JPH11174427A - 液晶表示デバイスと液晶プロジェクタ - Google Patents

液晶表示デバイスと液晶プロジェクタ

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JPH11174427A
JPH11174427A JP9345227A JP34522797A JPH11174427A JP H11174427 A JPH11174427 A JP H11174427A JP 9345227 A JP9345227 A JP 9345227A JP 34522797 A JP34522797 A JP 34522797A JP H11174427 A JPH11174427 A JP H11174427A
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display device
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crystal display
film
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Masanobu Shigeta
正信 茂田
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶層とガラス基板との界面で発生する光反
射を抑制しうる構成を有する液晶表示デバイスを提供す
ることである。 【解決手段】 光源として可視域に輝線を有する光源を
用いる液晶表示デバイスにおいて、該デバイスを構成す
るガラス基板等の透明基板の内側面上に、透明な電極層
と配向層および、該透明な電極層より小さくかつ前記液
晶層または前記透明基板より大きい屈折率を有する1ま
たは複数の透明な中間層からなる積層構造を備え、上記
光源の各輝線波長において、該積層構造の各層界面で発
生する総反射率が0.5%以下となるように、各層の厚
み等を定める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直視型もしくは投
射型の表示装置に使用される液晶表示デバイスに関す
る。
【0002】
【従来の技術】図4(a)は、従来の反射型液晶表示デ
バイスの構成例を示す装置の部分断面図である。液晶表
示デバイスは、片側面に電極が形成された2枚の基板
を、各電極面が対向するように一定の間隙で貼りあわ
せ、この間隙に液晶を注入したものを基本構造とする。
ここでは、画素ごとに薄膜トランジスタを配したTFT
型アクティブマトリクス液晶表示デバイスの構成例を示
す。一画素に相当する部分を模式的に示している。
【0003】同図に示すように、多くの反射型液晶表示
デバイスでは、貼りあわせる2枚の基板の一方として、
透明なガラス基板210を用い、もう一方の基板として
シリコン基板290を用いている。ガラス基板210の
内側面上にはITO(IndiumTin Oxide)等の透明電極
220が形成され、さらに透明電極220表面には、液
晶分子の配列を規制するための配向膜230aが形成さ
れている。
【0004】シリコン基板290の内側表面層には、薄
膜トランジスタ270および場合によっては、同図に示
すように、コンデンサ280が形成され、さらにこれら
の素子上には、層間絶縁膜260を介し、電極と光反射
膜の機能を兼ねたAl反射電極250が形成されてい
る。また、反射電極250の表面にも配向膜230bが
形成されている。
【0005】ガラス基板210とシリコン基板290の
間は、図に示さぬスペーサによって一定ギャップが保た
れ、このギャップ間に液晶層240が注入形成されてい
る。
【0006】このような反射型液晶表示デバイスでは、
光源からの光I0は、ガラス基板210側から入射して
液晶層240を通過し、シリコン基板290表面の反射
電極250で反射される。入射光I0、反射光IRとも液
晶層を通過する際に、液晶分子の配向状態に応じて偏光
方向が規制される。
【0007】一般に、透過型液晶表示デバイスの場合
は、トランジスタが形成される領域等は、遮光部とな
り、光を透過できず、構造的に高い開口率を得ることが
困難であるが、反射型液晶表示デバイスの場合は、反射
電極250の下層にトランジスタを作り込むことができ
