JPH11173128A

JPH11173128A - 内燃機関用ピストン

Info

Publication number: JPH11173128A
Application number: JP35202297A
Authority: JP
Inventors: Juichi Muta; 壽一牟田
Original assignee: Unisia Jecs Corp
Current assignee: Hitachi Unisia Automotive Ltd
Priority date: 1997-12-08
Filing date: 1997-12-08
Publication date: 1999-06-29

Abstract

(57)【要約】【課題】ピストンピンの中空内部に到達した潤滑油を
有効に利用して、潤滑に優れた内燃機関用ピストンを提
供する。【解決手段】ピストン１の所定位置にピストンピン孔
１０を形成し、このピストンピン孔１０内に中空円筒状
のピストンピン１１を装着する。前記ピストンピン１１
の両端側の外周に、端面に開放する切欠き１４を設け
る。前記ピストンピン孔１０の両端に、ピストンピン１
１の端面に接する接触面１７と、ピストンピン１１の端
面との間に切欠き１４に連通する通路１８を形成する凹
面１９とを備えたスナップリング１５を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用ピスト
ンに関し、とりわけ、ピストンピン孔とピストンピンと
の間の潤滑が良好な内燃機関用ピストンに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の内燃機関用ピストンは、例えば
特開平７−１３９６２９号公報の図６に示されるよう
に、ピストンの所定位置にピストンピン孔を形成し、こ
のピストンピン孔内に中空円筒状のピストンピンが装着
されている。また、前記ピストンピン孔の両端側には、
ピストンピンの抜止めをするスナップリングが設けられ
ている。

【０００３】ところで、内燃機関の潤滑は、オイルパン
内の潤滑油をオイルポンプによって潤滑各部に供給して
行われると共に、クランクシャフトの回転に伴うオイル
スプラッシュを利用して行われる。前記潤滑各部で潤滑
を終えた油は、各部の壁面を伝わってオイルパンに還流
される。

【０００４】また、潤滑油が循環するとき、潤滑油の一
部は、ピストンピンが中空円筒状である場合に、内燃機
関の運転中にピストンピンの中空内部にも到達すること
になる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来例にあっては、内燃機関の運転中にピストンピンの中
空内部に到達した潤滑油は、ピストンピンの開放両端か
らオイルパン内に滴下するのみで、格別潤滑の役に供さ
れることはない。

【０００６】本発明は前記従来の実情に鑑みて案出され
たもので、ピストンピンの中空内部に到達した潤滑油を
有効に利用して、潤滑に優れた内燃機関用ピストンを提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、請求項１記載の
発明は、ピストンの所定位置にピストンピン孔を形成
し、このピストンピン孔内に中空円筒状のピストンピン
を装着してなる内燃機関用ピストンにおいて、前記ピス
トンピンの両端側の外周に、端面に開放する切欠きを設
ける一方、前記ピストンピン孔の両端に、ピストンピン
の端面に接する接触面と、ピストンピンの端面との間に
切欠きに連通する通路を形成する凹面とを備えたスナッ
プリングを設けてなる構成にしてある。

【０００８】また、請求項２記載の発明は、請求項１記
載の発明の構成のうち、前記切欠きが、ピストンピンの
両端側の外周の一部に形成され、接触面及び凹面がスナ
ップリングの全周に亘って形成されてなる構成にしてあ
る。

【０００９】また、請求項３記載の発明は、請求項１記
載の発明の構成のうち、前記切欠きが、ピストンピンの
両端側の外周に全周に亘って形成され、接触面及び凹面
がスナップリングの円周方向の一部に形成されてなる構
成にしてある。

【００１０】また、請求項４記載の発明は、請求項２記
載の発明の構成のうち、前記切欠きが、ピストンピンの
両端側の外周に複数個形成されてなる構成にしてある。

【００１１】また、請求項５記載の発明は、請求項３記
載の発明の構成のうち、前記接触面及び凹面がスナップ
リングの円周方向に複数個形成されてなる構成にしてあ
る。

【００１２】斯かる構成にあっては、内燃機関の運転中
に潤滑油が循環するとき、潤滑油の一部はピストンピン
１１の中空内部にも到達することになる。

【００１３】前記ピストンピンの中空内部に到達した潤
滑油は、オイルパンに還流する途中で、ピストンピンの
中空内部から、ピストンピンの端面とスナップリングの
凹面との間に形成された通路を介して、ピストンピンの
外周に形成した切欠きに至る。詳しくは、前記ピストン
ピンの中空内部に到達した潤滑油は、ピストンの運動中
における潤滑油の慣性によって、通路を介して切欠きに
至る。

