JPH11189825A - 磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法Info
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- JPH11189825A JPH11189825A JP9365991A JP36599197A JPH11189825A JP H11189825 A JPH11189825 A JP H11189825A JP 9365991 A JP9365991 A JP 9365991A JP 36599197 A JP36599197 A JP 36599197A JP H11189825 A JPH11189825 A JP H11189825A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 コストアップを伴うことなく、磁性焼鈍後の
鉄損の低い無方向性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.5%
未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
(0を含む)を含み、残部が実質的にFeからなるスラブ
を熱間圧延し、必要により熱延板焼鈍を行なった後、一
回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ二回以上の
冷間圧延により、所定の板厚とし、H2濃度10%以上の
雰囲気中で、均熱時間30秒〜5分の最終連続焼鈍を実施
することを特徴とする磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性
電磁鋼板の製造方法。
鉄損の低い無方向性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.5%
未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
(0を含む)を含み、残部が実質的にFeからなるスラブ
を熱間圧延し、必要により熱延板焼鈍を行なった後、一
回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ二回以上の
冷間圧延により、所定の板厚とし、H2濃度10%以上の
雰囲気中で、均熱時間30秒〜5分の最終連続焼鈍を実施
することを特徴とする磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性
電磁鋼板の製造方法。
Description
【0001】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板はその製造方法により
フルプロセス材とセミプロセス材に分けられる。このう
ち、フルプロセス材は鉄鋼メーカー側の仕上焼鈍により
所定の磁気特性を得るものであり、一方、セミプロセス
材は、需要家において打抜き加工後に歪取り焼鈍を行う
ことにより、所定の磁気特性を得るものである。セミプ
ロセス材においては、歪取り焼鈍時に、加工歪みの除去
と同時に結晶粒も成長することから、より一層の鉄損低
減が可能となる。このため歪取り焼鈍は「磁性焼鈍」と
も呼ばれている。
フルプロセス材とセミプロセス材に分けられる。このう
ち、フルプロセス材は鉄鋼メーカー側の仕上焼鈍により
所定の磁気特性を得るものであり、一方、セミプロセス
材は、需要家において打抜き加工後に歪取り焼鈍を行う
ことにより、所定の磁気特性を得るものである。セミプ
ロセス材においては、歪取り焼鈍時に、加工歪みの除去
と同時に結晶粒も成長することから、より一層の鉄損低
減が可能となる。このため歪取り焼鈍は「磁性焼鈍」と
も呼ばれている。
【0002】従来、この磁性焼鈍時の粒成長性を良好に
するために、介在物、析出物の形態制御が行われてい
る。
するために、介在物、析出物の形態制御が行われてい
る。
【0003】例えば、特開昭63−195217号公報
にはSi=0.1〜1.0%、sol.Al=0.001〜0.005%の鋼板に
おいて鋼中のSiO2、MnO、Al2O3の3種の介在物の
総重量に対するMnOの重量割合を15%以下とすることに