るため、透過型液晶表示デバイスに較べ開口率の点で有
利な構造といえる。
【0008】図5は、上述する反射型液晶表示デバイス
を用いた従来の投射型テレビ、いわゆる液晶プロジェク
タの構成例を簡易に示す図である。同図に示すように、
液晶プロジェクタは、光源100、2枚の偏光子120
a、120b、ハーフミラー130、液晶表示デバイス
140、液晶表示デバイスの駆動回路150、光学レン
ズ160およびスクリーン170を主な構成要素とす
る。
【0009】例えば、光源100より出た光は、まず偏
光子120aを通過し、一定方向の偏光光のみが取り出
された後、ハーフミラー130で光の進路を変更され、
液晶表示デバイス140に入射する。液晶表示デバイス
140中の液晶層には、駆動回路150を介し、所定電
圧が各画素に印加され、これに応じて液晶分子の配向状
態が変化する。液晶層を通過する光は、この液晶分子の
配向状態によりその偏向方向が規制される。液晶表示デ
バイスの反射電極面で反射された光は、今度はハーフミ
ラー130を通過しもう一方の偏光子120bに到達
し、ここで所定方向の偏向光のみが選択され、さらに光
学レンズ160を通し拡大され、スクリーン170に映
しだされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図4(b)は、図4
(a)に示す液晶表示デバイスにおいて、液晶層240
の周辺のみを取り出した、デバイスの部分断面図であ
る。同図中に示すように、ガラス基板210に入射した
入射光I0の一部は、液晶層240に到達する途中の各層
界面で反射される。特に、透明電極として使用されるI
TOや酸化スズ(SnO2 )は、屈折率が約2前後と
高いため、ガラス基板や配向膜との界面で反射を起こし
やすい。例えば、液晶層240への入射光I0の場合、
ガラス基板210と透明電極220との界面、透明電極
220と配向膜230aとの界面、配向膜230aと液
晶層240との界面で、それぞれr11、r21、r31の反
射光(以下、便宜的にこれらをあわせて界面反射光R1
と表現する。)が生じてしまう。
【0011】また、反射電極250で反射した反射光I
Rが出射する際にも、各層の界面で反射光r32
22、r12(便宜的にこれらをあわせて界面反射光R2
で表現する。)が生じる。この界面反射光R2は、再度
反射電極250で反射される。
【0012】界面反射光R1は、液晶層240を通過せ
ず偏光方向の変化が生じない光であるため、多くの場
合、スクリーンに到達する前に、偏光子120bでカッ
トされ、スクリーン上にあまり影響しない(図5参
照)。しかし、一旦液晶層240を通過し、反射電極2
50で反射された後に発生する界面反射光R2の場合
は、偏光子120bでカットされない場合がほとんどで
あり、これらも反射光IRとともにスクリーン上に到達
する。
【0013】図6は、図4(b)に示す従来の液晶表示
デバイスの構成において発生する界面反射光R2に相当
する光の反射率を測定した結果を示すグラフである。図
中従来例1とは、透明電極220としてITOを膜厚4
00Å、配向膜230a、230bとしてSiO2膜を
膜厚約25Å形成したものを用いた液晶表示デバイスで
ある。なお、配向膜は、基板を蒸着源に対し70度傾け
て斜め蒸着を行うことで配向性が付与されたものであ
る。また、同図中従来例2とは、透明電極220として
ITOを膜厚400Å、配向膜230a、230bとし
て垂直配向用ポリイミド膜を膜厚700Å形成したもの
を用いた液晶表示デバイスである。なお、垂直配向用ポ
リイミド膜は、印刷法により塗布後、熱硬化し、さらに
表面をラビングして配向性が付与されたものである。
【0014】同図に示すように、反射電極250で反射
した後にさらに液晶層とガラスとの界面で発生する界面
反射光R2は、従来例1、従来例2の場合、可視域にお
いて約3%から7%の反射率を示す。
【0015】液晶プロジェクタにおいて、スクリーン上
の明るさの確保は表示性能として重要な要素である。よ
って、この明るさを確保するため、上述するような開口
率の高い反射型液晶表示デバイスと低消費電力で高輝度
が得られるメタルハライドランプとが主に用いられてい
る。
【0016】メタルハライドランプとは、発光管内に水
銀および複数のハロゲン化金属が封入された放電ランプ
であり、その発光スペクトルには、封入する材料特有の
