JP2002103349A - 親水性表面を有するポリマー成形品の製造方法 - Google Patents

親水性表面を有するポリマー成形品の製造方法

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JP2002103349A
JP2002103349A JP2000296237A JP2000296237A JP2002103349A JP 2002103349 A JP2002103349 A JP 2002103349A JP 2000296237 A JP2000296237 A JP 2000296237A JP 2000296237 A JP2000296237 A JP 2000296237A JP 2002103349 A JP2002103349 A JP 2002103349A
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Mitsuru Takei
満 武井
Masahiro Nagao
昌浩 長尾
Ikuo Komura
育男 小村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品本体を構成するポリマー本来の機能が
損なわれることなくそのまま保持され、且つ成形品本体
の表面に、成形品本体との接着性、耐久性、持続性に優
れる親水性ポリマー層を有し、しかも前記親水性ポリマ
ー層にピンホールなどの欠落部分がなく親水性の均一性
が高い高品質のポリマー成形品を確実に且つ円滑に製造
することのできる製造方法を提供すること。 【解決手段】 疎水性の型表面に親水基を有するモノマ
ーおよび親水性高分子からなるコーティング層を形成さ
せ、表面コーティングを施した上記の型内にモノマーお
よび/またはオリゴマーから主としてなる重合性組成物
を充填して、コーティング層に存在する親水基を有する
モノマーおよび重合性組成物を共に重合して表面に親水
性ポリマー層を有するポリマー成形品を製造する本発明
の製造方法によって上記の課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、親水性表面を有す
るポリマー成形品の製造方法に関する。本発明の製造方
法により、ポリマー成形品本体の表面に本体に対する接
着性、耐久性、持続性に優れる親水性ポリマー層を有
し、しかも該親水性ポリマー層にピンホールなどの欠落
部分がなく親水性の均一性が高い高品質のポリマー成形
品を極めて円滑に製造することができる。
【0002】
【従来の技術】ポリマー成形品の表面を改質して成形品
本体を構成するポリマーが元来有していない新しい機能
を付与することが広く行われており、特に医療用品にお
いては、生体とポリマーとの適合性を向上させる目的で
種々の表面改質法が試みられている。医療用品、とりわ
けコンタクトレンズ、眼内レンズなどの生体用レンズで
は、レンズ素材としてシリコーン樹脂やケイ素または/
およびフッ素原子を含有するアクリル樹脂が多用されて
いるが、これらの素材は疎水性が強く、角膜へのレンズ
の固着、レンズの曇り、装用感の不良などを生じ易い。
そのため、これらの素材から得られるコンタクトレンズ
などでは、成形品表面を親水化処理して、角膜へのレン
ズの固着、レンズの曇りなどの欠点をなくし且つ装用感
を向上させる試みがなされている。
【0003】コンタクトレンズ表面や眼内レンズ表面の
親水化方法を大別すると、(A)レンズ形状物を予め製
造した後にその表面を親水化する方法、(B)予め製造
されたポリマーの架橋およびレンズへの賦形を行うのと
同時にその表面を親水化する方法、(C)重合性モノマ
ーを用いてレンズをモールド成形する際に同時にその表
面の親水化を行う方法に分けることができる。
【0004】レンズ形状物を予め製造した後にその表面
を親水化する前記(A)の従来法としては、(1)アル
カリ水溶液、熱塩水などによりレンズ形状物を処理する
方法、(2)コンタクトレンズを希薄ガス中で放電処理
する方法(特公昭55−49288号公報参照)、
(3)コンタクトレンズ表面にリン酸エステル基を有す
る特定の親水性モノマーまたは特定のリン脂質類似構造
を有するビニルモノマーをグラフト重合させる方法(特
開平6−122779号公報および特開平7−7243
0号公報参照)、(4)親水基を有するモノマーが存在
する雰囲気中にコンタクトレンズを入れて無電極グロー
放電により該モノマーを重合させてコンタクトレンズ表
面に親水性ポリマー被膜を形成・接着させる方法(特開
昭53−83642号公報参照)などを挙げることがで
きる。
【0005】しかしながら、上記(1)および(2)の
従来法による場合は、レンズ表面に形成された親水性表
面の親水特性が持続せず、短期間に親水性が失われると
いう欠点がある。また、上記(3)の従来法による場合
は、コンタクトレンズ本体を構成するポリマーとグラフ
ト重合により形成した親水性ポリマーの結合が不充分
で、親水性ポリマー部分の耐久性に問題があり、やはり
短期間に親水性が失われ易い。さらに、上記(4)の従
来法による場合も、コンタクトレンズ表面に形成させた
親水性ポリマー被膜のレンズ本体への接着が十分ではな
くてレンズ本体から分離し易いために、表面の親水性が
長期間持続しにくく、摩擦などの外力が加わると親水性
が失われ易いという欠点がある。
【0006】また、予め製造されたポリマーの架橋およ
びレンズへの賦形を行うのと同時にその表面を親水化す
る上記(B)の従来法としては、(5)予め製造された
ポリシロキサンの表面に親水性重合体を与えるラジカル
重合前駆物質を被覆し、次いで該前駆物質およびポリシ
ロキサンにイオン化放射線を照射して、ポリシロキサン
を架橋すると共にレンズに賦形し、それと同時にポリシ
ロキサンの表面に該前駆物質をグラフト重合させて親水
性重合体で被覆されたコンタクトレンズを製造する方法
(48−7755号公報)が知られている。しかしなが
ら、この(5)の従来法では、ラジカル重合性前駆物質
のポリシロキサンへのグラフト重合による接着が不充分
であり、該前駆物質から形成された親水性重合体はポリ
シロキサンから分離し易くて耐久性がなく、実用レベル
に達していない。
【0007】そして、重合性モノマーを用いてレンズを
モールド成形する際に同時にその表面の親水化を行う上
記(C)の従来法としては、(6)型の表面を共重合性
官能基を有する親水性重合体からなる被膜で被覆し、そ
の型内に疎水性ポリマーを形成するのに必要なモノマー
またはモノマー混合物を注入し、型表面に設けた被膜中
に存在する官能基と共重合させることにより、その親水
性重合体からなる被膜と疎水性ポリマーとを化学的に結
合させて親水性ポリマー被膜を表面に有するコンタクト
レンズを製造する方法(特開平2−124523号公報
参照)、(7)成形面を離型性および親水性を有するポ
リマーで被覆したレンズ成形用型中で(メタ)アクリル
酸エステルと架橋性モノマーを主成分とするモノマー混
合物を共重合してコンタクトレンズ形状の共重合体を製
造した後、その表面をプラズマ処理する方法(特開平7
−266443号公報参照)などが知られている。
【0008】しかしながら、上記(6)の従来法では、
疎水性ポリマー成形品の表面上に均一な親水性ポリマー