より介在物の形態を制御し磁性焼鈍時の粒成長性を良好
にする技術が開示されている。
にはSi=0.1〜1.0%、sol.Al=0.001〜0.005%の鋼板に
おいて鋼中のSiO2、MnO、Al2O3の3種の介在物の
総重量に対するMnOの重量割合を15%以下とすることに
より介在物の形態を制御し磁性焼鈍時の粒成長性を良好
にする技術が開示されている。
【0004】また、特開平8−3966号公報には、Si
=1.0%以下、Al=0.2〜1.5%においてREMを2〜80p
pm 添加することにより磁性焼鈍時の粒成長性を向上さ
せる技術が開示されている。
=1.0%以下、Al=0.2〜1.5%においてREMを2〜80p
pm 添加することにより磁性焼鈍時の粒成長性を向上さ
せる技術が開示されている。
【0005】さらに、特開平5−234736号公報に
は、Si=0.1〜2.0%、Al=0.1〜1.0%、S<0.003%、Sn
=0.01〜0.03%の鋼板において鋼中のSiO2、MnO、Al2
O3の3種の介在物の総重量に対するMnOの重量割合を1
0%以下とすることにより介在物の形態を制御し、熱延
加熱温度を900〜1100℃、熱延後のバッチ焼鈍を700〜90
0℃で実施することにより粒成長性を良好にする技術が
開示されている。
は、Si=0.1〜2.0%、Al=0.1〜1.0%、S<0.003%、Sn
=0.01〜0.03%の鋼板において鋼中のSiO2、MnO、Al2
O3の3種の介在物の総重量に対するMnOの重量割合を1
0%以下とすることにより介在物の形態を制御し、熱延
加熱温度を900〜1100℃、熱延後のバッチ焼鈍を700〜90
0℃で実施することにより粒成長性を良好にする技術が
開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
の方法には、以下に記載するような問題点がある。即
ち、特開昭63−195217号公報に記載されている
方法では、磁性焼鈍後の鉄損は4.44〜4.75W/kgであり
満足できるものではない。また、特開平8−3966号
公報に開示されている方法では、REMを使用するため
コストアップとなるという問題点がある。さらに、特開
平5−234736号公報に開示されている方法では、
バッチ焼鈍が必須であるためコストアップとなることは
避けられない。
の方法には、以下に記載するような問題点がある。即
ち、特開昭63−195217号公報に記載されている
方法では、磁性焼鈍後の鉄損は4.44〜4.75W/kgであり
満足できるものではない。また、特開平8−3966号
公報に開示されている方法では、REMを使用するため
コストアップとなるという問題点がある。さらに、特開
平5−234736号公報に開示されている方法では、
バッチ焼鈍が必須であるためコストアップとなることは
避けられない。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みなされたも
のであり、コストアップを伴うことなく、磁性焼鈍後の
鉄損の低い無方向性電磁鋼板を提供することを目的とす
るものである。
のであり、コストアップを伴うことなく、磁性焼鈍後の
鉄損の低い無方向性電磁鋼板を提供することを目的とす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、Sを10
ppm 以下の極微量に制御しても鉄損が下がらないのは、
微量S領域において顕著な窒化層が表面領域に形成され
るためであるという新しい知見に基づき、最終連続焼鈍
時の焼鈍雰囲気と均熱時間を制御することによって窒化
物の形成を抑制し、鉄損を低下させるものである。
ppm 以下の極微量に制御しても鉄損が下がらないのは、
微量S領域において顕著な窒化層が表面領域に形成され
るためであるという新しい知見に基づき、最終連続焼鈍
時の焼鈍雰囲気と均熱時間を制御することによって窒化
物の形成を抑制し、鉄損を低下させるものである。
【0009】即ち、前記課題は、重量%で、C:0.005
%以下、Si:1.5%未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%
以下、N:0.005%以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0
