JPH11185646A - ガス放電パネル及びガス発光デバイス - Google Patents

ガス放電パネル及びガス発光デバイス

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JPH11185646A
JPH11185646A JP22964098A JP22964098A JPH11185646A JP H11185646 A JPH11185646 A JP H11185646A JP 22964098 A JP22964098 A JP 22964098A JP 22964098 A JP22964098 A JP 22964098A JP H11185646 A JPH11185646 A JP H11185646A
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隆一 村井
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塩川  晃
Hiroyoshi Tanaka
博由 田中
Yoshiki Sasaki
良樹 佐々木
Masaki Aoki
正樹 青木
Masatoshi Kudo
眞壽 工藤
Hiroyuki Kado
博行 加道
Yusuke Takada
祐助 高田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PDPをはじめとするガス放電パネルにおい
て、パネル輝度及び放電エネルギの可視光への変換効率
を向上させると共に、色純度の良好な発光を得ることの
可能なものを提供することを主な目的とする。 【解決手段】ガス媒体の封入圧力を従来よりも高い80
0〜4000Torrの範囲内に設定することによっ
て、従来よりも発光効率及びパネル輝度を向上すること
が可能となる。また、封入するガス媒体を、従来のガス
組成に換えて、ヘリウム,ネオン,キセノン,アルゴン
を含む希ガスの混合物とし、好ましくはXeの含有量5
体積%以下、Arの含有量0.5体積%以下、Heの含
有量を55体積%未満とすることによって、発光効率を
向上すると共に放電電圧を低下させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス放電パネル及
びガス発光デバイスといったガス放電管に関するもので
あって、特に、高精細用のプラズマディスプレイパネル
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハイビジョンをはじめとする高品
位で大画面のテレビに対する期待が高まっている中で、
CRT,液晶ディスプレイ(以下、LCDと記載す
る),プラズマディスプレイパネル(Plasma Display P
anel,以下PDPと記載する)といった各ディスプレイ
の分野において、これに適したディスプレイの開発が進
められている。
【0003】従来からテレビのディスプレイとして広く
用いられているCRTは、解像度・画質の点で優れてい
るが、画面の大きさに伴って奥行き及び重量が大きくな
る点で40インチ以上の大画面には不向きである。ま
た、LCDは、消費電力が少なく、駆動電圧も低いとい
う優れた性能を有しているが、大画面を作製するのに技
術上の困難性があり、視野角にも限界がある。
【0004】これに対して、PDPは、小さい奥行きで
も大画面を実現することが可能であって、既に50イン
チクラスの製品も開発されている。PDPは、大別して
直流型(DC型)と交流型(AC型)とに分けられる
が、現在では大型化に適したAC型が主流となってい
る。一般的な交流面放電型PDPは、フロントカバープ
レートとバックプレートとが隔壁を介して平行に配さ
れ、隔壁で仕切られた放電空間内には放電ガスが封入さ
れている。そして、フロントカバープレート上には表示
電極が配設され、その上を鉛ガラスからなる誘電体層で
覆われ、バックプレート上には、アドレス電極と隔壁
と、赤または緑または青の紫外線励起蛍光体からなる蛍
光体層とが配設されている。
【0005】放電ガスの組成としては、一般的にヘリウ
ム[He]とキセノン[Xe]の混合ガス系やネオン
[Ne]とキセノン[Xe]との混合ガス系が用いられ
ており、その封入圧力は、放電電圧を250V以下に抑
えることを考慮して、通常、100〜500Torr程
度の範囲に設定されている(例えば、M.Nobri
o,T.Yoshioka,Y.Sano,K.Nun
omura,SID94’Digest 727〜73
0 1994参照)。
【0006】PDPの発光原理は基本的に蛍光灯と同様
であって、電極に印可してグロー放電を発生させること
によりXeから紫外線を発生し、蛍光体を励起発光させ
るが、放電エネルギの紫外線への変換効率や、蛍光体に
おける可視光への変換効率が低いので、蛍光灯のように
高い輝度を得ることは難しい。この点に関して、応用物
理Vol.51,No.3 1982年 ページ344
〜347には、He−Xe,Ne−Xe系のガス組成の
PDPにおいて、電気エネルギーの約2%しか紫外線放
射に利用されておらず、最終的に可視光に利用されるの
は0.2%程度ということが記載されている(光学技術
コンタクトVol.34,No.1 1996年 ペー
ジ25,FLAT PANEL DISPLAY 9
6’ Part5−3,NHK 技術研究第31巻第1
号 昭和54年 ページ18参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような背景のもと
で、PDPをはじめとする放電パネルでは、発光効率を
向上させて高輝度を実現させると共に放電電圧を低く抑
える技術が望まれている。このような要請は、ディスプ
レイの市場から見ても存在する。例えば、現在の40〜
42インチクラスのテレビ用のPDPにおいて、NTS
Cの画素レベル(画素640×480個,セルピッチ
0.43mm×1.29mm,1セルの面積0.55m
2)の場合には、1.2 lm/w及び400cd/
2程度のパネル効率と画面輝度が得られている(例え
ば、FLAT−PANEL DISPLAY1997
Part5−1 P198)。
【0008】これに対して、近年期待されているフルス
ペックの42インチクラスのハイビジョンテレビでは、
画素数が1920×1125で、セルピッチは0.15
mm×0.48mmとなる。この場合、1セルの面積は
0.072mm2であって、NTSCの場合と比べて1
/7〜1/8となる。そのため、42インチのハイビジ
ョンテレビ用のPDPを、従来通りのセル構成で作成し
た場合、パネル効率は、0.15〜0.17 lm/w
で画面の輝度は50〜60cd/m2程度に低下するこ
とが予想される。
【0009】従って、42インチのハイビジョンテレビ
用のPDPにおいて、現行のNTSCのCRT並の明る
さ(500cd/m2)を得ようとすれば、効率を10
倍以上(5 lm/w以上)に向上させることが必要と
なる(例えば、「フラットパネル ディスプレイ 19
97 第5−1部200頁」参照 )。また、PDPに
おいて良好な画質を得るためには、輝度だけではなく色
純度を向上させて白バランスを調整することも重要であ
る。
【0010】このような発光効率の向上及び色純度の向
上という課題に対して、いろいろな研究や発明がなされ
ている。例えば、放電ガスの組成を工夫する試みとし
て、特公平5−51133号公報には、アルゴン(A
r)−ネオン(Ne)−キセノン(Xe)の3成分の混
合ガスを用いる発明が記載されている。
【0011】このようにアルゴンを入れることによっ
て、ネオンから可視光の発光を減少させ、色純度を向上
させることができるが、発光効率の向上についてはあま
り期待することはできない。また、特許2616538
号では、ヘリウム(He)−ネオン(Ne)−キセノン
(Xe)の3成分の混合ガスを用いることが記載されて
いる。
【0012】これによって得られる発光効率は、ヘリウ
ム(He)−キセノン(Xe)やネオン(Ne)−キセ
ノン(Xe)という2成分ガスの場合よりも向上する
が、NTSCの画素レベルで1 lm/w程度であっ
て、更に発光効率を向上できる技術が望まれる。本発明
は、このような背景のもとになされたものであって、P
DPをはじめとするガス放電パネルにおいて、パネル輝
度及び放電エネルギの可視光への変換効率を向上させる
と共に、色純度の良好な発光を得ることの可能なものを
提供することを主な目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、ガス放電パネルにおいて、ガス媒体の封
入圧力を従来よりも高い800〜4000Torrに設
定した。この構成によって発光効率が向上する主な理由
は、次のようなものである。従来のPDPにおいては、
ガス媒体の封入圧力は、通常500Torr未満であ
り、放電に伴って発生する紫外線は、共鳴線(中心波長
147nm)が大部分である。
【0014】これに対して、上記のように封入圧力が高
い場合(即ち、放電空間内に封入されている原子の数が
