JP4138354B2 - 液晶装置及びその製造方法、並びに投射型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置及びその製造方法、並びに投射型表示装置に係り、特に、耐久性に優れた液晶装置及びその製造方法、並びに前記液晶装置を備えた投射型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置に搭載される光変調手段や、携帯電話等に搭載される直視型表示装置として用いられる液晶装置は、液晶層を挟持して対向配置され、液晶層に電圧を印加するための電極を具備する一対の基板を主体として構成されている。液晶装置としては、一方の基板側から入射した光が、液晶層を透過し、他方の基板側から出射された光を視認する透過型液晶装置が知られており、透過型液晶装置においては、一対の基板の外側に、各々、特定の偏光のみを透過する偏光子を設けることにより、電圧無印加時、電圧印加時における液晶層内の液晶分子の配列を光学的に識別し、表示を行う構成になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の透過型液晶装置では、偏光子として、特定の偏光のみを透過し、それ以外の偏光を吸収する光吸収型偏光子が広く用いられている。しかしながら、光源として高輝度の光源を用いた場合には、偏光子に吸収される光量が多く、偏光子の温度が高くなり、その結果、偏光子が劣化して液晶装置の耐久性が低下するという恐れがあった。この問題は特に、強い光源を用いる投射型表示装置に搭載する場合に顕著な問題であった。また、偏光子の劣化の問題は、黒(暗)表示時において、液晶層を透過した光のほとんどすべてを吸収する必要がある視認側(光出射側)の偏光子において顕著な問題であった。
【0004】
また、視認側の偏光子を、特定の偏光のみを透過し、それ以外の偏光を反射する光反射型偏光子により構成した場合には、偏光子での光吸収が起こらないため、上述の問題を回避することができるが、トランジスタ素子を用いたアクティブマトリクス型液晶装置においては、視認側の偏光子により反射された光がトランジスタ素子の半導体層に入射し、光リーク電流を生じさせ、素子のスイッチング特性が低下する恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れた液晶装置及びその製造方法、並びに、その液晶装置を備えた投射型表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するべく検討を行った結果、以下の本発明の液晶装置及び投射型表示装置を発明するに到った。
本発明の液晶装置は、第1の基板と第2の基板との間に液晶層が挟持されてなる液晶装置であって、前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板には、前記液晶層に電圧を印加するための電極として機能する構造複屈折体が備えられ、前記電極は、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体からなる構造複屈折体と、前記光反射体上に前記光反射体を覆うように設けられ、前記複数の光反射体を電気的に導通する導通電極とを具備して構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の液晶装置は、構造複屈折体が備えられたものである。構造複屈折体は、入射する光の偏光方向によって有効屈折率が異なるものであり、特定の偏光のみを透過させ、特定の偏光のみを反射させることができる。したがって、本発明の液晶装置を透過型液晶装置に適用した場合、構造複屈折体を偏光子として機能させることができる。構造複屈折体は、上述のように、特定の偏光のみを反射する機能を有するため、光吸収型偏光子に比較して吸収される光量が少なく、耐久性に優れる。
【0008】
ここで、構造複屈折体の構造について具体的に説明する。
本発明の液晶装置に備えられる構造複屈折体としては、液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体を具備する構造のものが好適である。図16に基づいて、このような構造を有する構造複屈折体が、特定の偏光のみを透過し、特定の偏光のみを反射することができる理由について説明する。
【0009】
図16に示すように、入射する光の波長よりも小さいピッチで、ストライプ状に配列された複数の媒質101を具備した構造の構造複屈折体100において、隣接する媒質101の間隙には、媒質101と異なる屈折率を有する媒質102が充填されていることが必要である。
【0010】
このような構造の構造複屈折体100においては、媒質101の屈折率n1と媒質102の屈折率n2が異なるため、構造複屈折体100に入射した光の偏光方向により有効屈折率が異なる。例えば、媒質101の屈折率n1が媒質102の屈折率n2よりも大きい場合には、各媒質101の延在方向に対して略平行方向に振動する偏光Aについての有効屈折率が、各媒質101の延在方向に対して略垂直方向に振動する偏光Bについての有効屈折率よりも大きくなる。
【0011】
媒質101、媒質102が誘電体からなる場合、媒質101の厚みをa、媒質102の厚みをbとすると、構造複屈折体100に入射する光のうち、偏光Aについての有効屈折率Na、偏光Bについての有効屈折率Nbはそれぞれ下記式(1)、(2)により表されることが知られている(例えば、M.Born and E.Wolf : Principles of Optics, 1st ed. (Pergamon Press, New York, 1959) p.705-708)。下記式(1)、(2)から分かるように、媒質101の厚みaと媒質102の厚みbの比により、有効屈折率をn1〜n2の範囲で変化させることができる。
【数1】
【0012】
以上、構造複屈折体が光の偏光状態によって異なる光学的性質を示すことを述べた。ここで、媒質101として金属や半導体のような光反射体を用いる場合、誘電率を複素数として扱うことで、誘電体に対する有効屈折率を求める場合と同様に扱うことができる。但し、有効屈折率は複素数となる。Effective Medium Theory(例えば、Dominique Lemercier−lalanne:Journal of Modern Optics,1996,vol43,no.10,2063-2085)、より厳密にはRigorous Coupled-Wave Analysis(M.G.Moharam:J.Opt.Soc.Am.A,12(1995)1077 )を用いた数値計算により、媒質101として金属を用いた場合、偏光Aに対する構造複屈折体の有効屈折率の虚数部が大きな値となり、その結果、入射した偏光Aは構造複屈折体により反射されることが知られている。一方、偏光Bに対する有効屈折率の虚数部は小さい値となり、偏光Bは構造複屈折体を透過することが知られている。
このように、2種類の媒質で、波長よりも小さい周期構造を形成することにより、光反射型偏光子と同じ作用、すなわち構造複屈折体の光軸(透過軸)と平行な偏光に対しては透過させ、垂直な偏光に対しては反射させる作用を持たせることができる。
【0013】
また、媒質101(光反射体)の屈折率と媒質102の屈折率の差は大きい程、媒質101のピッチは小さい程好ましく、このような構造とすることにより、偏光Aと偏光Bについての有効屈折率の差を大きくすることができる。その結果、偏光Aの反射率を高く、偏光Bの透過率を高くすることができ、反射光、透過光における偏光A、偏光B以外の偏光を低減し、消光比を大きくすることができるので、コントラストに優れた液晶装置を提供することができる。なお、消光比は、「光軸(透過軸)に平行な偏光の透過率/光軸(透過軸)に垂直な偏光の透過率」により定義されるものである。
【0014】
ただし、光反射体のピッチを小さくする程、製造が困難になるため、第1の基板、第2の基板のうち一方の基板側から光が入射し、他方の基板側から出射された光を視認する透過型液晶装置においては、光反射体のピッチを、入射光の波長よりも小さく、かつ、安定して形成できる範囲に設定することが望ましい。
【0015】
また、本発明の液晶装置においては、前記構造複屈折体が、液晶層に電圧を印加するための電極として機能するものである。
本発明者は、先に構造複屈折体が電極として機能する液晶装置を提案している(特許願2001−276596)が、この液晶装置では、微細なピッチで配列されている光反射体の抵抗が高いため、電圧降下や光反射体の発熱などの不都合が生じる恐れがあった。
【0016】
これに対し、本発明の液晶装置においては、光反射体を覆うように導通電極が設けられているので、光反射体が導通電極に覆われていない液晶装置と比較して、微細なピッチで配列されている各光反射体における抵抗を低減することができ、電圧降下や光反射体の発熱などの不都合が生じることはない。
また、このような液晶装置においては、光反射体を覆うように導通電極が設けられているので、構造複屈折体を電極として機能させるために、導通電極となる導電膜をパターニングして光反射体上の一部に導通電極を設けた液晶装置のように、導電膜をパターニングすることにより光反射体の上面を露出させることはなく、導電膜をパターニングすることによる光反射体へのダメージをなくすことができる。
さらに、構造複屈折体が電極として機能するものである場合、光反射体が導通電極に覆われていないと、液晶装置を駆動させることによって光反射体を構成する材料が液晶層内に溶け出してしまう恐れがあるが、上記の液晶装置においては、光反射体を覆うように設けられた導通電極によって、光反射体を構成する材料が液晶層内に溶け出すことを効果的に防止することができる。
【0017】
さらに、光反射体は、上述したように、液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列されたものであり、非常に微細なものである。このため、光反射体が設けられている表面との密着性が低く、光反射体を形成した後の製造工程における光反射体へのダメージにより、光反射体が剥離してしまうなどの不都合が生じ、構造複屈折体としての機能に支障をきたす恐れがある。また、上述したように、光反射体のピッチは小さい程好ましいが、光反射体のピッチを小さくすればする程、光反射体が設けられている表面との密着性も低くなってしまう。
これに対し、本発明の液晶装置においては、光反射体上に前記光反射体を覆うように設けられた導通電極を具備して構成されているので、導通電極によって、光反射体を形成した後の製造工程における光反射体へのダメージから光反射体を保護することができる。よって、光反射体の密着性も低くても、光反射体が剥離してしまうなどの不都合が生じることはない。
【0018】
また、本発明の液晶装置においては、電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角が90°であるとともに、前記第2の基板が一方の表面に光吸収型若しくは光反射型の偏光子を具備し、前記第1の基板が一方の表面に前記構造複屈折体を具備し、前記構造複屈折体を構成する各光反射体の延在方向が、前記偏光子の偏光軸に対して略平行若しくは略垂直とされたものとすることができる。