層を形成しにくく、しかも親水性ポリマー層と疎水性ポ
リマー成形品との結合も不十分であるため、耐久性に劣
り、手擦り程度の摩擦で水濡れ性(親水性)が低下する
という欠点を有する。また、上記(7)の従来法の場合
は、共重合性官能基を有しない親水性ポリマーを使用し
て型の成形面の被覆を行っているために、重合段階では
親水性ポリマー層とレンズ基材の接着界面に化学結合が
実質的に形成されず、且つその後のプラズマ処理におい
ても、プラズマにより生じた親水性ポリマー層表面の活
性点がその下のレンズ基材と反応・結合する可能性が低
い。そのため、この(7)の従来法による場合は、親水
性ポリマー層とレンズ基材の接着性が不十分であり、親
水性ポリマー層はレンズ基材から分離し易くて耐久性が
なく、実用レベルに達しない。
【0009】また、上記した従来法とは別の範疇に属す
る方法として、(8)少なくとも一つのシリコーンを含
有するモノマーおよび少なくとも一つの親水性モノマー
を鋳型内で共重合してコンタクトレンズなどの成形品を
製造するに当たって、鋳型として、α,β−オレフィン
型不飽和モノニトリルと、溶融状態での加工性を高める
少なくとも一つのコモノマーとのコポリマーを含有する
樹脂から製造した鋳型を用いて親水性を有する成形品を
製造する方法が提案されている(特表平6−50327
6号公報参照)。この(8)の従来法においては、明確
ではないが、遅くとも重合初期の段階までに、鋳型の近
傍に存在する親水性モノマーが拡散により移動し、鋳型
表面のニトリル基に吸着して鋳型表面に親水性モノマー
が濃縮されてコンタクトレンズの親水性表面が形成され
るものと推定される。しかしながら、この(8)の従来
法による場合は、成形品の表面親水化の程度は、上記し
た(1)〜(7)の従来法に比べ弱いために、親水性に
優れる表面を有する成形品が得られにくい。しかも、こ
の(8)の従来法では、成形品の製造に用いている親水
性モノマーに由来する単位が共重合単位としてコンタク
トレンズなどの成形品の内部に存在するため、基材であ
るシリコーン樹脂が本来有する性能を阻害し、特にコン
タクトレンズなどの成形品の酸素透過性が低下するとい
う問題がある。その上、この(8)の従来法では、成形
品の製造に使用できる親水性モノマーは少なくとも一つ
のシリコーンを含有するモノマーと相溶し得る親水性モ
ノマーに限定されるという欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、成形品本体を構成するポリマー本来の機能が損な
われることなくそのまま保持され、且つ成形品本体の表
面に、成形品本体との接着性、耐久性、持続性に優れる
親水性ポリマー層を有し、しかも前記親水性ポリマー層
にピンホールなどの欠落部分がなく親水性の均一性が高
い高品質のポリマー成形品を確実に且つ円滑に製造する
ことができる製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、上記し
た(A)〜(C)の従来法、すなわちレンズ形状物を製
造した後にその表面を親水化する上記(1)〜(4)の
従来法、予め製造されたポリシロキサンの架橋およびレ
ンズへの賦形と同時にその表面に親水性重合体層をグラ
フト重合により形成させる上記(5)の従来法、型表面
を親水性ポリマーで被覆しておいてそこに重合性組成物
を充填する上記(6)および(7)の従来法、または
α,β−オレフィン型不飽和モノニトリルの共重合体か
らなる鋳型を用いる上記(8)の従来法に代えて、親水
性を有する型表面に未重合の親水基を有するモノマーを
コーティングし、親水基を有するモノマーで表面コーテ
ィングされた前記の型内にモノマーおよび/またはオリ
ゴマーから主としてなる重合性組成物を充填して、親水
基を有するモノマーおよび重合性組成物を共に重合させ
ると同時に成形を行うと、均一性、成形品本体との接着
性、耐久性、持続性に優れる親水性ポリマー層を成形品
表面に有するポリマー成形品が得られることを見出し先
に出願した(特開平11−172149号公報参照)。
【0012】ところで、医療用品、とりわけコンタクト
レンズ、眼内レンズなどの生体用レンズの製造に使用さ
れる型の材質として、一般的にポリプロピレン、ポリス
チレンなどが用いられるが、これらの材質は水の接触角
が60゜以上であり疎水性を示す。これらの疎水性の型
表面に親水基を有するモノマーのコーティングを試みる
と、型表面に対する親水基を有するモノマーの濡れ性が
低いために、親水基を有するモノマーを均一にコーティ
ングすることができない。また、型表面への親水基を有
するモノマーの吸着が弱いため、次工程で型内に注入さ
れるモノマーおよび/またはオリゴマーから主としてな
る重合性組成物中に、型表面にコーティングした親水基
を有するモノマーが拡散してしまい、ポリマー成形品表
面に親水性のコーティング層が残らなかったり、ポリマ
ー成形品表面における親水性ポリマー層が低減するなど
の不具合を生じ易くなる。
【0013】本発明者らは上記した研究を踏まえてさら
に検討を重ねた結果、親水基を有するモノマー、親水性
高分子および溶剤からなる表面処理剤を用いると、親水
性高分子の造膜性により、医療用品、とりわけコンタク
トレンズ、眼内レンズなど生体用レンズの製造に一般的
に使用される疎水性の型表面に、親水基を有するモノマ
ーおよび親水性高分子からなるコーティング層が容易に
かつ十分な強度で形成され、表面コーティングを施した
上記の型内にモノマーおよび/またはオリゴマーから主
としてなる重合性組成物を充填して、コーティング層に
存在する親水基を有するモノマーおよび重合性組成物を
共に重合させると同時に成形を行うと、得られるポリマ
ー成形品が、成形品本体との接着性、耐久性、持続性に
優れた親水性ポリマー層を有し、しかも親水性ポリマー
層にピンホールなどの欠落部分がなく、親水性の均一性
が一層優れており、親水性ポリマー層を成形品表面に有
するポリマー成形品の製造方法として極めて適している
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、成形品本体の表面に
親水性ポリマー層を有するポリマー成形品を製造する方
法において; (i)疎水性の表面を有する型の表面に、親水基を有す
るモノマー、親水性高分子および溶剤からなる表面処理
剤をコーティングする工程; (ii)前記溶剤を除去することにより、前記親水基を有
するモノマーと前記親水性高分子からなるコーティング
層を形成する工程; (iii)前記コーティング層を形成した型内に前記親水
基を有するモノマーと共重合可能な重合性基を有するモ
ノマーおよび/またはオリゴマーから主としてなる重合
性組成物を充填する工程;および (iv)前記コーティング層に存在する前記親水基を有す
るモノマーおよび前記重合性組成物を共に重合させる工
程;を含むことを特徴とする親水性表面を有するポリマ
ー成形品の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。上記(i)の工程における「疎水性の表面」を有
する型としては、液滴法で測定した水の接触角が60゜
以上である表面を有する型が好ましく用いられる。型表
面に対する水の接触角が60゜未満の場合は、型表面は