多い場合)は、分子線(中心波長154nm,173n
m)の割合が多くなる。ここで、共鳴線は自己吸収があ
るのに対して、分子線は自己吸収がほとんどないので、
蛍光体層に照射される紫外線の量が多くなり、輝度及び
発光効率が向上する。
【0015】また、通常の蛍光体においては、紫外線か
ら可視光への変換効率が、長波長側でより大きい傾向に
あることも、輝度及び発光効率が向上する理由というこ
とができる。ところで、ガス放電パネルにおいて、ガス
媒体には一般的にネオン(Ne)やキセノン(Xe)が
含まれるが、封入圧力が比較的低い場合にはネオン(N
e)からの可視光によって色純度の劣化が問題になりや
すいのに対して、本発明のように封入ガス圧力が高い場
合は、ネオン(Ne)からの可視光がプラズマ内部でほ
とんど吸収されるため、外部には放出されにくい。従っ
て、従来のPDPと比べて色純度も向上することにな
る。
【0016】また、従来のPDPでは、放電形態が第1
形グロー放電であるが、本発明のように800〜400
0Torrという高圧に設定すると、線条グロー放電或
は第2形グロー放電が生じやすくなると考えられる。従
って、これによって、放電の陽光柱での電子密度が高く
なり、エネルギーが集中的に供給されるので、紫外線の
発光量が増加するということもできる。
【0017】更に、封入圧力が大気圧(760Tor
r)を越えているため、大気中の不純物がPDPの中に
侵入することが防止されるという効果もある。なお、封
入圧力800〜4000Torrの範囲の中でも、80
0Torr以上1000Torr未満、1000Tor
r以上1400Torr未満、1400Torr以上2
000Torr未満、2000Torr以上4000T
orr以下の各範囲において、実施の形態で説明するよ
うな特徴が見られる。
【0018】また、封入するガス媒体を、従来のネオン
−キセノンやヘリウム−キセノンといったガス組成に換
えて、ヘリウム,ネオン,キセノン,アルゴンからなる
4元系の希ガス混合物をガス媒体として用いれば、キセ
ノンの量は比較的少量でも高輝度及び高発光効率を得る
ことができる。即ち、低放電電圧で且つ高発光効率のP
DPを得ることができる。
【0019】ここで、キセノンの含有量を5体積%以
下、アルゴンの含有量を0.5体積%以下、ヘリウムの
含有量を55体積%未満とすることが、放電電圧を低下
させる上で好ましい。そして、このような4元系のガス
媒体を、800〜4000Torrという高圧で封入す
れば、特に、放電電圧の上昇を抑えつつ、輝度及び発光
効率を向上させるにに効果的である。
【0020】また、表示電極とアドレス電極とが放電空
間を挟んで対向して配置されたパネル構成の場合、封入
圧力を高圧に設定すると、アドレシング時の電圧も高く
なってしまう傾向にあるが、表示電極とアドレス電極と
をフロントカバープレートあるいはバックプレートのど
ちらか一方の表面上に、誘電体層を介して積層させた構
造とすれば、封入圧力が高い場合でも比較的低い電圧で
アドレシングを行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 (実施の形態1) (PDPの全体的な構成及び製法)図1は、本実施の形
態の交流面放電型PDPの概略を示す斜視図である。
【0022】このPDPは、前面ガラス基板11上に表
示電極(放電電極)12a,12b、誘電体層13、保
護層14が配されてなる前面パネル10と、背面ガラス
基板21上にアドレス電極22、誘電体層23が配され
た背面パネル20とが、表示電極12a,12bとアド
レス電極22とを対向させた状態で間隔をおいて互いに
平行に配されて構成されている。そして、前面パネル1
0と背面パネル20との間隙は、ストライプ状の隔壁3
0で仕切られることによって放電空間30が形成され、
当該放電空間40内には放電ガスが封入されている。
【0023】また、この放電空間40内において、背面
パネル20側には、蛍光体層31が配設されている。こ
の蛍光体層31は、赤,緑,青の順で繰返し並べられて
いる。表示電極12a,12b及びアドレス電極22
は、共にストライプ状の銀電極であって、表示電極12
a,12bは隔壁30と直交する方向に、アドレス電極
22は隔壁30と平行に配されている。
【0024】そして、表示電極12a,12bとアドレ
ス電極22が交差するところに、赤,緑,青の各色を発
光するセルが形成されたパネル構成となっている。誘電
体層13は、前面ガラス基板11の表示電極12a,1
2bが配された表面全体を覆って配設された20μm程
度の厚さを有する鉛ガラスなどからなる層である。
【0025】保護層14は、酸化マグネシウム(Mg
O)からなる薄層であって、誘電体層13の表面全体を
覆っている。隔壁30は、背面パネル20の誘電体層2
3の表面上に突設されている。このPDPの駆動時に
は、駆動回路を用いて、点灯させようとするセルの表示
電極12aとアドレス電極22間に印可してアドレス放
電を行った後に、表示電極12a,12b間にパルス電
圧を印可して維持放電を行うことによって紫外線を発光
し、これを蛍光体層31で可視光に変換することによっ
て発光するようになっている。
【0026】このような構成のPDPは、以下のように
作製される。 前面パネルの作製:前面パネル10は、前面ガラス基板
11上に表示電極12a,12bを形成し、その上から
鉛系のガラスを塗布し焼成することにより誘電体層13
を形成し、更に誘電体層13の表面に保護層14を形成
しその表面に微細な凹凸を形成することによって作製す
る。
【0027】表示電極12a,12bは、銀電極用のペ
ーストをスクリーン印刷した後に焼成する方法で形成す
る。また、鉛系の誘電体層13の組成は、酸化鉛[Pb
O]70重量%,酸化硼素[B23]15重量%,酸化
硅素[SiO2]15重量%であって、スクリーン印刷
法と焼成によって形成する。具体的には、有機バインダ
ー[α−ターピネオールに10%のエチルセルロースを
溶解したもの]に混合してなる組成物を、スクリーン印
刷法で塗布した後、580°で10分間焼成することに
よって形成し、その膜厚は20μmに設定した。
【0028】保護層14は、アルカリ土類の酸化物(こ
こでは酸化マグネシウム[MgO])からなり、(10
0)面配向或は(110)面配向された緻密な結晶構造
の膜であって、その表面に微細な凹凸を有した構造とな
っている。本実施の形態では、CVD法(熱CVD法,
プラズマCVD法)を用いて、このような(100)面
或は(110)面配向のMgOからなる保護層を形成
し、次にこの表面にプラズマエッチング法を用いて凹凸
を形成する。なお、保護層14の形成方法及びその表面
への凹凸形成方法については後で詳述する。
【0029】背面パネルの作製:背面ガラス基板21上
に、銀電極用のペーストをスクリーン印刷しその後焼成
する方法によってアドレス電極22を形成し、その上に
前面パネル10の場合と同様にスクリーン印刷法と焼成
によって鉛系のガラスからなる誘電体層23を形成す
る。次にガラス製の隔壁30を所定のピッチで固着す
る。そして、隔壁30に挟まれた各空間内に、赤色蛍光
体,緑色蛍光体,青色蛍光体の中の1つを塗布して焼成
することによって蛍光体層31を形成する。各色の蛍光
体としては、一般的にPDPに用いられている蛍光体を
用いることができるが、ここでは次の蛍光体を用いる。
【0030】 赤色蛍光体: (YxGd1-x)BO3:Eu3+ 緑色蛍光体: BaAl1219:Mn 青色蛍光体: BaMgAl1423:Eu2+ パネル張り合わせによるPDPの作製:次に、このよう
に作製した前面パネルと背面パネルとを封着用ガラスを
用いて張り合せると共に、隔壁30で仕切られた放電空
間30内を高真空(8×10-7Torr)に排気した
後、所定の組成の放電ガスを所定の圧力で封入すること
によってPDPを作製する。
【0031】(放電ガスの圧力及び組成について)放電
ガスの封入圧力は、従来の一般的な封入圧力よりも高い
範囲であって、大気圧(760Torr)を越えた80
0〜4000Torrの範囲に設定する。これによっ
て、輝度及び発光効率を従来よりも向上させることがで
きる。なお、本実施形態では、放電ガスを高圧で封入す
るために、パネル張り合せ時において、前面パネルと背
面パネルの外周部だけではなく、隔壁30の上にも封着
用ガラスを塗布した後に貼り合わせて焼成を行う(詳細
については、日本特許出願番号:平9−344636参
照)。これによって、4000Torr程度の高圧での
ガス封入にも十分に耐えるPDPを作製することができ
る。
【0032】封入する放電ガスとしては、発光効率の向
上と放電電圧の低下を図るために、従来のヘリウム−キ
セノン系やネオン−キセノン系といったガス組成に代え
て、ヘリウム(He),ネオン(Ne),キセノン(X
e),アルゴン(Ar)を含む希ガスの混合物を用いる
ことが望ましい。ここで、キセノンの含有量は5体積%
以下、アルゴンの含有量は0.5体積%以下、ヘリウム
の含有量は55体積%未満とすることが好ましく、ガス
組成の具体例としては、He(30%)ーNe(67.
