JPH11186027A - ラジアル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石及びその製造方法 - Google Patents
ラジアル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石及びその製造方法Info
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- JPH11186027A JPH11186027A JP9351585A JP35158597A JPH11186027A JP H11186027 A JPH11186027 A JP H11186027A JP 9351585 A JP9351585 A JP 9351585A JP 35158597 A JP35158597 A JP 35158597A JP H11186027 A JPH11186027 A JP H11186027A
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Abstract
ついて、高配向及び高密度を維持することにより高い磁
気特性を維持しつつ、高さアップを図る。 【解決手段】異方性磁石粉末と熱硬化性樹脂とからなる
コンパウンドを配向磁場装置を具備する予備成形装置の
予備成形型内で加熱して、熱硬化性樹脂を溶融状態とす
るとともに放射状の配向磁場を作用させて異方性磁石粉
末をラジアル配向させながら圧縮成形することにより、
複数の配向予備成形体1を同時に成形する(配向工
程)。得られた各配向予備成形体1を予備成形装置から
本成形装置の本成形型内にそれぞれ移送して積層する
(移送工程)。その後の本成形工程では、本成形型内で
半溶融半硬化状態の各配向予備成形体1を加熱するとと
もに圧縮成形することにより、熱硬化性樹脂を硬化状態
とするとともに各配向予備成形体1を圧密化しつつ一体
化して所定形状の磁気異方性樹脂結合型磁石2とする。
Description
磁気異方性樹脂結合型磁石及びその製造方法に関する。
本発明に係る磁気異方性樹脂結合型磁石は、例えば、ス
テップモータ(パルスモータ)、直流モータやリニアモ
ータ等のアクチュエータについて、高性能化、高パワー
化(高トルク化)や小型化を図る際に好適に利用するこ
とが可能である。
石の磁気特性に対する要求が益々高まってきている。磁
石の磁気特性を高めるためには、磁石粉末を配向させて
磁気的に異方化することが有効である。磁石粉末を磁気
的に異方化する方法の一つとして、極異方配向法があ
り、従来より焼結フェライト磁石の分野で多用されてい
る。この方法は、成形型に電磁コイル等の磁界発生手段
を埋設し、該磁界発生手段により成形領域に配向磁場を
発生させて圧縮成形するものである。この方法をリング
形状の磁石に適用すれば、磁石粉末の配向方向と着磁方
向とが一致するため、高い磁気特性が得られるという利
点がある。
率を上げるべく電磁コイルを磁性粉末にできるだけ接近
させる必要があることから、その分、成形型として耐え
うる面圧が低下することになる。この場合、焼結フェラ
イト磁石の成形に要する圧力はせいぜい1ton/cm
2 程度であり、それほど問題になることはない。しか
し、磁気異方性樹脂結合型磁石(異方性ボンド磁石)の
製造においては、成形圧力として5〜10ton/cm
2 程度が必要となり、この極異方配向法の利用は、実質
的に不可能となっていた。
樹脂結合型磁石の圧縮成形を行う場合、プレスの上・下
ラムに電磁石を取り付け、対向する磁力線の反発により
放射状の配向磁場(以下、放射状の配向磁場のことを、
適宜、ラジアル磁場と称する。)を形成し、このラジア
ル磁場中で磁石粉末をラジアル配向させて圧縮成形す
る、いわゆるラジアル配向法のみが用いられていた。
磁石の磁気特性を効率的に高めるためには、ラジアル磁
場の大きさをできるだけ大きくすることが重要となる
が、このラジアル磁場の大きさは成形しようとする磁石
のリング形状に依存する。すなわち、磁石の性能(磁気
特性)は磁石の形状因子に左右される。ここに、磁石の
形状因子として、ラジアルファクター値(FR 値)が提
唱されている。これは、内径:d、外径:D、高さ:h
のリング形状を有する磁気異方性樹脂結合型磁石を考え
た場合、FR 値=2Dh/d2 で与えられる(リングの
内周が囲む面積、すなわちリングの中心孔の断面積を
S、リングの外周側面積をAとすれば、FR 値=A/2
Sで与えられる。)。そして、FR 値<1のとき(内径
に対して高さが比較的低いとき)は、磁束密度の確保に
より大きなラジアル磁場を発生させることができるの
で、磁石粉末は十分にラジアル配向して、十分に高い磁
気特性を有するリング形状の異方性樹脂結合型磁石とす
ることができる。一方、1<FR 値<2のとき(内径に
対して高さが比較的高いとき)は、磁束密度の確保が不
十分となり十分に大きなラジアル磁場を発生させること
ができないので、磁石粉末のラジアル配向が不十分とな
り、十分に高い磁気特性を有するリング形状の磁気異方
性樹脂結合型磁石とすることができない。また、FR 値
>2となれば(内径に対して高さがきわめて高いと
き)、もはや磁石粉末をラジアル配向させることができ
ない。
た磁気異方性樹脂結合型磁石においては、内径(外径)
と高さとの寸法比に制約があり、外内周差が1mm程度
の通常のリング形状磁石では、外径の約2/5以下の高
さまでしかラジアル配向させることができない(参照:
プラスチックエージ 1988,8月号、下田達也
著)。
気異方性樹脂結合型樹脂において、磁石粉末を十分にラ
ジアル配向させて良好な磁気特性を維持しつつ、外径に
対して高さを高くすべく、以下に示す種々の方策が従来
より考えられたり、採用されたりしている。 (a)第1の方策は、FR 値<1のリング形状を有し、
したがって磁石粉末が十分にラジアル配向して十分に高
い磁気特性を有する複数個の磁気異方性樹脂結合型磁石
をそれぞれ製造した後、これらを高さ方向に重ねて接着
剤等で接合することにより、高さアップを図るものであ
る。 (b)第2の方策として、特開平2−18905号公報
には、異方性磁石粉末と樹脂結合剤とからなるコンパウ
ンドを成形型内に複数回に分けて供給し、コンパウンド
の供給とラジアル磁場における圧縮成形とを繰り返すこ
とにより、高さを段々と高くする技術が開示されてい
る。この公報に開示された実施例では、30〜40℃に
加熱されたコンパウンドを圧力:3ton/cm2 、配
