JPH11192675A - ガスバリア性積層フィルム、ガスバリア性積層フィルムの製造方法およびガスバリアコート剤 - Google Patents

ガスバリア性積層フィルム、ガスバリア性積層フィルムの製造方法およびガスバリアコート剤

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JPH11192675A
JPH11192675A JP12080098A JP12080098A JPH11192675A JP H11192675 A JPH11192675 A JP H11192675A JP 12080098 A JP12080098 A JP 12080098A JP 12080098 A JP12080098 A JP 12080098A JP H11192675 A JPH11192675 A JP H11192675A
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film
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屈曲させてもピンホールやクラックが発生せ
ず、かつ無機化合物や金属の膜状態と同等もしくはそれ
以上の優れたガスバリア性を有するガスバリア層を備え
たガスバリア性積層フィルムを提供する。 【解決手段】 有機高分子フィルム;および前記有機高
分子フィルムに積層され、ガスバリア性有機高分子とこ
の高分子に分散された無機化合物および金属から選ばれ
る少なくとも1つの材料からなる平均粒径100nm以
下の多数の超微粉末とを含むガスバリア層;を具備した
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品、医薬等の各
種の物品の包装材料に用いられるガスバリア性積層フィ
ルム、その製造方法および基材フィルム上にガスバリア
層を形成するためのガスバリアコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】スナック菓子などの食品、医薬品、酸素
や水蒸気に曝されることを嫌う物品においては、酸素な
どのガスや水蒸気に対してバリア性を有するフィルムに
より包装して外界から長期間保護することがなされてい
る。
【0003】前記ガスバリア性フィルムとしては、従来
よりガスの拡散および浸透が少ないポリ塩化ビニリデン
(PVDC)、エチレン・ビニルアルコール共重合体
(EVOH樹脂)が知られている。しかしながら、PV
DCフィルムは廃棄処分する際の焼却時に有害な塩素ガ
スが発生するという問題があった。また、EVOH樹脂
フィルムは湿度の高い雰囲気(湿潤雰囲気)に曝される
と酸素遮断性が著しく低下する問題があった。
【0004】このようなことから、ガスバリア層を有す
る積層フィルムが開発、実用化されている。具体的に
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに
アルミニウム(Al)からなるガスバリア層を蒸着した
ガスバリア性積層フィルム、PETフィルムに酸化ケイ
素のような無機化合物のガスバリア層を真空蒸着等によ
り被覆したガスバリア性積層フィルムがある。
【0005】しかしながら、前記ガスバリア層を有する
積層フィルムは真空チャンバ内でAlや無機化合物を蒸
発させて前記チャンバ内の上部に移動自在に配置された
長尺PETフィルムの下面にAlや無機化合物からなる
ガスバリア層を形成することにより製造されるため、大
掛かりな装置を必要とするばかりか、時間当たりの積層
フィルムの製造効率も自ずと限界がある。
【0006】また、酸化ケイ素のような絶縁性無機化合
物からなるガスバリア層を有する積層フィルムは、樹脂
フィルムのように電子レンジに使用可能である等の特徴
を有する。しかしながら、この積層フィルムはガスバリ
ア層が硬い酸化ケイ素のような無機化合物の蒸着により
形成されるため、屈曲させるとガスバリア層にピンホー
ルやクラックが発生して酸素や水蒸気に対するバリア性
が著しく劣化するという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、屈曲させて
もピンホールやクラックが発生せず、かつ無機化合物や
金属の膜状態と同等もしくはそれ以上の優れたガスバリ
ア性を有するガスバリア層を備えたガスバリア性積層フ
ィルムを提供しようとするものである。
【0008】本発明は、屈曲させてもピンホールやクラ
ックが発生せず、優れたガスバリア性を有するガスバリ
ア層を備え、かつ基材である有機高分子フィルムと同等
の透明性を有するガスバリア性積層フィルムを提供しよ
うとするものである。
【0009】本発明は、真空蒸着のような大掛かりな装
置を使用せずに塗布手段により前述した優れたガスバリ
ア性を有するガスバリア層を形成することが可能なガス
バリア性積層フィルムの製造方法を提供しようとするも
のである。本発明は、優れた前記特性を有するガスバリ
ア性積層フィルムを得るためのガスバリアコート剤を提
供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるガスバリ
ア性積層フィルムは、有機高分子フィルム;および前記
有機高分子フィルムに積層され、ガスバリア性有機高分
子とこの高分子に分散された無機化合物および金属から
選ばれる少なくとも1つの材料からなる平均粒径100
nm以下の多数の超微粉末とを含むガスバリア層;を具
備したことを特徴とするものである。
【0011】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
の製造方法は、無機化合物および金属から選ばれる少な
くとも1つの材料からなる平均粒径100nm以下の超
微粉末とガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分
散接合または結合された平均粒径1μm以下の多数の複
合超微粒子を含むガスバリアコート剤を調製する工程;
および有機高分子フィルムに前記ガスバリアコート剤を
塗布し、乾燥することによりガスバリア層を形成する工
程;を具備したことを特徴とするものである。
【0012】本発明に係わるガスバリアコート剤は、無
機化合物および金属から選ばれる少なくとも1つの材料
からなる平均粒径100nm以下の超微粉末とガスバリ
ア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合または結合
された平均粒径1μm以下の多数の複合超微粒子を含有
することを特徴とするものである。
【0013】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、有機高分子フィルム;および前記有機高分子フィル
ムに積層され、ポリビニルアルコールおよびエチレンビ
ニルアルコール共重合体から選ばれる少なくとも1つの
ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された酸化
ケイ素からなる多数の超微粉末とを含むガスバリア層;
を具備し、前記有機高分子フィルムと同等の透明性を有
することを特徴とするものである。
【0014】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルム;および前記基材フィルムに積層さ
れ、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された
無機化合物および金属から選ばれる少なくとも1つの材
料からなる平均粒径が100nm以下の多数の超微粉末
とを含むガスバリア層;を具備し、屈曲後の水蒸気およ
びガスの透過量がそれぞれ10g/m2 ・24hr以下
および10cc/m2 ・24hr以下であることを特徴
とするものである。
【0015】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルム;および前記基材フィルムに積層さ
れ、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された
無機化合物および金属から選ばれる少なくとも1つの材
料からなる多数の超微粉末とを含み、前記基材フィルム
表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の
超微粉末における比表面積の合計が50〜600m2
あるガスバリア層;を具備したことを特徴とするもので
ある。
【0016】本発明に係わるガスバリアコート剤は、親
水性無機化合物および疎水性無機化合物から選ばれる少
なくとも1つの超微粉末からなる混合超微粉末とガスバ
リア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合または結
合された多数の複合超微粒子を含有することを特徴とす
るものである。
【0017】本発明に係わるガスバリアコート剤は、
(a)酸化ケイ素からなる超微粒子とガスバリア性有機
高分子とが溶剤の存在下で分散接合または結合された多
数の複合超微粒子と、(b)シランカップリング剤とを
含有することを特徴とするものである。
【0018】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルム;および前記基材フィルムに積層さ
れ、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された
疎水性無機化合物からなる超微粉末とを含み、前記基材
フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在す
る多数の超微粉末における比表面積の合計が50〜20
0m2 であるガスバリア層;を具備したことを特徴とす
るものである。
【0019】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルム;および前記基材フィルムに積層さ
れ、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された
親水性無機化合物からなる超微粉末とを含み、前記基材
フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在す
る多数の超微粉末における比表面積の合計が100〜6
00m2 であるガスバリア層;を具備したことを特徴と
するものである。
【0020】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルム;および前記基材フィルムに積層さ
れ、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された
親水性無機化合物の超微粉末および疎水性無機化合物の
超微粉末からなる混合超微粉末とを含み、前記基材フィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多
数の超微粉末における比表面積の合計が150〜600
2 であるガスバリア層;を具備したことを特徴とする
ものである。
【0021】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルム;前記基材フィルムに積層され、ガス
バリア性有機高分子とこの高分子に分散された親水性無
機化合物の超微粉末を含み、前記基材フィルム表面に実
質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の超微粉末
における比表面積の合計が100〜600m2 である第
1ガスバリア層;および前記第1ガスバリア層に積層さ
れ、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された
疎水性無機化合物の超微粉末を含み、前記基材フィルム
表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の
超微粉末における比表面積の合計が50〜200m2
ある第2ガスバリア層;を具備したことを特徴とするも
のである。
【0022】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルム;前記基材フィルムに積層され、ガス
バリア性有機高分子とこの高分子に分散された疎水性無
機化合物の超微粉末を含み、前記基材フィルム表面に実
質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の超微粉末
における比表面積の合計が50〜200m2 である第1
ガスバリア層;および前記第1ガスバリア層に積層さ
れ、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された
親水性無機化合物の超微粉末を含み、前記基材フィルム
表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の
超微粉末における比表面積の合計が100〜600m2
である第2ガスバリア層;を具備したことを特徴とする
ものである。
【0023】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルム;および前記基材フィルムに積層さ
れ、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散された
(a)酸化ケイ素からなる超微粉末およびガスバリア性
有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合または結合され
た多数の複合超微粒子と、(b)シランカップリング剤
とを含むガスバリア層;を具備したことを特徴とするも
のである。
【0024】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
の製造方法は、疎水性無機化合物からなる超微粉末とガ
スバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合また
は結合された多数の複合超微粒子を含有するガスバリア
コート剤を調製する工程;および基材フィルムに前記バ
リアコート剤を塗布し、乾燥することにより前記基材フ
ィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する
多数の超微粉末における比表面積の合計が50〜200
2 であるガスバリア層を形成する工程;を具備したこ
とを特徴とするものである。
【0025】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
の製造方法は、親水性無機化合物からなる超微粉末とガ
スバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合また
は結合された多数の複合超微粒子を含有するガスバリア
コート剤を調製する工程;および基材フィルムに前記バ
リアコート剤を塗布し、乾燥することにより前記基材フ
ィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する
多数の超微粉末における比表面積の合計が100〜60
0m2 であるガスバリア層を形成する工程;を具備した
ことを特徴とするものである。
【0026】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
の製造方法は、親水性無機化合物の超微粉末および疎水
性無機化合物の超微粉末からなる混合超微粉末とガスバ
リア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合または結
合された多数の複合超微粒子を含有するガスバリアコー
ト剤を調製する工程;および基材フィルムに前記バリア
コート剤を塗布し、乾燥することにより前記基材フィル
ム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数
の超微粉末における比表面積の合計が150〜600m
2 であるガスバリア層を形成する工程;を具備したこと
を特徴とするものである。
【0027】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
