JP2003268184A - ビニルアルコール系重合体組成物および用途 - Google Patents

ビニルアルコール系重合体組成物および用途

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JP2003268184A
JP2003268184A JP2002074755A JP2002074755A JP2003268184A JP 2003268184 A JP2003268184 A JP 2003268184A JP 2002074755 A JP2002074755 A JP 2002074755A JP 2002074755 A JP2002074755 A JP 2002074755A JP 2003268184 A JP2003268184 A JP 2003268184A
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vinyl alcohol
pva
layered compound
silane
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JP2002074755A
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Naoki Fujiwara
直樹 藤原
Sadahiko Shiragami
貞彦 白神
Yoshikazu Kondo
義和 近藤
Atsushi Miyayasu
淳 宮保
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿環境下で優れたバリア性、耐水性、耐熱
水性および耐レトルト性を示すPVA系重合体組成物、
該組成物からなるフィルム、積層体および容器、ならび
に該組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体、シランカッ
プリング剤で変性された無機層状化合物、および必要に
応じてビニルアルコール系重合体の架橋剤を配合して得
られるPVA系重合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニルアルコール
系重合体(以下PVA系重合体と略記することがあ
る)、シラン変性された無機層状化合物、および必要に
応じてビニルアルコール系重合体の架橋剤からなるバリ
ア性、耐水性および耐熱水性に優れたビニルアルコール
系重合体組成物に関する。また本発明は該組成物の用途
および製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】包装材に求められる機能は多岐にわたる
が、なかでも各種ガスに対するバリア性(ガスバリア
性)は包装された内容物の保存性を左右する大切な機能
であり、近年では、流通形態、包装技術の多様化、添加
物規制、嗜好の変化などにより、ガスバリア性はますま
すその重要性を増している。包装された内容物、特に食
品の変質要因としては、酸素、光、熱、水分などが挙げ
られ、とりわけ酸素が主要な変質要因である。また、酸
素ガスに限らず各種のガス、有機溶剤蒸気、香気などに
対するバリア性を有するバリア材は、防錆、防臭、昇華
防止に有効であり、食品、化粧品、農薬、医療などの多
くの分野において、菓子袋、カツオパック、レトルトパ
ウチ、炭酸ガス飲料容器などに利用されている。しかし
ながら、一般的に包装材に用いられる樹脂のガスバリア
性は低く、上記目的で使用されるバリア材としての性能
は充分ではなかった。
【0003】これに対して、樹脂のガスバリア性を改良
する目的で、樹脂中にフィラー、特に層状の無機化合物
を分散させる技術が広く知られており、例えば、特開昭
64−43554号公報には、エチレン−酢酸ビニル共
重合体けん化物(以下EVOHと略記することがある)
にマイカ、タルクを分散させる方法が記載されている。
しかしながら、このような方法で得られる樹脂組成物で
は、無機層状化合物の樹脂への分散性が劣り、樹脂の持
つ透明性を著しく悪化させるという欠点があった。
【0004】この欠点を克服すべく無機層状化合物とし
て、分散媒中、特に水中で膨潤またはへき開する性質を
有する層状珪酸塩などの無機層状化合物の使用がいろい
ろと試みられてきた。ポリアミドに無機層状化合物を分
散させる方法として、特開昭62−74957号公報な
どには、無機層状化合物をモノマーで膨潤させた後にモ
ノマーを重合する方法が示されている。また、EVOH
に無機層状化合物を分散させる方法として、特開平5−
39392号公報、特開平5−86241号公報、特開
平6−57066号公報には、無機層状化合物を水系溶
媒(水−メタノール溶媒)中にて膨潤・へき開させた状
態でEVOHに混合、分散させる方法が示されている。
しかしながら、ポリアミドのモノマーで無機層状化合物
を膨潤させた後に重合する方法は、無機層状化合物の分
散性を改善する点で極めて優れた方法である半面、該方
法では無機層状化合物を分散させることにより粘度が著
しく上昇するため、現実に生産可能なのは極めて低濃度
の無機層状化合物を含んだものに限られている。その
上、ポリアミド自体のバリア性がそれほど優れたもので
はないため、該方法で無機層状化合物を分散して得られ
るポリアミド系のバリア材は、EVOH単体と比べると
バリア性が劣っているなどの問題がある。また、無機層
状化合物を水系溶媒中にて膨潤・へき開させた状態でE
VOHに混合、分散させる方法についても、無機層状化
合物として従来用いられているモンモリロナイトなどを
使用した場合、十分な分散性を確保することは非常に難
しく、安定して性能を発揮することが難しいなどの問題
がある。
【0005】上記以外にも、特開平7−70357号公
報には、疎水性樹脂に特定の粒子径とアスペクト比を有
する無機層状化合物を複合する方法が示されているが、
疎水性樹脂自体のバリア性がそれほど優れたものではな
いため、該方法で得られる複合体のバリア性は依然十分
でないなどの問題がある。さらに、PVA系重合体など
の水溶性樹脂に無機層状化合物を複合することで樹脂の
バリア性を向上させる方法として、特定の表面組成を有
するフィルムに該複合物を塗布する方法(特開平9−1