親水性を示すようになり、表面処理剤をコーティングす
る工程において、表面処理剤に含まれる溶剤により膨潤
を生じやすく、型の寸法変化や変形により得られる成形
品の寸法精度が低下する。本発明で用いる型は、水の接
触角が60°以上であり、且つ重合性組成物の重合・成
形を円滑に行い得る型を製造し得る材料であれば、いず
れの材料から製造されていてもよく、好ましい型の例と
しては、ポリプロピレン(水の接触角86゜)、ポリス
チレン(同83゜)、ポリブチレンテレフタレート(同
78゜)、ポリエチレン(同82゜)、ポリエチレンテ
レフタレート(同68゜)、ポリテトラフルオロエチレ
ン(同120゜)などからなる型を挙げることができ
る。上記の型の水に対する接触角としては、60〜13
0°の範囲内が好ましく、60〜100°の範囲内がよ
り好ましい。また、型の材質としては、ポリプロピレ
ン、ポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
【0016】本発明で用いる型は、その全表面が「疎水
性の表面」であっても、または型の表面の一部が「疎水
性の表面」になっていてもよく、ポリマー成形品の用途
などに応じて各々に適した型を用いればよい。本発明で
は、使用する型の形状や種類などは特に制限されない
が、成形品の取り出しが容易なように、複数個のパーツ
からなる型を用いることが好ましい。その場合に、上記
したように、各々のパーツの全表面が疎水性であって
も、または成形品と接する型の面の一部が疎水性であっ
てもよい。
【0017】上記(i)の工程における表面処理剤は、
親水基を有するモノマー、親水性高分子および溶剤から
なる。上記の親水基を有するモノマーとしては、水酸
基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などのプ
ロトン供与性の親水基、アミノ基、イミノ基などのプロ
トン受容性の親水基、4級アンモニウム基、カルボン酸
イオン基、スルホン酸イオン基などのイオン性の親水
基、アミド基やポリオキシエチレン基などの親水基の1
種または2種以上を有し、且つ重合性の炭素−炭素間二
重結合を1個または2個以上有するモノマーを用いるこ
とができる。
【0018】本発明で好ましく用いられる親水基を有す
るモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、12−ヒドロキシドデシル(メタ)アクリ
レート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセ
リンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフ
ェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハ
イドロジェンホスフェート、ビス{2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル}ハイドロジェンホスフェート、
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリル
アミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸とそのアルカリ金属塩、2−アミノエチル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシブ
チルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ
−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチル
アンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルホスホリルコリン、6−(メタ)アクリロイル
オキシヘキシルホスホリルコリン、10−(メタ)アク
リロイルオキシデシルホスホリルコリン、ポリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリ
ドン、N−ビニルサクシンイミド、2−ヒドロキシエチ
ルビニルエーテル、アリル2−ヒドロキシエチルエーテ
ル、アリルホスホリルコリン、デセニルホスホリルコリ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウム、桂皮酸、p−ビニ
ル安息香酸などを挙げることができる。本発明では、親
水基を有するモノマーとして前記した化合物の1種また
は2種以上を用いることができる。前記したモノマーの
うちで、例えば、ホスホリル基を有するモノマーを使用
すると生体適合性に優れるポリマー成形品を得ることが
でき、またイオン性基を有するモノマーを使用すること
により親水性が高い表面を有するポリマー成形品を得る
ことができる。
【0019】また、本発明では、上記した親水基を有す
るモノマーと共に、本発明の目的および効果を損なわな
い範囲で、必要に応じて、親水基を有するモノマーと共
重合可能な他のモノマーおよび/またはオリゴマーを併
用してもよく、その場合は、親水基を有するモノマー、
他のモノマーおよび/またはオリゴマー、親水性高分子
並びに溶剤からなる表面処理剤を用いて型表面へのコー
ティングが行われる。親水基を有するモノマーと併用可
能なモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリ
レート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−メ
タクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキ
シ)シラン、ピバリン酸ビニル、カプリル酸ビニル、安
息香酸ビニル等の単官能性モノマー、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート、アジピン酸ジビニル等の多官能性モノマーなどを
挙げることができる。また親水基を有するモノマーと併
用可能なオリゴマーの好ましい具体例としては、少なく
とも1個の重合性基を有する(メタ)アクリル系オリゴ
マー、ビニルエステル系オリゴマー、シリコーン系オリ
ゴマーなどを挙げることができる。
【0020】親水基を有するモノマーと共に該親水基を
有するモノマーと共重合可能な他のモノマーおよび/ま
たはオリゴマーを併用する場合は、モノマー組成物中の
全モノマーおよびオリゴマーの合計量に対して、他のモ
ノマーおよび/またはオリゴマーの割合(他のモノマー
およびオリゴマーの両方を含む場合は両者の合計量)が
90モル%以下であるのが好ましく、80モル%以下で
あるのがより好ましく、60モル%以下であるのがさら
に好ましい。他のモノマーおよびオリゴマーの割合が前
記した90モル%を超えると、得られるポリマー成形品
表面の親水性が不足する。一般にポリマー成形品表面に
おける親水性ポリマー層に対する水の接触角が60°未
満であると、ポリマー成形品表面の親水性、水濡れ性が
十分なものとなり、親水性、水濡れ性が要求される各種
用途により有効に用いることが可能になるが、特にポリ