の製造方法は、疎水性無機化合物の超微粉末とガスバリ
ア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合または結合
された多数の複合超微粒子を含有する第1ガスバリアコ
ート剤を調製する工程;親水性無機化合物の超微粉末と
ガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合ま
たは結合された多数の複合超微粒子を含有する第2ガス
バリアコート剤を調製する工程;および前記第1,第2
のバリアコート剤を用いて基材フィルムに塗布し、乾燥
することにより前記基材フィルム表面に実質的に平行な
面1m2 当たりに存在する多数の疎水性無機化合物超微
粉末における比表面積の合計が50〜200m2 である
第1ガスバリア層および前記基材フィルム表面に実質的
に平行な面1m2 当たりに存在する多数の親水性無機化
合物超微粉末における比表面積の合計が100〜600
2 である第2ガスバリア層を形成する工程;を具備し
たことを特徴とするものである。
【0028】本発明に係わるガスバリア性積層フィルム
の製造方法は、(a)酸化ケイ素からなる超微粒子とガ
スバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合また
は結合された多数の複合超微粒子と、(b)シランカッ
プリング剤とを含有するガスバリアコート剤を調製する
工程;および基材フィルムに前記バリアコート剤を塗布
し、乾燥することによりガスバリア層を形成する工程;
を具備したことを特徴とするものである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるガスバリア
性積層フィルム図1,図2を参照して詳細に説明する。
このガスバリア性積層フィルム1は、有機高分子フィル
ム2と、このフィルム2の片面に積層されたガスバリア
層3とを具備する。前記ガスバリア層3は、ガスバリア
性有機高分子4と、この高分子4に分散され、無機化合
物および金属から選ばれる少なくとも1つの材料からな
る平均粒径100nm以下の多数の超微粉末5とを含有
する。
【0030】前記有機高分子フィルムとしては、包装材
料に適用される各種の有機樹脂フィルムを使用すること
ができ、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルム、ナイロンフィルム、配向性ポリプロピレンフ
ィルム、無配向のポリエチレンフィルム、エチルビニル
アセテート共重合体(EVA)フィルム、ポリプロピレ
ンフィルム等を用いることができる。これらのフィルム
は、1層または2層以上の形態で用いることができる。
【0031】前記超微粉末は、酸化ケイ素、酸化ジルコ
ニムウ、酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、酸
化錫のような無機化合物、またはアルミウム、錫、亜鉛
のような金属から作られる。前記超微粉末は、前記無機
化合物、金属から選ばれる1種または2種以上の混合物
の形態で用いることができる。前記超微粉末として酸化
ケイ素のような絶縁性無機化合物を用いることによっ
て、積層フィルム全体に絶縁性を持たせることが可能に
なる。前記超微粉末は、特に超微粉末化が容易な酸化ケ
イ素が好ましい。
【0032】前記平均粒径を有する超微粉末は、前記ガ
スバリア層に優れた酸素遮断性や水蒸気遮断性を付与す
ることが可能になる。前記超微粉末の平均粒径が100
nmを超えると、前記ガスバリア層における体積当たり
の超微粉末の分散量を多くすることが困難になる。より
好ましい超微粉末の平均粒径は、50nm以下である。
【0033】前記ガスバリア性有機高分子は、酸素およ
び水蒸気の透過量がそれぞれ10cc/m2 ・24hr
以下、10g/m2 ・24hr以下であることが好まし
く、例えばエチレンビニルアルコール共重合体、ポリビ
ニルアルコール等を挙げることができ、これらは1種ま
たは2種以上の混合物の形態で用いることができる。
【0034】前記ガスバリア層は、1μm以上の厚さを
有することが好ましい。前記ガスバリア層の厚さを1μ
m未満にすると、積層フィルムに高いガスバリア性を付
与することが困難になる。より好ましい前記ガスバリア
層の厚さは、2〜5μm、さらに好ましくは2〜3μm
である。
【0035】なお、前記有機高分子フィルムと反対側の
ガスバリア層の表面に前記有機高分子フィルムと同種ま
たは異種の有機高分子フィルム、或いは紙、不織布等を
接着剤を介して積層することを許容する。
【0036】以上説明した本発明のガスバリア性積層フ
ィルムは、有機高分子フィルムと、この有機高分子フィ
ルムに積層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子
に分散され、無機化合物および金属から選ばれる少なく
とも1つの材料からなる平均粒径が100nm以下の多
数の超微粉末とを含むガスバリア層とを具備した構造を
有する。
【0037】このような積層フィルムは、ガスバリア性
有機高分子を母材とするガスバリア層を有するため、酸
素や水蒸気を遮断する作用が付与される。また、前記ガ
スバリア層中にはそれ自身、高いガスバリア性を持つ無
機化合物および金属から選ばれる少なくとも1つの材料
からなる平均粒径100nm以下の多数の超微粉末が分
散されているため、ガスバリア性有機高分子のみからな
る層に比べて優れた酸素遮断性および水蒸気遮断性を有
する。
【0038】すなわち、前述した図1および図2に示す
ようにガスバリア性有機高分子4に分散された平均粒径
100nm以下の多数の超微粉末5の存在によりガスバ
リア層3に酸素や水蒸気などのガスに対する曲がりくね
った通路、いわゆるトーチャス・パス(Tortuous pat
h)が形成されるため、優れた酸素遮断性および水蒸気
遮断性を示すガスバリア性積層フィルムを得ることがで
きる。
【0039】さらに、前記ガスバリア層は多数の超微粉
末と有機高分子を含有するため、適度な柔軟性を有し、
屈曲させてもピンホールやクラックの発生を防止でき
る。したがって、本発明によれば屈曲させてもピンホー
ルやクラックが発生せず、かつ無機化合物や金属の膜状
態と同等もしくはそれ以上の優れた酸素遮断性(例えば
10g/m2 ・24hr以下)、水蒸気遮断性(例えば
10cc/m2 ・24hr以下)等のガスバリア性を有
するガスバリア層を備えた食品、医薬等の各種の物品の
包装材料に好適なガスバリア性積層フィルムを提供でき
る。
【0040】さらに、前記ガスバリア層を構成するガス
バリア性有機高分子としてエチレンビニルアルコール共
重合体、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも
1つの樹脂を用い、かつ超微粒子として酸化ケイ素を用
いることによって、優れた酸素遮断性、水蒸気遮断性等
のガスバリア性を有するを有するとともに、基材である
有機高分子フィルムと同等の高い透明度を有するガスバ
リア性積層フィルムを提供できる。
【0041】特に、前記ガスバリア層の厚さを1μm以
上と従来のAlやセラミックの蒸着膜に比べて厚くすれ
ば、さらに優れた酸素遮断性および水蒸気遮断性を有す
るガスバリア層を備えた積層フィルムを実現できる。
【0042】さらに、前記ガスバリア層を構成するガス
バリア性有機高分子としてエチレンビニルアルコール共
重合体、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも
1つの樹脂を用い、かつ超微粒子として酸化ケイ素を用
いることによって、優れた酸素遮断性、水蒸気遮断性等
のガスバリア性を有するを有するとともに、基材である
有機高分子フィルムと同等の高い透明度を有するガスバ
リア性積層フィルムを提供できる。
【0043】さらに、基材としてPET,OPPのよう
な塩素を含まない有機高分子のフィルムや紙を用い、前
記ガスバリア層を構成するガスバリア性有機高分子とし
てエチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアル
コールから選ばれる少なくとも1つの樹脂を用いること
によって、廃棄処理物を例えばアルコールと水の混合溶
剤で処理することによりガスバリア層を前記基材から容
易に除去することができる。その結果、前記基材の回
収、再利用が容易で、しかも廃棄処理物を焼却しても人
体に有害な塩素系化合物が排出されることがないため、
環境にやさしいガスバリア性積層フィルムを提供でき
る。
【0044】次に、本発明に係わるガスバリアコート剤
を説明する。このガスバリアコート剤は、無機化合物お
よび金属から選ばれる少なくとも1つの材料からなる平
均粒径100nm以下の超微粉末とガスバリア性有機高
分子とが溶剤の存在下で分散接合または結合された平均
粒径1μm以下の多数の複合超微粒子を含有する。
【0045】前記ガスバリアコート剤は、多数の前記複
合超微粒子からなる乳濁した形態、または前記溶剤量が
多い場合には、多数の前記複合超微粒子が個々に分散な
いし集合して前記溶剤に浮遊した形態、を有する。
【0046】前記無機化合物、金属およびガスバリア性
有機高分子は、前記ガスバリア性積層フィルムの発明で
説明したのと同様なものが用いられる。前記超微粉末の
平均粒径が100nmを超えると、前記バリア層におけ
る体積当たりの超微粉末の分散量を多くすることが困難
になる。より好ましい超微粉末の平均粒径は、50nm
以下である。
【0047】前記溶剤としては、例えばエチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールの
ようなアルコール類、メチルエチルケトンのようなケト
ン類またはトルエン、キシレン等の有機溶剤または水を
挙げることができ、これらの溶剤は単独または混合液の
形態で用いることができる。
【0048】前記複合超微粒子は、複数の前記超微粉末
と前記有機高分子とが例えば分子レベルで分散接合また
は結合された1.0μm以下の平均粒径を持つ形態を有
する。この複合超微粒子の平均粒径は、0.1μm以
下、さらに好ましくは0.01μm以下であることが望
ましい。
【0049】前記ガスバリアコート剤は、例えば次のよ
うな方法により調製される。まず、溶剤にガスバリア性
有機高分子を溶解して液状物とし、これに無機化合物お
よび金属から選ばれる少なくとも1つの材料の微粒子を
混合する。つづいて、この液状混合物を加圧した後、高
速度で前記液状混合物を互いに衝突破砕する操作を複数
回繰り返すことによりガスバリアコート剤を調製する。
【0050】具体的には、次に説明する図3に示す衝突
破砕装置によりガスバリアコート剤が調製される。図3
において、本体11は後述する上部、下部のブロックが
挿入固定される矩形状穴12,13が上部および下部に
それぞれ穿設されている。前記矩形状穴12,13間に
位置する前記本体11には、原料の加速流が互いに衝突
される台錐形状の空洞部14が形成されている。なお、
前記台錐形状をなす空洞部14の上下の開口径は前記上
下の矩形状穴12,13より小さくなっている。下方に
向けて所望の角度で傾斜された一対の突起部15a,1
5bは、前記空洞部14の中間内面において互いに対向
するように前記本体11に形成されている。
【0051】一対の加速流路16a,16bは、一端が
前記上部矩形状穴12の対向する内側面にそれぞれ開口
され、かつ他端が前記突起部15a,15bの先端面に
それぞれ開口するように前記本体11に形成されてい
る。ノズル部17a,17bは、前記突起部15a,1
5bの根元に位置する前記加速流路16a,16b部分
にそれぞれ介装されている。
【0052】ねじ切り加工された穴18が穿設された矩
形状の上部ブロック19は、前記本体11の上部矩形状
穴12に挿入固定されている。一対の分岐流路20a,
20bは、前記穴18に逆円錐形の貫通穴21を通して
連通されている。前記各分岐流路20a,20bは、前
記加速流路16a,16bとそれぞれ連通するように前
記上部ブロック12対向する外側面に開口されている。
なお、前記上部ブロック12のねじ切り穴18には、図
示しない原料供給管が螺合、連結される。また、前記本
体11の加速流路16a,16bと前記上部ブロック1
9の分岐流路20a,20bとの連通部には、Oリング
22a,22bがそれぞれ介装されている。
【0053】ねじ切り加工された穴23が穿設された矩
形状の下部ブロック24は、前記本体11の下部矩形状
穴13に挿入固定されている。前記穴23は、円柱状穴
25を通して前記本体11の空洞部14と連通してい
る。なお、前記下部ブロック24のねじ切り穴23に
は、図示しない処理液排出管が螺合、連結される。
【0054】前述した図3に示す装置によるガスバリア
コート剤の調製を説明する。まず、前述した方法で得ら
れた液状混合物を図示しない原料供給管から加圧して上
部ブロック19内に供給する。加圧された液状混合物が
前記上部ブロック19内に供給されると、液状混合物は
逆円錐状の貫通穴21を通して分岐流路20a,20b
にそれぞれ別れ、さらに加速流路16a,16bに供給
される。これら加速流路16a,16bに流入された液
状混合物は、ノズル部17a,17bを通過する過程で
更に加速され、突起部15a,15bの開口部から本体
11の空洞部14内に噴射される。この時、前記突起部
15a,15bは下方に傾斜されていると共に、互いに
対向されているため、突起部15a,15bの開口部か
ら噴射された液状混合物が前記空洞部14の中心付近で
互いに衝突してそれらの混合物が破砕される。破砕処理
がなされた液状混合物は、前記空洞部14から下部ブロ
ック部24の円柱状穴25、ねじ切り加工された穴23
を通して処理排出管に排出される。
【0055】このような衝突破砕装置を用いる液状混合
物の衝突破砕工程を複数回繰り返すことにより、前記ガ
スバリア性有機高分子と前記無機化合物および金属から
選ばれる少なくとも1つの材料からなる微粒子とが破砕
されながら、均一に分散接合または結合される。このた
め、ガスバリア性有機高分子と平均粒径100nm以下
の超微粉末とが接合または結合した多数の複合超微粒子
を含むガスバリアコート剤が調製される。
【0056】前記無機化合物および金属から選ばれる少
なくとも1つの材料の微粒子は、前記複合微粒子の生成
時間を短縮する観点から平均粒径が1000nm以下で
あることが好ましい。また、最終の粒子径を持つ超微粉
末(100nm以下)の凝集物を用いてもよい。
【0057】前記液状混合物中の前記有機高分子および
前記無機化合物および金属から選ばれる少なくとも1つ
の材料の微粉末は、前記溶剤に対して20重量%以上,
好ましくは25〜40重量%にすることが望ましい。
【0058】前記無機化合物および金属から選ばれる少
なくとも1つの材料の微粉末は、前記有機高分子に対し
て20〜60重量%の割合で添加することが好ましい。
前記微粉末の添加量を20重量%未満にすると、前記ガ
スバリアコート剤を塗布、乾燥することにより形成され
たガスバリア層に十分に高い酸素遮断性や水蒸気遮断性
を付与することが困難になる。一方、前記微粉末の添加
量が60重量%を超えると、前記ガスバリアコート剤を
塗布、乾燥することにより形成されたガスバリア層の柔
軟性が低下して、結果的には積層フィルム自体の可撓性
等が低下する恐れがある。また、ガスバリアコート剤を
塗布、乾燥することにより形成されたガスバリア層中の
有機高分子の量が相対的に低下するため、有機高分子フ
ィルムに対する前記ガスバリア層の接着強度が低下する
恐れがある。より好ましい前記微粉末の前記有機高分子
に対する添加量は30〜50重量%である。
【0059】前記液状混合物に対する加圧力は、100
0Kg/cm2 以上の圧力にすることが好ましい。前記
液状混合物を互いに衝突す破砕する際の速度は、100
m/sec以上にすることが好ましい。このような高速
度で液状混合物を互いに衝突破砕することにより短時間
で所望の平均粒径を有する多数の複合超微粒子を含むガ
スバリアコート剤を調製することが可能になる。
【0060】前記液状混合物は、その調製時における前
記有機高分子を溶剤に溶解する工程および互いに衝突破
砕する工程において前記有機高分子の分解温度未満の温
度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することを
