JPH11193435A - 強度および成形性に優れたアルミニウム合金箔およびその製造方法 - Google Patents

強度および成形性に優れたアルミニウム合金箔およびその製造方法

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JPH11193435A
JPH11193435A JP36964197A JP36964197A JPH11193435A JP H11193435 A JPH11193435 A JP H11193435A JP 36964197 A JP36964197 A JP 36964197A JP 36964197 A JP36964197 A JP 36964197A JP H11193435 A JPH11193435 A JP H11193435A
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alloy foil
aluminum alloy
cold rolling
final annealing
strength
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JP36964197A
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Ki Sai
▲祺▼ 崔
Koichi Ohori
紘一 大堀
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MA Aluminum Corp
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容器等に使用される成形用アルミニウム
合金箔において強度、成形性、耐食性を向上させた材料
を提供する。 【解決手段】 Mg:0.5〜2.0%、Mn:0.4
〜1.5%、Cu:0.05〜0.4%、Ti:0.0
05〜0.1%を含有するアルミニウム合金を150℃
/秒以上の冷却速度で鋳造し、最終焼鈍前の冷間圧延率
を90%以上にして、最終焼鈍前の不溶性金属間化合物
の最大寸法が5μm以下、0.7〜5μmの不溶性金属
間化合物の分布密度が30000個/mm2以上である
アルミニウム合金箔を得る。 【効果】 最終焼鈍後に、細粒の再結晶粒が得ら
れ、強度、成形性、耐食性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器等に加工され
るアルミニウム合金箔の製造方法に関するものである
【0002】
【従来の技術】一般の家庭用容器として、アルミニウム
合金箔から成形された容器が使用される場合がある。従
来、この種の簡易な形状の容器は、アルミニウム合金箔
を押圧して浅底に形成された底部と、この底部の周縁部
から立設するとともに、アルミニウム合金箔を引き延ば
して形成された側壁とから一体に形成されている。この
側壁には、その立設方向に延びるしわ目が複数形成され
ている。アルミニウム合金箔は、その厚みが30〜15
0μmに形成され、合金番号3004や、合金番号31
05(JIS H 4000)のアルミニウム合金から
形成されている。これらアルミニウム合金について化学
成分の重量%を示す。合金番号3004は、Siを0.
6%以下、Feを0.7%以下、Cuを0.3%以下、
Mnを1.0〜1.5%、Mgを0.2〜0.6%、C
rを0.1%以下、Znを0.25%以下、Tiを0.
1%以下含み、その残部がAlとされている。合金番号
3105は、Si0.6%以下、Feを0.7%以下、
Cuを0.3%以下、Mnを0.3〜0.8%、Mgを
0.2〜0.8%、Crを0.2%以下、Znを0.4
%以下、Tiを0.1%以下含み、その残部がAlとさ
れている。次に、アルミニウム合金箔を製造する方法に
ついて説明する。アルミニウム合金箔の製造方法は、ア
ルミニウム合金を溶解・鋳造する鋳造工程と、鋳造され
たインゴットを均質化処理する均質化処理工程と、均質
化処理されたインゴットを板状の合金(厚みが2〜8m
m)に熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延された板
状の合金を合金箔に冷間圧延する冷間圧延工程と、前記
合金箔(厚みが30〜150μm)を最終焼鈍する最終
焼鈍工程と、これら冷間圧延工程と最終焼鈍工程との間
で少なくとも一回以上合金を焼鈍する中間焼鈍工程とか
ら構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年におい
ては、アルミニウム合金箔には、その成形材の強度を保