向磁場:約12kOeの条件でそれぞれ圧縮成形し、こ
れにより最大エネルギー積(BH)max が12.8MG
Oeの磁気異方性樹脂結合型磁石を得ることができると
されている。なお、この磁石のFR 値は1.7程度であ
る。 (c)第3の方策として、特開平3−235311号公
報には、異方性磁石粉末と熱硬化性樹脂とからなるコン
パウンドを加熱することなくラジアル磁場中で予備圧縮
成形し、得られた予備成形体を本成形型内で複数個積層
した状態でラジアル磁場を加えることなく予備成形圧力
とほぼ同等の圧力で本圧縮成形して、高さアップを図る
技術が開示されている。この公報に開示された実施例で
は、温度:室温、圧力:3ton/cm2 、配向磁場:
4kOeの条件で予備圧縮成形するとともに、温度:1
50℃、圧力:4ton/cm2 の条件で本圧縮成形
し、これにより最大エネルギー積(BH)max が17M
GOeの磁気異方性樹脂結合型磁石を得ることができる
とされている。なお、この磁石のFR 値は2.4程度で
ある。
1〜第3の方策には以下に示すそれぞれの欠点があり、
いずれによっても十分に満足できる結果を得ることがで
きない。 (a)第1の方策では、1個の磁気異方性樹脂結合型磁
石を製造するのに要する労力に対して積層する個数倍の
労力が必要であることに加えて、各磁石を接着剤等で接
合する労力も必要であるため、製造工程が複雑であり生
産性がきわめて低いものとなる。
ラツキが生じやすく、高い寸法精度を得ることが困難と
なる。さらに、モータ等の回転体に磁石を適用する場合
に不可欠となる同軸度の確保が困難となり、所定の同軸
度を得るには別途後加工を施す必要がある。 (b)第2の方策では、ラジアル磁場中での圧縮成形の
みによって最終成形体を得ていることから、金型上の制
約を受け、成形圧力を高くして成形体を高密度化するこ
とが困難であるという問題がある。すなわち、成形領域
で高い磁場を発生させるためには、柔らかい軟磁性材
料、非磁性材料を金型に使用しなければならない。これ
らの材料は高圧力に耐え難いため、成形体を高密度化す
ることが困難となり、ひいては高い磁気特性を得ること
が困難となる。
る素形体は弾性体として振る舞うため、高さ方向で密度
ムラを生じやすく、磁気特性のムラが発生しやすいとい
う問題もある。すなわち、上記素形体上に新たに供給さ
れたコンパウンドに印加される圧力は、素形体がその一
部を吸収するため、多段階数が進むにすれて実行値が低
下していく。このため、後の段階で成形される上の部分
ほど密度が低下し、成形体全体としてみれば、密度ムラ
が発生する。したがって、一度のコンパウンドの供給及
び圧縮成形により得られたものと比較して、磁気特性の
ムラが大きくなるとともに、密度ムラの生じている界面
では機械的強度が他の部分より低下し易くなる。
り返すため、生産性が著しく低くなる。 (c)第3の方策は、予備圧縮成形でコンパウンドを加
熱することなくラジアル磁場を加えることにより、磁石
粉末をラジアル配向させて磁石としての性能(磁気特
性)を確保するものである。このように、コンパウンド
中の熱硬化性樹脂が加熱溶融されていない状態でラジア
ル磁場を加えたとしても、磁石粉末自身の回転、移動等
の動きが熱硬化性樹脂により妨げられ易いため、磁石粉
末を十分にラジアル配向させることが困難である。この
ため、高い磁気特性を得ることが困難となる。しかも、
上記特開平3−235311号公報に開示された実施例
では、予備圧縮成形中に配向磁場:4kOeの磁界強さ
でラジアル磁場を加え、また4ton/cm2 の圧力で
本圧縮成形すると記載されているが、高保磁力を有する
希土類磁石粉末がこのように弱い磁界強さで十分に配向
するとは考えられず、またこのように低い圧力では高密
度化することが困難である。したがって、現在、安定的
に製造し得る磁石粉末を使用した場合に、当該公報に開
示された実施例によっては、最大エネルギー積(BH)
max が15MGOe程度以上の高い磁気特性を有する磁
気異方性樹脂結合型磁石を得ることができないと考えら
れる。
的課題を解決すべくなされたものである。 (イ)本発明の第1の課題は、磁石粉末の高配向化及び
高密度化を維持することにより高い磁気特性を維持しつ
つ、高さアップを図ったラジアル配向した磁気異方性樹
脂結合型磁石を提供することにある。 (ロ)本発明の第2の課題は、磁石粉末の高配向化及び
高密度化を維持することにより高い磁気特性を維持する
とともに、高い同軸度を維持しつつ、高さアップを図っ
たラジアル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石を提供す
ることにある。 (ハ)本発明の第3の課題は、磁石粉末の高配向化及び
高密度化を維持することにより高い磁気特性を維持する
とともに、高い同軸度及び高い寸法精度を維持しつつ、
高さアップを図ったラジアル配向した磁気異方性樹脂結
合型磁石を生産性高く提供することにある。
石粉末と熱硬化性樹脂とからなるコンパウンド中での異
方性磁石粉末の配向について検討と試作を繰り返した結
果、コンパウンド中の熱硬化性樹脂が加熱されて溶融状
態になったときに磁場を作用し圧縮成形することにより
異方性磁石粉末が容易に高配向すること、および磁場の
作用を切っても異方性磁石粉末の高配向が維持されるこ
とを発見、確認し、かかる発見に基づいて完成した磁気
異方性樹脂結合型磁石の製造方法の発明について、先に
出願した(特願平8−175217号。)。本発明は、
この先の出願に係る発明を改良することにより完成され
たものである。 (イ)上記第1の課題を解決する請求項1記載のラジア
ル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石は、異方性磁石粉
末と熱硬化性樹脂とからなるコンパウンドを放射状の配
向磁場中で該異方性磁石粉末をラジアル配向させながら
圧縮成形して得られるラジアル配向した磁気異方性樹脂
結合型磁石であって、内径:d、外径:D、高さ:hと
したとき、 FR 値=2Dh/d2 …(1) 上記(1)で示されるラジアルファクター値(FR 値)
が1.0を越えるリング形状を有し、磁石の密度:
ρM 、異方性磁石粉末の密度:ρP 、熱硬化性樹脂の密
度:ρR、磁石の体積:VM 、異方性磁石粉末の体積:
VP 、熱硬化性樹脂の体積:VRとしたとき、 相対密度=ρM /(ρP ・VP /VM +ρR ・VR /VM ) …(2) 上記(2)式で示される相対密度が90%以上で、B
