JPH11173969A - 前方散乱光受光光学系及びその製造方法 - Google Patents

前方散乱光受光光学系及びその製造方法

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JPH11173969A
JPH11173969A JP9339604A JP33960497A JPH11173969A JP H11173969 A JPH11173969 A JP H11173969A JP 9339604 A JP9339604 A JP 9339604A JP 33960497 A JP33960497 A JP 33960497A JP H11173969 A JPH11173969 A JP H11173969A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】S/N比が大きく、かつコストが安い前方散乱
光受光光学系及びその製造方法を提供する。 【解決手段】レンズ系の最初のレンズが平凸レンズ52で
あり、その平面側が光源側に向けられ、その中央部に
は、有底円筒形のビームストップ部だけのビームストッ
プ部材4cの底面が紫外線硬化型の接着剤42で接着されて
いる。このレンズ52と2つのアクロマティックレンズ53
及び54がスペーサ55などで正確に位置決めされて、レン
ズホルダ51に固定されている。このホルダ51にはピンホ
ールホルダ兼受光素子ホルダ67を挿入する円筒状のガイ
ド部があり、このガイド部で両者がその光軸を一致させ
て一体化される。ホルダ67にはピンホール部材6が位置
決めされて固定されており、その後方のガイド部には受
光素子7がその光軸をホルダ51及び67の光軸と合わせて
挿入されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、微粒子計測装置
や微粒子カウント式濁度計などに用いられる前方散乱光
受光光学系及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微粒子計測装置や微粒子カウント式濁度
計などの測定方式には、大きく分けて光遮断方式と光散
乱方式とがある。光遮断方式は、試料に向けて光源から
照射された光ビームの通過光量を試料の後方に設置した
受光素子で電気信号に変換し、微粒子によって光ビーム
が遮断されたことに伴って受光素子の出力信号に現れる
パルス信号をカウンタによって数える。パルスの波高値
は微粒子の粒径に対応するので、指定粒径毎にしきい値
を設けておけば、粒径区分毎の微粒子個数濃度を測定す
ることができる。
【0003】このような光遮断方式は、粒径が1μm 以
下の粒子に対する感度が小さいという欠点をもっている
が、数十μm から数百μm という大きな粒子までの広い
範囲にわたって測定することができ、光学系も比較的安
価に作製することができるという長所をもっている。一
方、光散乱方式は、試料に向けて光源から照射された光
ビームが微粒子によって散乱された散乱光のパルスを受
光素子でパルス電気信号に変換し、カウンタによって計
数する。この方式には、光源と試料とを結ぶ光軸に対し
てある一定の角度をもつ位置で散乱光をレンズ系によっ
て集光し、その光量を電気信号に変換して計測する側方
散乱光方式と、光軸上の試料の後方にビームストップ部
材を配置して直接光を除外して前方散乱光のみをレンズ
系によって集光し、その光量を電気信号に変換して計測
する前方散乱光方式とがある。両者とも、観測領域外か
らの散乱光や迷光の影響を避けるために観測領域に対応
するレンズ系の結像位置にピンホールが配置される。観
測領域はこのピンホールの大きさ、受光素子の受光面
積、それらの相互位置などによって規定される。この方
式においても光遮断方式と同様に、指定粒径毎にしきい
値を設けておけば、粒径区分毎の微粒子個数濃度を測定
することができる。
【0004】側方散乱光方式は、散乱光の光量が少ない
ため、光遮断方式に比べて出力の高い光源と高価な受光
系を必要とするが、サブミクロン以下の粒子を計測でき
ることが特長である。これに対して、前方散乱光方式
は、光源と試料とを結ぶ光軸が受光系の光軸と一致して
おり、観測領域外の、例えばフローセルと試料との境界
などからの散乱光や迷光が発生し易く、測定可能な粒子
径はサブミクロン程度が下限である。しかし、光ビーム
の光軸上に全ての部材が配置できるため、側方散乱光方
式に比べて構造が単純になり、光学系の組立及び調整が