11017号公報)、および特定の無機層状化合物を使
用する方法(特開2001−105543号公報、特開
2001−114966号公報、特開2001−214
020号公報)が提案されている。しかし、該方法では
樹脂のバリア性は向上するものの、高温での熱処理を行
わないとバリア性や耐水性、耐熱水性が不十分となる場
合があり、製造しやすく、かつ高度のガスバリア性を有
する材料が待望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、著しく優れたバリア性、とくに高湿環境下で
優れたバリア性、耐水性、耐熱水性および耐レトルト性
を示すPVA系重合体組成物を提供することを目的とす
る。また本発明は、該組成物の用途および製造法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、驚くべ
きことに、PVA系重合体、シラン変性された無機層状
化合物、および必要に応じてPVA系重合体の架橋剤か
らなるPVA系重合体組成物が極めて優れた性能を示
し、本発明の目的を達成することができることを見い出
し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明の第一の発明は、PVA
系重合体(A)、シラン変性無機層状化合物(B)、お
よび必要に応じてPVA系重合体(A)の架橋剤(C)
からなるPVA系重合体組成物である。
【0009】また本発明の第二の発明は、上記のPVA
系重合体組成物からなる層を少なくとも1層有するフィ
ルム、積層体および容器である。
【0010】さらに本発明の第三の発明は、上記のPV
A系重合体組成物の製造法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で用いられるシラン変性無機層状化合物
(B)とは、シランカップリング剤によって変性された
無機層状化合物を意味する。本発明においては、無機層
状化合物が有する水酸基をシランカップリング剤で封鎖
することにより、PVA系重合体および無機層状化合物
からなるPVA系重合体組成物のバリア性、耐水性、耐
熱水性および耐レトルト性などの物性向上が達成され
る。
【0012】無機層状化合物とは、原子が共有結合など
によって強く結合して密に配列したシートが、ファンデ
ルワールス力、静電気力などの弱い力によってほぼ平行
に積み重なった構造を持つ無機化合物である。かかる無
機層状化合物としては、例えば、雲母類、タルク、モン
モリロナイト、カオリナイト、バーミキュライトなどが
挙げられ、これら無機層状化合物には天然に産出される
ものおよび合成されるものの両方が存在する。
【0013】これら無機層状化合物の中には、有機溶媒
または無機溶媒に浸漬することで膨潤またはへき開する
性質を有するものが存在する(本明細書中では、これら
を一括して膨潤性無機化合物と称する)。ここで、膨潤
とは無機層状化合物を大過剰の有機溶媒または無機溶媒
に浸漬した際、X線回折法で見た層相互の間隔が広がる
ものを言い、へき開とは同様の操作を加えた場合、層相
互の間隔を示すピークが、小さくなるかまたは消滅する
ような挙動を示すものをいう。かかる膨潤性無機化合物
としては、バーミキュライト、モンモリロナイト、スメ
クタイト、層間にリチウム、ナトリウムなどがインター
カレートされた膨潤性合成フッ素雲母系鉱物などが挙げ
られる。
【0014】本発明において、シラン変性無機層状化合
物(B)の原料に用いられる無機層状化合物としては、
上記の天然に産出される無機層状化合物および合成され
た無機層状化合物のいずれもが好適に用いられる。本発
明のPVA系重合体組成物が優れたバリア性と耐水性を
発現する点から、シラン変性無機層状化合物(B)の原
料に用いられる無機層状化合物としては上記の膨潤性無
機化合物がより好適に用いられ、なかでも水に膨潤また
はへき開する性質(以下において水膨潤性と称する)を
有する膨潤性無機化合物が最も好適に用いられる。かか
る水膨潤性無機化合物としては、水膨潤性バーミキュラ
イト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性合成フッ素
雲母系鉱物、水膨潤性合成スメクタイトなどが挙げられ
る。
【0015】シラン変性無機層状化合物(B)の原料に
用いられるモンモリロナイトとしては、Si原子4個に
対しナトリウム原子を0.15個以上、好ましくは0.
2個以上、より好ましくは0.25個以上、最適には
0.3個以上の比率で含んでいるモンモリロナイトが好
ましい。かかるモンモリロナイトは例えば、原料のモン
モリロナイトをシュウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムな
どの水溶液中に分散し、分散液の上澄みのみを収集、乾
燥するなどの方法で得ることができる。
【0016】膨潤性フッ素雲母系鉱物は、代表的には、
タルクとナトリウムおよび/またはリチウムの珪フッ化
物もしくはフッ化物との混合物を加熱処理することによ
り得られる。その具体的方法としては、例えば特開平2
−149415号公報に開示された方法がある。すなわ
ち、タルクを出発物質として用い、これにナトリウムイ
オンおよび/またはリチウムイオンをインターカレーシ
ョンして膨潤性フッ素雲母系鉱物を得る方法である。こ
の方法ではタルクに珪フッ化物および/またはフッ化物
を混合し、磁性ルツボ内で約700〜1200℃で短時
間加熱処理することによってフッ素雲母系鉱物が得られ
る。本発明におけるシラン変性無機層状化合物(B)の
製造に用いられる膨潤性フッ素雲母系鉱物としては、特
にこの方法で製造されたものが好ましい。
【0017】本発明において、無機層状化合物を変性す
るシランカップリング剤としては、従来公知のものを使
用することが可能である。シランカップリング剤は一般
式RSiXで表され、Rはビニル基、グリシドキシ
基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基などの有機
官能性基であり、Xは主に塩素およびアルコキシ基であ
る。さらに、シラン変性無機層状化合物とPVA系重合
体とを反応させ、PVA系重合体中でのシラン変性無機
層状化合物の分散性を向上させる観点から、上記一般式
