JPH11188784A - ブロー成形用金型装置とブロー成形法および成形体 - Google Patents

ブロー成形用金型装置とブロー成形法および成形体

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JPH11188784A
JPH11188784A JP36032497A JP36032497A JPH11188784A JP H11188784 A JPH11188784 A JP H11188784A JP 36032497 A JP36032497 A JP 36032497A JP 36032497 A JP36032497 A JP 36032497A JP H11188784 A JPH11188784 A JP H11188784A
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heat medium
temperature
mold
blow molding
low
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JP36032497A
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English (en)
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Satoru Furuki
哲 古木
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱媒体を用いた金型温調装置を使用して良好
な金型転写性と成形サイクルの短縮化を両立し、表面外
観の優れた中空構造製品を安価に提供すること。 【解決手段】 ブロー成形用のキャビティ表面に近接し
て入口側集合管から分岐した複数の熱媒体流路が並列回
路で配置され、かつ各々が出口側集合管に接続されてい
るとともに、上記の入口側集合管と出口側集合管には高
温熱媒体を供給する高温熱媒体供給装置と低温熱媒体を
供給する低温熱媒体供給装置とが切替弁を介して配管で
接続されてそれぞれ独立した熱媒体循環ラインが形成さ
れ、各循環ラインからの高温熱媒体と低温熱媒体とを切
替弁の切り替え操作により交互に切り替えることによっ
て、上記の入口側集合管から出口側集合管に向けて金型
内の各々の熱媒体流路内に高温熱媒体又は低温熱媒体を
通過させてキャビティ表面温度を短時間に高温又は低温
に切り替えるようにしたことを特徴とするブロー成形用
金型装置、及びブロー成形方法とそのブロー成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブロー成形用金型
装置とブロー成形法および成形体に係り、特に短い成形
サイクルで金型キャビテイの表面形状の転写性が高く、
成形品の表面を鏡面化した家電・OA製品、住設機器、
オフィス家具、自動車外板・外装等の表面外観を要求さ
れる工業部品の製造に好適に用いられるブロー成形用金
型装置と、これを用いたブロー成形方法並びにこの成形
方法により成形されたブロー成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂のブロー成形においては、
円筒状の樹脂溶融体であるパリソンを型開きした左右一
対のキャビテイを形成する金型の間に押出または射出
し、金型を閉じて5〜10kgf/cm2程度の圧縮空
気を吹込み賦形する。この賦形圧力が射出成形と比較し
て低いために、従来のブロー成形では金型キャビテイの
表面形状の転写性が低く、例えば金型キャビテイの表面
を鏡面加工したとしても成形品の表面を鏡面化すること
はきわめて困難であった。従来は、表面平滑性が要求さ
れる製品においては、成形後に成形品表面を機械的に研
磨する等の仕上加工を施していたが、工程増加により生
産性が低下する問題点があり、そのことがブロー成形品
の採用を躊躇させる最大の理由となっていた。
【0003】そこで、仕上加工に頼らずにブロー成形技
術自体を改善し、金型キャビテイの表面形状の転写性を
向上させる試みが数多くなされてきた。基本的な考え方
としては、溶融樹脂(パリソン)が金型キャビテイと接
触した瞬間に高い流動性をもっていることが重要であ
り、その状態をいかにして実現するかで以下のように大
別される。 (1)樹脂の温度を上げる。 (2)樹脂の分子量を下げる。 (3)金型キャビテイへの押付圧力を上げる。 (4)樹脂の温度を下がりにくくする。 (5)金型キャビテイ表面の温度を上げる。
【0004】(1)については、例えばパリソン表面を
瞬間的に加熱する方法(特開平2−202426号公
報)、(2)については、例えば多層ブロー成形におい
て外層にMFRの大きい材料を選択する方法(特開平5
−8355号公報)がそれぞれ提案されているが、パリ
ソンの垂下(ドローダウン)を助長してしまうので好ま
しくない。(3)については、吹込圧力を上げる方法
(特開平2−292018号公報)と、金型キャビテイ
表面から真空吸引して樹脂と金型キャビテイの間の空気
を強制排気する方法(特公平5−37805号公報)と
に分類できるが、前者は低圧成形であるブロー成形の長
所(低設備コスト、低残留応力等)までもが喪失してし
まうので好ましくなく、後者は真空吸引のための排気孔
の痕跡が成形品表面に残ってしまうためにやはり好まし
くない。
【0005】(4)は、金型表面に低熱伝導率の材料を
