JPH11171890A - けい素化合物の製造方法 - Google Patents

けい素化合物の製造方法

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JPH11171890A
JPH11171890A JP33728497A JP33728497A JPH11171890A JP H11171890 A JPH11171890 A JP H11171890A JP 33728497 A JP33728497 A JP 33728497A JP 33728497 A JP33728497 A JP 33728497A JP H11171890 A JPH11171890 A JP H11171890A
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general formula
compound represented
alkyl group
silicon compound
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JP33728497A
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English (en)
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Wataru Yamada
渉 山田
Katsumi Nukada
克己 額田
Rie Ishii
理恵 石井
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加水分解性置換基含有けい素化合物を効率的
に製造でき、かつ副生成物を再利用することのできる製
造方法を提供すること。 【解決手段】 下記一般式(I)で示される化合物と、
下記一般式(II)で示される化合物とを反応させること
からなる、下記一般式(III )で示される加水分解性置
換基含有けい素化合物の製造法。 一般式(I) M−(R3 2 + hal- −CH2 −Y−SiR
1(3-a)(OR2 a 一般式(II) A−(CHO)n 一般式(III ) A[−CH=CH−Y−SiR1(3-a)(OR2 a n 一般式(I)ないし(III )中、Mは担持体を示し、R
3 はアルキル基またはフェニル基を示し、halはハロ
ゲン原子を示し、Yは2価の基を示し、R1 は水素、ア
ルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を示
し、R2 は水素、アルキル基、またはトリアルキルシリ
ル基を示し、aは1〜3の整数を示す。Aは光機能性基
を示し、nは1〜4の整数を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はけい素化合物の新規
な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、セラミックス等の無機物は機
械的強度、耐熱性、耐酸化性などに優れており、有機物
は所望の機能、特性を持たせるための分子設計がしやす
いという点で優れている。上記のような、無機物、有機
物の両方の特性を生かすために、無機物のマトリックス
中に、機能性の有機分子をドーピングする方法が知られ
ているが、そのような方法では、無機材料と有機材料の
性質は本質的に異なり、相分離しやすいためドーピング
量が限られてしまったり、本来無機物のマトリックスが
持つ機械的強度を低下させてしまうという欠点がある。
上記の欠点を解決するために、無機物と有機物を化学結
合を介して、複合化させる方法が多く試みられている。
例えば、『染料と薬品』第41巻第12号(1996)にはエトキ
シシリル基を有するスピロピランとエトキシシランとの
縮合反応を用いることにより、スピロピランが均一に分
散されたシロキサン樹脂の塗膜が得られることが紹介さ
れている。無機/有機複合化のための材料として、アル
コキシシラン等のカップリング部位を有する機能性化合
物は無機材料と有機材料を化学結合によりネットワーク
を形成させるため、相溶性がよく、強固な膜が形成でき
るため有用な化合物として注目されており、研究が盛ん
にされている。
【0003】なお、有機化合物にけい素原子含有加水分
解性置換基を導入する方法としては一般的には以下に挙
げるような方法が知られている。 1)アルケンやアルキンのヒドロシリル化反応を用いた
合成法 ヒドロシリル化 (hydrosilylation)とは、水素化ケイ素
を種々の条件下で、炭素−炭素不飽和結合に付加し、有
機ケイ素化合物を生成する合成法である。中でも、「有
機金属化学」p.322 (1982)裳華房等に示されるような、
Speier試薬(H 2 PtCl6 /IPA)を用いたアルケ
ンやアルキンのヒドロシリル化反応は、触媒添加量も1
×10-7mol程度で効力があるため、様々なSi−C
結合を持ったシラン化合物を合成する非常に有用な方法
である。この方法を利用し、電荷輸送性の硬化性有機け
い素化合物を合成することについては、例えば特開平9-
190004号公報、特開平9-124665号公報などにすでに記載
されているが、本方法で合成したものはこれらの公報に
記載されたNMRスペクトルより明らかな様に異性体や
還元生成物等の不純物の混入が著しく、電子デバイス用
の高純度材料の合成には適さない。 2)Grignard反応を用いた合成法 「The Chemistry of Organic Silicon Compounds」S. P
atai編、p. 655 (1989) 等に示されるように、Grignard
試薬を用いることにより、シラン化合物の合成が可能で
ある。しかし、Grignard反応は酸素や水分等に非常に敏
感であり、かつ多量の無機塩を生じるため処理が困難に
なり、工業化するためには大幅なコストアップにつなが
ってしまう。
【0004】3)脱塩酸反応を用いたアミン系シラン化
合物の合成法 「The Chemistry of Organic Silicon Compounds」 S.