マー成形品がコンタクトレンズである場合は、表面に対
する水の接触角が60゜以上になると、レンズが曇った
り、装用感が悪くなるなどの不具合が生ずることがある
ので、コンタクトレンズ表面に対する水の接触角が60
゜未満になるように、親水基を有するモノマーまたはそ
れを含むモノマー組成物(以下、両者を総称して単に
「親水基を有するモノマー」ということがある)を選択
する必要がある。
【0021】本発明における親水性高分子としては、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルピペリドン等のポリビ
ニルラクタム;ポリビニルアルコール;ポリビニルメチ
ルエーテル、ポリビニルエチルエーテル等のポリビニル
アルキルエーテル;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウ
ム、ポリ(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アク
リル酸誘導体;カルボキシメチルセルロース、メチルセ
ルロース等のセルロース誘導体;コラーゲン、キトサン
等の天然高分子などを挙げることができ、これらのうち
1種または2種以上を用いることができる。これらのう
ちでも、得られるポリマー成形品における親水性ポリマ
ー層のピンホールをなくし、親水性の均一性を高める観
点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン
が好ましく、造膜性に優れるポリビニルアルコールがよ
り好ましい。
【0022】上記の親水性高分子の分子量としては、造
膜性および得られる表面処理剤の粘度の観点から、50
0〜1,000,000の範囲内であるのが好ましく、
1,000〜1,000,000の範囲内がより好まし
い。
【0023】本発明で用いる表面処理剤における親水基
を有するモノマーと親水性高分子の割合としては、前者
対後者の重量比で、5〜90:95〜10の範囲内であ
るのが好ましく、30〜75:70〜25の範囲内であ
るのがより好ましい。親水基を有するモノマーの割合が
90を超えると、次の工程で疎水性の型表面に親水基を
有するモノマーおよび親水性高分子からなるコーティン
グ層を均一に形成しにくくなり、5未満になると、得ら
れるポリマー成形品表面の親水性が低下する傾向があ
る。
【0024】本発明で表面処理剤に用いる溶剤として
は、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、
t−ブタノール等の一価のアルコール類;エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン等の多価アルコール類;アセトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル
等のカルボン酸エステル類;1,4−ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ジ
メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニ
トリルなどを挙げることができ、これらのうち1種また
は2種以上を用いることができる。これらのうちでも、
本発明では親水基を有するモノマーおよび親水性高分子
の溶解性の観点から、水、2−プロパノール、ジメチル
スルホキシド、これらの混合溶媒が好ましく用いられ
る。
【0025】表面処理剤における溶剤の割合は、30〜
99重量%の範囲内であるのが好ましく、50〜99重
量%の範囲内がより好ましい。溶剤の割合が30重量%
未満の場合には、表面処理剤の粘度が高くなり、次の工
程で型表面に形成させるコーティング層の平滑性が低下
しやすい。
【0026】本発明で用いる表面処理剤は、後の工程
で、コーティング層に存在する親水基を有するモノマー
が型内に充填された重合性組成物と共に円滑に重合(共
重合)するようにするために、重合開始剤を含有してい
てもよい。重合開始剤の具体例としては、アゾビスイソ
ブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベ
ンゾイルパーオキサイドなどの熱重合開始剤、ベンゾイ
ンメチルエーテル、ベンゾフェノン、2,3−ペンタン
ジオン、カンファーキノン、2−メチルチオキサンソ
ン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフ
ィンオキサイドなどの光重合開始剤を挙げることができ
る。重合開始剤の含有量は、親水基を有するモノマー1
00重量部に対して、0.01〜10重量部の割合であ
るのが好ましい。
【0027】表面処理剤の型表面へのコーティングに当
たっては、型表面に表面処理剤を均一にコーティングし
得る方法のいずれもが使用でき特に制限されない。例え
ば、表面処理剤中に型を浸漬する方法、表面処理剤を型
表面に噴霧またはスピンコートする方法などを挙げるこ
とができる。
【0028】型表面に表面処理剤をコーティングした
後、上記(ii)の工程において、溶剤を除去することに
より、上記の親水性モノマーおよび親水性高分子からな
るコーティング層が形成される。溶剤の除去方法として
は、風乾、減圧、加熱等の乾燥手段を採用することがで
きる。
【0029】溶媒を除去した後のコーティング層の厚さ
は、0.01〜1μmの範囲内であるのが好ましく、ま
たコーティング層はコーティング面全体に均一であるの
が望ましい。これを実現する方法として、本発明ではス
ピンコート法が好適に用いられる。層の厚さは、スピン
コートの回転数または表面処理剤における溶剤の割合に
より調整することができる。
【0030】表面処理剤をコーティングする部位は、型
の全表面でも型表面の一部でもよく、ポリマー成形品の
種類、形状、用途などに応じて、親水性であることが必
要または好ましいとされている表面部分に相当する型の
表面部分にコーティングを施せばよい。ポリマー成形品
がコンタクトレンズや眼内レンズである場合は、レンズ
の全表面に親水性ポリマー層が形成されるようにレンズ
の全表面に相当する型表面にコーティングするのが好ま
しい。
【0031】上記のようにして型表面に親水基を有する
モノマーおよび親水性高分子からなるコーティング層を
形成させた後、上記(iii)の工程において、型(型キ
ャビティ)内に、親水基を有するモノマーと共重合可能
な重合性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー
から主としてなる重合性組成物(以下、これを単に「重
合性組成物」ということがある)を充填する。型内に充
填される重合性組成物は、ポリマー成形品本体を形成す
るための前駆物質であり、ポリマー成形品の用途などに
応じて、それぞれに合致する重合性組成物を選択して使
用するとよい。重合性組成物を構成するモノマーおよび
/またはオリゴマーは、型表面にコーティングされた親
水基を有するモノマーと共重合することが必要であり、
ビニル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーが
好ましく用いられる。
【0032】重合性組成物に用いるモノマーの例として