%、S:0.001%以下(0を含む)を含み、残部が実質
的にFeからなるスラブを熱間圧延し、必要により熱延板
焼鈍を行なった後、一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍
をはさんだ二回以上の冷間圧延により所定の板厚とし、
H2濃度10%以上の雰囲気中で、均熱時間30秒〜5分の
最終連続焼鈍を実施することを特徴とする磁性焼鈍後の
鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法(請求項1)に
よって解決される。
%以下、Si:1.5%未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%
以下、N:0.005%以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0
%、S:0.001%以下(0を含む)を含み、残部が実質
的にFeからなるスラブを熱間圧延し、必要により熱延板
焼鈍を行なった後、一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍
をはさんだ二回以上の冷間圧延により所定の板厚とし、
H2濃度10%以上の雰囲気中で、均熱時間30秒〜5分の
最終連続焼鈍を実施することを特徴とする磁性焼鈍後の
鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法(請求項1)に
よって解決される。
【0010】また、前記課題は、重量%で、C:0.005
%以下、Si:1.5%未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%
以下、N:0.005%以下(0を含む)、Al:0.1 〜1.0
%、S:0.001%以下(0を含む)、Sb+1/2Sn:0.001
〜0.05%を含み残部が実質的にFeからなるスラブを熱間
圧延し、必要により熱延板焼鈍を行なった後、一回の冷
間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧
延により所定の板厚とし、H2濃度10%以上の雰囲気中
で、均熱時間30秒〜5分の最終連続焼鈍を実施すること
を特徴とする磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板
の製造方法(請求項2)によっても解決される。
%以下、Si:1.5%未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%
以下、N:0.005%以下(0を含む)、Al:0.1 〜1.0
%、S:0.001%以下(0を含む)、Sb+1/2Sn:0.001
〜0.05%を含み残部が実質的にFeからなるスラブを熱間
圧延し、必要により熱延板焼鈍を行なった後、一回の冷
間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧
延により所定の板厚とし、H2濃度10%以上の雰囲気中
で、均熱時間30秒〜5分の最終連続焼鈍を実施すること
を特徴とする磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板
の製造方法(請求項2)によっても解決される。
【0011】ここに、「残部が実質的にFeである」と
は、本発明の作用効果を無くさない範囲で他の微量元素
を含むものが権利範囲に入ることを意味する。なお、以
下の説明において、鋼成分の%は全て重量%を意味し、
ppmも重量ppmを意味する。
は、本発明の作用効果を無くさない範囲で他の微量元素
を含むものが権利範囲に入ることを意味する。なお、以
下の説明において、鋼成分の%は全て重量%を意味し、
ppmも重量ppmを意味する。
【0012】(発明に至る経緯とS含有量、最終焼鈍条
件の限定理由)以下、本発明に至った経緯について詳細
に説明する。最初に、鉄損に及ぼすS量の影響を調査す
るため、C:0.0020%、Si:0.25%、Mn:0.55%、P:
0.11%、Al:0.25%、N:0.0018%、Sb:tr.とし、S