強い輝線がいくつか現れる。図7は、液晶プロジェクタ
に用いられるメタルハライドランプの分光分布例を示す
グラフである。同図に示すように、現在最も多く使用さ
れているメタルハライドランプでは、可視域の440n
m、540nm、580nm付近に強い輝線を有する。
【0017】図6に示すように、ガラス基板と液晶との
界面での界面反射光R2の反射率が3%から7%程度存
在すると、輝線波長においては無視できない反射強度を
有することとなる。例えば通常数μm程度の厚みを有す
る液晶層にわずかな厚みむらがあると、反射光IRと界
面反射光R2の干渉により、干渉縞がスクリーン上に発
生し、表示品質が低下する。
【0018】特に、透過型表示デバイスでは界面反射光
2がほとんど抜けてしまうので弱いのに対し、反射型
液晶表示デバイスでは界面反射光R2が強くでるため干
渉が大きくなり、スクリーン上の干渉縞が目立ちやす
い。
【0019】このように、液晶層とガラス基板との界面
の反射光の存在に伴い発生するスクリーン上の干渉縞
は、反射型液晶表示デバイスを用い、輝線スペクトルを
有する放電型ランプを使用した液晶プロジェクタにおい
て特に顕著に現れ、表示品質を劣化させる。
【0020】本発明の目的は、上述する問題に鑑み、液
晶層とガラス基板との界面で発生する光反射を抑制しう
る構成を有する液晶表示デバイスと、これを用いて表示
品質を改善した液晶プロジェクタを提供することであ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の液晶表示デバイスの特徴は、内側面に少なくとも電極
層および配向層をそれぞれ有する一対の基板と、前記一
対の基板間に挟まれた液晶層とを有し、前記一対の基板
の少なくとも一方が透明基板であり、前記透明基板の内
側面に形成される電極層と配向層が透明である液晶表示
デバイスにおいて、前記透明基板の内側面上に、前記透
明な電極層と配向層および、前記透明な電極層より小さ
くかつ前記液晶層または前記透明基板より大きい屈折率
を有する1または複数の透明な中間層からなる積層構造
を備えることである。
【0022】上記請求項1に記載の液晶表示デバイスに
よれば、透明基板の内側面上に電極層と配向層の他に、
これらの層の中間の屈折率を有する透明材を中間層とし
て用いた積層構造を形成することにより、各層の厚みを
調整し、比較的容易に各層界面での反射率を下げ、界面
での反射に起因する表示不良の発生を防ぐことができ
る。
【0023】本発明の請求項2に記載の液晶表示デバイ
スの特徴は、上記請求項1の特徴を有する液晶表示デバ
イスにおいて、光源として可視域に輝線を有する光源を
用いるものであり、前記積層構造が、前記光源の輝線波
長において、前記液晶層から前記透明基板に進む光のう
ち前記積層構造の各層界面で発生する総反射率が0.5
%以下となるように、前記積層構造を構成する各層の屈
折率および厚みが決定されていることである。
【0024】上記請求項2に記載の液晶表示デバイスに
よれば、透明基板上に形成される該積層構造の界面での
反射の影響が顕著となる輝線を有する光源を用いる場合
においても、積層構造の各層界面で発生する総反射率を
0.5%以下とすることにより、液晶セルに厚みむらが
多少存在しても、界面での反射に起因する表示不良の発
生を防ぐことができる。
【0025】本発明の請求項3に記載の液晶表示デバイ
スの特徴は、上記請求項1または請求項2の特徴を有す
る液晶表示デバイスにおいて、前記一対の基板の他方
が、内側面に有する電極層として可視域の光を反射する
反射電極層を備えることである。
【0026】なお、請求項4に記載するように、透明基
板の内側面に形成する積層構造は、透明基板面側より、
第1の中間層、透明な電極層、配向層の順とするとよ
い。
【0027】請求項5に記載した投射型表示装置の特徴
は、液晶表示デバイスとして請求項1から4のいずれか
の特徴を有するものを用いることである。
【0028】上記請求項5に記載の投射型表示装置によ
れば、請求項1から4の特徴を有する液晶表示デバイス
を用いるため、本来の表示に用いられる液晶表示デバイ
スからの出射光に対しスクリーン上で干渉縞を発生させ
る反射光の発生を防止し、良好な表示品質を維持でき
る。
【0029】なお、請求項6に記載するように、請求項