【0019】
特に、本発明の液晶装置においては、電圧無印加時における液晶層のツイスト角が90°のTN(Twisted Nematic)モードの透過型若しくは反射型液晶装置に好適に適用することができる。この場合には、構造複屈折体を構成する各光反射体の延在方向を、第2の基板側に設けられる偏光子の偏光軸に対して略平行若しくは略垂直とすることにより、表示を行うことができる。なお、本発明の液晶装置をTNモードに適用した時の表示機構については「発明の実施の形態」の項において詳述する。
【0020】
また、上記の液晶装置においては、前記第1の基板と前記第2の基板のうち、いずれか一方の基板には前記構造複屈折体と前記導通電極とからなる電極が備えられ、前記一方の基板の電極を構成する導通電極が、他方の基板に設けられた電極と同じ材料によって形成されていることを特徴とする。
【0021】
第1の基板に設けられている電極と前記第2の基板に設けられている電極とで電極を構成する材料が異なっていると、駆動中に電荷の偏りから電極の焼き付きが発生してしまう場合がある。これに対し、上記の液晶装置では、一方の基板の電極を構成する導通電極が、他方の基板に設けられた電極と同じ材料によって形成されているので、第1の基板と第2の基板とで電極を構成する材料の一部が同じ材料で形成されていることになり、第1の基板と第2の基板とで電極を構成する材料が異なることに起因する電極の焼き付きを防止することができる。
【0022】
また、上記の液晶装置においては、前記第1の基板および前記第2の基板には、前記構造複屈折体と前記導通電極とからなる電極が備えられ、前記第1の基板に設けられた前記電極と、前記第2の基板に設けられた前記電極とが、同じ材料によって形成されていることが望ましい。
上記の液晶装置では、前記第1の基板に設けられた前記電極と、前記第2の基板に設けられた前記電極とが、同じ材料によって形成されているので、第1の基板と第2の基板とで電極を構成する材料が異なることに起因する電極の焼き付きが生じることはない。
【0023】
また、上記の液晶装置においては、前記第1の基板がトランジスタ素子を具備するとともに、前記構造複屈折体が、前記トランジスタ素子を構成する半導体層の前記液晶層側に配置され、前記第2の基板側から前記液晶層に光が入射する構造とされた液晶装置とすることができる。
【0024】
このような液晶装置とすることで、トランジスタ素子を用いたアクティブマトリクス型液晶装置に適用する場合において、構造複屈折体により反射された光がトランジスタ素子の半導体層に入射することを防止することができる。よって、光リーク電流に起因する素子のスイッチング特性の低下を防止することができる。
【0025】
また、上記の液晶装置においては、前記トランジスタ素子が、コンタクトホールが設けられている部分に存在する前記導通電極によって、前記電極と電気的に接続されていることが望ましい。
例えば、コンタクトホールが設けられている部分に光反射体が存在していると、光反射体の導電性が不十分であるため、電極とトランジスタ素子との電気的な接続に支障をきたす恐れがある。
これに対し、上記の液晶装置においては、コンタクトホールが設けられている部分に存在する導通電極によって、電極とトランジスタ素子とが電気的に接続されているので、十分な導電性が得られるとともに、電極とトランジスタ素子との電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
また、導通電極を透光性を有する材料により構成する場合には、コンタクトホールが設けられている部分に光反射性の材料が存在している場合と比較して、画素の開口率の低下を抑えることができるという効果も得られる。
【0026】
また、上記の液晶装置においては、前記電極は、前記導通電極上に前記光反射体の形状が反映されてなる凹凸が備えられたものとすることができる。
このような液晶装置とすることで、電極が、配向膜としての機能を有する液晶装置とすることができる。電極が配向膜として機能する場合には、電極と配向膜とを個別に形成する場合と比較して、製造工程を簡略化することができる。
また、光反射体からなる構造複屈折体を備えた電極上に、配向膜を形成する場合には、配向膜にラビング処理を行うことによって、光反射体が剥離してしまうなどの不都合が生じ、構造複屈折体としての機能に支障をきたす恐れがあるが、電極が配向膜として機能する場合には、ラビング処理を行う必要はないので、ラビング処理に起因する不都合が発生することはない。
【0027】
また、上記の液晶装置においては、前記導通電極の厚みが、50〜300nmの範囲であることが望ましい。
例えば、導通電極の厚みが、50nm未満である場合、光反射体を保護する効果や、各光反射体における抵抗を低減する効果が十分に得られない恐れがある。また、導通電極を300nmを越える厚みにした場合、導通電極上に光反射体の形状を反映することが困難となり、配向膜としての機能に支障をきたす恐れがある。
これに対し、上記の液晶装置では、導通電極の厚みを、50〜300の範囲としたので、配向膜としての機能が十分に得られるとともに、光反射体を保護する効果や、各光反射体における抵抗を低減する効果も十分に得られる。
【0028】
また、上記の液晶装置においては、前記光反射体の端面が、前記導通電極に覆われていてもよい。
このような液晶装置は、光反射体が完全に被覆されたものとなるので、液晶装置を駆動させることによる光反射体を構成する材料の液晶層内への溶け出しをより一層効果的に防止することができるとともに、光反射体を形成した後の製造工程における光反射体へのダメージから光反射体をより一層効果的に保護することができる。
【0029】
以上の本発明の液晶装置を用いることにより、以下の本発明の投射型表示装置を提供することができる。
本発明の投射型表示装置は、光源と、前記光源からの光を変調する上記本発明の液晶装置からなる光変調手段と、前記光変調手段により変調された光を投射する投射手段とを備えたことを特徴とする。本発明の投射型液晶装置は、本発明の液晶装置を光変調手段として備えたものであるので耐久性に優れたものとなる。
【0030】
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶装置の製造方法は、上記のいずれかの液晶装置の製造方法であって、前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板上に、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体を設けることにより構造複屈折体を形成する工程と、前記光反射体上に前記光反射体を覆うように前記複数の光反射体を電気的に導通する導電層を設ける工程と、前記光反射体と前記導電層とを連続してエッチングして所定の形状とすることにより電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0031】
このような液晶装置の製造方法においては、光反射体と導電層とを設けてから、光反射体と導電層とを連続してエッチングして所定の形状とすることにより電極を形成するので、例えば、光反射体を所定の形状にエッチングしてから導電層を設け、その後、導電層を所定の形状にエッチングする方法と比較して、工程を簡略化することができ、容易に上記の液晶装置を得ることができる。
【0032】
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶装置の製造方法は、上記のいずれかの液晶装置の製造方法であって、前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板上に、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体を設けることにより構造複屈折体を形成し、前記光反射体をエッチングすることにより少なくとも所定の電極形状よりも小さい形状とする工程と、前記光反射体上に前記光反射体を覆うように前記複数の光反射体を電気的に導通する導電層を設け、前記導電層をエッチングして所定の電極形状を有する導通電極とすることにより電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0033】
このような液晶装置の製造方法においては、前記光反射体を少なくとも所定の電極形状よりも小さい形状としてから、前記光反射体を覆うように導電層を設け、前記導電層をエッチングして所定の電極形状を有する導通電極とすることにより電極を形成するので、光反射体の上面と端面とが導通電極によって覆われることになり、導通電極を設けた後の光反射体は完全に被覆された状態となる。
よって、液晶装置を駆動させることによる光反射体を構成する材料の溶け出しをより一層効果的に防止することができるとともに、光反射体を形成した後の製造工程における光反射体へのダメージから光反射体をより一層効果的に保護することができる。
【0034】
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、第1の基板と第2の基板との間に液晶層が挟持されてなる液晶装置であって、前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板には、前記液晶層に電圧を印加するための電極として機能する構造複屈折体が備えられ、前記電極は、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体からなる構造複屈折体と、前記光反射体上に前記光反射体を覆うように設けられ、前記複数の光反射体を電気的に導通する導通電極とを具備して構成され、前記第1の基板に設けられた前記電極表面と、前記第2の基板に設けられた前記電極表面とが、同じ材料によって形成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0035】
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、第1の基板と第2の基板との間に液晶層が挟持されてなる液晶装置であって、前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板には、前記液晶層に電圧を印加するための電極として機能する構造複屈折体が備えられ、前記電極は、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体からなる構造複屈折体と、前記光反射体上に前記光反射体を覆うように設けられ、前記複数の光反射体を電気的に導通する導通電極とを具備して構成され、前記導通電極上に前記光反射体の形状が反映されてなる凹凸が備えられたものであることを特徴とするものであってもよい。
【0036】