つための材料強度の向上と、容器の内部形状に容易に成
形できる高い成形性とが要望される。この成形性は材料
の結晶粒の大きさと関係があり、この結晶粒の平均粒径
が所定の大きさ以下(例えば15μm以下)のときに高
い成形性を有する。しかしながら、従来のアルミニウム
合金箔の化学組成、製造方法にあっては、該アルミニウ
ム合金箔の結晶粒が比較的粗大化しやすく、平均粒径1
5μm以下のものが得られにくい。このため、アルミニ
ウム合金箔を成形するときに、このアルミニウム合金箔
に、割れ、亀裂等が生じるおそれがあり、形状の制約が
大きく、また不良品が発生する場合がある等の問題があ
った。
【0004】本発明は上記事情を背景としてなされたも
のであり、不溶性金属間化合物の寸法と分布密度を適切
に制御し、よって平均粒径の小さな結晶粒からなるアル
ミニウム合金箔を製造することにより、アルミニウム合
金箔の成形性を向上させたアルミニウム合金箔およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のうち、第1の発明の強度および成形性に優
れたアルミニウム合金箔は、重量%で、Mg:0.5〜
2.0%、Mn:0.4〜1.5%、Cu:0.05〜
0.4%、Ti:0.005〜0.1%を含有し、残り
がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム
合金箔であって、冷間圧延終了後、最終焼鈍前の不溶性
金属間化合物の最大寸法が実質的に5μm以下で、寸法
が0.7〜5μm範囲にある不溶性金属間化合物の分布
密度が30000個/mm2以上であることを特徴とす
る。
【0006】また、本発明のうち、第2の発明の成形性
に優れたアルミニウム合金箔の製造方法は、重量%で、
Mg:0.5〜2.0%、Mn:0.4〜1.5%、C
u:0.05〜0.4%、Ti:0.005〜0.1%
を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアル
ミニウム合金を鋳造してインゴットを得る鋳造工程と、
鋳造されたインゴットを均質化処理する均質化処理工程
と、均質化処理されたインゴットを冷間圧延して合金箔
を形成する冷間圧延工程と、前記合金箔を最終焼鈍する
最終焼鈍工程とを有するアルミニウム合金箔の製造方法
であって、前記鋳造工程での冷却速度が150℃/秒以
上であり、さらに前記最終焼鈍工程前の冷間圧延率が9
0%以上であることを特徴とする。
【0007】第3の発明の成形性に優れたアルミニウム
合金箔の製造方法は、第2の発明において、前記均質化
処理工程の保持温度が500℃〜580℃、保持時間が
8時間〜24時間であることを特徴とする。
【0008】第4の発明の成形性に優れたアルミニウム
合金箔の製造方法は、第2または第3の発明において、
前記最終焼鈍工程前の冷間圧延工程での冷間圧延率が9
0%以上であることを特徴とする。
【0009】第5の発明の成形性に優れたアルミニウム
合金箔の製造方法は、第2〜第4の発明において、前記
最終焼純時の昇温速度が50℃/時間以上、保持温度が
350℃〜450℃であることを特徴とする。
【0010】第6の発明の成形性に優れたアルミニウム
合金箔の製造方法は、第2〜第5の発明において、前記
最終焼鈍工程後の結晶粒の最大寸法が実質的に、15μ
m以下であることを特徴とする。
【0011】第7の発明の成形性に優れたアルミニウム
合金箔の製造方法は、第2〜第6の発明において、前記
合金箔の厚みが30〜150μmであることを特徴とす
る。
【0012】本発明の容器用アルミニウム合金箔は、A
l−Mn−Mg系合金において、最終焼鈍前に、不溶性
金属間化合物のサイズを小さなもの(実質的に5μm以
下)にし、かつ、0.7〜5μm範囲にある不溶性金属
間化合物の分布密度を30000個/mm2以上にした
ので、最終焼鈍によって微細な再結晶組織が得られ、成
形性および耐食性が向上するとともに強度が増す。これ
は、最終焼鈍時に、上記不溶性金属間化合物が再結晶核
生成サイトになるので、その粒径が小さいほど、また分
布密度が高いほど、平均結晶粒径が小さくなり、合金箔
の強度、成形性が向上するためである。したがって、強
度面の要請から容器の厚さを必要以上に厚くする必要が
なく、例えば、容器、すなわちアルミニウム合金箔の厚
さを30μm〜150μmの適切な範囲内にすることが
できる。また、成形性に伴う容器形状の制約も小さく、
また、割れ、亀裂等も生じ難く、歩留まりが向上する。
【0013】なお、上記の不溶性金属間化合物の実質的
なサイズが大きくなって5μmを超えるものとなれば、
強度および成形性において目的とする特性が得られな