Patai編、p. 655 (1989) 等に示されるように、ハロゲ
ン置換基の付いたシランとアミンの脱塩酸反応により、
シラン化合物の合成が可能である。しかし、得られる化
合物は特殊なものに限られ、かつ必然的にアミノ基を有
するため、有機電子デバイスとして用いる場合は電荷ト
ラップとなりやすく、特性に悪影響を与えやすいという
欠点がある。 4)ウレタン結合形成反応を用いた合成法 特開平3-191358号公報にはウレタン結合を用いて電荷輸
送部位を有するシラン化合物の電子写真感光体への応用
例が提案されている。しかしながらこの方法で合成され
た化合物は、ヘテロ原子に直接結合した水素原子を有す
るため、大気中の水分を吸着しやすく、電子写真感光体
等の有機電子デバイスとして用いる際に、湿度等の影響
を受けやすく、環境安定性にかけるという欠点がある。
本発明者らはこれらの方法に対し、wittig反応による方
法が反応の選択性が高く副反応もほとんど起こらないこ
とを見いだし、特願平8-187931に提案した。この方法に
よると副生成物としてトリフェニルホスフィンオキサイ
ド等のリン化合物が生成してしまい、カラムクロマトグ
ラフィー等の方法で精製することが必須であった。しか
しながら、カラムクロマトグラフィーの吸着剤が高価で
あるために工業化する際にはコストアップにつながって
しまうという欠点があった。さらに、加水分解性置換基
を含有するけい素化合物は吸着剤自身と、あるいは吸着
剤に吸着された水と反応してしまうために収率が著しく
低下するという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加水
分解性置換基含有けい素化合物を効率的に製造でき、か
つ副生成物を再利用することのできる製造方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはwittig反応
のリンイリド前駆体として、反応に用いる溶剤に実質的
に不溶なものを用いることにより、反応後の副生成物を
カラムクロマトグラフィー等を使用せずに、ろ過のみで
容易に除去することができるため工業化する際にも有利
であることを見いだし、本発明を完成するに至った。上
記目的は、下記一般式(I)で示される化合物と、下記
一般式(II)で示される化合物とを反応させることから
なる、下記一般式(III )で示される加水分解性置換基
含有けい素化合物の製造法を提供することによって解決
される。 一般式(I)
【化8】M−(R3 2 + hal- −CH2 −Y−S
iR1(3-a)(OR2 a 一般式(II)
【化9】A−(CHO)n 一般式(III )
【化10】 A[−CH=CH−Y−SiR1(3-a)(OR2 a n 一般式(I)ないし(III )において、Mは担持体を示
し、R3 はアルキル基またはフェニル基を示し、hal
はハロゲン原子を示し、Yは2価の基を示し、R1 は水
素、アルキル基、または置換もしくは未置換のアリール
基を示し、R2は水素、アルキル基、またはトリアルキ
ルシリル基を示し、aは1〜3の整数を示す。Aは光機
能性基を示し、nは1〜4の整数を示す。本発明におい
て、一般式(I)で表される化合物が反応溶剤に実質的
に不溶であるものを使用すると、カラムクロマトグラフ
ィーや蒸留等によりwittig反応の副生成物を除去する必
要がなく、ろ過等の簡単な操作のみで取り除くことがで
きるため、低いコストで加水分解性置換基含有けい素化
合物を製造でき、有利である。
【0007】また、本発明の製造法は、加水分解性置換
基を含むけい素化合物が下記一般式(IV)で表される化
合物を製造するために適用される。 一般式(IV)
【化11】 式中、Ar1 〜Ar4 はそれぞれ独立に置換または未置
換のアリール基を示し、Ar5 は置換もしくは未置換の
アリール基またはアリーレン基を示し、かつAr1 〜A
5 のうち1〜4個は−CH=CH−Y−SiR1(3-a)
(OR2 a で表される置換基を有し、Yは2価の基を
示し、R1 は水素、アルキル基、または置換もしくは未
置換のアリール基を示し、R2 は水素、アルキル基、ま
たはトリアルキルシリル基を示し、aは1〜3の整数を
示し、kは0または1を示す。さらに、本発明において
は上記(I)で示される化合物のMが架橋した高分子で
あることが、製造あるいは入手の容易さの点で好まし
い。
