JPH11172149A - 親水性表面を有するポリマー成形品およびその製造方法 - Google Patents

親水性表面を有するポリマー成形品およびその製造方法

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JPH11172149A
JPH11172149A JP10228534A JP22853498A JPH11172149A JP H11172149 A JPH11172149 A JP H11172149A JP 10228534 A JP10228534 A JP 10228534A JP 22853498 A JP22853498 A JP 22853498A JP H11172149 A JPH11172149 A JP H11172149A
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polymer molded
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JP10228534A
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English (en)
Inventor
Norimoto Yasuda
徳元 安田
Hitoshi Inoue
均 井上
Satsuki Kitajima
さつき 北島
Masahiro Sato
正洋 佐藤
Takeshi Yo
武 楊
Ikuo Komura
育男 小村
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリマー成形品本体の表面に、成形品本体に
対する接着性、耐久性、持続性に優れていて、摩擦など
の外力が加わっても親水性が失われず、長期にわたって
高い親水性を維持し得る親水性表面を有するポリマー成
形品、特にコンタクトレンズなどの医療用品及びその製
造方法の提供。 【解決手段】 親水性の型表面にコーティングした親水
基を有するモノマーと、型内に充填したモノマー及び/
又はオリゴマーから主としてなる重合性組成物を共に重
合して表面に親水性ポリマー層を有するポリマー成形品
を製造する本発明の方法、並びに前記により得られる本
発明のポリマー成形品により、上記の課題が達成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、親水性表面を有す
るポリマー成形品、その製造方法およびそれに用いる型
に関する。より詳細には、本発明は、ポリマー成形品本
体の表面に本体に対する接着性、耐久性、持続性に優れ
る親水性ポリマー層を有するポリマー成形品、その製造
方法、それに用いる型に関するものである。本発明のポ
リマー成形品は、前記した特性を活かして、親水性や生
体適合性に優れることが必要な、または好ましいとされ
ているコンタクトレンズやその他の医療用品をはじめと
して、広範な用途に有効に用いることができる。そし
て、本発明の製造方法による場合は前記した優れた特性
を有する親水性表面を有するポリマー成形品を、極めて
円滑に製造することができる。
【0002】
【従来の技術】ポリマー成形品の表面を改質して成形品
本体を構成するポリマーが元来有していない新しい機能
を付与することが広く行われており、特に医療用品にお
いては、生体とポリマーとの適合性を向上させる目的で
種々の表面改質法が試みられている。医療用品、とりわ
けコンタクトレンズや眼内レンズなどの生体用レンズで
は、レンズ素材としてシリコーン樹脂や、ケイ素または
/およびフッ素原子を含有するアクリル樹脂が多用され
ているが、これらの素材は疎水性が強く、角膜へのレン
ズの固着、レンズの曇り、装用感の不良などを生じ易
い。そのためこれらの素材から得られるコンタクトレン
ズなどでは、成形品表面を親水化処理して、角膜へのレ
ンズの固着、レンズの曇りなどの欠点をなくし且つ装用
感を向上させる試みが色々なされている。
【0003】コンタクトレンズ表面や眼内レンズ表面の
親水化方法を大別すると、(A)レンズ形状物を予め製
造した後にその表面を親水化する方法、(B)予め製造
されたポリマーの架橋およびレンズへの賦形を行うのと
同時にその表面を親水化する方法、(C)重合性モノマ
ーを用いてレンズをモールド成形する際に同時にその表
面の親水化を行う方法に分けることができる。
【0004】レンズ形状物を予め製造した後にその表面
を親水化する前記(A)の従来法としては、(1)アル
カリ水溶液や熱塩水などによりレンズ形状物を処理する
方法、(2)コンタクトレンズを希薄ガス中で放電処理
する方法(特公昭55−49288号公報参照)、
(3)コンタクトレンズ表面にリン酸エステル基を有す
る特定の親水性モノマーまたは特定のリン脂質類似構造
を有するビニルモノマーをグラフト重合させる方法(特
開平6−122779号公報および特開平7−7243
0号公報参照)、(4)親水基を有するモノマーが存在
する雰囲気中にコンタクトレンズを入れて無電極グロー
放電により該モノマーを重合させてコンタクトレンズ表
面に親水性ポリマー被膜を形成・接着させる方法(特開
昭53−83642号公報参照)などを挙げることがで
きる。
【0005】しかしながら、上記(1)および(2)の
従来法による場合は、レンズ表面に形成された親水性表
面の親水特性が持続せず、短期間に親水性が失われると
いう欠点がある。また、上記(3)の従来法による場合
は、コンタクトレンズ本体を構成するポリマーとグラフ
ト重合により形成した親水性ポリマーの結合が不充分
で、親水性ポリマー部分の耐久性に問題があり、やはり
短期間に親水性が失われ易い。さらに、上記(4)の従
来法による場合も、コンタクトレンズ表面に形成させた
親水性ポリマー被膜のレンズ本体への接着が十分ではな
くてレンズ本体から分離し易いために、表面の親水性が
長期間持続しにくく、摩擦などの外力が加わると親水性
が失われ易いという欠点がある。
【0006】また、予め製造されたポリマーの架橋およ
びレンズへの賦形を行うのと同時にその表面を親水化す
る上記(B)の従来法としては、(5)予め製造された
ポリシロキサンの表面に親水性重合体を与えるラジカル
重合性前駆物質を被覆し、次いで該前駆物質およびポリ
シロキサンにイオン化放射線を照射して、ポリシロキサ
ンを架橋すると共にレンズに賦形し、それと同時にポリ
シロキサンの表面に該前駆物質をグラフト重合させて親
水性重合体で被覆されたコンタクトレンズを製造する方
法(特開昭48−7755号公報)が知られている。し
かしながら、この(5)の従来法では、ラジカル重合性
前駆物質のポリシロキサンへのグラフト重合による接着
が不充分であり、該前駆物質から形成された親水性重合
体はポリシロキサンから分離し易くて耐久性がなく、実
用レベルに達していない。
【0007】そして、重合性モノマーを用いてレンズを
モールド成形する際に同時にその表面の親水化を行う上
記(C)の従来法としては、(6)型の表面を共重合性
官能基を有する親水性重合体からなる被膜で被覆し、そ
の型内に疎水性ポリマーを形成するのに必要なモノマー
またはモノマー混合物を注入し、型表面に設けた被膜中
に存在する官能基と共重合させることにより、その親水
性重合体からなる被膜と疎水性ポリマーとを化学的に結
合させて親水性ポリマー被膜を表面に有するコンタクト
レンズを製造する方法(特開平2−124523号公報
参照)、(7)成形面を離型性および親水性を有するポ
リマーで被覆したレンズ成形用型中で(メタ)アクリル
酸エステルと架橋性モノマーを主成分とするモノマー混
合物を共重合してコンタクトレンズ形状の共重合体を製
造した後、その表面をプラズマ処理する方法(特開平7
−266443号公報参照)などが知られている。
【0008】しかし、上記(6)の従来法では、疎水性
ポリマー成形品の表面上に均ーな親水性ポリマー層を形
成しにくく、しかも親水性ポリマー層と疎水性ポリマー
成形品との結合も不十分であるため、耐久性に劣り、手
擦り程度の摩擦で水濡れ性(親水性)が低下するという
欠点を有する。また、上記(7)の従来法の場合は、共
重合性官能基を有しない親水性ポリマーを使用して型の
成形面の被覆を行っているために、重合段階では親水性
ポリマー層とレンズ基材の接着界面に化学結合が実質的
に形成されず、且つその後のプラズマ処理においても、
プラズマにより生じた親水性ポリマー層表面の活性点が
その下のレンズ基材と反応・結合する可能性が低い。そ
のため、この(7)の従来法による場合は、親水性ポリ
マー層とレンズ基材の接着性が不十分であり、親水性ポ
リマー層はレンズ基材から分離し易くて耐久性がなく、
実用レベルに達しない。
【0009】また、上記した従来法とは別の範疇に属す
る方法として、(8)少なくとも一つのシリコーンを含
有するモノマーおよび少なくとも一つの親水性モノマー
を鋳型内で共重合してコンタクトレンズなどの成形品を
製造するに当たって、鋳型として、α,β−オレフィン
型不飽和モノニトリルと、溶融状態での加工性を高める
少なくとも一つのコモノマーとのコポリマーを含有する
樹脂から製造した鋳型を用いて親水性を有する成形品を
製造する方法が提案されている(特表平6−50327
6号公報参照)。この(8)の従来法においては、明確
ではないが、遅くとも重合初期の段階までに、鋳型の近
傍に存在する親水性モノマーが拡散により移動し、鋳型
表面のニトリル基に吸着して鋳型表面に親水性モノマー
が濃縮されてコンタクトレンズの親水性表面が形成され
るものと推定される。しかしながら、この(8)の従来
法による場合は、成形品の表面親水化の程度は、上記し
た(1)〜(7)の従来法に比べ弱いために、親水性に
優れる表面を有する成形品が得られにくい。しかも、こ
の(8)の従来法では、成形品の製造に用いている親水
