JP3758612B2 - 反射型液晶表示素子、表示装置、プロジェクション光学システム、及びプロジェクションディスプレイシステム - Google Patents
反射型液晶表示素子、表示装置、プロジェクション光学システム、及びプロジェクションディスプレイシステム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロジェクションディスプレイシステム等に好適な反射型液晶(電気光学)表示素子、及びその表示素子と組み合わせて用いられる表示装置、プロジェクション光学システム、プロジェクションディスプレイシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プロジェクションディスプレイの高精細化、小型化、高輝度化が進むにつれて、そのディスプレイデバイスとして、小型、高精細が可能であって高い光利用効率が期待できる反射型デバイスが注目され、実用化されている。
【0003】
それらの中で、透明電極が形成されたガラス基板に対向して、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型MOS)半導体回路からなるSi基板に駆動素子を設けてその上にAl光反射電極を形成した駆動回路基板を配置し、これらの一対の基板間に垂直配向液晶材料を注入したアクティブ型の反射型液晶表示デバイス(素子)が報告されており(論文▲1▼:H.Kuroganeら、Digests of SID1998, P33-36(1998)、及び論文▲2▼:S. Uchiyamaら、Proceedings of IDW2000, P1183-1184(2000))、一部のメーカーにより実際に商品化されている。
【0004】
ここで、垂直配向液晶材料とは、負の誘電率異方性を有する(即ち、液晶分子の長軸に平行な誘電率ε(‖)と垂直な誘電率ε(⊥)との差:Δε(=ε(‖)−ε(⊥))が負である)液晶材料であり、上記の透明電極−光反射電極間の印加電圧がゼロの時に基板面にほぼ垂直に液晶分子が配向し、ノーマリ・ブラック・モード(Normally black mode)の表示を与えるものである。
【0005】
上記で報告されている従来の反射型デバイスにおける垂直配向液晶層の厚さ(セルギャップ)は3〜4μmであり、駆動電圧(液晶への印加電圧)に対する液晶透過率の曲線(以下、V−T曲線と呼ぶが、反射型デバイスであるために実測としてはデバイスの反射率(但し、ここでは後述のようにデバイスにより入射光、例えばs偏光が偏光変調されてp偏光の反射光が得られるものとする。)に相当する。)は、2V位のしきい値電圧で立ち上がり、4〜6Vの印加電圧で最大値に達するような特性を有する。これらの間で電圧を変えることにより、液晶の透過率をアナログ的に変化させ、階調を表現することができる。図14には、一例として上記の論文▲1▼から抜粋したデータを示すが、液晶層の厚みは3μm、駆動電圧は±約4V、応答速度(立ち上がり時間+立ち下がり時間)は17msec程度と報告されている。
【0006】
液晶は、通常、フレーム又はフィールド毎に正負の電圧を反転させて駆動されるので、上記のデバイスは、実際には最大±4〜6Vの電圧で駆動されることを意味する(正と負のV−T曲線は原則的に対称であるから、V−T曲線は通常は正のみで表わされる)。±4〜6Vの液晶駆動電圧は、駆動トランジスタの実効的な耐圧として、8〜12V以上を必要とすることを意味する。
【0007】
これは、通常のMOSプロセスにおける耐圧に比べるとかなり高いため、Si駆動回路基板における画素内に形成される液晶駆動トランジスタにはLDD(Lightly doped drain-source)構造等の高耐圧プロセスが適用される。作製コストや消費電力等を考慮して、その耐圧は一般に8〜12Vである。これが、従来デバイスにおいて、最大±4〜6VのV−T曲線を有するようにデバイス設計される理由である。
【0008】
また、従来デバイスで用いられる垂直配向液晶材料の屈折率異方性Δn(即ち、液晶分子の長軸方向の屈折率n(‖)とそれに垂直な方向の屈折率n(⊥)との差:Δn=n(‖)−n(⊥))は0.1より小さい値(典型的には0.08程度)であり、典型的な画素ピッチは13.5μm(画素サイズ13μm)である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
近年、液晶表示デバイスの欠点である、応答速度が遅いという問題がクローズアップされ、その高速化が重要な課題になっていることは周知の通りである。一般に、液晶の応答速度(立ち上り時間及び立ち下り時間)は下記の式1及び式2で表わされるように、液晶層の厚みdの2乗に比例するため、液晶の層厚を減少させることが高速化に有効である。
【0010】
【数1】
(ここで、γ:液晶の粘度、d:液晶層の厚さ、Δε:液晶の誘電率異方性、ε(0):真空の誘電率、K:液晶の弾性定数、V:液晶への印加電圧(液晶駆動電圧)、Vc:しきい値電圧である。)
【0011】
しかしながら、従来の垂直配向液晶表示デバイスにおいて、液晶層の厚さを減少させていくと、応答速度は式1及び2に基づけば高速化していくものの、透過率を飽和させるために必要な駆動電圧が高くなるという問題がある。図15には、従来デバイスで用いられている液晶材料(Δn=0.082)を用いた系において、液晶の層厚を減少させた時のV−T曲線を示し、図16には、液晶層厚dによる飽和電圧の変化を示す。
【0012】
図15、図16に示すように、デバイスの飽和電圧は、液晶層の厚みdが2.5μmを切るあたりから急激に高くなって6Vを超えるようになり、dが2μm以下になると10Vにも達する。即ち、駆動トランジスタの耐圧は20V以上も必要になる。その上、dが1.5μm厚以下では透過率の絶対値が100%に到達しなくなり、1μm厚では30%程度の透過率しか得られなくなるばかりか、しきい値電圧も高くなる。
【0013】