許容する。
【0061】次に、本発明に係わるガスバリア性積層フ
ィルムの製造方法を説明する。前述したガスバリアコー
ト剤を有機高分子フィルムに塗布し、乾燥してガスバリ
ア層を形成することによりガスバリア性積層フィルムを
製造する。
【0062】前記塗布手段としては、例えば容器内に前
記ガスバリアコート剤を収容し、このガスバリアコート
剤に一部が浸漬された下部ロールと上部ロールの間に長
尺有機高分子フィルムを通して前記フィルムの下面にガ
スバリアコート剤を塗布するロールコータ法等を採用す
ることができる。
【0063】前記ガスバリア層の厚さは、1μm以上に
することが好ましい。前記ガスバリア層の厚さを1μm
未満にすると、得られたガスバリア性積層フィルムに高
いガスバリア性を付与することが困難になる。より好ま
しい前記ガスバリア層の厚さは、2〜5μm、さらに好
ましくは2〜4μmである。
【0064】なお、前記基材は有機高分子フィルムの他
に、紙を用いることを許容する。以上説明した本発明に
係わるガスバリアコート剤は、無機化合物および金属か
ら選ばれる少なくとも1つの材料からなる平均粒径10
0nm以下の超微粉末とガスバリア性有機高分子とが溶
剤の存在下で分散接合または結合された平均粒径1μm
以下の多数の複合超微粒子を含有し、長期間放置しても
前記複合超微粒子が凝集せずに安定的に乳濁ないし浮遊
した形態を維持することができる。
【0065】このようなガスバリアコート剤を有機高分
子フィルム等の基材に塗布し、乾燥してガスバリア層を
形成することによって、前述した屈曲させてもピンホー
ルやクラックが発生せず、かつ無機化合物や金属の膜状
態と同等もしくはそれ以上の優れた酸素遮断性、水蒸気
遮断性等のガスバリア性を有するガスバリア層を備えた
ガスバリア性積層フィルムを製造することができる。
【0066】また、前記ガスバリア層は前記ガスバリア
コート剤を有機高分子フィルム等の基材の片面に塗布す
ることにより形成できる。このため、従来の真空蒸着に
よりアルミニウムや無機化合物のガスバリア層を形成す
る方法のように大掛かりな装置を使用することなく簡単
かつ量産的にガスバリア性積層フィルムを製造すること
ができる。
【0067】特に、前記無機化合物および金属から選ば
れる少なくとも1つの材料からなる超微粉末20〜60
重量%と前記ガスバリア性有機高分子40〜80重量%
とからなるガスバリアコート剤を用いることによって、
前記ガスバリアコート剤の塗布、乾燥後に超微粉末が実
質的に膜状態で存在し、トーチャス・パス効果が優れた
酸素遮断性および水蒸気遮断性を有するガスバリア層を
有機高分子フィルムに良好に密着させて形成できる。そ
の結果、より一層ガスバリア性が向上され、かつガスバ
リア層と有機高分子フィルムとの間での密着強度の優れ
たガスバリア性積層フィルムを製造することができる。
【0068】また、前記有機高分子フィルムにガスバリ
アコート剤を塗布、乾燥してガスバリア層を形成する
際、前記ガスバリア層の厚さを1μm以上と従来のAl
やセラミックの蒸着膜に比べて厚くすれば、さらに優れ
た酸素遮断性および水蒸気遮断性を有するガスバリア層
を備えた積層フィルムを製造することができる。
【0069】次に、本発明に係わる別のガスバリア性積
層フィルムを説明する。このガスバリア性積層フィルム
は、基材フィルムに積層され、ガスバリア性有機高分子
とこの高分子に分散された無機化合物および金属から選
ばれる少なくとも1つの材料からなる多数の超微粉末と
を含み、前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m
2 当たりに存在する多数の超微粉末における比表面積の
合計が50〜600m2 であるガスバリア層を積層した
構造を有する。
【0070】前記基材フィルムとしては、前述した有機
高分子または紙から作られる。前記無機化合物、金属お
よびガスバリア性有機高分子は、前述したのと同様なも
のが用いられる。
【0071】前記超微粉末は、平均粒径が100nm以
下、より好ましくは平均粒径が50nm以下であること
が望ましい。前記ガスバリア層において、『前記基材フ
ィルム表面に実質的に平行な面』とは、前記基材フィル
ム表面に実質的に平行な全ての面を意味する。『多数の
超微粉末における比表面積の合計』とは、前記基材フィ
ルム表面に実質的に平行なガスバリア層の面1m2 当た
りに存在する超微粉末の外周面積を全て加算した値を意
味する。このため、前記基材フィルム表面に実質的に平
行なガスバリア層の面1m2 当たりに存在する多数の超
微粉末の数および粒径が同じであっても、前記超微粉末
の表面性状が異なる、例えば表面に襞がある場合には、
前記多数の超微粉末の襞のないものに比べて前記比表面
積の合計は増大する。
【0072】前記ガスバリア層において、前記基材フィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2当たりに存在する多
数の超微粉末における比表面積の合計を50〜600m
2 としたのは次のような理由によるものである。前記比
表面積の合計を50m2 未満にすると、十分に高い酸素
遮断性および水蒸気遮断性を有するガスバリア層を形成
することが困難になる。一方、前記比表面積の合計が6
00m2 を超えると、ガスバリア層の柔軟性が低下し
て、結果的には積層フィルム自体の可撓性等が低下する
恐れがある。また、前記ガスバリア層中のガスバリア性
有機高分子の量が相対的に低下して前記基材子フィルム
に対する前記ガスバリア層の接着強度が低下する恐れが
ある。より好ましい前記基材フィルム表面に実質的に平
行な面1m2 当たりに存在する多数の超微粉末における
比表面積の合計は、50〜400m2 である。
【0073】このようなガスバリア性積層フィルムは、
前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たり
に存在する多数の超微粉末における比表面積の合計が5
0〜600m2 で、前述したトーチャス・パス効果の優
れたガスバリア層を有する。このため、屈曲させてもピ
ンホールやクラックが発生せず、かつ無機化合物や金属
の膜状態と同等もしくはそれ以上の優れた酸素遮断性、
水蒸気遮断性等のガスバリア性が発現される。
【0074】次に、本発明に係わる別のガスバリアコー
ト剤、ガスバリア性積層フィルムおよびガスバリア性積
層フィルムの製造方法を説明する。 (1−1)ガスバリアコート剤 このガスバリアコート剤は、疎水性無機化合物および親
水性無機化合物から選ばれる少なくとも1つの超微粉末
とガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合
または結合された多数の複合超微粒子を含有する。
【0075】前記疎水性無機化合物としては、例えば酸
化ケイ素微粉末である日本アエロジル社製商品名;R−
812、RY−300等を挙げることができる。前記親
水性無機化合物としては、例えば酸化ケイ素微粉末であ
る日本アエロジル社製商品名;830等を挙げることが
できる。
【0076】前記超微粉末は、平均粒径が100nm以
下、より好ましくは50nm以下であることが望まし
い。前記ガスバリア性有機高分子は、酸素および水蒸気
の透過量がそれぞれ10cc/m2 ・24hr以下、1
0g/m2 ・24hr以下であることが好ましい。この
ようなガスバリア性有機高分子としては、例えばポリビ
ニルアルコールおよびエチレンビニルアルコール共重合
体から選ばれる少なくとも1つの水溶性有機高分子を用
いることができる。特に、前者のポリビニルアルコール
は後者のエチレンビニルアルコール共重合に比べて安価
であるため好適である。
【0077】前記溶剤としては、例えばエチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールの
ようなアルコール、メチルエチルケトンのようなケトン
またはトルエン、キシレン等の有機溶剤または水を挙げ
ることができ、これらの溶剤は単独または混合液の形態
で用いることができる。
【0078】特に、前記溶剤はアルコールと水との混合
液であることが好ましい。前記混合液は、アルコール3
0〜50体積%と水50〜70体積%とからなること好
ましい。このような混合液を溶剤として含有するガスバ
リアコート剤は、前記複合超微粒子の乳濁形態、浮遊形
態を長期間に亘ってより一層安定化できるとともに、後
述するガスバリア層の形成時の乾燥処理の迅速化を図る
ことが可能になる。
【0079】前記複合超微粒子は、複数の前記超微粉末
と前記有機高分子とが例えば分子レベルで分散接合また
は結合された形態を有る。前記複合超微粒子は、平均粒
径が1.0μm以下、より好ましくは0.1μm以下、
さらに好ましくは0.01μm以下であることが望まし
い。
【0080】前記複合超微粒子は、液状ガスバリア性有
機高分子45〜85重量%と前記超微粒子15〜55重
量%とからなることが好ましい。前記超微粉末の配合量
を15重量%未満にすると、前記ガスバリアコート剤を
塗布、乾燥することにより形成されたガスバリア層に十
分に高い酸素遮断性や水蒸気遮断性を付与することが困
難になる。一方、前記超微粉末の配合量が55重量%を
超えると、前記ガスバリアコート剤を塗布、乾燥するこ
とにより形成されたガスバリア層の柔軟性が低下して、
結果的には積層フィルム自体の可撓性等が低下する恐れ
がある。また、ガスバリアコート剤を基材フィルムに塗
布、乾燥することにより形成されたガスバリア層中の有
機高分子の量が相対的に低下するため、前記基材フィル
ムに対する前記ガスバリア層の接着強度が低下する恐れ
がある。より好ましくは前記液状ガスバリア性有機高分
子および前記超微粒子は、それぞれ50〜80重量%、
20〜50重量%である。
【0081】前記ガスバリアコート剤は、例えば次のよ
うな方法により調製される。まず、溶剤にガスバリア性
有機高分子を溶解して液状物とし、これに疎水性無機化
合物および親水性無機化合物から選ばれる少なくとも1
つの微粒子を混合する。つづいて、この液状混合物を前
述した図3に示す衝突破砕装置を用いて加圧した後、高
速度で前記液状混合物を互いに衝突破砕する操作を複数
回繰り返すことによりガスバリアコート剤を調製する。
【0082】前記微粒子は、前記複合微粒子の生成時間
を短縮する観点から平均粒径が1000nm以下である
ことが好ましい。また、最終の粒子径を持つ超微粉末
(100nm以下)の凝集物を用いてもよい。
【0083】前記疎水性無機化合物の微粒子としては、
例えば酸化ケイ素微粉末である日本アエロジル社製商品
名;R−812、RY−300が好適である。前記親水
性無機化合物の微粉末としては、例えば酸化ケイ素微粉
末である日本アエロジル社製商品名;830が好適であ
る。 (1−2A)ガスバリア性積層フィルム このガスバリア性積層フィルムは、基材フィルムにガス
バリア性有機高分子とこの高分子に分散された疎水性無
機化合物からなる超微粉末とを含み、前記基材フィルム
表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の
超微粉末における比表面積の合計が50〜200m2
あるガスバリア層を積層した構造を有する。このような
ガスバリア性積層フィルムは、前述した図1および図2
と同様な構造を有する。 (1−2B)ガスバリア性積層フィルム このガスバリア性積層フィルムは、基材フィルムにガス
バリア性有機高分子とこの高分子に分散された親水性無
機化合物からなる超微粉末とを含み、前記基材フィルム
表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の
超微粉末における比表面積の合計が100〜600m2
であるガスバリア層を積層した構造を有する。このよう
なガスバリア性積層フィルムは、前述した図1および図
2と同様な構造を有する。 (1−2C)ガスバリア性積層フィルム このガスバリア性積層フィルムは、基材フィルムにガス
バリア性有機高分子とこの高分子に分散された親水性無
機化合物の超微粉末および疎水性無機化合物の超微粉末
からなる混合超微粉末とを含み、前記基材フィルム表面
に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の超微
粉末における比表面積の合計が150〜600m2 であ
るガスバリア層を積層した構造を有する。 (1−2D)ガスバリア性積層フィルム このガスバリア性積層フィルムは、基材フィルムにガス
バリア性有機高分子とこの高分子に分散された親水性無
機化合物の超微粉末を含み、前記基材フィルム表面に実
質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の親水性無
機化合物超微粉末における比表面積の合計が100〜6
00m2 である第1ガスバリア層を積層し、さらにこの
ガスバリア層にガスバリア性有機高分子とこの高分子に
分散された疎水性無機化合物の超微粉末を含み、前記基
材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在
する多数の疎水性無機化合物超微粉末における比表面積
の合計が50〜200m2 である第2ガスバリア層を積
層した構造を有する。このガスバリア性積層フィルムに
おいて、前記第1,第2のガスバリア層を反転させても
よい。
【0084】前記基材フィルムは、例えば有機高分子ま
たは紙から作られる。前記有機高分子フィルムとして
は、包装材料に適用される各種の有機樹脂フィルムを使
用することができ、例えばポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム、ナイロンフィルム、配向性ポリプ
ロピレンフィルム、無配向のポリエチレンフィルム、エ
チルビニルアセテート共重合体(EVA)フィルム、ポ
リプロピレンフィルム等を用いることができる。これら
のフィルムは、1層または2層以上の形態で用いること
ができる。前記有機高分子フィルムは、前記ガスバリア
層が被着される面にアンカーコート処理が施されること
を許容する。
【0085】前記紙は、各種の包装紙を用いることがで
きる。前記紙は、記ガスバリア層が被着される面に目止
めコート処理が施されることを許容する。前記疎水性無
機化合物および前記親水性無機化合物は、前記(1−
1)で説明したのと同様なものが用いられる。
【0086】前記超微粉末は、平均粒径が100nm以
下、より好ましくは50nm以下であることが望まし
い。前記ガスバリア性有機高分子は、前記(1−1)で
説明したのと同様なポリビニルアルコールおよびエチレ
ンビニルアルコール共重合体から選ばれる少なくとも1
つの水溶性有機高分子を用いることができる。特に、前
者のポリビニルアルコールは後者のエチレンビニルアル
コール共重合に比べて安価であるため好適である。
【0087】前記ガスバリア層は、前記ガスバリア性有
機高分子重量40〜80%と前記超微粒子20〜60重
量%とからなる組成を有することが好ましい。前記超微
粉末の配合量を20重量%未満にすると、前記ガスバリ
アコート剤を塗布、乾燥することにより形成されたガス
バリア層に十分に高い酸素遮断性や水蒸気遮断性を付与
することが困難になる。一方、前記超微粉末の配合量が
60重量%を超えると、前記ガスバリアコート剤を塗
布、乾燥することにより形成されたガスバリア層の柔軟
性が低下して、結果的には積層フィルム自体の可撓性等
が低下する恐れがある。また、ガスバリアコート剤を塗
布、乾燥することにより形成されたガスバリア層中の有
機高分子の量が相対的に低下するため、前記基材フィル
ムに対する前記ガスバリア層の接着強度が低下する恐れ
がある。より好ましい前記ガスバリア性有機高分子重量
およびと前記超微粒子の配合量は、それぞれ50〜70
重量%、30〜50重量%である。
【0088】前記(1−2A)のガスバリア性積層フィ
ルムのガスバリア層において、前記基材フィルム表面に
実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の疎水性
無機化合物超微粉末における比表面積の合計を50〜2
00m2 にしたのは、次のような理由によるものであ
る。前記比表面積の合計を50m2 未満にすると、十分
に高い酸素遮断性および水蒸気遮断性(特に水蒸気遮断
性)を有するガスバリア層を形成することが困難にな