1から5の特徴を有する液晶表示デバイスを用いるた
め、光源として光効率が高いが可視域に輝線を有するメ
タルハライドランプを用いた場合においても良好な表示
品質を維持できる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0031】液晶表示デバイスにおいて、多くの場合、
ガラス基板上に形成される透明電極と配向膜は必須の構
成要素である。従来これらの膜厚等の条件は、例えば透
明電極であれば、主として抵抗値や透過率を考慮して決
められていた。また、配向膜ではその配向性が最も良好
となるように材料、膜厚、製造方法が選択されていた。
【0032】これに対し、本発明の実施の形態の液晶表
示デバイスにおいては、ガラス基板上に形成される透明
電極や配向膜の各層の膜厚等の条件を、光反射防止効果
をも考慮して決定する。また、透明電極や配向膜といっ
た必須構成要素を具備することを前提とした上で、さら
に透明材料からなる「中間層」を構成要素として1層も
しくは複数層付加し、全体で新たな積層構造を形成し、
調整可能な範囲で、各層の屈折率や膜厚を決定し、液晶
層とガラス基板との界面となるこの積層構造の光反射の
発生を抑制している点に大きな特徴を有する。
【0033】この界面における反射特性にとっては、積
層構造を構成する各層の厚みや屈折率が重要な因子とな
る。例えば、一般に使用するガラス基板は、屈折率が
1.55前後であり、透明電極として用いられるITO
やSnO2の屈折率は約2前後である。十分な低抵抗値
を得るためにはこれらの透明電極は少なくとも数百Å以
上の膜厚を必要とする。また、使用する配向膜は、十分
な配向性を得ることが重要であるため、使用する材料や
膜厚はおのずと限定される。例えばTN型液晶表示デバ
イスに用いられる斜め蒸着を用いて形成するSiO2
を配向膜として使用する場合は、少なくとも膜厚約50
0Å以上が必要であり、表面をラビングする方法で配向
性が付与されるポリイミド膜を配向膜として使用する場
合には、ポリイミド膜の膜厚を700〜800Åとする
のが一般的である。SiO2膜の屈折率は約1.46前
後であり、ポリイミド膜の屈折率は約1.6〜1.7前
後である。また、一般に使用されるネマティック液晶の
屈折率は1.53前後である。なお、これらの屈折率値
は、製造方法によって、あるいは光の波長によっても微
妙に変化するものである。
【0034】これらの必須構成材料の組み合わせのみで
は、液晶層とガラス基板との界面で発生する界面反射光
を低減することは容易ではない。そこで、本実施の形態
においては、すでに上述したように、反射防止効果をよ
り容易に実現するため、配向膜と透明電極との間、もし
くは透明電極とガラス基板との間に「中間層」と呼ぶ層
を1または複数層設ける。
【0035】中間層は、少なくとも可視域において高い
透過率を有し、比較的容易に作製できるものが好まし
い。例えばこのような膜としては、Al23、ZrO2
SiO2、SiNX、TiO2膜等が挙げられる。なお、
好ましくは、1.6から1.7の屈折率を有するAl2
3のように、透明電極より小さくガラス基板もしくは
液晶層より大きい中間的な屈折率を有する材料を中間層
として用いる。
【0036】このように、従来の液晶表示デバイスにお
ける必須構成要素である透明電極と配向膜に、膜厚や屈
折率の選択の幅がより大きい中間層を加え、ガラス基板
上に積層構造を形成することにより、液晶層とガラス基
板の界面での反射を効果的に低減することが可能とな
る。
【0037】
【実施例】以下、具体的な実施例について説明する。
【0038】(実施例1)図1(a)は、実施例1にお
いて作製した反射型液晶表示デバイスの部分断面図であ
る。実施例1は、垂直配向型液晶表示デバイスであり、
基本的な液晶表示デバイスの構造は図4(a)に示す従
来のものと同様である。一方の基板であるシリコン基板
上には、従来と同様、各画素ごとに必要なトランジスタ
等が形成され、その上に電極であり反射膜であるAl膜
20が形成され、さらにその表面にSiO2膜からなる
配向膜16bが形成されている。
【0039】また、対向するガラス基板10上には、ガ
ラス基板10とITO膜14の間、およびITO膜14
と配向膜16aとの間に中間層としてのAl23膜12
a、12bが付加されている。即ち、ガラス基板10上