こうした現象は、垂直配向液晶では、d(セルギャップ)が小さくなるに従って、液晶分子と配向膜との界面での相互作用(インタラクション)が、印加電圧による液晶分子のダイレクタの方向変化に対し相対的に大きくなるからであると考えられる。これに対し、液晶層厚が大きいときには、バルクとしての性質が出てくるために、ダイレクタが動き易くなり、上記の界面での相互作用の影響が減少するものと考えられる。
【0014】
上記のように、液晶表示デバイスの駆動電圧が高くなると、通常のSi駆動素子基板では駆動することが困難となる。もちろん、画素駆動トランジスタの耐圧を上げることにより、これを解決することができるが、一般にはプロセスが複雑になり、コスト高、高消費電力になる上に、耐圧を上げると、トランジスタのサイズが大きくなることが避けられない。このため、特に10μm程度以下の小さな画素サイズ(又はピッチ)で、このような高耐圧トランジスタを作製することは極めて難しくなる。
【0015】
上記の理由により、従来の垂直配向液晶を用いた反射型表示デバイスにおいて、液晶層の厚さを2.5μm以下にすることは、実用上難しいのが現状である。また、液晶層厚をそのように小さくすることは、印加電圧に対する立ち上り(応答性)も遅くなり、しかもデバイスの作製上の歩留りも低下する。
【0017】
反射型液晶表示デバイスを用いたプロジェクションシステムでは、図17に示すように、ランプ光源1からの光束を、偏光分離デバイスである赤(R)、緑(G)、青(B)の各色用の偏光ビームスプリッタ2R、2G、2Bを介して、垂直配向液晶を用いた反射型液晶表示デバイス3R、3G、3Bに照射し、これらのデバイスで偏光変調された反射光を各色の光を合成するプリズム(X−Cubeプリズム)4で集め、投射光10(p)として投射レンズ5を介してスクリーン(図示せず)に投射する光学系が必要である。
【0018】
ここでは、反射型液晶デバイス3R、3G、3Bを照明する照明光学系として、白色ランプ光源1からの白色光(p偏光成分とs偏光成分の混じった光10(p,s))が、フライアイレンズ6、偏光変換デバイス7、コンデンサレンズ8等を通してs偏光10(s)となり、更にダイクロイック色分離フィルタ9に導かれ、ここで分離された光が全反射ミラー11、12、ダイクロイックミラー13を経て各色の光10R(s)、10G(s)、10B(s)となる。そして偏光ビームスプリッタ2R、2G、2Bを介して各反射型液晶表示デバイス3R、3G、3Bにそれぞれ入射する。反射した各反射光が反射型液晶表示デバイス3R、3G、3Bの印加電圧に応じて偏光変調され、偏光ビームスプリッタ2R、2G、2Bへの再入射後にp偏光成分の光10R(p)、10G(p)、10B(p)のみが透過してプリズム4で集光される。従って、この反射型液晶表示デバイスを用いた表示は、印加電圧がゼロのときには入射光がそのままs偏光として反射するので、偏光ビームスプリッタを通過せず、いわゆるノーマリ・ブラック・モードとなり、印加電圧の上昇と共に偏光変調されて、p偏光の反射光が増加して透過率が上昇する(図14参照)。
【0019】
上記の論文▲1▼及び▲2▼で報告されている、従来の垂直配向液晶表示デバイスに用いられている光学系のFナンバーは3.5以上(論文▲1▼では3.8から4.8、論文▲2▼では3.5)である。光学系のFナンバーは、デバイスへの光の入射角(=反射光の取り出し角)θの関数であり、
F=1/(2×sinθ) ・・・式3
で表わされる。F=3.5は、デバイス面の鉛直方向を中心にしてθ=±8.2°の角度内の光で照明し、その反射光を取り出すことを意味する。
【0020】
上記の式3から分るように、Fナンバーが小さい方が、光の照射・取り出し角θが大きくなるためにトータルの光束は多くなり、輝度は高くなる。しかしながら、一般に反射型液晶デバイスの黒レベルの数値(黒状態での透過率)は、入射角が大きくなると高くなること、並びに偏光ビームスプリッタの偏光分離特性もθに対して依存性を持ち、θが大きくなると劣化することが避けられず、角度成分の大きいところでp偏光成分とs偏光成分の分離度が低下する。これらのために、黒レベルが上昇してコントラストが大きく低下する現象が起こる。
【0022】
そこで、本発明の目的は、垂直配向液晶表示デバイスにおいて、液晶層の厚みが小さくても、低電圧で液晶透過率が飽和に達し、小さい画素サイズにおいても、通常の耐圧プロセスで作製可能な駆動回路基板で容易に駆動できる高速応答性の反射型液晶表示素子、この表示素子を用いた表示装置、プロジェクション光学システム及びプロジェクションディスプレイシステムを提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、光透過性電極を有する第1の基体と、光反射電極を有する第2の基体とが、前記光透過性電極及び前記光反射電極を互いに対向させかつ垂直配向液晶層を介在させた状態で、対向配置されている反射型液晶表示素子であって、前記垂直配向液晶層の厚さが2μm以下であり、かつ垂直配向液晶材料の屈折率異方性Δnが0.11以上であり、画素サイズ(又はピッチ)が10μm以下であり、かつ、前記光透過性電極と前記光反射電極との対向面上にそれぞれ、前記垂直配向液晶材料に1°以上、5°以下のプレティルト角を与える液晶配向処理が施されている反射型液晶表示素子(以下、本発明の反射型液晶表示素子又はデバイスと称する。)に係るものである。ここで、上記の「光反射電極」とは、電極自体が光反射性である電極は勿論であるが、電極上に光反射層を設けた電極や、電極は光透過性であっても下地膜との界面で光反射性が生じるときにはそのような下地膜付きの電極も含む意味である(以下、同様)。
【0025】
また、本発明は、本発明の反射型液晶表示素子(又はデバイス)と、この反射型液晶表示素子を駆動する駆動回路とを具備する表示装置、この反射型液晶表示素子が光路中に配置されているプロジェクション光学システム、及びこの光学システムを用いたプロジェクションディスプレイシステムにも係るものである。
【0026】