性モノマーに由来する単位が共重合単位としてコンタク
トレンズなどの成形品の内部に存在するため、基材であ
るシリコーン樹脂が本来有する性能を阻害し、特にコン
タクトレンズなどの成形品の酸素透過性が低下するとい
う問題がある。その上、この(8)の従来法では、成形
品の製造に使用できる親水性モノマーは少なくとも一つ
のシリコーンを含有するモノマーと相溶しうる親水性モ
ノマーに限定されるという欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、親水性表面を有するポリマー成形品であって、
成形品本体を構成するポリマー本来の機能が損なわれる
ことなくそのまま保持され、且つ成形品本体の表面に、
均一性、成形品本体との接着性、耐久性、持続性に優れ
る親水性ポリマー層を有し、時間が経過しても、摩擦な
どの外力が加わっても、また薬剤などと接触しても、そ
の親水性が失われることなく、長期にわたって、高い親
水性を安定して保持することのできる、高品質のポリマ
ー成形品を提供することである。そして、本発明の目的
は、上記した優れた特性を備える親水性表面を有するポ
リマー成形品を、確実に且つ円滑に製造することのでき
る製造方法を提供することである。さらに、本発明の目
的は、前記の製造方法で有効に用い得るポリマー成形品
製造用の型(モールド)を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、上記し
た(A)〜(C)の従来法、すなわちレンズ形状物を製
造した後にその表面を親水化する上記(1)〜(4)の
従来法、予め製造されたポリシロキサンの架橋およびレ
ンズへの賦形と同時にその表面に親水性重合体層をグラ
フト重合により形成させる上記(5)の従来法、型表面
を親水性ポリマーで被覆しておいてそこに重合性組成物
を充填する上記(6)および(7)の従来法、または
α,β−オレフィン型不飽和モノニトリルの共重合体か
らなる鋳型を用いる上記(8)の従来法に代えて、親水
性を有する型表面に未重合の親水基を有するモノマーを
コーティングし、親水基を有するモノマーで表面コーテ
ィングされた前記の型内にモノマーおよび/またはオリ
ゴマーから主としてなる重合性組成物を充填して、親水
基を有するモノマーおよび重合性組成物を共に重合させ
ると同時に成形を行うと、均一性、成形品本体との接着
性、耐久性、持続性に優れる親水性ポリマー層を成形品
表面に有するポリマー成形品が得られることを見出し
た。さらに、本発明者らは、上記により得られる親水性
ポリマー層を表面に有するポリマー成形品は、その表面
の親水性ポリマー層の成形品本体との接着性、耐久性、
持続性などの特性に優れていることにより、摩擦などの
外力が加わったり、薬剤などと接触しても、または長い
時間が経過した後でも、当初の高い親水性を良好に維持
できることを見出した。そして、本発明者らは、前記し
たポリマー成形品の製造にあたっては、親水性表面を有
する型、特にポリビニルアルコール系重合体の成形によ
り得られる型が好ましく用いられることを見出し、それ
らの種々の知見に基づいて、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、成形品本体の表面に
親水性ポリマー層を有するポリマー成形品であって、親
水性の型表面にコーティングした親水基を有するモノマ
ーと、型内に充填したモノマーおよび/またはオリゴマ
ーから主としてなる重合性組成物を共に重合することに
より得られたものであることを特徴とする親水性表面を
有するポリマー成形品である。
【0013】そして、本発明は、成形品本体の表面に親
水性ポリマー層を有するポリマー成形品であって、ポリ
マー成形品表面における親水性ポリマー層に対する水の
接触角(θ)が60°未満であり、且つ前記親水性ポリ
マー層が下記の数式を満足することを特徴とする親水
性表面を有するポリマー成形品である。
【0014】
【数3】θ1/θ0≦1.25 (式中、θ1は、ポリマー成形品表面の親水性ポリマー
層を、中心平均粗さが0.5μmである牛革に対して荷
重1.3g/cm2の条件下で押圧・接触させながらポ
リマー成形品を500rpmで5000回転させてポリ
マー成形品表面を摩擦した後の摩擦面に対する水の接触
角、θ0は前記の摩擦を行う前のポリマー成形品表面の
親水性ポリマー層に対する水の接触角を表す。)
【0015】さらに、本発明は、(i)親水性の表面を
有する型の表面に、親水基を有するモノマーのコーティ
ング層を形成する工程;(ii)親水基を有するモノマー
のコーティング層を形成した型内に前記親水基を有する
モノマーと共重合可能な重合性基を有するモノマーおよ
び/またはオリゴマーから主としてなる重合性組成物を
充填する工程;および(iii)前記親水基を有するモノ
マーおよび前記重合性組成物を共に重合させる工程;を
含むことを特徴とする親水性表面を有するポリマー成形
品の製造方法である。
【0016】そして、本発明は、 ポリビニルアルコー
ル系重合体を成形して得られる、親水性表面を有するポ
リマー成形品製造用の型である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明のポリマー成形品には、親水性の型表面に
コーティングした親水基を有するモノマーと、型内に充
填したモノマーおよび/またはオリゴマーから主として
なる重合性組成物を共に重合して得られた成形品本体の
表面に親水性ポリマー層を有するポリマー成形品であれ
ばそのいずれもが包含される。かかる本発明のポリマー
成形品は、耐久性および持続性に優れる高い親水性を有
し、長期にわたって良好な親水性を保ち、摩擦やその他
の外力が加わっても、また薬剤に接触しても、親水性が
失われたり、低下することがない。
【0018】そのうちでも、本発明のポリマー成形品で
は、ポリマー成形品表面における親水性ポリマー層に対
する水の接触角(θ)が60°未満であることが好まし
い。 さらに、本発明のポリマー成形品では、その親水性ポリ
マー層が下記の数式を満足することが好ましい。
【0019】
【数4】θ1/θ0≦1.25 (式中、θ1およびθ0は前記定義のとおり。)
【0020】また、本発明のポリマー成形品には、その
製法の如何に拘わらず、成形品本体の表面に親水性ポリ
マー層を有するポリマー成形品であって、ポリマー成形
品表面における親水性ポリマー層に対する水の接触角
(θ)が60°未満であり、且つ前記親水性ポリマー層
が上記の数式を満足するポリマー成形品も、好ましい
ものとして包含される。
【0021】ポリマー成形品表面における親水性ポリマ
ー層に対する水の接触角θが60°未満であると、ポリ
マー成形品表面の親水性、水濡れ性が十分なものとな
り、親水性、水濡れ性が要求される各種用途により有効
に用いることが可能になる。また、上記したθ1/θ0
値が1.25以下であると、ポリマー成形品表面におけ
る親水性ポリマー層の耐久性が一層優れたものとなり、
摩擦やその他の外力が加わっても、親水性が消失した
り、低下したりすることがなくなり、良好に維持され
る。本発明のポリマー成形品では、親水性が一層高くな
る点から、ポリマー成形品表面における親水性ポリマー
層に対する水の接触角θが40°以下であることがより
好ましい。また、親水性ポリマー層の耐久性、持続性が
一層良好になる点から、上記したθ1/θ0の値が小さい
ほど一層好ましい。
【0022】これに対して、上記した従来の親水化表面
を有するコンタクトレンズなどでは、ポリマー成形品表
面自体またはポリマー成形品表面における親水性ポリマ
ー層に対する水の接触角θが60°以上であって元々親
水性が不十分であるか、または当初は前記接触角θが6
0°未満であっても上記したθ1/θ0の値が1.25よ
りも大きくて親水性に耐久性がなく、摩擦などの外力が
加わると親水性が速やかに失われ易い。かかる点で、本
発明のポリマー成形品は、上記した従来の親水化表面を
有するコンタクトレンズなどのポリマー成形品と大きく
区別される。
【0023】本発明のポリマー成形品では、成形品表面
における親水性ポリマー層の厚さが0.005〜10μ
mの範囲であることが、親水性ポリマー層の均一性、成
形品本体への親水性ポリマー層の形成のさせ易さ、成形
品本体からの親水性ポリマー層の剥離や分離の防止性、
耐久性などの点から好ましく、0.01〜1μmの範囲
であることがより好ましい。
【0024】本発明のポリマー成形品は、親水性ポリマ
ー層を成形品の全表面に有していても、または成形品表
面の一部に有していてもよい。ポリマー成形品の種類、
形状、用途などに応じて、親水性であることが必要また
は好ましいものとされている表面部分に親水性ポリマー
層が存在するようにすればよい。本発明のポリマー成形
品が、コンタクトレンズや眼内レンズである場合はレン
ズの全表面に親水性ポリマー層が形成されているように
することが好ましい。
【0025】本発明のポリマー成形品の形状や構造は特
に制限されず、用途などに応じて決めることができる。
また、本発明のポリマー成形品の用途なども特に制限さ
れず、例えば、一般工業用品、生活用品、医療用品、農
林水産用品などのいずれであってもよい。そのうちで
も、本発明のポリマー成形品は、人工臓器、カテーテ
ル、眼内レンズ、コンタクトレンズ、歯科材料などの医
療用品として適しており、特にコンタクトレンズ、眼内
レンズなどとして適している。本発明のポリマー成形品
が、例えばシリコーン樹脂製のコンタクトレンズである
場合は、疎水性であるシリコーン樹脂製のレンズ本体の
表面に上記した本体への接着性、耐久性、持続性に優れ
る親水性ポリマー層を有していることにより、角膜への
レンズの固着を防ぎ、鮮明な視力を確保し、しかも装用
感、酸素透過性に優れ、汚染しにくい、耐久性に優れる