には、基板側より中間層(Al23膜12a)、ITO
膜14、中間層(Al23膜12b)、配向膜(SiO
2膜16a)の順に各層が形成されている。
【0040】ガラス基板10上に形成する各層の膜厚
は、各材料の具体的な屈折率を考慮し、光源として使用
するメタルハライドランプの輝線波長である440nm、
540nm、580nmにおいて、Al反射電極20表面で
反射され、液晶層18を通過しガラス基板10に入射す
る界面で発生する界面反射RS1が従来のものより十分低
い値となるよう考慮して決定した。即ち、λをメタルハ
ライドランプの3本の輝線波長中の中間波長540nmと
した場合、ガラス基板10上の積層構造の各層の光学膜
厚を、Al23膜12aをλ/4、ITO膜14をλ/
2、Al23膜12bをλ/4、SiO2膜配向膜16
aをλ/4とした。
【0041】以下、簡単に各膜の作製方法について説明
する。
【0042】中間層として用いるAl23膜12a、1
2bは、いずれもイオンビームアシストによる真空蒸着
法を用いて形成した。成膜中の真空度、即ち酸素分圧は
7×10-5Torr、基板温度は250℃とした。ま
た、膜成長速度は5Å/secとした。イオンビームア
シストのパワーは350V、22mAとした。
【0043】透明電極として用いるITO膜14も、イ
オンビームアシストによる真空蒸着法を用いて形成し
た。成膜中の真空度、即ち酸素分圧は4×10-4Tor
r、基板温度は250℃とした。また、膜成長速度は1
Å/secとした。イオンビームアシストのパワーは3
50V、22mAとした。
【0044】SiO2配向膜16a、16bは、イオン
ビームアシストの真空蒸着法によって形成した。成膜中
の真空度、即ち酸素分圧は3×10-5Torr、基板温
度は室温とした。なお、膜に配向性を付与するため、基
板を蒸着源に対し、65度傾け、斜め蒸着を行った。膜
成長速度は8Å/secとした。イオンビームアシスト
のパワーは800V、80mAとした。
【0045】シリコン基板上へのトランジスタ、反射電
極(Al膜20)等の作製は、一般的なトランジスタの
作製方法に準じ、従来の方法を用いて行った。こうして
シリコン基板とガラス基板の内側表面上にそれぞれ必要
な構造を形成した後、ギャップが約3μmとなるように
スペーサを介して2枚の基板を貼りあわせた。この後、
ギャップ中に誘電異方性が負のネマティック液晶(チッ
ソ社製EN−37)を注入し、注入口を封じた。
【0046】図2は、実施例1における液晶表示デバイ
スの構成を示す斜視図である。図中右側より順に、ガラ
ス基板10、Al23膜12a、ITO膜14、Al2
3膜12b、SiO2配向膜16a、液晶層18、配向
膜16b、Al電極20、シリコン基板30が並ぶ構成
を有する。なお、ガラス基板10の外側表面に、反射防
止膜を形成してもよい。
【0047】図3は、各実施例の液晶表示デバイスにお
ける界面反射光の測定反射率(Rs1 s2、Rs3)を示
す。また、同図中には、参考のため従来の液晶表示デバ
イスにおける測定値(図6に示す従来例に相当する)を
示している。実施例1の液晶表示デバイスにおける界面
反射光RS1 (図1(a)参照)は、同図中実線「サン
プル1」に示す。メタルハライドランプの輝線波長であ
る440nm、540nm、580nmにおいて、当該反射率
を0.5%以下に抑えることができた。
【0048】(実施例2)図1(b)は、実施例2にお
いて作製した反射型液晶表示デバイスの部分断面図であ
る。実施例2も、実施例1と同様に、基本的な液晶表示
デバイスの構造は図4(a)に示す従来のものと同様で
ある。なお、実施例2は、垂直配向型液晶表示デバイス
である。
【0049】図1(b)に示すように、一方の基板であ
るシリコン基板上には、従来と同様、各画素ごとに必要
なトランジスタ等が形成され、その上に電極であり反射
膜であるAl膜20が形成され、さらにその表面にポリ
イミド配向膜22bが形成されている。
【0050】また、対向するガラス基板10上には、ガ
ラス基板10とITO膜14の間に中間層としてのAl
23膜12cが付加されている。即ち、ガラス基板10
上には、基板側より中間層(Al23膜12c)、IT
O膜14、配向膜(ポリイミド配向膜22a)の順に各
層が形成されている。
【0051】ガラス基板10上に形成する各層の光学膜