【0008】さらに、本発明は、前記一般式(I)で示
される化合物が下記一般式(I’)で示される化合物と
下記一般式(I'')で示される化合物とを反応させるこ
とにより得られるものを使用する製造方法を含む。。
【化12】M−P(R3 2 一般式(I’)
【化13】 hal−CH2 −Y−SiR1(3-a)(OR2 a 一般式(I'') 一般式(I’)および(I'')中、M、R3 、hal、
Y、R1 、R2 、aは上記一般式(I)におけると同じ
意味を有する。さらに、本発明は、加水分解性置換基含
有けい素化合物の製造の過程で生じる下記一般式(I''')
で表される化合物を前記一般式(I’)で表される化合
物に還元し、再度製造に使用する方法を提供するもので
あり、副生成物を廃棄する必要がなく、環境汚染を最小
限に抑えることが可能である。
【化14】M−(R3 2 P=O 一般式(I''' ) 一般式(I''' )中、M及びR3 は上記と同じ意味を有
する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく述べ
る。本発明に示される製造法により製造しうる化合物と
しては以下のような一般式で示される化合物を挙げるこ
とができる。
【化15】 A[−CH=CH−Y−SiR1(3-a)(OR2 a n 一般式(I) 式中、Aは光機能性基、Yは2価の基を示し、R1 は水
素原子、アルキル基、または置換もしくは未置換のアリ
ール基を示し、R2 は水素原子、アルキル基、またはト
リアルキルシリル基を示し、aは1〜3の整数を示し、
nは1〜4の整数を示す。Aは光機能性を有する化合物
のn価の残基を示し、光機能性を有する化合物として
は、トリアリールアミン系化合物、トリアリールメタン
系化合物、ヒドラゾン系化合物、イミダゾール系化合物
等の電荷輸送性有機化合物、フタロシアニン、ペリレン
等の電荷発生顔料、スクアリウム、シアニン、メロシア
ニン等の電荷発生染料、アゾベンゼン等の光異性化材
料、3−ニトロアニリン等の非線形光学材料等が挙げら
れる。Yで示される2価の基としては炭素数1〜20の
アルキレン基、炭素数1〜20のアルケニレン基、−C
6 4 −R(Rは炭素数1〜10のアルキレン基又はア
ルケニレン基)−R’−C6 4 −(R’は炭素数1〜
10のアルキレン基又はアルケニレン基)、等が挙げら
れ、具体的には、直接結合(−CH=CH−とSiが直
接結合する)、−CH2 −、−(CH2 2 −、−C6
4 −、−C64 −(CH2 2 −等が挙げられる。
1 としては炭素数1〜5の直鎖のアルキル基、炭素数
3〜5の分枝アルキル基、置換又は未置換のアリール基
等が挙げられる。R2 としては水素原子、炭素数1〜1
0のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基等、t−ブチル基、トリアルキルシ
リル基(アルキル基の炭素数1〜3)、が挙げられる。
また、本発明の製造法により、前記一般式(III )のA
の光機能性基が電荷輸送性を有する化合物の残基である
化合物として、一般式(IV)で示される化合物が挙げら
れる。一般式(IV)
【化16】 式中、Ar1 〜Ar4 はそれぞれ独立に置換または未置
換のアリール基を示し、Ar5 は置換もしくは未置換の
アリール基またはアリーレン基を示し、かつAr1 〜A
5 のうち1〜4個は−CH=CH−Y−SiR1(3-a)
(OR2 a で表される置換基を有し、R1 は水素、ア
ルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を示
し、R2 は水素、アルキル基、またはトリアルキルシリ
ル基を示し、aは1〜3の整数を示し、kは0または1
を示し、Yは2価の基を示す。上記一般式(II)のAr
1 〜Ar4 としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭
素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換アミ
ノ基、もしくはフェニル基等で置換された、または置換
されていないフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が
挙げられる。また、Ar5 としては、炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、もしくは