また、上記の液晶装置においては、前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板には、前記構造複屈折体と前記導通電極とからなる電極が備えられ、前記第1の基板に設けられた前記電極表面と、前記第2の基板に設けられた前記電極表面とが、同じ材料によって形成されていることが望ましい。
【0037】
また、上記の液晶装置においては、前記第1の基板がトランジスタ素子を具備するとともに、前記構造複屈折体が、前記トランジスタ素子を構成する半導体層の前記液晶層側に配置され、前記第2の基板側から前記液晶層に光が入射する構造とされたものであり、前記トランジスタ素子が、コンタクトホールが設けられている部分に存在する前記導通電極によって、前記電極と電気的に接続されていることが望ましい。
【0038】
また、上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、第1の基板と第2の基板との間に液晶層が挟持されてなる液晶装置であって、前記第1の基板がトランジスタ素子を具備し、前記第2の基板側から前記液晶層に光が入射する構造とされ、前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板には、前記液晶層に電圧を印加するための電極として機能する構造複屈折体が備えられ、前記電極は、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体からなる構造複屈折体と、前記光反射体上に前記光反射体を覆うように設けられ、前記複数の光反射体を電気的に導通する導通電極とを具備して構成され、前記構造複屈折体が、前記トランジスタ素子を構成する半導体層の前記液晶層側に配置され、前記トランジスタ素子が、コンタクトホールが設けられている部分に存在する前記導通電極によって、前記電極と電気的に接続されていることを特徴とするものであってもよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図であり、図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の構造を示す平面図である。図3は、本実施形態の液晶装置に備えられた画素電極のみを取り出して示す平面図である。また、図4は、本実施形態の液晶装置の構造を示す断面図であって、図2のA−A’線断面図である。なお、図4においては、図示上側が光入射側、図示下側が視認側(観察者側)である場合について図示している。また、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0040】
本実施形態の液晶装置は、スイッチング素子としてTFT(Thin-Film Transistor)素子(トランジスタ素子)を用いたアクティブマトリクス型の透過型液晶装置であり、表示モードとしてTNモードを採用した場合を例として説明する。
なお、本発明の液晶装置においては、特に、画素電極として機能する構造複屈折体が特徴的なものとなっている。
【0041】
図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT素子30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT素子30のソースに電気的に接続されている。
【0042】
また、走査線3aがTFT素子30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9は、TFT素子30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0043】
図2に示すように、TFTアレイ基板上に、矩形状の画素電極9(点線部9Aにより輪郭を示す)が複数、マトリクス状に設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。各画素電極9及び各画素電極9を囲むように配設されたデータ線6a、走査線3a、容量線3b等が形成された領域が画素であり、マトリクス状に配置された各画素毎に表示を行うことが可能な構造になっている。
【0044】
データ線6aは、TFT素子30を構成する例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1aのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1aのうち、後述のチャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する。
【0045】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図2中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。
【0046】
より具体的には、第1遮光膜11aは、各々、半導体層1aのチャネル領域を含むTFT素子30をTFTアレイ基板側から見て覆う位置に設けられており、さらに、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する後段側(すなわち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重なっている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的に接続するコンタクトホール13が設けられている。
【0047】
(断面構造)
図4に示すように、TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が挟持されている。TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板本体10Aと、その液晶層50側表面に形成された画素電極9と、各画素電極9に隣接する位置に設けられ、各画素電極9をスイッチング制御する画素スイッチング用のTFT素子30とを主体として構成されている。
【0048】
TFT素子30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0049】
また、上記走査線3a上、ゲート絶縁膜2上を含む基板本体10A上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5、及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。
さらに、データ線6a上及び第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第3層間絶縁膜7が形成されている。つまり、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4及び第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9に電気的に接続されている。
【0050】
また、本実施形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
【0051】
また、基板本体10Aの液晶層50側表面において、各画素スイッチング用TFT素子30が形成された領域には、TFTアレイ基板10を透過し、TFTアレイ基板10の図示下面(TFTアレイ基板10と空気との界面)で反射されて、液晶層50側に戻る戻り光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース、ドレイン領域(LDD領域)1b、1cに入射することを防止するための第1遮光膜11aが設けられている。また、第1遮光膜11aと画素スイッチング用TFT素子30との間には、画素スイッチング用TFT素子30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的に絶縁するための第1層間絶縁膜12が形成されている。また、図2に示したように、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aを設けるのに加えて、コンタクトホール13を介して第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続するように構成されている。
【0052】
また、画素電極9を構成する光反射体9aが形成された以外の領域には、対向基板20側から入射した光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース、ドレイン領域(LDD領域)1b、1cに侵入することを防止するための第2遮光膜23aが形成されており、この第2遮光膜23aは、第3層間絶縁膜7上に光反射体9aと同一層で形成されている。
また、基板本体10Aの液晶層50と反対側には、偏光子17が設けられている。
【0053】
他方、対向基板20においては、基板本体20Aの液晶層50側表面に、そのほぼ全面に渡って、インジウム錫酸化物(ITO)等の透明導電膜からなる共通電極21が形成され、その液晶層50側には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を規制するための配向膜22が形成されている。また、基板本体20Aの液晶層50と反対側には偏光子24が形成されている。
【0054】
(画素電極)
次に、本実施形態の液晶装置を構成する画素電極9について詳述する。
画素電極9は、光反射体9aと導通電極16とを備えたものである。光反射体9aは、光反射性を有する導電性材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等により構成され、図3に示すように、ストライプ状に配列されている。また、図3および図4に示すように、各光反射体9aの間には、多数のスリット状の開孔部9bが形成されている。なお、図面上は光反射体9aの幅及びピッチを大きく図示しているが、光反射体9aは、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチで配列されており、例えば、光反射体9aの幅は50〜90nm、ピッチは100〜150nmに設定される。
【0055】
また、光反射体9aは、図4に示すように、各画素電極9において画素スイッチング用TFT素子30及び蓄積容量70が形成された領域を除く領域に、走査線3aの延在方向に対して略平行方向に延在して形成されている。しかしながら、光反射体9aの延在方向はこれに限定されるものではなく、偏光子24の偏光軸や電圧無印加時における液晶層50の配向状態によって適宜設定される。
また、図3および図4に示すように、光反射体9aは、TFT素子30と画素電極9とを電気的に接続するコンタクトホール8が設けられている部分には設けられておらず、コンタクトホール8が設けられている部分には導通電極16のみが存在している。
【0056】