は、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)ア
クリレート類、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリ
レート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレー
ト、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル
(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)
シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビ
ス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチル
シロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート等のシ
ロキサニル(メタ)アクリレート類、N−[トリス(ト
リメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリル
アミド、N−メチル−N−[トリス(トリメチルシロキ
シ)シリル]プロピル(メタ)アクリルアミド等のシロ
キサニル(メタ)アクリルアミド類、2,2,2,−ト
リフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−
トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル(メタ)
アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オク
タフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,
3,3,4,4,5,5,6,6、7、7−ドデカフル
オロヘプチル(メタ)アクリレート等のフッ化アルキル
(メタ)アクリレート類、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビ
ニル等のビニルエステル類、フマル酸ジエステル類、マ
レイン酸ジエステル類などを挙げることができる。
【0033】また、重合性組成物に用いるオリゴマーの
例としては、少なくとも1個の重合性基を有するシリコ
ーンオリゴマー、ウレタンオリゴマー、シリコーン・ウ
レタンオリゴマー、ブタジエンオリゴマー、(メタ)ア
クリレートオリゴマーなどを挙げることができる。さら
に、重合性組成物は、必要に応じて、架橋剤として、例
えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、アジピン酸ジビ
ニル等の多官能性モノマーを重合性組成物の全重量に対
して0.1〜30重量%含有していてもよい。本発明で
は、ポリマー成形品の用途などに応じて、上記したモノ
マーおよびオリゴマーの1種または2種以上、並びに場
合により上記したような架橋剤の1種または2種以上を
用いて型に充填する重合性組成物を調製することができ
る。
【0034】ポリマー成形品が、例えば医療用品、特に
コンタクトレンズである場合には、高酸素透過性のコン
タクトレンズを得るために、シロキサニル(メタ)アク
リレート、シロキサニル(メタ)アクリルアミド、シリ
コーンオリゴマーなどのシリコーン化合物の1種または
2種以上が重合性組成物の調製に好適に用いられる。
【0035】重合性組成物は、型内での重合を円滑に行
わせる目的で、重合開始剤を含有しているのが望まし
い。重合開始剤の具体例としては、アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベンゾイ
ルパーオキサイドなどの熱重合開始剤、ベンゾインメチ
ルエーテル、カンファーキノン、2−メチルチオキサン
ソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホ
スフィンオキサイドなどの光重合開始剤を挙げることが
できる。これらの重合開始剤の含有量は、重合性組成物
100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲内で
あるのが好ましい。
【0036】また、目的とするポリマー成形品が高い寸
法精度(成形精度)で得られるようにするために、重合
性組成物の重合収縮率が10%以下であるようにして重
合性組成物の調製を行うのが望ましく、そのために重合
性組成物全体に含まれるビニル基1個当たりの平均分子
量が200以上になるようにして、モノマーやオリゴマ
ーの種類を選択したり、重合性組成物の組成を調整する
のが望ましい。
【0037】重合性組成物を型に充填した後に、上記
(iv)の工程において、型表面に形成したコーティング
層に存在する親水基を有するモノマーおよび型内に充填
した重合性組成物を共に重合(共重合)させ、同時に成
形を行う。重合性組成物が外部から熱、光などのエネル
ギーを与えなくても発熱などを生じてそれ自体で重合す
る場合には、型内に重合性組成物を充填するだけで重合
・成形を行うことができるが、一般的には重合性組成物
を型内に充填した後に外部からエネルギーを与えること
により、重合を開始して、型表面に形成したコーティン
グ層に存在する親水基を有するモノマーと型内に充填し
た重合性組成物を共に重合させて、親水性ポリマー層を
表面に有するポリマー成形品を形成させる。
【0038】表面処理剤および/または重合性組成物が
熱重合開始剤を含有する場合は、温風、熱風、温水、熱
水、輻射熱、マイクロ波などによる加熱を行って、表面
処理剤および/または重合性組成物が光重合開始剤を含
有する場合は紫外線、可視光線などの光を照射して、ま
た表面処理剤および/または重合性組成物が熱重合開始
剤および光重合開始剤の両方を含有する場合は前記した
加熱と光照射を併用して、型表面のコーティング層に存
在する親水基を有するモノマーと型内に充填した重合性
組成物を共に重合(共重合)させるとよい。
【0039】加熱により重合を行う場合の加熱温度は、
使用する親水基を有するモノマー、重合性組成物を構成
するモノマーやオリゴマーの種類、型の材質、目的とす
るポリマー成形品の形状、大きさなどに応じて異なり得
るが、一般には、50〜120℃の温度が採用される。
光照射により重合を行う場合は、例えば、高圧水銀ラン
プ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンラン
プ、メタルハライドランプなどを用いることができる。
また、光照射によって重合を行う場合は、照射光を型内
部まで到達させるために、透明または半透明の型を用い
るのが好ましい。
【0040】そして、型内での重合が進行して、外力に
より永久変形を起こさないような形状保持性のポリマー
成形品が型内に生成した段階以降の時点で、ポリマー成
形品を型から取り出す。ポリマー成形品が型に密着して
型から分離しにくい場合には、超音波による振動、熱シ
ョック、水蒸気への暴露などの手段を用いて型から分離
することができる。
【0041】型から分離したポリマー成形品は、成形品