本発明によれば、垂直配向液晶層の厚さを2μm以下と小さくしても、従来の認識とは異なって、垂直配向液晶材料のΔnの値を0.11以上と大きく調整しているので、液晶の透過率が5〜6V以下の電圧で容易に飽和するようになり、実用的な低電圧での安定駆動が可能になり、また透過率自体も著しく向上することが分った。従って、十分な透過率と低電圧安定駆動(低耐圧)の駆動特性とを併せ持ち、高速応答性に優れた反射型垂直配向液晶表示デバイスと、これを用いた表示装置、プロジェクション光学及びディスプレイシステムを実現することができる。
しかも、既述したように、10μm以下の小さな画素サイズ(又はピッチ)では、駆動用トランジスタのサイズが小さくなるために、高耐圧トランジスタを作製することは極めて難しくなるが、垂直配向液晶材料のΔnを0.11以上とすることによって5〜6V以下の低電圧安定駆動が可能となるために、サイズの小さい低耐圧トランジスタの使用が可能となり、これによって、10μm以下の画素サイズを実現することができる。
【0027】
このような顕著な作用効果は、特に垂直配向液晶材料としてΔnが0.11以上と大きいものを用いることによって得ることができる。これは、高速応答のために液晶層の厚みを2μm以下と小さくした場合、配向膜−液晶分子間の相互作用によってダイレクタの方向変化に影響を与えようとしても、Δnを0.11以上と大きくしているために、入射光が印加電圧に追随して液晶中で偏光変調され易くなり、偏光の分離が生じ易くなり、低電圧でも目的とする透過率が得られるからであると考えられる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の反射型液晶表示素子においては、上記した作用効果を得る上で、垂直配向液晶の層厚は2μm以下とすべきであるが、0.8〜2μm、更には1〜2μmとするのが好ましい。層厚は小さい方が高速応答の点では望ましいが、配向膜との相互作用の抑制や層厚の制御性の面から、その下限は0.8μmがよく、1μmが更によい。また、液晶の層厚が小さくても偏光分離を向上させるためにΔnは0.11以上とすべきであるが、あまり大きくしてもその効果が向上せず、また実用的でもないので、0.25以下とするのがよい。
【0031】
そして、前記光透過性電極としてのITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極及びAl等の前記光反射電極の対向面上にそれぞれ液晶配向膜が形成され、前記光反射電極が前記第2の基体に設けられたシリコン等の単結晶半導体駆動回路に接続され、アクティブ駆動型に構成されているのがよい。第2の基体としてシリコン駆動回路基板を用いると、それ自体が不透明であって反射型に好適であると共に、駆動素子であるMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタや電圧供給用の補助容量等を半導体加工技術によって微細パターンに高集積化することができるため、高開口率や、画素密度向上による高解像度化、セルサイズの縮小、更にはキャリア転送速度の向上が可能となる。
【0032】
実際には、駆動回路が、シリコン基板に画素毎に設けられたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の駆動トランジスタを具備し、この駆動トランジスタの出力側に前記光反射電極が接続される。また、画素サイズは、低電圧駆動による低耐圧トランジスタの使用が可能となるために、10μm以下を実現できる。液晶表示デバイスのサイズも対角2インチ以下にできる。
【0033】
なお、前記垂直配向液晶材料の配向制御は、酸化珪素膜からなる液晶配向膜によって行うのがよい。こうした配向膜は、方向性を以った(即ち、液晶分子のプレティルト角の制御容易な)真空蒸着法等により形成することができる。
【0034】
また、本発明の反射型液晶表示素子を具備する表示装置においては、光源からの光が照明光学系により前記反射型液晶表示素子に入射され、この反射型液晶表示素子からの反射光が、光路中に配置された光学系により導かれてよい。また、前記液晶表示素子が光路中に配置されているプロジェクション光学及びディスプレイシステムにおいては、光源と、この光源からの光を前記反射型液晶表示素子に入射させる照明光学系と、前記反射型液晶表示素子と、この反射型液晶表示素子からの反射光を導く光学系とが前記光路中に配置されていてよい。
【0035】
この場合、前記光源からの光が偏光変換素子及び偏光ビームスプリッタを通して前記反射型液晶表示素子に入射し、この反射型液晶表示素子からの反射光が前記偏光ビームスプリッタを再び通して導かれ、或いは更に投射レンズ、スクリーンに導かれるのがよい。
【0036】
また、各色毎に前記反射型液晶表示素子と前記偏光ビームスプリッタとが配置され、それぞれの反射型液晶表示素子からの反射光が合成され、或いは更に前記投射レンズに導かれてよい。具体的には、白色光源からの白色光が偏光変換素子を通してダイクロイック色分離フィルタに導かれ、ここで分離された光が更に各色の分離光とされた後に前記偏光ビームスプリッタを介して、各色毎に配置された前記反射型液晶表示素子にそれぞれ入射し、これらの反射型液晶表示素子からの各反射光が色合成プリズムで合成され、或いはこの合成後に前記投射レンズに導かれる。
【0038】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に説明する。
【0039】
まず、本実施の形態による表示装置を構成する液晶電気光学素子の基本的な構造を図11に示す。
【0040】
このデバイスは、反射型液晶表示素子23として、画素構造を有する光反射電極30を設けたSi等の単結晶からなるSi駆動回路基板31と、これと対向する透明電極32付きのガラス基板等の透明基板33とからなり、これらの間に(実際には液晶配向膜34−35間に)垂直配向液晶36を封入してなる。図12に示すように、反射電極基板は、駆動回路基板として、単結晶シリコン基板37に、CMOSやnチャンネルMOSからなるトランジスタTrとキャパシタCからなる駆動回路が形成され、その上にAlやAgに代表される金属膜で画素状の光反射電極30を形成したものである。Al等の金属光反射電極の場合は、光の反射膜と、液晶に電圧を印加する電極との両方を兼ねているが、さらに光反射率を上げるために誘電体ミラーのような多層膜による光反射層をAl電極の上に形成してもよい。