簡単であり、安価となることが特長である。したがっ
て、サブミクロン粒子から数μm までの粒子を計数する
装置の場合には、前方散乱光方式が採用されることが多
い。
【0005】ここで、前方散乱光方式の構成と問題点な
どを更に詳しく説明する。図5は、従来技術による前方
散乱光方式の前方散乱光受光光学系の一例を示す構成図
であり、本発明の出願人が出願している特願平9-54612
号に記載している濁度測定装置の前方散乱光受光光学系
の構成図である。光源1から照射された光ビーム2がフ
ローセル3の試料流路31を流れる試料に照射されると、
試料中に存在する微粒子が光ビーム2を散乱する。直進
した光ビーム2はフローセル3の後方に配置されたビー
ムストップ部材4のビームストップ部41に照射され、そ
の光の大部分がそこで遮蔽される。試料中に存在する微
粒子がピンホール部材6のピンホール61の大きさなどで
規定される観測領域を通過すると、光ビーム2が散乱さ
れ、その散乱光がレンズ系5で集光されて、ピンホール
61を通過し、受光素子7に到達してその光量に応じた電
気信号に変換され、パルス信号として出力される。ピン
ホール61は観測領域以外からの散乱光や迷光を除去する
ために設けられている。その効果の詳細な説明は「課題
を解決するための手段」の項で後述する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ビームストップ部材4
は、図6に示すような形状をしており、他の構成部材と
位置決めして組み立てるためのリング状の外周部と、中
央部に照射される光ビーム2を吸収するために必要なビ
ームストップ部411 と、それを保持するための保持部41
2 とで構成されている。図6(a)は、ビームストップ
部と保持部とが同じ幅に形成されたビームストップ部兼
保持部41を有するビームストップ部材4であり、微粒子
からの散乱光のかなりの部分を保持部が遮断してしまう
という欠点をもっている。(b)は散乱光の遮断を少な
くするために保持部412 を細くしたビームストップ部材
4aであり、散乱光の遮断が大幅に低減する。(c)は上
下左右の対称性を改善するために十文字型の保持部412
を配したビームストップ部材4bである。
【0007】このようなビームストップ部材4, 4a及び
4bは、保持部の分だけ散乱光が遮断され、受光素子7が
受光する光量がその分だけ低減する。更に、光学系の光
軸とビームストップ部材4, 4a及び4bの中心とを正確に
位置合わせすることが面倒であり、その調整工程に工数
がかかる。この調整工程を省略するために、レンズの中
央に孔を穿ってビームストップ部411 に相当する円形の
部材を埋め込む方法も実施されているが、穿孔加工のコ
ストが高いという問題点をもっている。
【0008】また、前方散乱光方式は迷光などが多く、
受光素子7で観測される散乱光パルスのS/N比が側方
散乱光方式のそれより小さい。図7はその例を示す信号
波形図であり、サブミクロン以下の粒子の散乱光による
パルス7S1 はノイズ7S2 に比べて小さく、信号がノイズ
に埋もれてしまう。信号を大きくするために光ビーム2
を強くすると、図8のように、迷光などによる直流成分
7S3 が増加し、粒子からの散乱光によるパルス7S1aが飽
和してしまうこともある。
【0009】この発明の課題は、上述の問題点を解決し
て、S/N比が大きく、かつコストが安い前方散乱光受
光光学系を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明においては、試
料流路を有する透明なフローセルと、試料流路の中央部
に集光された光ビームを照射する光源と、フローセルの
後方に配置され、かつ光ビームを遮光するビームストッ
プ部を有して試料流路からの散乱光のみを通過させるビ
ームストップ部材と、ビームストップ部材を通過した散
乱光を集光するレンズ系と、光ビーム方向での試料流路
の中央位置に対応するレンズ系の結像位置にピンホール
を有するピンホール部材と、ピンホールを通過した散乱
光の光量を計測する受光素子とを備えた前方散乱光受光
光学系において、レンズ系が、最も光源側に配置されか
つ平面側を光源側に向けている平凸レンズと、その後方
に配置された2つのアクロマティックレンズとで構成さ
れ、平凸レンズの平面側の中央にビームストップ部のみ
のビームストッブ部材が接着されている(請求項1の発
明)。
【0011】ビームストップ部のみのビームストッブ部
材を平凸レンズの平面側に接着することによって、加工