導通電極16は、ITOなどの透明導電膜からなり、図3および図4に示すように、光反射体9aよりも一回り大きく、光反射体9aの上面および端面9cを覆うように設けられている。また、導通電極16は、すべての光反射体9aを電気的に導通するものであり、コンタクトホール8を介してTFT素子30に電気的に接続されている。
また、導通電極16の厚みは、50〜300nmの範囲とされている。
【0057】
また、図4に示すように、隣接する光反射体9a間、すなわち開孔部9bには導通電極16の一部が充填されている。そして、各光反射体9aは光反射性材料からなるのに対し、導通電極16はITOなどの透明導電膜からなり、光反射体9aよりも屈折率の低い、透光性を有する材料により構成されている。
このように、画素電極9を、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された多数の光反射体9aと、光反射体9aよりも屈折率の低い材料からなり、隣接する光反射体9a間に一部が充填された導通電極16とを備えた構成とすることにより、構造複屈折体とすることができる。そして、画素電極9に入射した光のうち、光反射体9aの延在方向に対して略平行方向に振動する偏光については反射させ、光反射体9aの延在方向に対して略垂直方向に振動する偏光については透過させることができ、画素電極9を偏光子として機能させることができる。
【0058】
また、光反射体9aの屈折率と導通電極16の屈折率との差は大きい程、光反射体9aのピッチは小さい程好ましく、このような構造とすることにより、画素電極9における消光比を大きくすることができるので、コントラストに優れた透過型液晶装置を提供することができる。
【0059】
しかしながら、光反射体9aのピッチを小さくする程、製造が困難になるため、本実施形態では、光反射体9aのピッチを、液晶層50に入射する光の波長よりも小さく、かつ、安定して形成できる範囲に設定するとともに、TFTアレイ基板10の液晶層50と反対側に、さらに偏光子17を設け、視認側に2種類の偏光子を設ける構成としている。ただし、光反射体9aのピッチを微小にしても安定して形成することができ、画素電極9における消光比を大きくすることができる場合には、偏光子17を設けなくても良い。
【0060】
また、画素電極9は、図4に示すように、導通電極16上に光反射体9aの形状が反映されてなる凹凸が備えられたものであり、液晶層50内の液晶分子の配向を規制する配向膜としての機能を有するものとなっている。
【0061】
(表示機構)
次に、図5に基づいて、上記構造を有する本実施形態の透過型液晶装置の表示機構について説明する。図5は、本実施形態の透過型液晶装置の概略断面図であって、TFTアレイ基板10を構成する基板本体10Aと偏光子17と画素電極9、対向基板20を構成する基板本体20Aと偏光子24、及び液晶層50のみを取り出して示す断面図であり、図示左半分が電圧無印加時、図示右半分が電圧印加時の状態を示している。
なお、本明細書において、「電圧無印加時」、「電圧印加時」とは、それぞれ「液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電圧未満である時」、「液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電圧以上である時」を意味しているものとする。
【0062】
本実施形態において、対向基板20側、すなわち、光入射側に設けられた偏光子24を、S偏光(紙面に対して垂直方向に振動する偏光)のみを透過し、それ以外の偏光を吸収する光吸収型偏光子により構成する。
また、各画素電極9において、光反射体9aを、その延在方向が偏光子24の偏光軸に対して略平行になるように配列させる。各画素電極9において光反射体9aをこのように配列させることにより、画素電極9を、光反射体9aの延在方向に対して略平行方向に振動するS偏光を反射し、光反射体9aの延在方向に対して略垂直方向に振動するP偏光(図示左右方向に振動する偏光)を透過する構造とすることができる。
また、TFTアレイ基板10側の偏光子17を、P偏光(図示左右方向に振動する偏光)のみを透過し、それ以外の偏光を吸収する光吸収型偏光子により構成する。
【0063】
さらに、本実施形態では、TNモードを採用しているため、電圧無印加時の液晶層50のツイスト角が90°に設定されるが、電圧無印加時の対向基板20側の液晶分子の配向方向を偏光子24の偏光軸に対して略平行方向、すなわち、紙面に対して垂直方向に設定し、TFTアレイ基板10側の液晶分子の配向方向をそれよりも90°ずれた、図示左右方向に設定する。
【0064】
以上のような構成を採用した場合の、入射側の偏光子24を透過する偏光、液晶層50入射時、出射時の偏光、液晶層50から出射された光が構造複屈折体である画素電極9を透過するかどうか、及び表示の色(明るさ)について、電圧無印加時、電圧印加時についてそれぞれまとめて表1に記載する。
【0065】
上記構成を採用した場合、図5、表1に示すように、電圧無印加時においては、対向基板20側から入射した光のうち、紙面に対して垂直方向に振動するS偏光のみが偏光子24を透過し、液晶層50に入射する。液晶層50に入射したS偏光は、90°ツイストされて配列された液晶分子の長軸方向に沿って、偏光方向が変化し、液晶層50を出射する際には、S偏光に対して90°ずれたP偏光に変換される。そして、液晶層50から出射されたP偏光は、構造複屈折体である画素電極9、偏光子17を透過して、観察者側に出射され、視認される。したがって、電圧無印加時には白(明)表示になる。
【0066】
これに対して、電圧印加時においては、液晶層50内の液晶分子が画素電極9と共通電極21との間に形成される縦電界に沿って配列を変更するため、液晶層50に入射したS偏光は偏光方向を変換することなく、S偏光のまま出射される。液晶層50から出射されたS偏光は、構造複屈折体である画素電極9により反射され、観察者側に出射されず、視認されない。したがって、黒(暗)表示になる。
【0067】
このように、各画素電極9において、光反射体9a(構造複屈折体)の延在方向を光入射側の偏光子24の偏光軸に対して略平行とし、視認側の偏光子17の偏光軸を偏光子24の偏光軸に対して略垂直とすることにより、表示を行うことができる。
【0068】
なお、本実施形態の透過型液晶装置は、光入射側と視認側が同一(対向基板側が視認側)の反射型液晶装置としても利用することができる。本実施形態の透過型液晶装置を反射型液晶装置に適用する場合には、表1に合わせて記載するように、電圧無印加時においては、対向基板20側に光が出射されないため、黒(暗)表示となり、電圧印加時においては、画素電極9により反射されたS偏光が観察者側に出射されて、視認されるため、白(明)表示となり、表示を行うことができる。なお、反射型液晶装置に適用する場合には、構造複屈折体である画素電極9は偏光子として機能せず、液晶層50に入射した光のうち特定の偏光のみを反射する選択反射層として機能する。また、TFTアレイ基板10側の偏光子17は不要である。
【0069】
【表1】
【0070】
以上、画素電極9の光反射体9aの延在方向が、光入射側の偏光子24の偏光軸に対して略平行な場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画素電極9の光反射体9aの延在方向を、光入射側の偏光子24の偏光軸に対して略垂直としても良い。この場合の表示機構について、図5と同様の図6を参照して説明する。なお、図6において、図5と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明は省略する。
【0071】
この場合には、例えば、画素電極9の構造を図5に示した構造とし、光入射側の偏光子24を光反射体9aの延在方向に対して略垂直な方向に振動するP偏光のみを透過する光吸収型偏光子により構成すればよい。
また、電圧無印加時の対向基板20側の液晶分子の配向方向を偏光子24の偏光軸に対して略平行方向に設定し、TFTアレイ基板10側の液晶分子の配向方向をそれよりも90°ずれた方向に設定すればよい。また、TFTアレイ基板10側の偏光子17の偏光軸を偏光子24の偏光軸に対して略垂直とすればよい。
【0072】
以上のような構成を採用した場合の、入射側の偏光子24を透過する偏光、液晶層50入射時、出射時の偏光、液晶層50から出射された光が構造複屈折体である画素電極9を透過するかどうか、及び表示の色(明るさ)について、電圧無印加時、電圧印加時についてそれぞれまとめて表2に記載する。
【0073】
上記構成を採用した場合には、図6、表2に示すように、電圧無印加時においては、対向基板20側から入射した光のうち、P偏光のみが偏光子24を透過し、液晶層50に入射する。液晶層50に入射したP偏光は、90°ツイストされて配列された液晶分子の長軸方向に沿って、偏光方向が変化し、液晶層50を出射する際には、P偏光に対して90°ずれたS偏光に変換される。そして、液晶層50から出射されたS偏光は、構造複屈折体である画素電極9により反射されて対向基板20側に出射される。したがって、透過型で表示を行う場合には、観察者側に出射されず、黒(暗)表示となり、反射型で表示を行う場合には、観察者側に出射され、白(明)表示となる。
【0074】
これに対して、電圧印加時においては、液晶層50内の液晶分子が画素電極9と共通電極21との間に形成される縦電界に沿って配列を変更するため、液晶層50に入射したP偏光は偏光方向を変換することなく、P偏光のまま出射される。液晶層50から出射されたP偏光は、構造複屈折体である画素電極9及び偏光子17を透過し、TFTアレイ基板10側から出射される。したがって、透過型で表示を行う場合には、観察者側に出射され、白(明)表示となり、反射型で表示を行う場合には、観察者側に出射されず、黒(暗)表示となる。
このように、画素電極9の光反射体9aの延在方向を光入射側の偏光子24の偏光軸に対して略垂直としても、略平行とした場合と白表示、黒表示が反転するだけで、全く同様に表示を行うことができる。
【0075】
【表2】
【0076】
なお、本実施形態では、各画素電極9において、光反射体9aの延在方向を紙面に対して垂直方向に設定し、各画素電極9がS偏光を反射し、P偏光を透過する場合についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光反射体9aの延在方向を図示左右方向に設定しても良い。この場合には、画素電極9はS偏光を透過し、P偏光を反射する構造となり、同様に、表示を行うことができる。
【0077】
以上説明した本実施形態の透過型液晶装置によれば、以下の効果を得ることできる。
従来の光吸収型偏光子を用いた透過型液晶装置においては、光入射側に比較して視認側の偏光子の光吸収に起因する劣化が顕著であった。
これに対して、本実施形態では、視認側の偏光子を構造複屈折体である画素電極9と光吸収型の偏光子17の2種類により構成し、さらに、光吸収型の偏光子17を構造複屈折体である画素電極9の視認側に設ける構成とした。
【0078】