被覆することにより、キャビティ内で溶融樹脂が急速に
冷却固化するのを防ぎ、良好な表面平滑性を有する成形
品を得るという技術である。例えば、特開昭54−14
2266号公報では弗素樹脂やエポキシ樹脂からなる被
覆層が、特開平4−211912号公報では各種の金属
酸化物やセラミックス類からなる被覆層が、また特開平
5−111937号、同5−169456号、同6−9
1736号及び同6−246797号各公報ではエポキ
シ樹脂やポリイミド樹脂からなる被覆層がそれぞれ低熱
伝導率の材料として提案されている。しかし、これらの
方法は、被覆層の金型基材に対する接着性が低いこと、
耐久性が低く金型寿命が短いこと等の問題点があり、ま
た被覆層を形成するのに複雑な工程を要することから、
金型コストが高くなってしまうので実用的ではない。
【0006】(5)の金型温度を上げるという考え方
は、最も一般的かつ効果的な方法であると考えられてき
た。しかし、通常の金型温調装置を用い、金型内流路に
熱媒体を導通して温度制御を行う方法では、これまでの
ところ成功していない。その理由は、一般に熱可塑性樹
脂の成形においては、金型温度を一定にして成形した場
合、金型温度が高いほど金型面の転写性に優れるが、そ
の反面、溶融樹脂の冷却固化時間が長くなるからであ
る。そこで従来から、金型温度を1サイクル中に上下さ
せる方法が考案され、具体的には加熱用に高温の熱媒体
を、冷却用に低温の熱媒体を金型の入口、出口のバルブ
切り替えにより金型内の同一の流路に流す方法が試みら
れてきた。ところがこのような方法によっても、成形サ
イクルの短縮化は容易ではない。その理由としては、第
一に、金型の熱容量が大きいために、金型表面温度の応
答速度が小さくなること、第二に、例えば冷却から加熱
に切り替えた場合には、金型内の流路を含む入口バル
ブ、出口バルブ間の配管中に残留した低温熱媒体が加熱
側の回路への流れ込み、高温熱媒体供給装置はこの流れ
込んだ余分の低温熱媒体をも加熱する必要が生じ、熱損
失とサイクルタイムの増大を招いてしまうことが挙げら
れる。
【0007】かかる問題点を解決して、加熱・冷却の応
答速度を早める目的で、金型を薄肉構造にして熱容量を
下げる方法が提案されている(特開平7−198534
号公報等)が、金型強度不足等の問題により適用できる
構造が制限されて一般的ではない。また特開平8−27
6432号公報には、薄肉化したことによる強度不足を
補うために、成形面の反対側の空間を予圧し、樹脂圧力
に拮抗させる方法が提案されているが、このような方法
で寸法精度の高い成形品を得ることは困難である。さら
に特開平2−88216号公報では、温調配管を含む金
型の表面部と金型本体(バックプレート)の間に金型枠
で隔てた中間層を設けて、該中間層に断熱材を充填する
か、加熱または冷却媒体の導通孔を有した補強リブを配
設することによって金型の表面部熱容量を下げ、かつキ
ャビティ側から金型表面を幅射加熱することで成形サイ
クルの短縮を計る方式が提案されている。
【0008】この方法のうち補強リブを配設することで
は金型強度不足の問題は少ないが、熱媒体による温調配
管の配列等については特別の配慮がなされていない上
に、温調以外に金型表面を幅射加熱する補助加熱手段を
付加している。かかる補助加熱手段を用いる方法はこの
報告例以外にも数多いが、共通した問題点として、キャ
ビティ内部に補助加熱装置を設置することの技術上の困
難さ、設備コストアップ、更には、金型表面温度のばら
つきが発生しやすいこと等の問題点があり、実際の工場
生産への適用は困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたよう
に、ブロー成形において金型の転写性を向上させること
自体は困難ではないが、それを比較的短い成形サイクル
で実現させるためには、熱媒体を用いた通常の金型温調
装置では困難であるとの共通認識があり、何らかの補助
加熱手段を講ずるのが一般的解決法であった。しかし一
方では、経済的な観点から比較的簡単な(即ち低コスト
の)設備で転写性を向上させたいという強い要請もあ
る。従って、かかる状況に鑑みて本発明の目的は、従来
の問題点を解決した、金型温調装置を使用して良好な金
型転写性と成形サイクルの短縮化を両立させるための金
型装置と成形方法、およびそれによって製造される表面
外観の優れた中空製品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、金型内配管と
金型に熱媒体を供給するラインの設計を最適化し、多量
の熱媒体が乱流状態となって金型内流路をパス数を極力
少なく、好ましくは1パスだけの短時間に通過させる工
夫をすることで特別な補助加熱(冷却)装置を必要とせ
ずとも目的を達成できることを見出し本発明を完成し
た。
【0011】即ち、本発明のブロー成形用金型装置は、
ブロー成形用のキャビティを形成する左右一対の金型に
おいて、その金型にはキャビティ表面に近接して入口側
集合管から分岐した複数の熱媒体流路が並列回路で配置
され、かつ各々が出口側集合管に接続されているととも
に、上記の入口側集合管と出口側集合管には高温熱媒体
を供給する高温熱媒体供給装置と低温熱媒体を供給する
低温熱媒体供給装置とが切替弁を介して配管で接続され
てそれぞれ独立した熱媒体循環ラインが形成され、各循
環ラインからの高温熱媒体と低温熱媒体とを切替弁の切
り替え操作により交互に切り替えることによって、上記
の入口側集合管から出口側集合管に向けて金型内の各々