ハロゲン原子等で置換された、または置換されていない
フェニル基、フェニレン基、ビフェニレン基、トリフェ
ニレン基等が挙げられる。−Y−SiR1(3-a)(O
2 a は、上記の一般式(I)におけると同じ意味を
有する。
【0010】本発明の製造方法によって製造される上記
一般式(IV)で示される化合物の具体例を表1〜表7に
示す。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【表6】
【0017】
【表7】
【0018】次に上記式で表される化合物の製造方法を
説明する。一般式(III )で示される化合物は、一般式
(I)で表される化合物と、一般式(II)で表される化
合物を適当な塩基を用いて反応させる、Wittig反応によ
り製造することができる。一般式(I)
【化17】M−(R3 2 + hal- −CH2 −Y−
SiR1(3-a)(OR2 a 一般式(II)
【化18】A−(CHO)n ここで、Mは支持体を示し、R3 はアルキル基、フェニ
ル基を少なくとも1種以上含有する。halはハロゲン
原子を示し、Yは2価の基を示し、R1 は水素、アルキ
ル基、または置換もしくは未置換のアリール基を示し、
2 は水素、アルキル基、またはトリアルキルシリル基
を示し、aは1〜3の整数を示す。また、Aは光機能性
基を示し、nは1〜4の整数を示す。Wittig反応に用い
る塩基性物質としては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ピ
リジン、トリエチルアミン、n-ブチルリチウム、フェニ
ルリチウム、水素化ナトリウム等から任意に選択するこ
とができる。中でも、本発明の化合物の塩基に対する安
定性を考慮すると水素化ナトリウムが特に好ましい。ま
た、塩基性物質の使用量はホスホニウム塩の種類や反応
速度に応じて任意に設定できるが、使用量が多くなると
処理、分離等が困難になるため、ホスホニウム塩1モル
に対して、1から10モル、好ましくは1から1.5モ
ルで用いられる。また、反応溶媒としては水、エタノー
ル、クロロホルム、ジクロロメタン、ニトロメタン、ジ
メチルスルホキシド、ジエチルエーテル、N,N−ジメ
チルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ペンタン、ベ
ンゼン、キシレン等から任意に選択することができ、更
に、それらの混合溶媒を用いることもできる。なお、溶
媒は脱水して用いることが好ましい。中でも反応溶媒と
しては立体選択性の高さ、反応後の分離の容易さ等を考
慮するとN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド等の非水性極性溶媒が特に好ましい。反応温度
は任意に設定できるが、0℃から150℃までの温度が
好ましく、30℃から100℃がさらに好ましい。
【0019】上記一般式(I)に示される化合物(リン
イリド先駆体)は下記一般式(I’)で示される化合物
と下記一般式(I'')で示される化合物を適当な溶剤中
で反応させることにより合成することができる。
【化19】M−P(R3 2 一般式(I’)
【化20】 hal−CH2 −Y−SiR1(3-a)(OR2 a 一般式(I'') 上記式のM、R3 、hal、Y、R1 、R2 、aは上記
一般式(I)におけると同じ意味を表す。なお、この際
の(I’)と(I'')の使用量はモル数比で1:1〜
1:10が好ましく、さらに1:1〜1:3がより好ま
しい。ここで、(I’)のモル数とは反応に有効なP
(R3 2 基のモル数を示す。
【0020】この反応に用いる溶剤としては、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカ
ン、ドデカン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、エ
チルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノ
ール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルス
ルホキシド(DMSO)等の非水性極性溶媒等の一般の
反応溶剤を用いることができる。またそれらの混合溶剤