る。一方、前記比表面積の合計が200m2 を超える
と、ガスバリア層の柔軟性が低下して、結果的には積層
フィルム自体の可撓性等が低下する恐れがある。また、
前記ガスバリア層中のガスバリア性有機高分子の量が相
対的に低下して前記基材子フィルムに対する前記ガスバ
リア層の接着強度が低下する恐れがある。より好ましい
前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たり
に存在する多数の超微粉末における比表面積の合計は、
50〜150m2 である。
【0089】前記(1−2B)のガスバリア性積層フィ
ルムのガスバリア層において、前記基材フィルム表面に
実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の親水性
無機化合物超微粉末における比表面積の合計を100〜
600m2 にしたのは、次のような理由によるものであ
る。前記比表面積の合計を200m2 未満にすると、十
分に高い酸素遮断性および水蒸気遮断性(特に酸素遮断
性)を有するガスバリア層を形成することが困難にな
る。一方、前記比表面積の合計が600m2 を超える
と、ガスバリア層の柔軟性が低下して、結果的には積層
フィルム自体の可撓性等が低下する恐れがある。また、
前記ガスバリア層中のガスバリア性有機高分子の量が相
対的に低下して前記基材子フィルムに対する前記ガスバ
リア層の接着強度が低下する恐れがある。より好ましい
前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たり
に存在する多数の超微粉末における比表面積の合計は、
250〜300m2 である。
【0090】前記(1−2C)のガスバリア性積層フィ
ルムのガスバリア層において、前記基材フィルム表面に
実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の超微粉
末における比表面積の合計を150〜600m2 にした
のは、次のような理由によるものである。前記比表面積
の合計を150m2 未満にすると、十分に高い酸素遮断
性および水蒸気遮断性を有するガスバリア層を形成する
ことが困難になる。一方、前記比表面積の合計が600
2 を超えると、ガスバリア層の柔軟性が低下して、結
果的には積層フィルム自体の可撓性等が低下する恐れが
ある。また、前記ガスバリア層中のガスバリア性有機高
分子の量が相対的に低下して前記基材子フィルムに対す
る前記ガスバリア層の接着強度が低下する恐れがある。
より好ましい前記基材フィルム表面に実質的に平行な面
1m2 当たりに存在する多数の超微粉末における比表面
積の合計は、200〜400m2 である。
【0091】前記(1−2C)のガスバリア性積層フィ
ルムにおいて、ガスバリア層に分散される超微粉末(混
合超微粉末)は、前記親水性無機化合物の超微粉末50
〜70重量%と前記疎水性無機化合物の超微粉末30〜
50重量%とからなることがこのましい。このようなガ
スバリア層を有するガスバリア性積層フィルムは酸素遮
断性および水蒸気遮断性がバランスよく付与される。
【0092】前記(1−2D)のガスバリア性積層フィ
ルムにおいて、第1ガスバリア層は前記基材フィルム表
面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の親
水性無機化合物超微粉末における比表面積の合計を10
0〜600m2 とし、第2ガスバリア層は前記基材フィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多
数の疎水性無機化合物超微粉末における比表面積の合計
を50〜200m2 に規定した理由は、前記(1−2
B)、(1−2A)で説明したのと同様である。
【0093】前記ガスバリア層は、1μm以上の厚さを
有することが好ましい。前記ガスバリア層の厚さを1μ
m未満にすると、ガスバリア性積層フィルムに高いガス
バリア性を付与することが困難になる。より好ましい前
記ガスバリア層の厚さは、2〜6μm、さらに好ましく
は2〜4μmである。
【0094】なお、前記有機高分子フィルムと反対側の
ガスバリア層の表面に前記有機高分子フィルムと同種ま
たは異種の有機高分子フィルム(トップコート)、或い
は紙、不織布等を接着剤を介して積層することを許容す
る。 (1−3A)ガスバリア性積層フィルムの製造方法 前記(1−1)で説明したガスバリアコート剤(超微粉
末が疎水性無機化合物)を基材フィルムに塗布し、乾燥
して前記前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m
2 当たりに存在する多数の超微粉末における比表面積の
合計が50〜200m2 であるガスバリア層を形成する
ことによりガスバリア性積層フィルムを製造する。 (1−3B)ガスバリア性積層フィルムの製造方法 前記(1−1)で説明したガスバリアコート剤(超微粉
末が親水性無機化合物)を基材フィルムに塗布し、乾燥
して前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m2
たりに存在する多数の超微粉末における比表面積の合計
が100〜600m2 であるガスバリア層を形成するこ
とによりガスバリア性積層フィルムを製造する。 (1−3C)ガスバリア性積層フィルムの製造方法 前記(1−1)で説明したガスバリアコート剤(超微粉
末が親水性無機化合物および疎水性無機化合物の混合超
微粉末)を基材フィルムに塗布し、乾燥して前記基材フ
ィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する
多数の超微粉末における比表面積の合計が150〜60
0m2 であるガスバリア層を形成することによりガスバ
リア性積層フィルムを製造する。 (1−3D)ガスバリア性積層フィルムの製造方法 前記(1−1)で説明したガスバリアコート剤(超微粉
末が親水性無機化合物)を基材フィルムに塗布し、乾燥
して前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m2
たりに存在する多数の親水性無機化合物超微粉末におけ
る比表面積の合計が100〜600m2 である第1ガス
バリア層を形成する。つづいて、このガスバリア層上に
理前記(1−1)で説明したガスバリアコート剤(超微
粉末が疎水性無機化合物)を塗布し、乾燥して前記基材
フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在す
る多数の疎水性無機化合物超微粉末における比表面積の
合計が50〜200m2 である第2ガスバリア層を形成
することによりガスバリア性積層フィルムを製造する。
この場合、前記第1、第2のガスバリア層を反転させて
もよい。
【0095】前記塗布手段としては、例えば容器内に前
記ガスバリアコート剤を収容し、このガスバリアコート
剤に一部が浸漬された下部ロールと上部ロールの間に長
尺有機高分子フィルムを通して前記フィルムの下面にガ
スバリアコート剤を塗布するロールコータ法等を採用す
ることができる。
【0096】以上説明したガスバリアコート剤は、疎水
性無機化合物および親水性無機化合物から選ばれる少な
くとも1つの超微粉末とガスバリア性有機高分子とが溶
剤の存在下で分散接合または結合された多数の複合超微
粒子を含有し、長期間放置しても前記複合超微粒子が凝
集せずに安定的に乳濁ないし浮遊した形態を維持するこ
とができる。
【0097】このようなガスバリアコート剤(超微粉末
が疎水性無機化合物)を基材フィルムに塗布し、乾燥す
ることにより得られた前記(1−2A)のガスバリア性
積層フィルムは、次のような作用効果を奏する。
【0098】(a)ガスバリア性有機高分子を母材とす
るガスバリア層を有するため、酸素や水蒸気を遮断する
作用が付与される。 (b)前記ガスバリア層中にはそれ自身、高いガスバリ
ア性と疎水性(防湿性)を持つ多数の無機化合物超微粉
末が分散されている。また、前記ガスバリア層は前記基
材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在
する多数の超微粉末における比表面積の合計が50〜2
00m2 になっている。このため、ガスバリア性有機高
分子のみからなる層に比べて優れた酸素遮断性および水
蒸気遮断性を有する。
【0099】すなわち、ガスバリア性有機高分子に特定
の比表面積で分散された多数の超微粉末の存在によっ
て、ガスバリア層に酸素や水蒸気などのガスに対するト
ーチャス・パス効果と超微粉末自身の防湿効果を発現で
きるため、優れた酸素遮断性および水蒸気遮断性を示す
ガスバリア性積層フィルムを得ることができる。特に、
超微粉末の平均粒径を100nm以下にすることによ
り、前記トーチャス・パス効果をより効果的に発揮でき
る。
【0100】(c)前記ガスバリア層は多数の超微粉末
と有機高分子を含有するため、適度な柔軟性を有し、屈
曲させてもピンホールやクラックの発生を防止できる。
したがって、前述した(a)〜(c)の作用により屈曲
させてもピンホールやクラックが発生せず、かつ無機化
合物の膜状態と同等もしくはそれ以上の優れた酸素遮断
性、水蒸気遮断性等のガスバリア性(特に高い水蒸気遮
断性)を有するガスバリア層を備えた食品、医薬等の各
種の物品の包装材料に好適なガスバリア性積層フィルム
を提供できる。
【0101】(d)前記ガスバリア層の厚さを1μm以
上と従来のAlやセラミックの蒸着膜に比べて厚くすれ
ば、さらに優れた酸素遮断性および水蒸気遮断性を有す
るガスバリア層を備えた積層フィルムを実現できる。
【0102】(e)基材としてPET,OPPのような
塩素を含まない有機高分子のフィルムや紙を用い、前記
ガスバリア層を構成するガスバリア性有機高分子として
エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコ
ールから選ばれる少なくとも1つの樹脂を用いることに
よって、廃棄処理物を例えばアルコールと水の混合溶剤
で処理することによりガスバリア層を前記基材から容易
に除去することができる。その結果、前記基材の回収、
再利用が容易で、しかも廃棄処理物を焼却しても人体に
有害な塩素系化合物が排出されることがないため、環境
にやさしいガスバリア性積層フィルムを提供できる。
【0103】前記ガスバリアコート剤(超微粉末が親水
性無機化合物)を基材フィルムに塗布し、乾燥すること
により得られた前記(1−2B)のガスバリア性積層フ
ィルムは、前述した(a)〜(e)に列挙した優れた特
性を有する。
【0104】特に、前記基材フィルム表面に実質的に平
行な面1m2 当たりに存在する多数の超微粉末における
比表面積の合計が100〜600m2 、つまり多くの襞
を持つ形態の超微粉末を含むガスバリア層を有すること
によって、酸素や水蒸気などのガスに対する高いトーチ
ャス・パス効果を発現できるため、優れた酸素遮断性お
よび水蒸気遮断性(特に酸素遮断性)を示すガスバリア
性積層フィルムを得ることができる。また、超微粉末の
平均粒径を100nm以下にすることにより、前記トー
チャス・パス効果をより効果的に発揮できる。
【0105】前記ガスバリアコート剤(超微粉末が親水
性無機化合物と疎水性無機化合物の両者)を基材フィル
ムに塗布し、乾燥することにより得られた前記(1−2
C)のガスバリア性積層フィルムは、前述した(a)〜
(e)に列挙した優れた特性を有する。
【0106】特に、前記基材フィルム表面に実質的に平
行な面1m2 当たりに存在する多数の親水性無機化合物
と疎水性無機化合物の両者の超微粉末における比表面積
の合計が150〜600m2 のガスバリア層を有するこ
とによって、酸素や水蒸気などのガスに対するバランス
の取れた高いトーチャス・パス効果と防湿効果を発現で
きる。このため、優れた酸素遮断性および水蒸気遮断性
を示すガスバリア性積層フィルムを得ることができる。
また、超微粉末の平均粒径を100nm以下にすること
により、前記トーチャス・パス効果をより効果的に発揮
できる。
【0107】前記ガスバリアコート剤を基材フィルムに
塗布し、乾燥することにより得られた前記(1−2D)
の2層のガスバリア層を有するガスバリア性積層フィル
ムは、前述した(a)〜(e)に列挙した優れた特性を
有する。
【0108】特に、前記基材フィルム表面に実質的に平
行な面1m2 当たりに存在する多数の親水性無機化合物
超微粉末における比表面積の合計が100〜600m2
である第1ガスバリア層による優れたトーチャス・パス
効果と、前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m
2 当たりに存在する多数の疎水性無機化合物超微粉末に
おける比表面積の合計が50〜200m2 である第2ガ
スバリア層による優れた防湿効果によって、優れた酸素
遮断性および水蒸気遮断性を示すガスバリア性積層フィ
ルムを得ることができる。また、超微粉末の平均粒径を
100nm以下にすることにより、前記トーチャス・パ
ス効果をより効果的に発揮できる。
【0109】また、前述した製造方法によれば前記ガス
バリアコート剤を基材フィルムの片面に塗布して前記ガ
スバリア層を形成できる。このため、従来の真空蒸着に
よりアルミニウムや無機化合物のガスバリア層を形成す
る方法のように大掛かりな装置を使用することなく簡単
かつ量産的にガスバリア性積層フィルムを製造すること
ができる。 (2−1)ガスバリアコート剤 このガスバリアコート剤は、(a)酸化ケイ素からなる
超微粒子とガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で
分散接合または結合された多数の複合超微粒子と、
(b)シランカップリング剤とを含有する。
【0110】前記酸化ケイ素は、親水化処理または疎水
化処理を施したものを用いることを許容する。前記超微
粉末は、平均粒径が100nm以下、より好ましくは5
0nm以下であることが望ましい。
【0111】前記ガスバリア性有機高分子は、前記(1
−1)で説明したのと同様にポリビニルアルコールおよ
びエチレンビニルアルコール共重合体から選ばれる少な
くとも1つの水溶性有機高分子を用いることができる。
特に、前者のポリビニルアルコールは後者のエチレンビ
ニルアルコール共重合に比べて安価であるため好適であ
る。
【0112】前記溶剤としては、前記(1−1)で説明
したのと同様なものが用いられる。特に、前記溶剤はア
ルコールと水との混合液であることが好ましい。前記混
合液は、アルコール30〜50体積%と水50〜70体
積%とからなること好ましい。このような混合液を溶剤
として含有するガスバリアコート剤は、前記複合超微粒
子の乳濁形態、浮遊形態を長期間に亘ってより一層安定
化できるとともに、後述するガスバリア層の形成時の乾
燥処理の迅速化を図ることが可能になる。
【0113】前記複合超微粒子は、平均粒径が1.0μ
m以下、より好ましくは0.1μm以下、さらに好まし
くは0.01μm以下であることが望ましい。前記複合
超微粒子は、前記(1−1)で説明したのと同様な理由
から液状ガスバリア性有機高分子40〜80重量%と前
記超微粒子20〜60重量%とからなることが好まし
い。
【0114】前記シランカップリング剤としては、例え
ば東レ・ダウコーニング社製商品名SH−6040等を
挙げることができる。前記シランカップリング剤(b)
は、前記複合超微粒子(a)に対して5〜15重量%配
合されることが好ましい。前記シランカップリング剤の
添加量を5重量%未満にすると、前記有機高分子と超微
粉末との化学結合が十分になされず、酸素、水蒸気等の
ガスの遮断効果を発揮することが困難になる。一方、前
記シランカップリング剤の添加量が15重量%を超える
と、前記有機高分子と超微粉末との化学結合が不均一に
なり、ガスバリア性が低下する恐れがある。
【0115】前記ガスバリアコート剤は、例えば次のよ
うな方法により調製される。まず、溶剤にガスバリア性
有機高分子を溶解して液状物とし、これに酸化ケイ素か
らなる微粒子を混合する。つづいて、この液状混合物を
前述した図3に示す衝突破砕装置を用いて加圧した後、
高速度で前記液状混合物を互いに衝突破砕する操作を複
数回繰り返すことにより超微粒子が乳濁ないし浮遊した
溶液とする。最後に、この溶液にシランカップリング剤