の熱媒体流路内に高温熱媒体又は低温熱媒体を通過させ
てキャビティ表面温度を短時間に高温又は低温に切り替
えるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】また本発明のブロー成形方法は、上記のブ
ロー成形用金型装置を使用して、ブロー成形直前から熱
媒体流路に高温度の熱媒体を通過させてキャビティ表面
を高温に保持し、ブロー成形品の冷却段階では熱媒体流
路に低温度の熱媒体を通過させてキャビティ表面を低温
に保持するブロー成形法において、熱媒体を高温時にお
いても低温時においてもそれぞれ同一温度でいっせいに
流入させ乱流条件で通過するように十分な流速を与える
ことを特徴とするものである。
【0013】更に本発明のブロー成形体は、上記のブロ
ー成形方法で成形された熱可塑性樹脂の中空成形体であ
って、その表面は、JIS−B0601の中心線平均粗
さ(Ra)で定義される表面粗度が0.2μm以下、又
はJIS−K7105で定義される60°鏡面光沢度が
60%以上の少なくとも一方の表面特性を満たしている
ことを特徴とするものである。
【0014】ここで上記した本発明のブロー成形装置に
おける特に好ましい実施態様としては、金型はキャビテ
イ表面を形成する金型構造体と金型本体とを別体とし、
該金型構造体の内部又は背面に熱媒体流路が形成されて
いるものであることが、温度調節すべき金型構造体の熱
容量を小さく絞れて伝熱応答速度をより高める効果があ
る点で好ましい。
【0015】また上記した本発明のブロー成形方法にお
ける特に好ましい実施態様としては、ブロー成形直前か
ら(ブロー成形段階中は)キャビティ表面を成形対象で
ある樹脂のDTUL(荷重たわみ温度:ASTM−D6
48準拠、4.6kgf/cm2荷重)以上の高温度に
保持し、ついで溶融状態にある円筒状樹脂(パリソン)
をキャビテイ表面に接触させた後のブロー成形品の冷却
段階では、キャビテイ表面を前記DTUL以下の低温度
まで下降させることで樹脂を十分に固化させた後、1成
形サイクル3分以内で成形品を取り出すことが好まし
い。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳し
く説明する。先ず本発明で対象とするブロー成形方法を
示す全体概念図を図1に、本発明のブロー成形用金型装
置を示す片側の金型6における配管接続形式の模式図を
図2に、従来のブロー成形用金型装置を示す配管接続形
式の模式図を図3にそれぞれ示す。ブロー成形は図1に
示した如く、押出機1からダイ2を経て加熱溶融された
樹脂がパリソン3として押し出され、ブロー成形用のキ
ャビティを形成する左右一対の金型6,6’の間で型締
され予備賦形後にエア吹き込み装置4からパリソン内へ
加圧空気を吹き込みブロー成形する。この場合金型6,
6’のキャビテイ表面に近接して設けた熱媒体流路配管
8,8’に高温熱媒体(以下Aとする)を流してキャビ
テイ表面を加熱した後、ブロー成形品の冷却段階では熱
媒体流路配管8,8’に低温熱媒体(以下Bとする)を
流して冷却固化させてから金型6,6’を開けて成形品
を取り出すものである。本発明ではかかる左右一対の金
型6,6’のキャビテイ表面を形成する、特に金型構造
体5,5’にAとBを交互に供給する手段に特別の改良
を加えたものであり以下詳細に説明する。
【0017】(1)ブロー成形装置の基本要素 本発明の目的は、少なくとも成形品の表面側又は裏面を
含めた全表面への良好な金型転写性と成形サイクルの短
縮化を両立させることにあり、そのためには熱媒体と金
型の間の熱伝導効率を高める必要がある。それを実現す
るために、本発明のブロー成形用金型装置においては、
図2に示した如くa.左右一対の金型の少なくとも片方
6(又は両方6,6’)のキャビティ表面に近接して複
数の熱媒体流路8を並列回路で配置したこと、b.熱媒
体流路8は1パスにて入口側集合管9と出口側集合管1
0の分岐管11,12に接続されていること、c.入口
側と出口側集合管9,10には外部の高温熱媒体供給装
置13と低温熱媒体供給装置14に接続された循環ライ
ン15,15’及び16,16’が切替弁17,18を
介して接続されていること、d.各循環ライン15,1
5’及び16,16’からの切替弁17,18の同時切
り替えで熱媒体流路8に同一温度のA又はBを好ましく
は1パスで流しキャビティ表面温度を短時間に高温と低
温に切り替えるようにしたこと、の四つが主要なポイン
トになっており、これを本発明における「基本要素」と
定義し、以下で詳しく説明する。
【0018】なお図2では左右一対の金型6,6’の
内、片側の金型6について説明するが、他方の金型6’
も同じ金型温調装置からの熱媒体循環ラインから分岐さ
せるか、又は別途独立した金型温調装置としてもよい。
また本発明におけるブロー成形用金型装置は金型と金型
温調装置(熱媒体供給装置と循環ラインを含む)とから
構成され、いわゆる「ブロー成形機」に備えられた押出
機、アキュムレーター、ダイ、型締装置等は任意であり
なんら限定するものではない。
【0019】本発明における第一のポイントは、熱媒体
流路8をキャビティ表面に近接して並列回路で配置する
ことで、金型温度、特に転写性に大きく影響を与える金
型表面温度の応答速度を向上させるとともに、熱媒体の
流量を増加させて乱流状態となるように金型構造体の設
計がなされている点にある。ここで熱媒体流路8とは、
キャビティ表面を形成する金型構造体6の内部に穿孔し