構造複屈折体である画素電極9は、有効屈折率の差異により、特定の偏光のみを透過し、特定の偏光のみを反射する機能を有するため、光吸収型偏光子に比較して吸収される光量は少なく、耐久性に優れる。また、光吸収型の偏光子17を構造複屈折体である画素電極9よりも視認側に設ける構成としているので、構造複屈折体である画素電極9を透過した偏光のみが、光吸収型の偏光子17に入射する。このため、光吸収型の偏光子17に吸収される光量は少なく、光吸収型の偏光子17が劣化する恐れは少ない。したがって、本実施形態によれば、耐久性に優れた透過型液晶装置を提供することができる。
【0079】
また、視認側の偏光子を構造複屈折体である画素電極9と光吸収型の偏光子17の2種類により構成することにより、構造複屈折体である画素電極9における消光比がそれ程大きくなくても、2種類の偏光子を合わせた消光比を大きくすることができ、コントラストに優れた透過型液晶装置を提供することができる。
【0080】
また、本実施形態の液晶装置においては、画素電極9は、構造複屈折体によって構成されているが、光反射体9aを覆うように導通電極16が設けられているので、光反射体9aが導通電極に覆われていない液晶装置と比較して、微細なピッチで配列されている各光反射体9aにおける抵抗を低減することができ、電圧降下や光反射体9aの発熱などの不都合が生じることはない。
また、このような液晶装置においては、導通電極16となる導電膜をパターニングして光反射体9a上の一部に導通電極を設けた液晶装置のように、導電膜をパターニングすることにより光反射体9aの上面を露出させることはないので、導電膜をパターニングすることによる光反射体9aへのダメージをなくすことができる。
さらに、光反射体9aを覆うように設けられた導通電極16によって、光反射体9aを構成する材料が溶け出すことを効果的に防止することができるとともに、光反射体9aを形成した後の製造工程における光反射体9aへのダメージから光反射体9aを保護することができる。
【0081】
また、本実施形態の液晶装置においては、TFTアレイ基板10には、構造複屈折体である画素電極9が備えられ、画素電極9を構成する導通電極16が、対向基板20に設けられた共通電極21と同じ材料であるITO等の透明導電膜によって形成されている。このため、画素電極9を構成する材料と共通電極21を構成する材料の一部が同じ材料となっている。その結果、TFTアレイ基板10と対向基板20とで、液晶層50に電圧を印加するための電極を構成する材料が異なることに起因する電極の焼き付きを防止することができる。
【0082】
また、本実施形態の液晶装置においては、TFT素子30と画素電極9とを電気的に接続するコンタクトホール8が設けられている部分には、光反射体9aが設けられておらず、導通電極16のみが存在しているので、十分な導電性が得られるとともに、TFT素子30と画素電極9との電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
また、導通電極16が透明導電膜によって形成されているため、コンタクトホール8が設けられている部分に光反射性の導通電極が存在している場合と比較して、画素の開口率の低下を抑えることができる。
【0083】
また、画素電極9上には、光反射体9a(構造複屈折体)の形状が反映されてなる凹凸が備えられているので、画素電極9の凹凸により液晶層50の配向を充分に規制できる。その結果、画素電極9が配向膜としての機能を有する液晶装置とすることができる。よって、ラビング処理を省略することができ、ラビング処理に起因する不都合が発生することがない。
【0084】
また、導通電極16の厚みを、50〜300nmの範囲としたので、配向膜としての機能が十分に得られるとともに、光反射体9aを保護する効果や、各光反射体9aにおける抵抗を低減する効果も十分に得られる。
【0085】
また、本実施形態では、画素電極9は、構造複屈折体からなり、偏光子としての機能も、配向膜としての機能も有するものであるので、画素電極9と偏光子と配向膜とを各々別々に設ける場合と比較して、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0086】
さらに、画素電極9を構成する光反射体9aと第2遮光膜23aとが同一層で形成されているので、光反射体9aと第2遮光膜23aとを同時に形成することができ、光反射体9aと第2遮光膜23aとを各々別々に設ける場合と比較して、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、画素電極9を構成する光反射体9aと第2遮光膜23aとを同一層で形成した場合には、TFT素子30への光入射を防止する遮光膜を対向基板20側に設ける必要がなくなるため、液晶装置を製造する際に、TFTアレイ基板10と対向基板20のアライメントが容易になるという効果も得られる。
【0087】
また、本実施形態では、画素電極9により構造複屈折体を構成し、構造複屈折体をTFT素子30の半導体層1aよりも液晶層50側に配置する構成を採用しているため、構造複屈折体である画素電極9により反射された光がTFT素子30の半導体層1aに入射することを防止することができ、光リーク電流に起因するTFT素子30のスイッチング特性の低下を防止することができる。
また、上述のように、本実施形態の透過型液晶装置は、同じ構造のまま反射型液晶装置としても利用することができ、好適である。
【0088】
また、光反射体9aの上面および端面9cを覆うように導通電極16が設けられ、光反射体9aが完全に被覆されているので、液晶装置を駆動させることによる光反射体9aを構成する材料の溶け出しをより一層効果的に防止することができるとともに、光反射体9aを形成した後の製造工程における光反射体へのダメージから光反射体をより一層効果的に保護することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、導通電極16は、光反射体9aよりも一回り大きく形成され、光反射体9aの上面および端面9cを覆うように設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図7(a)に示すように、導通電極16を光反射体9aと同じ大きさとし、導通電極16が光反射体9aの上面を覆うように設けられたものであってもよい。
【0090】
また、本実施形態では、TFT素子30と画素電極9とを電気的に接続するコンタクトホール8が設けられている部分には、光反射体9aが設けられておらず、導通電極16のみが存在しているものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンタクトホール8が設けられている部分に、光反射体91と導通電極16とが存在しているものであってもよい。
図7(b)は、TFT素子と画素電極とを電気的に接続するコンタクトホールと、コンタクトホールの周辺部分のみを示した部分断面図であり、図4と同じ構成要素については同じ参照符号を付している。図7(b)に示すように、コンタクトホール8が設けられている部分にも、光反射体91と導通電極16とが存在している。
このように、コンタクトホール8が設けられている部分にも、光反射体91と導通電極16とが存在している場合には、光反射体91による偏光選択可能な範囲が広がるので、実効的な開口率を上げることができる。また、このような構成とした場合においても、耐久性に優れた液晶装置となる。
【0091】
また、本実施形態では、光入射側、視認側の偏光子24、17をいずれも光吸収型偏光子により構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特定の偏光のみを透過し、それ以外の偏光を反射する光反射型偏光子により構成しても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、このような構成とした場合においても、構造複屈折体である画素電極9を透過した光のみが視認側の偏光子17に入射するため、偏光子17により反射される光量は少なく、光リーク電流に起因するTFT素子30のスイッチング特性の低下の恐れは少ない。
【0092】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態の液晶装置の構造について説明する。本実施形態の液晶装置の基本構造は、第1実施形態と同様であるが、本実施形態は、共通電極を構造複屈折体により構成した点が異なっている。
図8は、本実施形態の液晶装置の断面図である。なお、図8は、第1実施形態で示した図4に相当する図であり、図4と同じ構成要素については同じ参照符号を付し、説明は省略する。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様、図示上側が光入射側、図示下側が視認側(観察者側)である場合について図示している。
【0093】
本実施形態では、対向基板20を構成する共通電極31が、ストライプ状に配列された、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等からなる複数の光反射体31aと、光反射体31a上に光反射体31aを覆うように設けられた導通電極22aとを具備する構造になっている。図面上は光反射体31aの幅及びピッチを大きく図示しているが、光反射体31aは、画素電極9を構成する光反射体9aと同様に、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチで多数配列されており、例えば、光反射体31aの幅は50〜90nm、ピッチは100〜150nmに設定される。また、すべての光反射体31aは、導通電極22aを介して電気的に導通されており、全体として、1個の共通電極31として機能するようになっている。
【0094】
また、光反射体31aは、画素電極9を構成する光反射体9aの延在方向と同一方向、すなわち、走査線3aの延在方向に対して略平行方向に延在している。また、隣接する光反射体31a間には導通電極22aの一部が充填されている。そして、各光反射体31aは光反射性材料からなるのに対し、導通電極22aはITOなどの透明導電膜からなり、光反射体9aよりも屈折率の低い、透光性を有する材料により構成されている。
【0095】
このように、共通電極31を、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された多数の光反射体31aと、光反射体31aよりも屈折率の低い材料からなり、隣接する光反射体31a間に一部が充填された導通電極22aとを備えた構成とすることにより、構造複屈折体とすることができる。そして、共通電極31に入射した光のうち、光反射体31aの延在方向に対して略平行方向に振動する偏光については反射させ、光反射体31aの延在方向に対して略垂直方向に振動する偏光については透過させることができ、共通電極31を偏光子として機能させることができる。
【0096】