においてRとしてはグリシドキシ基およびメルカプト基
が、Xとしてはアルコキシ基が好ましい。具体的には、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
などが挙げられる。
【0018】シラン変性無機層状化合物(B)の製造に
あたり、無機層状化合物100重量部に対するシランカ
ップリング剤の割合は、0.01重量部以上100重量
部未満であり、1重量部以上100重量部未満が好適で
あり、5重量部以上80重量部以下がより好ましく、1
0重量部以上50重量部以下がさらに好ましい。無機層
状化合物に対するシランカップリング剤の割合が上記範
囲外の場合には、得られたシラン変性無機層状化合物と
PVA系重合体とからなる組成物を用いて皮膜を製造す
る際、良好な皮膜が得られない場合がある。
【0019】続いて、本発明のビニルアルコール系重合
体組成物を構成するPVA系重合体(A)について説明
する。本発明におけるPVA系重合体(A)とは、主鎖
の構成成分として酢酸ビニルに代表されるビニルエステ
ルの単位を40モル%以上含む重合体をけん化して得ら
れる重合体のことを言う。この場合、酢酸ビニル以外の
ビニルエステル、例えば、プロピオン酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニルなどのビニルエステルを酢酸ビニルの代わり
に用いても何ら差し支えない。
【0020】本発明におけるPVA系重合体(A)のけ
ん化度は、得られるPVA系重合体組成物のバリア性、
耐水性、耐熱水性および耐レトルト性などをより高度に
引き出せるという点から、けん化前に存在していたエス
テル基に対するけん化されたエステル基のモル比で表し
て、90%以上が好ましく、95%以上がより好まし
く、97%以上がさらに好ましく、98%以上が最も好
ましい。
【0021】PVA系重合体(A)の構成成分のうち、
ビニルエステル以外に60モル%以下の割合で用いられ
るコモノマー成分としては、例えば、エチレン、プロピ
レン、ブチレン、不飽和カルボン酸など分子中に二重結
合を有する各種化合物が例示できる。なかでも炭素数4
以下のα−オレフィンが好適であり、得られるPVA系
重合体組成物のバリア性、成形性、耐水性、耐熱水性な
どを改善し、優れた特性のPVA系重合体組成物を与え
ることからエチレンが特に好ましく用いられる。さら
に、広い湿度範囲で安定して良好なバリア性を示すこと
から、エチレンを0.5〜60モル%の範囲で共重合し
たPVA系重合体が好ましく、エチレンを3〜50モル
%の範囲で共重合したPVA系重合体がさらに好まし
く、水を主体とする溶媒に溶解させて用いることができ
ることから、エチレンを4.5〜15モル%の範囲で共
重合したPVA系重合体が最も好ましい。
【0022】本発明のPVA系重合体組成物において
は、本発明の目的を妨げない範囲で、他種ポリマー、例
えばポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレンとプロピレンのコポリマー、ポリス
チレン、ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート、
ポリエチレングリコールなどをPVA系重合体(A)に
配合することもできる。
【0023】本発明におけるPVA系重合体(A)の粘
度平均重合度(以下、重合度と略記する)は特に規定さ
れるものではないが、PVA系重合体(A)からなるP
VA系重合体組成物の機械的特性および該組成物を成形
する際の作業性などの面から、けん化後の重合度が20
0〜2400の範囲であることが好ましく、300〜2
000の範囲であることがより好ましく、400〜15
00の範囲であることが最も好ましい。
【0024】PVA系重合体(A)が水溶性の場合、そ
の重合度PはJIS−K6726に準じて測定される。
すなわち、PVA系重合体を再けん化し、精製した後、
30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により
求められる。 P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
【0025】本発明におけるPVA系重合体(A)は、
アルカリ金属を含有することが好適である。PVA系重
合体(A)100重量部に対するアルカリ金属の含有割
合は、アルカリ金属がナトリウム換算で0.0003〜
1重量部であり、0.0003〜0.8重量部が好まし
く、0.0005〜0.6重量部がより好ましく、0.
001〜0.5重量部が特に好ましい。ここでアルカリ
金属としては、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、
それらは主として酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸
の塩として存在する。また、該アルカリ金属には、PV
A系重合体(A)の添加剤中に存在するアルカリ金属も
含まれる。PVA系重合体(A)100重量部に対する
アルカリ金属の含有割合が0.0003重量部未満の場
合には、PVA系重合体(A)を水溶液として使用する
際に該PVA系重合体の水溶性が低下する傾向がある。
一方、1重量部を越える場合には、PVA系重合体の結
晶性が低下するためか、本発明のPVA系重合体組成物
の気体や水蒸気に対するバリア性や耐熱水性、耐レトル
ト性が低下する傾向がある。
【0026】さらに本発明においては、PVA系重合体
組成物のバリア性、耐水性、耐熱水性、耐レトルト性、
機械特性を向上するために、PVA系重合体(A)に対
し架橋剤(C)を配合することができる。かかる架橋剤
(C)としては、PVA系重合体に対して用いられる既
知の架橋剤のいずれもが好ましく用いられ、ホウ酸など
のホウ素化合物、ジルコニウム塩、テトラ乳酸チタンな
どのチタン化合物、エポキシ基および/またはイソシア
ネート基を複数有する化合物などが例示される。なかで
も本発明の効果を最大限に発現する点からは、ブロック
化されたイソシアネート基を複数有する化合物が好適で
ある。
【0027】PVA系重合体の架橋剤(C)の配合量に
ついては特に制限はないが、PVA系重合体(A)10