工程、組立工程及び調整工程が簡単になり、信号となる
散乱光を最大限に集光することができる。請求項1の発
明において、ビームストッブ部材が有底円筒形部材ある
いは逆円錐状の凹みを有する円形の部材であり、その部
材の底部が平凸レンズに接着されている(請求項2の発
明)。
【0012】光ビームを受ける部分に凹みを有するこの
ようなビームストッブ部材は、簡単な加工で作製でき、
かつ迷光の原因となる光ビームの反射分を少なくする。
また、請求項1の発明において、ピンホール部材を正確
に位置決めし、かつ受光素子の光軸を光路に合わせた状
態で受光素子の位置を調節させるガイド部を有するピン
ホール部材ホルダ兼受光素子ホルダと、ピンホール部材
ホルダ兼受光素子ホルダの光軸を光路に合わせた状態で
ピンホール部材ホルダ兼受光素子ホルダを挿入させ、か
つピンホール部材のピンホール位置を正確に位置決めす
るガイド部を有し、かつレンズ位置を正確に位置決めす
るレンズホルダとを備えている(請求項3の発明)。
【0013】このようなホルダは、光学系の組立作業を
容易にし、組立精度を向上させ、かつ調整工程を容易に
する。更に、請求項1の発明において、ピンホールの大
きさが、ピンホール部材上に形成される影で、試料流路
のビームストップ部材側の壁面からの散乱光によるビー
ムストップ部の影の大きさより小さく作製されており、
受光素子の受光面上に形成される影で、試料流路の光源
側の壁面からの散乱光によるビームストップ部の影の大
きさが受光素子の受光面の大きさより大きくなるよう
に、受光素子が位置決めされている(請求項4の発
明)。
【0014】上記のように、ピンホールの大きさを決
め、受光素子の位置を調整することによって、受光素子
の出力する信号の直流成分が大幅に低減する。このよう
に直流成分が大幅に低減することは、この発明の発明者
が、従来技術による前方散乱光受光光学系、例えば図5
に示すような光学系を検討した結果、直流成分7S3 の原
因となる迷光などの大部分は、フローセルの試料に接触
する壁面部分、すなわち図9に示した前方境界381 及び
後方境界382 、で発生した散乱光に起因していることを
究明したことに基づいている。これらの散乱光が受光素
子に到達しないようにすることによって、直流成分7S3
を大幅に低減することができるのである。
【0015】図9において、ピンホール位置6Pは、フロ
ーセル3の試料流路31の中央(以下ではセル中央と略称
する)からの散乱光21の結像位置に設定されている。前
方境界381 はセル中央よりレンズ系5から離れているか
ら、前方境界381 で散乱された散乱光22はピンホール位
置6Pよりレンズ系5側に結像し、ピンホール位置6Pでは
拡がりつつある状態にある。一方、後方境界382 はセル
中央よりレンズ系5に近いから、後方境界382 で散乱さ
れた散乱光23はピンホール位置6Pより後方に結像し、ピ
ンホール位置6Pではまだ十分収束していない状態にあ
る。
【0016】図10はピンホール位置6Pにおけるこれらの
散乱光の拡がり状態を示し、(a)は前方境界381 から
の散乱光22の形状図、(b)はセル中央からの散乱光21
の形状図、(c)は後方境界382 からの散乱光23の形状
図である。なお、図中にはピンホールの外周62も示し
た。なお、図10においては、散乱光22の内径221 すなわ
ちビームストップ部41の影の直径と、散乱光23の内径23
1 すなわちビームストップ部41の影の直径とはほぼ同じ
に示されているが、実際には、散乱光23の内径231 の方
が大きくなる。
【0017】また、ピンホール位置6Pより後方にある受
光素子の位置においては、散乱光22は更に拡がるが、散
乱光23は収束して小さくなる。また、散乱光21は収束状
態から拡がってくる。図11はこのような状態を示し、図
10と同様に、(a)は散乱光22の形状図、(b)は散乱
光21の形状図、(c)は散乱光23の形状図である。な
お、図11はピンホール部材がない場合に相当する。
【0018】図10及び図11から次の結論を導くことがで
きる。散乱光22の内径223 を受光素子の受光面の直径よ
り大きくすれば散乱光22を受光素子が検出することを回
避することができる。そのような状態は受光素子の位置
を調節することによって実現可能である。すなわち、ピ
ンホール部材と受光素子との距離を離していけば確実に
この条件を満たすことができる。
【0019】しかし、散乱光23は、受光素子の受光面に
近い位置で結像するので受光素子の受光面の大きさによ