い。また、0.7〜5μm範囲にある不溶性金属間化合
物の分布密度が30000個/mm2未満になると、再
結晶核生成サイトの数が小さくなって、平均結晶粒径が
大きくなり、合金箔の強度、成形性が低下する。
【0014】(鋳造)なお、上記サイズおよび分布密度
を有する不溶性金属化合物は、所定成分のアルミニウム
合金を溶製する際に、急速に凝固させて鋳造することに
より得られる。この凝固時に必要とされる凝固速度は、
150℃/秒以上であり、これよりも遅い凝固速度(1
50℃/秒未満)では、不溶性金属間化合物のサイズが
大きくなり、かつ、その分布密度が低下するので、最終
焼鈍後に平均粒径15μm以下の微細な結晶粒を有する
合金箔が得られない。
【0015】(冷間圧延)上記鋳造により得られたイン
ゴットは、その後、均質化処理、冷間圧延、焼鈍の各工
程を経てアルミニウム合金箔とされるが、本発明の製造
方法では、上記急冷凝固に加えて、最終焼鈍前の冷間圧
延率を90%以上にするのが望ましく、92%以上であ
るのがさらに望ましい。なお、上記冷間圧延において
は、本発明法ではとくに必須としないが、冷間圧延設備
の都合等により1回以上の中間焼鈍を行ってもよい。た
だし、本発明法に従って上記冷間圧延率を90%以上に
する場合には、最後の中間焼鈍以降の冷間圧延率を90
%以上にしなければならない。したがって、本発明法で
は、最後の中間焼鈍前の冷間圧延を含めて冷間圧延率が
90%以上であるだけでは、構成条件を充足せず、上記
条件を満たすことが必要である。すなわち、本発明にい
う最終焼鈍前の冷間圧延とは、冷間圧延中に中間焼鈍を
行わない場合には、冷間圧延全体を意味し、冷間圧延中
に中間焼鈍を行う場合には、最後の中間焼鈍工程以降の
冷間圧延を意味している。
【0016】このように上記圧延率を90%以上にする
と、不溶性金属間化合物を細粒化して前記密度を大きく
することができ、さらに冷間圧延によって蓄積される歪
みエネルギが顕著に大きくなり、このエネルギが最終焼
鈍時の再結晶駆動力となって再結晶粒の平均粒径を大幅
に小さくして、アルミニウム合金箔の成形性、強度、耐
食性を向上させる。一方、上記冷間圧延率が小さく、圧
延率が90%未満になると、蓄積エネルギが低すぎて最
終焼鈍での駆動力が十分に得られず、結晶粒径が大きく
なってしまう。また、この圧延の間に中間焼鈍を行う
と、蓄積された歪みエネルギが低下して、最終焼鈍時に
十分な再結晶駆動力が得られなくなる。したがって、中
間焼鈍を行う場合には、上記したように最終中間焼鈍後
の冷間圧延率が90%以上でなければならない。
【0017】(均質化処理)上記製造方法においては、
鋳造後のインゴットに施される均質化処理での保持温度
および保持時間を所定の範囲に限定するのが望ましい。
具体的には、均質化処理保持温度を500℃〜580℃
に、保持時間を8時間〜24時間にするのが望ましい。
これは、最終焼鈍時の再結晶を抑制する固溶Mnを十分
に析出させておくことによって、固溶Mnが再結晶を抑
制するのを避けるためである。上記保持温度が低く、ま
た時間が短すぎると、固溶Mnの析出が不十分となり、
最終焼鈍時の再結晶核生成が抑制されて、合金箔の結晶
粒が粗大となる。一方、必要以上に温度が高く、また時
間が長くなるとエネルギーのロスが増え、また不溶性金
属間化合物が粗大化して、0.7〜5μm範囲にある不
溶性金属間化合物の分布密度を上記条件で得ることが困
難になるおそれがあるため、上記範囲を設定するもので
ある。
【0018】(最終焼鈍)上記製造方法においては、さ
らに冷間圧延後の最終焼鈍における昇温速度および焼鈍
温度を限定するのが望ましい。具体的には、昇温速度を
50℃/時間以上、焼鈍温度を350℃〜450℃とす
るのが望ましい。これは、昇温速度が遅いと、昇温時の
蓄積歪みエネルギーの減少が多くなって、再結晶核駆動
力が低下し、よって結晶粒が粗大化して合金箔の強度が
低下するためである。また、焼鈍温度が350℃より低
いと、再結晶が終わるまでの時間が長すぎるので、生産
コストが増えるほか、細長い粗大な結晶粒が生じるおそ
れがある。一方、焼鈍温度が450℃より高くなると、
再結晶が終わるまでの時間が短すぎるため、操業上での
保持時間制御が難しくなる。なお、焼鈍時間については
特に設定していないが、昇温速度と保持温度を考慮し、
再結晶が完全に終わる時間以上に設定すればよい。
【0019】(合金箔の厚み)上記製造過程により得ら
れる合金箔は、30〜150μmの厚みが望ましい。こ
れは、厚みが30μmより薄いと、合金箔の剛性が失わ
れ、一方、合金箔の厚みが150μmより厚いと合金箔
の成形が困難になり、合金箔における成形荷重が増加す
るためである。