を添加、攪拌混合することによりガスバリアコート剤を
調製する。
【0116】前記微粒子は、前記複合微粒子の生成時間
を短縮する観点から平均粒径が1000nm以下である
ことが好ましい。また、最終の粒子径を持つ超微粉末
(100nm以下)の凝集物を用いてもよい。 (2−2)ガスバリア性積層フィルム このガスバリア性積層フィルムは、基材フィルムにガス
バリア性有機高分子とこの高分子に分散された(a)酸
化ケイ素からなる超微粉末およびガスバリア性有機高分
子とが溶剤の存在下で分散接合または結合された多数の
複合超微粒子と、(b)シランカップリング剤とを含む
ガスバリア層を積層した構造を有する。
【0117】前記基材フィルムは、例えば前記(1−2
A)で説明したのと同様な有機高分子または紙から作ら
れる。前記酸化ケイ素からなる超微粉末は、平均粒径が
100nm以下、より好ましくは50nm以下であるこ
とが望ましい。
【0118】前記ガスバリア性有機高分子は、前記(1
−2A)で説明したのと同様、例えばポリビニルアルコ
ールおよびエチレンビニルアルコール共重合体から選ば
れる少なくとも1つの水溶性有機高分子を用いることが
できる。
【0119】前記ガスバリア層は、前記基材フィルム表
面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の超
微粉末における比表面積の合計が50〜600m2 であ
ることが好ましい。
【0120】前記ガスバリア層は、前記(1−2A)で
説明したのと同様な理由から1μm以上の厚さを有する
ことが好ましい。なお、前記有機高分子フィルムと反対
側のガスバリア層の表面に前記有機高分子フィルムと同
種または異種の有機高分子フィルム(トップコート)、
或いは紙、不織布等を接着剤を介して積層することを許
容する。 (2−3)ガスバリア性フィルムの製造方法 前記(2−1)で説明したガスバリアコート剤を基材フ
ィルムに塗布し、乾燥してガスバリア層を形成すること
によりガスバリア性積層フィルムを製造する。
【0121】前記塗布手段としては、例えば前記(1−
3A)で説明したのと同様なロールコータ法等を採用す
ることができる。以上説明したガスバリアコート剤は、
酸化ケイ素からなる超微粉末とガスバリア性有機高分子
とが溶剤の存在下で分散接合または結合された多数の複
合超微粒子とシランカップリング剤を含有し、長期間放
置しても前記複合超微粒子が凝集せずに安定的に乳濁な
いし浮遊した形態を維持することができる。
【0122】このようなガスバリアコート剤を基材フィ
ルムに塗布し、乾燥してガスバリア層を形成することに
よりガスバリア性積層フィルムが得られる。このガスバ
リア性積層フィルムは、前記(a)〜(e)に列挙した
優れた特性を有する。
【0123】特に、酸化ケイ素からなる超微粉末および
ガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合ま
たは結合された多数の複合超微粒子と、シランカップリ
ング剤とを含むガスバリア層は分散された酸化ケイ素の
超微粉末とガスバリア性有機高分子とがシランカップリ
ング剤により化学結合されているため、前述したトーチ
ャス・パス効果の他に、超微粉末間の相互作用力、ガス
浸透に対する超微粉末界面での高い排斥力が働く。その
結果、シランカップリング剤を含有しないガスバリア層
を有するガスバリア性積層フィルムに比べて格段に優れ
た酸素遮断性と水蒸気遮断性を示すガスバリア性積層フ
ィルムを得ることができる。
【0124】また、前記基材フィルム表面に実質的に平
行な面1m2 当たりに存在する多数の超微粉末における
比表面積の合計が50〜600m2 であるガスバリア層
を基材フィルムに積層することによって、前記トーチャ
ス・パス効果が一層高められるため、水蒸気遮断性とさ
らに優れた酸素遮断性とを有するガスバリア性積層フィ
ルムを得ることができる。
【0125】さらに、前記(2−3)で説明した製造方
法によれば前記ガスバリアコート剤を基材フィルムの片
面に塗布して前記ガスバリア層を形成できるため、従来
の真空蒸着によりアルミニウムや無機化合物のガスバリ
ア層を形成する方法のように大掛かりな装置を使用する
ことなく簡単かつ量産的にガスバリア性積層フィルムを
製造することができる。
【0126】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を説明する。 (実施例1)水とイソプロピルアルコール(IPA)と
を50:50の重量比で混合した溶剤にエチレンビニル
アルコール共重合体(EVOH)とポリビニルアルコー
ル(PVA)との混合物(EVOH:PVA=60:4
0)を25重量%添加し、100℃の温度下で前記各樹
脂を溶解した後、この溶液に酸化ケイ素粉末の凝集物
(一次粒子の平均粒径;7nm)および酸化チタン粉末
の凝集物(一次粒子の平均粒径;20nm)を前記混合
樹脂に対してそれぞれ30重量%、20重量%添加して
液状混合物を調製した。つづいて、この液状混合物を1
00℃の温度維持しながら、前述した図3に示す衝突破
砕装置を用い、下記に示す条件て衝突破砕を8回繰り返
した。この工程により前記各凝集物が解粉され、同時に
前記混合樹脂と均一に分散接合または結合がなされ、平
均粒径7nmのSiO2 超微粉末および平均粒径20n
mのTiO2 超微粉末と前記混合樹脂とが溶剤の存在下
で均一に分散接合された多数の複合超微粒子を含むガス
バリアコート剤が調製された。
【0127】<衝突破砕条件> 液状混合物の加圧力;約1500Kg/cm2 ノズル部を通過する液状混合物の加速度;約200m/
sec 得られたガスバリアコート剤は、常温ないしそれ以下の
温度で酸化ケイ素のような無機化合物の超微粉末が析出
したり、繊維状に成長したりすることなく、安定した性
状を有するものであった。また、前記ガスバリアコート
剤中の前記複合超微粒子は平均粒径が0.1μmであっ
た 次いで、前記ガスバリアコート剤を厚さ30μmの延伸
ポリプロピレン(OPP)フィルムに厚さが1μmおよ
び2μmになるようにロールコータ法によりそれぞれ塗
布し、乾燥して前記OPPフィルムにガスバリア層を形
成することにより2種のガスバリア性積層フィルムを製
造した。
【0128】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、EVOHおよびPVAに平均粒径7nm
の酸化ケイ素超微粉末および平均粒径20nmの酸化チ
タン超微粉末が均一に分散されていることが確認され
た。
【0129】(比較例1)ポリ塩化ビニリデン(PVD
C)溶液(ガスバリアコート剤)を厚さ30μmのOP
Pフィルムに厚さが2.0μmになるようにロールコー
タ法により塗布し、乾燥することによりガスバリア性積
層フィルムを製造した。
【0130】(比較例2)厚さ12μmのPETフィル
ムに厚さ50nmのアルミニウム薄膜を真空蒸着するこ
とによりガスバリア性積層フィルムを製造した。
【0131】(比較例3)厚さ60μmのCPPフィル
ムに厚さ50nmの酸化ケイ素薄膜を真空蒸着すること
によりガスバリア性積層フィルムを製造した。
【0132】得られた実施例1および比較例1−3のガ
スバリア性積層フィルムについて酸素透過量および水蒸
気透過量を測定した。なお、酸素透過量は日本分光社製
商品名;ガスパームを用いて前記積層フィルムから切り
出した直径10cmのサンプルを酸素濃度100%、2
5℃、65%R.Hで5kg/cm2 に加圧した条件下
で測定した。また、水蒸気透過量はスイスDr.Lys
sy社製商品名;L80−4000型を用いて前記積層
フィルムから切り出した直径10cmのサンプルをJI
S K7129Aに準じて40℃、90%R.Hの条件
下で測定した。その結果を下記表1に示す。
【0133】なお、下記表1には参照例1−4として、
厚さ30μmのOPPフィルム、厚さ20μmのPVA
フィルム、厚さ15μmのEVOHフィルムおよび厚さ
30μmのPVDCフィルムの酸素透過量および水蒸気
透過量を併記した。
【0134】
【表1】
【0135】前記表1から明らかなように実施例1のガ
スバリア性積層フィルムは、厚さ1μm、2μmの薄い
ガスバリア層を有する状態で参照例4の厚さ30μmの
PVDCフィルムと同等またはそれ以上優れた酸素遮断
性を有することがわかる。また、ガスバリア層の厚さが
2μmである実施例1および比較例1のガスバリア性積
層フィルムを対比すれば明らかなように実施例1の積層
フィルムは比較例1の積層フィルムに比べて優れた酸素
遮断性および水蒸気遮断性を有することがわかる。
【0136】また、実施例1のガスバリア性積層フィル
ムは基材フィルムであるOPPと同等の透明性を有して
いた。なお、酸化ケイ素の蒸着フィルムである比較例3
のガスバリア性積層フィルムは屈曲を繰り返すと酸化ケ
イ素蒸着膜にピンホールやクラックが発生してその酸素
および水蒸気遮断性が極端に低下する。これに対し、実
施例1のガスバリア性積層フィルムは屈曲を繰り返して
も前記表1に示す優れた酸素遮断性および水蒸気遮断性
が維持された。
【0137】また、EVOH,PVAの単独フィルムは
乾燥雰囲気中での酸素遮断性が優れているものの、湿潤
雰囲気に曝されるとその酸素遮断性が極端に低下する。 (実施例2)実施例1で調製したガスバリアコート剤を
厚さ12μmのPETフィルムに厚さが1μmおよび2
μmになるようにロールコータ法によりそれぞれ塗布
し、乾燥して前記PETフィルムにガスバリア層を形成
することにより2種のガスバリア性積層フィルムを製造
した。
【0138】(比較例4)25重量%濃度のポリ塩化ビ
ニリデン(PVDC)のIPA溶液(ガスバリアコート
剤)を厚さ12μmのPETフィルムに厚さが2.0μ
mになるようにロールコータ法により塗布し、乾燥する
ことによりガスバリア性積層フィルムを製造した。
【0139】得られた実施例2および比較例4の積層フ
ィルムについて、実施例1と同様な方法により酸素透過
量および水蒸気透過量を測定した。その結果を下記表2
に示す。なお、下記表2には参照例5として、厚さ12
μmのPETフィルムの酸素透過量および水蒸気透過量
を併記した。
【0140】
【表2】
【0141】なお、実施例2のガスバリア性積層フィル
ムは基材フィルムであるPETと同等の透明性を有して
いた。また、実施例2のガスバリア性積層フィルムは屈
曲を繰り返しても前記表2に示す優れた酸素遮断性およ
び水蒸気遮断性が維持された。
【0142】(実施例3)水とイソプロピルアルコール
(IPA)とを50:50の重量比で混合した溶剤にエ
チレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を25重
量%添加し、80℃の温度下で前記樹脂を溶解した後、
この溶液に酸化ケイ素粉末の凝集物(一次粒子の平均粒
径;7nm)および酸化チタン粉末の凝集物(一次粒子
の平均粒径;20nm)を前記EVOHに対してそれぞ
れ20重量%、10重量%添加して液状混合物を調製し
た。つづいて、この液状混合物を80℃の温度維持しな
がら、前述した図3に示す衝突破砕装置を用い、下記に
示す条件て衝突破砕を5回繰り返した。この工程により
前記各凝集物が解粉され、同時に前記EVOHと均一に
分散接合または結合がなされ、平均粒径7nmのSiO
2 超微粉末および平均粒径20nmのTiO2 超微粉末
と前記EVOHとが溶剤の存在下で均一に分散接合され
た多数の複合超微粒子を含むガスバリアコート剤が調製
された。
【0143】<衝突破砕条件> ・液状混合物の加圧力;約1800Kg/cm2 ・ノズル部を通過する液状混合物の加速度;約250m
/sec 得られたガスバリアコート剤は、常温ないしそれ以下の
温度で酸化ケイ素のような無機化合物の超微粉末が析出
したり、繊維状に成長したりすることなく、安定した性
状を有するものであった。また、前記ガスバリアコート
剤中の前記複合超微粒子は平均粒径が0.1μmであっ
た。
【0144】次いで、前記ガスバリアコート剤を厚さ1
6μmのナイロンフィルムに厚さが1μmおよび2μm
になるようにロールコータ法によりそれぞれ塗布し、乾
燥して前記ナイロンフィルムにガスバリア層を形成する
ことによって2種のガスバリア性積層フィルムを製造し
た。
【0145】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、EVOHに平均粒径7nmの酸化ケイ素
超微粉末および平均粒径20nmの酸化チタン超微粉末
が均一に分散されていることが確認された。
【0146】(比較例5)25重量%濃度のポリ塩化ビ
ニリデン(PVDC)のIPA溶液(ガスバリアコート
剤)を厚さ16μmのナイロンフィルムに厚さが2.0
μmになるようにロールコータ法により塗布し、乾燥す
ることによりガスバリア性積層フィルムを製造した。
【0147】得られた実施例3および比較例5の積層フ
ィルムについて、実施例1と同様な方法により酸素透過
量および水蒸気透過量を測定した。その結果を下記表3
に示す。なお、下記表3には参照例6として、厚さ16
μmのナイロンフィルムの酸素透過量および水蒸気透過
量を併記した。
【0148】
【表3】
【0149】なお、実施例3のガスバリア性積層フィル
ムは基材フィルムであるナイロンと同等の透明性を有し
ていた。また、実施例3のガスバリア性積層フィルムは
屈曲を繰り返しても前記表3に示す優れた酸素遮断性お
よび水蒸気遮断性が維持された。
【0150】(実施例4)実施例3で調製したガスバリ
アコート剤を厚さ30μmのPEフィルムに厚さが1μ
mおよび2μmになるようにロールコータ法によりそれ
ぞれ塗布し、乾燥して前記PEフィルムにガスバリア層
を形成することにより2種のガスバリア性積層フィルム
を製造した。
【0151】得られた実施例4の積層フィルムについ
て、実施例1と同様な方法により酸素透過量および水蒸
気透過量を測定した。その結果を下記表4に示す。な
お、下記表4には参照例7として、厚さ30μmのPE
フィルムの酸素透過量および水蒸気透過量を併記した。
【0152】
【表4】
【0153】なお、実施例4のガスバリア性積層フィル
ムは基材フィルムであるPEと同等の透明性を有してい
た。また、実施例4のガスバリア性積層フィルムは屈曲
を繰り返しても前記表4に示す優れた酸素遮断性および
水蒸気遮断性が維持された。
【0154】(実施例5)水とイソプロピルアルコール
(IPA)とを50:50の重量比で混合した溶剤にポ
リビニルアルコール(PVA)を25重量%添加し、9
5℃の温度下で前記樹脂を溶解した後、この溶液に酸化
ケイ素粉末の凝集物(一次粒子の平均粒径;7nm)お
よび酸化チタン粉末の凝集物(一次粒子の平均粒径;2
0nm)を前記PVAに対してそれぞれ25重量%、5
重量%添加して液状混合物を調製した。つづいて、この
液状混合物を95℃の温度維持しながら、前述した図3
に示す衝突破砕装置を用い、下記に示す条件て衝突破砕
を4回繰り返した。この工程により前記各凝集物が解粉
され、同時に前記PVAと均一に分散接合または結合が
なされ、平均粒径7nmのSiO2 超微粉末および平均
粒径20nmのTiO2 超微粉末と前記PVAとが溶剤
の存在下で均一に分散接合された多数の複合超微粒子を
含むガスバリアコート剤が調製された。
【0155】<衝突破砕条件> ・液状混合物の加圧力;約2000Kg/cm2 ・ノズル部を通過する液状混合物の加速度;約300m
/sec 得られたガスバリアコート剤は、常温ないしそれ以下の
温度で酸化ケイ素のような無機化合物の超微粉末が析出
したり、繊維状に成長したりすることなく、安定した性
状を有するものであった。また、前記ガスバリアコート
剤中の前記複合超微粒子は平均粒径が0.1μmであっ
た。
【0156】次いで、前記ガスバリアコート剤を厚さ3
0μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムに厚
さが1μmおよび2μmになるようにロールコータ法に
よりそれぞれ塗布し、乾燥して前記ナイロンフィルムに
ガスバリア層を形成することによって2種の積層フィル
ムを製造した。
【0157】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、PVAに平均粒径7nmの酸化ケイ素超
微粉末および平均粒径20nmの酸化チタン超微粉末が