0重量部に対して、0.01〜100重量部が好適であ
り、0.1〜80重量部がより好ましく、0.3〜70
重量部がさらに好ましく、0.5〜50重量部が特に好
ましい。0.01重量部未満では本発明の目的とするP
VA系重合体組成物のバリア性、耐水性、耐熱水性およ
び耐レトルト性などの向上効果が十分ではない。100
重量部を超える場合には本発明のPVA系重合体組成物
に関して、靭性の低下が大きい、バリア性が低下する、
該組成物の成形体にピンホールが生成しやすくなるなど
の弊害が出てくるため好ましくない。
【0028】本発明のPVA系重合体組成物におけるシ
ラン変性無機層状化合物(B)の配合量については特に
制限はないが、PVA系重合体(A)100重量部に対
して、0.01〜100重量部が好適であり、0.5〜
80重量部がより好ましく、1〜70重量部がさらに好
ましく、3〜50重量部が特に好ましい。0.01重量
部未満では本発明の目的とするバリア性の向上効果が十
分ではなく、100重量部を越える場合には本発明のP
VA系重合体組成物に関して、靭性低下が大きい、該組
成物の溶液ないし分散液の粘度が大きくなり製膜が困難
になる、該組成物の成形体にピンホールが生成しやすく
なるなどの弊害が出てくるため好ましくない。
【0029】本発明のPVA系重合体組成物およびその
溶液ないし分散液の製造方法としては、PVA系重合体
中に無機化合物を分散させる公知の方法全てが適用可能
である。本発明では製造のしやすさから、無機層状化合
物をシランカップリング剤により変性してシラン変性無
機層状化合物(B)を製造し、得られたシラン変性無機
層状化合物(B)、PVA系重合体(A)および必要に
応じて架橋剤(C)を配合する製法が好ましい。例え
ば、ビニルエステル系単量体および必要に応じてその他
の単量体を重合した後、シラン変性無機層状化合物
(B)を加え、次いでけん化、濃縮、乾燥を行い、必要
に応じて架橋剤(C)を添加してPVA系重合体組成物
を得る方法、あるいは、原料を一括して押出機に供給
し、その剪断によってPVA系重合体(A)中にシラン
変性無機層状化合物(B)および必要に応じて架橋剤
(C)を分散させる方法、さらには、溶媒、PVA系重
合体(A)、シラン変性無機層状化合物(B)、および
必要に応じて架橋剤(C)を一括して仕込み、ホモジナ
イザーなどを用いて混練する方法などが挙げられる。
【0030】また、架橋剤(C)は、ビニルエステル系
重合体のけん化前段階およびけん化工程、ならびにPV
A系重合体の溶液化工程において該PVA系重合体また
はその溶液に添加されたり、シラン変性無機層状化合物
またはその分散液に添加されるなど、本発明のPVA系
重合体組成物の製造工程において任意の工程段階で用い
られる。さらに架橋剤(C)は、本発明のPVA系重合
体組成物を基材に塗布するために調製された該組成物の
溶液ないし分散液に添加されたり、成形後のフィルム、
積層体および容器に塗布、含浸されるなど、本発明のP
VA系重合体組成物からなるフィルム、積層体および容
器の製造工程において任意の工程段階で使用可能であ
る。
【0031】本発明のPVA系重合体組成物は、射出成
形などによりバリア性を有する成形体として用いること
ができるが、特にフィルム、積層体および容器として使
用することが最も好ましい。本発明のPVA系重合体組
成物を成形体として使用する場合、単層としての使用も
もちろん可能であるが、熱溶着などの機能付与、外部か
らの機械的作用に対する保護、および取り扱い性向上の
ために、別のフィルムおよび紙などの他種材料と積層す
ることが好ましく、また、意匠性向上のために印刷層を
設けることも好ましい。
【0032】かかるフィルム、積層体および容器の成形
方法としては、PVA系重合体組成物をフィルム、積層
体および容器に成形する公知の成形加工方法のいずれも
が適用可能である。最適な成形法はPVA系重合体
(A)の分子組成や、PVA系重合体組成物中のPVA
系重合体(A)およびシラン変性無機層状化合物(B)
の種類および組成、架橋剤(C)の種類および組成など
により多少異なるが、例えば、PVA系重合体組成物か
ら溶融押出し成形、ブロー成形、インフレーション成形
などの熱溶融成形法により、あるいは溶媒として水、有
機溶媒またはこれらの混合溶媒を用いたPVA系重合体
組成物の溶液ないし分散液から流延法、ディッピング
法、グラビアコート法、ブレードコート法、カレンダー
コート法、スプレーコート法などの成形方法により、本
発明のPVA系重合体組成物からなる単層のフィルムお
よび容器を得ることができる。
【0033】また、上記の成形方法により基材層および
本発明のPVA系重合体組成物からなる層を同時に形
成、積層させるか、あるいは基材層および本発明のPV
A系重合体組成物からなる層を逐次形成、積層させるこ
とにより、基材上に本発明のPVA系重合体組成物から
なる層を少なくとも1層有する多層フィルム、積層体お
よび容器を得ることができる。ここで、基材層および本
発明のPVA系重合体組成物からなる層を逐次形成、積
層させるに際して、基材層を先に形成させた後、基材層
の上に本発明のPVA系重合体組成物からなる層を積層
してもよく、本発明のPVA系重合体組成物からなる層
を形成させた後、その上に基材層を積層してもよく、あ
るいは基材層および本発明のPVA系重合体組成物から
なる層をそれぞれ別途形成させた後、それら各層を積層
してもよい。
【0034】本発明のフィルム、積層体および容器に用
いられる基材としては、特に制限はないが、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ
エチレンテレフタレート(以下PETと略記することが
ある)、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン
2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートお
よびそれらの共重合体などに代表されるポリエステル系
樹脂;ポリオキシメチレンに代表されるポリエーテル系
樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ポリメタキシ
レンアジパミドなどに代表されるポリアミド系樹脂;ポ
リスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリア
クリロニトリル、ポリ酢酸ビニルおよびそれらの共重合
体に代表されるポリオレフィン系樹脂以外のビニル系樹
脂;ポリカーボネート系樹脂;セロファン、アセテート
などに代表されるセルロース系樹脂;さらにはポリイミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、
ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテ
ルケトン、フッ素含有重合体など、各種樹脂の単体、共
重合体、混合体ないし複合体からなる成形物が挙げられ
る。
【0035】ここで、本発明のフィルム、積層体および
容器に用いられる基材としては、上記の各種樹脂の単
体、共重合体、混合体ないし複合体からなる未延伸フィ
ルム、または一軸方向もしくは直交する二軸方向に延伸
された配向フィルムが好適に用いられる。なかでも、耐
熱寸法安定性および機械的強度、ならびに成形性および
経済性などの面から二軸延伸されたポリプロピレン、ポ
リエステル、ポリアミドなどのフィルムが好適であり、
さらに透明性、耐熱性および機械的強度の点から、ポリ
エチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル系
フィルムが特に好ましい。
【0036】上記フィルムの厚みは特に限定されない
が、通常は1〜250μmであり、包装材料としては3
〜50μmであることが特に好ましい。また、その基材
フィルムは単体であっても複合された多層フィルムであ
ってもよく、多層フィルムにおける複合方法およびその
層数などは任意である。
【0037】さらに、本発明の単層または多層フィルム
は、延伸操作を加えることにより、そのバリア性、耐熱
水性、耐レトルト性および機械的強度などの各種性能を
向上させることもできる。かかる延伸操作としては、例
えば、一軸延伸、逐次または同時2軸延伸などが挙げら
れる。かかる延伸操作における延伸倍率は、延伸前のフ
ィルム面積に対する延伸後のフィルム面積にして2〜1
5倍、より好ましくは7〜11倍が推奨される。
【0038】また、本発明の積層体には紙も包含され
る。本発明の積層体が紙である場合、基材に用いられる
原紙としては特に制限はなく、目的に応じて、一般に紙
とされている材料のいずれもが好ましく使用可能であ
る。本発明のPVA系重合体組成物からなる層の厚みが
薄くても高度のバリア性およびリサイクル性を示すこと
から、基材となる原紙としてグラシン紙およびセミグラ
シン紙を用いることが好ましい。また、かかる基材用原
紙の厚みにも特に制限はなく、必要に応じて0.1〜1
000μm、好ましくは1〜500μm、最適には3〜
300μmの範囲で適宜選択できる。
【0039】また、上記の紙の上に、従来、紙に積層し
て用いられていた各種素材をさらに積層し、加工紙とし
て用いることができる。例えば、上記の紙にヒートシー
ル性を付与したい場合にはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを、耐擦傷性を
付与したい場合には熱硬化性樹脂または2軸延伸PET
を、耐ピンホール性を付与したい場合にはポリアミドな
どを、また、水貼り性を付与するには水溶性高分子化合
物を積層することができる。また、特に高度の防湿性を
付与したい場合には、ポリプロピレンあるいは蒸着PE
Tなどを積層することが有効である。さらに、必要に応
じて上記の層を複数設けることも好ましく実施される。
【0040】上記の各種フィルムおよび積層体におい
て、本発明のPVA系重合体組成物からなる層の厚みは
特に制限されるものではないが、平均厚みで0.1〜1
00μmが好ましく、0.3〜50μmが好ましく、
0.5〜30μmが特に好ましい。0.1μm以下では
本発明のPVA系重合体組成物からなる層を有するフィ
ルムおよび積層体でもバリア性、耐レトルト性が不十分
となる場合があり、また100μmを越えると弾性率が
高くなり、フィルムおよび積層体としては取り扱い性が
不良となる。
【0041】本発明のフィルム、積層体および容器を形
成させるにあたり、基材上に本発明のPVA系重合体組
成物を積層させる場合には、基材へのコロナ処理その他
の表面活性化処理、あるいは公知のアンカー処理剤を用
いてアンカー処理を施すなど、基材への接着性を向上さ
せる公知の方法が適宜採用される。
【0042】また、本発明のPVA系重合体組成物およ
びその溶液ないし分散液がコーティング剤として使用さ
れる場合、コーティング時の乾燥、熱処理の条件は、塗
布厚み、装置などの条件にもよるが、通常70〜170
℃程度の範囲から選ぶことが好ましい。乾燥、熱処理は
一工程で行っても良いし、乾燥工程、熱処理工程を別々
の工程で行っても良い。別工程で行う場合、乾燥工程は
温度70〜90℃、熱処理工程は温度90〜170℃、
時間は各工程でそれぞれ5秒〜10分程度の範囲から選
ぶことが好ましい。
【0043】本発明の容器が、本発明のPVA系重合体
組成物からなる層を少なくとも1層有する紙を成形して
なる容器である場合、該紙製容器の最終形状は特に限定
されるものではなく、既存の各種形態、例えば、ゲーブ
ルトップ容器、ピロー袋、スタンディングパウチ、ペー
パードラム、箱、トレーなどが例示される。なお、この
場合、容器全体が本発明に示された紙を用いた容器であ
る必要はなく、内容物が目視できるようにするため、あ
るいは意匠性向上のためなど種々の理由で、その一部に
他の素材を用いても差し支えない。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるも
のではない。なお、文中の%は、特に断りがない限り重
量%を示し、各特性は下記の方法により測定した。ま
た、以下の実施例中の樹脂および無機層状化合物は特に
記載がない限り、80℃で12時間以上真空乾燥して使
用した。
【0045】[酸素透過度]MODERN CONTR
OLS INC.製酸素透過量測定装置MOCONOX
−TRAN2/20型を用い、20℃、85%RHの条
件でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じ