て形成させたものであってもよいし、或いは良伝熱配管
を埋設して形成したものであってもよい。一般に流体が
管内を流れる状態には、流体粒子の進む道が管の壁面に
平行に直線状になっている場合と個々の粒子が渦を巻き
不規則な乱れ運動をする二つの場合があり、前者を層
流、後者を乱流という。管径D(m)、流速v(m/
h)、流体の密度ρ(kg/m3)、流体の粘度μ(k
g/m・h)とするとRe=Dvρ/μなる無次元数
(レイノルズ数)が2100以下で層流、それ以上で乱
流となることが知られている。この式から明らかな如く
同一の管径では流速vすなわち流量が多くなるほど乱流
状態になり易い。なお流量が減って層流状態となる場
合、配管壁面と流体の間の境膜伝熱係数が著しく小さく
なり伝導伝熱量が減少して加熱冷却効率が著しく低下す
る。従って熱媒体は乱流条件で流すことが加熱冷却効率
を高めるためには重要である。
【0020】本発明の第二のポイントは、熱媒体流路8
はパス数を極力少なく、好ましくは1パスにて入口側と
出口側集合管に接続することで熱媒体流路の長さを極力
短くし、圧力損失を減少させてその分だけ熱媒体の流量
(即ち流速)を増加させていることである。この場合、
入口側集合管9と出口集合管10はそれぞれ熱媒体流路
8よりも配管径を大きく形成し、且つそれぞれ熱媒体循
環ラインと切り替え弁17,18を介して接続される
が、熱媒体流路8が1パスで通過するものであれば、全
てが同一方向に流してもよいし、或いは半分づつ位置を
ずらせて逆方向に流すようにしてもよい。従来の場合で
は、金型内の熱媒体流路(配管)8は図3に示したよう
に各々が1本又は場合によっては複数本が直列回路の関
係になる「ひと筆書き」状態に金型内を多数パスさせて
熱媒体の循環ライン15,15’及び16,16’に接
続されるのが常であり、本発明の一例である図2のよう
な並列回路状態で、しかも好ましくは1パスのみで通過
させるようには決して接続されなかった。それは、入口
(又は出口)での流量が同じ場合、並列回路では各配管
内の流速が小さくなり、前述したレイノルズ数を大きく
して乱流状態にするのが困難と見なされてきたからであ
る。
【0021】本発明者らは、共通の金型および金型温調
機を用い、熱媒体流路配管を図3に示す如き直列回路
と、図2の如き並列回路の各方式で接続し、各々の場合
において熱媒体の流量、流速等を詳細に検討した。ま
ず、図3のような一般的に推奨されている直列回路の場
合、予想以上に管内の圧力損失が大きく金型温調装置の
ポンプが有する最大吐出能力をはるかに下回る流量しか
流れず、このため伝熱量が極めて低くなることが判明し
た。一方図2のような並列回路で接続して実験したとこ
ろ、圧力損失が著しく低減され全体の流量が大幅に増大
し、各々の配管内部での流速も直列回路の場合とほぼ同
等であり十分に乱流状態となっていることが判明した。
配管内部で乱流状態となっていれば、境膜伝熱係数も十
分大きくなることと相俟って加熱又は冷却効率が損なわ
れことがない。
【0022】本発明の第三のポイントは、入口側集合管
9と出口側集合管10は外部の高温熱媒体供給装置13
と低温熱媒体供給装置14からの循環ライン15,1
5’及び16,16’に切替弁17,18を介して接続
されて、各循環ラインからのAとBを切替弁17,18
の切替え操作により交互に切替えて入口側集合管9から
熱媒体流路8内へ供給させるようにしたことである。こ
こで高温(又は低温)熱媒体供給装置13(又は14)
としては、熱媒体貯留タンク、ポンプ、及びヒーター
(又はクーラー)等を内蔵しており、かつ該熱媒体供給
装置を含む熱媒体循環ラインには必要に応じてバイパス
ラインを設けてもよい。各循環ラインからのAとBを切
り替える切り替え弁17,18は、一方が入口側集合管
9から熱媒体流路8内へ供給される時には、他方は遮断
されるものであればよい。
【0023】この場合、遮断と同時にその熱媒体供給装
置に内蔵された供給ポンプを停止させるか或いは停止さ
せずにバイパスラインを使用する循環ラインへ切り替え
てもよい。なお開閉弁17,18は図2に示したように
入口側集合管9又は出口側集合管10への合流ラインに
1個設けた三方向切り替え弁が望ましいが、各循環ライ
ン15,15’及び16,16’に個別に設けて交互に
逆開閉させる遮断弁を介して合流ラインに接続させても
よいし、更には個別に設けて交互に逆開閉させる遮断弁
を介して直接に入口側集合管9と出口側集合管10にそ
れぞれ接続してもよい。これら切り替え弁の切り替え操
作はソレノイド作動式弁、電磁式弁その他の開閉方式が
利用でき、その切り替え開閉はタイマーを使用し自動的
に行うことが望ましい。
【0024】本発明の第四のポイントは、各循環ライン
からの切り替えで熱媒体流路8に同一温度の熱媒体A又
はBを好ましくは1パスでいっせいに流しキャビティ表
面温度を短時間に高温と低温に切り替えるようにしたこ
とである。ここで上記した図3のような一般的に推奨さ
れている直列回路の場合は、「ひと筆書き」状態に金型
内を多数回パスさせることから各パス毎の熱媒体自体の
金型内への入り口温度が変化してその分金型内での伝熱
量が不均一状態で低下してくるのは避けられない。これ
に対して本発明における図2のような並列回路の場合、
入口側集合管9から分岐管11を介していっせいに流れ
る熱媒体の入口温度が全て同一温度であり、しかも好ま
しくは1パスだけの短時間に系内を通過することから系
内での温度降下が少なく従って系内伝熱の温度差を大き
くすることで伝熱量が均一状態で増加し、キャビティ表