なお、本実施形態では、共通電極31を構成する光反射体31aと、画素電極9を構成する光反射体9aとが同一方向に延在する構成としたので、共通電極31と画素電極9が反射(透過)する偏光は同一となる。したがって、例えば、共通電極31、画素電極9がいずれも、S偏光を反射し、P偏光を透過するように構成した場合には、第1実施形態において図6に基づいて説明したように、表示を行うことができる。
【0097】
また、共通電極31を構成する光反射体31aの延在方向を、画素電極9を構成する光反射体9aの延在方向に対して略垂直方向としても良く、かかる構成とした場合には、共通電極31を透過する偏光を画素電極9が反射し、共通電極31により反射される偏光が画素電極9を透過する。したがって、例えば、共通電極31がS偏光を透過し、P偏光を反射し、画素電極9がS偏光を反射し、P偏光を透過するように構成した場合には、第1実施形態において図5に基づいて説明したように、表示を行うことができる。
【0098】
画素電極9を構造複屈折体とする場合と同様に、光反射体31aの屈折率と導通電極22aの屈折率の差は大きい程、光反射体31aのピッチは小さい程好ましく、このような構造とすることにより、共通電極31における消光比を大きくすることができるので、コントラストに優れた透過型液晶装置を提供することができる。したがって、本実施形態では、対向基板20側に光吸収型や光反射型の偏光子が設けられていない。
【0099】
第1実施形態で説明したように、構造複屈折体は、有効屈折率の差異により、特定の偏光のみを透過し、特定の偏光のみを反射する機能を有するため、光吸収型偏光子に比較して吸収される光量は少なく、耐久性に優れる。本実施形態によれば、光入射側と視認側の双方に構造複屈折体を設け、偏光子として機能させているので、第1実施形態の透過型液晶装置に比較して一層耐久性に優れた透過型液晶装置を提供することができる。
【0100】
なお、本実施形態では、対向基板20側に光吸収型や光反射型の偏光子を設けない構成としているが、共通電極31を構成する光反射体31aのピッチを小さくする程、製造が困難になるため、光反射体31aのピッチを、液晶層50に入射する光の波長よりも小さく、かつ、安定して形成できる範囲に設定するとともに、共通電極31の液晶層50側に、さらに光吸収型若しくは光反射型の偏光子を設け、光入射側にも2種類の偏光子を設ける構成としても良い。共通電極31の液晶層50側に光吸収型偏光子を設けた場合においても、構造複屈折体である共通電極31を透過した光のみが光吸収型偏光子に入射するため、光吸収型偏光子に吸収される光量は極めて微少である。また、共通電極31の液晶層50側に光反射型偏光子を設けた場合においても、光反射型偏光子はTFT素子30よりも光入射側に位置するため、光反射型偏光子により反射された光がTFT素子30のスイッチング特性に影響を及ぼす恐れもない。
【0101】
また、本実施形態の液晶装置においては、TFTアレイ基板10には、構造複屈折体である画素電極9が備えられ、対向基板20には、構造複屈折体である共通電極31が設けられ、TFTアレイ基板10と対向基板20とで、同じ材料によって構造複屈折体を形成したので、TFTアレイ基板10と対向基板20とで、液晶層50に電圧を印加するための電極を構成する材料が異なることに起因する電極の焼き付きが生じることはない。
【0102】
本発明はかかる構成に限定されるものではなく、共通電極をITO等の透明導電性材料により構成すると共に、対向基板20に、共通電極とは独立して、構造複屈折体を設ける構成としても良い。なお、対向基板20に、共通電極とは独立して構造複屈折体を設ける場合には、構造複屈折体を、共通電極よりも液晶層50側に設けても良いし、共通電極よりも光入射側に設けても良い。
また、本実施形態の透過型液晶装置についても第1実施形態と同様、同じ構造のまま、反射型透過型液晶装置として利用することができ、好適である。
【0103】
また、第1および第2実施形態においては、対向基板20側から入射した光がTFT素子30に入射することを防止する第2遮光膜23aと光反射体9aとを同一層で形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2遮光膜を対向基板20側に形成する構成としても良い。
【0104】
また、第1および第2実施形態においては、TFT素子を用いたアクティブマトリクス型液晶装置についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、TFD(Thin-Film Diode)素子を用いたアクティブマトリクス型液晶装置やパッシブマトリクス型液晶装置等、いかなる構造の液晶装置にも適用することができる。
【0105】
また、反射型液晶装置については、構造複屈折体を選択反射層として機能させる場合についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光入射側に構造複屈折体を設ける場合には偏光子として機能させることができ、光入射側の基板と対向する基板に別途反射層を設ければ、耐久性に優れた反射型液晶装置を提供することができる。
【0106】
[液晶装置の製造方法]
次に、上記第1実施形態の透過型液晶装置を取り上げて、本発明の液晶装置を製造する方法の一例について、図9〜図14を参照して説明する。なお、図9〜図14は、各工程におけるTFTアレイ基板の一部分を、図4と同様に、図2のA−A’断面に対応させて示す工程図である。
【0107】
はじめに、石英、ハードガラス等からなる基板本体10Aを用意し、基板本体10Aを好ましくはN2等の不活性ガス雰囲気下、約850〜1300℃、より好ましくは約1000℃の高温でアニール処理する。
【0108】
次に、図9(a)に示すように、基板本体10A表面の全面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPbのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等を、スパッタリング法、CVD法、電子ビーム加熱蒸着法などにより堆積した後、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることにより、第1遮光膜11aを形成する。第1遮光膜11aの膜厚は150〜200nmが好ましい。
【0109】
次に、第1遮光膜11aを形成した基板本体10A表面に、酸化シリコン、シリケートガラス等をスパッタリング法、CVD法などにより堆積した後、表面をCMP(化学的機械研磨)法等を用いて研磨することにより、第1層間絶縁膜12を形成する。第1層間絶縁膜12の膜厚は約400〜1000nmが好ましく、約800nmがより好ましい。
【0110】
次に、図9(b)に示すように、約450〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、モノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD法等により、アモルファスシリコン膜を成膜し、その後、窒素雰囲気中、約600〜700℃で、約1〜72時間、好ましくは約4〜6時間、アニール処理を施すことにより、結晶粒を成長させてポリシリコン膜とする。得られたポリシリコン膜をフォトリソグラフィー法を用いてパターニングして、半導体層1a及び半導体層1aから延設された第1蓄積容量電極1fを形成する。
【0111】
次に、図9(c)に示すように、半導体層1a及び第1蓄積容量電極1fを約850〜1300℃、好ましくは約1000℃で約72分熱酸化することにより、約60nmの比較的薄い厚さの熱酸化シリコン膜を形成し、画素スイッチング用TFT素子30のゲート絶縁膜2と共に容量形成用のゲート絶縁膜2を形成する。この結果、半導体層1a及び第1蓄積容量電極1fの膜厚は、約30〜170nm、ゲート絶縁膜2の膜厚は、約60nmとなる。
【0112】
次に、図10(a)に示すように、図示を省略するNチャネルの半導体層1aに対応する位置にレジスト膜301を形成し、Pチャネルの半導体層1aにPなどのV族元素のドーパント302を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、2×1011/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0113】
次に、図10(b)に示すように、Pチャネルの半導体層1aに対応する位置にレジスト膜を形成し、Nチャネルの半導体層1aにBなどのIII族元素のドーパント303を低濃度で(例えば、Bイオンを35keVの加速電圧、1×1012/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0114】
次に、図10(c)に示すように、Pチャネル、Nチャネル毎に各半導体層1aのチャネル領域1a’の端部を除く基板本体10Aの表面にレジスト膜305を形成し、Pチャネルについて、図10(a)に示した工程の約1〜10倍のドーズ量のPなどのV族元素のドーパント306、Nチャネルについて図10(b)に示した工程の約1〜10倍のドーズ量のBなどのIII族元素のドーパント306をドープする。
【0115】
次に、図10(d)に示すように、半導体層1aを延設して形成された第1蓄積容量電極1fを低抵抗化するため、基板本体10Aの表面の走査線3a(ゲート電極)に対応する部分にレジスト膜307を形成し、これをマスクとしてその上からPなどのV族元素のドーパント308を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、3×1014/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0116】
次に、図11(a)に示すように、第1層間絶縁膜12に第1遮光膜11aに至るコンタクトホール13を反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。
次に、図11(b)に示すように、減圧CVD法等によりポリシリコン膜3を約350nmの厚さで成膜した後、リン(P)を熱拡散し、ポリシリコン膜3を導電化する。
次に、図11(c)に示すように、フォトリソグラフィー法を用いてポリシリコン膜3をパターニングし、図2に示したパターンの走査線3aと容量線3bを形成する。
【0117】
次に、図11(d)に示すように、半導体層1aにPチャネルのLDD領域を形成するために、Nチャネルの半導体層1aに対応する位置をレジスト膜309で覆い、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、まずBなどのIII族元素のドーパント310を低濃度で(例えば、BF2イオンを90keVの加速電圧、3×1013/cm2のドーズ量にて)ドープし、Pチャネルの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成する。
【0118】