9%)ーXe(2%)ーAr(0.1%)というガス組
成を挙げることができる(なお、ガス組成式中の%は体
積%を表わす。以下同様。)。
【0033】詳しくは後述するが、このような放電ガス
組成の設定並びに封入圧力の設定は、いずれもPDPの
発光効率及びパネル輝度に寄与するものであって、特
に、上記放電ガス組成の設定と封入圧力の設定とを組み
合わせることにより、従来と比べて、放電電圧の上昇を
抑えつつ、発光効率及びパネル輝度大きく向上させるこ
とができる。
【0034】また、封入圧力が常圧以下(従来の500
Torr程度以下)ときには、ネオン(Ne)から可視
光が外部に放出されることによって色純度が低下しやす
いが、封入圧力が800Torr以上の高圧になると、
ネオン(Ne)から可視光が発生しても、プラズマ内部
でほとんど吸収されるため、外部にはほとんど放出され
ない。従って、封入圧力が常圧以下(500Torr程
度以下)の場合と比べて、色純度も向上させることがで
きる。
【0035】また、封入圧力が大気圧を越えれば、大気
中の不純物が放電空間30の中に侵入することも防止さ
れる。本実施の形態では、PDPのセルサイズは、40
インチクラスのハイビジョンテレビに適合するよう、セ
ルピッチを0.2mm以下とし、表示電極12a,12
bの電極間距離dを0.1mm以下に設定する。
【0036】なお、封入圧力の上限値4000Torr
は、放電電圧を実用的な範囲に抑えることを考慮して設
定している。 (MgO保護層の形成方法とその表面への凹凸形成方法
について)図2は、保護層14,24を形成する際に用
いるCVD装置の概略図である。このCVD装置は、熱
CVD及びプラズマCVDの何れも行うことができるも
のであって、装置本体45の中には、ガラス基板47
(図1におけるガラス基板11上に表示電極及び誘電体
層13を形成したもの)を加熱するヒータ部46が設け
られ、装置本体45内は排気装置49で減圧にすること
ができるようになっている。また、装置本体45の中に
プラズマを発生させるための高周波電源48が設置され
ている。
【0037】Arガスボンベ41a,41bは、キャリ
アであるアルゴン[Ar]ガスを、気化器(バブラー)
42,43を経由して装置本体45に供給するものであ
る。気化器42は、MgOの原料(ソース)となる金属
キレートを加熱して蓄え、Arガスボンベ41aからA
rガスを吹き込むことによって、この金属キレートを蒸
発させて装置本体45に送り込むことができるようにな
っている。
【0038】気化器43は、MgOの原料(ソース)と
なるシクロペンタジエニル化合物を加熱して貯え、Ar
ガスボンベ41bからArガスを吹き込むことによっ
て、このシクロペンタジエニル化合物を蒸発させて装置
本体45に送り込むことができるようになっている。気
化器42並びに気化器43から供給するソースの具体例
としては、Magnesium Dipivaloyl Methane [Mg(C
111922]、Magnesium Acetylacetone[Mg(C5
722]、Cyclopentadienyl Magnesium[Mg(C5
52]、Magnesium Trifluoroacetylacetone[Mg
(C55322]を挙げることができる。
【0039】酸素ボンベ44は、反応ガスである酸素
[O2]を装置本体45に供給するものである。 熱CVD法を行う場合:ヒータ部46の上に、誘電体層
を上にしてガラス基板47を置き、所定の温度(350
〜400℃)に加熱すると共に、反応容器内を排気装置
49で所定圧に減圧する。
【0040】そして、気化器42または気化器43で、
ソースとなるアルカリ土類の金属キレートまたはシクロ
ペンタジエニル化合物を所定の温度(以下各表の「気化
器の温度」の欄を参照。)に加熱しながら、Arガスボ
ンベ41aまたは41bからArガスを送り込む。ま
た、これと同時に、酸素ボンベ44から酸素を流す。こ
れによって、装置本体45内に送り込まれる金属キレー
ト若しくはシクロペンタジエニル化合物が酸素と反応
し、ガラス基板47の誘電体層の表面上にMgO保護層
が形成される。
【0041】プラズマCVD法を行う場合 上記の熱CVDの場合とほぼ同様に行うが、ヒータ部4
6によるガラス基板47の加熱温度は250〜300℃
程度に設定して加熱する共に、排気装置49を用いて1
0Torr程度に減圧し、高周波電源48を駆動して、
例えば、13.56MHzの高周波電界を印加すること
により、装置本体45内にプラズマを発生させながら、
MgO保護層を形成する。
【0042】このように熱CVD法或はプラスマCVD
法によって形成されるMgO保護層は、X線解析で結晶
構造を調べると、(100)面或は(110)面配向で
ある。これ対して、従来の真空蒸着法(EB法)によっ
て形成したMgO保護層は、X線解析で結晶構造を調べ
ると(111)面配向である。なお、CVD法によるM
gO保護層の形成において、(100)面配向及び(1
10)面配向のいずれを形成するかは、反応ガスである
酸素の流量をコントロールすることによって調整するこ
とができる。
【0043】次に、プラズマエッチング法による保護層
への凹凸形成について説明する。図3は、MgO保護層
にピラミッド状の微細な凹凸を形成するプラズマエッチ
ング装置の概略図である。装置本体52の中には、Mg
Oからなる保護層が形成された基板53(即ち図1にお
けるガラス基板11上に表示電極12a,12b、誘電
体層13及び保護層14を形成したもの)があり、装置
本体52内は、排気装置56で減圧にすることができ、
Arガスボンベ51からArガスを供給できるようにな
っている。また、装置本体52には、プラズマを発生さ
せるための高周波電源54及び発生したイオンを照射す
るためのバイアス電源55が設置されている。
【0044】このプラズマエッチング装置を用いて、ま
ず、反応容器内を排気装置56で減圧にし(0.001
〜0.1Torr)、ArガスボンベからArガスを送
り込む。高周波電源54を駆動して、13.56MHz
の高周波電界を印加することによってアルゴンプラズマ
を発生させる。そして、バイアス電源55を駆動して基
板53に印加(−200V)して10分間Arイオンを
照射することによって、MgO保護層の表面をスパッタ
する。
【0045】このスパッタによって、MgO保護層の表
面にピラミッド状の凹凸を形成することができる。な
お、スパッタする時間や印加電圧等を調整することによ
って、表面に形成される凹凸の寸法をコントロールする
ことができる。この凹凸形成に際して、表面粗さが30
nm〜100nm程度となるように形成することが適当
と考えられる。
【0046】このようにスパッタすることによって表面
に形成される凹凸がピラミッド形状であることは、走査
電子顕微鏡で確認することができる。このような処理を
行った保護層は、以下に述べるような特徴及び効果があ
る。 (1)MgO保護層の結晶構造が(100)面或は(1