を用いることもでき、無溶媒下で行うこともできる。用
いる溶剤の量は、重量比で(I’)と(I'')の和と溶
剤の比が1:0.1〜1:100が好ましく、さらに
1:1〜1:50がより好ましい。なお、溶媒は脱水し
て用いることが好ましい。反応温度は任意に設定できる
が、0℃から200℃までの温度が好ましく、70℃か
ら150℃がさらに好ましい。また、上記の反応は不活
性ガス下で行うことが好ましい。
【0021】また、担持体Mとしては高分子量ポリマ
ー、架橋型ポリマー、デンドリマー、アルミナ、シリカ
ゲル、ゼオライト等を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。中でも架橋型ポリマーは製造
あるいは入手の容易さの面で好ましい。
【化21】M−P(R3 2 一般式(I’) 上記一般式(I’)で示される化合物の製造法について
説明すると、担持体Mがアルミナ、シリカゲル、ゼオラ
イト等の無機金属酸化物の場合には、アルコキシシリル
基等の無機有機結合を形成可能な基を有し、かつ、−P
(R3 2 基を有する化合物と担持体を反応させ担持体
の表面をコーティングすることにより得ることができ
る。この時、触媒として酸、アルカリ等を用いることが
できる。また、担持体Mが高分子ポリマーの場合には、
重合性官能基を有し、かつ、−P(R3 2 基を有する
化合物を、活性の高い触媒を用いて高分子量になるまで
重合する等の方法により製造することができる。また、
架橋型ポリマーの場合はMargaret Bernard ; Warren T.
Ford, J. Org. Chem. 1983, 48, 326-332. 等に示され
るような方法により合成することもできるが、市販品(A
ldrich社製; 商品名Triphenylphosphine, Polymer Supp
orted)を購入することもできる。
【0022】また、担持体の形状はビーズ状、繊維状、
針状、網状、シート状のもの等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。中でもビーズ状
のものは製造あるいは入手の容易さの面で好ましい。な
お、前記のようなWittig反応により、下記一般式
(I''')で示されるホスフィンオキサイドが副生成物と
して生じるが、このホスフェートは実質的に反応に用い
る溶剤に不溶なため、ろ過等の簡単な操作により容易に
取り除くことができる。
【0023】
【化22】M−(R3 2 P=O (I''' ) さらに、前記一般式(I''')で示されるホスフィンオキサ
イドは適当な還元剤により前記一般式(I')で示されるホ
スフィンに還元し、原料として再利用することができ
る。この際用いる還元試薬としては特にヒドロシラン類
が使用され、この中でもトリクロロシラン等が好適に用
いられる。
【0024】本発明の、上記一般式(IV)で示される化
合物は、一般式(III )で示される化合物と同様の方法
で製造することができる。すなわち、一般式(IV)で示
される化合物は、下記一般式(IV’)で示されるホルミ
ル化合物と上記一般式(I)で示される化合物を、上記
のような塩基性物質の存在下、Wittig反応により
製造することができる。
【0025】一般式(IV’)
【化23】
【0026】式中、Ar6 〜Ar9 は置換または未置換
のアリール基を示し、Ar10は置換もしくは未置換のア
リール基またはアリーレン基を示し、Ar6 〜Ar10
うち1〜4個は−CHO基を有する。kは0または1を
示す。上記一般式(C)のAr6 〜Ar9 としては、炭
素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキ
シ基、ハロゲン原子、置換アミノ基、もしくはフェニル
基等で置換された、または置換されていないフェニル
基、ナフチル基、ビフェニル基が挙げられる。また、A
10としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1
〜10のアルコキシ基、もしくはハロゲン原子等で置換
された、または置換されていないフェニル基、フェニレ
ン基、ビフェニレン基、トリフェニレン基等が挙げられ
る。
【0027】一般式(I)
【化24】M−(R3 2 + hal- −CH2 −Y−
SiR1(3-a)(OR2 a ここで、Mは担持体を示し、R3 はアルキル基またはフ