続いて、図11(e)に示すように、半導体層1aにPチャネルの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、Nチャネルの半導体層1aに対応する位置をレジスト膜309で覆った状態で、かつ、図示はしていないが走査線3aよりも幅の広いマスクでレジスト層をPチャネルに対応する走査線3a上に形成した状態、同じくBなどのIII族元素のドーパント311を高濃度で(例えば、BF2イオンを90keVの加速電圧、2×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0119】
次に、図12(a)に示すように、半導体層1aにNチャネルのLDD領域を形成するために、Pチャネルの半導体層1aに対応する位置をレジスト膜(図示せず)で覆い、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、PなどのV族元素のドーパント60を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、6×1012/cm2のドーズ量にて)ドープし、Nチャネルの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成する。
【0120】
続いて、図12(b)に示すように、半導体層1aにNチャネルの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、走査線3aよりも幅の広いマスクでレジスト62をNチャネルに対応する走査線3a上に形成した後、同じくPなどのV族元素のドーパント61を高濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、4×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0121】
次に、図12(c)に示すように、画素スイッチング用TFT素子30における走査線3aと共に容量線3b及び走査線3aを覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法等により、シリケートガラス、窒化シリコン、酸化シリコン等からなる第2層間絶縁膜4を成膜する。第2層間絶縁膜4の膜厚は約500〜1500nmが好ましく、約800nmがより好ましい。
この後、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを活性化するために約850℃のアニール処理を20分程度行う。
【0122】
次に、図12(d)に示すように、データ線6aに対するコンタクトホール5を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。また、走査線3aや容量線3bを図示しない配線と接続するためのコンタクトホールも、コンタクトホール5と同一の工程により第2層間絶縁膜4に開孔する。
【0123】
次に、図13(a)に示すように、第2層間絶縁膜4の上に、スパッタリング法等により、遮光性のアルミニウム等の低抵抗金属や金属シリサイド等を堆積し、約100〜700nm、好ましくは約350nmの膜厚の金属膜6を成膜する。更に、図13(b)に示すように、フォトリソグラフィー法を用いて金属膜6をパターニングし、データ線6aを形成する。
【0124】
次に、図13(c)に示すように、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法等を用いて、シリケートガラス、窒化シリコン、酸化シリコン等からなる第3層間絶縁膜7を成膜する。第3層間絶縁膜7の膜厚は、約500〜1500nmが好ましく、約800nmがより好ましい。
【0125】
次に、図14(a)に示すように、画素スイッチング用TFT素子30において、画素電極9と高濃度ドレイン領域1eとを電気的に接続するためのコンタクトホール8を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。
【0126】
次に、図14(b)に示すように、第3層間絶縁膜7の上に、スパッタリング法等により、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の光反射性を有する導電性材料を約50〜200nmの厚さに堆積して、導電性薄膜90を成膜する。そして、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングし、導電性薄膜90をエッチングすることにより、図14(c)に示すように、少なくとも所定の画素電極9の形状よりも小さい形状を有し、ストライプ状に配列された光反射体9a(構造複屈折体)と、第2遮光膜23aとを同時に形成する。
【0127】
続いて、光反射体9aと第2遮光膜23aの上に、ITO等の透明導電性材料を50nm〜300nmの厚さに堆積し、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングしてエッチングすることにより、所定の画素電極9の形状を有する導通電極16を形成し、画素電極9を形成する。以上の工程により、図4に示すTFTアレイ基板10が製造される。
【0128】
なお、ストライプ構造の光反射体9aを形成する方法としては、上述の方法以外に、開孔部のない導電性薄膜90を形成した後、電子ビームにより開孔部9bを形成する方法や、2光束干渉露光法等を採用することもできる。
【0129】
一方、対向基板20については、ガラス等からなる基板本体20Aを用意し、基板本体20A表面の全面に、スパッタリング法等によりITO等の透明導電性材料を約50〜200nmの厚さに堆積し、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることにより、基板本体20Aのほぼ全面に共通電極21を形成する。更に、共通電極21表面の全面に、配向膜形成用の塗布液を塗布した後、ラビング処理を施すことにより、配向膜22を形成し、対向基板20が製造される。
【0130】
上述のように製造されたTFTアレイ基板10と対向基板20とを、画素電極9と配向膜22とが互いに対向するようにシール材(図示略)を介して貼り合わせ、真空吸引法などの方法により、両基板間の空間に液晶を吸引して、液晶層50を形成する。最後に、TFTアレイ基板10、対向基板20の外側にそれぞれ偏光子17、24を貼り合わせて、第1実施形態の透過型液晶装置が製造される。
【0131】
以上説明した液晶装置の製造方法によれば、光反射体9aを少なくとも所定の画素電極9の形状よりも小さい形状としてから、光反射体9aを覆うように導通電極16となる透明導電性材料を設け、透明導電性材料をエッチングすることにより所定の形状の画素電極9を形成するので、光反射体9aの上面と端面9cとが導通電極16によって覆われることになり、導通電極16を設けた後の光反射体9aは完全に被覆された状態となる。
よって、液晶装置を駆動させることによる光反射体9aを構成する材料の溶け出しをより一層効果的に防止することができるとともに、光反射体9aを形成した後の製造工程における光反射体9aへのダメージから光反射体9aをより一層効果的に保護することができる。
【0132】
以上、第1実施形態の液晶装置の製造方法について説明したが、図7に示す画素電極が設けられた液晶装置を製造する場合には、以下に示す方法が挙げられる。
例えば、上記の第1実施形態の液晶装置の製造方法と同様にして、第3層間絶縁膜7の上に、図14(b)に示す導電性薄膜90を成膜する工程までの工程を行う。
続いて、導電性薄膜90上に、ITO等の透明導電性材料を50nm〜300nmの厚さに堆積する。その後、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングし、透明導電性材料をエッチングすることにより導通電極16を形成し、さらに、導電性薄膜90をエッチングすることにより、ストライプ状に配列された光反射体9aと、第2遮光膜23aとを同時に形成し、所定の形状を有する画素電極9とする。以上の工程により、図4に示すTFTアレイ基板10が製造される。
【0133】
この液晶装置の製造方法においては、導電性薄膜90上にITO等の透明導電性材料を堆積してから、透明導電性材料と導電性薄膜90とを連続してエッチングすることにより、光反射体9aと導通電極16とを所定の形状とするので、例えば、光反射体9aを所定の形状にエッチングしてから導通電極16となる透明導電性材料を設け、その後、透明導電性材料を所定の形状にエッチングする方法と比較して、工程を簡略化することができ、容易に上記の液晶装置を得ることができる。
【0134】
また、第2実施形態の液晶装置を製造する場合には、構造複屈折体である共通電極31を画素電極9と同様に形成すればよい。
【0135】
[投射型表示装置]
上記第1および第2実施形態の液晶装置のうちいずれかの液晶装置を光変調手段として備えた投射型表示装置の構成について、図15を参照して説明する。
図15は、第1および第2実施形態の液晶装置のうちいずれかの液晶装置を3個用意し、それぞれRGB用の液晶ライトバルブ962R、962G、962Bとして用いた投射型表示装置1100の光学系の概略構成図である。
【0136】
投射型表示装置1100の光学系には、光源装置920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置1100は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する光変調手段としての3つの液晶ライトバルブ962R、962G、962Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射手段としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応する液晶ライトバルブ962Bに導く導光系927をも備えている。
【0137】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つの液晶ライトバルブ962R、962G、962B付近で重畳される。従って、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つの液晶ライトバルブ962R、962G、962Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0138】
色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944からプリズムユニット910の側に出射される。
【0139】
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。また、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0140】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、液晶ライトバルブ962R、962Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶ライトバルブでは、図示を省略している駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応する液晶ライトバルブ962Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。