r:残留磁束密度、Is:飽和磁化としたとき、 配向度=Br/4πIs …(3) 上記(3)式で示される異方性磁石粉末の配向度が80
%以上であることを特徴とする。
型磁石は、磁石粉末の配向度が80%以上と高く、か
つ、相対密度が90%以上と高いため、きわめて高い磁
気特性を発揮する。そして、このように高い磁気特性を
維持しつつ、ラジアルファクター値(FR 値)が1.0
を越えるように高さアップが図られているため、この磁
気異方性樹脂結合型磁石をステップモータ(パルスモー
タ)、直流モータやリニアモータ等のアクチュエータに
適用すれば、アクチュエータの高性能化、高パワー化
(高トルク化)や小型化を効果的に達成することが可能
となる。 (ロ)上記第2の課題を解決する請求項2記載のラジア
ル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石は、請求項1記載
のラジアル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石におい
て、0.03mm以下の高い同軸度を有することを特徴
とする。
型磁石は、同軸度が0.03mm以下と高いため、上記
したモータ等の回転体に好適に利用することができる。 (ハ)上記第3の課題を解決する請求項3記載のラジア
ル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石の製造方法は、異
方性磁石粉末と熱硬化性樹脂とからなるコンパウンドを
放射状の配向磁場中で該異方性磁石粉末をラジアル配向
させながら圧縮成形して所定形状のラジアル配向した磁
気異方性樹脂結合型磁石を製造する方法において、配向
磁場装置を具備する予備成形装置の予備成形型内で前記
コンパウンドを加熱して該熱硬化性樹脂を溶融状態とす
るとともに放射状の配向磁場を作用させて該異方性磁石
粉末をラジアル配向させながら圧縮成形することによ
り、複数の配向予備成形体を同時に成形する配向工程
と、配向工程で得られた各該配向予備成形体を該予備成
形装置から本成形装置の本成形型内にそれぞれ移送して
積層する移送工程と、該本成形型内で半溶融半硬化状態
の各該配向予備成形体を加熱するとともに圧縮成形する
ことにより、該熱硬化性樹脂を硬化状態とするとともに
各該配向予備成形体を圧密化しつつ一体化して所定形状
の磁気異方性樹脂結合型磁石とする本成形工程と、から
なることを特徴とする。
では、その配向工程において、コンパウンドを構成する
熱硬化性樹脂が溶融状態となりコンパウンドが最も低粘
性となった状態でラジアル磁場を作用させる。このた
め、コンパウンドの他の構成成分である異方性磁石粉末
は、溶融した熱硬化性樹脂の流動体としての性質に助け
られてコンパウンド中で容易に回転、移動等して磁場方
向に均一に配向する。そして、このように異方性磁石粉
末がラジアル配向した状態で、型内で圧縮成形すること
により、異方性磁石粉末のラジアル配向を維持しつつ、
次工程での搬送のために必要な強度を付与された所定寸
法の配向予備成形体が得られる。
成形体の複数個が予備成形装置から本成形装置の本成形
型内に移送されて積層される。ここに、溶融状態とされ
た熱硬化性樹脂が熱により硬化するためには所定の時間
を必要とし、熱硬化性樹脂が硬化する前に各配向予備成
形体は予備成形型内から本成形型内に移送される。この
配向予備成形体は異方性磁石粉末がラジアル配向してチ
ェーン状の連鎖を形成しており、連鎖を形成している異
方性磁石粉末の周囲には半溶融半硬化状態の樹脂及び微
細空間が存在している。
溶融半硬化状態の各配向予備成形体が加熱されるととも
に再び圧縮成形される。これにより、未だ完全には硬化
していない熱硬化性樹脂が異方性磁石粉末間の狭い間隙
に浸透しつつ上記微細空間が押し潰されて各配向予備成
形体が圧密化されるとともに、該熱硬化性樹脂の硬化反
応の進行に伴って各配向予備成形体同士はその界面がほ
ぼ消失して一体化され、高寸法精度で高ラジアル配向し
た磁気異方性樹脂結合型磁石となる。また、本成形型内
で配向予備成形体を積層するとともに積層された各配向
予備成形体を圧縮成形により一体的に接合するため、得
られる磁気異方性樹脂結合型磁石は同軸度の高いものと
なる。なお、熱硬化性樹脂の硬化がほぼ完了した配向チ
ェーン間の未硬化分が潤滑剤として働き、本成形時に高
圧力が作用したとしても、それによって異方性磁石粉末
の配向が乱されることはない。
石粉末の配向を配向工程の予備成形で行い、高圧縮を必
要とする圧縮成形を本成形で行い、異なる機能をそれぞ
れ異なる工程で付与している。そして、磁場配向と高圧
縮とを同時に達成しなくても、得られる磁気異方性樹脂
結合型磁石の磁気特性は変わらない。このため、この製
造方法では、成形装置を安価にすることができるととも
に、配向工程と再圧縮の本成形工程とを連続化し、同時
進行することにより、生産性を倍増することができる。
また、金型を磁場配向用と再圧縮用に分けることにより
金型の寿命が長くなる。そして得られる磁気異方性樹脂
結合型磁石は型成形されたものであり、寸法精度が高
い。
粉末の高配向化及び高密度化を維持することにより高い
磁気特性を維持するとともに、高い同軸度及び高い寸法
精度を維持しつつ、高さアップを図ったラジアル配向し
た磁気異方性樹脂結合型磁石を生産性高く製造すること
ができる。
気異方性樹脂結合型磁石は、異方性磁石粉末と熱硬化性
樹脂とからなるコンパウンドを放射状の配向磁場中で該
異方性磁石粉末をラジアル配向させながら圧縮成形して
得られる。なお、必要に応じて、潤滑剤、カップリング
剤、硬化剤や硬化促進剤等をコンパウンド中に含ませる
ことも可能である。
は粒径44μm程度以下の微粉末がよい。また、異方性
磁石粉末の粒径は44〜425μm程度とすることがよ
い。具体的な熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂を挙げることができ
る。異方性磁石粉末としては、フェライト磁石粉末も使
用できるが、磁気特性の優れた希土類磁石粉末が好まし
い。希土類磁石としては、具体的にNd−Fe−B系、
Sm−Co系、Sm−Fe−N系等を挙げることができ
る。
全体を100体積%としたとき、10〜20体積%とす
ることが好ましい。熱硬化性樹脂の配合割合が多いと、
得られる磁石の磁気特性が低くなる。逆に、熱硬化性樹
脂の配合割合が少ないと、成形性が悪くなるとともに後
述する配向工程での異方性磁石粉末の配向が不十分とな
り、磁気特性が低下する。
樹脂結合型磁石は、内径:d、外径:D、高さ:hとし