て測定した。なお、本発明において、フィルムの酸素透
過度は、単一の層からなるフィルムについて任意の膜厚
で測定した酸素透過量(ml/m・day・atm)
を、膜厚2μmでの酸素透過量に換算した値(ml・2
μm/m・day・atm)で表される。また、積層
紙の場合は、積層紙のままで測定した酸素透過量(ml
/m・day・atm)で表され、容器の場合には、
試料容器の形態のままで測定した、容器1個当りの酸素
透過量(ml/container・day・atm)で表され
る。
【0046】[ヘイズ]試料フィルムの一部を切り取
り、シリコンオイルを塗布して、村上色彩技術研究所製
HR−100を用い、ASTM D1003−6に従っ
てヘイズ値を測定した。
【0047】[耐水性試験]試料フィルムの一部を切り
取り、40℃の水中に24時間浸漬後に取り出し、PV
A系重合体組成物からなる面を手でこすった感触を以下
の5段階で評価した。 5(最良):PVA膜は試験前と同一の感触で、しっか
りしている。 4(良):PVA膜は比較的しっかりしているが、やや
ヌメリ感がある。 3(可):PVA膜は残っているが、ヌルヌルした感触
がある。 2(不良):PVA膜は一部残っている。 1(不可):PVA膜は完全に溶解している。
【0048】[耐熱水性試験、耐レトルト性試験]試料
フィルムの一部を切り取り、該フィルムのPVA系重合
体組成物を塗布した面にウレタン系アンカーコート剤
(武田薬品工業(株)製;タケラックA−385/タケ
ネートA−50)を塗布した後、ポリエチレンフィルム
(東セロ(株)製;膜厚20μm)を積層した。該フィ
ルムを用いてポリエチレンフィルム層が内側になるよう
にしてパウチ作成用の袋を作成した。これに水180g
/油20gの混合液を入れ、次いでポリエチレンフィル
ム層同士が接するようにして熱シールした後に、日阪製
作所製(RCS−40RTGN型)の加熱殺菌装置を用
いて処理した。処理温度条件は、耐熱水性試験の場合は
95℃、30分間加熱の熱水式とし、耐レトルト性試験
の場合は120℃、30分間加熱のスチーム式とした。
耐熱水性試験および耐レトルト性試験の結果を以下の5
段階の基準で評価した。 5(最良):形態を保持しており、白化は全く認められ
ない。 4(良):形態を保持しているが、僅かに白化してい
る。 3(可):形態を保持しているが、白化している。 2(不良):形態を保持せずかつ、白化している。 1(不可):溶解している。
【0049】実施例1 1)PVA系重合体溶液の調製 PVA系重合体(A)としてけん化度99.3モル%、
エチレン含量8モル%、重合度530、ナトリウム含有
量0.05%のエチレン含有PVA(PVA−1)を温
水に溶解し、濃度15%の溶液を調製した。これをPV
A系重合体溶液Aと称する。
【0050】2)シラン変性無機層状化合物分散液の調
製 無機層状化合物として天然モンモリロナイト(クニミネ
工業(株)製;クニピアF)3g、シランカップリング
剤としてγ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン(チッソ(株)製;サイラエースS510)0.9
gを合計で濃度3%になるよう水に分散し、家庭用ミキ
サーを用いて30分間攪拌し、シラン変性無機層状化合
物(B)の分散液を調製した。これをシラン変性無機層
状化合物分散液Bと称する。
【0051】3)コートフィルムの調製 PVA系重合体溶液A100重量部とシラン変性無機層
状化合物分散液B150重量部、水28重量部を混合
し、家庭用ミキサーを用いて30分間攪拌し、固形分濃
度7%のコート液を調製した。該コート液におけるPV
A系重合体(A)とシラン変性無機層状化合物(B)の
重量割合(A)/(B)は100/30であった。延伸
ポリプロピレンフィルム(東京セロハン紙(株)製;膜
厚20μm)のプライマー処理面にウレタン系アンカー
コート剤(東洋モートン(株)製;AD335A/CA
T10)を塗布したものの上に、バーコーターを用いて
該コート液を塗布し、70℃で5分間乾燥した後、13
0℃で2分間熱処理を行いコートフィルムを得た。該フ
ィルムのコート層の厚みは5.9μmであった。なお、
以下において延伸ポリプロピレンをOPPと略記する。
【0052】4)測定 上記で得たフィルムについて、酸素透過度を測定したと
ころ4.5ml・2μm/m・day・atm、内部
ヘイズは7.4%であった。
【0053】実施例2 PVA系重合体(A)をけん化度98.8モル%、エチ
レン含量6.5モル%、重合度1100、ナトリウム含
有量0.0020%のエチレン含有PVA(PVA−
2)に変更し、さらにシラン変性無機層状化合物(B)
の調製に際して無機層状化合物/シランカップリング剤
(サイラエースS510)の重量割合を100/50、
コート液におけるPVA系重合体(A)とシラン変性無
機層状化合物(B)の重量割合(A)/(B)を100
/20となるように変更した以外は実施例1と同様にし
てフィルムを作成し、実施例1と同様にして諸物性を測
定した。酸素透過度は6.8ml・2μm/m・da
y・atm、内部ヘイズは3.7%であった。
【0054】比較例1 実施例1でシラン変性無機層状化合物(B)の原料に使
用した無機層状化合物である天然モンモリロナイトをシ
ラン変性無機層状化合物(B)の代わりに用いた以外は
実施例1と同様にしてフィルムを作成し、実施例1と同
様の諸性能を測定した。酸素透過度は23ml・2μm
/m・day・atm、内部ヘイズは8.1%であっ
た。
【0055】比較例2 実施例2でシラン変性無機層状化合物(B)の原料に使
用した無機層状化合物である天然モンモリロナイトをシ
ラン変性無機層状化合物(B)の代わりに用いた以外は
実施例2と同様にしてフィルムを作成し、実施例1と同
様の諸性能を測定した。酸素透過度は35ml・2μm
/m・day・atm、内部ヘイズは3.7%であっ
た。シラン変性されていない無機層状化合物を用いた場
合(比較例1および比較例2)には、本発明のシラン変
性無機層状化合物を用いたもの(実施例1および実施例
2)に比べて大きく酸素バリア性が低下することがわか
る。
【0056】実施例3 実施例1で用いたコート液を作成する際に、架橋剤
(C)の水溶液としてブロック化イソシアネート(第一