高品質のコンタクトレンズを得ることができる。
【0026】本発明のポリマー成形品は、(i)親水性
の表面を有する型の表面に、親水基を有するモノマーの
コーティング層を形成する工程;(ii)親水基を有する
モノマーのコーティング層を形成した型内に前記親水基
を有するモノマーと共重合可能な重合性基を有するモノ
マーおよび/またはオリゴマーから主としてなる重合性
組成物を充填する工程;および(iii)前記親水基を有
するモノマーおよび前記重合性組成物を共に重合させる
工程を含む本発明の方法によって円滑に製造することが
できる。
【0027】上記でいう「親水性の表面を有する型」と
しては、型表面の少なくとも一部において、液滴法で測
定した水の接触角が60゜未満である型表面を有する型
が好ましく用いられる。型表面に対する水の接触角が6
0゜以上の場合は、該型表面は疎水性を示すようにな
り、親水基を有するモノマーの型表面に対する濡れが低
下して、親水基を有するモノマーを型表面に均一にコー
ティングできなくなる。また、型表面への親水基を有す
るモノマーの吸着が弱いために次工程で型内に注入され
るモノマーまたは/およびオリゴマーから主としてなる
重合性組成物中に型表面にコーティングした親水基を有
するモノマーが拡散してしまい、ポリマー成形品表面に
親水性のコーティング層が残らなかったり、ポリマー成
形品表面における親水性ポリマー層が低減するなどの不
具合を生じ易くなる。
【0028】本発明で用いる型は、その全表面が「親水
性の表面」であっても、または型の表面の一部が「親水
性の表面」になっていてもよく、ポリマー成形品の用途
などに応じて各々に適した型を用いればよい。本発明で
は、使用する型の形状や種類などは特に制限されない
が、成形品の取り出しが容易なように、複数個のパーツ
からなる型を用いることが好ましい。その場合に、上記
したように、各々のパーツの全表面が親水性であって
も、または成形品と接する面の一部が親水性であっても
よい。
【0029】水の接触角が60°未満である型表面を実
現でき、且つ親水基を有するモノマーおよび上記した重
合性組成物の重合・成形を円滑に行い得る型を製造し得
る材料であれば、本発明で用いる型はいずれの材料から
製造されていてもよい。水の接触角が60°未満である
型表面を実現でき、そのため本発明で好ましく用い得る
型の例としては、ポリビニルアルコール(水の接触角3
8゜)、ポリアクリロニトリル(同44゜)、ポリアク
リル酸メチル(同52゜)、セルロース・アセテート
(同53゜)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(同5
5゜)などのポリマーからなる型;水の接触角が60°
未満である、鉄、銅、亜鉛、スズ、ニッケル、コバル
ト、クロム、チタン、金、白金、銀およびこれらの合金
などの金属からなる型;水の接触角が60°未満であ
る、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、溶融石英、アル
ミナ、ジルコニアなどのセラミックスからなる型などを
挙げることができる。
【0030】また、上記した型以外にも、本発明では型
表面が親水性である型であればいずれも使用でき、例え
ば、疎水性材料から形成されている型の表面を親水化処
理して型表面を親水性にした型なども使用することがで
きる。そのような型としては、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの疎
水性ポリマーからなる型の表面を酸やアルカリによる化
学処理、プラズマ処理、化学メッキ処理などによって親
水化した型、炭化珪素や窒化珪素などの疎水性セラミッ
クスからなる型の表面にプラズマCVDにより酸化被膜
を形成して親水化した型などを挙げることができる。
【0031】そのうちでも、本発明では型として、ポリ
ビニルアルコール系重合体製の型が好ましく用いられ
る。ポリビニルアルコール系重合体製の型は型表面に対
する水の接触角が上記のように38°またはその近辺で
あって親水性(水濡れ性)が高く、型表面への親水基を
有するモノマーの付着性が良好である。そして、ポリビ
ニルアルコール系重合体製の型として水溶性ポリビニル
アルコール系重合体からなる型を用いる場合は、型自身
が水に溶解することから、型内でのポリマー成形品の製
造(重合・成形)が終了した時点で、型内にポリマー成
形品を入れたままの状態で型を水中に投入すると、型が
溶解・消失し、型内面に密着しているポリマー成形品を
全く傷つけることなく回収することができる。ポリビニ
ルアルコールは通常は融点付近で分解が始まるため、射
出成形や押出成形などの溶融成形が困難であるが、重合
度が比較的低く且つケン化度が比較的低いポリビニルア
ルコール(一般に重合度が200〜1000で、ケン度
が50〜90%のポリビニルアルコール)は200℃以
下の温度で射出成形や押出成形などの溶融成形が可能で
あることから、そのようなポリビニルアルコールを用い
て射出成形や押出成形などの溶融成形を行うと、親水性
の型表面を有するポリビニルアルコール製の型を射出成
形や押出成形などの溶融成形によって効率的に製造する
ことができる。
【0032】本発明では、上記した親水性の型表面に対
して、親水基を有するモノマーをコーティングする。親
水基を有するモノマーとしては、水酸基、カルボキシル
基、スルホン酸基、リン酸基などのプロトン供与性の親
水基、アミノ基、イミノ基などのプロトン受容性の親水
基、4級アンモニウム基、カルボン酸イオン基、スルホ
ン酸イオン基などのイオン性の親水基、アミド基やポリ
オキシエチレン基などの親水基の1種または2種以上を
有し、且つ重合性の炭素−炭素間二重結合を1個または
2個以上有するモノマーを用いることができる。
【0033】本発明で好ましく用いられる親水基を有す
るモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、12−ヒドロキシドデシル(メタ)アクリ
レート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセ
リンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフ
ェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハ
イドロジェンホスフェート、ビス{2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル}ハイドロジェンホスフェート、
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリル
アミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸とそのアルカリ金属塩、2−アミノエチル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシブ
チルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ
−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチル
アンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルホスホリルコリン、6−(メタ)アクリロイル
オキシヘキシルホスホリルコリン、10−(メタ)アク
リロイルオキシデシルホスホリルコリン、ポリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリ
ドン、N−ビニルサクシニミド、2−ヒドロキシエチル
ビニルエーテル、アリル 2−ヒドロキシエチルエーテ
ル、 アリルホスホリルコリン、デセニルホスホリルコ
リン、スチレンスルホン酸ナトリウム、桂皮酸、p−ビ
ニル安息香酸などを挙げることができる。本発明では、
親水基を有するモノマーとして前記した化合物の1種ま
たは2種以上を用いることができる。前記したモノマー
のうちで、例えば、ホスホリル基を有するモノマーを使
用すると生体適合性に優れるポリマー成形品を得ること
ができ、またイオン性基を有するモノマーを使用すると
より高い親水性表面を有するポリマー成形品を得ること
ができる。
【0034】また、本発明では、上記した親水基を有す
るモノマーと共に、本発明の目的および効果を損なわな
い範囲で、必要に応じて、親水基を有するモノマーと共
重合可能な他のモノマーおよび/またはオリゴマーを併
用してもよく、その場合は一般に親水基を有するモノマ
ーと共に他のモノマーおよび/またはオリゴマーを含有
するモノマー組成物を用いて型表面へのコーティングが
行われる。親水基を有するモノマーと併用可能なモノマ
ーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、ブ
チル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ
ート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ
フルフリル(メタ)アクリレート、3−メタクリロイル
オキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
ピバリン酸ビニル、カプリル酸ビニル、安息香酸ビニル
などの単官能性モノマー、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ア
ジピン酸ジビニルなどの多官能性モノマーなどを挙げる
ことができる。また親水基を有するモノマーと併用可能
なオリゴマーの好ましい具体例としては、少なくとも1