たとき、FR 値=2Dh/d2 で示されるラジアルファ
クター値(FR 値)が1.0を越えるリング形状を有
し、また磁気異方性樹脂結合型磁石の密度:ρM 、異方
性磁石粉末の密度:ρP 、熱硬化性樹脂の密度:ρR 、
磁気異方性樹脂結合型磁石の体積:VM 、異方性磁石粉
末の体積:VP 、熱硬化性樹脂の体積:VR としたと
き、相対密度=ρM /(ρP ・VP /VM +ρR ・VR
/VM )で示される相対密度が90%以上で、さらにB
r:残留磁束密度、Is:飽和磁化としたとき、配向度
=Br/4πIsで示される異方性磁石粉末の配向度が
80%以上であることを特徴とする。
ρM は、磁気異方性樹脂結合型磁石の質量と見掛けの体
積とから求めた見掛けの密度である。上記FR 値の上限
については、特に限定されず、本発明に係る磁気異方性
樹脂結合型磁石に要求される磁石性能(磁気特性)やサ
イズ等に応じて適宜設定可能であるが、あまりにもFR
値が大きすぎると配向予備成形体の積層数が多くなり、
生産効率が低下するおそれがあるため、2程度とするこ
とが好ましい。
れば高いほど磁気特性を高くすることができるため、可
能な限り高くすることが好ましいが、相対密度を高くす
るには成形圧力も高くする必要があり、その分金型寿命
が低下するおそれがある。このため、金型寿命の観点か
らその上限は95%程度とされる。上記配向度について
は、配向度が高ければ高いほど磁気特性を高くすること
ができるため、可能な限り高くすることが好ましい。た
だし、配向度を高くするには、磁気誘導する金型の材質
の飽和磁束密度を高くして配向磁場を高くする必要があ
るが、飽和磁束密度を高くするとその分強度が低下し
て、配向予備成形型の耐久性が低下するおそれがある。
このため、磁気誘導を行う配向予備成形型の耐久性の観
点からその上限は90%程度とされる。
異方性樹脂結合型磁石は、好適な態様において、0.0
3mm以下の高い同軸度を有することを特徴とする。こ
こに、同軸度とは、データム軸直線と同一直線上にある
べき軸線のデータム軸直線からの狂いの大きさをいう
(JIS B 0621の幾何偏差の定義に基づく)。
好ましいが、金型のクリアランス等の観点からその上限
(同軸度を示す数値の下限)は0.01mm程度とされ
る。上述の構成を有する本発明に係るラジアル配向した
磁気異方性樹脂結合型磁石は、請求項3に記載された本
発明に係るラジアル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石
の製造方法により製造することができる。この製造方法
は、配向工程と移送工程と本成形工程とからなる。
る予備成形装置を使用する。この予備成形装置は配向磁
場装置を組み込んだ圧縮成形装置と考えることができ
る。配向磁場装置及び圧縮成形装置共に従来より公知の
ものを使用できる。ここに、成形領域での高い配向磁場
を確保するために、予備成形型の材質を配向磁場に適し
た軟磁性体又は非磁性体とすることが好ましい。こらら
の軟磁性体又は非磁性体は、高圧力に耐えうることが困
難であるため、一般に型の材質としては好ましくない材
料である。しかし、本発明に係る配向工程では、異方性
磁石粉末のラジアル配向を維持しつつ、次工程での搬送
のために必要な強度を付与する程度の圧力で圧縮成形す
れば足りることから、軟磁性体又は非磁性体よりなる予
備成形型であっても圧縮成形時の圧力に十分に耐えう
る。なお、圧縮成形時の圧力を小さくし、型の材質とし
ては好ましくない材料で作られた予備成形型を保護する
こともできる。
形体の個数に応じて予備成形装置を複数使用し、それぞ
れの予備成形装置における予備成形を同時進行させる。
この配向工程では、まず予備成形型にコンパウンドを供
給する。コンパウンドの供給量は得られる磁石の寸法精
度に影響するため正確に所定量のコンパウンドを予備成
形型に投入しなければならない。コンパウンドの加熱は
予備成形型を加熱し型から伝達される熱で加熱すること
ができる。なお、成形性に悪い影響がなければ、他の加
熱手段を採用することもできる。例えば、予めコンパウ
ンドを無加熱で加圧成形してグリーンコンパクトとし、
このグリーンコンパクトを予備成形型外で加熱し、直ち
に予備成形型に投入して配向工程を実施することもでき
る。
熱硬化性樹脂の粘度が最も低くなった時である。熱硬化
性樹脂は加熱により軟化して溶融する。その後、硬化反
応が進行し固くなる。磁場を作用させる時期および加圧
時期は、この熱硬化性樹脂が加熱されて軟化した後で、
かつ、硬化反応の進行により粘度が高くなる前とする。
なお、硬化反応の速さ、軟化した時の樹脂粘度は熱硬化
性樹脂の種類、使用する硬化促進剤等の助剤等によって
異なる。従って、使用する熱硬化性樹脂は成形タクト等
の成形条件に合わせて選択する必要がある。また、磁場
を作用させる時期および加圧時期も使用する熱硬化性樹
脂によって管理する必要がある。
体の密度及び熱硬化性樹脂の硬化度合は、本成形後に得
られる磁気異方性樹脂結合型磁石の磁気特性に影響を与
える。すなわち、配向予備成形体の密度が低すぎると、
磁気異方性樹脂結合型磁石の最大エネルギー積(BH)
max が低くなり、また高さ方向における最大エネルギー
積(BH)max の差が大きくなる。このため、配向予備
成形体の密度は、本成形工程完了により製造される磁気
異方性樹脂結合型磁石の密度に対して、85%以上とす
ることが好ましく、90%以上とすることが特に好まし
い。なお、配向予備成形体の密度が高めると、磁気異方
性樹脂結合型磁石の最大エネルギー積(BH)max も向
上するが、予備成形する際の成形型の寿命が短くなる。
また、本成形工程完了後の完全に硬化した熱硬化性樹脂
の硬化度合に対する配向予備成形体における熱硬化性樹
脂の硬化度合の割合(以下、「配向予備成形体の相対硬
化度」という)が低すぎる場合又は高すぎる場合は、磁
気異方性樹脂結合型磁石の最大エネルギー積(BH)ma
x が低くなる。このため、配向予備成形体の相対硬化度
は20〜80%とすることが好ましく、30〜50%と
することが特に好ましい。
は8〜12kOe程度でよく、磁界はパルス的に作用さ
せても、静的に作用させてもよい。また、成形圧力は
1.0〜3.0ton/cm2 程度とすることができる
が、上述したように配向予備成形体の密度を磁気異方性
樹脂結合型磁石の密度に対して85%以上とすべく、
2.0ton/cm2 以上とすることが好ましい。な
お、成形圧力が3.0ton/cm2 を越えると、予備