ってその検出を回避することはできない。したがって、
散乱光23の検出を確実に回避するためには、ピンホール
が必要であり、しかも、ピンホールの直径62を散乱光23
の内径231 より小さくすることが必要になる。図12は、
上記の条件を満足するように設定した状態における受光
素子の受光面における散乱光の拡がりを示し、(a)は
散乱光22の形状図、(b)は散乱光21の形状図、(c)
は散乱光23の形状図である。なお、図中には受光素子の
受光面の外周71も示した。
【0020】次には、請求項1に記載の前方散乱光受光
光学系の製造方法としては、ビームストップ部材及び平
凸レンズを位置決めする治具を用い、ビームストップ部
材の底面を上に向けて治具にセットする工程と、ビーム
ストップ部材の底面に紫外線硬化型接着剤を塗布する工
程と、平凸レンズの平面側を下にし、かつ平凸レンズを
治具で位置決めして、紫外線硬化型接着剤を塗布された
ビームストップ部材の底面上に平凸レンズを搭載する工
程と、少なくとも平凸レンズの側からは紫外線を照射す
る工程とを有する製造方法とする(請求項5の発明)。
【0021】治具を用い、かつ紫外線硬化型接着剤によ
り接着することによって、ビームストップ部材を平凸レ
ンズの平面側に正確に位置決めして、加熱せずに短時間
に十分な強度で接着することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】この発明の特長は要約すると次の
4点になる。 1) ビームストップ部のみのビームストップ部材を、レ
ンズ系の最前部に配置した平凸レンズの平面側の中央部
に接着していること。 2) ビームストップ部材付きレンズ系を収納するホルダ
と、ピンホール部材及び受光素子を収納するホルダとの
2つのホルダを使い、両者の光軸を合わせて相互に挿入
・組立可能とし、各部材を正確に位置合わせして容易に
組立調整できる構造としていること。
【0023】3) 受光素子が試料流路の前方壁面及び後
方壁面からの散乱光を受光することを回避するために、
ピンホールの大きさを制限し、受光素子の位置を調節す
ること。 4) ビームストップ部材を平凸レンズの平面側の中央部
に接着する方法として、接着剤には紫外線硬化型接着剤
を使用し、ビームストップ部材と平凸レンズとを正確に
位置合わせする治具を用い、室温で短時間に正確かつ確
実に接着する方法を採用すること。
【0024】以下に、実施例を用いてこの発明を説明す
る。なお、従来技術と同じ機能を有する部分については
同じ符号を用いた。 〔第1の実施例〕図1はこの発明による前方散乱光受光
光学系の実施例の要部の構造を示す断面図である。
【0025】基本的な構成は従来例を示した図5と同じ
であるので、従来例と異なる点を中心にして説明する。
ビームストップ部材4cは、従来例の場合のビームストッ
プ部のみに相当し、反射を少なくするために表面を黒色
アルマイト処理されたアルミからなり、光ビームを遮蔽
して散乱光のみがレンズ系に届くような大きさに設定さ
れている。しかし、この大きさが大きくなるほどレンズ
系で集光される散乱光が少なくなるので、その大きさは
必要最小限度に止められている。このビームストップ部
材4cはレンズ系の最前部に配置される平凸レンズ52の平
面側の中央部に接着剤42、例えば紫外線硬化型接着剤、
によって接着されている。図2はビームストップ部材と
平凸レンズ52とを接着した状態を示すもので、(a)は
底有円筒形のビームストップ部材4cの場合を示す平面
図、(b)はその側面図、(c)は逆円錐形の凹みを有
する円形のビームストップ部材4dの場合を示す平面図、
(d)はその側面図である。ビームストップ部材4c及び
4dの前面に凹みが形成されているのは、光ビームの反射
をできるだけ少なくして迷光の要因となる反射光を少な
くするためである。ビームストップ部材4cあるいは4dの
接着には、その位置精度を確保するために、ビームスト
ップ部材4cあるいは4dと平凸レンズ52とが位置決めでき
る治具を使用し、接着剤42として紫外線硬化型接着剤を
用い、両者を位置決めして接着剤を介して接触させた状
態で平凸レンズ52側から紫外線を照射して接着剤42を硬
化させる。この作業は常温で実施できるので位置合わせ
及び紫外線照射のための治具は常温仕様のものでよい。
なお、接着をより完全にするために、ビームストップ部
材側からも紫外線を照射することは有効である。
【0026】ビームストップ部材4cが接着された平凸レ
ンズ52及び2つのアクロマティックレンズは、レンズホ