量をtr.〜15ppm の範囲で変化させた鋼をラボ溶解し、
熱延後、酸洗を行った。引き続きこの熱延板を板厚0.5m
mまで冷間圧延し、3種類の焼鈍雰囲気−均熱時間の組
み合わせで750 ℃の仕上焼鈍を施し、さらに100%N2中
で750℃×2hrの磁性焼鈍を行った。
件の限定理由)以下、本発明に至った経緯について詳細
に説明する。最初に、鉄損に及ぼすS量の影響を調査す
るため、C:0.0020%、Si:0.25%、Mn:0.55%、P:
0.11%、Al:0.25%、N:0.0018%、Sb:tr.とし、S
量をtr.〜15ppm の範囲で変化させた鋼をラボ溶解し、
熱延後、酸洗を行った。引き続きこの熱延板を板厚0.5m
mまで冷間圧延し、3種類の焼鈍雰囲気−均熱時間の組
み合わせで750 ℃の仕上焼鈍を施し、さらに100%N2中
で750℃×2hrの磁性焼鈍を行った。
【0013】図1はこのようにして得られたサンプルの
S量と磁性焼鈍後の鉄損W15/50の関係を示したもので
ある。ここで、磁気測定は25cmエプスタイン試験片を用
いて行った。
S量と磁性焼鈍後の鉄損W15/50の関係を示したもので
ある。ここで、磁気測定は25cmエプスタイン試験片を用
いて行った。
【0014】図1より、S≦10ppm となった場合に鉄損
W15/50は4.2W/kg以下となり、鉄損が大幅に低下する
ことがわかる。これはS量低減によりMnSの析出量が少
なくなり、フェライト粒の粒成長性が大幅に向上したた
めである。以上のことより本発明に於いては、S量の範
囲を10ppm以下に限定する。
W15/50は4.2W/kg以下となり、鉄損が大幅に低下する
ことがわかる。これはS量低減によりMnSの析出量が少
なくなり、フェライト粒の粒成長性が大幅に向上したた
めである。以上のことより本発明に於いては、S量の範
囲を10ppm以下に限定する。
【0015】しかし、S量が10ppm以下での鉄損の低下
レベルは、焼鈍雰囲気−均熱時間の組み合わせによって
異なることがわかった。すなわち、図1に示すように、
15%H2−1分均熱の場合には、5%H2−1分均熱および
15%H2−20秒均熱の場合に比して、S量が10ppm以下で
の鉄損の低下が著しい。
レベルは、焼鈍雰囲気−均熱時間の組み合わせによって
異なることがわかった。すなわち、図1に示すように、
15%H2−1分均熱の場合には、5%H2−1分均熱および
15%H2−20秒均熱の場合に比して、S量が10ppm以下で
の鉄損の低下が著しい。
【0016】本発明者らは、この原因を調べるため、光
学顕微鏡にて組織観察を行った。その結果、5%H2−1
分均熱および15%H2−20秒均熱の場合には、鋼板表層
に顕著な窒化層が認められた。これに対し、15%H2−1
分均熱の場合には窒化層は軽微となっていた。この窒化
層は100%N2雰囲気で行った磁性焼鈍時に生じたものと
考えられる。
学顕微鏡にて組織観察を行った。その結果、5%H2−1
分均熱および15%H2−20秒均熱の場合には、鋼板表層
に顕著な窒化層が認められた。これに対し、15%H2−1
分均熱の場合には窒化層は軽微となっていた。この窒化
層は100%N2雰囲気で行った磁性焼鈍時に生じたものと
考えられる。
【0017】S量により窒化反応が異なった原因に関し
ては次のように考えられる。すなわち、Sは表面および
粒界に濃化しやすい元素であることから、S>10ppm の
領域では、Sが鋼板表面へ濃化し、磁性焼鈍時の窒素の
吸着を抑制した。一方、S≦10ppm の領域ではSによる
窒素吸着の抑制効果が低下したため、焼鈍雰囲気−均熱
時間の組み合わせによる窒素吸着抑制能力の差が、鉄損
レベルに反映された。
ては次のように考えられる。すなわち、Sは表面および
粒界に濃化しやすい元素であることから、S>10ppm の
領域では、Sが鋼板表面へ濃化し、磁性焼鈍時の窒素の
吸着を抑制した。一方、S≦10ppm の領域ではSによる
窒素吸着の抑制効果が低下したため、焼鈍雰囲気−均熱
時間の組み合わせによる窒素吸着抑制能力の差が、鉄損
レベルに反映された。
【0018】次に焼鈍雰囲気−均熱時間の最適な組み合
わせ範囲を調査するため、C:0.0021%、Si:0.25%、
Mn:0.52%、P:0.100%、Al:0.26%、S:0.0003