個の重合性基を有するアクリル系オリゴマー、ビニルエ
ステル系オリゴマー、シリコーン系オリゴマーなどを挙
げることができる。
【0035】親水基を有するモノマーと共に他のモノマ
ーおよび/またはオリゴマーを含有するモノマー組成物
を用いて型のコーティングを行う場合は、モノマー組成
物中の全モノマーおよびオリゴマーの合計量に対して、
他のモノマーおよび/またはオリゴマーの割合(他のモ
ノマーおよびオリゴマーの両方を含む場合は両者の合計
量)が90モル%以下であることが好ましく、80モル
%以下であることがより好ましく、60モル%以下であ
ることがさらに好ましい。他のモノマーおよびオリゴマ
ーの割合が前記した90モル%を超えると、得られるポ
リマー成形品表面の親水性が不足する。特に、ポリマー
成形品がコンタクトレンズである場合は、表面に対する
水の接触角が60゜未満であることが水濡れ性などの点
から好ましく、接触角が60°以上になると、レンズが
曇ったり、装用感が悪くなるなどの不具合が生ずること
があるので、コンタクトレンズ表面に対する水の接触角
が60゜未満になるように、型表面にコーティングする
モノマーの種類やモノマー組成物の組成を選択する必要
がある。
【0036】型表面にコーティングする親水基を有する
モノマーまたはそれを含むモノマー組成物(以下、両者
を総称して単に「親水基を有するモノマー」という)
は、次の工程で型内に充填された重合性組成物と共に円
滑に重合(共重合)するようにするために、重合開始剤を
少量含有していてもよい。重合開始剤の具体例として
は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバ
レロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドなどの熱重合
開始剤、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、
2,3−ペンタンジオン、カンファーキノン、2−メチ
ルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフ
ェニルホスフィンオキサイドなどの光重合開始剤を挙げ
ることができる。重合開始剤の含有量は、親水基を有す
るモノマー100重量部に対して、一般に0.01〜1
0重量部の割合であることが好ましい。
【0037】親水基を有するモノマーの型表面へのコー
ティングに当たっては、型表面に親水基を有するモノマ
ーを均一にコーティングし得る方法のいずれもが使用で
き特に制限されない。親水基を有するモノマーが固体状
を呈していたり高粘性液体であって取り扱い性に劣る場
合は、溶剤で希釈して用いることが好ましい。その際の
溶剤としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類、
カルボン酸エステル類、エーテル類、ジメチルスルホキ
シド、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができ、
これらの1種または2種以上を用いることができる。ま
た、型表面に親水基を有するモノマーをコーティングす
るに当たっては、例えば、親水基を有するモノマーまた
はその希釈液中に型を浸漬する方法、親水基を有するモ
ノマーまたはその希釈液を型表面に噴霧したり、スピン
コートする方法などを挙げることができる。そして、親
水基を有するモノマーを希釈用溶剤で希釈した液を用い
て型表面のコーティングを行った場合は、コーティング
後に乾燥して溶剤を除去する。特に、型表面に親水基を
有するモノマーの単分子層を形成させたい場合は、型表
面にコーティングした後に、適切に選んだ溶剤を用いて
型表面に直接吸着されていない過剰の親水基を有するモ
ノマーなどを洗い流す方法を行うとよい。
【0038】型表面におけるコーティング層の厚さは、
乾燥後(溶剤除去後)で、通常0.01〜1μmの範囲
で且つコーティング面全体に均一であることが望まし
い。これを実現する方法としては、浸漬法または噴霧法
が好適に用いられる。層の厚さは、親水基を有するモノ
マーの溶剤による希釈倍率またはコーティング量により
調整することができる。また、型表面への親水基を有す
るモノマーのコーティング時期は、型を組み立てる前
(型が各パーツに分かれている時点)または組み立てた
後のいずれの段階で行ってよい。いずれの場合にも、親
水性ポリマー層を形成しようとするポリマー成形品の表
面部分に相当する型の表面部分に親水基を有するモノマ
ーが斑なくコーティングされている必要がある。
【0039】上記によって型表面に親水基を有するモノ
マーをコーティングした後、型(型キャビティ)内に、
型表面にコーティングした親水基を有するモノマーと共
重合可能な重合性基を有するモノマーおよび/またはオ
リゴマーから主としてなる重合性組成物(以下単に「重
合性組成物」ということがある)を充填する。型内に充
填される重合性組成物は、ポリマー成形品本体を形成す
るための前駆物質であり、ポリマー成形品の用途などに
応じて、それぞれに合致する重合性組成物を選択して使
用するとよい。重合性組成物を構成するモノマーおよび
/またはオリゴマーは、型表面にコーティングされてい
る親水基を有するモノマーと共重合することが必須条件
であり、したがってビニル基を有するモノマーおよび/
またはオリゴマーが好ましく用いられる。
【0040】重合性組成物に用いるモノマーの例として
は、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)
アクリレート類、トリメチルシリルメチル(メタ)アク
リレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレ
ート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピ
ル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ[メチ
ルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメ
チルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートな
どのシロキサニル(メタ)アクリレート類、N−[トリ
ス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)ア
クリルアミド、N−メチル−N−[トリス(トリメチル
シロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリルアミドな
どのシロキサニル(メタ)アクリルアミド類、2,2,
2,−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,
2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,
5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ド
デカフルオロヘプチル(メタ)アクリレートなどのフッ
化アルキル(メタ)アクリレート類、酢酸ビニル、ピバ
リン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、
安息香酸ビニルなどのビニルエステル類、フマル酸ジエ
ステル類、マレイン酸ジエステル類を挙げることができ
る。
【0041】また、重合性組成物に用いるオリゴマーの
例としては、少なくとも1個の重合性基を有するシリコ
ーンオリゴマー、ウレタンオリゴマー、シリコーン・ウ
レタンオリゴマー、ブタジエンオリゴマー、(メタ)ア
クリレートオリゴマーなどを挙げることができる。さら
に、重合性組成物は、必要に応じて、架橋剤として、例
えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、アジピン酸ジビ
ニル等の多官能性モノマーを適量含有していてもよい。
本発明では、ポリマー成形品の用途などに応じて、上記
したモノマーおよびオリゴマーの1種または2種以上、
並びに場合により上記したような架橋剤の1種または2
種以上を用いて型に充填する重合性組成物を調製するこ
とができる。
【0042】ポリマー成形品が、例えば医療用品、特に
コンタクトレンズである場合には、高酸素透過性のコン
タクトレンズを得るために、シロキサニル(メタ)アク
リレート、シロキサニル(メタ)アクリルアミドおよび
シリコーンオリゴマーなどのシリコン化合物の1種また
は2種以上が重合性組成物の調製に好適に用いられる。
【0043】重合性組成物は、型内での重合を円滑に行
わせる目的で、重合開始剤を適量含有していることが望
ましい。重合開始剤の具体例としては、アゾビスイソブ
チロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベン
ゾイルパーオキサイドなどの熱重合開始剤、ベンゾイン
メチルエーテル、カンファーキノン、2−メチルチオキ
サンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル
ホスフィンオキサイドなどの光重合開始剤を挙げること
ができる。これらの重合開始剤の含有量は、重合性組成
物100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲で
あることが好ましい。
【0044】また、目的とするポリマー成形品が高い寸
法精度(成形精度)で得られるようにするために、重合
性組成物の重合収縮率が10%以下であるようにして重
合性組成物の調製を行うことが望ましく、そのために重
合性組成物全体に含まれるビニル基1個当たりの平均分