均一に分散されていることが確認された。
【0158】得られた実施例5の積層フィルムについ
て、実施例1と同様な方法により酸素透過量および水蒸
気透過量を測定した。その結果を下記表5に示す。な
お、下記表5には参照例8として、厚さ30μmのCP
Pフィルムの酸素透過量および水蒸気透過量を併記し
た。
【0159】
【表5】
【0160】なお、実施例5のガスバリア性積層フィル
ムは基材フィルムであるCPPと同等の透明性を有して
いた。また、実施例5のガスバリア性積層フィルムは屈
曲を繰り返しても前記表5に示す優れた酸素遮断性およ
び水蒸気遮断性が維持された。
【0161】(実施例6)水とイソプロピルアルコール
(IPA)とを50:50の重量比で混合した溶剤にポ
リビニルアルコール(PVA)を添加し、100℃の温
度下で前記PVAを溶解した後、この溶液に疎水化処理
した酸化ケイ素粉末の凝集物(一次粒子の平均粒径;7
nm)[日本アエロジル社製商品名;R−812]を添
加して液状混合物を調製した。なお、前記PVAおよび
前記疎水化処理酸化ケイ素(R−812)は前記溶剤に
対してそれぞれ70重量%、30重量%となるように添
加した。
【0162】次いで、前記液状混合物を80℃の温度維
持しながら、前述した図3に示す衝突破砕装置を用い、
下記に示す条件て衝突破砕を8回繰り返した。この工程
により前記凝集物が解粉され、同時に前記混合樹脂と均
一に分散接合または結合がなされ、平均粒径7nmの疎
水化処理酸化ケイ素(R−812)の超微粉末と前記P
VAとが溶剤の存在下で均一に分散接合された多数の複
合超微粒子を含むガスバリアコート剤が調製された。
【0163】<衝突破砕条件> ・液状混合物の加圧力;約2000Kg/cm2 ・ノズル部を通過する液状混合物の加速度;約200m
/sec 得られたガスバリアコート剤は、常温ないしそれ以下の
温度で疎水化処理酸化ケイ素(R−812)の超微粉末
が析出したり、繊維状に成長したりすることなく、安定
した性状を有するものであった。また、前記ガスバリア
コート剤中の前記複合超微粒子は平均粒径が0.1μm
であった 次いで、前記ガスバリアコート剤を厚さ30μmの延伸
ポリプロピレン(OPP)フィルムに厚さが2μmにな
るようにロールコータ法により塗布し、乾燥して前記O
PPフィルムにガスバリア層を形成することによりガス
バリア性積層フィルムを製造した。
【0164】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層はPVAに平均粒径7
nmの疎水化処理酸化ケイ素超微粉末(R−812の超
微粉末)が均一に分散されていることが確認された。
【0165】また、前記ガスバリア層は前記OPPフィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2当たりに存在する多
数の疎水化処理酸化ケイ素超微粉末(R−812の超微
粉末)における比表面積の合計が100m2 であった。
【0166】(実施例7)水とイソプロピルアルコール
(IPA)とを50:50の重量比で混合した溶剤にポ
リビニルアルコール(PVA)を添加し、100℃の温
度下で前記PVAを溶解した後、この溶液に親水化処理
した酸化ケイ素粉末の凝集物(一次粒子の平均粒径;7
nm)[日本アエロジル社製商品名;380]を添加し
て液状混合物を調製した。なお、前記PVAおよび前記
親水化処理酸化ケイ素(380)は前記溶剤に対してそ
れぞれ70重量%、30重量%となるように添加した。
【0167】次いで、前記液状混合物を80℃の温度維
持しながら、前述した図3に示す衝突破砕装置を用い、
実施例6と同様な条件て衝突破砕を8回繰り返した。こ
の工程により前記凝集物が解粉され、同時に前記PVA
と均一に分散接合または結合がなされ、平均粒径7nm
の親水化処理酸化ケイ素(380)の超微粉末と前記P
VAとが溶剤の存在下で均一に分散接合された多数の複
合超微粒子を含むガスバリアコート剤が調製された。
【0168】得られたガスバリアコート剤は、常温ない
しそれ以下の温度で親水化処理酸化ケイ素(380)の
超微粉末が析出したり、繊維状に成長したりすることな
く、安定した性状を有するものであった。また、前記ガ
スバリアコート剤中の前記複合超微粒子は平均粒径が
0.1μmであった。
【0169】次いで、前記ガスバリアコート剤を厚さ3
0μmの延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムに厚さ
が2μmおよび4μmになるようにロールコータ法によ
りそれぞれ塗布し、乾燥して前記OPPフィルムにガス
バリア層を形成することにより2種のガスバリア性積層
フィルムを製造した。
【0170】前記各ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層はPVAに平均粒径7
nmの親水性酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉末)
が均一に分散されていることが確認された。
【0171】また、前記各ガスバリア層は前記OPPフ
ィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する
する多数の親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超
微粉末)における比表面積の合計が140m2 であっ
た。
【0172】(実施例8)水とイソプロピルアルコール
(IPA)とを50:50の重量比で混合した溶剤にポ
リビニルアルコール(PVA)とエチレンビニルアルコ
ール共重合体(EVOH)との混合物(PVA:EVO
H=70:30)を添加し、100℃の温度下で前記各
樹脂を溶解した後、この溶液に親水化処理した酸化ケイ
素粉末の凝集物(一次粒子の平均粒径;7nm)[日本
アエロジル社製商品名;380]を添加して液状混合物
を調製した。なお、前記混合樹脂および前記親水化処理
酸化ケイ素(380)は前記溶剤に対してそれぞれ70
重量%、30重量%となるように添加した。
【0173】次いで、前記液状混合物を80℃の温度維
持しながら、前述した図3に示す衝突破砕装置を用い、
実施例6と同様な条件て衝突破砕を8回繰り返した。こ
の工程により前記凝集物が解粉され、同時に前記PVA
−EVOHの混合樹脂と均一に分散接合または結合がな
され、平均粒径7nmの親水化処理酸化ケイ素(38
0)の超微粉末と前記PVA−EVOHの混合樹脂とが
溶剤の存在下で均一に分散接合された多数の複合超微粒
子を含むガスバリアコート剤が調製された。
【0174】得られたガスバリアコート剤は、常温ない
しそれ以下の温度で親水化処理酸化ケイ素(380)の
超微粉末が析出したり、繊維状に成長したりすることな
く、安定した性状を有するものであった。また、前記ガ
スバリアコート剤中の前記複合超微粒子は平均粒径が
0.1μmであった。
【0175】次いで、前記ガスバリアコート剤を厚さ3
0μmの延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムに厚さ
が2μmになるようにロールコータ法によりそれぞれ塗
布し、乾燥して前記OPPフィルムにガスバリア層を形
成することによりバリア性積層フィルムを製造した。
【0176】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層はPVA−EVOHの
混合樹脂に平均粒径7nmの親水性酸化ケイ素超微粉末
(380の超微粉末)が均一に分散されていることが確
認された。
【0177】また、前記ガスバリア層は前記OPPフィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2当たりに存在する多
数の親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉
末)における比表面積の合計が140m2 であった。
【0178】(実施例9)水とイソプロピルアルコール
(IPA)とを50:50の重量比で混合した溶剤にポ
リビニルアルコール(PVA)を添加し、100℃の温
度下で前記PVAを溶解した後、この溶液に親水化処理
した酸化ケイ素粉末の凝集物(一次粒子の平均粒径;7
nm)[日本アエロジル社製商品名;380]を添加し
て液状混合物を調製した。なお、前記PVAおよび前記
親水化処理酸化ケイ素(380)は前記溶剤に対してそ
れぞれ70重量%、30重量%となるように添加した。
【0179】次いで、前記液状混合物を80℃の温度維
持しながら、前述した図3に示す衝突破砕装置を用い、
実施例6と同様な条件て衝突破砕を8回繰り返した。こ
の工程により前記凝集物が解粉され、同時に前記PVA
と均一に分散接合または結合がなされ、平均粒径7nm
の親水化処理酸化ケイ素(380)の超微粉末と前記P
VAとが溶剤の存在下で均一に分散接合された多数の複
合超微粒子を含む溶液が調製された。この溶液は、常温
ないしそれ以下の温度で親水化処理酸化ケイ素(38
0)の超微粉末が析出したり、繊維状に成長したりする
ことなく、安定した性状を有するものであった。また、
前記溶液中の前記複合超微粒子は平均粒径が0.1μm
であった。
【0180】次いで、前記溶液にシランカップング剤
(東レ・ダウコーニング社製商品名SH−6040)を
前記親水化処理酸化ケイ素に対して10重量%添加し、
攪拌混合することによりバリアコート剤を調製した。こ
のガスバリアコート剤を厚さ30μmの延伸ポリプロピ
レン(OPP)フィルムに厚さが2μmになるようにロ
ールコータ法により塗布し、乾燥して前記OPPフィル
ムにガスバリア層を形成することによりガスバリア性積
層フィルムを製造した。
【0181】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層はPVAに平均粒径7
nmの親水性酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉末)
が均一に分散されているとともに、それらPVAと親水
性酸化ケイ素超微粉末とがシランカップリング剤により
結合、架橋されていることが確認された。
【0182】また、前記ガスバリア層は前記OPPフィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2当たりに存在する多
数の親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉
末)における比表面積の合計が110m2 であった。
【0183】(実施例10)水とイソプロピルアルコー
ル(IPA)とを50:50の重量比で混合した溶剤に
ポリビニルアルコール(PVA)を添加し、100℃の
温度下で前記PVAを溶解した後、この溶液に親水化処
理した酸化ケイ素粉末の凝集物(一次粒子の平均粒径;
7nm)[日本アエロジル社製商品名;380]および
疎水化処理した酸化ケイ素粉末の凝集物(一次粒子の平
均粒径;7nm)[日本アエロジル社製商品名;R−8
12]をそれぞれ添加して液状混合物を調製した。な
お、前記PVA、前記親水化処理酸化ケイ素粉末(38
0)および疎水化処理酸化ケイ素粉末(R−812)は
前記溶剤に対してそれぞれ60重量%、30重量%およ
び10重量%となるように添加した。
【0184】次いで、前記液状混合物を80℃の温度維
持しながら、前述した図3に示す衝突破砕装置を用い、
実施例6と同様な条件て衝突破砕を8回繰り返した。こ
の工程により前記各凝集物が解粉され、同時に前記PV
Aと均一に分散接合または結合がなされ、平均粒径7n
mの親水化処理酸化ケイ素(380)の超微粉末と平均
粒径7nmの疎水化処理酸化ケイ素粉末(R−812)
の超微粉末と前記PVAとが溶剤の存在下で均一に分散
接合された多数の複合超微粒子を含むガスバリアコート
剤が調製された。
【0185】得られたガスバリアコート剤は、常温ない
しそれ以下の温度で親水化処理酸化ケイ素(380)の
超微粉末および疎水化処理酸化ケイ素粉末(R−81
2)の超微粉末が析出したり、繊維状に成長したりする
ことなく、安定した性状を有するものであった。また、
前記ガスバリアコート剤中の前記複合超微粒子は平均粒
径が0.1μmであった。
【0186】次いで、前記ガスバリアコート剤を厚さ3
0μmの延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムに厚さ
が2μmになるようにロールコータ法により塗布し、乾
燥して前記OPPフィルムにガスバリア層を形成するこ
とによりガスバリア性積層フィルムを製造した。
【0187】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層はPVAに平均粒径7
nmの親水性酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉末)
および平均粒径7nmの疎水化処理酸化ケイ素超微粉末
(R−812の超微粉末)が均一に分散されていること
が確認された。
【0188】また、前記ガスバリア層は前記OPPフィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2当たりに存在する多
数の親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉
末)および疎水化処理酸化ケイ素超微粉末(R−812
の超微粉末)における比表面積の合計が250m2 であ
った。
【0189】(実施例11)水とイソプロピルアルコー
ル(IPA)とを50:50の重量比で混合した溶剤に
ポリビニルアルコール(PVA)を添加し、100℃の
温度下で前記PVAを溶解した後、この溶液に超疎水化
処理した酸化ケイ素粉末の凝集物(一次粒子の平均粒
径;7nm)[日本アエロジル社製商品名;RY−30
0]を添加して液状混合物を調製した。なお、前記PV
Aおよび超疎水化処理酸化ケイ素粉末(RY−300)
は前記溶剤に対してそれぞれ70重量%および30重量
%となるように添加した。
【0190】次いで、前記液状混合物を80℃の温度維
持しながら、前述した図3に示す衝突破砕装置を用い、
実施例6と同様な条件て衝突破砕を8回繰り返した。こ
の工程により前記凝集物が解粉され、同時に前記PVA
と均一に分散接合または結合がなされ、平均粒径7nm
の超疎水化処理酸化ケイ素(RY−300)の超微粉末
と前記PVAとが溶剤の存在下で均一に分散接合された
多数の複合超微粒子を含むガスバリアコート剤が調製さ
れた。
【0191】得られたガスバリアコート剤は、常温ない
しそれ以下の温度で超疎水化処理酸化ケイ素(RY−3
00)の超微粉末が析出したり、繊維状に成長したりす
ることなく、安定した性状を有するものであった。ま
た、前記ガスバリアコート剤中の前記複合超微粒子は平
均粒径が0.1μmであった次いで、厚さ30μmの延
伸ポリプロピレン(OPP)フィルムに実施例7と同様
なガスバリアコート剤[PVAおよび前記親水化処理酸
化ケイ素(380)の超微粉末からなる複合超微粒子含
有]を厚さが2μmになるようにロールコータ法により
塗布し、乾燥して前記OPPフィルムに第1ガスバリア
層(下層ガスバリア層)を形成した。つづいて、この下
層ガスバリア層に前記ガスバリアコート剤を厚さが2μ
mになるようにロールコータ法により塗布し、乾燥して
前記下層ガスバリア層に第2ガスバリア層(上層ガスバ
リア層)を形成することによりガスバリア性積層フィル
ムを製造した。
【0192】前記下層ガスバリア層および上層ガスバリ
ア層を電子顕微鏡で観察した。その結果、下層ガスバリ
ア層はPVAに平均粒径7nmの親水性酸化ケイ素超微
粉末(380の超微粉末)が均一に分散されていること
が確認された。上層ガスバリア層は、PVAに平均粒径
7nmの超疎水化処理酸化ケイ素超微粉末(RY−30
0の超微粉末)が均一に分散されていることが確認され
た。
【0193】また、前記下層ガスバリア層は前記OPP
フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在す
る多数の親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超微
粉末)における比表面積の合計が140m2 であった。