【0020】本発明は、上記のように最適には、特定成
分のアルミニウム合金を急速に擬固させて鋳造した後、
均質化処理工程を適切に制御することにより、不溶性金
属間化合物のサイズを小さいなもの(5μm以下)に、
かつ、0.7〜5μm範囲にある不溶性金属間化合物の
分布密度を30000個/mm2以上にし、さらに冷間
圧延工程の圧延率を90%以上にして、平均粒径15μ
m以下の結晶粒を有する合金箔を作製する。これら作用
により本発明の製造方法により得られたアルミニウム合
金箔は優れた成形加工性を有しているとともに強度が向
上する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の一実施形態を説
明する。本発明の成分範囲内において成分調整をしたア
ルミニウム合金を溶解して、所定の鋳造装置でインゴッ
トを製造する。なお、従来材の製造においで用いられて
いる半連続鋳造法および装置では、凝固速度は20℃/
秒が限度であり、本発明における凝固速度(150℃/
秒)を確保できないので、通常は、連続鋳造法および装
置が採用される。連続鋳造法の種別としては、双ロール
式連続鋳造法、水冷式連続鋳造法、ベルト式連続鋳造法
などの各種の方法があるが、本発明としては特定の方法
に限定されるものではない。ただし、上記金属間化合物
のサイズを確実に小さくするために、連続鋳造時に熱間
圧延が同時に行われる連続鋳造圧延が望ましく、これに
より、後の熱間圧延を省略することができる。通常の熱
間圧延は膨大な設備を必須とするので、それを省略する
ことによって、コストダウンがはかれる。なお、連続鋳
造圧延法により得られるインゴットは、板材として得ら
れることになる。また、上記のように連続鋳造圧延によ
り板材を得る場合や所望により鋳造後、熱間圧延を行っ
て板材を得る場合には、これら板材の板厚は、最終焼鈍
前の圧延ままでの冷間圧延率90%以上を確保すること
を前提に、製品箔厚みに合わせて適宜設定される。
【0022】次いで、上記のように、連続鋳造圧延また
は鋳造ままで得られるインゴットには、均質化処理を施
す。該均質化処理は、通常は、均熱炉を用いて行われる
が、本発明としては均熱炉の種別、構造が特に限定され
るものではなく、適宜選定することができる。この均熱
炉を用いた均質化処理においても、上記のように、50
0℃〜580℃の温度で8時間〜24時間保持するのが
望ましい。上記均質化処理によって、材料の均質化が得
られるとともに、上記したように所定の目的に沿って固
溶Mnが析出する。
【0023】上記均質化処理を行ったインゴットは、冷
間圧延機によってアルミニウム合金箔に圧延される。な
お、冷間圧延機の種別や構造は特に限定されるものでは
なく、粗圧延と仕上圧延のように、複数種の圧延機を使
用するものであってもよい。また、圧延に際し、パス数
も適宜設定することができ、また、2枚以上を重ねて圧
延することもできる。通常は、粗圧延機で圧延した後、
仕上圧延機で所定厚さの箔に仕上げ、特に厚さを薄くし
た場合には、2枚以上を重ねて仕上げ圧延する。さら
に、冷間圧延に際し、1回以上の中間焼鈍を行うことも
できる。この中間焼鈍の条件は、本発明としては特に限
定されるものではなく、常法の条件により行うことがで
きる。
【0024】上記冷間圧延では前記したように最終焼鈍
前の冷間圧延率(最終冷間圧延率)を90%にするのが
望ましい。そして、望ましくは30〜150μm厚に圧
延されたアルミニウム合金箔は、不溶性金属間化合物の
最大寸法が実質的に5μm以下であり、寸法が0.7〜
5μm範囲にある不溶性金属間化合物の分布密度が30
000個/mm2以上になっている。このアルミニウム
合金箔は、望ましくは、50℃/時間以上の昇温速度で
昇温させて、350〜450℃に保持して最終焼鈍を行
う。この最終焼鈍によって微細な再結晶粒が確実に生成
され、成形性、強度、さらに耐食性が向上する。上記に
より得られたアルミニウム合金箔は、プレス等の所望の
成形加工を施して、代表的には容器形状に成形される。
なお、成形の方法や成形内容、成形形状は本発明として
は特に限定されるものではなく、皺付き容器や皺なし容
器等に加工することができる。成形加工されたアルミニ
ウム合金箔は、非密閉型の食品容器として利用する他、
他の用途材としても使用することができる。また、本発
明としては、その用途が成形容器用アルミニウム合金箔
に限定されるものではなく、成形性およに強度が要求さ
れるような他の用途への適用も可能である。
【0025】
【実施例】以下、本発明のアルミニウム合金箔の一実施
例について説明する。鋳造工程では、あらかじめ、Mn
を1.05重量%、Mgを1.12重量%、Cuを0.