工業製薬(株)製;BN−04)の濃度30%水溶液を
調製して、PVA系重合体溶液A100重量部、シラン
変性無機層状化合物分散液B150重量部、該架橋剤水
溶液10重量部および水61重量部を混合し、家庭用ミ
キサーを用いて30分間攪拌し、固形分濃度7%のコー
ト液を調製した。コート液におけるPVA系重合体
(A)と架橋剤(C)の重量割合(A)/(C)は10
0/20であった。該コート液を使用して実施例1と同
様にしてフィルムを作成し、諸性能を測定した。酸素透
過度はl.8ml・2μm/m・day・atm、内
部ヘイズは7.5%、耐水性試験、耐熱水性試験および
耐レトルト性試験の結果は何れも最良の段階5であった
【0057】実施例4 PVA系重合体(A)としてけん化度99.7モル%、
エチレン含量3.5モル%、重合度1750、ナトリウ
ム含有量0.005%のエチレン含有PVA(PVA−
3)を用い、シラン変性無機層状化合物(B)として表
1に示す膨潤性フッ素雲母系鉱物(コープケミカル
(株)製;ソマシフ ME−100)のシラン変性物を
使用し、PVA系重合体(A)、シラン変性無機層状化
合物(B)および架橋剤(C)の重量割合を表1に示す
ように変更した以外は実施例3と同様の試験を行った。
測定結果を表2に示す。
【0058】実施例5 PVA系重合体(A)としてけん化度97.7モル%、
エチレン含量12モル%、重合度380、ナトリウム含
有量0.14%のエチレン含有PVA(PVA−4)を
用い、PVA系重合体(A)に対するシラン変性無機層
状化合物(B)および架橋剤(C)の重量割合を表1に
示すように変更した以外は実施例3と同様の試験を行っ
た。測定結果を表2に示す。
【0059】実施例6 PVA系重合体(A)溶液としてけん化度99.5モル
%、エチレン含量44モル%、ナトリウム含有量0.0
03%のエチレン含有PVA((株)クラレ製;エバー
ルEP−E105)(PVA−5)を水/n−プロパノ
ール混合溶媒(n−プロパノール 70%)に溶解させ
た溶液を用い、シラン変性無機層状化合物(B)の分散
液として水/n−プロパノール混合溶媒(n−プロパノ
ール 70%)を分散媒とする表1に示す合成スメクタ
イト(クニミネ工業(株)製;スメクトンSA)のシラ
ン変性物の分散液を用い、架橋剤(C)の分散液として
水/n−プロパノール混合溶媒(n−プロパノール 7
0%)を分散媒とするブロック化イソシアネート(BN
−04)の分散液を用い、PVA系重合体(A)、シラ
ン変性無機層状化合物(B)および架橋剤(C)の重量
割合を表1に示す条件に変更した以外は実施例3と同様
の試験を行った。測定結果を表2に示す。
【0060】実施例7 PVA系重合体(A)としてけん化度98.9モル%、
重合度550、ナトリウム含有量0.05%のPVA
(PVA−6)を用い、シラン変性無機層状化合物
(B)として表1に示す天然モンモリロナイトのシラン
変性物を用い、架橋剤(C)として乳酸チタン((株)
マツモト交商製;TC−310)を用い、PVA系重合
体(A)、シラン変性無機層状化合物(B)および架橋
剤(C)の重量割合を表1に示す条件に変更した以外は
実施例3と同様の試験を行った。測定結果を表2に示
す。
【0061】比較例3 実施例3でシラン変性無機層状化合物(B)の原料に使
用した無機層状化合物である天然モンモリロナイトをシ
ラン変性無機層状化合物(B)の代わりに用いた以外は
実施例3と同様にしてフィルムを作成し、実施例3と同
様の諸性能を測定した。測定結果を表2に示す。
【0062】比較例4 実施例7でシラン変性無機層状化合物(B)の原料に使
用した無機層状化合物である天然モンモリロナイトをシ
ラン変性無機層状化合物(B)の代わりに用いた以外は
実施例7と同様にしてフィルムを作成し、実施例7と同
様の諸性能を測定した。測定結果を表2に示す。シラン
変性されていない無機層状化合物を用いた場合(比較例
3および比較例4)には、本発明のシラン変性無機層状
化合物を用いたもの(実施例3および実施例7)に比べ
て酸素バリア性、耐熱水性および耐レトルト性が大きく
低下することがわかる。
【0063】比較例5 実施例4でシラン変性無機層状化合物(B)の原料に使
用した無機層状化合物である膨潤性フッ素雲母系鉱物
(ソマシフ ME−100)の代わりにシリカ(水沢化
学製;ミズカシル)を用いた以外は実施例4と同様の試
験を行った。測定結果を表2に示す。シラン変性無機層
状化合物を使用した実施例4のフィルムと比較して、無
機非層状化合物を使用した比較例5のフィルムは酸素バ
リア性、耐熱水性および耐レトルト性が大幅に低下し
た。
【0064】実施例8 PVA系重合体(A)としてエチレン含有PVA(PV
A−1)15重量部、無機層状化合物として天然モンモ
リロナイト(クニピアF)3.5重量部、シランカップ
リング剤としてγ−グリシジルオキシプロピルトリメト
キシシラン(サイラエースS510)1重量部、および
水299重量部を混合し、加熱下に攪拌してエチレン含
有PVAを溶解し、均一な溶液を作成した。続いて、該
溶液318.5重量部にブロック化イソシアネート(B
N−04)3重量部を加えた後に、家庭用ミキサーを用
いて30分間攪拌し、固形分濃度7%のコート液を作成
した。該コート液を使用して実施例3と同様にしてフィ
ルムを作成し、実施例3と同様にして諸性能を測定し
た。測定結果を表2に示す。
【0065】実施例9 NBK80部とLBK20部からなるカナディアン・ス
タンダード・フリーネスのパルプスラリー230mlに
対し、絶乾状態のパルプを基準に、サイズ剤としてロジ
ンサイズ(荒川化学工業製;サイズパインE(TM))
0.4%、硫酸バンド2.4%を添加し定着させた後、
長網抄紙機で抄紙し、坪量200g/m 、水分12%
の原紙を得た。該原紙の片面上に実施例1で用いたコー
ト液をバーコーターを用いてコートし、70℃で5分間
乾燥させた後、130℃で2分間熱処理を行い、コート
紙を得た。この時、コート液の塗布量は固形分基準で
4.2g/mであった。この積層紙の酸素透過度は
2.7ml/m・day・atmであった。
【0066】実施例10 コート液を実施例3で用いたコート液に変更する以外は
実施例9と同様にして積層紙を得た。この積層紙の酸素
透過度は1.0ml/m・day・atmであった。
