JPH1118790A - ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)の製造方法 - Google Patents

ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)の製造方法

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JPH1118790A
JPH1118790A JP9199411A JP19941197A JPH1118790A JP H1118790 A JPH1118790 A JP H1118790A JP 9199411 A JP9199411 A JP 9199411A JP 19941197 A JP19941197 A JP 19941197A JP H1118790 A JPH1118790 A JP H1118790A
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poly
medium
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phb
culture
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JP9199411A
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Inventor
Noboru Endo
昇 遠藤
Tetsuhisa Yada
哲久 矢田
Akira Tsubokura
章 坪倉
Miyoshi Mizuta
美能 水田
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 培地成分の複雑なコントロールを必要とせず
に、1段培養でPHBを効率よく産生させることができ
る方法の提供。 【解決手段】 細菌E−396株(FERM BP−4
283)またはその突然変異株からなる菌株を、炭素
源、窒素源及び無機塩が含まれる培地内で培養する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物によるポリ
(3−ヒドロキシ酪酸)(以下、これをPHBと表す)
の製造方法に関する。PHBは下記の一般式で表される
熱可塑性ポリエスエルであり、優れた生物分解性と生体
適合性を有することから環境を汚染しないクリーンプラ
スチックとして注目され、手術糸などの医療用高分子材
料および農薬徐放出システムなどの農業用高分子材料と
して有用である。
【0002】
【化1】
【0003】
【従来の技術】PHBは、グルコース、シュークロー
ス、フルクトースなどの糖質を原料として、微生物を用
いて生産できることできる。PHBを生産する微生物と
しては、アルカリゲネス・ファセカリス(Alcaligenes
faecalis) 、アルカリゲネス・ルーランデイ(Alcalige
nes ruhlandii)、アルカリゲネス・レイタス(Alcalige
nes latus)、アルカリゲネス・アクアマリヌス(Alcali
genes aquamarinus)、アルカリゲネス・エウトロフス
(Alcaligenes eutrophus)、バチルス・メガテリウム(B
acillus megaterium) 、シュードモナス・ファシリス(P
seudomonas facilis)、アゾトバクター・クロオコッカ
ム(Azotobacter chroococcum) 、アゾトバクター・ビネ
ランデイ(Azotobacter vinelandii)などが知られてい
る。糖質を炭素源とする培地にて上記の微生物を培養す
ると、PHBが菌体内に蓄積されるので、超音波処理な
どでこの菌体を破壊した後、PHB可溶性溶媒を用いて
PHBを抽出し、抽出液にヘキサンのような貧溶媒を加
えてPHBを沈澱させることにより、菌体内からPHB
を回収することができる。従って、微生物を利用してP
HBを商業的規模で製造せんとする場合には、そこで使
用する菌体は、増殖が良好で菌体収率が高く、しかも菌
体内にPHBを豊富に蓄積できる菌体であることが望ま
しい。しかしながら、上に例示した従来公知の微生物
は、培養に際して培地に窒素源を添加することで増殖率
が高まるものの、菌体中のPHB含有率が低下し、結果
としてPHBの生産性を向上させることができない。
【0004】この問題点の解決手段としては、例えば、
培地の炭素源中の炭素と窒素源中の窒素の重量比を、所
定の範囲内に調節する方法(特開昭60−251889
号公報参照)が提案されている。また、菌体の培養を2
段に分け、前段では窒素源を培地に加えて菌体の増殖の
みを行い、後段の培養では窒素源と燐源を制限してPH
Bの蓄積のみを行う2段階培養法(特開昭56−117
793号公報参照)も提案されている。前者の方法で
は、炭素源中の炭素と窒素源中の窒素の重量比が6〜5
0:1である培地を用いることが必要であるとされてい
るが、成分組成が一定せず、ロット差が大きい天然培地
では、上記の重量比を所定の範囲内に維持することが極
めて難しい。成分組成が一定の培地であっても、上記の
重量比を培養の過程で所定の範囲内に維持するには、培
地の炭素濃度と窒素濃度を迅速かつ連続的に測定し、そ
の濃度の過不足に応じて炭素源と窒素源を自動供給しな
ければならない。従って、培地の炭素と窒素の重量比を