成形時の成形型の寿命に低下させるおそれがある。これ
により異方性磁石粉末が十分に配向し、所定形状を持ち
かつ取り扱える程度に固い配向予備成形体が成形でき
る。なお、予備成形型からの脱型を容易にするため、異
方性磁石粉末を配向させた後減磁処理を施すこともでき
る。減磁処理は通常実施されている減磁処理をそのまま
採用できる。また、成形温度については、上述したよう
に配向予備成形体の相対硬化度を20〜80%とすべ
く、95〜160℃とすることが好ましく、また配向予
備成形体の相対硬化度を30〜50%とすべく、100
〜120℃とすることが特に好ましい。
れた配向予備成形体の複数個を予備成形装置から本成形
装置に移送して積層する工程である。この移送工程で
は、減圧吸着アタッチメント等のロボットアームを用い
て配向予備成形体を予備成形装置から本成形装置に移送
してもよいし、プレス装置のトランスファー装置のよう
に、予備成形装置と本成形装置との間に配向予備成形体
を移送する移送保持具を配置して行ってもよい。
硬化反応が進行しているため、できるだけ早く本成形を
行うのが好ましい。このため移送工程は迅速に行うのが
望ましい。本発明の本成形工程は、本成形型内で半溶融
半硬化状態の各配向予備成形体を加熱するとともに圧縮
成形することにより、熱硬化性樹脂を硬化状態とすると
ともに各配向予備成形体を圧密化しつつ一体化して所定
形状の磁気異方性樹脂結合型磁石とするものである。こ
の本成形工程では本成形装置を使用する。この本成形装
置は通常の圧縮成形装置をそのまま使用してもよい。本
成形工程では配向工程における成形圧力より強い圧力を
作用させるようにするのが好ましい。また、加熱圧縮成
形条件については、熱硬化性樹脂による異方性磁石粉末
の固定がより確実となるように、温度、圧力、時間を最
適化する。具体的には、温度:150〜180℃、圧
力:7.0〜10.0Ton/cm2、時間:3〜10
秒の加圧持続が好ましい。なお、この本成形工程では、
各配向予備成形体は10%程度以上の圧縮率(圧縮成形
前の配向予備成形体の比容積:Vb 、圧縮成形後の配向
予備成形体の比容積:Va としたとき、{(Vb −
Va )/Vb }×100(%)の値が10%以上)で圧
縮される。
配向予備成形体をさらに加熱するのが好ましい。本成形
装置から取り出した後、得られた磁気異方性樹脂結合型
磁石を加熱炉中に入れ、さらに加熱して熱硬化性樹脂の
硬化を完了させる後加熱工程を実施してもよい。また、
得られた磁気異方性樹脂結合型磁石の着磁を行う着磁工
程を実施することもできる。
する。 (実施例1)磁気合金の化学組成が、Nd:12.7
(at%)、B:6.0(at%)、Co:17.1
(at%)、Ga:0.3(at%)、Zr:0.1
(at%)、Fe:残り(合金全体で100原子%)と
なる合金原料をボタンアーク溶解炉にて溶解・鋳造して
インゴットを作製した。得られた合金のインゴットを1
100℃で40時間の均質化処理を施した。
の塊に粗砕した後、水素ガス吸蔵処理を施した。この水
素ガス吸蔵処理は、水素ガス圧力0.5kg/cm2 の
雰囲気下で室温から800℃まで約1時間かけて昇温
し、800℃で3時間保持することにより行った。その
後、5×10-5Torrの真空雰囲気下で800℃にて
30分間保持して脱水素処理を行い、室温に急冷した。
得られた原料合金は、乳鉢で軽く粉砕して、異方性磁石
粉末を得た。
ー積((BH)max )が34MGOe、残留磁束密度
(Br)が13.0kG、保磁力(iHc)が12.5
kOe、粒径が44〜180μmであった。一方、主剤
としてのエポキシ樹脂粉末(油化シェル社製の商品名
「エピコート1004」)と、硬化剤としてのジアミノ
ジフェニルメタン(DDM)(和光純薬工業社製)とを
加熱混合した後に粉砕して、粒径44μm以下の熱硬化
性樹脂粉末とした。
熱硬化性樹脂粉末を20vol%の配合比でそれぞれ秤
量して混合し、これにシラン系カップリング剤を0.3
重量%添加、混合してコンパウンドを得た。本実施例で
は図1に示す磁気異方性樹脂結合型磁石の製造装置を使
用した。この装置は、配向磁場装置10を具備する予備
成形装置20と本成形装置40とからなる。
タ)21を内蔵し中央に貫通孔からなる成形孔23を区
画する筒状の予備成形ダイ22と、成形孔23内に上側
開口から挿入される筒状の上パンチ24と、成形孔3内
に下側開口から挿入される筒状の下パンチ25と、上パ
ンチ24内に上側開口から挿入可能な円柱状の上コア2
6と、下パンチ25内に下側開口から挿入可能で上コア
26と当接する円柱状の下コア27と、上パンチ24の
上端に溶接して一体化されている上パンチ基部28と、
下パンチ27の下端にネジ止めして一体化されている下
パンチ基部29と、上コア26及び下コア27を互いに
近接する方向に加圧するコア加圧装置30と、上パンチ
基部28及び下パンチ基部29を互いに近接する方向に
加圧するパンチ加圧装置31とからなる。ここに、上記
上パンチ基部28及び下パンチ基部29は、それぞれ上
可動磁極及び下可動磁極として機能する。
上パンチ基部28及び下可動磁極としての下パンチ基部
29にそれぞれ磁気を供給する上電磁コイル11及び下
電磁コイル12を備えている。ここに、予備成形ダイ2
2、上コア26、下コア27、上可動磁極としての上パ
ンチ基部28及び下可動磁極としての下パンチ基部29
は軟磁性材料としてのパーメンジュールで形成されてお
り、上パンチ24及び下パンチ25は非磁性プレス鋼
(HPM75)で形成されている。
11から出る磁力線は上可動磁極としての上パンチ基部
28及び上コア26を通り、上コア26から遠心方向に
放射状に成形孔23を通り予備成形ダイ22に入る。そ
して予備成形ダイ22より上電磁コイル11に戻る。一
方、下電磁コイル12から出る磁力線は下可動磁極とし
ての下パンチ基部29及び下コア27を通り上コア26
に入る。そして上コア26から遠心方向に放射状に成形
孔53を通り予備成形ダイ22に入る。そして予備成形
ダイ22より下電磁コイル12に戻る。このように、こ
の予備成形装置20ではその成形孔23には磁力線が遠
心方向に放射線状に伸びてラジアル磁場が形成される。
このため、内周面側が一方の磁極となり外周面側が他方
の磁極となる配向予備成形体が成形できる。
備成形体の個数分だけ準備し、それぞれの予備成形装置
20における予備成形は同時に進行される。本成形装置
40は、加熱源41をもち中央に貫通孔からなる成形孔
43を区画する筒状の本成形ダイ42と、成形孔43内