【0041】
図12中、トランジスタTrは、例えば、n型ソース領域38及びドレイン領域39とゲート絶縁膜40及びゲート電極41によって構成され、各能動領域からはそれぞれ電極42、43が取り出されている。このうち電極43は、キャパシタCを構成するn型領域44上の絶縁膜(誘電体膜)45に接したキャパシタ電極46に層間絶縁膜47を介して接続され、また層間絶縁膜48、49を介して配線50、更には光反射電極30に接続されている。そして、このデバイスには、図17で示した如きs偏光の入射光10(s)が垂直配向液晶36の層中で印加電圧に応じて偏光変換され、p偏光を含む反射光10(p)が得られ、これが上述した偏光ビームスプリッタ2に導かれる。
【0042】
ここで、この反射型液晶表示素子は、本発明に基づいて、垂直配向液晶36の層厚d(セルギャップ)が2μm以下となされ、かつ垂直配向液晶36として屈折率異方性Δnが0.11以上のものが用いられている。
【0043】
図13は、デバイスの基本的なレイアウト及び画素部の等価回路を示す。Si駆動回路基板31は、各画素内に形成される画素駆動回路と、表示領域の周辺に内蔵されるロジック部ドライバ回路(データドライバ、走査ドライバ等)とからなる。各光反射(画素)電極30の下に形成される画素駆動回路は、スイッチングトランジスタTrと、液晶36に電圧を供給する補助容量Cとから構成される。液晶36の駆動電圧に対応した耐圧がトランジスタTrに要求され、一般にはロジックよりも高い耐圧プロセスで作製される。高耐圧になるにつれてトランジスタのサイズが大きくなるため、またコスト、消費電力の観点から、通常は8〜12V程度の耐圧のトランジスタが用いられ、従って液晶駆動電圧としては±6Vの範囲内になるように設計されることが望ましいが、本発明によればそれが実現可能である。
【0044】
本デバイスで用いられる垂直配向液晶36は、その分子長軸が、印加電圧がゼロの時にほぼ基板に垂直方向に配向し、電圧を印加すると面内方向に対し傾くことにより、透過率が変化するものである。駆動時に液晶分子の傾斜する方向が一様でないと、明暗のむらが生じてしまうため、これを避けるために、図11に示すように、予めわずかなプレティルト角を一定方向(一般にはデバイスの対角方向)に与えて垂直配向させる必要がある。
【0045】
プレティルト角があまり大きいと、垂直配向性が劣化し、黒レベルが上昇してコントラストを低下させたり、V−T曲線に影響する。従って、1°から5°の間にプレティルト角を制御する。このプレティルト角を与える液晶配向膜34、35としては、SiO2に代表される酸化珪素膜の斜め蒸着膜やポリイミド膜が用いられ、前者では、斜め蒸着時の蒸着角度を例えば45°〜55°とし、また後者では、ラビングの条件を変えることにより、上記プレティルト角を1°〜5°にコントロールする。
【0046】
従来デバイスでは、図11のデバイス構造における垂直配向液晶層の厚さdは3から4μmくらいであり、屈折率異方性Δnは0.1より小さい値(典型的には0.08くらい)の垂直配向液晶材料を用いている。ところが、従来デバイスで液晶層の厚さdを2.5μm以下にすると、応答速度は早くなるものの、上述したように駆動電圧が高くなり、実用デバイスとしては不適当となる。液晶層厚の減少によって駆動電圧が上昇する現象のメカニズムは必ずしも明確ではないが、層厚が大きい場合には液晶のバルク的性質が主に現れるのに対して、液晶層が薄くなると、配向膜と液晶の界面における両者の相互作用の影響(液晶分子を傾斜させないように働くと考えられる。)が無視できなくなることが要因であると考えられる。
【0047】
本発明者は、このような問題を克服するために、多くの実験を繰り返した結果、垂直配向液晶材料の屈折率異方性Δnの値を0.11以上に大きく調整することにより、上記の問題を解決できることを見出した。図1及び図2には、液晶層の厚みdが2μm及び1.5μmの場合について、液晶のΔn値を変えた場合のV−T曲線の変化を示している。これらの図から、液晶層の厚みdを特に2μm以下に減少させても、Δnを0.11以上にすることにより、透過率は4〜6V以下の電圧で容易に飽和するようになり、実用的な駆動ができるようになることが分かる。
【0048】
しかも、d=1μmと非常に薄い液晶層厚のデバイスにおいてでさえ、本発明によれば、図3に示すように、Δnを0.11以上にすることにより、6V程度の駆動電圧でほぼ飽和するようになり、さらに透過率も従来デバイスの材料構成では30%程度でしかなかったものが著しく向上することも分る。特にΔn=0.13の高いΔn値の液晶材料を用いることにより、1μm厚でも十分な透過率と駆動特性を持つSi反射型垂直配向液晶表示デバイスを実現できる。
【0049】
図4は、本発明による反射型液晶表示デバイスの応答速度(立ち上がり時間+立ち下がり時間)を示している。従来のデバイスに比べて非常に高速になり、d=2μm厚で7〜9msec、1.5μm厚以下になると数msec以下になった(但し、d=2.5μm厚では13〜14msecと応答速度が不十分となる)。さらに、d=1.5μm厚以下のデバイスでは、中間調においても8msec以下の高速応答を保った。本デバイスにより、中間調表示や動画像の多い映画やテレビ画像においても、遜色のない画質を実現できる。
【0050】