前記上層ガスバリア層は前記OPPフィルム表面に実質
的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の超疎水化処
理酸化ケイ素超微粉末(RY−300の超微粉末)にお
ける比表面積の合計が100m2 であった。
【0194】得られた実施例6〜11のガスバリア性積
層フィルムについて、実施例1と同様な方法により酸素
透過量および水蒸気透過量を測定した。その結果を下記
表6に示す。なお、下記表6には前記参照例1(厚さ3
0μmのOPPフィルム)の酸素透過量および水蒸気透
過量を併記した。
【0195】
【表6】
【0196】前記表6から明らかなように実施例6〜1
1のガスバリア性積層フィルムはOPP単体フィルムに
比べた優れた酸素遮断性および水蒸気遮断性を有するこ
とがわかる。
【0197】特に、実施例6のようなPVAと疎水化処
理酸化ケイ素(R−812)の超微粉末からなる複合超
微粒子を含むガスバリアコート剤を用いて製造されたガ
スバリア性積層フィルムと、実施例7のようなPVAと
親水化処理酸化ケイ素(380)の超微粉末からなる複
合超微粒子を含むガスバリアコート剤を用いて製造され
たガスバリア性積層フィルムとを対比すると、ガスバリ
ア層が同厚さ(2μm)の場合、実施例6の積層フィル
ムが実施例7の積層フィルムに比べて酸素遮断性および
水蒸気遮断性が優れることがわかる。ただし、実施例6
の積層フィルムにおいてそのガスバリア層の厚さを4μ
mにすると、酸素遮断性および水蒸気遮断性が格段に向
上されることがわかる。
【0198】また、実施例8のようなPVA,EVOH
の混合樹脂と親水化処理酸化ケイ素(380)の超微粉
末からなる複合超微粒子を含むガスバリアコート剤を用
いて製造されたガスバリア性積層フィルムは、ガスバリ
ア層が2μmの場合において疎水化処理酸化ケイ素(R
−812)の超微粉末を含むガスバリア層を有する実施
例7の積層フィルムと同等の酸素遮断性および水蒸気遮
断性を有することがわかる。
【0199】さらに、実施例9のようなPVAと親水化
処理酸化ケイ素(380)の超微粉末からなる複合超微
粒子にシランカップリング剤を配合したガスバリアコー
ト剤を用いて製造されたガスバリア性積層フィルムや実
施例10のようなPVAと親水化処理酸化ケイ素(38
0)の超微粉末と疎水化処理酸化ケイ素(R−812)
の超微粉末からなる複合超微粒子を含むガスバリアコー
ト剤を用いて製造されたガスバリア性積層フィルムは、
実施例6の積層フィルム(ガスバリア層が同厚さ;2μ
m)に比べて酸素遮断性および水蒸気遮断性が著しく向
上されることがわかる。
【0200】さらに、実施例11のようなPVAおよび
親水化処理酸化ケイ素(380)の超微粉末からなる下
層ガスバリア層と、PVAおよび超疎水化処理酸化ケイ
素(RY−300)の超微粉末からなる上層ガスバリア
層を有するガスバリア性積層フィルムはガスバリア層の
厚さを4μmとした実施例7のガスバリア性積層フィル
ムに比べて酸素遮断性が若干低いものの、より優れた水
蒸気遮断性を有することがわかる。
【0201】なお、実施例6〜11のガスバリア性積層
フィルムは基材フィルムであるOPPと同等の透明性を
有していた。実施例6〜11のガスバリア性積層フィル
ムは屈曲を繰り返しても前記表6に示す優れた酸素遮断
性および水蒸気遮断性が維持された。
【0202】(実施例12)厚さ12μmのPETフィ
ルムに実施例6で調製したガスバリアコート剤を厚さが
2μmになるようにロールコータ法により塗布し、乾燥
して前記PETフィルムにガスバリア層を形成すること
によりガスバリア性積層フィルムを製造した。
【0203】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層PVAに平均粒径7n
mの疎水化処理酸化ケイ素超微粉末(R−812の超微
粉末)が均一に分散されていることが確認された。
【0204】また、前記ガスバリア層は前記PETフィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2当たりに存在する多
数の疎水化処理酸化ケイ素超微粉末(R−812の超微
粉末)における比表面積の合計が100m2 であった。
【0205】(実施例13)厚さ12μmのPETフィ
ルムに実施例7で調製したガスバリアコート剤を厚さが
2μmになるようにロールコータ法により塗布し、乾燥
して前記PETフィルムにガスバリア層を形成すること
によりガスバリア性積層フィルムを製造した。
【0206】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層はPVAに平均粒径7
nmの親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉
末)が均一に分散されていることが確認された。
【0207】また、前記ガスバリア層は前記PETフィ
ルム表面に実質的に平行な面1m2当たりに存在する多
数の親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉
末)における比表面積の合計が140m2 であった。
【0208】(実施例14)竜王コート紙に実施例6で
調製したガスバリアコート剤を厚さが2μmになるよう
にロールコータ法により塗布し、乾燥して前記竜王コー
ト紙にガスバリア層を形成することによりガスバリア性
積層フィルムを製造した。
【0209】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層はPVAに平均粒径7
nmの疎水化処理酸化ケイ素超微粉末(R−812の超
微粉末)が均一に分散されていることが確認された。
【0210】また、前記ガスバリア層は前記竜王コート
紙表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数
の疎水化処理酸化ケイ素超微粉末(R−812の超微粉
末)における比表面積の合計が100m2 であった。
【0211】(実施例15)竜王コート紙に実施例7で
調製したガスバリアコート剤を厚さが2μmになるよう
にロールコータ法により塗布し、乾燥して前記竜王コー
ト紙にガスバリア層を形成することによりガスバリア性
積層フィルムを製造した。
【0212】前記ガスバリア層を電子顕微鏡で観察し
た。その結果、このガスバリア層はPVAに平均粒径7
nmの親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉
末)が均一に分散されていることが確認された。
【0213】また、前記ガスバリア層は前記竜王コート
紙表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多数
の親水化処理酸化ケイ素超微粉末(380の超微粉末)
における比表面積の合計が14m2 であった。
【0214】得られた実施例12〜15のガスバリア性
積層フィルムについて、実施例1と同様な方法により酸
素透過量および水蒸気透過量を測定した。その結果を下
記表7に示す。なお、下記表7には前記参照例5(厚さ
12μmのPETフィルム)および参照例9(竜王コー
ト紙単体)の酸素透過量および水蒸気透過量を併記し
た。
【0215】
【表7】
【0216】また、実施例12、13のガスバリア性積
層フィルムは基材フィルムであるPETと同等の透明性
を有していた。さらに、実施例12〜15のガスバリア
性積層フィルムは屈曲を繰り返しても前記表7に示す優
れた酸素遮断性および水蒸気遮断性が維持された。
【0217】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば屈
曲させてもピンホールやクラックが発生せず、かつ無機
化合物や金属の膜状態と同等もしくはそれ以上の優れた
ガスバリア性を有するガスバリア層を備え、食品、医薬
等の各種の物品の包装材料に好適なガスバリア性積層フ
ィルムを提供できる。
【0218】本発明は、屈曲させてもピンホールやクラ
ックが発生せず、優れたガスバリア性を有するガスバリ
ア層を備え、かつ基材である有機樹脂フィルムと同等の
透明性を有するガスバリア性積層フィルムを提供でき
る。
【0219】本発明は、真空蒸着のような大掛かりな装
置を使用せずに塗布手段により前述した優れたガスバリ
ア性を有するガスバリア層を形成することが可能なガス
バリア性積層フィルムの製造方法を提供できる。本発明
は、優れた前記特性を有するガスバリア性積層フィルム
を得ることが可能なガスバリアコート剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるガスバリア性積層フィルムを示
す断面図。
【図2】図1のフィルムの要部拡大断面図。
【図3】本発明の製造方法に用いられるガスバリアコー
ト剤を調製するための衝突破砕装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…ガスバリア性積層フィルム、 2…有機高分子フィルム、 3…ガスバリア層、 4…ガスバリア性有機高分子、 5…超微粉末、 11…本体、 14…空洞部、 16a,16b…加速流路、 17a,17b…ノズル部、 19…上部ブロック、 24…下部ブロック。

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機高分子フィルム;および前記有機高
    分子フィルムに積層され、ガスバリア性有機高分子とこ
    の高分子に分散された無機化合物および金属から選ばれ
    る少なくとも1つの材料からなる平均粒径100nm以
    下の多数の超微粉末とを含むガスバリア層;を具備した
    ことを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 【請求項2】 前記超微粉末は、酸化ケイ素から作られ
    ることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 前記ガスバリア性有機高分子は、酸素お
    よび水蒸気の透過量がそれぞれ10cc/m2 ・24h
    r以下、10g/m2 ・24hr以下であることを特徴
    とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 【請求項4】 前記ガスバリア性有機高分子は、エチレ
    ンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールで
    あることを特徴とする請求項4記載のガスバリア性積層
    フィルム。
  5. 【請求項5】 前記ガスバリア層は、1μm以上の厚さ
    を有することを特徴とする請求項1記載のガスバリア性
    積層フィルム。
  6. 【請求項6】 無機化合物および金属から選ばれる少な
    くとも1つの材料からなる平均粒径100nm以下の超
    微粉末とガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分
    散接合または結合された平均粒径1μm以下の多数の複
    合超微粒子を含むガスバリアコート剤を調製する工程;
    および有機高分子フィルムに前記ガスバリアコート剤を
    塗布し、乾燥することによりガスバリア層を形成する工
    程;を具備したことを特徴とするガスバリア性積層フィ
    ルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ガスバリアコート剤は、溶剤に溶解
    されたガスバリア性有機高分子に無機化合物および金属
    から選ばれる少なくとも1つの材料の微粒子を添加、混
    合し、この液状混合物を加圧した後、高速度で互いに衝
    突破砕する操作を複数回繰り返すことにより調製される
    ことを特徴とする請求項6記載のガスバリア性積層フィ
    ルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記無機化合物および金属から選ばれる
    少なくとも1つの材料の微粒子は、平均粒径が1000
    nm以下であることを特徴とする請求項6記載のガスバ
    リア性積層フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記無機化合物および金属から選ばれる
    少なくとも1つの材料の微粒子は、前記有機高分子に2
    0〜60重量%添加されることを特徴とする請求項6記
    載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記複合微粒子中の超微粉末は、酸化
    ケイ素であることを特徴とする請求項6記載のガスバリ
    ア性積層フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記複合微粒子中のガスバリア性有機
    高分子は、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビ
    ニルアルコールであることを特徴とする請求項6記載の
    ガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 無機化合物および金属から選ばれる少
    なくとも1つの材料からなる平均粒径100nm以下の
    超微粉末とガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で
    分散接合または結合された平均粒径1μm以下の多数の
    複合超微粒子を含有することを特徴とするガスバリアコ
    ート剤。
  13. 【請求項13】 前記複合微粒子中の超微粉末は、酸化
    ケイ素であることを特徴とする請求項12記載のガスバ
    リアコート剤。
  14. 【請求項14】 前記ガスバリア性有機高分子は、ポリ
    ビニルアルコールおよびエチレンビニルアルコール共重
    合体から選ばれる少なくとも1つの水溶性有機高分子で
    あることを特徴とする請求項12記載のガスバリアコー
    ト剤。
  15. 【請求項15】 前記溶剤は、アルコールと水との混合
    液であることを特徴とする請求項12記載のガスバリア
    コート剤。
  16. 【請求項16】 有機高分子フィルム;および前記有機
    高分子フィルムに積層され、ポリビニルアルコールおよ
    びエチレンビニルアルコール共重合体から選ばれる少な
    くとも1つのガスバリア性有機高分子とこの高分子に分
    散された酸化ケイ素からなる多数の超微粉末とを含むガ
    スバリア層;を具備し、前記有機高分子フィルムと同等
    の透明性を有することを特徴とするガスバリア性積層フ
    ィルム。
  17. 【請求項17】 有機高分子フィルム;および前記有機
    高分子フィルムに積層され、ガスバリア性有機高分子と
    この高分子に分散された無機化合物および金属から選ば
    れる少なくとも1つの材料からなる平均粒径が100n
    m以下の多数の超微粉末とを含むガスバリア層;を具備
    し、屈曲後の水蒸気およびガスの透過量がそれぞれ10
    g/m2 ・24hr以下および10cc/m2 ・24h
    r以下であることを特徴とするガスバリア性積層フィル
    ム。
  18. 【請求項18】 基材フィルム;および前記基材フィル
    ムに積層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に
    分散された無機化合物および金属から選ばれる少なくと
    も1つの材料からなる多数の超微粉末とを含み、前記基
    材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在
    する多数の超微粉末における比表面積の合計が50〜6
    00m2 であるガスバリア層;を具備したことを特徴と
    するガスバリア性積層フィルム。
  19. 【請求項19】 疎水性無機化合物および親水性無機化
    合物から選ばれる少なくとも1つの超微粉末とガスバリ
    ア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合または結合