子量が200以上になるようにして、モノマーやオリゴ
マーの種類を選択したり、重合性組成物の組成を調整す
ることが望ましい。
【0045】重合性組成物を型に充填した後に、型表面
にコーティングした親水基を有するモノマーおよび型内
に充填した重合性組成物を共に重合させ、同時に成形を
行う。重合性組成物が外部から熱や光などのエネルギー
を与えなくても発熱などを生じて自身で重合する場合に
は、型内に重合性組成物を充填するだけで重合・成形を
行うことができるが、一般的には重合性組成物を型内に
充填した後に外部からエネルギーを与えることにより、
重合を開始して、型表面にコーティングした親水基を有
するモノマーと型内に充填した重合性組成物を共に重合
(共重合)させて、親水性ポリマー層を表面に有するポ
リマー成形品を形成させる。
【0046】親水基を有するモノマーおよび/または重
合性組成物が熱重合開始剤を含有する場合は、温風、熱
風、温水、熱水、輻射熱、マイクロ波などによる加熱を
行って、親水基を有するモノマーおよび/または重合性
組成物が光重合開始剤を含有する場合は紫外線、可視光
線などの光を照射して、また親水基を有するモノマーお
よび/または重合性組成物が熱重合開始剤および光重合
開始剤の両方を含有する場合は前記した加熱と光照射を
併用して、型表面にコーティングした親水基を有するモ
ノマーと型内に充填した重合性組成物を共に重合(共重
合)させるとよい。光照射によって重合を行う場合は、
照射光を型内部まで到達させるために、透明または半透
明の型を用いる必要がある。
【0047】加熱により重合を行う場合は、加熱温度は
使用する親水基を有するモノマーや重合性組成物を構成
するモノマーやオリゴマーの種類、型の材質、目的とす
るポリマー成形品の形状や大きさなどに応じて異なり得
るが、一般には、50〜120℃の温度が採用される。
また、光照射により重合を行う場合は、例えば、高圧水
銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲン
ランプ、メタルハライドランプなどを用いることができ
る。
【0048】そして、型内での重合が進行して、外力に
より永久変形を起こさないような形状保持性のポリマー
成形品が型内に生成した段階以降の時点で、ポリマー成
形品を型から取り出す。ポリマー成形品が型に密着して
型から分離しにくい場合には、超音波による振動、熱シ
ョック、水蒸気への暴露などの手段を用いて型から分離
することが可能である。また、前記したような水溶性ポ
リビニルアルコール系重合体から製造した水溶性の型を
用いる場合は、重合物を型内に入れたまま型ごと水中に
浸漬して型を溶解消失させることによって、ポリマー成
形品を得ることも可能である。
【0049】本発明では、型表面に施した親水性モノマ
ーのコーティング層と、ポリマー成形品本体を形成する
重合性組成物はほぼ同時に重合し、その界面において共
重合による共有結合が密に生じて両者が強固に接着し、
丈夫で且つ耐久性、持続性に優れる、摩擦などの外力や
薬剤などによって剥離したり分離しない親水性ポリマー
層がポリマー成形品本体の表面に形成される。その際に
親水性ポリマー層の厚さは、ポリマー成形品の用途や種
類などに応じて調節することができるが、前述のように
0.005〜10μmの範囲であることが好ましく、
0.01〜1μmの範囲であることがより好ましい。親
水性ポリマー層の存在および厚さは、透過型電子顕微鏡
による断面観察、X線光電子分光法、2次イオン質量分
析法などの表面分析法により確認できる。
【0050】一方、予め成形して得られたポリマー成形
品の表面を放電処理などの手段によって活性化して親水
基を有するモノマーをグラフト重合させる前記した
(A)の従来技術、および予め製造されたポリマーの架
橋およびコンタクトレンズへの賦形と同時に親水基を有
するモノマーを該ポリマー表面にグラフト重合させる上
記(B)の従来技術による場合は、成形品表面への親水
基を有するモノマーのグラフト率が低く、その親水性層
は極めて薄くて弱い。同様に、型の表面に親水性重合体
を被覆し、そこに重合性モノマーを充填して成形と同時
にポリマー成形品表面に該親水性重合体層を形成させる
上記(C)の従来技術による場合も、その親水性重合体
層とポリマー成形品本体との間の接着強度は本発明のポ
リマー成形品に比べて低い。
【0051】上記により得られる本発明のポリマー成形
品は、その表面の少なくとも一部が親水性であることが
必要または好ましいとされる各種の用途、例えば、一般
工業用品、生活用品、医療用品、農林水産用品などの各
種の用途に有効に用いることができる。そのうちでも、
本発明のポリマー成形品は、人工臓器、カテーテル、眼
内レンズ、コンタクトレンズ、歯科材料などの医療用品
として適しており、特に、コンタクトレンズ、眼内レン
ズとして適している。
【0052】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
制限されるものではない。以下の例において、型表面お
よびポリマー成形品表面の親水性の評価(水の接触角の
測定)、並びにポリマー成形品の親水性層(親水性ポリ
マー層)の耐久性の評価は次の方法で行った。
【0053】(1)型表面またはポリマー成形品表面の
親水性の評価(水の接触角の測定):型表面またはポリ
マー成形品表面を水および/または有機溶剤で洗浄し、
清浄にした型表面またはポリマー成形品表面を接触角計
(協和界面科学株式会社「C−P型」)にセットし、マ
イクロシリンジで精製水をそれらの表面上に滴下し、気
/液界面と該表面がなす角度を測定して接触角とした。
測定は5回繰り返し、その平均値を採って接触角(θ)
として本明細書に記載した。
【0054】(2)ポリマー成形品表面の耐久性の評価
(摩擦試験):中心を軸として回転運動する円盤上に試
験片(ポリマー成形品自体またはそれから採取した試験
片)を固定し、幅5mmの牛革をループ状にした摩擦子
(直径9.6mmの環状物;試験片表面に接触する牛革
の中心平均粗さ0.5μm)を円盤の回転中心から5m
m離れた位置の試験片上方に固定し、荷重1.3g/c
2の圧力下に試験片をその下方から前記摩擦子に対し
て押しつけて試験片の表面を摩擦子に押圧接触させた。
円盤を500rpmで5000回転させて(回転時間1
0分)、試験片表面と牛革製の摩擦子の間に滑り摩擦を
生ぜしめた。前記の摩擦試験を行う前の試験片表面に対
する水の接触角(θ0)と前記摩擦試験後の試験片表面
に対する水の接触角(θ1)をそれぞれ測定し、θ1/θ
0の値が大きいほど[摩擦後の接触角(θ1)が大きいほ
ど]、試験片表面の親水性の耐久性が悪いものとして判
定した。
【0055】《実施例1》 (1) 表面をアルカリ溶液(水酸化カリウム飽和イソ
プロパノール溶液)で洗浄したホウケイ酸ガラス板(縦
×横×厚さ=50mm×50mm×3mm)(型板;水
の接触角0°)を、2−メタクリロイルオキシエチルホ
スホリルコリン(以下、MPCと称す)の30%イソプ
ロパノール溶液中に浸漬し、毎秒5mmの速度で垂直に
引き上げてから風乾して、ガラス板の表面にMPCのコ
ーティング層を形成させた。 (2) 上記(1)で得られた、MPCをコーティング
してなるガラス板のMPCコーティング面を上に向け
て、その上にテフロン製の方形の型枠(内寸:縦×横×
厚さ=25mm×25mm×3mm)を設置して上面の
開放した型を形成した。 (3) 上記とは別に、メタクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン12g、0.5規定塩酸3gおよび
エタノール5gを混合して25℃で3日間反応させた後
に、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.2gを
添加し、減圧下にエタノールと水を除去して、シリコー
ンオリゴマー組成物(重合性組成物)を予め調製した。
【0056】(4) 上記(2)で準備した型内に、上
記(3)で得られたシリコーンオリゴマー組成物を型キ
ャビティ一杯になるまで流し込み、アルゴン気流下に、
60℃で20時間加熱して無色透明の硬化した重合物を
製造した。 (5) 上記(4)で得られた重合物を型ごと水中に一
日間浸漬した後、型から外して、ポリマー成形品を得
た。 (6) 上記(5)で得られたポリマー成形品の水の接
触角を上記した方法で測定したところ、ガラス板(型)
に接触していない表面部分(型の開放面に相当する表面
部分)の接触角は82°であったのに対し、ガラス板
(型)に接触していた表面部分の接触角は38°であっ
た。
【0057】(7) 上記(5)で得られたポリマー成
形品のガラス板(型)に接触していた接触角38°の表
面部分をイソプロパノールを含ませたガーゼで1回拭い
た後に表面部分に対する水の接触角を再度測定したとこ
ろ、接触角は38°のままであり、変化がなかった。 (8) また、上記(5)で得られたポリマー成形品
を、温度25℃のイソプロパノール中に浸漬して10分
間超音波処理を行った後に取り出して、ガラス板(型)
に接触していた表面部分に対する水の接触角を再度測定
したところ、接触角は38°であり、変化がなかった。 (9) さらに、上記(5)で得られたポリマー成形品
を空気中に2ヵ月間放置した後に、ガラス板(型)に接
触していた表面部分に対する水の接触角を再度測定した
ところ、接触角は38°のままであり、変化がなかっ
た。
【0058】(10) また、上記(5)で得られたポ
リマー成形品表面の摩擦試験を上記した方法で行ったと
ころ、摩擦試験後のポリマー成形品表面に対する水の接
触角は38゜(θ1/θ0=1.0)であり、摩擦試験後
も親水性(水濡れ性)の低下が全く生じておらず、ポリ
マー成形品表面に形成された親水性ポリマー層のポリマ