図5には、本発明によるデバイス(試料No.7〜15)の諸特性を比較試料(試料No.1〜6、16〜19)と共にまとめて示し、図6には、Δnによる飽和電圧の変化を液晶層厚d毎に示す。駆動特性、透過率及び応答速度の観点から、液晶層の厚みdは2μm以下、特に1〜2μmが好ましく、液晶のΔnは、2μm厚ではΔn≧0.1(より好ましくはΔn≧0.103、更にはΔn≧0.114)、1.5μm厚ではΔn≧0.106(より好ましくはΔn≧0.11、更にはΔn≧0.114)及び1μm厚ではΔn≧0.104(より好ましくはΔn≧0.114、更にはΔn≧0.12)が、実用上、特に適している。
【0051】
ところで、従来デバイスの液晶層厚3.5μmの場合に、Δn=0.1以上の高い屈折率異方性Δnを有する垂直配向液晶材料を用いた場合について、Δn=0.13の場合を例として、そのV−T曲線を図7に示す。この図から分るように、しきい値電圧がかなり小さくなり、約2Vの駆動電圧で飽和するようになる。しかしながら、上述した式1に示すように、応答速度は液晶の層厚d以外に駆動電圧の2乗に反比例するため、このような低い駆動電圧は応答速度を非常に低下させる要因となる。実際の測定によれば、このデバイスの白黒応答速度は46msec(約50msec)になり、さらに中間調になると、駆動電圧がより下がることを反映して100msec近くにもなり、実用性に乏しいことは明らかである。このように、従来デバイスでは、応答速度の観点から、Δnの値はむしろ0.1より小さくする必要がある。
【0052】
以上のように、本発明は、液晶層の厚みdが2μm以下の反射型垂直配向液晶表示デバイスを実現するための、液晶材料のΔn値の必要条件を新たに見出したものであり、液晶層厚dが2μm以下であってもΔn≧0.11とすることにより、飽和電圧を低下させ、応答速度も向上させることができたのである。
【0053】
なお、下記の表には、上記した各種Δn値(更にはΔε値)の垂直配向液晶材料(これらはいずれもメルク社製)をまとめて示す。
【表1】
【0054】
次に、本発明による垂直配向液晶表示デバイスが、従来デバイスよりも小さいFナンバーの光学系に対しても有効であることを述べる。
【0055】
まず、本発明による液晶層厚の薄いデバイスの黒レベルが、従来の3〜4μm厚のデバイスよりも低くなることを見出した結果を示す。図8は、本発明による垂直配向液晶表示デバイスの黒レベルの数値(電圧ゼロでの黒状態での透過率)を液晶層厚の関数として示した。それぞれの材料系で、3.5μm厚での数値を100%として表している(横軸は液晶層の厚さである。)。
【0056】
これによれば、印加電圧がゼロの時は液晶分子はほぼ基板面に垂直に配向しているため、原理的には入射光は偏光状態を変えずに反射され、偏光ビームスプリッタによって入射側に戻されることになるが、実際のデバイスではプレティルト角分だけ液晶分子が傾斜しておりこれによりわずかに楕円化すること、また上述のように偏光ビームスプリッタの偏光分離特性に入射角依存性があるため、これらにより黒状態での透過率が上昇し、コントラストを劣化させる。
【0057】
しかしながら、本発明によるデバイスの黒レベルの数値は、図8に示すように、液晶の層厚が薄くなるほど低下し、2μm厚のデバイスでは従来デバイスの厚みのものに比べ20〜30%、1.5μm厚では10〜20%、1.0μm厚では5〜15%になることが見出された(但し、2.5μm厚では40〜50%と大きい)。コントラストは白レベルと黒レベルの比で表わされるが、白レベルはほぼ同じであるため、図8に示す結果は、本発明によるデバイスのコントラストが、例えば1.5μm厚のデバイスでは5〜10倍以上高くなることを示している。
【0058】
このように液晶層厚の減少により黒レベルの数値が低下する主な理由は、以下に基づくものと考えられる。本デバイス系の液晶の透過率Tは次の式4で表わされる。
T∝sin2(2d・Δn(eff)・π/λ) ・・・式4
【0059】
ここで、λは光の波長であり、Δn(eff)は液晶分子の鉛直方向からの倒れ角θに応じた実効的な屈折率異方性であり、次の式5で表わされる。
【数2】
【0060】
液晶の駆動電圧を上げていくと液晶分子の倒れ角θが大きくなり、それに応じてΔn(eff)が増し、透過率が増大する。原理的にθ=90°でΔn(eff)は液晶材料のΔnの値に等しくなることが分かる。式4より、透過率は2d・Δn(eff)・π/λ=π/2の条件を満たす場合にT=100%になる。
【0061】
黒レベル、すなわち黒状態の透過率は、液晶分子が完全に垂直に配向すれば(θ=0)、Δn(eff)=0となり、黒状態の透過率はゼロになるが、実際には上述のように1〜7°くらいのプレティルト角を付けて配向させるために、Δn(eff)は有限の値となり、これが黒状態の透過率を与える。プレティルト角が大きくなるほど、黒状態での透過率が上昇するため、より好ましくは5°以下に制御する。黒レベルにおいては、2d・Δn(eff)・π/λは小さい値なので、式4は近似的にT∝sin2(2d・Δn(eff)・π/λ)≒(2d・Δn(eff)・π/λ)2となり、液晶層厚dの2乗に比例するものと理論的には考えられる。図8に示した実測データは、おおよそ、この関係で説明できることが分かる。
【0062】
このように、本デバイスは、液晶層の厚みdが2μm以下と薄く設計されていることにより、従来のような3〜4μm厚のデバイスに比べて、黒レベルが本質的に低く抑えられ、高いコントラストを実現することが可能である。
【0063】
従来デバイスでは光学系のFナンバーを小さくしていくと、黒レベルが上昇してコントラストが確保されなくなるために、Fナンバーを3.5以上に設定せざるを得ないことを既述したが、本発明によるデバイスでは、上記したようにデバイス単体の黒レベルが非常に低くなるため、小さいFナンバーの光学系においても十分なコントラストを確保することができる。
【0064】
図9は、本発明によるデバイスにおいて、図17に示した投射レンズ5や照明光学系に対応した構成からなる測定光学系のFナンバーを変えた時の黒状態の透過率の変化を示す。Fナンバーを小さくしていくと、黒レベルは上昇するものの、本発明によるデバイスでは、いずれのFナンバーにおいても、従来デバイスより低い黒レベルを維持しているので、Fナンバーが3以下と小さい光学系においても十分なコントラストを実現できる。しかも、図10に示すように、Fナンバーが3以下で、輝度も十分なものとなり(但し、2未満では輝度が飽和する。)、Fナンバーが3を超えると輝度がかなり低下する。