    された多数の複合超微粒子を含有することを特徴とする
    ガスバリアコート剤。
  20. 【請求項20】 前記超微粉末は、前記親水性無機化合
    物および前記疎水性無機化合物の混合超微粉末からなる
    場合、前記親水性無機化合物の超微粉末50〜70重量
    %と前記疎水性無機化合物の超微粉末30〜50重量%
    とからなることを特徴とする請求項19記載のガスバリ
    アコート剤。
  21. 【請求項21】 (a)酸化ケイ素からなる超微粒子と
    ガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合ま
    たは結合された多数の複合超微粒子と、 (b)シランカップリング剤とを含有することを特徴と
    するガスバリアコート剤。
  22. 【請求項22】 前記シランカップリング剤(b)は、
    前記複合超微粒子(a)に対して5〜15重量%配合さ
    れることを特徴とする請求項21記載のガスバリアコー
    ト剤。
  23. 【請求項23】 前記超微粉末は、平均粒径が100n
    m以下であることを特徴とする請求項19または21記
    載のガスバリアコート剤。
  24. 【請求項24】 前記ガスバリア性有機高分子は、酸素
    および水蒸気の透過量がそれぞれ10cc/m2 ・24
    hr以下、10g/m2 ・24hr以下であることを特
    徴とする請求項19または21記載のガスバリアコート
    剤。
  25. 【請求項25】 前記ガスバリア性有機高分子は、ポリ
    ビニルアルコールおよびエチレンビニルアルコール共重
    合体から選ばれる少なくとも1つの水溶性有機高分子で
    あることを特徴とする請求項24記載のガスバリアコー
    ト剤。
  26. 【請求項26】 前記溶剤は、アルコールと水との混合
    液であることを特徴とする請求項19または21記載の
    ガスバリアコート剤。
  27. 【請求項27】 前記混合液は、アルコール30〜50
    体積%と水50〜70体積%とからなることを特徴とす
    る請求項26記載のガスバリアコート剤。
  28. 【請求項28】 前記複合超微粒子は、平均粒径が1μ
    m以下であることを特徴とする請求項19または21記
    載のガスバリアコート剤。
  29. 【請求項29】 前記複合超微粒子は、液状ガスバリア
    性有機高分子45〜85重量%と前記超微粒子15〜5
    5重量%とからなることを特徴とする請求項28記載の
    ガスバリアコート剤。
  30. 【請求項30】 基材フィルム;および前記基材フィル
    ムに積層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に
    分散された疎水性無機化合物からなる超微粉末とを含
    み、前記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m2
    たりに存在する多数の超微粉末における比表面積の合計
    が50〜200m2 であるガスバリア層;を具備したこ
    とを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  31. 【請求項31】 基材フィルム;および前記基材フィル
    ムに積層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に
    分散された親水性無機化合物からなる超微粉末とを含
    み、前記基材フィルム表面に沿う断面1m2 当たりに存
    在する多数の超微粉末の比表面積が100〜600m2
    であるガスバリア層;を具備したことを特徴とするガス
    バリア性積層フィルム。
  32. 【請求項32】 基材フィルム;および前記基材フィル
    ムに積層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に
    分散された親水性無機化合物の超微粉末および疎水性無
    機化合物の超微粉末からなる混合超微粉末とを含み、前
    記基材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに
    存在する多数の超微粉末における比表面積の合計が15
    0〜600m2 であるガスバリア層;を具備したことを
    特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  33. 【請求項33】 基材フィルム;前記基材フィルムに積
    層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散さ
    れた親水性無機化合物の超微粉末を含み、前記基材フィ
    ルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多
    数の超微粉末における比表面積の合計が100〜600
    2 である第1ガスバリア層;および前記第1ガスバリ
    ア層に積層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子
    に分散された疎水性無機化合物の超微粉末を含み、前記
    基材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存
    在する多数の超微粉末における比表面積の合計が50〜
    200m2 である第2ガスバリア層;を具備したことを
    特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  34. 【請求項34】 基材フィルム;前記基材フィルムに積
    層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に分散さ
    れた疎水性無機化合物の超微粉末を含み、前記基材フィ
    ルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多
    数の超微粉末における比表面積の合計が50〜200m
    2 である第1ガスバリア層;および前記第1ガスバリア
    層に積層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に
    分散された親水性無機化合物の超微粉末を含み、前記基
    材フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在
    する多数の超微粉末における比表面積の合計が100〜
    600m2 である第2ガスバリア層;を具備したことを
    特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  35. 【請求項35】 基材フィルム;および前記基材フィル
    ムに積層され、ガスバリア性有機高分子とこの高分子に
    分散された(a)酸化ケイ素からなる超微粉末およびガ
    スバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合また
    は結合された多数の複合超微粒子と、(b)シランカッ
    プリング剤とを含むガスバリア層;を具備したことを特
    徴とするガスバリア性積層フィルム。
  36. 【請求項36】 前記基材フィルムは、有機高分子また
    は紙からなることを特徴とする請求項30〜35いずれ
    か記載のガスバリア性積層フィルム。
  37. 【請求項37】 前記超微粉末は、平均粒径が100n
    m以下であることを特徴とする請求項30〜35いずれ
    か記載のガスバリア性積層フィルム。
  38. 【請求項38】 前記ガスバリア性有機高分子は、ポリ
    ビニルアルコールおよびエチレンビニルアルコール共重
    合体から選ばれる少なくとも1つの水溶性有機高分子で
    あることを特徴とする請求項30〜35いずれか記載の
    ガスバリア性積層フィルム。
  39. 【請求項39】 前記ガスバリア層は、前記ガスバリア
    性有機高分子40〜80重量%と前記超微粒子20〜6
    0重量%とからなることを特徴とする請求項30〜33
    いずれか記載のガスバリア性積層フィルム。
  40. 【請求項40】 前記ガスバリア層は、1μm以上の厚
    さを有することを特徴とする請求項30〜35いずれか
    記載のガスバリア性積層フィルム。
  41. 【請求項41】 疎水性無機化合物からなる超微粉末と
    ガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合ま
    たは結合された多数の複合超微粒子を含有するガスバリ
    アコート剤を調製する工程;および基材フィルムに前記
    バリアコート剤を塗布し、乾燥することにより前記基材
    フィルム表面に沿う断面1m2 当たりに存在する多数の
    超微粉末の比表面積が50〜200m2 であるガスバリ
    ア層を形成する工程;を具備したことを特徴とするガス
    バリア性積層フィルムの製造方法。
  42. 【請求項42】 前記バリアコート剤は、溶剤に溶解さ
    れたガスバリア性有機高分子と疎水性無機化合物の微粒
    子とを混合し、この液状混合物を加圧した後、高速度で
    互いに衝突破砕する操作を複数回繰り返すことにより調
    製されることを特徴とする請求項41記載のガスバリア
    性積層フィルムの製造方法。
  43. 【請求項43】 親水性無機化合物からなる超微粉末と
    ガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合ま
    たは結合された多数の複合超微粒子を含有するガスバリ
    アコート剤を調製する工程;および基材フィルムに前記
    バリアコート剤を塗布し、乾燥することにより前記基材
    フィルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在す
    る多数の超微粉末における比表面積の合計が100〜6
    00m2 であるガスバリア層を形成する工程;を具備し
    たことを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方
    法。
  44. 【請求項44】 前記バリアコート剤は、溶剤に溶解さ
    れたガスバリア性有機高分子と親水性無機化合物の微粒
    子とを混合し、この液状混合物を加圧した後、高速度で
    互いに衝突破砕する操作を複数回繰り返すことにより調
    製されることを特徴とする請求項43記載のガスバリア
    性積層フィルムの製造方法。
  45. 【請求項45】 親水性無機化合物の超微粉末および疎
    水性無機化合物の超微粉末からなる混合超微粉末とガス
    バリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合または
    結合された多数の複合超微粒子を含有するガスバリアコ
    ート剤を調製する工程;および基材フィルムに前記バリ
    アコート剤を塗布し、乾燥することにより前記基材フィ
    ルム表面に実質的に平行な面1m2 当たりに存在する多
    数の超微粉末における比表面積の合計が150〜600
    2 であるガスバリア層を形成する工程;を具備したこ
    とを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  46. 【請求項46】 前記バリアコート剤は、溶剤に溶解さ
    れたガスバリア性有機高分子と親水性無機化合物の微粒
    子および疎水性無機化合物の微粒子とを混合し、この液
    状混合物を加圧した後、高速度で互いに衝突破砕する操
    作を複数回繰り返すことにより調製されることを特徴と
    する請求項45記載のガスバリア性積層フィルムの製造
    方法。
  47. 【請求項47】 疎水性無機化合物の超微粉末とガスバ
    リア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合または結
    合された多数の複合超微粒子を含有する第1ガスバリア
    コート剤を調製する工程;親水性無機化合物の超微粉末
    とガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合
    または結合された多数の複合超微粒子を含有する第2ガ
    スバリアコート剤を調製する工程;および前記第1,第
    2のバリアコート剤を用いて基材フィルムに塗布し、乾
    燥することにより前記基材フィルム表面に実質的に平行
    な面1m2 当たりに存在する多数の疎水性無機化合物超
    微粉末における比表面積の合計が50〜200m2 であ
    る第1ガスバリア層および前記基材フィルム表面に実質
    的に平行な面1m2 当たりに存在する多数の親水性無機
    化合物超微粉末における比表面積の合計が100〜60
    0m2 である第2ガスバリア層を形成する工程;を具備
    したことを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造
    方法。
  48. 【請求項48】 (a)酸化ケイ素からなる超微粒子と
    ガスバリア性有機高分子とが溶剤の存在下で分散接合ま
    たは結合された多数の複合超微粒子と、(b)シランカ
    ップリング剤とを含有するガスバリアコート剤を調製す
    る工程;および基材フィルムに前記バリアコート剤を塗
    布し、乾燥することによりガスバリア層を形成する工
    程;を具備したことを特徴とするガスバリア性積層フィ
    ルムの製造方法。
  49. 【請求項49】 前記バリアコート剤は、溶剤に溶解さ
    れたガスバリア性有機高分子と酸化ケイ素からなる微粒
    子とを混合し、この液状混合物を加圧した後、高速度で
    互いに衝突破砕する操作を複数回繰り返して多数の複合
    超微粒子を含む溶液とし、この溶液にシランカップリン
    グ剤を添加混合することにより調製されることを特徴と
    する請求項49記載のガスバリア性積層フィルムの製造
    方法。
  50. 【請求項50】 前記基材フィルムは、有機高分子また
    は紙からなることを特徴とする請求項41,43,4
    5,47または48いずれか記載のガスバリア性積層フ
    ィルムの製造方法。
  51. 【請求項51】 前記超微粉末は、平均粒径が100n
    m以下であることを特徴とする請求項41,43,4
    5,47または48いずれか記載のガスバリア性積層フ
    ィルムの製造方法。
  52. 【請求項52】 前記ガスバリア性有機高分子は、ポリ
    ビニルアルコールおよびエチレンビニルアルコール共重
    合体から選ばれる少なくとも1つの水溶性有機高分子で
    あることを特徴とする請求項41,43,45,47ま
    たは48いずれか記載のガスバリア性積層フィルムの製
    造方法。
  53. 【請求項53】 前記溶剤は、アルコールと水との混合
    液であることを特徴とする請求項41,43,45,4
    7または48いずれか記載のガスバリア性積層フィルム
    の製造方法。
  54. 【請求項54】 前記複合超微粒子は、平均粒径が1μ
    m以下であることを特徴とする請求項41,43,4
    5,47または48いずれか記載のガスバリア性積層フ
    ィルムの製造方法。
  55. 【請求項55】 前記複合超微粒子は、液状ガスバリア
    性有機高分子45〜85重量%と前記超微粒子15〜5
    5重量%とからなることを特徴とする請求項41,4
    3,45または47いずれか記載のガスバリア性積層フ
    ィルムの製造方法。
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