ー成形品本体への接着性が極めて高く、且つ耐久性が極
めて高いことが裏付けられた。 (11) この実施例1の結果から、親水性の型表面
(ガラス板表面)に、親水基を有するモノマーのコーテ
ィング層を形成した後、その型内に重合性組成物を充填
して、親水基を有するモノマーおよび重合性組成物を重
合(共重合)させて得られたこの実施例1の本発明のポ
リマー成形品は、ポリマー成形品表面に水の接触角の極
めて小さい高い親水性(水濡れ性)を有する親水性ポリ
マー層が形成されること、しかもその親水性ポリマー層
は耐久性、持続性、ポリマー成形品本体への接着性に極
めて優れていて、ポリマー成形品本体からの剥離や脱落
がなく、長期に亙ってポリマー成形品表面を高い親水性
に保ち得ることがわかる。
【0059】《実施例2》 (1) 水溶性のポリビニルアルコール製(株式会社ク
ラレ製「ポバールCP−1000」)の角板(以下「P
VA製角板」という)(縦×横×厚さ=50mm×50
mm×3mm)(型板;水の接触角38゜)を、MPC
の30%イソプロパノール溶液に浸漬し、毎秒5mmの
速度で垂直に引き上げてから風乾して、PVA製角板表
面にMPCのコーティング層を形成した。 (2) 上記(1)で得られたMPCコーティングして
なるPVA製角板のMPCコーティング面を上に向け
て、その上に実施例1で使用したのと同じテフロン製型
枠を設置して上面の開放した型をつくり、その中へ、重
合度58のポリジメチルシロキサン鎖の両末端にメタク
リロイルオキシプロピルジメチルシリル基が結合したオ
リゴマー(以下、「MPPS−60」という)に0.1
重量%のベンゾインメチルエーテルを配合した重合性組
成物を型一杯に充填した。 (3) 重合性組成物を充填した型を、石英ガラス製の
密閉容器に入れ、内部をアルゴンガスで完全に置換して
から、型の開放面側(PVA製角板の反対側)の垂直1
0cm上方から高圧水銀ランプ(120W)を20分間
照射して光重合させて重合物を製造した。
【0060】(4) 上記(3)で得られた重合物を型
ごと水中に一日間浸漬した後、型から外してポリマー成
形品を得た。 (5) 上記(4)で得られたポリマー成形品における
PVA製角板(型)に接触していた表面部分に対する水
の接触角を測定したところ、その接触角は40゜であっ
た。またポリマー成形品のPVA製角板(型)に接触し
ていない表面部分(開放部分)に対する水の接触角は9
6°であった。 (6) また、上記(4)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は39゜
(θ1/θ0=0.98)であった。
【0061】《実施例3》 (1) 実施例2におけるPVA製角板をステンレス鋼
角板(縦×横×厚さ=50mm×50mm×3mm;水
の接触角49゜)に置き換えた以外は、実施例2と同様
に行ってポリマー成形品を製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリマー成形品のステン
レス鋼角板と接触していた表面部分に対する水の接触角
を測定したところ、その接触角は51゜を示した。ま
た、ポリマー成形品の型に接触していない表面部分(開
放部分)に対する水の接触角は実施例2と同様に96°
であった。 (3) また、上記(1)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は46゜
(θ1/θ0=0.90)であった。
【0062】《比較例1》 (1) 実施例2において、PVA製角板にMPCコー
ティングを行わずにそのまま用いて型を上面の開放した
型を組み立て、それ以外は実施例2と同様にしてポリマ
ー成形品を製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリマー成形品のPVA
製角板と接触していた表面部分に対する水の接触角を測
定したところ、その接触角は98゜であり、親水性(水
濡れ性)を殆ど示さなかった。
【0063】《比較例2》 (1) 実施例2におけるPVA製角板をポリエチレン
テレフタレート製角板(縦×横×厚さ=50mm×50
mm×3mm;水の接触角64゜)に置き換えた以外
は、実施例2と同様に行ってポリマー成形品を製造し
た。 (2) 上記(1)で得られたポリマー成形品のポリエ
チレンテレフタレート製角板と接触していた表面部分に
対する水の接触角を測定したところ、その接触角は63
゜であった。 (3) この比較例2の結果から、型表面に親水基を有
するモノマーをコーティングしてなる型を用い、その型
内に重合性組成物を充填して型表面にコーティングした
親水基を有するモノマーと重合性組成物の重合を同時に
行う場合であっても、親水基を有するモノマーをコーテ
ィングする型表面が親水性でないと、親水性ポリマー層
がポリマー成形品表面に円滑に形成されず、親水性の高
い表面を有するポリマー成形品が得られないことがわか
る。
【0064】《比較例3》 (1) 実施例2におけるPVA製角板をテフロン製角
板(縦×横×厚さ=50mm×50mm×3mm;水の
接触角104゜)に置き換えた以外は、実施例2と同様
に行ってポリマー成形品を製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリマー成形品のテフロ
ン製角板と接触していた表面部分に対する水の接触角を
測定したところ、その接触角は63゜であった。 (3) この比較例3の結果からも、型表面に親水基を
有するモノマーをコーティングしてなる型を用い、その
型内に重合性組成物を充填して型表面にコーティングし
た親水基を有するモノマーと重合性組成物の重合を同時
に行う場合であっても、親水基を有するモノマーをコー
ティングする型表面が親水性でないと、親水性ポリマー
層がポリマー成形品表面に円滑に形成されず、親水性の
高い表面を有するポリマー成形品が得られないことがわ
かる。
【0065】《実施例4》 (1) 実施例2の(1)において、MPCの代わりに
2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレートを用い
て、実施例2と同様にして、PVA製角板表面に2,3
−ジヒドロキシプロピルメタクリレートのコーティング
層を形成した。 (2) 上記(1)で得られた2,3−ジヒドロキシプ
ロピルメタクリレートコーティングPVA製角板を用い
て、実施例2と同様にしてポリマー成形品を製造した。 (3) 上記(2)で得られたポリマー成形品のPVA
製角板と接触していた表面部分に対する水の接触角を測
定したところ、その接触角は43゜であった。 (4) また、上記(2)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は44゜
(θ1/θ0=1.02)であった。
【0066】《実施例5》 (1) 実施例2の(1)において、MPCの30%イ
ソプロパノール溶液を2−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート(希釈せず)に置き換えて、実施例2と同様にし
て、PVA製角板表面に2−ヒドロキシプロピルメタク
リレートのコーティング層を形成した。 (2) 上記(1)で得られた2−ヒドロキシプロピル
メタクリレートコーティングPVA製角板を用いて、実
施例2と同様にしてポリマー成形品を製造した。 (3) 上記(2)で得られたポリマー成形品のPVA
製角板と接触していた表面部分に対する水の接触角を測
定したところ、その接触角は50゜であった。 (4) また、上記(2)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は50゜
(θ1/θ0=1.0)であった。
【0067】《実施例6》 (1) 実施例2において、PVA製角板の代わりに実
施例1で使用したホウケイ酸ガラス板を用い、またMP
Cの30%イソプロパノール溶液の代わりに2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの
10%メタノール溶液を用いて、実施例2と同様にし
て、ホウケイ酸ガラス板表面に2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのコーティング
層を形成した。 (2) 上記(1)で得られた2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのコーティング
層を有するホウケイ酸ガラス板を用いて、実施例2と同
様にしてポリマー成形品を製造した。 (3) 上記(2)で得られたポリマー成形品のホウケ
イ酸ガラス板と接触していた表面部分に対する水の接触
角を測定したところ、その接触角は38゜であった。 (4) また、上記(2)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は36゜
(θ1/θ0=0.95)であった。
【0068】《実施例7》 (1) 水溶性の溶融成形用PVA(株式会社クラレ製
「ポバールCP−1000」)を用いて射出成形を行っ
て、キャスト重合用の型を製造した。これにより得られ
た型は、凸型と凹型からなり、両者を嵌合すると、半径
15mm、厚さ0.5mmの円板に相当する閉鎖した型
キャビティが形成されるように設計してある。 (2) 上記(1)で得られた凸型と凹型をMPCの3
%イソプロパノール溶液に浸漬し、ゆっくり引き上げ
て、乾燥窒素ガス雰囲気中で風乾し、各型の表面にMP
Cをコーティングした。 (3) 上記とは別に、MPPS−60を20g、tert
-ブチルメタクリレートを5gおよび2,4,6−トリ
メチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドを0.