【0065】
輝度に関しては、実用のプロジェクションシステムにおいて、例えば対角0.7インチのデバイスで120Wのランプを用いた光学系では、F=3.85からF=2にすると、その輝度は約60%向上することが実験から分かっている。
【0066】
以上のように、本発明に基づくデバイスと、Fナンバーが3以下(特には1.5以上)の光学系とを用いたプロジェクション光学システム及びプロジェクションディスプレイシステムは、従来デバイスと従来光学系とを用いたシステムに比べて、高いコントラストと高輝度の双方を満たすプロジェクションシステムを提供することができる。
【0067】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と共に具体的に説明する。
【0068】
〔比較例1〕
従来デバイスを次のようにして作製した。まず、透明電極が成膜されたガラス基板と、Al電極が形成されたSi駆動回路基板とを洗浄後、蒸着装置に導入し、液晶配向膜としてSiO2膜を、蒸着角度45〜55°の範囲で斜め蒸着して形成した。液晶配向膜の膜厚は50nmとし、液晶のプレティルト角は約2.5°になるように制御した。
【0069】
その後、液晶配向膜が形成された上記両基板の間に1〜3.5μm径のガラスビーズを適当な数だけ散布して、両者を貼り合わせ、メルク社製の、誘電率異方性Δεが負で、Δn=0.082を有する垂直配向液晶材料を注入して、3.5μm、2.9μm、2.5μm、2μm、1.5μm及び1μmの液晶層厚(セルギャップ)を有する6種類の反射型液晶表示デバイス(図5の試料No.1〜6)を作製した。
【0070】
これらのデバイスにおいて、透明電極とAl電極との間に電圧を加え、印加電圧を変えたときの液晶の透過率の変化(反射型であるから、実際にはデバイスの反射率を測定しているが、液晶の透過率を測定していることと等価であるため、以下、このように記す。)を測定した。測定は室温で行なった。
【0071】
その液晶駆動特性を図15に示す。図15、更には図16に示すように、液晶層の厚さが2.5μmより薄くなると、飽和駆動電圧が急上昇して6Vを越すようになった。
【0072】
〔実施例1〕
比較例1と同様の方法で、透明電極付き基板とAl電極が形成されたSi駆動回路基板とにそれぞれSiO2膜からなる液晶配向膜を形成し、それらの基板間に、メルク社製の、誘電率異方性Δεが負で、屈折率異方性Δnが0.103、0.114及び0.13の3種類の垂直配向液晶材料を注入し、それぞれの材料で、2μm、1.5μm及び1μmの液晶層の厚さを有する、計9種類の反射型液晶表示デバイス(図5の試料No.7〜15)を作製した。液晶のプレティルト角は約2.5°になるように制御した。
【0073】
これらのデバイスの液晶駆動特性を、比較例1と同様にして、室温で測定した。図1、図2及び図3はそれぞれ、液晶層の厚みが2μm、1.5μm及び1μmの場合についての駆動特性を示す。図5には、各デバイスの、透過率がほぼ飽和する駆動電圧とその透過率の値をまとめた。
【0074】
この結果から、液晶層の厚さdを2μm以下に減少させても、Δnを0.11以上にすることにより、透過率は4〜6V以下の電圧で容易に飽和するようになり、実用的な駆動ができるようになることが分かった。しかも、透過率も従来デバイスに比べて大きく向上することから、十分な透過率と駆動特性を持つSi反射型垂直配向液晶表示デバイスを実現できた。
【0075】
液晶配向膜として、酸化珪素膜の代わりに、ポリイミド膜を用いてラビングで配向制御したデバイスも作製したが、結果は上記と同様であった。
【0076】
〔実施例2〕
実施例1で作製した反射型液晶表示デバイスの立ち上がり(黒から白)及び立ち下がり(白から黒)への応答速度を測定した。その総和をデバイスの応答速度とし、図5にその結果を示す。測定は室温で行なった。図4には、代表例としてΔn=0.13のデバイスの場合(図5の試料No.9、12、15、及びd=2.5μmの試料)について、液晶層の厚さを関数として示した。また比較として、従来例の試料No.1と3μm厚で作製した試料(いずれもΔn=0.082)の応答速度も示した。
【0077】
応答速度は、上述した式1、2から推測されるように、液晶層の厚みのほぼ2乗に比例して変化したが、本発明によるデバイスでは、液晶層厚dを2μm以下、Δnを0.11以上としているために、9msec以下の高速の応答を実現できることが実証された。
【0078】
〔比較例2〕
実施例1と同様な方法で、Δn=0.13の液晶材料を用いて層厚3.5μmの反射型液晶表示デバイス(試料No.16)を作製し、液晶駆動特性を調べた。
【0079】
図7にはその結果を、Δn=0.082の場合(試料No.1)と比較して示すが、このデバイスの駆動電圧は非常に低くなった。また、室温での応答速度を、実施例2と同様に測定した結果、応答速度は46msecであった。これは、中間調では駆動電圧が1V台になるために、さらに遅くなり、25%の階調での応答速度は100msec近くになった。
【0080】
〔実施例3〕
実施例1で作製した反射型液晶表示デバイスの、印加電圧がゼロ(黒状態)の時の透過率(黒レベル)を測定した。液晶層の厚さに対する黒レベルの変化を系統的に調べるために、各Δnの試料で、従来デバイスの層厚である3.5μmのデバイス(図5の試料No.17〜19)及び層厚2.5μmのデバイスを作製し、実施例1の試料(試料No.7〜15)と共に測定した。それぞれのΔnの試料で、3.5μm厚のデバイスの数値を100%として、黒レベルの数値を示したのが図8である。
【0081】