厚は、λをメタルハライドランプの3本の輝線波長中の
中間波長540nmとすると、Al23膜12cをλ/
4、ITO膜14をλ/2、ポリイミド配向膜22aを
λ/4とした。
【0052】Al23膜12cおよびITO膜14の作
製条件は、実施例1と同様な条件を用いた。ポリイミド
配向膜22a、22bは、スクリーン印刷法を用いて膜
を形成した後、180℃で膜を熱硬化し、膜表面をラビ
ングすることにより配向性を付与した。
【0053】シリコン基板上へのトランジスタ、反射電
極等の作製は、従来の方法と同様な方法を用いて行っ
た。シリコン基板とガラス基板上にそれぞれ必要な層を
形成した後、ギャップが約3μmとなるように、スペー
サを介して貼りあわせた。この後、ギャップ中に液晶E
N−37を注入、注入口を封じた。
【0054】上述した実施例2の液晶表示デバイスの界
面反射RS2の反射率の測定結果を、図3中実線「サンプ
ル2」に示す。メタルハライドランプの輝線波長である
440nm、540nm、580nmにおいて、当該反射率を
いずれも0.5%以下に抑えることができた。
【0055】(実施例3)図1(c)は、実施例3にお
いて作製した反射型液晶表示デバイスの部分断面図であ
る。実施例3は、実施例1と同様、TN型液晶表示デバ
イスであり、基本的な液晶表示デバイスの構造は図4
(a)に示す従来のものと同様である。
【0056】一方の基板であるシリコン基板上には、従
来と同様、各画素ごとに必要なトランジスタ等が形成さ
れ、その上に電極であり反射膜であるAl膜20が形成
され、さらにその表面にSiO2配向膜16dが形成さ
れている。
【0057】また、対向するガラス基板10上には、ガ
ラス基板10とITO膜14の間に中間層としてのAl
23膜12dが付加されている。即ち、ガラス基板10
上には、基板側より中間層(Al23膜12d)、IT
O膜14、配向膜(SiO2配向膜16c)の順に各層
が形成されている。実施例1においては、2層の中間層
を用いたが、実施例3においては中間層1層のみを用い
た。
【0058】ガラス基板10上に形成する各層の膜厚
は、各材料の具体的な屈折率を考慮し、光源として使用
するメタルハライドランプの輝線波長である440nm、
540nm、580nmにおいて、Al膜20表面で反射さ
れた光が、液晶層18とガラス基板10との界面で発生
する界面反射光RS3が従来より低い値となるよう考慮し
て決定した。即ち、λをメタルハライドランプの3本の
輝線波長中の中間波長540nmとしたとき、各層の光学
膜厚を、Al23膜12dをλ/4、ITO膜14をλ
/2、SiO2配向膜16cをλ/2とした。
【0059】なお、Al23膜12d、ITO膜14、
SiO2配向膜16cの作製条件は、実施例1と同様な
条件を用いた。
【0060】シリコン基板上へのトランジスタ、反射電
極等の作製は、従来の方法と同様な方法を用いて行っ
た。シリコン基板とガラス基板上にそれぞれ必要な層を
形成した後、ギャップが約3μmとなるように、スペー
サを介して貼りあわせ、ギャップ中に液晶EN−37を
注入し、注入口を封じた。
【0061】実施例3で作製した液晶表示デバイスの界
面反射光RS3の反射率の測定結果を、図3中実線「サン
プル3」に示す。反射率は従来例1、2に比べると低い
が、実施例1(サンプル1)実施例2(サンプル2)と
比較すると、やや高く、可視域で0.7%から2.5%
の反射率を示した。
【0062】(表示品質評価)上述した実施例1から3
の液晶表示デバイスと、光源として180wのメタルハ
ライドランプを用いて、図5に示す構成を有する液晶プ
ロジェクタを作製し、実際のスクリーン上に表示を行
い、目視で、スクリーン上の干渉縞の発生有無の評価を
行った。また、光源として可視域に輝線を持たないキセ
ノンランプを用いた場合についても評価した。この結果
を表1に示す。従来の液晶デバイス(図6中従来例1、
従来例2)を用いた場合の評価結果も示した。
【0063】なお、評価対象としては、いずれも液晶セ
ル厚分布が20%程度有するものを選んだ。評価の目安
としては、通常の注意力において目視によりスクリーン
上の干渉縞の存在が確認できる場合を×、注意深く観察
した場合にのみ目視でスクリーン上の干渉縞の存在が確
認できる場合を△、注意深く観察しても目視でスクリー
ン上の干渉縞が確認できない場合を○とした。
【0064】