%、N:0.0015%とした鋼およびこれと同様の化学組成
に、Sb:0.0040%を添加した鋼をラボ溶解し、熱延後、
酸洗を行った。引き続きこの熱延板を板厚0.5 mmまで冷
間圧延し、H2濃度、均熱時間の組み合わせを種々変
え、750 ℃の仕上焼鈍を施し、さらに100%N2中で750
℃×2hrの磁性焼鈍を行った。
わせ範囲を調査するため、C:0.0021%、Si:0.25%、
Mn:0.52%、P:0.100%、Al:0.26%、S:0.0003
%、N:0.0015%とした鋼およびこれと同様の化学組成
に、Sb:0.0040%を添加した鋼をラボ溶解し、熱延後、
酸洗を行った。引き続きこの熱延板を板厚0.5 mmまで冷
間圧延し、H2濃度、均熱時間の組み合わせを種々変
え、750 ℃の仕上焼鈍を施し、さらに100%N2中で750
℃×2hrの磁性焼鈍を行った。
【0019】図2はこのようにして得られたサンプルの
H2濃度毎の仕上焼鈍均熱時間と磁性焼鈍後の鉄損W
15/50の関係を示したものである。図2より、Sbフリー鋼、
Sb添加鋼とも、H2濃度10%以上でかつ仕上焼鈍時の均
熱時間が30秒〜5分の領域で鉄損が低下し、W15/50≦
4.0W/kgが達成されることがわかる。また、Sb添加と
最適な焼鈍雰囲気−均熱時間を組み合わせる事により、
Sbフリーよりも更に、鉄損を低下させる事が可能であるこ
ともわかる。
H2濃度毎の仕上焼鈍均熱時間と磁性焼鈍後の鉄損W
15/50の関係を示したものである。図2より、Sbフリー鋼、
Sb添加鋼とも、H2濃度10%以上でかつ仕上焼鈍時の均
熱時間が30秒〜5分の領域で鉄損が低下し、W15/50≦
4.0W/kgが達成されることがわかる。また、Sb添加と
最適な焼鈍雰囲気−均熱時間を組み合わせる事により、
Sbフリーよりも更に、鉄損を低下させる事が可能であるこ
ともわかる。
【0020】(その他の成分の限定理由)次に、その他
の成分の限定理由について説明する。 C: Cは磁気時効の問題があるため0.005%以下とす
る。 Si: Siは鋼板の固有抵抗を上げるために有効な元素で
あるが、1.5%以上となると飽和磁束密度の低下に伴い
磁束密度が低下するため1.5%未満とする。 Mn: Mnは熱間圧延時の赤熱脆性を防止するために、0.
05%以上必要であるが、1.0%以上になると磁束密度を
低下させるので0.05〜1.0%とする。 P: Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために必要な元
素であるが、0.2%を超えて添加すると鋼板が脆化する
ため0.2%以下とする。
の成分の限定理由について説明する。 C: Cは磁気時効の問題があるため0.005%以下とす
る。 Si: Siは鋼板の固有抵抗を上げるために有効な元素で
あるが、1.5%以上となると飽和磁束密度の低下に伴い
磁束密度が低下するため1.5%未満とする。 Mn: Mnは熱間圧延時の赤熱脆性を防止するために、0.
05%以上必要であるが、1.0%以上になると磁束密度を
低下させるので0.05〜1.0%とする。 P: Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために必要な元
素であるが、0.2%を超えて添加すると鋼板が脆化する
ため0.2%以下とする。
【0021】N: Nは、含有量が多い場合にはAlNの
析出量が多くなり、鉄損を増大させるため0.005%以下
とする。 Al: AlはSiと同様、固有抵抗を上げるために有効な元
素であるが、1.0%を超えると飽和磁束密度の低下に伴
い磁束密度が低下するため上限を1.0%とする。 また、0.1%未満の場合にはAlNが微細化し粒成長性が
低下するため下限を0.1%とする。 Sb+1/2Sn: Sb、Snは磁性焼鈍時の窒化を軽減するた
めに有効な元素であり、同一の働きをするが、Snの効果
はSbに比して1/2である。よって、含有量をSb+1/2Snで
規定する。磁性焼鈍時の窒化を軽減するためには、Sb+
1/2Snは0.001%以上含有させることが好ましいが、コス
トの問題から上限を500ppmとする。なお、Sb+1/2Snが
この範囲であれば、一方のみを含んでいてもよい。
析出量が多くなり、鉄損を増大させるため0.005%以下
