  3. 【請求項3】 カルシウム塩1%〜25%の水溶液にア
    ルコ−ルを1%〜60%添加することを特徴とするコン
    クリ−ト構造物の亀裂補修剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 カルシウム塩が、酢酸、蟻酸、乳酸等の
    モルカルボン酸、酒石酸、林檎酸、琥珀酸等のジカルボ
    ン酸、クエン酸等のポリカルボン酸、又は、バルミチン
    酸、ステアリン酸等の脂肪酸のいずれかの有機酸カルシ
    ウムである請求項3に記載のコンクリ−ト構造物の亀裂
    補修剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 カルシウム塩の水溶液にアルコ−ルを添
    加した溶液をコンクリ−ト構造物の亀裂に注入すること
    により、前記アルコ−ルの作用により迅速に乾燥させる
    とともにカルシウム塩の結晶体を形成せしめ、前記結晶
    体により前記亀裂を充填することを特徴とするコンクリ
    −ト構造物の亀裂補修工法。
  6. 【請求項6】 コンクリ−ト構造物の亀裂に請求項1に
    記載の補修剤を塗布又は注入し、乾燥後ケイ酸アルカリ
    水溶液を注入してカルシウム塩の結晶体を迅速に形成せ
    しめ、前記結晶体により前記亀裂を充填することを特徴
    とするコンクリ−ト構造物の亀裂補修工法。
  7. 【請求項7】 カルシウム塩が、酢酸、蟻酸、乳酸等の
    モルカルボン酸、酒石酸、林檎酸、琥珀酸等のジカルボ
    ン酸、クエン酸等のポリカルボン酸、又は、バルミチン
    酸、ステアリン酸等の脂肪酸のいずれかの有機酸カルシ
    ウムである請求項5又は6に記載のコンクリ−ト構造物
    の亀裂補修工法。
  8. 【請求項8】 カルシウム塩の水溶液にアルコ−ルを添
    加した溶液を多孔質なコンクリ−ト又は石材に浸透、吸
    着させると共にケイ酸アルカリを塗布し、乾燥後その部
    分に1回以上の散水を行ってコンクリ−ト又は石材を無
    孔質化することにより、亀裂発生を防止することを特徴
    とする防水工法。
  9. 【請求項9】 中性化したコンクリ−トに請求項1に記
    載の補修剤を塗布又は注入して多孔質なコンクリ−トの
    空洞に吸着させた後、ケイ酸アルカリを塗布して多孔質
    なコンクリ−トの空洞にカルシウム塩の結晶体を形成さ
    せてコンクリ−トを緻密化させてその強アルカリ性を保
    持させることを特徴とするコンクリ−トの改質方法。
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