面温度をそれ以外の補助加熱装置(幅射加熱や高周波誘
導加熱装置等)を使用しないでも短時間に高温と低温に
切り替えることができる。従ってブロー成形の1サイク
ル時間が大幅に短縮される効果がある。特に、配管の長
さ等にもよるが、高温(低温)熱媒体供給装置におい
て、熱媒体の出口温度と入口温度との差、すなわち循環
ラインを通って戻ってきたときの熱媒体の温度変化が極
力小さく、5℃以内、好ましくは3℃以内、より好まし
くは1℃以内であることが重要である。とりわけ、金型
の入り口、出口において熱媒体の温度差が1℃以内、好
ましくは実質的に無いようにするとよい。
【0025】なお、本発明で使用するAおよびBは、切
り替え段階で混合することが避けられないので、混合し
ても支障のないような同一種類の熱媒体を使用すること
が望ましい。この場合の熱媒体としては、一般に水、水
蒸気、オイルその他各種有機質熱媒体類を適宜用いるこ
とができる。特に取り扱いの容易さの点で最も好ましい
熱媒体としては、高温度の熱媒体として100℃以上の
高温水(高圧)を、低温度の熱媒体に100℃以下の低
温水を使用することである。但し、高温水は蒸発を抑え
るために加圧状態に保持する必要上、あまりにも高温度
に保持する必要があるブロー成形の場合、高温水保持の
高圧設備が必要となるので、その場合には、沸点の高い
有機質熱媒体類を使用することで高圧設備を省略するこ
とができる。ただしこの場合の低温度状態の有機質熱媒
体では低粘度になり過ぎて乱流状態の保持に支障を来さ
ない温度条件で使用することが望ましい。
【0026】また、水を熱媒体として用いる場合、液体
状の水ではなく水蒸気を用いる方法も考えられる。例え
ば特開平8−276433号公報には、キャビティ面の
反対側に空間を設けた薄肉金型を用い、その空間を利用
して水蒸気で加熱、水を噴霧して冷却する方法が提案さ
れている。この場合は高温の水蒸気を使用するために金
型や配管接続部分の気密性が必要となり、リークした場
合の危険性が大きいため取り扱いに注意が必要である。
更に、補助加熱手段として、幅射加熱や高周波誘導加熱
装置を使用するのは、前述したように設備的にも高価な
ものとなる上に、金型表面の温度むらが生じ易くこれも
また取り扱いが困難である。
【0027】(2)ブロー成形装置の拡張要素 本発明の基本要素に従って設計されたブロー成形装置で
あれば、本発明の目的を十分に達成できるが、基本要素
を満たしたブロー成形装置を使用した上で、更に成形サ
イクルを短縮化するための技術上の実施態様のポイント
を「拡張要素」と定義し、以下で詳しく述べる。まず本
発明におけるブロー成形用金型装置での好ましい実施態
様としては、図1に模式的に示したように、左右一対の
金型6,6’がキャビティ表面を形成する金型構造体
5,5’と金型本体7,7’との別体とし、かつ該金型
構造体5,5’の内部に熱媒体流路8,8’が形成さ
れ、特に金型構造体5,5’を熱媒体によって加熱又は
冷却するように構成することである。これによってキャ
ビテイ表面を形成する金型構造体5,5’の重量が軽減
され温度調節すべき金型の熱容量を小さく絞れて伝熱応
答速度をより高める効果があることから更なる成形サイ
クルの短縮化が可能となる。この場合、キャビティを形
成する金型構造体5,5’の背面全面に低熱伝導率の断
熱性薄層材18,18’を介在させて金型本体7,7’
を密着積層させたり、又は、金型本体7,7’を別個独
立させて温度制御してもよい。
【0028】かかる目的で使用される断熱性薄層材は、
良好な断熱効果、好ましくは0.001〜1.0(kc
al/m・hr・℃)程度の低熱伝導率を有し、かつ加
熱時の圧縮強度が1000〜100000(kgf/c
2)程度に高い材料であれば特に制限されることはな
く、どのような材料でも使用することができるが、一般
的には、ガラス/フェノール樹脂のような補強材+熱硬
化性樹脂複合板や、アスベスト/セメントのような補強
材+無機質材複合板が使用される。断熱性薄層材は厚み
が10〜30mmの範囲内が好ましく、30mm以上で
は加熱時の断熱部材の圧縮歪み量が大きくなり金型の合
わせ面にずれや隙間を生じるので好ましくない。又10
mm以下では断熱効果が十分でなくやはり好ましくな
い。
【0029】また本発明におけるブロー成形用金型装置
において、ブロー成形用キャビテイを形成する金型構造
体5,5’内の熱媒体流路としては、キャビティ表面に
沿うようにして穿孔され、かつ各々が平行となるよう配
置された直線状および/又は略直線状の並列回路に配置
される配管で、その直径は5mm〜15mmの範囲から
選択されるのが好ましい。直径が5mm未満の場合、圧
力損失が大きくなって、流量が低下するので好ましくな
い。また、直径が15mmを超えると、流速が低下する
ため伝熱係数が小さくなるのでやはり好ましくない。上
記の熱媒体流路配管は、加工精度が許す限りにおいては
互いに近接して配置された方が加熱冷却効率上有利であ
り、各々の中心線間距離は、好ましくは50mm以内で
ある。また、同様の理由で必要な金型強度が保持できる
限りにおいてはキャビティ表面に近接して配置された方
が有利であり、キャビティ表面と配管中心線の最短距離
は、好ましくは30mm以内である。
【0030】また、本発明における基本構成要素を満た
したブロー成形用金型装置において、高温水および低温
水を切り替える弁17,18を金型キャビティ表面に近
接して設置し、弁と金型の間の配管長さが短くなるよう