に上側開口から挿入される筒状の上パンチ44と、成形
孔43内に下側開口から挿入される筒状の下パンチ45
と、上パンチ44内に上側開口から挿入可能な円柱状の
上コア46と、下パンチ45内に下側開口から挿入可能
で上コア46と当接する円柱状の下コア47と、上パン
チ44の上端にネジ止めして一体化されている上パンチ
基部48と、下パンチ45の下端に溶接して一体化され
ている下パンチ基部49と、上コア46及び下コア47
を互いに近接する方向に加圧するコア加圧装置50と、
上パンチ基部48及び下パンチ基部49を互いに近接す
る方向に加圧するパンチ加圧装置51とからなる。この
本成形装置40は予備成形装置20で着磁された配向予
備成形体をより高圧で圧縮成形するもので、配向磁場装
置は設けられていない。なお、本成形ダイ42、上パン
チ44及び下パンチ45は合金工具鋼(SKD61)で
形成されている。
を示すリング状の磁気異方性樹脂結合型磁石を製造し
た。 (配向工程)まず、各予備成形装置20を用いて、温
度:120℃、圧力:3.0ton/cm2 、配向磁
場:10kOeの予備成形条件で前記コンパウンドから
2個の配向予備成形体1を同時に成形した。この際の成
形タイミングは、以下のとおりである。すなわち、コン
パウンドを供給してから10秒間静置してコンパウンド
を所定温度とした後、磁場を投入した。磁場を投入して
からさらに10秒間磁場を作用させ続けて保持した後、
磁場を作用させ続けながら5秒間加圧維持した。
寸法は、外径(D):21.9mm、内径(d):1
9.5mm、高さ(h):5.5mmである。 (移送工程)得られた2個の配向予備成形体1を、減圧
吸着アタッチメントを用いて予備成形装置20から本成
形装置40に移送して積層した。
用いて、温度:150℃、圧力:10.0ton/cm
2 の本成形条件で、積層された配向予備成形体1を本成
形した。この際の成形タイミングは、以下のとおりであ
る。すなわち、配向予備成形体1の積層が完了してから
10秒間静置して各配向予備成形体1を所定温度とした
後、10秒間加圧維持した。
石2の外形寸法は、外径(D):21.9mm、内径
(d):19.5mm、高さ(h):10.0mmであ
る。 (実施例2)配向予備成形体1の積層数を4個として、
得られる磁気異方性樹脂結合型磁石2の外形寸法を外径
(D):21.9mm、内径(d):19.5mm、高
さ(h):20.0mmとすること以外は、上記実施例
1と同様である。
を外径(D):30.1mm、内径(d):27.7m
m、高さ(h):11.0mmとして、得られる磁気異
方性樹脂結合型磁石2の外形寸法を外径(D):30.
1mm、内径(d):27.7mm、高さ(h):2
0.0mmとすること以外は、上記実施例1と同様であ
る。
4個として、得られる磁気異方性樹脂結合型磁石2の外
形寸法を外径(D):30.1mm、内径(d):2
7.7mm、高さ(h):30.0mmとすること以外
は、上記実施例3と同様である。 [第1の比較例]この比較例は、1個の配向予備成形体
を積層することなくそのまま本成形したものである。
び予備成形条件で、上記実施例1で準備したコンパウン
ドから外形寸法が外径(D):21.9mm、内径
(d):19.5mm、高さ(h):5.5mmの配向
予備成形体を1個成形した。そして、この配向予備成形
体を上記実施例1と同様の本成形条件で本成形して、外
形寸法が外径(D):21.9mm、内径(d):1
9.5mm、高さ(h):5.0mmの磁気異方性樹脂
結合型磁石を製造した。
外径(D):30.1mm、内径(d):27.7m
m、高さ(h):11.0mmとして、磁気異方性樹脂
結合型磁石の外形寸法を外径(D):30.1mm、内
径(d):27.7mm、高さ(h):10.0mmと
すること以外は、上記比較例1と同様である。
1.0以下のリング形状の磁気異方性樹脂結合型磁石を
複数個積層し、各磁気異方性樹脂結合型磁石を接着剤で
接合して一体化することにより、FR 値が1.0を越え
るリング形状の磁気異方性樹脂結合型磁石を製造するも
のである。
び予備成形条件で、上記実施例1で準備したコンパウン
ドから外形寸法が外径(D):21.9mm、内径
(d):19.5mm、高さ(h):5.5mmの配向
予備成形体を複数個成形した。そして、各配向予備成形
体を上記実施例1と同様の本成形条件で本成形した。得
られた磁気異方性樹脂結合型磁石を2個積層し、接着剤
で接合して一体化することにより、外形寸法が外径
(D):21.9mm、内径(d):19.5mm、高
さ(h):10.0mmの磁気異方性樹脂結合型磁石を
製造した。
個として、最終的に得られる磁気異方性樹脂結合型磁石
の外形寸法を外径(D):21.9mm、内径(d):
19.5mm、高さ(h):20.1mmとすること以
外は、上記比較例1と同様である。 (比較例5)配向予備成形体の外形寸法を外径(D):
30.1mm、内径(d):27.7mm、高さ
(h):11.0mmとするとともに、配向予備成形体
の積層数を2個として、最終的に得られる磁気異方性樹
脂結合型磁石の外形寸法を外径(D):30.1mm、
内径(d):27.7mm、高さ(h):20.1mm
とすること以外は、上記比較例1と同様である。
個として、最終的に得られる磁気異方性樹脂結合型磁石
の外形寸法を外径(D):30.1mm、内径(d):
27.7mm、高さ(h):30.1mmとすること以
外は、上記比較例5と同様である。 [第3の比較例]この比較例は、コンパウンドを成形型
内に複数回に分けて供給し、コンパウンドの供給とラジ
アル磁場における圧縮成形とを繰り返すことにより、高
さを段々と高くして最終的にFR 値が1.0を越えるリ
ング形状の磁気異方性樹脂結合型磁石を製造するもので
ある。
形装置20を用いて、温度:150℃、圧力:3.0t
on/cm2 、配向磁場:10kOeの成形条件で、上
記実施例1で準備したコンパウンドから磁気異方性樹脂
結合型磁石を製造した。この際、コンパウンドの供給と
ラジアル磁場における圧縮成形とを繰り返しことによ
り、高さを段々と高くして最終的に外形寸法が外径
(D):21.9mm、内径(d):19.5mm、高
さ(h):10.0mmの磁気異方性樹脂結合型磁石を
製造した。
m2 とするとともに、最終的な外形寸法を外径(D):
21.9mm、内径(d):19.5mm、高さ
(h):20.1mmとすること以外は、上記比較例7
と同様である。 (比較例9)最終的な外形寸法を外径(D):30.1
mm、内径(d):27.7mm、高さ(h):20.