05g混合して光重合性組成物を調製した。
【0069】(4) 上記(2)においてMPCコーテ
ィングを行った凹型内に上記(3)で調製した脱気した
光重合性組成物を注入し、アルゴン雰囲気下で、それに
凸型を嵌合して閉鎖した。型を高圧水銀ランプ(120
W)の10cm直下に置き、紫外線を1時間照射して重
合を行わせた。 (5) 上記(4)で得られた重合物を型内に入れたま
ま、型ごと室温下で水中に1日間浸漬したところ、PV
A製の型は溶解して消失し、半径14.5mm、厚さ
0.5mmの円盤状の透明なポリマー成形品が回収され
た。 (6) 上記(5)で得られたポリマー成形品の表面を
流水で十分に水洗し、その表面に付着しているPVAを
完全に洗い流した。
【0070】(7) 上記(6)で得られたポリマー成
形品表面に対する水の接触角を上記した方法で測定した
ところ、その接触角は38゜であった。 (8) また、上記(6)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は38゜
(θ1/θ0=1.0)であり、摩擦試験後も親水性(水
濡れ性)の低下が全く生じておらず、ポリマー成形品表
面に形成された親水性ポリマー層のポリマー成形品本体
への接着性が極めて高く、且つ耐久性が極めて高いこと
が裏付けられた。
【0071】《実施例8》 (1) 実施例7の(1)〜(6)と全く同様にしてポリマ
ー成形品を製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリマー成形品を0.5
M−NiCl2水溶液に1日間浸漬して染色した後、エ
ポキシ樹脂中に包埋し、それを液体窒素で凍結してから
ミクロトームで切断して切片を作製した。その切片を透
過型電子顕微鏡で、倍率10万倍で観察したところ、ポ
リマー成形品の表面に厚さが0.05〜0.1μmの染
色層が存在することが確認された。 (3) また、X線光電子分光法によって上記(1)で
得られたポリマー成形品表面の元素分析を行ったとこ
ろ、135eV付近に微小ながらP2pスペクトルを検出
することができた。 (4) したがって、上記(2)および(3)の結果か
ら、このポリマー成形品の表面に、リン原子、即ちMP
Cの親水性ポリマー層が存在することが証明される。
【0072】《比較例4》 (1) 上記した特開平2−124523号公報に開示
されている従来技術と本発明を比較する目的で、この公
開特許公報の実施例11の11aに記載されている方法
に準じて、メタクリレート官能ヒドロキシエチルセルロ
ース(共重合性官能基を有する親水性重合体)を合成し
た。 (2) 実施例7で使用したのと同じ、射出成形により
得られたPVA製のキャスト重合用の型の凸型と凹型
を、上記(1)で調製したメタクリレート官能ヒドロキ
シエチルセルロースの0.5%メチルエチルケトン溶液
中に浸漬し、ゆっくり引き上げてから、乾燥窒素ガス雰
囲気中で50℃に加温して乾燥して、凸型と凹型の型表
面にメタクリレート官能ヒドロキシエチルセルロースの
コーティング層を形成させた。 (3) 上記(2)で得られた、型表面にメタクリレー
ト官能ヒドロキシエチルセルロースのコーティング層を
有する凸型と凹型を用いて、実施例7の(3)〜(6)
と同様にして型内での光重合性組成物の重合、PVA製
型の水中での溶解処理、得られたポリマー成形品の回収
およびポリマー成形品表面の洗浄を行った。
【0073】(4) 上記(3)で得られたポリマー成
形品表面に対する水の接触角を上記した方法で測定した
ところ、その接触角は46゜であった。 (5) また、上記(3)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は62゜
(θ1/θ0=1.35)であった。 (6) この比較例4の結果から、親水基を有するモノ
マーではなく、親水基を有するポリマーのコーティング
層を親水性の型表面に形成し、その型内に重合性組成物
を充填して重合と成形を行う従来法による場合は、ポリ
マー成形品の表面に存在する親水性ポリマー層はポリマ
ー成形品本体への接着性が低く且つ耐久性に劣ってお
り、摩擦などの外力が加わると、短期間に表面からの剥
離や脱落が生じて親水性(水濡れ性)が短期間に失われ
てしまい、親水性を長期間にわたって安定に保持できな
いことがわかる。
【0074】《比較例5》特開平7−72430号公報
に開示されている従来技術と本発明を比較する目的で、
この公開特許公報の実施例1を参考にして次に示す方法
で、グラフト重合により表面を親水化したポリマー成形
品を製造した。 (1) すなわち、実施例7で使用したのと同じ水溶性
のPVAからなるキャスト成形用の凸型と凹型の表面に
親水基を有するモノマーのコーティングを行わずにその
まま用いて、凹型内に実施例7で用いたのと同じ光重合
性組成物を注入し型を閉鎖して、実施例7と同様にして
型内で重合を行った。 (2) 上記(1)で得られた重合物を型ごと水中に浸
漬して実施例7と同様にしてPVA製型を水に溶解させ
てポリマー成形品を回収し、ポリマー成形品の表面を流
水で十分水洗して、表面に付着しているPVAを完全に
洗い流した。
【0075】(3) 上記(2)で得られたポリマー成
形品を、放電装置(電極間6cm、電極間電圧270
V、周波数60Hz)内に静置し、0.04Torrの
アルゴン雰囲気中で5秒間グロー放電処理をした。 (4) 上記(3)で放電処理したポリマー成形品を空
気中に曝した後、直径4cmの耐圧ガラス管に入れ、M
PCの10%水溶液をポリマー成形品が完全に浸漬する
まで加えてから、アルゴンガスで置換した後、減圧封管
した。 (5) 上記(4)で封管した耐圧ガラス管を80℃の
恒温槽中に1時間静置し、ポリマー成形品表面にMPC
をグラフト重合させた。次いで、該成形体をMPC水溶
液から取り出し、その表面を十分に水洗した。
【0076】(6) 上記(5)で得られたポリマー成
形品表面に対する水の接触角を上記した方法で測定した
ところ、その接触角は34゜であった。 (7) また、上記(5)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は77゜
(θ1/θ0=2.26)であった。 (8) この比較例5の結果から、予め成形されたポリ
マー成形品表面に親水基を有するモノマーをグラフト重
合させる従来法による場合は、ポリマー成形品の表面に
存在する親水性ポリマーを円滑に結合させることができ
ず、ポリマー成形品の表面に摩擦などの外力が加わる
と、その親水性(水濡れ性)が短期間に失われてしま
い、親水性を長期間にわたって安定に保持できないこと
がわかる。 (9) また、上記(5)で得られたポリマー成形品の
表面に親水性ポリマーが存在するか否かについて調査す
る目的で、実施例8と同じ方法で透過型電子顕微鏡によ
る観察とX線光電子分光法によるリンの分析を行ったと
ころ、ポリマー成形品の表面に染色層の存在が確認され
ず、さらに135eV付近にP2pスペクトルが検出され
ず、MPCポリマー層がポリマー成形品に形成されてい
ることを示唆する結果が得られなかった。この結果か
ら、この比較例5で得られたポリマー成形品の表面にお
ける摩擦試験を行う前の上記した34°という水の低い
接触角は、ポリマー成形品表面に親水性ポリマー層が形
成されていることによるものではなく、表面の化学変化
によるものと推定される。
【0077】《比較例6》特開昭48−7755号公報
に開示されている従来技術と本発明を比較する目的で、
この公開特許公報の実施例3を参考にして次に示す方法
で、親水性重合体を表面にグラフト重合した架橋ポリシ
ロキサンよりなるポリマー成形品を製造した。 (1) すなわち、表面をアルカリ溶液(水酸化カリウ
ム飽和イソプロパノール溶液)で洗浄したホウケイ酸ガ
ラス板(縦×横×厚さ=50mm×50mm×2mm)
(型板:水の接触角0°)2枚を、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート(HEMA)の50%イソプロパノー
ル溶液に浸漬し、毎秒5mmの速度で垂直に引き上げて
から風乾して、ガラス板の表面のHEMAのコーティン
グ層を形成させた。 (2) 上記(1)で得られたHEMAをコーティング
してなるガラス板のHEMAコーティング面を水平に保
ち、その上に石英製の方形型枠(内寸:縦×横×厚さ=
25mm×25mm×3mm)を設置した。
【0078】(3) 上記(2)で準備した型内に、ポ
リジメチルシロキサン(ストーファーワッカーNo.0
6093)を入れ、その上からHEMAをコーティング
したもう一枚のホウケイ酸ガラス板で圧接した。 (4) この状態で室温に30分間保ってモノマーを界
面において平衡させ、次いで全体を片面から5メガラド
および他面から5メガラドの総計10メガラドのイオン
化用放射線にさらした。 (5) 上記(4)で得られた重合物を型ごと水中に一
日浸漬した後、型から外してポリマー成形品を得た。
【0079】(6) 上記(5)で得られたポリマー成
形品の水の接触角を上記した方法で測定したところ、ガ
ラス板(型)に接触していた表面部分の接触角は48゜
であった。 (7) また、上記(5)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は79゜
(θ1/θ0=1.65)であった。 (8) この比較例6の結果から、親水基を有するモノ
マーのコーティング層を親水性の型表面に形成し、その
型内にポリジメチルシロキサンを導入し、イオン化放射