10)面配向であるため、2次電子の放出係数(γ値)
が大きい。従って、PDPの駆動電圧の低下及びパネル
輝度の向上に寄与する。
【0047】(2)MgO保護層の表面がピラミッド状
の凹凸構造であるため、放電時には凸部の頂部に電界が
集中し、この頂部から多くの電子が放出される。従っ
て、線条グローや第2形グロー放電を生じやすく、且つ
安定してこのような形態の放電を発生させることができ
る。そして、線条グロー放電或は第2形グロー放電が安
定して生じると、従来のような第1形のグロー放電が発
生する場合と比べて、局所的に高いプラズマ密度が得ら
れることもあって、放電空間に多量の紫外線(主に、波
長173nm)が発生し、高いパネル輝度が得られるも
のと考えられる。
【0048】(グロー放電の形態についての説明)ここ
で、線条グロー放電及び第2形グロー放電について説明
する。「線条グロー放電」及び「第2形グロー放電」に
ついて、放電ハンドブック(電気学会 平成1年6月1
日発行 P138)では、次のように説明されている。
【0049】『Kekez,Barrault,Cra
ggsらは、論文J.Phys.D.Appl.Phy
s.,Vol.13,p.1886(1970)で、放
電状態がフラッシオーバー、タウンゼント放電、第1形
グロー放電、第2形グロー放電、アーク放電へと移行し
ている。』 図4は、この論文に掲載されている過渡グロー,アーク
移行の電流波形を示すグラフである。
【0050】第1形グロー放電は、通常のグロー放電に
相当し、第2形グロー放電は、陽光柱に放電エネルギー
が集中的に供給されつつある時期に相当する。図4にお
いて、第1形グロー放電は、電流値がやや低く安定して
いるta〜tcの時期であり、第2形グロー放電は、td
〜teの時期である。線条グロー放電は、第1形グロー
放電から第2形グロー放電への移行するtc〜tdの時期
である。そして第2形グロー放電からアーク放電に入
る。
【0051】このように第1形グロー放電は安定である
の対して、線条グロー放電や第2形グロー放電は、電流
が不安定であって、アーク放電に移行する可能性が高い
と考えられるが、アーク放電に移行すれば、発熱を伴い
放電ガスが熱電離したりするため望ましくない。ところ
で、従来からPDPにおける放電は、第1形グロー放電
で行われているが、本実施の形態では、線条グロー放電
或は第2形グロー放電を比較的安定して生じさせること
ができると考えられる。これによって、放電の陽光柱で
の電子密度を高くし、エネルギーを集中的に供給させ、
紫外線の発光量を増加させることが可能と予想される。
【0052】(放電ガス中の封入圧力と発光効率との関
係について)放電ガスの封入圧力を従来より高い800
〜4000Torrの範囲に設定することによって、発
光効率が向上する理由を説明する。まず、封入圧力を高
く設定することは、上記の線条グロー放電或は第2形グ
ロー放電といった放電形態を生じさせるのに有利と考え
られるので、この点を紫外線の発光量の増加の理由の一
つとして挙げることができる。
【0053】次に、以下に説明するように、紫外線の波
長が長波長側(154nm及び173nm)にシフトす
る点を挙げる事ができる。PDPの紫外線の発光機構と
しては、大別して共鳴線と分子線の2つがある。従来
は、放電ガスの封入圧力が500Torr未満であった
ため、Xeからの紫外発光は147nm(Xe原子の共
鳴線)が主であったが、封入圧力を760Torr以上
に設定することによって、長波長である173nm(X
e分子の分子線による励起波長)の割合が増大する。そ
して、波長147nmの共鳴線よりも波長154nm及
び173nmの分子線の割合を大きくすることができ
る。
【0054】図5は、He−Xe系の放電ガスを用いた
PDPにおいて、封入ガス圧を変化させたときに、発光
する紫外線の波長と発光量との関係がどのように変化す
るかを示す特性図であって、「O Plus E N
o.195 1996年のP.98」に記載されている
ものである。この図において、グラフの波長147nm
(共鳴線)及び波長173nm(分子線)におけるピー
ク面積は発光量を表わす。従って、各波長の相対的な発
光量は、このようなグラフのピーク面積から知ることが
できる。
【0055】圧力100Torrにおいては波長147
nm(共鳴線)の発光量が大部分を占めているが、圧力
を大きくするに従って、波長173nm(分子線)の発
光量の割合が増え、圧力500Torrにおいては、波
長173nmの発光量の方が波長147nm(共鳴線)
の発光量より大きくなっている。このように紫外線の波
長が長波長側にシフトするのに伴って、(1)紫外線の
発光量の増大と(2)蛍光体の変換効率の向上という効
果が得られる。各々について、以下に説明する。 (1)紫外線発光量の増大 図6は、Xeのエネルギー順位と各種反応経路を図示し
たものである。
【0056】共鳴線は、原子内にある電子が、あるエネ
ルギー順位から他のエネルギー順位に移動するときに放
出されるもので、Xeの場合147nmの紫外線が主に
放出される。しかし、共鳴線には誘導吸収という現象が
あり、放出した紫外光の一部が基底状態のXeに吸収さ
れる。これらの現象は一般に自己吸収と呼ばれている。
【0057】一方、分子線では、図6にあるように、励
起した2つの原子が一定の距離以下に近づいたときに紫
外線を放出し、2つの原子は基底状態に戻る。このた
め、吸収がほとんど見られない。これらを定性的に確認
するために、以下のように簡単な理論計算を行って、実
験結果と比較した。
【0058】先ず、共鳴線の発生量(V147)は、電子
密度ne、原子密度n0とすると、V147=a・ne・n
0で表され、吸収量(Vabs)は、吸収係数をb(通常1
-6程度)、プラズマ長をlとすると、Vabs=exp
(−b・n・l)で表される。
【0059】一方、分子線は、励起状態にあるXe原子
同士が近接して生成されるので、その発生量(V173)
は、V173=C・n4+d・n3〜C・n4となる。分子線
には、吸収はほとんどないが、幾何学的な物理散乱を考
慮すると、V173=C・n4−n2/3となる。従って、総
紫外線量Vは、V=a・ne・n0−c・exp(−b
・n・l)+C・n4−n2/3で表される。ただし、ここ
でa,b,cは任意定数である。
【0060】放電ガス圧力の変化に対する共鳴線、分子
線、総紫外線の計算値を図7のグラフに示す。図7にお
いて、横軸は任意軸であるが、分子線の効果を十分に出
すには、ある程度以上のガス圧力が必要なことがわか
る。なお、放電ガスとして、PDPで通常使用されてい
るNe(95%)−Xe(5%)を用いて、ガス圧力に
対する紫外線出力を真空チャンバー実験で調べたとこ
ろ、その実験結果は、図7の●印に示すように、上記の
理論予想に近い特性を示した。
【0061】(2)蛍光体の変換効率の向上 図8(a),(b),(c)は、各色蛍光体について励
起波長と相対放射効率との関係を示す特性図であって、
「O Plus E No.195 1996年のP.