【表1】 表1に示すように、輝線を有さないキセノンランプを光
源として用いた場合、上述した実施例1から3の液晶表
示デバイスのみならず、従来例1,2のものを用いた場
合もスクリーン上に干渉縞は観察されず、表示品質はい
ずれも良好であった。しかし、可視域に輝線を有するメ
タルハライドランプを光源として用いた場合は、従来例
1,2と上述する実施例1から3とでは表示品質に明ら
かな差異が見られた。従来例1,2を用いた場合は、通
常の注意力でもスクリーン上に干渉縞が確認されるのに
対し、実施例1,2と比較し、界面反射率がやや高かっ
た実施例3を用いた場合は、注意深く観察した場合にの
みスクリーン上に干渉縞の存在が確認された。界面反射
光の反射率がメタルハライドランプのいずれの輝線波長
においても0.5%以下となる実施例1および実施例2
の構成の液晶表示デバイスを用いた場合は、スクリーン
上の干渉縞は目視で確認できず、良好な表示品質を示し
た。
【0065】なお、スクリーン上の干渉縞の発生を防止
する方法としては、そもそも液晶セルの厚みを均一化す
るように生産工程の管理調整を行うことや、キセノンラ
ンプのように輝線を有しない光源の使用、あるいは輝線
波長のカット等の方法も考えられている。しかし、液晶
セル厚の管理は、プロセス上の負担が極めて大きく生産
性が犠牲となる。また輝線を有しないキセノンランプ等
は、メタルハライドランプ等に比べ光効率が低く光源寿
命も短いため、必ずしも好ましい選択ではない。さら
に、メタルハライドランプの輝線波長を色フィルター等
を用いてカットすると、スクリーン明度が大きく犠牲と
なる。
【0066】これに対し、液晶層と接するガラス基板上
に、透明電極、配向膜および中間層を用いて液晶層とガ
ラス基板との界面反射を低減できる積層構造を形成する
本実施の形態における液晶表示デバイスは、強い輝線を
有する高光効率の光源を用いた場合において、多少の液
晶セルの厚みむらが存在しても高い表示品質を維持で
き、生産性やスクリーン輝度が犠牲とならない。
【0067】なお、本実施の形態に基づく具体的な液晶
表示デバイスの構造例として、実施例1から3を示した
が、本発明の液晶表示デバイスは、これらの実施例に限
定されず、種々の材料と膜厚の選定が考えられる。すで
に述べたように、例えば中間層としては、Al23膜の
他にも、ZrO2、SiO2、TiO2膜等の金属酸化物、
SiNx膜等の窒化物、MgF2等のフッ化物等の使用
が考えられる。また、複数の中間層を用いる場合には、
各層ごとに異なる材料を用いてもよい。また、用いる中
間層は、使用するガラス基板、透明電極、配向膜、およ
び液晶層等の材料の光学物性等にあわせて、種類や膜厚
を選択すればよい。なお、中間層の層数は1層、2層に
限られず、さらに多くの層を積層してもよい。
【0068】また、図2に示すグラフと表1の結果から
考察されるように、液晶層とガラス基板との間で起こる
界面反射率を0.5%以下に抑えるような積層構造をガ
ラス基板上に形成すれば、液晶プロジェクタにおいて、
極めて良好な表示品質を得ることが可能である。
【0069】また、本実施の形態における液晶表示デバ
イスを用いた液晶プロジェクタにおいて組み合わせる光
源は、メタルハライドランプに限られず、可視域に輝線
を有するような光源を用いる場合にはいずれも同様な効
果をもたらす。
【0070】なお、上述の実施例においては、反射型の
液晶表示デバイスの構造のみを例示しているが、本実施
の形態における液晶表示デバイスの設計技術思想は、透
過型の液晶表示デバイスの構成においても適用できるこ
とは明らかである。
【0071】また、本実施の形態における液晶表示デバ
イスは、液晶プロジェクタのみならず、直視型の種々の
表示装置においても用いることができる。
【0072】
【発明の効果】上述するように、本発明の請求項1に記
載の液晶表示デバイスによれば、液晶表示デバイスを構
成するガラス基板等の透明基板の内側面上に、透明な電
極層と配向層および、該透明な電極層より小さくかつ前
記液晶層または前記透明基板より大きい屈折率を有する
1または複数の透明な中間層からなる積層構造を備える
ため、各層の厚み等を調整することにより、比較的容易
に各層界面での反射率を下げることができる。これによ
り、多少の液晶セルの厚みむらが存在しても、界面での
反射に起因する表示不良の発生を防ぐことができる。
