JPH11181656A - 経糸開口内への風綿侵入防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な装置により、経糸開口の上方周辺で発
生する風綿が経糸開口内に侵入するのを防止すると共
に、経糸開口内の風綿をヘルド枠と筬との間の経糸開口
の外部へ排出できるようにする。 【解決手段】 経糸４の開口１１内への風綿の侵入を防
止するために、空気を噴射する風綿侵入防止ノズル２が
経糸４の最大開口の上方で最後退時の筬３とヘルド枠８
との間に設けられており、風綿侵入防止ノズル２のノズ
ル先端から噴射される空気の噴射中心軸がノズル先端か
ら織物の幅方向に向かうにしたがって筬３側に接近する
ように、ノズル先端が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、空気噴射により、経糸開
口内への風綿の侵入を防止する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】製織中に風綿が発生するが、それが経糸
開口内に入ると、経糸が開口不良を起こし、緯入れ不良
が多発する原因となる。特に、経糸が静電気を起こし易
い糸で緯糸が風綿の立ち易い糸種の場合に、上記のよう
な製織不良が発生し易くなっている。

【０００３】例えば特開平３−７４６８６号の公報は、
風綿を除去するために、経糸開口部の全域を包み込むよ
うに、吹出口から移送空気を吹き出し、この移送空気に
よって開口部分で発生する風綿を吸引口から吸引して除
去することを開示している。しかし、上記装置による
と、装置が大がかりとなり、既設の織機に対し取り付け
にくく、また、新設の織機に取り付けるにあたっても、
設備費も高くなるという欠点がある。

【０００４】

【発明の目的】したがって、本発明の目的は、簡単な装
置により、経糸開口の上方周辺で発生した風綿が経糸開
口内へ侵入するのを防止すると共に、経糸開口内で発生
する風綿をヘルド枠と筬との間の経糸開口の外部へ排出
できるようにし、上記の欠点を解決している。

【０００５】

【発明の解決手段】上記目的の下に、本発明は、経糸開
口内への風綿侵入防止装置を独特の風綿侵入防止ノズル
によって構成している。経糸開口の上方周辺で発生した
風綿が経糸開口内に侵入するのを防止するために、空気
を噴射する風綿侵入防止ノズルは、経糸の最大開口の上
方で最後退時の筬とヘルド枠との間に設けられている。
風綿侵入防止ノズルのノズル先端から噴射される空気の
噴射中心軸がノズル先端から織物の織り幅方向に向かう
にしたがって筬側に接近するように、ノズル先端が例え
ば斜めの切り口によって形成されている。

【０００６】風綿侵入防止ノズルは、織物の織り幅方向
の適当な間隔で織り幅方向に向けて１または複数設けら
れており、製織中に継続的に噴射をするか、または製織
中に一方の織り端に位置するものから他方の織り端に位
置するものの方向に間欠的に順次噴射をする。また、必
要に応じ、エアジェット織機の場合、風綿侵入防止ノズ
ルは、緯入れノズルの噴射期間の少なくとも一部の期間
で噴射を停止するようになっている。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１および図２は、エアジェット
織機における本発明の経糸開口内への風綿侵入防止装置
１の構成を示している。経糸開口内への風綿侵入防止装
置１は、１または複数の風綿侵入防止ノズル２を備えて
いる。風綿侵入防止ノズル２は、経糸４の開口１１の上
方周辺の風綿が経糸４の開口１１内へ侵入するのを防止
する空気を噴射するために、経糸４の最大の開口１１の
上方で、最後退時の筬３とヘルド枠８との間に設けら
れ、上記の位置で１個、または織物９の織り幅方向の適
当な間隔で織り幅方向に向けて複数例えば４個設けられ
ている。なお、経糸４は、織り幅方向でシート状として
設けられており、ヘルド枠８の上下運動によって開口１
１を形成する。

【０００８】そして、緯入れノズルとしてのメインノズ
ル６は、筬３を支持するためのスレー１２の上に取り付
けられており、緯入れタイミングで、緯糸５を開口１１
内に緯入れする。緯入れ時に、緯糸５は、緯入れノズル
としての複数例えば５グループのサブノズル７によっ
て、緯入れ方向に搬送される。緯入れされた緯糸５は、
筬３によって織り前１０（ビーティング位置）に筬打ち
され、織物９となる。なお緯入れノズルとしてのサブノ
ズル７は、通常、スレー１２に取り付けられており、緯
入れ方向に向けて緯糸５を搬送するための空気を噴射す
る。

【０００９】図３および図４は、風綿侵入防止ノズル２
の具体的な例を示している。風綿侵入防止ノズル２は、
ヘルド枠８に接近した状態で、織り幅と平行な状態で、
例えば緯入れ方向に向けて設けられており、風綿侵入防
止ノズル２のノズル先端は、噴射する空気の噴射中心軸
をノズル先端から織物９の幅方向に向かうにしたがって
筬３側に接近するように、形成されている。