線を照射してコーティング層モノマーの重合とポリジメ
チルシロキサンの架橋反応を同時に誘起して賦形を行う
従来法による場合は、ポリマー成形品の表面に存在する
親水性ポリマー層はポリマー成形品本体への接着性が低
く且つ耐久性に劣っており、摩擦などの外力が加わる
と、短期間にポリマー成形品表面から剥離したり脱落し
て、親水性(水濡れ性)が短期間に失われてしまい、親
水性を長期間にわたって安定に保持できないことがわか
る。
【0080】《実施例9》 (1) 水溶性の溶融成形用PVA(株式会社クラレ製
「ポバールCP−1000」)を用いて射出成形を行っ
て、キャスト重合用の型を製造した。これにより得られ
た型は、凸型と凹型からなり、両者を嵌合すると 直径
14.0mm、BC8.6、度数0、中心厚さ0.2m
mのコンタクトレンズの外形に相当する密閉型キャビテ
ィが形成されるように設計してある。 (2) 上記(1)で得られた型の凸型と凹型をMPC
の3%イソプロパノール溶液に浸漬し、ゆっくり引き上
げて、乾燥窒素ガス雰囲気中で風乾し、各型の表面にM
PCをコーティングした。 (3) 上記(2)で得られたMPCコーティングを行
った凸型および凹型を用いて、以後は実施例7と同様に
して、脱気した光重合性組成物を型内に注入し、高圧水
銀ランプで紫外線を1時間照射して重合を行った。 (4) 上記(3)で得られた重合物を型内に入れたま
ま、型ごと室温下で水中に1日間浸漬したところ、PV
A製の型は溶解して消失し、直径13.8mm、BC
8.6、中心厚さ0.2mmの透明なコンタクトレンズ
が回収された。 (5) 上記(4)で得られたコンタクトレンズの表面
を流水で十分に水洗し、その表面に付着しているPVA
を完全に洗い流した。 (6) 上記(5)で得られたコンタクトレンズ表面に
対する水の接触角を上記した方法で測定したところ、そ
の接触角は38゜であって、良好な親水性(水濡れ性)
を有していた。
【0081】
【発明の効果】本発明のポリマー成形品は、均一性、成
形品本体との接着性、耐久性、持続性に優れる親水性ポ
リマー層を成形品表面に有しているので、摩擦などの外
力が加わったり、薬剤などと接触しても、または長い時
間が経過した後でも、当初の高い親水性を安定して良好
に維持することができる。そのため、本発明のポリマー
成形品は、一般工業用品、生活用品、医療用品、その他
の広範な用途に有効に用いることができ、それらのうち
でも、人工臓器、カテーテル、眼内レンズ、コンタクト
レンズなどの医療用品として適している。特に、本発明
のポリマー成形品は、コンタクトレンズや眼内レンズな
どの生体用レンズとして適している。そして、本発明の
ポリマー成形品がシリコーン樹脂製のコンタクトレンズ
である場合は、コンタクトレンズの表面にシリコーン樹
脂製のレンズ本体との接着性、耐久性、持続性に優れる
水濡れ性の高い親水性ポリマー層を有していることによ
り、角膜へのレンズの固着を防ぎ、鮮明な視力を確保
し、装用感、酸素透過性が優れ、汚染しにくいコンタク
トレンズを提供できる。
【0082】そして、本発明の製造方法による場合は、
前記した優れた特性を有する親水性表面を有するポリマ
ー成形品を極めて円滑に且つ確実に製造することができ
る。さらに、本発明のポリマー成形品の製造方法に好ま
しく用いられるポリビニルアルコール系重合体製の型
は、その型表面が高い親水性を有していて型表面に親水
基を有するモノマーのコーティング層を良好に形成させ
ることができ、しかも射出成形や押出成形などの溶融成
形によって効率よく型を製造することができる。特に、
ポリビニルアルコール系重合体製の型として水溶性ポリ
ビニルアルコール系重合体製の型を用いる場合は、型内
での重合・成形が終了した段階で、型内に重合物を入れ
たままで水中に投与すると、型が水中で溶解、消失する
ので、ポリマー成形品を傷つけることなく、良好に回収
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29L 11:00 (72)発明者 北島 さつき 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都リ サーチパーク 株式会社関西新技術研究所 内 (72)発明者 佐藤 正洋 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都リ サーチパーク 株式会社関西新技術研究所 内 (72)発明者 楊 武 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都リ サーチパーク 株式会社関西新技術研究所 内 (72)発明者 小村 育男 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形品本体の表面に親水性ポリマー層を
    有するポリマー成形品であって、親水性の型表面にコー
    ティングした親水基を有するモノマーと、型内に充填し
    たモノマーおよび/またはオリゴマーから主としてなる
    重合性組成物を共に重合することにより得られたもので
    あることを特徴とする親水性表面を有するポリマー成形
    品。
  2. 【請求項2】 ポリマー成形品表面における親水性ポリ
    マー層に対する水の接触角(θ)が60°未満である請
    求項1に記載のポリマー成形品。
  3. 【請求項3】 親水性ポリマー層が下記の数式を満足
    する請求項1または2に記載のポリマー成形品。 【数1】θ1/θ0≦1.25 (式中、θ1は、ポリマー成形品表面の親水性ポリマー
    層を、中心平均粗さが0.5μmである牛革に対して荷
    重1.3g/cm2の条件下で押圧・接触させながらポ
    リマー成形品を500rpmで5000回転させてポリ
    マー成形品表面を摩擦した後の摩擦面に対する水の接触
    角、θ0は前記の摩擦を行う前のポリマー成形品表面の
    親水性ポリマー層に対する水の接触角を表す。)
  4. 【請求項4】 成形品本体の表面に親水性ポリマー層を
    有するポリマー成形品であって、ポリマー成形品表面に
    おける親水性ポリマー層に対する水の接触角(θ)が6
    0°未満であり、且つ前記親水性ポリマー層が下記の数
    式を満足することを特徴とする親水性表面を有するポ
    リマー成形品。 【数2】θ1/θ0≦1.25 (式中、θ1は、ポリマー成形品表面の親水性ポリマー
    層を、中心平均粗さが0.5μmである牛革に対して荷
    重1.3g/cm2の条件下で押圧・接触させながらポ
    リマー成形品を500rpmで5000回転させてポリ
    マー成形品表面を摩擦した後の摩擦面に対する水の接触
    角、θ0は前記の摩擦を行う前のポリマー成形品表面の
    親水性ポリマー層に対する水の接触角を表す。)
  5. 【請求項5】 親水性ポリマー層の厚さが0.005〜
    10μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のポ
    リマー成形品。
  6. 【請求項6】 前記ポリマー成形品が医療用品である請
    求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー成形品。
  7. 【請求項7】 前記ポリマー成形品がコンタクトレンズ
    である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー成
    形品。
  8. 【請求項8】 (i)親水性の表面を有する型の表面
    に、親水基を有するモノマーのコーティング層を形成す
    る工程;(ii)親水基を有するモノマーのコーティング
    層を形成した型内に前記親水基を有するモノマーと共重
    合可能な重合性基を有するモノマーおよび/またはオリ
    ゴマーから主としてなる重合性組成物を充填する工程;
    および(iii)前記親水基を有するモノマーおよび前記
    重合性組成物を共に重合させる工程;を含むことを特徴
    とする親水性表面を有するポリマー成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 型として、水の接触角が60°未満であ
    る型表面を有するものを用いる請求項8に記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 型が、ポリビニルアルコール系重合体
    を成形して得られる型である請求項8または9の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 ポリマー成形品が医療用品である請求
    項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 ポリマー成形品がコンタクトレンズで
    ある請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 ポリビニルアルコール系重合体を成形
    して得られる、親水性表面を有するポリマー成形品製造
    用の型。
  14. 【請求項14】 水溶性ポリビニルアルコール系重合体
    を成形して得られる型である請求項13に記載のポリマ
    ー成形品製造用の型。
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