所定範囲に維持する前者の方法は、その実施に炭素およ
び窒素の自動濃度検出器と自動供給装置の併設が必要に
なるため、培養装置が複雑にならざるを得ない。一方、
菌体の増殖とPHBの蓄積を別々に行う後者の2段階培
養法は、前段の培養工程で所望のバイオマス濃度が得ら
れるものの、窒素源および燐源を制限することが不可欠
な後段の培養工程に、前段の培地に残存する窒素および
/または燐が不可避的に持ち込まれた場合には、PHB
への充分な転化が実現できない不都合がある。そして、
前段の培養工程が終了する時点で、過剰量の窒素および
/または燐が前段の培地中に実質的に存在しないように
前段の培養工程を操作することは極めて難しい実情であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、培地成
分の複雑なコントロールなしに通常の1段培養により経
済的に望ましいバイオマス重量を達成できるPHBの製
造方法について検討した結果、カロチノイド色素を生産
することができる細菌のなかの特定の菌体が、培養時の
増殖率を高めるための窒素源が共存しても、菌体中のP
HB含有率が低下しないことを見出し、本発明を完成し
たものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るPHBの製
造方法は、工業技術院生命工学工業技術研究所にFER
M BP−4283として寄託されたE−396株、ま
たはその突然変異株からなる菌体を、炭素源、窒素源及
び無機塩が含まれる培地内で培養してPHBを産生さ
せ、次いでその菌体からPHBを回収することからな
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる培地は、生産
菌の生育に必要な炭素源、窒素源、無機塩を含有し、こ
の培地には必要に応じて、特殊な要求物質(例えば、ビ
タミン、アミノ酸、核酸塩基等)を含ませることができ
る。培地の炭素源としては、グルコース、シュークロー
ス、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニ
トール、マルトースなどの糖類;酢酸、フマル酸、クエ
ン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸などの有機
酸;エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノ
ール、ヘキサノール、イソブタノールなどのアルコール
類等が使用できる。培地への添加量は使用する炭素源の
種類にもよるが、通常培地1リットル当たり、1〜10
0g、好ましくは2〜50gである。培地の窒素源とし
ては、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニ
ウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモ
ニア、尿素などの1種または2種以上が使用可能であ
る。培地への添加量は使用する窒素源の種類により異な
るが、通常は培地1リットル当たり、0.1〜10g、
好ましくは1〜3gである。培地の無機塩としては、リ
ン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水
素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウ
ム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫
酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、炭酸カル
シウム、炭酸ナトリウムなどの1種または2種以上が使
用可能である。培地への添加量は使用する無機塩の種類
により異なるが、通常は培地1リットル当たり、0.0
01〜10gである。本発明で使用される培地には、必
要に応じて特殊な要求物質の1種または2種以上を添加
することができるが、その特殊な要求物質としては、ビ
タミン類、核酸類、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、
麦芽エキス、コーンスチープリカー、アミノ酸、乾燥酵
母、大豆粕、大豆油、オリーブ油、トウモロコシ油、ア
マニ油などを例示することができる。培地への添加量は
使用する物質の種類により異なるが、通常は培地1リッ
トル当たり1〜200g、好ましくは10〜100gで
の範囲にある。
【0008】菌体の培養に際しては、培地のpHを通常
2〜12の範囲に、好ましくは6〜10の範囲に調整す
る。培養温度は通常15〜80℃、好ましくは20〜3
5℃の範囲にあり、通常1日〜20日間、好ましくは2
〜8日間振盪培養あるいは通気撹拌培養を行う。培養終
了後、得られた培養液からPHBを回収する方法として
は、従来知られている任意の方法を採用することができ
る。例えば、遠心分離もしくは濾過等により菌体を分離
し、この菌体から溶媒でPHBを抽出する。抽出溶媒と
しては、PHBを溶解する溶剤であればいずれも使用可
能であって、例えば、クロロホルム、ジクロロエタン、
エチレンカーボネイト、ピリジンなどが使用できる。ま
た、菌体からの抽出効率を高めるために、上に例示した
抽出溶媒にはメタノール、エタノール、THF等を混合
しても差し支えない。抽出液に溶解しているPHBを固
体として回収するには、抽出液をそのまま濃縮乾固する
方法が採用できるが、好ましくはPHBの非溶媒、例え