【００１０】図３の具体例によると、風綿侵入防止ノズ
ル２のノズル先端は、筬３に対し斜めに向き合うよう
に、例えば４５度の切断形状として形成されており、ま
た図４の具体例において、風綿侵入防止ノズル２のノズ
ル先端は、筬３側に向かって適当な角度で屈曲してお
り、ノズル中心孔に対して直角の切断形状の開口面で筬
３の方向に斜めに向けられている。筬３とヘルド枠８と
の間隔が狭くなっており、風綿侵入防止ノズル２からの
空気の噴射位置をなるべくヘルド枠８に近づけるという
観点から、図３の具体例の方が優れている。

【００１１】このように、複数の風綿侵入防止ノズル２
は、全て織り幅方向に対して平行で同一方向に向けられ
ている。組み込み対象の織機がエアジェット織機の場
合、風綿侵入防止ノズル２の先端は、全て緯入れ方向す
なわち反緯入れ側の織り端に向けられている。これは、
緯入れ時に、緯入れノズルとしてのメインノズル６およ
びサブノズル７からの緯入れのための噴射流を乱さず、
また風綿を緯入れ噴射流に乗せて、反緯入れ側の端部に
集めるためである。

【００１２】次に、図５は、エアジェット織機における
場合で、第１から第４までの風綿侵入防止ノズル２およ
び緯入れノズルとしてのメインノズル６に対する制御系
を示している。圧力空気源２４は、配管２５によって、
圧力制御ユニット１３、エアタンク１４およびそれぞれ
の開閉弁１５を経て風綿侵入防止ノズル２に接続されて
おり、また配管２５により分岐して、圧力制御ユニット
１６、エアタンク１７および開閉弁１８を介してメイン
ノズル６に接続されている。

【００１３】風綿侵入防止ノズル制御装置１９は、エン
コーダ２０によって、織機主軸２１の回転角（クランク
角）を検出し、所定の角度で開閉弁１５を開放すること
によって、製織中に、全ての風綿侵入防止ノズル２を常
時噴射させるか、またはリレー噴射の状態で間欠的に噴
射させ、また必要に応じて、緯入れノズルの噴射期間中
の少なくとも一部の期間で風綿侵入防止ノズル２の噴射
を停止させる。またメインノズル制御装置２２は、エン
コーダ２３によって織機主軸２１の回転角（クランク
角）を検出し、緯入れ開始タイミングから一定の期間に
わたってメインノズル６から圧力空気を噴射し、メイン
ノズル６に通されている緯糸５を緯入れする。

【００１４】風綿侵入防止ノズル２から噴射された風綿
侵入防止用の空気は、噴射中心軸を筬３に接近する方向
に斜めに向けられているため、ヘルド枠８に近い空気流
は、ヘルド枠８と平行な方向に向けられており、また筬
３に近い側の空気流は、空気の噴射中心軸から遠ざかる
向きに拡散し、筬３の方向に向けられている。この空気
流によって、ヘルド枠８の側に、風綿の侵入を防止する
ための空気層が形成され、ヘルド枠８側への風綿の侵入
を防止し、ヘルド枠８側に侵入した風綿がさらに経糸４
の開口１１内へ侵入するのを防止する。このときの空気
流によって、織り前１０の側へ排出された風綿は、筬３
の筬打ち動作に伴う上向きの空気流および緯入れノズル
としてのメインノズル６およびサブノズル７による緯入
れ方向への空気流によって、反緯入れ側に搬送される。
反緯入れ側には、図示しないフィルタ状のネットなどが
配置されているため、そこに搬送された風綿は、フィル
タ状のネットにより受け止められ、保持される。

【００１５】つぎに、図６、７、８は、エアジェット織
機における場合で、織機主軸２１の回転角（クランク
角）を横軸として、風綿侵入防止ノズル２、メインノズ
ル６、サブノズル７の噴射態様および筬３の位置関係を
示している。まず、図６において、メインノズル６は、
所定の噴射期間（７０〜２５０度）にわたって噴射して
おり、また第１から第５までのグループのサブノズル７
は、所定の噴射期間（７０〜１８０度）にわたって緯入
れ方向に順次順番にリレー噴射し、間欠的に噴射を行っ
ている。一方、第１から第４までの全ての風綿侵入防止
ノズル２は、メインノズル６の噴射期間で噴射動作を停
止し、その期間以外で、噴射動作を継続している。停止
期間では、メインノズル６および第５グループを除くサ
ブノズル７の噴射空気流によって、風綿侵入防止の効果
が得られるため、全ての風綿侵入防止ノズル２は、その
期間で圧力空気の浪費を防止するために、噴射を停止し
ている。