ェニル基を少なくとも1種以上含有する。halはハロ
ゲン原子を示し、Yは2価の基を示し、R1 は水素、ア
ルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を示
し、R2 は水素、アルキル基、またはトリアルキルシリ
ル基を示し、aは1〜3の整数を示す。
【0028】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳しく説明す
る。 <化合物(3) の合成> 実施例1 窒素置換した二口フラスコに3−ヨードプロピルトリメ
トキシシラン25gを入れ、トルエン200mlに溶解
させた。次いで、ポリマーに担持されたトリフェニルホ
スフィン(Aldrich社製; 商品名Triphenylphosphine, Po
lymer Supported)25gを加えた。その後、撹拌しなが
ら24時間加熱還流した。固体をろ別した後トルエンで
よく洗い減圧下溶媒を除去し、ポリマーに担持されたホ
スホニウム塩40gを得た。( 薄茶色固体) 窒素置換した二口フラスコに上記で合成した、ポリマー
に担持されたホスホニウム塩5gを入れ、無水ジメチル
ホルムアミド50mlを加えた。次いで、反応系を−5
℃に冷却し、水素化ナトリウム1.2gを加えた後、室
温まで徐々に温℃を上げ反応系が橙色になるまで2時間
撹拌した。その後、反応系を再び−5℃に冷却し撹拌し
ながら、N−(4−ホルミルフェニル)−N−(3,4
−ジメチルフェニル) ビフェニル−4−アミン5.0g
を加え1時間撹拌した後、徐々に70℃まで温度を上
げ、さらに5時間撹拌した。反応終了後メタノール30
mlを加え、吸引ろ過によりポリマーに担持されたホス
フィンオキサイドを取り除いた。さらにろ液をロートに
シリカゲルを敷き吸引ろ過を行った。更に反応混合物を
1lの氷水中に注ぎトルエンで抽出し減圧下溶媒を除去
し、化合物(3)5.1gを得た。( 淡黄色油状物質、
IRを図1に示す。)
【0029】<再生したリンイリド先駆体を利用した化
合物(3)の合成> 実施例2 実施例1で回収されたポリマーに担持されたホスフィン
オキサイド4 gにトルエン25ml、N,N-ジメチルアニリ
ン5 ml、トリクロロシラン2 mlを加え撹拌しながら
24時間加熱還流した。その後固体をろ別し、トルエンで
よく洗い減圧下乾燥し、茶色の固体3.8 gを得た。窒素
置換した二口フラスコに3-ヨードプロピルトリメトキシ
シラン 3.5gを入れ、トルエン 30 mlに溶解させた。
次いで、上記で再生したトリフェニルホスフィンポリマ
ーサポーティッド3.5 gを加えた。その後、撹拌しなが
ら24時間加熱還流した。固体をろ別した後トルエンでよ
く洗い減圧下溶媒を除去し、ポリマーに担持されたホス
ホニウム塩5.5 gを得た。( 薄茶色固体) 窒素置換した二口フラスコに上記で再生したポリマーに
担持されたホスホニウム塩 3.5gを入れ、無水ジメチル
ホルムアミド 40 mlを加えた。次いで、反応系を-5℃
に冷却し、水素化ナトリウム0.8 gを加えた後、室温ま
で徐々に温度を上げ反応系が橙色になるまで2時間撹拌
した。その後、反応系を再び-5℃に冷却し撹拌しなが
ら、N -(4-ホルミルフェニル)-N-(3,4 -ジメチルフェニ
ル) ビフェニル-4- アミン3gを加え1時間撹拌した
後、徐々に70℃まで温度を上げ、さらに7 時間撹拌し
た。反応終了後メタノール30mlを加え、吸引ろ過によ
りポリマーに担持されたホスフィンオキサイドを取り除
いた。さらにろ液をロートにシリカゲルを敷き吸引ろ過
を行った。更に反応混合物を1lの氷水中に注ぎトルエン
で抽出し減圧下溶媒を除去し、化合物(3)2.7gを得た。
【0030】
【発明の効果】本発明の製造方法により種々の有機電子
デバイスに応用可能な加水分解性置換基含有けい素化合
物を効率的に製造することができ、かつ副生成物を再利
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(3)のIR吸収曲線を表す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示される化合物と、
    下記一般式(II)で示される化合物とを反応させること
    からなる、下記一般式(III )で示される加水分解性置