に配置することにより、更なる成形サイクルの短縮化を
計ることができる。一般に、本発明のように、熱媒体と
して加熱用に高温水を、冷却用に低温水を金型への入
口、出口のバルブ17,18の切り替えにより金型内の
同一の流路に流す場合においては、低温水が金型部へ供
給される時には、金型部の流体供給パイプ、配管中の高
温水の残留分が低温水タンクへ流入し、低温水タンク内
の水温が上昇してしまうため、冷却効率が低下する。高
温水が金型部に供給される時には、逆に、金型部の流体
供給パイプ、配管中の低温水の残留分が高温水タンクへ
流入し、高温水タンク内の水温が下降してしまうため、
加熱効率が低下する。そこで、前述したように、高温水
および低温水の切り替え弁17,18を金型に近接して
設置し、弁と金型の間の配管長さが、好ましくは2m以
下となるよう配置することにより、この高温水と低温水
の混合量を低減することが可能となり、成形サイクルを
短縮することができる。
【0031】本発明に用いられる金型の材質について
は、特に制限されるものではなく、従来より用いられて
いる金型の材質が挙げられ、具体的には、鉄又は鉄を主
成分とする鋼材、アルミニウム又はアルミニウムを主成
分とする合金、亜鉛合金等を例示することができる。ま
た、本発明に用いられる金型のキャビティ表面には、パ
リソンと金型の間の空気を効果的に吸引除去する目的
で、適当な間隔でエア抜き穴を設けることもできる。
【0032】(3)ブロー成形方法 次に、本発明のブロー成形方法について詳述する。本発
明のブロー成形用金型装置を使用して、ブロー成形直前
からブロー成形段階中は熱媒体流路に高温度の熱媒体を
通過させてキャビティ表面を高温に保持し、ブロー成形
品の冷却段階では熱媒体流路に低温度の熱媒体を通過さ
せてキャビティ表面を低温に保持するブロー成形法にお
いて、熱媒体を高温時においても低温時においても乱流
条件にて通過するように十分な流速を与えることを特徴
とするものである。この場合、ブロー成形方法で良好な
金型転写性と短い成形サイクルを両立させるためには、
熱媒体として特に液体状の水を使用することが好まし
く、水であれば、粘度が低いことから高温時においても
低温時においても乱流として配管内を通過するように、
十分な流速を与えられることが必要であり、その際のレ
イノルズ数は、好ましくは2100以上である。実際に
はレイノルズ数が2100〜10000の範囲は、層流
と乱流の境で曖昧さがあるので、更に好ましくは100
00以上である。
【0033】本発明のブロー成形方法としては、図1に
おいて例えば以下のような手順で行われる。まず本発明
のブロー成形用金型装置を使用し、熱媒体として100
℃以上の高温水を金型内配管8,8’に導通し、成形対
象である樹脂のDTUL(荷重たわみ温度:ASTM−
D648準拠、4.6kgf/cm2荷重)以上まで金
型構造体5,5’の表面温度を上昇させる。ついで本発
明のブロー成形用の押出機1によって溶融された熱可塑
性樹脂を、先端ダイ2に通じて、円筒状のプリフォーム
(パリソン)3を形成する。左右に開いて待機位置にあ
る一対の金型6,6’のキャビティ空間に上記パリソン
3を導通し、金型6,6’を閉じるとともにパリソン3
の内部にエア吹き込み装置4から空気を吹き込み金型表
面に押圧し、金型形状を賦形させる。前記した切り替え
弁17,18の操作により100℃未満の低温水を導通
し、金型表面温度を前記DTUL以下まで下降させるこ
とで樹脂を十分に固化させた後、金型6,6’を開いて
成形体として取り出すことができる。
【0034】(4)ブロー成形体 本発明のブロー成形体は、本発明のブロー成形金型装置
を使用し上記した成形方法を用い、1成形サイクルが3
分以内で成形された熱可塑性樹脂成形体であって、かつ
その表面は、JIS−B0601の中心線平均粗さ(R
a)で定義される表面粗度が0.2μm以下か、又はJ
IS−K7105で定義される60°鏡面光沢度が60
%以上かの、少なくとも一方の表面特性を満たしている
ことを特徴とするブロー成形体である。上述の成形体
は、キャビティ表面が鏡面化された金型を用いて成形さ
れた例であるが、それに何ら制限されるものではなく、
例えばキャビティ表面を「しぼ」と呼ばれる微細な起伏
面とし、成形サイクルを損なうことなくそのしぼ面が良
好に転写された成形体等も本発明に包含される。
【0035】本発明のブロー成形体に用いられる材料と
しては、通常のブロー成形が可能な熱可塑性樹脂であれ
ば、特に制限されるものではないが、例えば、高密度ポ
リエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポ
リエチレン−プロピレン共重合体、汎用ポリスチレン
(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポ
リ塩化ビニル(PVC)、ポリアセタール、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、各種ポリ
アミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(PP
E)、ポリアリレート(PAR)、ポリフェニレンスル
フィド(PPS)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエー
テルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(P