とする。 Al: AlはSiと同様、固有抵抗を上げるために有効な元
素であるが、1.0%を超えると飽和磁束密度の低下に伴
い磁束密度が低下するため上限を1.0%とする。 また、0.1%未満の場合にはAlNが微細化し粒成長性が
低下するため下限を0.1%とする。 Sb+1/2Sn: Sb、Snは磁性焼鈍時の窒化を軽減するた
めに有効な元素であり、同一の働きをするが、Snの効果
はSbに比して1/2である。よって、含有量をSb+1/2Snで
規定する。磁性焼鈍時の窒化を軽減するためには、Sb+
1/2Snは0.001%以上含有させることが好ましいが、コス
トの問題から上限を500ppmとする。なお、Sb+1/2Snが
この範囲であれば、一方のみを含んでいてもよい。
【0022】(製造方法)本発明においては、S及び規
定成分が所定の範囲内であれば、製造方法は、無方向性
電磁鋼板を製造する通常の方法でかまわない。すなわ
ち、転炉で吹練した溶鋼を脱ガス処理して所定の成分に
調整し、引き続き鋳造、熱間圧延を行う。熱間圧延時の
仕上焼鈍温度、巻取り温度は特に規定する必要はなく、
通常の無方向性電磁鋼板を製造する範囲の温度でかまわ
ない。また、熱延後の熱延板焼鈍は行っても良いが必須
ではない。次いで一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍を
はさんだ2回以上の冷間圧延により所定の板厚とした後
に、最終焼鈍を行う。
定成分が所定の範囲内であれば、製造方法は、無方向性
電磁鋼板を製造する通常の方法でかまわない。すなわ
ち、転炉で吹練した溶鋼を脱ガス処理して所定の成分に
調整し、引き続き鋳造、熱間圧延を行う。熱間圧延時の
仕上焼鈍温度、巻取り温度は特に規定する必要はなく、
通常の無方向性電磁鋼板を製造する範囲の温度でかまわ
ない。また、熱延後の熱延板焼鈍は行っても良いが必須
ではない。次いで一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍を
はさんだ2回以上の冷間圧延により所定の板厚とした後
に、最終焼鈍を行う。
【0023】
【実施例】表1に示す鋼を用い、転炉で吹練した後に脱
ガス処理を行うことにより所定の成分に調整後鋳造し、
スラブ加熱温度1160℃で1hr加熱した後、板厚2.0mmま
で熱間圧延を行った。熱間圧延時の仕上げ温度は800
℃、巻取り温度は670℃とした。次にこの熱延板を酸洗
し、その後、板厚0.5mmまで冷間圧延を行い、表1に示
す仕上焼鈍条件で焼鈍を行い、さらに100%N2中で750
℃×2hrの磁性焼鈍を行った。磁気測定は25cmエプスタ
イン試験片を用いて行った。各鋼板の磁気特性を表1に
併せて示す。表1において保持時間と記載されているの
は、均熱時間のことである。
ガス処理を行うことにより所定の成分に調整後鋳造し、
スラブ加熱温度1160℃で1hr加熱した後、板厚2.0mmま
で熱間圧延を行った。熱間圧延時の仕上げ温度は800
℃、巻取り温度は670℃とした。次にこの熱延板を酸洗
し、その後、板厚0.5mmまで冷間圧延を行い、表1に示
す仕上焼鈍条件で焼鈍を行い、さらに100%N2中で750
℃×2hrの磁性焼鈍を行った。磁気測定は25cmエプスタ
イン試験片を用いて行った。各鋼板の磁気特性を表1に
併せて示す。表1において保持時間と記載されているの
は、均熱時間のことである。
【0024】
【表1】
【0025】表1において、No.1〜No.9がSiのレベル
が0.25%のオーダである本発明の実施例である。また、
No.19からNo.24がSiのレベルが0.75%のオーダである本
発明の実施例である。いずれの実施例においても、鉄損
W15/50は、従来製造が困難とされた4.2 W/kgよりは
るかに低く、Siのレベルが0.25%のオーダのもので3.84
〜4.00W/kg、Siのレベルが0.75%オーダのもので3.30
〜3.40W/kg程度となっている。また、Sbを添加したも
のは、他のものに比して鉄損が更に向上している。ま
た、磁束密度B50も、Siのレベルが0.25%のオーダのも
ので1.76T、Siのレベルが0.75%のオーダのもので1.73
Tと高い。
が0.25%のオーダである本発明の実施例である。また、