【0067】比較例6および比較例7 コート液を比較例1および比較例3で使用したコート液
に変更した以外は、実施例9および実施例10と同様に
してコート紙を作成し、コート液の塗布量4.2g/m
(固形分基準)の積層紙を得た。実施例9と同様にし
て測定した比較例6および比較例7の積層紙の酸素透過
度は13ml/m・day・atmおよび10ml/
・day・atmであり、実施例9および実施例1
0の積層紙に比べて酸素バリア性は大きく劣るものであ
った。
【0068】実施例11および実施例12 実施例9および実施例10で得られた積層紙のコート面
上に、イソシアネート系接着剤を用いて厚さ60μmの
高密度ポリエチレン(以下HDPEと略記する)フィル
ムを積層した。該紙の4辺をヒートシールにより接着
し、HDPE層が最内層である30×30cmの長方形
の容器を得た。これらの容器について酸素透過度を測定
したところ2.9ml/container・day・atmお
よび1.2ml/container・day・atmであっ
た。
【0069】比較例8および比較例9 積層紙として比較例6および比較例7で得られた積層紙
を用いた以外は、実施例11および実施例12と同様に
して容器を作成した。該容器の酸素透過度はそれぞれ1
6ml/container・day・atmおよび14ml/c
ontainer・day・atmであり、実施例11および実
施例12の容器に比べて酸素バリア性は大きく劣るもの
であった。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、高湿環境下におけるバ
リア性、耐水性、耐熱水性および耐レトルト性に優れた
PVA系重合体組成物を得ることができる。また、本発
明のPVA系重合体組成物からなるフィルム、積層体お
よび容器は、食品、化粧品、農薬、医療などの多くの分
野においてバリア性、耐水性、耐熱水性および耐レトル
ト性に優れた包装材および容器として好適に使用するこ
とができ、従来品に比べはるかに長期にわたり内容物の
変質を防止することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 9/06 C08K 9/06 // C08G 18/80 C08G 18/80 (72)発明者 宮保 淳 京都府下京区中堂寺町17番地 株式会社関 西新技術研究所内 Fターム(参考) 3E086 AB01 AD01 AD02 AD05 BA04 BA12 BA15 BB01 BB71 CA01 CA11 4F071 AA29 AA53 AB26 AF53 AH04 BA01 BB06 BB07 BC01 4F100 AC00A AC03A AC05A AK01B AK21A AT00B BA02 CA23A DE02A EH462 EJ862 GB15 GB16 JB07 JB10A JD03 JJ03 JN01 4J002 BE021 DJ006 DJ056 FB096 GG02 4J034 BA03 DP17 HD00 MA04 RA06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコール系重合体(A)および
    シラン変性無機層状化合物(B)からなるビニルアルコ
    ール系重合体組成物。
  2. 【請求項2】 ビニルアルコール系重合体(A)、シラ
    ン変性無機層状化合物(B)、およびビニルアルコール
    系重合体(A)の架橋剤(C)からなるビニルアルコー
    ル系重合体組成物。
  3. 【請求項3】 シラン変性無機層状化合物(B)が膨潤
    性モンモリロナイト、膨潤性合成スメクタイトおよび膨
    潤性フッ素雲母系鉱物から選ばれる1種以上の無機層状
    化合物をシランカップリング剤により変性したものであ
    る請求項1または2に記載のビニルアルコール系重合体
    組成物。
  4. 【請求項4】 ビニルアルコール系重合体(A)が炭素
    数4以下のα−オレフィン単位を0.5〜60モル%含
    有するビニルアルコール系重合体である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載のビニルアルコール系重合体組成
    物。
  5. 【請求項5】 ビニルアルコール系重合体(A)の架橋
    剤(C)がブロック化イソシアネート化合物である請求
    項1〜4のいずれか1項に記載のビニルアルコール系重
    合体組成物。
  6. 【請求項6】 シラン変性無機層状化合物(B)が、無
    機層状化合物100重量部に対して0.01重量部以上
    かつ100重量部未満のシランカップリング剤を反応さ
    せて得られるシラン変性無機層状化合物である請求項1
    〜5のいずれか1項に記載のビニルアルコール系重合体
    組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のビ
    ニルアルコール系重合体組成物からなる層を少なくとも
    1層有するフィルム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のビ
    ニルアルコール系重合体組成物からなる層を少なくとも
    1層有する積層体。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のビ
    ニルアルコール系重合体組成物からなる層を少なくとも
    1層有する容器。
  10. 【請求項10】 膨潤性モンモリロナイト、膨潤性合成
    スメクタイトおよび膨潤性フッ素雲母系鉱物から選ばれ
    る1種以上の無機層状化合物100重量部に対して0.
    01重量部以上かつ100重量部未満のシランカップリ
    ング剤を反応させてシラン変性無機層状化合物(B)を
    製造し、得られたシラン変性無機層状化合物(B)、ビ
    ニルアルコール系重合体(A)およびビニルアルコール
    系重合体(A)の架橋剤(C)を配合することを特徴と
    するビニルアルコール系重合体組成物の製造法。
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