14重量%、Tiを0.01重量%、Feを0.39重
量%、Siを0.24重量%、その残部をAlとして、
前記各金属を秤量し、これらを溶解した後、双ロール式
連続鋳造法により、凝固時の冷却速度が約190℃/秒
になるようにして厚さ6mmの板に鋳造し、これをコイ
ル状に巻き込んだ。均質化処理工程では、炉に鋳造工程
で得られたコイルを入れ、これを540℃に加熱し20
時間保持、または420℃に加熱し2時間保持した後、
炉とともに室温まで冷却させた。次いで、冷間圧延工程
では、均質化処理を施したコイルを、中間焼鈍を行うこ
となく100μm箔にまで圧延した。ここでの圧延率は
約98.3%である。次に、最終焼鈍工程では、100
μmの箔を表1に示す昇温速度および保持温度で加熱し
た後、炉とともに室温まで冷却させて合金箔を得た(N
o.1、2、4)。また、上記の他に、冷間圧延時に7
00μm厚まで圧延した後、昇温速度55℃/時間で3
70℃に加熱して2時間保持する中間焼鈍を行い、その
後、100μmまで圧延し(冷間圧延率85.3%)、
その他は上記と同条件とした合金箔(No.3)を用意
した。
【0026】さらに比較のため、半連続鋳造(DC鋳
造)、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、最
終冷間圧延、最終焼鈍という従来法によって作製した比
較合金箔も用意した。従来法では、冷却速度約15℃/
秒で鋳造し、その後565℃×8時間の均質化処理を施
し、厚さ6mmに熱間圧延して、厚さ0.4mmに冷間
圧延した。次いで、中間焼鈍として、昇温速度55℃/
時間で370℃に加熱して2時間保持した後、炉ととも
に冷却させる処理を行った。中間焼鈍後、100μmま
でに冷間圧延して、昇温速度55℃/時間で370℃×
2時間の最終焼鈍を行った。
【0027】表1に本発明法および従来法によって作製
した合金箔の製造条件、表2に結晶粒径、機械的性質、
成形性の測定結果を示す。なお、不溶性金属間化合物の
サイズと分布密度は、最終冷延工程までを経た合金箔よ
り試料を採取し、画像解析装置によって測定した。結晶
粒径は、最終焼鈍工程までを経た合金箔より試料を採取
し、同じ画像解析装置によって測定した。機械的性質は
JIS13B号試験片を使用した引張試験より測定し
た。成形性については、実機プレスにより容器を作製
し、割れや亀裂の発生程度によって、割れ率0.0%の
箔には◎、0.2%以下の箔には○、2.0%以下の箔
には△、2.0%を超える箔には×を付して評価した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1と表2から分かるように、鋳造時の冷
却速度が遅いDC鋳造を採用した製造法より得られた合
金箔は、不溶性金属間化合物の寸法がかなり大きく、最
終焼鈍後の結晶粒がかなり粗大なので、成形性と強度が
劣っている。これに対し、本発明の合金箔は、強度、成
形性ともに従来法による合金箔よりも優れている。但
し、本発明材の中で、鋳造条件が適切であっても、均質
化処理条件、最終冷間圧延率のいずれが本発明の最適条
件外にあると(No.2、3)、結晶粒が大きくなり、
強度、成形性などがやや低下している。これは、発明材
のNo.2は、均質化処理の温度が他より低く、また保
持時間も短いので、固溶Mnが十分に析出せず、再結晶
核生成が抑制されて成形性が十分に向上しなかったため
と思われる。また、発明材のNo.3は、最終冷間圧延
率が他より低いので、蓄積歪みエネルギが十分でなく、
よって再結晶粒が十分に微細化されず、強度、成形性の
向上効果が低下したためと思われる。したがって、本発
明材にあっても、鋳造条件、均質化処理条件、最終冷間
圧延率、最終焼鈍条件を最適な条件に設定することによ
り、機械的性質、成形性が最もバランスよく向上する。
なお、本発明は上記実施例によって制約を受けるもので
はなく、適合しうる範囲で適切に変更実施することが勿
論可能であり、それも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
結晶粒径が小さく、したがって強度、成形性ともに優れ