1mmとすること以外は、上記比較例7と同様である。
cm2 とするとともに、最終的な外形寸法を外径
(D):30.1mm、内径(d):27.7mm、高
さ(h):30.1mmとすること以外は、上記比較例
7と同様である。 [第4の比較例]この比較例は、コンパウンドを加熱す
ることなくラジアル磁場中で予備圧縮成形し、得られた
予備成形体を本成形型内で複数個積層した状態でラジア
ル磁場を加えることなく予備成形圧力とほぼ同等の圧力
で本圧縮成形することにより高さアップを図って、最終
的にFR 値が1.0を越えるリング形状の磁気異方性樹
脂結合型磁石を製造するものである。
成形装置20を用いて、温度:室温、圧力:3.0to
n/cm2 、配向磁場:4kOeの予備成形条件で、上
記実施例1で準備したコンパウンドから配向予備成形体
を複数個成形した。この配向予備成形体は、上記実施例
1で成形した配向予備成形体1と同様の外形寸法(外径
(D):21.9mm、内径(d):19.5mm、高
さ(h):5.5mm)を有する。そして、上記実施例
1で用いた本成形装置40を用い、得られた各配向予備
成形体を2個積層した状態で、温度:150℃、圧力:
4.0ton/cm2 の本成形条件で本成形して、外形
寸法が外径(D):21.9mm、内径(d):19.
5mm、高さ(h):10.0mmの磁気異方性樹脂結
合型磁石を製造した。
4個として、得られる磁気異方性樹脂結合型磁石の外形
寸法を外径(D):21.9mm、内径(d):19.
5mm、高さ(h):20.1mmとすること以外は、
上記比較例11と同様である。 (比較例13)配向予備成形体の外形寸法を外径
(D):30.1mm、内径(d):27.7mm、高
さ(h):11.0mmとするとともに、配向予備成形
体の積層数を2個として、得られる磁気異方性樹脂結合
型磁石の外形寸法を外径(D):30.1mm、内径
(d):27.7mm、高さ(h):20.1mmとす
ること以外は、上記比較例11と同様である。
3個として、得られる磁気異方性樹脂結合型磁石2の外
形寸法を外径(D):30.1mm、内径(d):2
7.7mm、高さ(h):30.1mmとすること以外
は、上記比較例13と同様である。 (評価)上記実施例1〜6及び比較例1〜14の磁気異
方性樹脂結合型磁石について、FR 値、同軸度、最大エ
ネルギー積(BH)max 、高さ方向における最大エネル
ギー積(BH)max の分布、密度、相対密度、及び配向
度を調べた。その結果を表1及び表2にそれぞれ示す。
は、磁気異方性樹脂結合型磁石の一部を切り出した後、
VSM振動型磁力計により調べた。そして、高さ方向に
おける最大エネルギー積(BH)max の分布について
は、磁石の高さ方向において、(BH)max が最大にな
る部位での最大値と、(BH)max が最小になる部位で
の最小値との差を求め、この差の(BH)max の平均値
に対する割合を求め、これを(BH)max の差(%)と
して求めた。したがって、(BH)max の差の値が大き
ければ、高さ方向において最大エネルギー積(BH)ma
x が部位によって大きくばらつくことを示す。また、表
1及び表2に示す最大エネルギー積(BH)max の値
は、最大エネルギー積(BH)max の平均値である。
ンドテスター」)により測定した。密度は磁気異方性樹
脂結合型磁石の質量と見掛けの体積とから求めた見掛け
の密度である。また、相対密度は前述の(2)式から求
めた値である。配向度は、残留磁束密度Br及び飽和磁
化IsをVSM振動型磁力計により調べ、これらの測定
値を基に前述の(3)式から求めた値である。
の磁気異方性樹脂結合型磁石は、同軸度が0.02〜
0.03mmと高く、最大エネルギー積(BH)max が
17.3MGOe以上と大きく、最大エネルギー積(B
H)max の差が5.7%以下と小さく、密度が6.13
g/cm3 と高く、相対密度が93%以上と高く、配向
度が80%以上と高かった。したがって、本実施例の製
造方法により、FR 値が1.0を越えるようなリング形
状であっても、磁気特性、同軸度及び寸法精度が高く、
また磁気特性が高さ方向において均一な磁気異方性樹脂
結合型磁石を提供することが可能となる。
層した磁気異方性樹脂結合型磁石を接着剤で接合した第
2の比較例に係る比較例3〜6では、同軸度が0.10
mm以上と低く、また最大エネルギー積(BH)max の
差が7.0%以上と大きかった。また、コンパウンドの
供給とラジアル磁場における圧縮成形とを繰り返して製
造した第3の比較例に係る比較例7〜10では、最大エ
ネルギー積(BH)maxが15.3MGOe以下と小さ
く、最大エネルギー積(BH)max の差が9.5%以上
と大きく、密度が5.85g/cm3 と低く、相対密度
が89%以上と低く、配向度が72%以下と低かった。
最大エネルギー積(BH)max が小さいのは、密度及び
相対密度が低く、また配向度も低いことに因る。最大エ
ネルギー積(BH)max の差が大きく、高さ方向におい
て(BH)max の値がばらつくのは、高さ方向で密度ム
ラが生じていることに因るものと考えられる。密度及び
相対密度が低いのは、ラジアル磁場中での圧縮成形のみ
によって最終成形体を得る製造方法では、金型上の制約
を受けるため、成形圧力を高くできないことに因る。配
向度が低いのは、圧力の繰り返し印加により配向を乱し
たためと考えられる。
ジアル磁場中で予備圧縮成形し、得られた予備成形体を
本成形型内で複数個積層した状態でラジアル磁場を加え
ることなく本圧縮成形して製造した第4の比較例に係る
比較例11〜14では、最大エネルギー積(BH)max
が14.5MGOe以下と小さく、密度が5.60g/
cm3 と低く、相対密度が85%以上と低く、配向度が
72%以下と低かった。最大エネルギー積(BH)max
が小さいのは、密度及び相対密度が低く、また配向度も
低いことに因る。密度及び相対密度が低いのは、本圧縮
成形時の成形圧力が低いことに因る。なお、第4の比較
例で示した製造方法は、配向工程での予備圧縮成形で磁
石としての機能(磁気特性)を確保し、本成形で積層さ
れた予備成形体を加熱、圧縮して一体化させるものであ
る。このような方法では、本成形時に未硬化樹脂分が溶
融して潤滑作用と強く働き、また空気の逃げ道が形成さ
れるので、熱硬化性樹脂の硬化が比較的進行してそのま
まの形で維持され易い配向チェーンが形成される本実施