の表面に存在する重合に関与しない親水性高分子を溶剤
などで洗浄除去することができる。洗浄の際は、親水性
高分子が溶解する溶剤にポリマー成形品を浸漬して超音
波による振動を与えるなどの方法を用いることができ
る。
【0042】本発明の製造方法により得られるポリマー
成形品は、その表面の少なくとも一部が親水性であるこ
とが必要または好ましいとされる各種の用途、例えば、
一般工業用品、生活用品、医療用品、農林水産用品など
の各種用途に有効に用いることができる。そのうちで
も、上記のポリマー成形品は、人工臓器、カテーテル、
眼内レンズ、コンタクトレンズ、歯科材料などの医療用
品として適しており、特にコンタクトレンズ、眼内レン
ズなどに適している。本発明の製造方法により、例えば
シリコーン樹脂製のコンタクトレンズを製造する場合
は、疎水性であるシリコーン樹脂製のレンズ本体の表面
に上記した本体への接着性、耐久性、持続性に優れる親
水性ポリマー層を有することにより、角膜へのレンズの
固着を防ぎ、鮮明な視力を確保し、しかも装用感、酸素
透過性に優れ、汚染しにくく、耐久性に優れる高品質の
コンタクトレンズを得ることができる。
【0043】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
制限されるものではない。以下の例において、ポリマー
成形品表面の親水性の評価(水の接触角の測定)、ポリ
マー成形品表面の外観検査、並びにポリマー成形品の親
水性層(親水性ポリマー層)の耐久性の評価は次の方法
で行った。
【0044】(1)ポリマー成形品表面の親水性の評価
(水の接触角の測定):ポリマー成形品表面を水および
/または有機溶剤で洗浄し、清浄にした型表面またはポ
リマー成形品表面を接触角計(協和界面科学株式会社
「CA−P型」)にセットし、マイクロシリンジで精製
水をそれらの表面上に滴下し、気/液界面と該表面がな
す角度を測定して接触角とした。測定は10回繰り返
し、その平均値(θ)と標準偏差(A)を算出し、θ±
A(°)として本明細書に記載した。
【0045】(2)ポリマー成形品表面の外観検査(親
水性ポリマー層のピンホール検査):ポリマー成形品表
面を水および/または有機溶剤で洗浄し、拡大万能投影
機で10倍に拡大して、直径0.5mm以上のピンホー
ル(親水性ポリマー層の欠落部分)数を測定した。
【0046】(3)ポリマー成形品表面の耐久性の評価
(摩擦試験):中心を軸として回転運動する円盤上に試
験片(ポリマー成形品自体またはそれから採取した試験
片)を固定し、幅5mmの牛革をループ状にした摩擦子
(直径9.6mmの環状物;試験片表面に接触する牛革
の中心線平均粗さ0.5μm)を円盤の回転中心から5
mm離れた位置の試験片上方に固定し、荷重1.3g/
cm2の圧力下に試験片をその下方から前記摩擦子に対
して押しつけて試験片の表面を摩擦子に押圧接触させ
た。円盤を500rpmで5000回転させて(回転時
間10分)、試験片表面と牛革製の摩擦子の間に滑り摩
擦を生ぜしめた。前記の摩擦試験を行う前の試験片表面
に対する水の接触角(θ0)と前記摩擦試験後の試験片
表面に対する水の接触角(θ1)をそれぞれ測定し、θ1
/θ0の値が大きいほど[摩擦後の接触角(θ1)が大き
いほど]、試験片表面の親水性の耐久性が悪いものと判
定した。
【0047】《実施例1》 (1) グリセリンモノメタクリレート10重量%、ポ
リビニルアルコール(銘柄「PVA505」:株式会社
クラレ製)10重量%および蒸留水80重量%からなる
表面処理剤を調製し、これをスピンコーター(型名「1
X−DX2」:ミカサ株式会社製)に配置したポリブチ
レンテレフタレート製角板(50mm×50mm×3m
m;水の接触角78゜)の表面中央に1ml滴下し、5
00rpmで30秒回転させた。これを風乾して、ポリ
ブチレンテレフタレート製角板の表面にグリセリンモノ
メタクリレートおよびポリビニルアルコールからなるコ
ーティング層を形成させた。 (2) 上記(1)で得られたコーティング層を有する
ポリブチレンテレフタレート製角板のコーティング面を
上に向けて、その上にテフロン(登録商標)製の方形の
型枠(内寸:縦×横×厚さ=25mm×25mm×3m
m)を設置して上面の解放した型を形成した。その中
に、重合度58のポリジメチルシロキサン鎖の両末端に
メタクリロイルジメチルシリル基が結合したオリゴマー
(以下、「MPPS−60」という)25gにα,α’
−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを配合した重合
性組成物を型キャビティーが一杯になるまで流し込み、
窒素気流下に60℃で20時間加熱して無色透明の硬化
した重合物を得た。 (3) 上記(2)で得られた重合物を型から外した
後、蒸留水に浸漬して超音波を5分間照射し、成形品表
面に存在するポリビニルアルコールを完全に洗浄除去し
た。このようにして無色透明のポリマー成形品を得た。 (4) 上記(3)で得られたポリマー成形品の水の接
触角を上記した方法で測定したところ、ポリブチレンテ
レフタレート製角板(型)に接触していない表面部分
(型の開放面に相当する表面部分)の接触角は102±
4°であったのに対し、ポリブチレンテレフタレート製
角板(型)に接触していた表面部分の接触角は45±3
°であり、親水性が高くその均一性にも優れていた。 (5) 上記(3)で得られたポリマー成形品の外観検
査を上記した方法で実施したところ、ポリブチレンテレ
フタレート製角板(型)に接触していた表面部分に親水
性ポリマー層の欠落したピンホールはなかった。 (6) 上記(3)で得られたポリマー成形品表面の摩
擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験後のポ
リマー成形品表面に対する水の接触角は45±4°(θ
1/θ0=1.0)であり、摩擦試験後も親水性の低下が
全く生じておらず、ポリマー成形品表面に形成された親
水性ポリマー層のポリマー成形品本体への接着性が極め
て高く、且つ耐久性が極めて高いことが証明された。 (7) また、上記(3)で得られたポリマー成形品を
空気中に2ヵ月間放置した後に、ポリブチレンテレフタ
レート製角板(型)に接触していた表面部分に対する水
の接触角を再度測定したところ、接触角は45±4°の
ままであり、変化がなかった。 (8) この実施例1の結果から、疎水性の型表面(ポ
リブチレンテレフタレート製角板表面)に、親水基を有
するモノマーと親水性ポリマーのコーティング層を形成
した後、その型内に重合性組成物を充填して、親水基を
有するモノマーおよび重合性組成物を重合(共重合)さ
せて得られたこの実施例1の本発明の製造方法により製
造したポリマー成形品は、ポリマー成形品表面に水の接
触角の極めて小さい高い親水性(水濡れ性)を有する親
水性ポリマー層が形成され、しかもその親水性ポリマー
層にはピンホールなど欠落部分がなく親水性の均一性に
優れ、耐久性、持続性、ポリマー成形品本体への接着性
も兼ね備えていて、ポリマー成形品本体からの剥離や脱
落がなく、長期に亙ってポリマー成形品表面を高い親水
性に保ち得ることがわかる。
【0048】《実施例2》 (1) 実施例1の(1)における表面処理剤として、