るアルミニウム合金箔を得ることができる。したがっ
て、容器を始めとする、強度と成形性で過酷な条件が許
せられる用途に好適なアルミニウム合金箔が得られる効
果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 630 C22F 1/00 630A 630K 681 681 685 685Z 691 691B 691C 691A 692 692A 694 694A

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Mg:0.5〜2.0%、M
    n:0.4〜1.5%、Cu:0.05〜0.4%、T
    i:0.005〜0.1%を含有し、残りがAlおよび
    不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金箔であっ
    て、冷間圧延終了後、最終焼鈍前の不溶性金属間化合物
    の最大寸法が実質的に5μm以下で、寸法が0.7〜5
    μm範囲にある不溶性金属間化合物の分布密度が300
    00個/mm2以上であることを特徴とする強度および
    成形性に優れたアルミニウム合金箔
  2. 【請求項2】 重量%で、Mg:0.5〜2.0%、M
    n:0.4〜1.5%、Cu:0.05〜0.4%、T
    i:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび
    不可避不純物からなるアルミニウム合金を鋳造してイン
    ゴットを得る鋳造工程と、鋳造されたインゴットを均質
    化処理する均質化処理工程と、均質化処理されたインゴ
    ットを冷間圧延して合金箔を形成する冷間圧延工程と、
    前記合金箔を最終焼鈍する最終焼鈍工程とを有するアル
    ミニウム合金箔の製造方法であって、前記鋳造工程での
    冷却速度が150℃/秒以上であり、さらに前記最終焼
    鈍工程前の冷間圧延率が90%以上であることを特徴と
    する強度および成形性に優れたアルミニウム合金箔の製
    造方法
  3. 【請求項3】 前記均質化処理工程の保持温度が500
    ℃〜580℃、保持時間が8時間〜24時間であること
    を特徴とする請求項2記載の強度および成形性に優れた
    アルミニウム合金箔の製造方法
  4. 【請求項4】 前記最終焼鈍工程前の冷間圧延工程での
    冷間圧延率が90%以上であることを特徴とする請求項
    2または3に記載の強度および成形性に優れたアルミニ
    ウム合金箔の製造方法
  5. 【請求項5】 前記最終焼純時の昇温速度が50℃/時
    間以上、保持温度が350℃〜450℃であることを特
    徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の強度および成
    形性に優れたアルミニウム合金箔の製造方法
  6. 【請求項6】 前記最終焼鈍工程後の結晶粒の最大寸法
    が実質的に、15μm以下であることを特徴とする請求
    項2〜5のいずれかに記載の強度および成形性に優れた
    アルミニウム合金箔の製造方法
  7. 【請求項7】 前記合金箔は、冷間圧延終了後の厚みが
    30〜150μmであることを特徴とする請求項2〜6
    のいずれかに記載の強度および成形性に優れたアルミニ
    ウム合金箔の製造方法
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103045912A (zh) * 2011-10-14 2013-04-17 株式会社神户制钢所 电池壳体用铝合金板和电池壳体
WO2015027030A1 (en) * 2013-08-21 2015-02-26 Taheri Mitra Lenore Selective grain boundary engineering

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