【００１６】次に図７において、メインノズル６および
サブノズル７は、前記図６と同様な噴射を行っている。
これに対し、第１から第４までの風綿侵入防止ノズル２
は、メインノズル６およびサブノズル７の噴射開始タイ
ミング（７０度）から第４番目のグループのサブノズル
７の噴射終了タイミング（２２５度）の時点まで噴射を
停止している。これによって、より一層の圧力空気の浪
費が防止できる。

【００１７】さらに、図８の例は、第１から第４の風綿
侵入防止ノズル２をリレー噴射の状態で緯入れ方向に順
次動作させる例である。この例でも、メインノズル６の
噴射期間にわたって、風綿侵入防止ノズル２は、噴射動
作を停止している。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、簡単な風綿侵入防止ノ
ズルによって、経糸開口の上方周辺で発生した風綿の経
糸開口内への侵入が防止できるため、風綿による経糸開
口の不良や緯入れ不良の発生を未然に防止することがで
きる。特に、風綿侵入防止ノズルが織り幅方向にわたっ
て複数設けられておれば、筬とヘルド枠との間で、織り
幅方向全域にわたって風綿侵入効果が期待できる。また
風綿侵入防止ノズルから空気が常時噴射されている例に
よれば、製織中の全ての期間にわたって常時風綿侵入防
止効果が期待できる。さらに、エアジェット織機におけ
る場合に、風綿侵入防止ノズルからの噴射が間欠的に行
われる例によれば、緯入れノズルによって風綿侵入防止
効果が補完され、この期間の大部分にわたって風綿侵入
防止ノズルの噴射が停止できるため、圧力空気の浪費が
防止できる。さらに、エアジェット織機以外の場合にお
いても、風綿侵入防止ノズルが間欠的に噴射する場合、
連続噴射にともなう圧力空気の浪費が未然に防止でき
る。また風綿侵入防止ノズルの先端が筬方向に向けられ
た斜めの切り口によって形成される具体例によると、風
綿侵入防止ノズルの製作が容易であり、それによって必
要な方向の空気流が確保でき、しかも筬とヘルド枠との
間の狭い空間に対しても確実に組み込めるため、実施が
容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の経糸開口内への風綿侵入防止装置の側
面図である。

【図２】本発明の経糸開口内への風綿侵入防止装置の平
面図である。

【図３】風綿侵入防止ノズルの平面図である。

【図４】風綿侵入防止ノズルの平面図である。

【図５】メインノズルおよび風綿侵入防止ノズルの制御
系のブロック線図である。

【図６】風綿侵入防止ノズル、メインノズル、サブノズ
ルの噴射態様および筬の前後位置のタイムチャート図で
ある。

【図７】風綿侵入防止ノズル、メインノズル、サブノズ
ルの噴射態様および筬の前後位置のタイムチャート図で
ある。

【図８】風綿侵入防止ノズル、メインノズル、サブノズ
ルの噴射態様および筬の前後位置のタイムチャート図で
ある。

【符号の説明】

１ 経糸開口内への風綿侵入防止装置 ２ 風綿侵入防止ノズル ３ 筬 ４ 経糸 ５ 緯糸 ６ メインノズル ７ サブノズル ８ ヘルド枠 ９ 織布 １０ 織り前 １１ 開口

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 経糸開口内への風綿の侵入を防止するた
   めに、空気を噴射する風綿侵入防止ノズルが経糸の最大
   開口の上方で最後退時の筬とヘルド枠との間に設けられ
   ており、風綿侵入防止ノズルのノズル先端から噴射され
   る空気の噴射中心軸がノズル先端から織物の織り幅方向
   に向かうにしたがって筬側に接近するように、ノズル先
   端が形成されていることを特徴とする経糸開口内への風
   綿侵入防止装置。
2. 【請求項２】 風綿侵入防止ノズルが織物の織り幅方向
   の適当な間隔で幅方向に向けて複数設けられていること
   を特徴とする請求項１記載の経糸開口内への風綿侵入防
   止装置。
3. 【請求項３】 風綿侵入防止ノズルが製織中に継続的に
   噴射をすることを特徴とする請求項１または２記載の経
   糸開口内への風綿侵入防止装置。
4. 【請求項４】 風綿侵入防止ノズルが製織中に一方の織
   り端に位置するものから他方の織り端に位置するものの
   方向に間欠的に順次噴射をすることを特徴とする請求項
   １または２記載の経糸開口内への風綿侵入防止装置。
5. 【請求項５】 エアジェット織機において、風綿侵入防
   止ノズルが緯入れノズルの噴射期間の少なくとも一部の
   期間で噴射を停止することを特徴とする請求項１、２、
   ３または４記載の経糸開口内への風綿侵入防止装置。
6. 【請求項６】 風綿侵入防止ノズル先端が筬の方向に向
   けられた斜めの切り口によって形成されていることを特
   徴とする請求項１、２、３、４または５記載の経糸開口
   内への風綿侵入防止装置。