ば、メタノール、n−ヘキサン、メタノールと水の混合
液等を添加するか、もしくは抽出液の温度を例えば−4
0℃〜−10℃まで冷却することによりPHBを析出さ
せ、その後遠心分離または濾過などの手段でPHBを分
離回収し、しかる後乾燥することで、固形状のPHBを
得ることができる。
【0009】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく
説明するが、これら実施例は本発明を限定するものでは
ない。実施例1 表1に示す組成からなる培地10mLを直径18mmの
試験管に入れ、121℃で15分間蒸気殺菌した。これ
にE−396株(FERM BP−4283)を1白金
耳植菌し、30℃で6日間、300rpmの往復振盪培
養を行った。この培養液10本分(100mL)を遠心
分離し、得られた菌体を水およびメタノールで洗浄し、
クロロホルムで抽出した。次いで抽出液にヘキサンを添
加し、析出した白色沈澱を濾別して乾燥した。白色沈殿
物の回収量は4.5gであった。この白色沈殿物がPH
Bであることは、質量分析及び核磁気共鳴スペクトルで
確認された。
【0010】
【表1】 グルコース 30 g/L 酵母エキス 20 g/L (NH4 2 SO4 10 g/L KH2 PO4 1.5 g/L Na2 HPO4 ・12H2 O 3.8 g/L MgSO4 ・7H2 O 0.5 g/L FeSO4 ・7H2 O 0.01g/L CaCl2 ・2H2 O 0.01g/L
【0011】実施例2 表1に示す組成からなる培地10mLを直径18mmの
試験管に入れ、121℃で15分間蒸気殺菌した。これ
にE−396株(FERM BP−4283)を1白金
耳植菌し、30℃で2日間、300rpmの往復振盪培
養を行った。次いで、培養液10mLを、表1に示す組
成からなる培地が100mL入った500mL容の坂口
フラスコに植菌し、30℃で2日間、300rpmの往
復振盪培養を行った。この培養液を遠心分離して菌体を
得、実施例1と同様の抽出処理によりPHBを得た。そ
の結果を表2に示す。
【0012】
【表2】 乾燥菌体中の PHB 菌体 湿菌体量(g) PHB含有率(%) 生産量(g) E-396 26 54 5.6 IFO-13581 23 12 1.1
【0013】比較例1 表1に示す組成からなる培地10mLを直径18mmの
試験管に入れ、121℃で15分間蒸気殺菌した。これ
にアゾトバクター・ビネランデイ(Azotobactervineland
ii)種の菌株であるIFO−13581株を1白金耳植
菌し、30℃で2日間、300rpmの往復振盪培養を
行った。次いで、この培養液10mLを、表1に示す組
成からなる培地が100mL入った500mL容の坂口
フラスコに植菌し、30℃で2日間、300rpmの往
復振盪培養を行った。この培養液を遠心分離して菌体を
得、実施例1と同様の抽出処理によりPHBを得た。そ
の結果を表2に併記した。表2にから明かなように、窒
素源が豊富な表1の培地では、両菌株とも増殖が良好で
あったが、PHB生産量はE−396株の方が に優れ
ている。
【0014】実施例3 表1に示す組成からなる培地10mLを直径18mmの
試験管に入れ、121℃で15分間蒸気殺菌した。これ
にE−396株(FERM BP−4283)を1白金
耳植菌し、30℃で2日間、300rpmの往復振盪培
養を行った。この培養液10mLを、表1に示す組成か
らなる培地が100mL入った500mL容の坂口フラ
スコに植菌し、30℃で2日間、300rpmの往復振
盪培養を行った。次にこの培養液100mLを、表1に
示す組成からなる培地が2L入った5L容の発酵槽に植
菌し、30℃、500rpm、1.0vvmの好気培養
を行った。得られた培養液3.5Lを遠心分離し、湿菌
体875gを得た。これを水及びメタノールで洗浄し、
クロロホルムで抽出した。次いで抽出液にヘキサンを添
加してPHBを析出させ、濾過により析出物を回収して
乾燥したところ、PHB252gを得た。乾燥菌体中の
PHB含有率は72%であった。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、生物分解性と生体適合
性に優れたポリ(3−ヒドロキシ酪酸)を高収率、高収
量で製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (72)発明者 水田 美能 横浜市中区千鳥町8番地 日本石油株式会 社中央技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細菌E−396株(FERM BP−4
    283)またはその突然変異株からなる菌株を、炭素
    源、窒素源及び無機塩が含まれる培地内で培養してポリ
    (3−ヒドロキシ酪酸)を産生させ、次いでその菌体か
    らポリ(3−ヒドロキシ酪酸)を回収することからなる
    ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)の製造方法。
JP9199411A 1997-07-09 1997-07-09 ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)の製造方法 Pending JPH1118790A (ja)

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