No.19からNo.24がSiのレベルが0.75%のオーダである本
発明の実施例である。いずれの実施例においても、鉄損
W15/50は、従来製造が困難とされた4.2 W/kgよりは
るかに低く、Siのレベルが0.25%のオーダのもので3.84
〜4.00W/kg、Siのレベルが0.75%オーダのもので3.30
〜3.40W/kg程度となっている。また、Sbを添加したも
のは、他のものに比して鉄損が更に向上している。ま
た、磁束密度B50も、Siのレベルが0.25%のオーダのも
ので1.76T、Siのレベルが0.75%のオーダのもので1.73
Tと高い。
【0026】これに対して、No.10のものは、Sが本発
明の範囲を外れているので、鉄損W15/50が高くなって
いる。No.11のものは、Alの範囲が本発明の範囲より低
いため、結晶粒成長性が低下し鉄損W15/50が高くなっ
ている。一方、No.12のものは、Alの範囲が本発明の範
囲より高いため、鉄損W15/50は低下するものの、磁束
密度B50が低くなっている。
明の範囲を外れているので、鉄損W15/50が高くなって
いる。No.11のものは、Alの範囲が本発明の範囲より低
いため、結晶粒成長性が低下し鉄損W15/50が高くなっ
ている。一方、No.12のものは、Alの範囲が本発明の範
囲より高いため、鉄損W15/50は低下するものの、磁束
密度B50が低くなっている。
【0027】No.13のものは、Cが本発明の範囲より高
いため、鉄損W15/50が高いばかりでなく、磁気時効の
問題を有している。No.14のものは、Mnが本発明の範囲
を外れているので、鉄損W15/50は低下するものの本発
明鋼よりは高く、かつ、磁束密度B50が低くなってい
る。No.15のものは、Nが本発明の範囲を外れているの
で、鉄損W15/50が高い。No.16のものは、仕上焼鈍時の
H2濃度が、No.15、No.16のものは、仕上焼鈍時の均熱
時間が本発明の範囲を外れているので、鉄損W15/50が
高い。
いため、鉄損W15/50が高いばかりでなく、磁気時効の
問題を有している。No.14のものは、Mnが本発明の範囲
を外れているので、鉄損W15/50は低下するものの本発
明鋼よりは高く、かつ、磁束密度B50が低くなってい
る。No.15のものは、Nが本発明の範囲を外れているの
で、鉄損W15/50が高い。No.16のものは、仕上焼鈍時の
H2濃度が、No.15、No.16のものは、仕上焼鈍時の均熱
時間が本発明の範囲を外れているので、鉄損W15/50が
高い。
【0028】Siのレベルが0.75%のものにおいても、N
o.25のものは、Sの値が本発明の範囲から外れているの
で、同じSiレベルの本発明品より鉄損W15/50が高くな
っている。また、No.26のものは、仕上焼鈍時のH2濃度
が、No.27、No.28のものは、仕上焼鈍時の均熱時間が本
発明の範囲を外れているので、鉄損W15/50が高い。No.
29のものは、Siの範囲が本発明の範囲より高いので、鉄
損W15/50は低く押さえられているものの、磁束密度B
50が小さくなっている。
o.25のものは、Sの値が本発明の範囲から外れているの
で、同じSiレベルの本発明品より鉄損W15/50が高くな
っている。また、No.26のものは、仕上焼鈍時のH2濃度
が、No.27、No.28のものは、仕上焼鈍時の均熱時間が本
発明の範囲を外れているので、鉄損W15/50が高い。No.
29のものは、Siの範囲が本発明の範囲より高いので、鉄
損W15/50は低く押さえられているものの、磁束密度B
50が小さくなっている。
【0029】これらの実施例、比較例を見てわかるよう
に、鋼板成分のS量および他の規定成分、最終連続焼鈍
時の焼鈍雰囲気および均熱時間を本発明の範囲とした場
合に、磁性焼鈍後の鉄損が非常に低く、かつ、磁束密度
の低下しない無方向性電磁鋼板が得られることがわか
る。
に、鋼板成分のS量および他の規定成分、最終連続焼鈍
時の焼鈍雰囲気および均熱時間を本発明の範囲とした場
合に、磁性焼鈍後の鉄損が非常に低く、かつ、磁束密度
の低下しない無方向性電磁鋼板が得られることがわか
る。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、重量%で、C:0.