99」に記載されているものである。この図8から、い
ずれの色の蛍光体についても、波長147nmと比べて
長波長173nmの方が相対放射効率が大きいことがわ
かる。
【0062】従って、紫外線の波長が147nm(Xe
の共鳴線)から長波長の173nm(Xe原子の分子
線)にシフトして、長波長の割合が大きくなれば、蛍光
体の発光効率も増大する傾向を示すということができ
る。 (封入圧力と発光効率と放電電圧との関係について)上
記図7の全紫外線の変化の傾向から、更に次のような考
察ができる。
【0063】ガス圧力が400〜1000Torrの範
囲では、ガス圧力を増加させるのに伴って紫外線出力が
増加するが、1000Torr付近で飽和状態となり紫
外線出力の増加がほとんどなくなる。そして、更にガス
圧力を増加させていくと、1400Torr付近から再
び紫外線出力が増加し、2000Torrを越える付近
までは増加が続く。
【0064】この領域から更にガス圧力を増加させてい
くと、紫外線出力の増加がやや緩やかになる領域がある
が、これは物理散乱項などが効いてくるためと考えられ
る。なお、図7には示されないが、上記理論式から予想
されるように、この領域を越えても、更にガス圧力を増
加させていくと、紫外線出力は増加する。以上の考察に
基づいて、放電ガスの封入圧力の好ましい範囲(800
〜4000Torr)を、更に、800〜1000To
rr(領域1)、1000〜1400Torr(領域
2)、1400〜2000Torr(領域3)、200
0〜4000Torr(領域4)という4つの領域に分
けた。
【0065】なお、800Torrという数値について
は、原理的には760Torrを越えれば効果は出る
が、例えば封入時の温度が室温より高いといった製造時
の条件を考慮して、工業的見地からこの数値に設定し
た。この4つの領域に関して、以下のように考察するこ
とができる。紫外線出力量だけを考えると、もちろん最
も高圧の領域4が最良であると考えられる。
【0066】一方、PDPにおいては、放電開始電圧V
fは、封入圧力Pと電極間距離dとの積[Pd積]の関
数として表すことができ、パッシェンの法則と呼ばれて
いる(電子ディスプレイデバイス,オーム社、昭和59
年、P113〜114参照)。そして、ガス圧が高くな
るとPd積が上昇し、放電電圧が上昇する傾向がある。
ここで、電極間距離を小さく設定すればPd積を抑える
ことが可能であるが、電極間距離dを縮小するほど、よ
り高度な誘電体の絶縁技術が必要となる。
【0067】従って、領域1、2,3,4の順で技術的
な難度が高くなるものと考えられる。例えば、図7にお
いて、図中のAに相当するPDPでは、放電開始電圧が
200Vであるが、図中のBに相当するPDPでは、放
電開始電圧は450Vである。
【0068】これより、領域1に該当するPDPは、放
電開始電圧が大体250V以下であって、従来のPDP
の誘電体の絶縁技術やドライバー回路の耐圧技術を利用
できるが、領域3や領域4のPDPの場合は、電極間距
離dをかなり小さく設定するために、高度な技術が必要
で、コスト的にも高くなると考えられる。 (放電ガスの組成と発光効率及び放電電圧について)上
述したように、放電ガスの組成を、ヘリウム(He),
ネオン(Ne),キセノン(Xe),アルゴン(Ar)
を含む希ガスの混合物を用い、キセノンの含有量は5体
積%以下、アルゴンの含有量は0.5体積%以下、ヘリ
ウムの含有量は55体積%未満に設定することによっ
て、高圧で封入する場合においても比較的低い放電開始
電圧(250V以下、望ましくは220V以下)で駆動
することができる。
【0069】即ち、このような組成のガスを用いること
によって、従来のNe(95%)−Xe(5%)やHe
(95%)−Xe(5%)のような組成のガスを用いる
場合と比べて、放電開始電圧を大きく低下することがで
きる。以下、実験に基づいて、この点について更に詳し
く説明する。 (実験1:放電ガス組成に関する予備実験)本実施形態
のPDPに基づいて、図9の表に示す各種の放電ガスの
組成に設定し、且つPd積をいろいろな値に変えて設定
したものを作製し、放電開始電圧を測定した。
【0070】Pd積の設定は、電極間隔dを20,4
0,60,120μmに設定する共に、ガス圧力Pを1
00Torr〜2500Torrの範囲内で変えること
によって行った。ここで、小さなPd積に設定する場合
は、比較的小さな電極間隔dを主に用い(例えばPd積
を1〜4とする場合は、電極間隔dを20μm、圧力P
を500〜2000Torr程度に設定)、比較的大き
なPd積に設定する場合は、比較的大きな電極間隔d
(60,120μm)を主に用いることによって、各P
d積の値に設定した。
【0071】図9のグラフはこの実験結果を示すもので
あって、Pd積と放電開始電圧との関係が示されてい
る。また、図9中の表には、各組成ガスを用いたPd積
4付近(封入圧力は2000Torr)のPDPについ
ての輝度の測定値(放電電圧250V付近)が示されて
いる。
【0072】結果及び考察;図9の表から、He−Xe
系やHe−Ne−Xe系では、Ne−Xe系よりも輝度
が高く(特にHe−Ne−Xe系では輝度が高い)、電
子温度を上昇させる効果のあるHeを含有することが輝
度向上に効果的であると考えられる。また、図9のグラ
フから、He−Xe系(▲印)は、Ne−Xe系(◆
印)よりも放電開始電圧が高い傾向を示し、実用的に望
ましい放電開始電圧の領域(220V以下)には入って
いないことがわかる。
【0073】一方、図9のグラフにおいて、Ne−Xe
系にArを0.1%添加したガス(○印)は、He−X
e系やNe−Xe系やHe−Ne−Xe系と比べて、ペ
ニング効果によって放電開始電圧が低くなっており、放
電開始電圧220V以下で且つPd積が3以上の望まし
い使用領域をグラフが通過していることがわかる。しか
し、Ne−Xe系にArを0.5%添加したガス(■
印)では、放電開始電圧があまり低くなっていない。こ
れより、放電開始電圧の低下のためには、Arを比較的
少量(0.5%以下)添加するのがよいことがわかる。
【0074】なお、図9においてPd積が3以上の範囲
を望ましい使用領域としているのは、現状では電極の間
隔を10μmより小さく設定することが難しいため、実
用的にはPd積が3以上の範囲で設定するのが望ましい
ということである。以上より、Ne−Xe系にHeを混
合すると、発光効率は向上するが放電開始電圧が高くな
る傾向があり、これに更にArを混合することによっ
て、放電電圧が下がり且つ発光効率も同等以上になる可
能性がある。ここで、Arの量は比較的少量がよいもの
と推察することができる。
【0075】なお本実験では、ガス圧力Pを100To
rr〜2500Torrの範囲内で変化させてPd積の
設定を行ったが、ガス圧力Pを2500Torr〜40
00Torrの範囲に設定しても図9のグラフと同様の
結果が得られる。また、Xeの含有率が低い範囲(10
%程度以下の範囲)では、Xeの量と発光効率とがほぼ
比例する関係にあることが知られているが、上記の各種
組成の放電ガスにおいても、Xeの量を変化させれば発
光効率もそれに応じて変化することは実験的に確認して
いる。
【0076】(実験2:He−Ne−Xe−Ar系ガス
とNe−Xe系ガスとの比較)上記実施形態のPDPに
おいて、放電ガスとして、He(30%)−Ne(6
7.9%)−Xe(2%)−Ar(0.1%)(「放電
ガスA」と記載する。)を用いた場合と、Ne(95
%)−Xe(5%)(「放電ガスZ」と記載する。)を
用いた場合とについて、Pd積をいろいろな値に変えて
設定したものを作製し、放電開始電圧を測定した。
【0077】Pd積の設定は、上記実験1と同様に、電
極間隔dを20,40,60,120μmに設定する共
に、ガス圧力Pを100Torr〜2500Torrの
範囲内で変えることによって行った。図10は、この実
験結果であって、Pd積と放電開始電圧との関係を示す
グラフである。
【0078】このグラフから、放電ガスZの場合、Pd
積を12から4程度に縮小すれば、放電開始電圧を45
0V→320Vと130V程度低下できることがわか
る。一方、放電ガスAの場合は、同じPd積12でも、
放電ガスZと比べて放電開始電圧を130V程度低下で
き、また、Pd積を12から4に縮小すれば、放電開始
電圧を更に90V程度低下できることがわかる。
【0079】従って、放電ガスAを用いれば、封入圧力
を高く設定した場合でも、電極間距離dをあまり小さく
しなくても放電電圧を実用的なレベルまで低くすること
ができることになる。また、放電ガスAを用いた場合
は、放電ガスZを用いた場合と比べてかなり低い電圧で
も同等の輝度を実現することが可能であることを、別途
の発光効率の比較実験で確認しており、放電ガスAを用
いた場合は、放電ガスZを用いた場合の約1.5倍の発
光効率が得られた。
【0080】このような放電ガスAの効果は、実験1の
ところで述べたHeを含有することによる発光効率の向
上とArを少量添加することによる放電電圧の低減とが
合わさることによって得られたものと考えられる。本実
験の結果は、放電ガスとしてHe−Ne−Xe−Ar系
の混合ガスを用い、好ましくはXeの含有量を5体積%