【0141】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、液晶ライトバルブ962Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ946から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶ライトバルブ962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶ライトバルブ962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、液晶ライトバルブ962Bの照明される条件が他の色と異なってしまう。しかし、導光系927を介在させることにより、他の色と同じ照明条件に補正することができる。
【0142】
各液晶ライトバルブ962R、962G、962Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
以上のように構成された投射型表示装置1100は、上記実施形態の液晶装置を光変調手段として備えたものであるので、耐久性に優れたものとなる。
【0143】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の液晶装置は、第1の基板と第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板に、液晶層に電圧を印加するための電極として機能する前記構造複屈折体が備えられたものであるので、耐久性に優れた液晶装置を提供することができる。
【0144】
また、本発明の液晶装置においては、光反射体を覆うように導通電極が設けられているので、光反射体が導通電極に覆われていない液晶装置と比較して、微細なピッチで配列されている各光反射体における抵抗を低減することができ、電圧降下や光反射体の発熱などの不都合が生じることはない。
【0145】
また、本発明の液晶装置においては、一方の基板の電極表面と、他方の基板の電極表面とが、同じ材料によって形成されているので、電荷の偏りから発生する焼き付き現象などの不都合が生じることはない。
【0146】
また、本発明の液晶装置は、導通電極上に光反射体の形状が反映されてなる凹凸が備えられたものであるので、電極と配向膜としての機能を兼ね備えており、工程を簡略化することができる。
【0147】
また、本発明の液晶装置は、トランジスタ素子を具備するとともに、トランジスタ素子が、コンタクトホールが設けられている部分に存在する導通電極によって、電極と電気的に接続されているので、接続不良などの不都合が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図である。
【図2】 図2は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置のTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の構造を示す平面図である。
【図3】 図3は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置に備えられた画素電極のみを取り出して示す平面図である。
【図4】 図4は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置の構造を示す断面図である。
【図5】 図5は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置における表示機構を説明するための図である。
【図6】 図6は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置における表示機構を説明するための図である。
【図7】 図7(a)、(b)は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置において、画素電極のその他の構造を示す平面図である。
【図8】 図8は、本発明に係る第2実施形態の液晶装置の構造を示す断面図である。
【図9】 図9(a)〜(c)は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程図である。
【図10】 図10(a)〜(d)は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程図である。
【図11】 図11(a)〜(e)は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程図である。
【図12】 図12(a)〜(d)は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程図である。
【図13】 図13(a)〜(c)は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程図である。
【図14】 図14(a)〜(c)は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程図である。
【図15】 図15は、本発明に係る第1および第2実施形態の液晶装置を備えた投射型表示装置の構成図である。
【図16】 図16は、構造複屈折体が、特定の偏光のみを透過し、特定の偏光のみを反射することができる理由を説明するための図である。
【符号の説明】
10…TFTアレイ基板、
20…対向基板、
10A、20A…基板本体
1a…半導体層、
11a…第1遮光膜、
23a…第2遮光膜
12…第1層間絶縁膜、
4…第2層間絶縁膜、
7…第3層間絶縁膜
30…TFT素子(トランジスタ素子)
9…画素電極、
21、31…共通電極、
9a、31a…光反射体(構造複屈折体)
6a…データ線、
3a…走査線、
50…液晶層、
17、24…偏光子
Claims (9)
- 第1の基板と第2の基板との間に液晶層が挟持されてなる液晶装置であって、
前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板には、前記液晶層に電圧を印加するための電極として機能する構造複屈折体が備えられ、
前記電極は、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体からなる構造複屈折体と、前記光反射体よりも屈折率が低い透光性を有する材料により前記光反射体上に前記光反射体を覆うように設けられ、前記複数の光反射体を電気的に導通する導通電極とを具備して構成され、
前記第1の基板がトランジスタ素子を具備するとともに、
前記構造複屈折体が、前記トランジスタ素子を構成する半導体層の前記液晶層側に配置され、
前記第2の基板側から前記液晶層に光が入射する構造とされ、
前記トランジスタ素子が、コンタクトホールが設けられている部分に存在する前記導通電極によって、前記電極と電気的に接続されており、
前記電極は、前記導通電極上に前記光反射体の形状が反映されてなる凹凸が備えられたものであることを特徴とする液晶装置。 - 電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角が90°であるとともに、
前記第2の基板が一方の表面に光吸収型若しくは光反射型の偏光子を具備し、
前記第1の基板が一方の表面に前記構造複屈折体を具備し、前記構造複屈折体を構成する各光反射体の延在方向が、前記偏光子の偏光軸に対して略平行若しくは略垂直とされたことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。 - 前記第1の基板と前記第2の基板のうち、いずれか一方の基板には前記構造複屈折体と前記導通電極とからなる電極が備えられ、
前記一方の基板の電極を構成する導通電極が、他方の基板に設けられた電極と同じ材料によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶装置。 - 前記第1の基板および前記第2の基板には、前記構造複屈折体と前記導通電極とからなる電極が備えられ、
前記第1の基板に設けられた前記電極と、前記第2の基板に設けられた前記電極とが、同じ材料によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶装置。 - 前記導通電極の厚みが、50〜300nmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の液晶装置。
- 前記光反射体の端面が、前記導通電極に覆われていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の液晶装置。
- 光源と、前記光源からの光を変調する請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の液晶装置からなる光変調手段と、前記光変調手段により変調された光を投射する投射手段とを備えたことを特徴とする投射型表示装置。
- 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法であって、
前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板上に、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体を設けることにより構造複屈折体を形成する工程と、
前記光反射体上に前記光反射体を覆うように前記複数の光反射体を電気的に導通する導電層を設ける工程と、
前記光反射体と前記導電層とを連続してエッチングして所定の形状とすることにより電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法であって、
前記第1の基板と前記第2の基板のうち、少なくともいずれか一方の基板上に、前記液晶層に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体を設けることにより構造複屈折体を形成し、前記光反射体をエッチングすることにより少なくとも所定の電極形状よりも小さい形状とする工程と、
前記光反射体上に前記光反射体を覆うように前記複数の光反射体を電気的に導通する導電層を設け、前記導電層をエッチングして所定の電極形状を有する導通電極とすることにより電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
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