【0073】また、本発明の請求項2に記載の液晶表示
デバイスによれば、光源として可視域に輝線を有する光
源を用い、液晶表示デバイスを構成する透明基板上に形
成する積層構造として、上記光源の各輝線波長におい
て、該積層構造の各層界面で発生する総反射率が0.5
%以下となるように、各層の屈折率および厚みを決定す
るので、輝線波長の存在にかかわらず、該積層構造の界
面での反射の影響が表示品質を悪化させることがない。
よって、光効率の高いメタルハライドランプ等の光源を
用いることが可能となる。また、多少液晶セルの厚みむ
らがあっても表示品質を良好に維持できるため、プロセ
ス工程に高い精度を要求して過度の負担をかける必要も
ない。
【0074】また、このような本発明の液晶表示デバイ
スを用いた液晶プロジェクタにおいては、スクリーン上
での干渉縞の発生が抑制され、良好な表示品質を維持で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における実施例1から実施
例3の液晶表示デバイスの構造を示す部分断面図であ
る。
【図2】本発明の実施例1の液晶表示デバイスの構造を
示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例1から実施例3の液晶表示デバ
イスにおけるガラス基板と液晶層との界面における反射
率を示すグラフである。
【図4】従来の反射型液晶表示デバイスにおける界面反
射について説明するための部分断面図である。
【図5】従来の液晶プロジェクタの構成を簡易に示す構
成図である。
【図6】従来の反射型液晶表示デバイスにおける液晶層
とガラス基板界面における反射率を示すグラフである。
【図7】液晶プロジェクタ用メタルハライドランプの分
光分布例を示すグラフである。
【符号の説明】
10・・・ガラス基板 12aから12d・・・Al23膜 14・・・ITO膜 16aから16d・・・SiO2配向膜 18・・・液晶層 20・・・Al膜 22a、22b・・・ポリイミド配向膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内側面に少なくとも電極層および配向層
    をそれぞれ有する一対の基板と、前記一対の基板間に挟
    まれた液晶層とを有し、前記一対の基板の少なくとも一
    方が透明基板であり、前記透明基板の内側面に形成され
    る電極層と配向層が透明である液晶表示デバイスにおい
    て、 前記透明基板の内側面上に、前記透明な電極層と配向
    層、および前記透明な電極層より小さくかつ前記液晶層
    または前記透明基板より大きい屈折率を有する1または
    複数の透明な中間層とからなる積層構造を備えることを
    特徴とする液晶表示デバイス。
  2. 【請求項2】 前記液晶表示デバイスが、光源として可
    視域に輝線を有する光源を用いるものであり、前記積層
    構造が、 前記光源の輝線波長において、前記液晶層から前記透明
    基板に進入する光のうち前記積層構造の各層界面で発生
    する総反射率が0.5%以下となるように、前記積層構
    造を構成する各層の屈折率および厚みが決定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示デバイス。
  3. 【請求項3】 前記一対の基板の他方が、 内側面に有する電極層として可視域の光を反射する反射
    電極層を備える請求項1または請求項2に記載の液晶表
    示デバイス。
  4. 【請求項4】 前記積層構造が、 前記透明基板面側より、第1の中間層、透明な電極層、
    配向層の順に各層が積層されていることを特徴とする請
    求項1から3のいずれかに記載の液晶表示デバイス。
  5. 【請求項5】 液晶表示デバイスとして、 請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示デバイスを
    用いることを特徴とする液晶プロジェクタ。
  6. 【請求項6】 光源として、 メタルハライドランプを用いることを特徴とする請求項
    5に記載の液晶プロジェクタ。
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