2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン(以下、
これをMPCという)10重量%、ポリビニルアルコー
ル(銘柄「PVA505」:株式会社クラレ製)10重
量%および蒸留水80重量%からなる表面処理剤を用い
た以外は、実施例1の(1)〜(3)と同様にしてポリ
マー成形品を得た。 (2) 上記(1)で得られたポリマー成形品のポリブ
チレンテレフタレート製角板と接触していた表面部分に
対する水の接触角を測定したところ、その接触角は35
±4°であり、親水性が高くその均一性にも優れてい
た。 (3) 上記(1)で得られたポリマー成形品の外観検
査を上記した方法で実施したところ、ポリブチレンテレ
フタレート製角板(型)に接触していた表面部分に親水
性ポリマー層のピンホールはなかった。 (4) また、上記(1)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は32±3
°(θ1/θ0=0.91)であった。
【0049】《実施例3》 (1) 実施例1の(1)における表面処理剤として、
グリセリンモノメタクリレート10重量%、ポリビニル
ピロリドン15重量%および蒸留水75重量%からなる
表面処理剤を用いた以外は、実施例1の(1)〜(3)
と同様にしてポリマー成形品を得た。 (2) 上記(1)で得られたポリマー成形品のポリブ
チレンテレフタレート製角板と接触していた表面部分に
対する水の接触角を測定したところ、その接触角は47
±4°であり、親水性が高くその均一性にも優れてい
た。 (3) 上記(1)で得られたポリマー成形品の外観検
査を上記した方法で実施したところ、ポリブチレンテレ
フタレート製角板(型)に接触していた表面部分に親水
性ポリマー層のピンホールはなかった。 (4) また、上記(1)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は49±3
°(θ1/θ0=1.04)であった。
【0050】《実施例4》 (1) 実施例1の(1)における表面処理剤として、
グリセリンモノメタクリレート5重量%、ポリビニルピ
ロリドン10重量%および2−プロパノール85重量%
からなる表面処理剤を用いた以外は、実施例1の(1)
〜(2)と同様にして無色透明の硬化した重合物を得
た。 (2) 上記(1)で得られた重合物を型から外した
後、蒸留水に浸漬して超音波を5分間照射し、成形品表
面に存在するポリビニルピロリドンを完全に洗浄除去し
た。こうして無色透明のポリマー成形品を得た。 (3) 上記(2)で得られたポリマー成形品のポリブ
チレンテレフタレート製角板と接触していた表面部分に
対する水の接触角を測定したところ、その接触角は52
±3°であり、親水性が高くその均一性にも優れてい
た。 (4) また、上記(2)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は54±3
°(θ1/θ0=1.04)であった。
【0051】《比較例1》 (1) 実施例1の(1)において、表面処理剤とし
て、グリセリンモノメタクリレートの10%水溶液を用
いた以外は、実施例1の(1)〜(2)と同様にして無
色透明の硬化した重合物を得た。 (2) 上記(1)で得られた重合物を型から外した
後、蒸留水に浸漬して超音波を5分間照射して洗浄し、
無色透明のポリマー成形品を得た。 (3) 上記(2)で得られたポリマー成形品のポリブ
チレンテレフタレート製角板と接触していた表面部分に
対する水の接触角を測定したところ、その接触角は97
±5°であり、親水性(水濡れ性)を殆ど示さなかっ
た。 (4) この比較例1の結果から、疎水性の型を用いて
親水性表面を有するポリマー成形品を製造する場合、表
面処理剤に親水性高分子を含まないと親水性ポリマー層
がポリマー成形品表面に円滑に形成されず、親水性の高
い表面を有するポリマー成形品が得られないことがわか
る。
【0052】《比較例2》 (1) 実施例1の(1)において、表面処理剤とし
て、ポリビニルアルコール(銘柄「PVA505」:株
式会社クラレ製)の10%水溶液を用いた以外は、実施
例1の(1)〜(3)と同様にして無色透明のポリマー
成形品を得た。 (2) 上記(1)で得られたポリマー成形品のポリブ
チレンテレフタレート製角板と接触していた表面部分に
対する水の接触角を測定したところ、その接触角は10
5±5°であり、親水性(水濡れ性)を全く示さなかっ
た。 (3) この比較例2の結果から、表面処理剤に親水基
を有するモノマーを含まないと親水性の表面を有するポ
リマー成形品が得られないことがわかる。
【0053】《比較例3》 (1) 実施例1の(1)において、表面処理剤とし
て、MPCの10%水溶液を用いた以外は、実施例1の
(1)〜(2)と同様にして無色透明の硬化した重合物
を得た。 (2) 上記(1)で得られた重合物を型から外した
後、蒸留水に浸漬して超音波を5分間照射して洗浄し、
無色透明のポリマー成形品を得た。 (3) 上記(2)で得られたポリマー成形品のポリブ
チレンテレフタレート製角板と接触していた表面部分に
対する水の接触角を測定したところ、その接触角は89
±16°であり、表面処理剤における親水基を有するモ
ノマーとして同様にMPCを用いた実施例2と比較して
親水性(水濡れ性)は低く、その均一性も劣っていた。 (4) また、上記(2)で得られたポリマー成形品の
外観検査を上記した方法で実施したところ、ポリブチレ
ンテレフタレート製角板(型)に接触していた表面部分
に1cm2当たり2.4個の親水性ポリマー層の欠落し
たピンホールが観察された。
【0054】《比較例4》 (1) 実施例4の(1)において、表面処理剤とし
て、グリセリンモノメタクリレートの5%2−プロパノ
ール溶液を用いた以外は、実施例4の(1)と同様にし
て無色透明の硬化した重合物を得た。 (2) 上記(1)で得られた重合物を型から外した
後、蒸留水に浸漬して超音波を5分間照射して洗浄し、
無色透明のポリマー成形品を得た。 (3) 上記(2)で得られたポリマー成形品のポリブ
チレンテレフタレート製角板と接触していた表面部分に
対する水の接触角を測定したところ、その接触角は10
2±4°であり、親水性(水濡れ性)を殆ど示さなかっ
た。
【0055】《実施例5》 (1) 射出成形によりポリスチレン(水の接触角;8
3°)製のキャスト重合用の型を製造した。これにより
得られた型は、凸型と凹型からなり、両者を嵌合する
と、半径15mm、厚さ0.5mmの円板に相当する閉
鎖した型キャビティが形成されるように設計してある。 (2) 上記(1)で得られた凸型と凹型をMPC5重
量%、ポリビニルアルコール(銘柄「PVA505」:
株式会社クラレ製)10重量%、蒸留水75重量%およ
び2−プロパノール10重量%からなる表面処理剤に浸
漬し、ゆっくり引き上げて、乾燥窒素ガス雰囲気中で風
乾し、各型の表面にMPCとポリビニルアルコールから
なるコーティング層を形成した。 (3) 上記とは別に、MPPS−60を20g、t−
ブチルメタクリレートを5gおよび2,4,6−トリメ
チルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドを0.