ルダ51に正確に位置決めされて保持されている。すなわ
ち、平凸レンズ52はレンズホルダ51の左側から嵌め込ま
れてレンズ押えA56によって固定されている。レンズホ
ルダ51の右側からは、まずアクロマティックレンズA53
が嵌め込まれ、次いでスペーサ55が挿入され、アクロマ
ティックレンズB54が嵌め込まれ、最後にレンズ押えB
57が挿入されてレンズ系が完成する。このレンズホルダ
51には、後述するピンホールホルダ兼受光素子ホルダ67
がレンズホルダ51の光軸と光軸を一致させた状態で挿入
される円筒状のガイド部が形成されている。
【0027】ピンホールホルダ兼受光素子ホルダ67に
は、図9のセル中央からの散乱光21の結像位置に相当す
るピンホール位置6Pにピンホール部材6が固定されてお
り、その後方には、受光素子7がレンズホルダ51の光軸
と一致する光軸上を移動できるように形成された円筒状
のガイド部に挿入されている。受光素子7は図12(a)
の状態が確保できる位置に調節されて固定されている。
【0028】なお、ピンホール部材6のピンホールの大
きさは、試料流路の後方壁面からの散乱光23を完全に遮
蔽する大きさ、すなわちピンホール位置における散乱光
23の内径231 より小さい大きさ、に設定されている。し
かし、観測領域からの散乱光をできるだけ多くするため
に、ピンホール位置における散乱光22の内径221 よりは
大きく設定されている。散乱光22の一部がピンホールを
通過しても、前述したように、受光素子7の位置を調節
することによって散乱光22が受光素子7に受光されない
ようにすることができるからである。
【0029】〔第2の実施例〕この実施例は、ビームス
トップ部材4cの位置決め接着方法に関するものであり、
レンズ系がレンズホルダ51に組み込まれた後でビームス
トップ部材4cを接着する方法を示すものである。図3は
この方法に使用するビームストップ部材固定用治具9の
外観を示す斜視図である。治具9の上部の凹みはレンズ
ホルダ51を挿入するためのガイド部であり、その底面の
中央部にビームストップ部材4cをセットするビームスト
ップ部材設置部91が円形の凹みとして形成されている。
この設置部91に底面を上に向けてビームストップ部材4c
を挿入し、ディスペンサで紫外線硬化型接着剤をビーム
ストップ部材4cの底面に塗布する。次いで、平凸レンズ
52を下にしてレンズホルダ51を、治具9の上部の凹みに
挿入し、図4に示したように、ビームストップ部材4c上
に平凸レンズ52を接着剤を介して重ね合わせる。この状
態で上面からレンズ系を通して紫外線92を照射し、接着
剤を硬化させてビームストップ部材4cを平凸レンズ52の
平面側の中央部に接着する。
【0030】この接着方法はビームストップ部材4dの場
合にも全く同様に実施できる。また、レンズホルダ51に
平凸レンズ52のみを固定した状態で実施することもでき
る。更に、上部の凹みの内径を平凸レンズ52の外径に合
わせれば、レンズホルダなしで平凸レンズ52にビームス
トップ部材4cあるいは4dを接着することもできる。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、試料流路を有する透
明なフローセルと、試料流路の中央部に集光された光ビ
ームを照射する光源と、フローセルの後方に配置され、
かつ光ビームを遮光するビームストップ部を有して試料
流路からの散乱光のみを通過させるビームストップ部材
と、ビームストップ部材を通過した散乱光を集光するレ
ンズ系と、光ビーム方向での試料流路の中央位置に対応
するレンズ系の結像位置にピンホールを有するピンホー
ル部材と、ピンホールを通過した散乱光の光量を計測す
る受光素子とを備えた前方散乱光受光光学系において、
レンズ系が、最も光源側に配置されかつ平面側を光源側
に向けている平凸レンズと、その後方に配置された2つ
のアクロマティックレンズとで構成され、平凸レンズの
平面側の中央にビームストップ部のみのビームストッブ
部材が接着されているので、加工工程、組立工程及び調
整工程が簡単になり、信号となる散乱光を最大限に集光
することができる。したがって、S/N比が大きく、コ
ストが安い前方散乱光受光光学系を提供することができ
る(請求項1の発明)。
【0032】請求項1の発明において、ビームストッブ
部材が有底円筒形部材あるいは逆円錐状の凹みを有する
円形の部材であり、その部材の底部が平凸レンズに接着
されているので、ビームストッブ部材は、簡単な加工で
作製でき、かつ迷光の原因となる光ビームを反射分を少