図8に示すように、いずれのΔnの試料でも、液晶層の厚さを薄くし、2μm以下になると、黒レベルは著しく低下し、例えば1.5μm厚のデバイスでは、3.5μm厚のデバイスの数値に対して10〜20%の低い黒レベルを示すことが見出された。即ち、デバイスのコントラストは5〜10倍になることを示している。図7の測定光学系のFナンバーは3.85であるが、Fナンバーを変えても、この傾向は概して同じであった。
【0082】
〔実施例4〕
実施例1のΔn=0.13、液晶層厚1.5μm、2.0μmのデバイス(試料No.12、9)を、Fナンバーが3.85、3及び2の測定光学系に組み込み、デバイスの黒レベル(黒状態の透過率)を従来デバイス(試料No.1)と比較した。
【0083】
図9は、その結果を示す。Fナンバーの低下により、黒レベルは上昇するが、本発明によるデバイスでは、いずれのFナンバーにおいても、従来デバイスより低い黒レベルを維持している。各デバイスの白レベルの透過率は約0.6でほぼ同じであった。従って、黒レベルの比がそのままデバイスのコントラストの比を与え、本発明によるデバイスでは、Fナンバーが3以下と小さい光学系においても、従来デバイスと同等以上のコントラストを実現できることが分かる。このFナンバーの下限は1.5、更には2.0とするのがよい。
【0084】
また、上記と同様の仕様で、対角0.7インチのSi反射型垂直配向液晶表示デバイスを作製し、120Wのランプ光源を用いて、Fナンバー=3.85、3.5、3、2.5及び2の実用プロジェクション光学系で輝度を比較したところ、図10に示すようにFナンバー≦3で向上し、Fナンバー=3.85の光学系の輝度値に対して、Fナンバー=3では約32%、Fナンバー=2.5では約44%、Fナンバー=2では約60%向上した。但し、Fナンバー>3では輝度値が急激に低下し、Fナンバー=3.5では約15%しか向上しなかった。なお、Fナンバー=1.5ではFナンバー=2とあまり変らなかった。コントラストは、上述のように、Fナンバー≦3の光学系においても、従来デバイスのコントラストよりも高いコントラストが維持された。即ち、従来デバイスよりも、輝度とコントラストの双方が向上したプロジェクションシステムを実現できた。
【0085】
以上に述べた本発明の実施の形態及び実施例は、本発明の技術的思想に基づいて様々に変形可能である。
【0086】
例えば、上述した反射型液晶表示素子やこれを用いた光学又はプロジェクションシステムの構成部分の構造、材質等は上述したものに限られることはなく、種々に変更してよい。
【0087】
【発明の作用効果】
以上のように、本発明によれば、垂直配向液晶層の厚さを2μm以下と小さくしても、垂直配向液晶材料のΔnの値を0.11以上と大きく調整し、画素サイズを10μm以下とし、かつ、光透過性電極と光反射電極との対向面上にそれぞれ、前記垂直配向液晶材料に1°以上、5°以下のプレティルト角を与えているので、液晶の透過率が5〜6V以下の電圧で容易に飽和するようになり、実用的な低電圧での安定駆動が可能になり、また透過率自体も著しく向上する。従って、十分な透過率と低電圧安定駆動(低耐圧)の駆動特性とを持ち、高速応答に優れ、更に低耐圧の駆動トランジスタの使用も可能となる反射型垂直配向液晶表示デバイスと、これを用いた表示装置、プロジェクション光学及びディスプレイシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型液晶表示デバイスにおける垂直配向液晶材料の屈折率異方性Δnを変えた場合のV−T曲線図(液晶層の厚さdが2μmの場合)である。
【図2】反射型液晶表示デバイスにおける垂直配向液晶材料の屈折率異方性Δnを変えた場合のV−T曲線図(液晶層の厚さdが1.5μmの場合)である。
【図3】反射型液晶表示デバイスにおける垂直配向液晶材料の屈折率異方性Δnを変えた場合のV−T曲線図(液晶層の厚さdが1μmの場合)である。
【図4】反射型垂直配向液晶表示デバイスの応答速度を示すグラフ(3μm及び3.5μm厚の試料は従来デバイスの値)である。
【図5】反射型液晶表示デバイスにおける垂直配向液晶材料の厚さd、屈折率異方性Δn及び誘電率異方性Δεによる飽和電圧、透過率及び応答速度を各試料についてまとめて示す表である。
【図6】同、液晶の屈折率異方性Δnによる飽和電圧の変化を液晶層厚d毎に比較して示すグラフである。
【図7】同、液晶層の厚さが3.5μmの場合に、液晶の屈折率異方性Δnを0.13とした時のV−T曲線図である。
【図8】同、黒状態透過率の液晶層の厚さ依存性(従来デバイスの液晶層厚である3.5μm厚デバイスの黒状態の値を100%として示した)を比較して示すグラフである。
【図9】本発明による反射型垂直配向液晶デバイスと従来デバイスの測定光学系のFナンバーによる黒レベルの変化を比較して示すグラフである。
【図10】同、Fナンバーによるデバイスの輝度変化を示すグラフである。
【図11】本発明による反射型垂直配向液晶表示デバイスの概略断面図である。
【図12】同、Si駆動回路基板側の要部断面図である。
【図13】同、デバイスのレイアウト及び等価回路図である。
【図14】従来デバイスのV−T曲線図(液晶層の厚さは約3μm)である。
【図15】従来デバイスで液晶層の厚さを減少させた時のV−T曲線図(Δnは0.082)である。
【図16】同、液晶層厚による飽和電圧の変化を示すグラフである。
【図17】同、反射型液晶表示デバイスを用いたプロジェクション光学系を示す概略図である。
【符号の説明】
1…ランプ光源、2B、2G、2R…偏光ビームスプリッタ、
3B、3G、3R…反射型デバイス、4…X−Cubeプリズム、
6…フライアイレンズ、7…偏光変換デバイス、8…コンデンサレンズ、
9…ダイクロイック色分離フィルタ、10(p,s)…白色光、
10(s)…s偏光の入射光、
10R(s)、10G(s)、10B(s)…s偏光の入射光、
10R(p)、10G(p)、10B(p)…p偏光の反射光、
10(p)…p偏光の投射光、11、12…全反射ミラー、
23…反射型液晶表示素子、30…光反射電極、31…Si駆動回路基板、
32…透明電極、33…ガラス基板、34、35…液晶配向膜、