【００１４】前記切欠きに到達した潤滑油は、ピストン
ピン孔とピストンピンとの間を潤滑し、しかる後、オイ
ルパン内に滴下する。

【００１５】これによって、内燃機関の運転中に前記ピ
ストンピンの中空内部に到達した潤滑油がピストンピン
孔とピストンピンとの間の潤滑に供される。

【００１６】したがって、前記ピストンピンの中空内部
に到達した潤滑油を有効に利用して、潤滑に優れた内燃
機関用ピストンが得られる。

【００１７】また、請求項２記載の発明によれば、前記
接触面及び凹面がスナップリングの全周に亘って形成さ
れているから、このスナップリングの形状が複雑化する
ことがなく、形成が容易となる。

【００１８】また、請求項３記載の発明によれば、切欠
きが、ピストンピンの両端側の外周に全周に亘って形成
されているから、このピストンピンの形状が複雑化する
ことがなく、形成が容易となる。

【００１９】また、請求項４記載の発明によれば、前記
切欠きが、ピストンピンの両端側の外周に複数個形成さ
れているから、この切欠きの容積を十分に確保できる。

【００２０】また、請求項５記載の発明によれば、前記
接触面及び凹面がスナップリングの円周方向に複数個形
成されているから、ピストンピンの端面とスナップリン
グの凹面との間に形成される通路の面積を十分に確保で
きる。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて詳述する。

【００２２】図１は本発明の実施の形態を示す内燃機関
用ピストンの断面図、図２は図１の要部を拡大して示す
図面、図３はピストンピンを、平面図（ａ）、側面図
（ｂ）で示す図面、図４はスナップリングを、平面図
（ａ）、平面図（ａ）のＡ−Ａ線断面図（ｂ）で示す図
面である。

【００２３】図において１はピストンで、このピストン
１は、図１において最上端の冠面部２と、この冠面部２
に続くリングランド部３と、このリングランド部３に続
くスカート部４とを備えている。前記リングランド部３
には、この実施の形態において３本のピストンリング溝
５、６、７が形成してあり、これらピストンリング溝
５、６、７のうち、冠面部２側近くに位置する２本のピ
ストンリング溝５、６がコンプレッションリング溝で、
スカート部４側に隣接して形成されたピストンリング溝
７がオイルリング溝となっている。

【００２４】８は前記スカート部４に形成したエプロン
部、９はこのエプロン部８からスカート部４の内周側に
向かって突出するように形成されたピンボス部で、これ
らエプロン部８及びピンボス部９は、ピストン１の軸線
（軸心線）Ｙの両側に対峙して形成してある（図１参
照）。

【００２５】前記ピンボス部９には、スカート部４に臨
むエプロン部８に両端が開口するピストンピン孔１０が
形成してある。前記ピストンピン孔１０はその軸線（軸
心線）Ｘが、ピストン１の軸線Ｙに対して略直角となる
ように形成してある。

【００２６】前記ピストンピン孔１０内にはピストンピ
ン１１が挿入され、このピストンピン１１にコネクティ
ングロッド１２が連結される。

【００２７】前記ピストンピン１１は中空円筒状に形成
されており、その両端側の外周には、端面１３に開放す
る切欠き１４が形成してある。前記切欠き１４は、この
実施の形態において、ピストンピン１１の両端側の外周
に、円周方向等間隔に４個形成してある。即ち、前記切
欠き１４は、ピストンピン１１の両端側の外周の一部に
形成してあることになる（図３参照）。

【００２８】１５は前記ピストンピン孔１０の両端に設
けたスナップリングである。前記スナップリング１５は
全体として略Ｃ字状に形成されており、その外周側がピ
ストンピン孔１０の内周に形成したリング溝１６内に装
着されている。

【００２９】また、前記スナップリング１５は、ピスト
ンピン１１の端面１３に接触する接触面１７を有すると
共に、ピストンピン１１の端面１３との間に切欠き１４
に連通する通路１８を形成する凹面１９を備えている。
前記接触面１７及び凹面１９は、この実施の形態におい
て、スナップリング１５の全周に亘って形成されてい
る。また、前記接触面１７はスナップリング１５の外周
側に形成され、凹面１９は内周側に形成してある（図４
参照）。

【００３０】なお、２０は前記ピンボス部９に形成した
貫通孔である。

【００３１】斯かる構成において、内燃機関の運転中に
潤滑油が循環するとき、潤滑油の一部はピストンピン１
１の中空内部にも到達することになる。

【００３２】前記ピストンピン１１の中空内部に到達し
た潤滑油は、図外のオイルパンに還流する途中で、ピス
トンピン１１の中空内部から、ピストンピン１１の端面
１３とスナップリング１５の凹面１９との間に形成され
た通路１８を介して、ピストンピン１１の外周に形成し
た切欠き１４に至る。詳しくは、前記ピストンピン１１
の中空内部に到達した潤滑油は、ピストン１の運動中に
おける潤滑油の慣性によって、通路１８を介して切欠き
１４に至る。

【００３３】即ち、前記ピストンピン１１の中空内部の
潤滑油は、ピストン１の吸入行程または膨張行程で、ピ
ストン１の冠面部２に近い側（図１において上側）のピ
ストンピン１１の内周面から、通路１８を介してピスト
ン１の冠面部２に近い側（図１において上側）の切欠き
１４に至り、ピストン１の排気行程または圧縮行程で、
ピストン１の冠面部２から遠い側（図１において下側）
のピストンピン１１の内周面から、通路１８を介してピ
ストン１の冠面部２から遠い側（図１において下側）の
切欠き１４に至ることになる。