I)、熱可塑性フッ素樹脂等の各種硬質樹脂が使用でき
る。
【0036】その他にエチレン−プロピレンラバー(E
PR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、低
密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレ
ン(LLDPE)、エチレン−プロピレン−ジエンモノ
マー共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン−ス
チレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレンブチレ
ン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−イソプ
レン−スチレン共重合体(SIS)、塩ビ系熱可塑性エ
ラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエ
ステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性
エラストマー、フッ素樹脂系熱可塑性エラストマー等の
各種軟質樹脂を例示することができ、これらは単独で使
用しても2種類以上の混合物やポリマーアロイとしても
使用することができるが、何らこれに制限されるもので
はない。
【0037】本発明のブロー成形体に用いられる熱可塑
性樹脂には、本発明の目的から外れない範囲で、必要に
応じて熱可塑性以外の樹脂成分、エラストマー、顔料、
有機/無機充填剤、各種添加剤等も添加することができ
る。この中で、成形体に剛性を付与する目的で使用され
る有機/無機充填剤としては、板状、粒状、繊維状のい
ずれのものを用いてもよい。具体的には、板状または粒
状の充填剤としては、各種金属粉末(アルミニウム粉
等)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化チタン、ア
ルミナ等)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウム等)、炭酸・硫酸塩(炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等)、合成ケイ酸塩
(ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム等)、天然
ケイ酸塩(タルク、マイカ、カオリン等)、炭化ケイ素
粉、合成・天然シリカ、カーボンブラック、木粉、綿粉
などが挙げられる。
【0038】また、繊維状充填剤としては、合成高分子
繊維(ナイロン、PET繊維、アラミド繊維、テフロン
繊維等)、天然高分子繊維(羊毛、木綿、パルプ等)、
ガラス繊維、カーボン繊維(カーボンウィスカー、グラ
ファイト繊維等)、セラミック繊維(シリカ・アルミナ
ファイバー、チタン酸カリウム繊維、アスベスト繊維
等)、炭化ケイ素繊維・ウィスカー、金属繊維(ボロン
繊維、スチール繊維、アルミニウム繊維等)などが挙げ
られる。その他の各種添加剤として、可塑剤、難燃剤、
熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑
剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋
剤、分散助剤などが挙げられる。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお実施例で使用したブロー成形機、金型は下記の
通りである。 <ブロー成形機> 成形機:日本製鋼所NB120Sブロー成形機 型締力:120tonf、押出機:90mmφ、L/D
=29 アキュムレーター:15L、ダイ:単層350mmφ <金型> 製品形状:700×450×20mm平板
【0040】実施例 上記のブロー成形機のプラテン(型盤)に上記金型を取
り付け、各配管を図2のように並列回路で接続し、更に
三方バルブ(17、18)を経由して高温水供給装置1
3と低温水供給装置14に接続する。高温水供給装置1
3は120℃に、低温水供給装置14は80℃に温度を
設定する。まず、バルブ17,18を高温水供給装置1
3側に開き、120℃の高温水を金型内に導通し金型の
キャビティ表面を120℃まで昇温させる。以下、図1
と図2を用いて説明する。原料樹脂として、宇部サイコ
ン社製ABS樹脂サイコラックEX22Cを使用する。
この樹脂の荷重たわみ温度(DTUL:ASTM D−
648 4.6kgf/cm2荷重準拠)は100℃で
ある。同樹脂を原料供給装置より押出機1に供給して2
10℃で溶融可塑化し、更にダイ2を通じて円筒状のパ
リソン3を形成し、金型6,6’のキャビティ空間内に
誘導する。
【0041】次いで金型6,6’を閉じ、パリソン3を
金型のキャビテイに接触させると同時に、エア吹込針4
を打ち込んでパリソン内部にエアを6kgf/cm2
圧力で吹き込んでキャビティ表面に押圧する。所定の時
間が経過した後、バルブ17,18を低温水供給装置1
4側に切り替えて金型のキャビティ表面を80℃まで降
温させる。樹脂の冷却固化が完了したら金型6,6’を
開き、ブロー成形体を取り出す。金型6,6’を開くの
と同時に、バルブ17,18を再度高温水供給装置13
側に切り替えて次の成形に備えてキャビティ表面を12
0℃に昇温させる。昇温が完了次第、次の成形サイクル
に入る。得られたブロー成形体の光沢度(JIS−K7