以下、Arの含有量を0.5体積%以下に既定すること
が、発光効率の向上と放電電圧の低減に有効であること
を示している。
【0081】なお本実験では、ガス圧力Pを100To
rr〜2500Torrの範囲内で変化させてPd積の
設定を行ったが、ガス圧力Pを2500Torr〜40
00Torrの範囲に設定した場合でも図10のグラフ
と同様の結果が得られる。 (実験3:He−Ne−Xe系ガス及びHe−Ne−X
e−Ar系ガスについて)上記実施の形態のPDP(電
極間距離d=40μm)において、放電ガスとして、H
e(50%)−Ne(48%)−Xe(2%)、He
(50%)−Ne(48%)−Xe(2%)−Ar
(0.1%)、He(30%)−Ne(68%)−Xe
(2%)、He(30%)−Ne(67.9%)−Xe
(2%)−Ar(0.1%)の各種組成ガスを用い、P
d積をいろいろ変えたPDPを作製した。そして、作製
した各PDPについて、輝度及び放電開始電圧を測定し
た。
【0082】図11中の表には、各組成ガスを用いたP
d積4付近(封入圧力は2000Torr)のPDPに
ついての輝度の測定値(放電電圧250V)が示されて
いる。図11の表に示した輝度測定値はいずれも、上記
図9の表に示したHe−Xe系、Ne−Xe系、Ne−
Xe−Ar系のガスについての輝度測定値と比べて、か
なり高い値を示している。これより、He−Ne−Xe
系ガス及びHe−Ne−Xe−Ar系ガスを用いること
が、輝度の向上に効果的であることがわかる。
【0083】図11は、放電開始電圧の測定結果を示す
ものであって、各組成ガスについて、Pd積と放電開始
電圧との関係を示すグラフである。このグラフ及び表か
ら、He−Ne−Xe系の放電ガスと比べて、これに少
量のArを添加した放電ガスの方が、放電開始電圧が低
下し且つ輝度も若干向上していることがわかる。
【0084】特に、He(30%)−Ne(67.9
%)−Xe(2%)−Ar(0.1%)のガスを用いれ
ば、輝度も比較的良好であって、且つPd積を3〜6
(Torr・cm)程度の範囲に設定すれば(例えば、
電極間距離d=60μm,封入圧力1000Tor
r)、放電開始電圧を実用的に望ましい放電開始電圧の
領域(220V以下)に入れることができることがわか
る。
【0085】また、このガス組成の場合、Pd積4付近
において放電開始電圧が最小値を示しており、Pd積を
4(例えば、封入圧力が2000Torrの場合、電極
間距離d=20μm)付近に設定することが望ましいこ
ともわかる。なお、本実験では、各組成のガスにおいて
Xeの量を2%に設定して行ったが、Xeの量を10%
以下の他の値に設定した場合は、放電開始電圧の絶対値
は変わるものの、図11に示されるグラフと同様の傾向
が得られる。
【0086】また、本実験では、Heの含有量は50%
以下に設定したが、このようなHe−Ne−Xe−Ar
系の放電ガスにおいて、Heの含有量を55体積%以上
に設定すると放電電圧がかなり高くなる傾向があること
が別途の実験でわかっている。従って、放電電圧を低く
抑えるために、Heの含有量は、55体積%未満に規定
することが好ましいといえる。
【0087】(実験4:He−Ne−Xe−Ar系ガス
におけるAr量の実験)4種混合ガスにおけるアルゴン
の最適量を調べるために、He(30%)ーNe((6
8−X)%)ーXe(2%)ーAr(X%)において、
X=0.01,0.05,0.1,0.5,1と変化さ
せたときの放電開始電圧並びに発光効率を測定する実験
を行った。
【0088】発光効率の測定は、駆動回路からパネルに
印加される放電維持電圧Vm、そのとき流れる電流Iを
測定し、次に輝度Lを輝度計で測定し(その時の輝度の
測定面積をSとする。)、下記の式1により発光効率η
を求めた。 η=π・S・L/Vm・I…(1) 図12は、その結果の一例を示すものであって、封入圧
力を2000Torrに設定したときのグラフである。
【0089】本図より、発光効率については、Ar量が
0.1%以下の範囲では、ほぼ一定であるが、0.1%
〜0.5%の範囲では、Ar量の増加に伴って発光効率
が緩やかに低下し、0.5%を越えると、Ar量の増加
に伴って急激に低下することがわかる。一方、放電開始
電圧については、Ar量が0.1%のところで極小値を
持ち、0.1%〜0.5%の範囲では、Ar量の増加に
伴って発光効率が緩やかに増加し、0.5%を越える
と、Ar量の増加に伴ってが急激に上昇することがわか
る。
【0090】従って、Ar量の添加量は0.5%以下と
することが好ましいことがわかる。なお、He量やXe
量を変えた場合については、図示しないが、発光効率や
放電開始電圧の絶対値は変わるものの、上記図12のグ
ラフと同様の結果が得られる。また、封入圧力を常圧付
近に設定した場合も、上記図12のグラフと同様の結果
が得られる。
【0091】(実施の形態2)図13は、本実施の形態
に係る交流面放電型のPDPの概略断面図である。この
PDPは、実施の形態1のPDPと同様であるが、実施
の形態1では表示電極が前面パネル側、アドレス電極が
背面パネル側に設けられていたのに対して、本実施の形
態では、アドレス電極61と表示電極63a,63bと
が第1の誘電体層62を介して前面パネル側に設けられ
ている点が異なっている。
【0092】なお、図13では、便宜上、一対の表示電
極63a,63bが断面で示されているが、実際は、一
対の表示電極63a,63bは、図1と同様に、アドレ
ス電極61及び隔壁30と交差する方向に設けられてい
る。このPDPでは、前面パネル10は以下のようにし
て作製する。前面パネル10の作製は、前面ガラス基板
11上にアドレス電極61を形成し、その上を鉛系のガ
ラスを用いて第1の誘電体層62を形成する。そして、
第1の誘電体層62の表面に表示電極63a,63bを
形成し、その上から鉛系のガラスを用いて第2の誘電体
層64を形成する。そして、第2の誘電体層64の表面
にMgOからなる保護層65を形成することによって作
製することができる。
【0093】アドレス電極61、表示電極63a,63
b、誘電体層62,64、保護層65の材料や形成方法
は、実施の形態1で説明したのと同様であって、本実施
の形態でも、保護層65の表面にプラズマエッチング法
により凹凸を形成することが望ましい。本実施形態にお
いても、放電ガスの組成及び封入圧力を、実施の形態1
と同様に設定することによって、実施の形態1で説明し
たのと同様の効果が得られる。
【0094】更に、本実施形態では、アドレス電極61
と表示電極63a,63bとが第1の誘電体層62を介
して前面パネル側に設けられているので、放電ガスの封
入圧力が高い場合でも、低いアドレス電圧でアドレシン
グを行うことができる。即ち、実施の形態1のようにア
ドレス電極と表示電極との間に放電空間が介在している
場合は、アドレス放電についてもパシェンの法則が適用
される。ここで、アドレス電極と表示電極との距離を狭
めれば、低いアドレス電圧でも安定したアドレス放電が
可能と考えられるが、実際にはあまり狭めることができ
ないので、安定したアドレス放電を行うためには、放電
ガスの封入圧力を高く設定するほどアドレス電圧を高く
しなければならない。
【0095】これに対して、本実施形態のPDP場合
は、アドレス電極61と表示電極63a,63bとの間
に放電空間が介在していないので、放電ガスの封入圧力
を高く設定しても、低いアドレス電圧で安定したアドレ
シングを行うことができる。図14は、本実施の形態に
係る別の交流面放電型のPDPの概略断面図である。
【0096】上記図13のPDPにおいては、アドレス
電極61と表示電極63a,63bとが第1の誘電体層
62を介して前面パネル10側に設けられていたが、図
14のPDPにおいては、アドレス電極71と表示電極
73a,73bとが第1の誘電体層72を介して背面パ
ネル20側に設けられている。背面パネル20の作製
は、背面ガラス基板21上にアドレス電極71を形成
し、その上から鉛系のガラスを用いて第1の誘電体層7
2を形成する。そして、第1の誘電体層72の表面に表
示電極73a,73bを形成し、その上から鉛系のガラ
スを用いて第2の誘電体層74を形成する。そして、第
2の誘電体層74の表面にMgOからなる保護層75を
形成することによって作製することができる。
【0097】このPDPにおいても、上記図13のPD
Pと同様の効果がある。また、このPDPは、アドレス
電極71と表示電極73a,73bとが背面パネル側に
設けられているため、放電空間内で発生した可視光が、
電極に妨げれることなく前面に取り出される。この点に
おいて、上記図13のPDPと比べて、輝度を向上する
のに有利である。
【0098】(実験5)
【0099】
【表1】 表1のNo.1〜6のPDPは、実施の形態1,2に基
づいて作製した実施例であって、 資料No.1〜4の
PDPは、実施の形態2の図13に基づいて作製し、資
料No.5のPDPは、実施の形態2の図14に基づい
て作製し、資料No.6のPDPは、実施の形態1に基
づいて作製したものである。
【0100】PDPのセルサイズは、42インチのハイ
ビジョンテレビ用のディスプレイに合わせて、隔壁の高
さを0.08mm、隔壁の間隔(セルピッチ)を0.1