005%以下、Si:1.5%未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2
%以下、N:0.005%以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0
%、S:0.001%以下(0を含む)を含み、又はこれに
加えてSb+1/2Sn:0.001〜0.05%を含み、残部が実質的
にFeからなるスラブを熱間圧延し、必要により熱延板焼
鈍を行なった後、一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍を
はさんだ二回以上の冷間圧延により、所定の板厚とし、
H2濃度10%以上の雰囲気中で、均熱時間30秒〜5分の最
終連続焼鈍を実施することを特徴とするものであるの
で、磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板を得るこ
とができる。
005%以下、Si:1.5%未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2
%以下、N:0.005%以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0
%、S:0.001%以下(0を含む)を含み、又はこれに
加えてSb+1/2Sn:0.001〜0.05%を含み、残部が実質的
にFeからなるスラブを熱間圧延し、必要により熱延板焼
鈍を行なった後、一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍を
はさんだ二回以上の冷間圧延により、所定の板厚とし、
H2濃度10%以上の雰囲気中で、均熱時間30秒〜5分の最
終連続焼鈍を実施することを特徴とするものであるの
で、磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板を得るこ
とができる。
【0031】本発明に係る無方向性電磁鋼板は、鉄損が
低いことを要求される電気材料として、トランスの鉄
心、モータのコア等、広く種々の用途に使用するのに好
適である。
低いことを要求される電気材料として、トランスの鉄
心、モータのコア等、広く種々の用途に使用するのに好
適である。
【図1】S量と磁性焼鈍後の磁気特性(鉄損)との関係
を示す図である。
を示す図である。
【図2】仕上焼鈍均熱時間と磁性焼鈍後の磁気特性(鉄
損)との関係を示す図である。
損)との関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.5%
未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
(0を含む)を含み、残部が実質的にFeからなるスラブ
を熱間圧延し、必要により熱延板焼鈍を行なった後、一
回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ二回以上の
冷間圧延により所定の板厚とし、H2濃度10%以上の雰
囲気中で、均熱時間30秒〜5分の最終連続焼鈍を実施す
ることを特徴とする磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電
磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.5%
未満、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
(0を含む)、Sb+1/2Sn:0.001〜0.05%を含み残部が
実質的にFeからなるスラブを熱間圧延し、必要により熱
延板焼鈍を行なった後、一回の冷間圧延、もしくは中間
焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧延により所定の板厚と
し、H2濃度10%以上の雰囲気中で、均熱時間30秒〜5
分の最終連続焼鈍を実施することを特徴とする磁性焼鈍
後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9365991A JPH11189825A (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 |
US09/041,335 US6139650A (en) | 1997-03-18 | 1998-03-12 | Non-oriented electromagnetic steel sheet and method for manufacturing the same |
CA 2232129 CA2232129C (en) | 1997-03-18 | 1998-03-16 | Non-oriented electromagnetic steel sheet and method for manufacturing the same |
CN98105708A CN1083494C (zh) | 1997-03-18 | 1998-03-17 | 无晶粒取向性磁钢板及其制造方法 |
KR1019980009115A KR100268612B1 (ko) | 1997-03-18 | 1998-03-17 | 무방향성 전자강판 및 그 제조방법 |
DE69832313T DE69832313T2 (de) | 1997-03-18 | 1998-03-18 | Nichtorientiertes elektromagnetisches Stahlblech und Verfahren zu seiner Herstellung |
EP98104900A EP0866144B1 (en) | 1997-03-18 | 1998-03-18 | Non-oriented electromagnetic steel sheet and method for manufacturing the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9365991A JPH11189825A (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11189825A true JPH11189825A (ja) | 1999-07-13 |
Family
ID=18485639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9365991A Withdrawn JPH11189825A (ja) | 1997-03-18 | 1997-12-24 | 磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11189825A (ja) |
-
1997
- 1997-12-24 JP JP9365991A patent/JPH11189825A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040826 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20060417 |