【００３４】また、前記ピストンピン１１の中空内部の
潤滑油は、ピストン１が吸入行程から圧縮行程（または
膨張行程から排気行程）に移行する過程で、ピストン１
の冠面部２に近い側（図１において上側）のピストンピ
ン１１の内周面から、ピストン１の冠面部２から遠い側
（図１において下側）のピストンピン１１の内周面に移
動し、ピストン１が圧縮行程から膨張行程（または排気
行程から吸入行程）に移行する過程で、ピストン１の冠
面部２から遠い側（図１において下側）のピストンピン
１１の内周面から、ピストン１の冠面部２に近い側（図
１において上側）のピストンピン１１の内周面に移動す
る。

【００３５】前記切欠き１４に到達した潤滑油は、ピス
トンピン孔１０とピストンピン１１との間を潤滑する。
前記ピストンピン孔１０とピストンピン１１との間を潤
滑した潤滑油は、ピンボス部９に形成した貫通孔２０や
ピンボス部９とコネクティングロッド１２との間の隙間
からこれらの壁面を伝わって、図外のオイルパン内に滴
下する。

【００３６】これによって、内燃機関の運転中に前記ピ
ストンピン１１の中空内部に到達した潤滑油がピストン
ピン孔１０とピストンピン１１との間の潤滑に供され
る。

【００３７】したがって、前記ピストンピン１１の中空
内部に到達した潤滑油を有効に利用して、潤滑に優れた
内燃機関用ピストンが得られる。

【００３８】また、前記接触面１７及び凹面１９がスナ
ップリング１５の全周に亘って形成されているから、こ
のスナップリング１５の形状が複雑化することがなく、
形成が容易となる。

【００３９】また、前記切欠き１４が、ピストンピン１
１の両端側の外周に４個形成されているから、この切欠
き１４の容積を十分に確保できる。

【００４０】以上、実施の形態を図面に基づいて説明し
たが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものでは
なく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、前記切欠き１４を、ピストンピン１１の両端側
の円周方向の４箇所に形成した実施の形態について述べ
たが、この切欠き１４の形成個数は任意である。

【００４１】また、前記切欠き１４をピストンピン１１
の両端側の外周の一部、即ち外周の円周方向４箇所に形
成し、接触面１７及び凹面１９をスナップリング１５の
全周に亘って形成した実施の形態について述べたが、前
記切欠き１４を、ピストンピン１１の両端側の外周に全
周に亘って形成し、接触面１７及び凹面１９をスナップ
リング１５の円周方向の一部に形成する構成としてもよ
い。

【００４２】また、前記接触面１７及び凹面１９をスナ
ップリング１５の円周方向の一部に形成する場合に、そ
れらの形成個数は任意である。

【００４３】

【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、前記ピストンピンの中空内部に到達した潤滑油
を有効に利用して、潤滑に優れた内燃機関用ピストンが
得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す内燃機関用ピストン
の断面図である。

【図２】図１の要部を拡大して示す図面である。

【図３】ピストンピンを、平面図（ａ）、側面図（ｂ）
で示す図面である。

【図４】スナップリングを、平面図（ａ）、平面図
（ａ）のＡ−Ａ線断面図（ｂ）で示す図面である。

【符号の説明】

１ピストン１０ピストンピン孔１１ピストンピン１４切欠き１５スナップリング１７接触面１８通路１９凹面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ピストンの所定位置にピストンピン孔を
形成し、このピストンピン孔内に中空円筒状のピストン
ピンを装着してなる内燃機関用ピストンにおいて、前記
ピストンピンの両端側の外周に、端面に開放する切欠き
を設ける一方、前記ピストンピン孔の両端に、ピストン
ピンの端面に接する接触面と、ピストンピンの端面との
間で切欠きに連通する通路を形成する凹面とを備えたス
ナップリングを設けてなることを特徴とする、内燃機関
用ピストン。
【請求項２】前記切欠きが、ピストンピンの両端側の
外周の一部に形成され、接触面及び凹面がスナップリン
グの全周に亘って形成されてなることを特徴とする、請
求項１記載の内燃機関用ピストン。
【請求項３】前記切欠きが、ピストンピンの両端側の
外周に全周に亘って形成され、接触面及び凹面がスナッ
プリングの円周方向の一部に形成されてなることを特徴
とする、請求項１記載の内燃機関用ピストン。
【請求項４】前記切欠きが、ピストンピンの両端側の
外周に複数個形成されてなることを特徴とする、請求項
２記載の内燃機関用ピストン。
【請求項５】前記接触面及び凹面がスナップリングの
円周方向に複数個形成されてなることを特徴とする、請
求項３記載の内燃機関用ピストン。