5mmに設定し、表示電極間の距離dを0.05mmに
設定した。誘電体層は、酸化鉛[PbO]70重量%と
酸化硼素[B23]15重量%と酸化硅素[SiO2]1
5重量%とを、有機バインダー[α−ターピネオールに
10%のエチルセルロースを溶解したもの]に混合して
なる組成物を、スクリーン印刷法で塗布した後、580
°で10分間焼成することによって形成し、その膜厚は
20μmに設定した。
【0101】保護層の形成方法については、プラズマC
VD法で形成した。なお、形成されたMgO保護層の結
晶面をX線解折した結果、(100)面或は(110)
面配向であった。封入する放電ガスの組成は、He(3
0%)−Ne(67.9%)−Xe(2%)−Ar
(0.1%)とし、表1の封入圧力の欄に示すように、
500〜200Torrの範囲内の圧力で封入した。
【0102】このように作製したNo.1〜6のPDP
について、パネル輝度及び安定なアドレス電圧を測定し
た。安定なアドレス電圧は、アドレス電圧を変化させな
がら画像の状態を観察し、安定な画像が得られるのに必
要な最低のアドレス電圧を測定し、これを安定なアドレ
ス電圧とした。
【0103】パネル輝度及び安定なアドレス電圧の測定
結果は、表1に示す通りである。 結果及び考察:No.1〜4間で輝度を比較すると、封
入圧力が常圧以下のものと比べて、100Torr及び
2000Torrと封入電圧が増加するに従って、輝度
が増加していることがわかる。
【0104】No.1〜4間で安定なアドレス電圧を比
較すると、封入圧力が上昇するに従って若干上昇してい
るが、No.1〜5の安定なアドレス電圧は、No.6
の安定なアドレス電圧と比べて、かなり低い値であるこ
とがわかる。これは、実施の形態2のPDPの構成が、
封入圧力が高い場合でもアドレス電圧を低く抑えるのに
有効であることを示している。
【0105】また、No.3とNo.5とで輝度を比較
すると、No.5の方が輝度が若干高い値を示している
ことがわかる。 (その他の事項)なお、本発明は、上記実施の形態のP
DPに限定されることなく、一般的なPDP並びにガス
放電パネルに対して適用することができる。
【0106】例えば、保護層は、上記のようにCVD法
に限らず、真空蒸着法で形成してもよい。また、ガラス
基板、誘電体層、蛍光体の材料、保護層の成膜方法につ
いても上記のものには限定されない。また、保護層の材
料としては、MgO単独に限らず、MgOにBa,S
r,炭化水素(CH)などを添加したものを用いてもよ
い。
【0107】また、上記実施の形態では、蛍光体層が背
面パネル側だけに設けられている例を示したが、前面パ
ネル側にも設けることによって、更に輝度の向上を図る
ことができる。また、蛍光体層を形成する蛍光体材料に
数十nmの厚さでMgOからなる保護層をコーティング
すれば、更に輝度の向上と発光効率の向上効果が期待で
きる。
【0108】また、上記実施の形態では、前面ガラス基
板及び背面ガラス基板のどちらか一方の表面上に並行し
て一対の表示電極が配設されている例を示したが、前面
ガラス基板上と背面ガラス基板上とに表示電極が対向し
て配設されたPDPにおいても同様に実施することがで
きる。また、上記実施の形態では、隔壁30を背面ガラ
ス基板21上に固着して背面パネルを構成する例を示し
たが、隔壁が前面パネル側に取り付けられたものなどに
も広く適用することができる。
【0109】また、放電ガスの組成に関しても、上述し
たNe−Xe系、He−Ne−Xe系、He−Ne−X
e−Ar系などに限定されず、クリプトン−キセノン系
の放電ガス(例えばKr(90%)−Xe(10
%))、あるいはクリプトン−ネオン−キセノン系の放
電ガスを用いて、800〜4000Torrの封入圧力
に設定した場合にも、高輝度、高発光効率を得ることが
期待できる。
【0110】更に、本発明は、ガス放電パネルに限ら
ず、容器の中に、電極及び蛍光体層が配設されると共に
ガス媒体が封入された放電空間が形成され、放電に伴っ
て紫外線を発し前記蛍光体層で可視光に変換することに
よって発光するガス放電デバイスにも適用することがで
きる。例えば、内面に蛍光体層が形成された筒状のガラ
ス容器の中に放電ガスが封入された蛍光燈に対しても、
本発明は適用可能であって、上記実施の形態で説明した
組成の放電ガスを用いることによって、高輝度、高発光
効率、低放電電圧のものを得ることができ、特に800
〜4000Torrの範囲内の封入圧力で封入すること
により優れた効果が期待できる。
【0111】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のガス放電
パネルでは、ガス媒体の封入圧力を従来よりも高い80
0〜4000Torrの範囲内(上記領域1〜4の各範
囲)に設定することによって、従来よりも発光効率及び
パネル輝度を向上することが可能となる。
【0112】また、封入するガス媒体を、従来のガス組
成に換えて、ヘリウム,ネオン,キセノン,アルゴンを
含む希ガスの混合物とし、好ましくはXeの含有量5体
積%以下、Arの含有量0.5体積%以下、Heの含有
量を55体積%未満とすることによって、発光効率を向
上すると共に放電電圧を低下させることができる。ま
た、表示電極とアドレス電極とをフロントカバープレー
トあるいはバックプレートのどちらか一方の表面上に、
誘電体層を介して積層させた構造とすれば、封入圧力が
高い場合でも比較的低い電圧でアドレシングを行うこと
ができる。
【0113】このような本発明は、ガス放電パネルの省
電力化に有効であって、特に高精細用のPDPの輝度向
上及び省力化に有効である。また、ガス放電パネルに限
らず、蛍光燈などのガス発光デバイスも含めて、一般的
なガス放電管の輝度向上及び省力化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る対向交流放電型のPDPの
概略断面図である。
【図2】上記PDPの保護層を形成する際に用いるCV
D装置の概略図である。
【図3】MgO保護層にピラミッド状の微細な凹凸を形
成するプラズマエッチング装置の概略図である。
【図4】過渡グロー,アーク移行の電流波形を示すグラ
フである。
【図5】封入ガス圧を変化させたときの紫外線の波長と
発光量との関係を示す特性図である。
【図6】Xeのエネルギー順位と各種反応経路を図示し
たものである。
【図7】放電ガス圧力と共鳴線、分子線、総紫外線との
関係を示す特性図である。
【図8】各色蛍光体について励起波長と相対放射効率と
の関係を示す特性図である。
【図9】実験1の結果を示すグラフ及び図表である。
【図10】実験2の結果を示すグラフである。
【図11】実験3の結果を示すグラフ及び図表である。
【図12】実験4の結果を示すグラフである。
【図13】実施の形態2に係る交流面放電型のPDPの
概略断面図である。
【図14】実施の形態2に係る交流面放電型のPDPの
概略断面図である。
【符号の説明】
10 前面パネル 11 前面ガラス基板 12a,12b 表示電極 13,23 誘電体層 14,24 保護層 20 背面パネル 21 背面ガラス基板 22 アドレス電極 30 隔壁 31 蛍光体層 40 放電空間 61 アドレス電極 62,64 誘電体層 63a,63b 表示電極 65 保護層 71 アドレス電極 72,74 誘電体層 73a,73b 表示電極 75 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01J 61/16 H01J 61/16 N (72)発明者 佐々木 良樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 青木 正樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 工藤 眞壽 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 加道 博行 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 高田 祐助 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス媒体が封入された放電空間中で放電
    して紫外線を発し蛍光体層で可視光に変換することによ
    って発光するガス放電管であって、 前記ガス媒体の封入圧力は、 800Torr以上4000Torr以下であることを
    特徴とするガス放電管。
  2. 【請求項2】 ガス媒体が封入された放電空間中で放電
    して紫外線を発し蛍光体層で可視光に変換することによ
    って発光するガス放電管であって、 前記ガス媒体は、 ヘリウム,ネオン,キセノン,アルゴンを含む希ガスの
    混合物であることを特徴とするガス放電管。
  3. 【請求項3】 前記ガス媒体の封入圧力は、 800Torr以上4000Torr以下であることを
    特徴とする請求項2記載のガス放電管。
  4. 【請求項4】 対向して配設された一対のプレート間
    に、ガス媒体が封入された放電空間が形成されると共に
    前記一対のプレートの対向する面の少なくとも一方に電