05g混合して光重合性組成物を調製した。 (4) 上記(2)においてコーティング層を形成した
凹型内に上記(3)で調製した脱気した光重合性組成物
を注入し、アルゴン雰囲気下で、それに凸型を嵌合して
閉鎖した。型を高圧水銀ランプ(120W)の10cm
直下に置き、紫外線を1時間照射して重合を行わせた。 (5) 上記(4)で得られた重合物を型から取り外し
た後、蒸留水に浸漬して超音波照射し、表面に存在する
ポリビニルアルコールを完全に洗浄除去して、半径1
4.5mm、厚さ0.5mmの円盤状の透明なポリマー
成形品を得た。 (6) 上記(5)で得られたポリマー成形品表面に対
する水の接触角を上記した方法で測定したところ、その
接触角は34±3°であり、親水性が高くその均一性に
も優れていた。 (7) 上記(5)で得られたポリマー成形品の外観検
査を上記した方法で実施したところ、ポリマー成形品表
面に親水性ポリマー層のピンホールはなかった。 (8) また、上記(5)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は33±3
°(θ1/θ0=0.97)であった。
【0056】《参考例1》本発明者らによる上記した特
開平11−172149号公報に記載された発明と本発
明を比較する目的で、次に示す方法でポリマー成形品を
製造した。 (1) 実施例5の(1)における型の材質を水溶性の
溶融成形用ポリビニルアルコール(銘柄「ポバールCP
−1000」:株式会社クラレ製)に置き換え、実施例
5の(2)における表面処理剤として、MPCの5%2
−プロパノール溶液を用いた以外は、実施例5の(1)
〜(4)と同様にして重合物を得た。 (2) 上記(1)で得られた重合物を型内に入れたま
ま、型ごと室温下で水中に1日間浸漬したところ、PV
A製の型は消失し、半径14.5mm、厚さ0.5mm
の円盤状の透明なポリマー成形品が回収された。 (3) 上記(2)で得られたポリマー成形品の表面を
流水で十分に水洗し、その表面に付着しているPVAを
完全に洗い流した。 (4) 上記(3)で得られたポリマー成形品表面に対
する水の接触角を上記した方法で測定したところ、その
接触角は35±8°であり、親水性の均一性は実施例5
と比較して劣っていた。 (5) 上記(3)で得られたポリマー成形品の外観検
査を上記した方法で実施したところ、ポリマー成形品表
面に親水性ポリマー層の欠落したピンホールがポリマー
成形品1個当たり0.2個の割合で観察された。 (6) また、上記(3)で得られたポリマー成形品表
面の摩擦試験を上記した方法で行ったところ、摩擦試験
後のポリマー成形品表面に対する水の接触角は35±9
°であり(θ1/θ0=1.00)、摩擦試験後も親水性
(水濡れ性)の低下が全く生じなかった。 (7) この参考例1の結果から、実施例5では、参考
例1のポリマー成形品に対して、親水性の均一性が一層
高く、親水性ポリマー層の欠落したピンホールが全くな
いという更なる改良がなされたことが分かる。
【0057】《実施例6》 (1) 射出成形によりポリプロピレン(水の接触角;
86°)製のキャスト重合用の型を製造した。これによ
り得られた型は、凸型と凹型からなり、両者を嵌合する
と、直径14.0mm、BC8.6、度数0、中心厚さ
0.2mmのコンタクトレンズの外形に相当する密閉型
キャビティが形成されるように設計してある。 (2) 上記(1)で得られた凸型をスピンコーター
(型名「1X−DX2」:ミカサ株式会社製)に配置
し、型表面にMPC5重量%、ポリビニルアルコール
(銘柄「PVA505」:株式会社クラレ製)10重量
%、蒸留水75重量%および2−プロパノール10重量
%からなる表面処理剤を0.5ml滴下し、3000r
pmで30秒回転させた。これを風乾して、凸型の表面
にMPCおよびポリビニルアルコールからなるコーティ
ング層を形成させた。また、上記(1)で得られた凹型
にも、同様にして型表面にMPCおよびポリビニルアル
コールからなるコーティング層を形成させた。 (3) 上記とは別に、MPPS−60を20g、t−
ブチルメタクリレートを5gおよびα,α’−アゾビス
イソブチロニトリル0.1gを混合して重合性組成物を
調製した。 (4) 上記(2)においてコーティング層を形成した
凹型内に上記(3)で調製した脱気した重合性組成物を
注入し、窒素気流下で、それに凸型を嵌合して閉鎖し、
60℃で20時間加熱して重合を行わせた。 (5) 上記(4)で得られた重合物を型から外した
後、蒸留水に浸漬して超音波を5分間照射し、成形品表
面に存在するポリビニルアルコールを洗浄除去した。こ
のようにして、直径13.8mm、BC8.6mm、中
心厚さ0.2mmの透明なコンタクトレンズを得た。 (6) 上記(5)で得られたコンタクトレンズ表面に
対する水の接触角を上記した方法で測定したところ、そ
の接触角は36±2°であり、親水性が高くその均一性
にも優れていた。 (7) また、上記(5)で得られたコンタクトレンズ
の外観検査を上記した方法で実施したところ、コンタク
トレンズ表面に親水性ポリマー層のピンホールはなかっ
た。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、成形品本体を構成する
ポリマー本来の機能が損なわれることなくそのまま保持
され、且つ成形品本体の表面に、成形品本体との接着
性、耐久性、持続性に優れる親水性ポリマー層を有し、
しかも前記親水性ポリマー層にピンホールなどの欠落部
分がなく親水性の均一性が高い高品質のポリマー成形品
を確実に且つ円滑に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F204 AA19 AA21 AA25 AC05 AD11 AG03 AH63 AH74 EA03 EA04 EB01 EB22 EE03 EE07 EE21 EF01 EF02 EF27 EK24 EK27 EW01 EW31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形品本体の表面に親水性ポリマー層を
    有するポリマー成形品を製造する方法において; (i)疎水性の表面を有する型の表面に、親水基を有す
    るモノマー、親水性高分子および溶剤からなる表面処理
    剤をコーティングする工程; (ii)前記溶剤を除去することにより、前記親水基を有
    するモノマーと前記親水性高分子からなるコーティング
    層を形成する工程; (iii)前記コーティング層を形成した型内に前記親水
    基を有するモノマーと共重合可能な重合性基を有するモ
    ノマーおよび/またはオリゴマーから主としてなる重合
    性組成物を充填する工程;および (iv)前記コーティング層に存在する前記親水基を有す
    るモノマーおよび前記重合性組成物を共に重合させる工
    程;を含むことを特徴とする親水性表面を有するポリマ
    ー成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 親水性高分子がポリビニルアルコール系
    重合体である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリマー成形品が医療用品である請求項
    1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリマー成形品がコンタクトレンズであ
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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