例の方法と比較して、本成形時に高圧力が付与されるこ
とにより磁石粉末の配向が乱され易い。このため、第4
の比較例で示した方法では、本成形時に高圧力を付与す
ることが困難である。配向度が低いのは、配向工程での
予備圧縮成形時にコンパウンド中の熱硬化性樹脂が加熱
溶融されていない状態でラジアル磁場を加えているた
め、磁石粉末自身の回転、移動等の動きが熱硬化性樹脂
により妨げられ易いことに因る。
る実施例2において、配向工程における成形条件(温
度、圧力)を種々変更して、配向予備成形体の密度及び
相対硬化度を種々変更し、磁気異方性樹脂結合型磁石の
磁気特性に対する影響を調べた。 (実施例2)前述の実施例2の配向工程における成形条
件は、温度:120℃、圧力3.0ton/cm2 、配
向磁場:10kOeであり、本成形工程における成形条
件は温度:150℃、圧力:10.0ton/cm2 で
ある。なお、実施例2で得られた磁気異方性樹脂結合型
磁石の外形寸法は、外径(D):21.9mm、内径
(d):19.5mm、高さ(h):20.0mmであ
る。
温度:100℃とすること以外は、上記実施例2と同様
である。 (実施例6)配向工程における成形条件を温度:160
℃とすること以外は、上記実施例2と同様である。
温度:80℃とすること以外は、上記実施例2と同様で
ある。 (実施例8)配向工程における成形条件を圧力:1.5
ton/cm2 とすること以外は、上記実施例2と同様
である。
圧力:4.0ton/cm2 とすること以外は、上記実
施例2と同様である。 (評価)上記実施例2、5〜9について、配向工程後に
得られた配向予備成形体1の密度、最大エネルギー積
(BH)max 及び相対硬化度を調べた。なお、相対硬化
度は、ゲル抽出法による定量分析で測定することにより
調べた。さらに、本成形工程後に得られた磁気異方性樹
脂結合型磁石の密度、最大エネルギー積(BH)max 及
び最大エネルギー積(BH)max の差を調べた。これら
の結果を表3に示す。なお、表3中、配向予備成形体の
密度における括弧内の数値は、磁気異方性樹脂結合型磁
石の密度に対する配向予備成形体1の密度の割合であ
る。
備成形時の成形圧力が1.5ton/cm2 と低く、こ
のため配向予備成形体1の密度が5.05g/cm2 (磁
気異方性樹脂結合型磁石の密度に対する割合は84%)
と低い実施例8は、磁気異方性樹脂結合型磁石の最大エ
ネルギー積(BH)max が15.8MGOeと他のもの
と比べて低くなり、また高さ方向における最大エネルギ
ー積(BH)max の差も他のものと比べて大きくなる。
これにより、配向工程での予備成形時の成形圧力を2.
0ton/cm2 程度以上、より好ましくは3.0to
n/cm2 程度として、配向予備成形体1の密度を5.
5g/cm3 程度以上(磁気異方性樹脂結合型磁石の密
度に対する配向予備成形体1の密度割合を85程度%以
上)とすることが好ましいことがわかる。
く、このため配向予備成形体1の相対硬化度が10%と
低い実施例7、及び成形温度が160℃と高く、このた
め相対硬化度が50%と高い実施例6は、相対硬化度が
30〜50%の実施例2及び5と比べて、いずれも最大
エネルギー積(BH)max が低くなる。これにより、配
向工程での予備成形時の成形温度を100〜120℃程
度として、配向予備成形体1の相対硬化度を30〜50
%とすることが特に好ましいことがわかる。
異方性樹脂結合型磁石の製造方法により、磁石粉末の高
配向化及び高密度化を維持することにより高い磁気特性
を維持するとともに、高い同軸度及び高い寸法精度を維
持しつつ、高さアップを図ったラジアル配向した磁気異
方性樹脂結合型磁石を生産性高く提供することが可能と
なる。
型磁石の製造に用いた成形機の断面模式図である。
型磁石の製造方法を模式的に説明する斜視図である。
型磁石 10…配向磁場装置 20…予備成形装置 40…本成形装置 22…予備成形ダイ 42…本成形ダイ 11,12…電磁コイル
Claims (3)
- 【請求項1】異方性磁石粉末と熱硬化性樹脂とからなる
コンパウンドを放射状の配向磁場中で該異方性磁石粉末
をラジアル配向させながら圧縮成形して得られるラジア
ル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石であって、 内径:d、外径:D、高さ:hとしたとき、 FR 値=2Dh/d2 …(1) 上記(1)で示されるラジアルファクター値(FR 値)
が1.0を越えるリング形状を有し、 磁石の密度:ρM 、異方性磁石粉末の密度:ρP 、熱硬
化性樹脂の密度:ρR、磁石の体積:VM 、異方性磁石
粉末の体積:VP 、熱硬化性樹脂の体積:VRとしたと
き、 相対密度=ρM /(ρP ・VP /VM +ρR ・VR /VM ) …(2) 上記(2)式で示される相対密度が90%以上で、 Br:残留磁束密度、Is:飽和磁化としたとき、 配向度=Br/4πIs …(3) 上記(3)式で示される異方性磁石粉末の配向度が80
%以上であることを特徴とするラジアル配向した磁気異
方性樹脂結合型磁石。 - 【請求項2】0.03mm以下の高い同軸度を有するこ
とを特徴とする請求項1記載のラジアル配向した磁気異
方性樹脂結合型磁石。 - 【請求項3】異方性磁石粉末と熱硬化性樹脂とからなる
コンパウンドを放射状の配向磁場中で該異方性磁石粉末
をラジアル配向させながら圧縮成形して所定形状のラジ
アル配向した磁気異方性樹脂結合型磁石を製造する方法
において、 配向磁場装置を具備する予備成形装置の予備成形型内で
前記コンパウンドを加熱して該熱硬化性樹脂を溶融状態
とするとともに放射状の配向磁場を作用させて該異方性
磁石粉末をラジアル配向させながら圧縮成形することに
より、複数の配向予備成形体を同時に成形する配向工程
と、 配向工程で得られた各該配向予備成形体を該予備成形装
置から本成形装置の本成形型内にそれぞれ移送して積層
する移送工程と、 該本成形型内で半溶融半硬化状態の各該配向予備成形体
を加熱するとともに圧縮成形することにより、該熱硬化
性樹脂を硬化状態とするとともに各該配向予備成形体を
圧密化しつつ一体化して所定形状の磁気異方性樹脂結合
型磁石とする本成形工程と、 からなることを特徴とするラジアル配向した磁気異方性
樹脂結合型磁石の製造方法。
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