    極及び蛍光体層が配設され、放電に伴って紫外線を発し
    前記蛍光体層で可視光に変換することによって発光する
    ガス放電パネルであって、 前記ガス媒体の封入圧力は、 800Torr以上4000Torr以下であることを
    特徴とするガス放電パネル。
  5. 【請求項5】 前記ガス媒体には、 キセノンが含まれていることを特徴とする請求項4記載
    のガス放電パネル。
  6. 【請求項6】 前記ガス媒体には、 ネオン、ヘリウム及びクリプトンの少なくとも一つが含
    まれていることを特徴とする請求項5記載のガス放電パ
    ネル。
  7. 【請求項7】 対向して配設された一対のプレート間
    に、ガス媒体が封入された放電空間が形成されると共に
    前記一対のプレートの対向する面の少なくとも一方に電
    極及び蛍光体層が配設され、放電に伴って紫外線を発し
    前記蛍光体層で可視光に変換することによって発光する
    ガス放電パネルであって、 前記ガス媒体は、 ヘリウム,ネオン,キセノン,アルゴンを含む希ガスの
    混合物であることを特徴とするガス放電パネル。
  8. 【請求項8】 前記ガス媒体には、 キセノンが5体積%以下、アルゴンが0.5体積%以
    下、ヘリウムが55体積%未満含有されていることを特
    徴とする請求項7記載のガス放電パネル。
  9. 【請求項9】 前記ガス媒体の封入圧力は、 800Torr以上4000Torr以下であることを
    特徴とする請求項7記載のガス放電パネル。
  10. 【請求項10】 対向して配設された一対のプレート間
    に、ガス媒体が封入された放電空間が形成されると共に
    前記一対のプレートの対向する面の少なくとも一方に電
    極及び蛍光体層が配設され、放電に伴って紫外線を発し
    前記蛍光体層で可視光に変換することによって発光する
    ガス放電パネルであって、 前記ガス媒体から放出される紫外線は、 共鳴線より分子線が相対的に多いことを特徴とするガス
    放電パネル。
  11. 【請求項11】 対向して配設された一対のプレート間
    に、ガス媒体が封入された放電空間が形成されると共に
    前記一対のプレートの対向する面の少なくとも一方に電
    極及び蛍光体層が配設され、放電に伴って紫外線を発し
    前記蛍光体層で可視光に変換することによって発光する
    ガス放電パネルであって、 前記電極に電圧を印加するときに、 放電空間において、線条グロー放電或は第2形グロー放
    電で放電がなされることを特徴とするガス放電パネル。
  12. 【請求項12】 前記蛍光体層に用いられてる蛍光体
    は、 その発光効率が、紫外線波長の147nmより173n
    mで大きいことを特徴とする請求項4,7,10及び1
    1のいずれかに記載のガス放電パネル。
  13. 【請求項13】 前記電極は、 その少なくとも一部が誘電体層で覆われており、 当該誘電体層の表面は、 熱化学蒸着法もしくはプラズマ化学蒸着法で形成された
    酸化マグネシウム層で被覆されていることを特徴とする
    請求項4,7,10及び11のいずれかに記載のガス放
    電パネル。
  14. 【請求項14】 前記電極は、 互いに平行に配設された表示電極と、当該表示電極と交
    差して配設されたアドレス電極とを含み、 前記表示電極及びアドレス電極は、 前記一対のプレートのどちらか一方の表面上に、第1の
    誘電体層を介して積層されていることを特徴とする請求
    項4記載のガス放電パネル。
  15. 【請求項15】 前記一対の平行に配されたプレート
    は、 フロントカバープレートとバックプレートであって、 前記表示電極及びアドレス電極とは、 前記バックプレートの表面上に、第1の誘電体層を介し
    て積層されていることを特徴とする請求項14記載のガ
    ス放電パネル。
  16. 【請求項16】 前記アドレス電極、第1の誘電体層及
    び表示電極は、 前記一対のプレートのどちらか一方の表面上に、順に積
    層され、 前記表示電極の少なくとも一部が第2の誘電体層で覆わ
    れていることを特徴とする請求項14記載のガス放電パ
    ネル。
  17. 【請求項17】 前記第2の誘電体層の表面は、 熱化学蒸着法もしくはプラズマ化学蒸着法で形成された
    酸化マグネシウム層で被覆されていることを特徴とする
    請求項16記載のガス放電パネル。
  18. 【請求項18】 対向して配設された一対のプレート間
    に、ガス媒体が封入された放電空間が形成されると共に
    前記一対のプレートの対向する面の少なくとも一方に電
    極及び蛍光体層が配設され、放電に伴って紫外線を発し
    前記蛍光体層で可視光に変換することによって発光する
    ガス放電パネルであって、 前記電極は、 その少なくとも一部が誘電体層で覆われており、 当該誘電体層は、 熱化学蒸着法もしくはプラズマ化学蒸着法で形成され
    (100)面または(110)面に配向した結晶構造で
    あって、且つその表面にピラミッド状の凹凸を有する酸
    化マグネシウム膜で被覆されていることを特徴とするガ
    ス放電パネル。
  19. 【請求項19】 前記ガス媒体の封入圧力は、 800Torr以上4000Torr以下であることを
    特徴とする請求項18記載のガス放電パネル。
  20. 【請求項20】 対向して配設された一対のプレート間
    に、ガス媒体が封入された放電空間が形成されると共に
    前記一対のプレートの対向する面上に電極及び蛍光体層
    が配設され、放電に伴って紫外線を発し前記蛍光体層で
    可視光に変換することによって発光するガス放電パネル
    と、 前記電極に電圧を印加することによって前記ガス放電パ
    ネルを駆動する駆動回路とからなる表示装置であって、 前記駆動回路による駆動時に、 前記放電空間では、線条グロー放電或は第2形グロー放
    電で放電がなされることを特徴とする表示装置。
  21. 【請求項21】 対向して配設された一対のプレート間
    に、ガス媒体が封入された放電空間が形成されると共に
    前記一対のプレートの対向する面上に電極及び蛍光体層
    が配設され、放電に伴って紫外線を発し前記蛍光体層で
    可視光に変換することによって発光する放電パネルと、 前記電極に電圧を印加することによって前記放電パネル
    を駆動する駆動回路とからなる表示装置であって、 前記電極は、 その少なくとも一部が誘電体層で覆われており、 当該誘電体層は、 熱化学蒸着法もしくはプラズマ化学蒸着法で形成され
    (100)面または(110)面に配向した結晶構造で
    あって、且つその表面にピラミッド状の凹凸を有する酸
    化マグネシウム膜で被覆されていることを特徴とする表
    示装置。
  22. 【請求項22】 前記ガス媒体の封入圧力は、 800Torr以上4000Torr以下であることを
    特徴とする請求項21記載の表示装置。
  23. 【請求項23】 前記ガス媒体は、 ヘリウム,ネオン,キセノン,アルゴンを含む希ガスの
    混合物であることを特徴とする請求項21記載の表示装
    置。
  24. 【請求項24】 密封容器の中に、電極及び蛍光体層が
    配設されると共にガス媒体が封入された放電空間が形成
    され、放電に伴って紫外線を発し前記蛍光体層で可視光
    に変換することによって発光するガス発光デバイスであ
    って、 前記ガス媒体の封入圧力は、 800Torr以上4000Torr以下であることを
    特徴とするガス発光デバイス。
  25. 【請求項25】 密封容器の中に、電極及び蛍光体層が
    配設されると共にガス媒体が封入された放電空間が形成
    され、放電に伴って紫外線を発し前記蛍光体層で可視光
    に変換することによって発光するガス発光デバイスであ
    って、 前記ガス媒体は、 ヘリウム,ネオン,キセノン,アルゴンを含む希ガスの
    混合物であることを特徴とするガス発光デバイス。
  26. 【請求項26】 前記ガス媒体の封入圧力は、 800Torr以上4000Torr以下であることを
    特徴とする請求項25記載のガス発光デバイス。
  27. 【請求項27】 電極及び誘電体層が配設された第1の
    プレートの前記誘電体層の上に、CVD法によって(1
    00)面または(110)面に配向した酸化マグネシウ
    ム層を形成する第1ステップと、 前記酸化マグネシウム層上に、プラズマエッチング法に
    よってピラミッド状の凹凸を形成する第2ステップと、 前記第2ステップ終了後の第1のプレートの酸化マグネ
    シウム層上に、間隙をおいて第2のプレートを配すると
    共に、前記第1のプレート及び第2のプレートの間に形
    成される放電空間にガス媒体を封入する第3ステップと
    を備えることを特徴とするガス放電パネルの製造方法。
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