なくする。したがって、よりS/N比が大きい前方散乱
光受光光学系を提供することができる(請求項2の発
明)。
【0033】また、請求項1の発明において、ピンホー
ル部材を正確に位置決めし、かつ受光素子の光軸を光路
に合わせた状態で受光素子の位置を調節させるガイド部
を有するピンホール部材ホルダ兼受光素子ホルダと、ピ
ンホール部材ホルダ兼受光素子ホルダの光軸を光路に合
わせた状態でピンホール部材ホルダ兼受光素子ホルダを
挿入させ、かつピンホール部材のピンホール位置を正確
に位置決めするガイド部を有し、かつレンズ位置を正確
に位置決めするレンズホルダとを備えているので、光学
系の組立作業が容易になり、組立精度が向上し、かつ調
整工程も容易になる。したがって、S/N比がより大き
く、コストがより安い前方散乱光受光光学系を提供する
ことができる(請求項3の発明)。
【0034】更に、請求項1の発明において、ピンホー
ルの大きさが、ピンホール部材上に形成される影で、試
料流路のビームストップ部材側の壁面からの散乱光によ
るビームストップ部の影の大きさより小さく作製されて
おり、受光素子の受光面上に形成される影で、試料流路
の光源側の壁面からの散乱光によるビームストップ部の
影の大きさが、受光素子の受光面の大きさより大きくな
るように、受光素子が位置決めされているので、受光素
子の出力する信号の直流成分を大幅に低減することがで
きる。したがって、S/N比が更に優れた前方散乱光受
光光学系を提供することができる(請求項4の発明)。
【0035】請求項1に記載の前方散乱光受光光学系の
製造方法としては、ビームストップ部材及び平凸レンズ
を位置決めする治具を用い、ビームストップ部材の底面
を上に向けて治具にセットする工程と、ビームストップ
部材の底面に紫外線硬化型接着剤を塗布する工程と、平
凸レンズの平面側を下にし、かつ平凸レンズを治具で位
置決めして、紫外線硬化型接着剤を塗布されたビームス
トップ部材の底面上に平凸レンズを搭載する工程と、少
なくとも平凸レンズの側からは紫外線を照射する工程と
を有する製造方法とするので、ビームストップ部材を平
凸レンズの平面側に正確に位置決めして、加熱せずに短
時間に十分な強度で接着することができる。したがっ
て、治具としては常温仕様の安価な治具が使用でき、作
業時間も短くて済むので、製作コストが安くなる(請求
項5の発明)。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による前方散乱光受光光学系の実施例
の要部の構造を示す断面図
【図2】実施例におけるビームストップ部材の形状例を
示し、(a)は有底円筒形部材を平凸レンズに接着した
状態を示す平面図、(b)はその側面図、(c)は逆円
錐状の凹みを有する円形部材の場合の平面図、(d)は
その側面図
【図3】この発明による前方散乱光受光光学系の製造方
法に用いる治具の実施例を示す斜視図
【図4】前方散乱光受光光学系の製造方法の実施例を示
す側面図
【図5】従来技術による前方散乱光受光光学系の一例を
示す構成図
【図6】従来のビームストップ部材の例を示し、(a)
はビームストップ部と保持部が同じ幅の場合を示す平面
図、(b)は幅の異なる例を示す平面図、(c)は十文
字の保持部を有する例を示す平面図
【図7】ノイズの大きい信号波形図
【図8】粒子からの散乱光の信号が飽和した信号波形図
【図9】散乱光の発生位置による散乱光の拡がり状態を
示す説明図
【図10】ピンホール位置における散乱光の拡がりを示
し、(a)は前方境界からの散乱光の形状図、(b)は
セル中央からの散乱光の形状図、(c)は後方境界から
の散乱光の形状図
【図11】ピンホールがない状態における受光素子の受
光面における散乱光の拡がりを示し、(a)は前方境界
からの散乱光の形状図、(b)はセル中央からの散乱光
の形状図、(c)は後方境界からの散乱光の形状図
【図12】ピンホールが有る状態における受光素子の受
光面における散乱光の拡がりを示し、(a)は前方境界
からの散乱光の形状図、(b)はセル中央からの散乱光
の形状図、(c)は後方境界からの散乱光の形状図
【符号の説明】