    換基含有けい素化合物の製造法。 一般式(I) 【化1】M−(R3 2 + hal- −CH2 −Y−S
    iR1(3-a)(OR2 a 一般式(II) 【化2】A−(CHO)n 一般式(III ) 【化3】 A[−CH=CH−Y−SiR1(3-a)(OR2 a n 一般式(I)ないし(III )中、Mは担持体を示し、R
    3 はアルキル基またはフェニル基を示し、halはハロ
    ゲン原子を示し、Yは2価の基を示し、R1 は水素、ア
    ルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を示
    し、R2 は水素、アルキル基、またはトリアルキルシリ
    ル基を示し、aは1〜3の整数を示す。Aは光機能性基
    を示し、nは1〜4の整数を示す。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で表される化合物が反応溶
    剤に実質的に不溶であることを特徴とする請求項1に記
    載の加水分解性置換基含有けい素化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 加水分解性置換基含有けい素化合物が下
    記一般式(IV)で表されることを特徴とする請求項1に
    記載の前記けい素化合物の製造方法。一般式(IV) 【化4】 式中、Ar1 〜Ar4 はそれぞれ独立に置換または未置
    換のアリール基を示し、Ar5 は置換もしくは未置換の
    アリール基またはアリーレン基を示し、かつAr1 〜A
    5 のうち1〜4個は−CH=CH−Y−SiR1(3-a)
    (OR2 a で表される置換基を有し、Yは2価の基を
    示し、R1 は水素、アルキル基、または置換もしくは未
    置換のアリール基を示し、R2 は水素、アルキル基、ま
    たはトリアルキルシリル基を示し、aは1〜3の整数を
    示し、kは0または1を示す。
  4. 【請求項4】 一般式(I)のMが架橋した高分子であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の前記けい素化合物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記一般式(I)で示される化合物が下
    記一般式(I’)で示される化合物と下記一般式
    (I'')で示される化合物とを反応させることにより得
    られることを特徴とする、請求項1に記載の前記けい素
    化合物の製造方法。 【化5】M−P(R3 2 一般式(I’) 【化6】 hal−CH2 −Y−SiR1(3-a)(OR2 a 一般式(I'') 一般式(I’)および(I'')中、Mは担持体を示し、
    3 はアルキル基またはフェニル基を示し、halはハ
    ロゲン原子を示し、Yは2価の基を示し、R1は水素、
    アルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を
    示し、R2 は水素、アルキル基、またはトリアルキルシ
    リル基を示し、aは1〜3の整数を示す。
  6. 【請求項6】 加水分解性置換基含有けい素化合物の製
    造の過程で生じた下記一般式(I''')で表される化合物を
    前記一般式(I’)で表される化合物に還元し、再度製
    造に使用することを特徴とする、請求項5に記載の前記
    けい素化合物の製造方法 【化7】M−(R3 2 P=O 一般式(I''' ) 一般式(I''' )中、Mは担持体を示し、R3 はアルキ
    ル基またはフェニル基を示す。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007210975A (ja) * 2006-02-13 2007-08-23 Sharp Corp 新規な反応試剤およびその製造方法

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JP2007210975A (ja) * 2006-02-13 2007-08-23 Sharp Corp 新規な反応試剤およびその製造方法

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