105の60°鏡面光沢度準拠)は95%、1成形サイ
クルは120秒であった。また、高温水および低温水が
金型内配管を流れるときの流速は3m/秒、レイノルズ
数は約10000(高温時と低温時の平均値)であっ
た。
【0042】比較例 実施例で用いたのと同じ金型を使用し、各熱媒体配管を
図3のように直列回路で接続した他(熱媒体流路配管の
伝熱面積は実施例と同じ)は、実施例と全く同様に成形
を行った。実施例で得られたサンプルと同じ光沢度95
%の成形体を得るのに必要な成形サイクルは約20分で
あった。また、高温水および低温水が金型内配管を流れ
るときの流速は0.6m/秒、レイノルズ数は約200
0(高温時と低温時の平均値)であった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱可塑性樹脂のブロー成形において、熱媒体の流動性に
着目して金型の設計、金型温調配管の接続方法、熱媒体
の選択を最適化することにより、一般的な金型温調装置
を使用して良好な金型転写性と成形サイクルの短縮化を
両立し、表面外観の優れた中空構造製品を安価に提供す
ることが可能となるため、家電・OA製品、住設機器、
オフィス家具、自動車外板・外装等の幅広い分野への応
用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブロー成形方法を示す全体の概念図で
ある。
【図2】本発明の金型装置の配管接続様式(並列回路)
を示す模式図である。
【図3】従来の金型装置の配管接続様式(直列回路)を
示す模式図である。
【符号の説明】
1 押出機 2 ダイ 3 パリソン 4 エア吹込装置 5,5’ キャビテイ表面を形成する金型構造体 6,6’ 左右一対の金型 7,7’ 金型本体 8 熱媒体流路配管 9 熱媒体入口側集合管 10 熱媒体出口側集合管 11 熱媒体入口側集合管の分岐管 12 熱媒体出口側集合管の分岐管 13 高温熱媒体供給装置 14 低温熱媒体供給装置 15,15’ 高温熱媒体循環ライン 16,16’ 低温熱媒体循環ライン 17,18 熱媒体の切り替え弁

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブロー成形用のキャビティを形成する左
    右一対の金型において、その金型にはキャビティ表面に
    近接して入口側集合管から分岐した複数の熱媒体流路が
    並列回路で配置され、かつ各々が出口側集合管に接続さ
    れているとともに、上記の入口側集合管と出口側集合管
    には高温熱媒体を供給する高温熱媒体供給装置と低温熱
    媒体を供給する低温熱媒体供給装置とが切替弁を介して
    配管で接続されてそれぞれ独立した熱媒体循環ラインが
    形成され、各循環ラインからの高温熱媒体と低温熱媒体
    とを切替弁の切り替え操作により交互に切り替えること
    によって、上記の入口側集合管から出口側集合管に向け
    て金型内の各々の熱媒体流路内に高温熱媒体又は低温熱
    媒体を通過させてキャビティ表面温度を短時間に高温又
    は低温に切り替えるようにしたことを特徴とするブロー
    成形用金型装置。
  2. 【請求項2】 金型はキャビテイ表面を形成する金型構
    造体と金型本体とが別体とされ、該金型構造体の内部又
    は背面に熱媒体流路が形成されたものである請求項1記
    載のブロー成形用金型装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のブロー
    成形用金型装置を使用して、ブロー成形直前から熱媒体
    流路に高温度の熱媒体を通過させてキャビティ表面を高
    温に保持し、ブロー成形品の冷却段階では熱媒体流路に
    低温度の熱媒体を通過させてキャビティ表面を低温に保
    持するブロー成形法において、熱媒体を高温時において
    も低温時においてもそれぞれ乱流条件で通過するように
    十分な流速を与えることを特徴とするブロー成形方法。
  4. 【請求項4】 ブロー成形直前からブロー成形段階中は
    キャビティ表面を成形対象である樹脂のDTUL(荷重
    たわみ温度:ASTM−D648準拠、4.6kgf/
    cm2荷重)以上の高温度に保持し、ついで溶融状態に
    ある円筒状樹脂(パリソン)をキャビテイ表面に接触さ
    せた後のブロー成形品の冷却段階では、キャビテイ表面
    を前記DTUL以下の低温度まで下降させることで樹脂
    を十分に固化させた後、1成形サイクル3分以内で成形
    品を取り出すことを特徴とする請求項6記載のブロー成
    形方法。
  5. 【請求項5】 高温度の熱媒体に100℃以上の高温水
    を、低温度の熱媒体に100℃以下の低温水を使用する
    請求項3または請求項4に記載のブロー成形方法。
  6. 【請求項6】 請求項3〜請求項5のいずれか1項に記
    載のブロー成形方法で成形された熱可塑性樹脂の中空成
    形体であって、その表面は、JIS−B0601の中心
    線平均粗さ(Ra)で定義される表面粗度が0.2μm
    以下、又はJIS−K7105で定義される60°鏡面
    光沢度が60%以上の少なくとも一方の表面特性を満た
    していることを特徴とするブロー成形体。
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