1 光源 2 光ビーム 21 セル中央からの散乱光 212, 214, 214a 散乱光21の外径 22 前方境界からの散乱光 221, 223, 223a 散乱光22の内径 23 後方境界からの散乱光 231 散乱光23の内径 3 フローセル 31 試料流路 381 前方境界 382 後方境界 4, 4a, 4b, 4c, 4d ビームストップ部材 41 ビームストップ部(兼保持部) 411 ビームストップ部 412 保持部 42 接着剤 5 レンズ系 51 レンズホルダ 52 平凸レンズ 53 アクロマティックレンズA 54 アクロマティックレンズB 55 スペーサ 56 レンズ押えA 57 レンズ押えB 6 ピンホール部材 61 ピンホール 6P ピンホール位置 62 ピンホールの外径 67 ピンホールホルダ兼受光素子ホルダ 7 受光素子 7S, 7Sa 信号波形 7S1, 7S1a 散乱光によるパルス 7S2 ノイズ 7S3 迷光による直流成分 71 受光面の外周 8 試料 9 ビームストップ部材固定用治具 91 ビームストップ部材設置部 92 紫外線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 健治 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 佐々木 明徳 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料流路を有する透明なフローセルと、試
    料流路の中央部に集光された光ビームを照射する光源
    と、フローセルの後方に配置され、かつ光ビームを遮光
    するビームストップ部を有して試料流路からの散乱光の
    みを通過させるビームストップ部材と、ビームストップ
    部材を通過した散乱光を集光するレンズ系と、光ビーム
    方向での試料流路の中央位置に対応するレンズ系の結像
    位置にピンホールを有するピンホール部材と、ピンホー
    ルを通過した散乱光の光量を計測する受光素子とを備え
    た前方散乱光受光光学系において、 レンズ系が、最も光源側に配置されかつ平面側を光源側
    に向けている平凸レンズと、その後方に配置された2つ
    のアクロマティックレンズとで構成され、 平凸レンズの平面側の中央にビームストップ部のみのビ
    ームストップ部材が接着されていることを特徴とする前
    方散乱光受光光学系。
  2. 【請求項2】ビームストップ部材が有底円筒形部材ある
    いは逆円錐状の凹みを有する円形の部材であり、その部
    材の底部が平凸レンズに接着されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の前方散乱光受光光学系。
  3. 【請求項3】ピンホール部材を正確に位置決めし、かつ
    受光素子の光軸を光路に合わせた状態で受光素子の位置
    を調節させるガイド部を有するピンホール部材ホルダ兼
    受光素子ホルダと、 ピンホール部材ホルダ兼受光素子ホルダの光軸を光路に
    合わせた状態でピンホール部材ホルダ兼受光素子ホルダ
    を挿入させ、かつピンホール部材のピンホール位置を正
    確に位置決めするガイド部を有し、かつレンズ位置を正
    確に位置決めするレンズホルダとを備えていることを特
    徴とする請求項1に記載の前方散乱光受光光学系。
  4. 【請求項4】ピンホールの大きさが、ピンホール部材上
    に形成される影で、試料流路のビームストップ部材側の
    壁面からの散乱光によるビームストップ部の影の大きさ
    より小さく作製されており、 受光素子の受光面上に形成される影で、試料流路の光源
    側の壁面からの散乱光によるビームストップ部の影の大
    きさが受光素子の受光面の大きさより大きくなるよう
    に、受光素子が位置決めされていることを特徴とする請
    求項1に記載の前方散乱光受光光学系。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の前方散乱光受光光学系の
    製造方法であって、 ビームストップ部材及び平凸レンズを位置決めする治具
    を用い、 ビームストップ部材の底面を上に向けて治具にセットす
    る工程と、 ビームストップ部材の底面に紫外線硬化型接着剤を塗布
    する工程と、 平凸レンズの平面側を下にし、かつ平凸レンズを治具で
    位置決めして、紫外線硬化型接着剤を塗布されたビーム
    ストップ部材の底面上に平凸レンズを搭載する工程と、 少なくとも平凸レンズの側からは紫外線を照射する工程
    とを有することを特徴とする前方散乱光受光光学系の製
    造方法。
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