36…垂直配向液晶、37…単結晶シリコン基板、
38、39、44…半導体領域、41、46…電極、
42、43、50…電極又は配線、47、48、49…層間絶縁膜、
d…液晶層厚、Δn…液晶の屈折率異方性、Δε…液晶の誘電率異方性
Claims (21)
- 光透過性電極を有する第1の基体と、光反射電極を有する第2の基体とが、前記光透過性電極及び前記光反射電極を互いに対向させかつ垂直配向液晶を介在させた状態で、対向配置されている反射型液晶表示素子であって、前記垂直配向液晶層の厚さが2μm以下であり、垂直配向液晶材料の屈折率異方性Δnが0.11以上であり、画素サイズが10μm以下であり、かつ、前記光透過性電極と前記光反射電極との対向面上にそれぞれ、前記垂直配向液晶材料に1°以上、5°以下のプレティルト角を与える液晶配向処理が施されている反射型液晶表示素子。
- 前記垂直配向液晶層の厚さが1.5μm以下である、請求項1に記載した反射型液晶表示素子。
- 前記プレティルト角は1°以上、2.5°以下である、請求項1に記載した反射型液晶表示素子。
- 前記光反射電極は、不透明な単結晶半導体である前記第2の基体に形成された単結晶半導体駆動回路に接続され、アクティブ駆動型に構成されている、請求項1に記載した反射型液晶表示素子。
- 前記第2の基体はシリコンの単結晶半導体で構成されたシリコン基板であり、前記単結晶半導体駆動回路が、前記第2の基体としての前記シリコン基板に画素毎に設けられた駆動トランジスタを具備し、この駆動トランジスタの出力側に前記光反射電極が接続されている、請求項4に記載した反射型液晶表示素子。
- 前記光透過性電極としての透明電極及び前記光反射電極の対向面上にそれぞれ液晶配向膜が形成され、この液晶配向膜として酸化珪素膜が形成されている、請求項4に記載した反射型液晶表示素子。
- 請求項1及至請求項6のいずれか1項に記載した反射型液晶表示素子と、この反射型液晶表示素子を駆動する駆動回路とを具備する表示装置。
- 光が照明光学系により前記反射型液晶表示素子に入射され、この反射型液晶表示素子からの反射光が、光路中に配置された光学系により導かれる、請求項7に記載した表示装置。
- 前記光源からの光が偏光変換素子及び偏光ビームスプリッタを通して前記反射型液晶表示素子に入射し、この反射型液晶表示素子からの反射光が前記偏光ビームスプリッタを再び通して導かれる、請求項8に記載した表示装置。
- 各色毎に前記反射型液晶表示素子と前記偏光ビームスプリッタとが配置され、それぞれの反射型液晶表示素子からの反射光が合成される、請求項9に記載した表示装置。
- 白色光源からの白色光が前記偏光変換素子を通してダイクロイック色分離フィルタに導かれ、ここで分離された光が更に各色の分離光とされた後に前記偏光ビームスプリッタを介して、各色毎に配置された前記反射型液晶表示素子にそれぞれ入射し、これらの反射型液晶表示素子からの各反射光が色合成プリズムで合成される、請求項10に記載した表示装置。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載した反射型液晶表示素子が光路中に配置されているプロジェクション光学システム。
- 光源と、この光源からの光を前記反射型液晶表示素子に入射させる照明光学系と、前記反射型液晶表示素子と、この反射型液晶表示素子からの反射光を導く光学系とが前記光路中に配置されている、請求項12に記載したプロジェクション光学システム。
- 前記光源からの光が偏光変換素子及び偏光ビームスプリッタを通して前記反射型液晶表示素子に入射し、この反射型液晶表示素子からの反射光が前記偏光ビームスプリッタを再び通して投射レンズに導かれる、請求項13に記載したプロジェクション光学システム。
- 各色毎に前記反射型液晶表示素子と前記偏光ビームスプリッタとが配置され、それぞれの反射型液晶表示素子からの反射光が合成されて前記投射レンズに導かれる、請求項14に記載したプロジェクション光学システム。
- 白色光源からの白色光が前記偏光変換素子を通してダイクロイック色分離フィルタに導かれ、ここで分離された光が更に各色の分離光とされた後に前記偏光ビームスプリッタを介して、各色毎に配置された前記反射型液晶表示素子にそれぞれ入射し、これらの反射型液晶表示素子からの各反射光が色合成プリズムで合成された後に前記投射レンズに導びかれる、請求項15に記載したプロジェクション光学システム。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載した反射型液晶表示素子が光路中に配置されているプロジェクションディスプレイシステム。
- 光源と、この光源からの光を前記反射型液晶表示素子に入射させる照明光学系と、前記反射型液晶表示素子と、この反射型液晶表示素子からの反射光を導く光学系とが前記光路中に配置されている、請求項17に記載したプロジェクションディスプレイシステム。
- 前記光源からの光が偏光変換素子及び偏光ビームスプリッタを通して前記反射型液晶表示素子に入射し、この反射型液晶表示素子からの反射光が前記偏光ビームスプリッタを再び通して投射レンズ、更にはスクリーンに導かれる、請求項18に記載したプロジェクションディスプレイシステム。
- 各色毎に前記反射型液晶表示素子と前記偏光ビームスプリッタとが配置され、それぞれの反射型液晶表示素子からの反射光が合成されて前記投射レンズに導かれる、請求項19に記載したプロジェクションディスプレイシステム。
- 白色光源からの白色光が前記偏光変換素子を通してダイクロイック色分離フィルタに導かれ、ここで分離された光が更に各色の分離光とされた後に前記偏光ビームスプリッタを介して、各色毎に配置された前記反射型液晶表示素子にそれぞれ入射し、これらの反射型液晶表示素子からの各反射光が色合成プリズムで合成された後に前記投射レンズに導かれる、請求項20に記載したプロジェクションディスプレイシステム。
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