JP2634430B2 - はしご状ポリシラン類及びその製造方法 - Google Patents

はしご状ポリシラン類及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、新規な化合物であるはしご状ポリシラン類
及びその製造方法に関するものである。
(従来の技術及び発明が解決しようとする課題) 近年、有機ケイ素化学の技術進歩は活発となり、ごく
最近になって種々の高歪シクロポリシラン化合物が合成
されるようになった。例えば、〔(CH32Si〕(ジャ
ーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイアテイ
(J.Am.Chem.Soc.),71(1949)963)、〔t−Bu(C
H3)Si〕(Buはブチル基、ジャーナル オルガノメタ
リック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),77(197
4)C13)、(Mes2Si)(Mesはメジチル基、サイエン
ス(Science),214(1981)1343)、(Ar2Si)(Ar
は2,6−ジメチルフェニル基、ジャーナル オブ アメ
リカン ケミカル ソサイアテイ(J.Am.Chem.Soc.),1
04(1982)1152)、〔(t−BuCH22Si〕、〔(t−
BuCH22Si〕(ケミカル コミュニケーション(Che
m.Commun.),(1983)781)、(t−Bu2Si)、(t
−Bu2Si)(アンゲバンテ ヘミー(Angew.Chem.),9
6(1984)1311)などがあげられる。更に側鎖にシリル
基を含有するシクロポリシランとして〔〔(CH33Si〕
2Si〕(オルガノメタリックス(Organometallics),
(1982)1410)、〔〔(C2H53Si〕2Si〕(特願昭61
−210718)、〔〔(C2H5)(CH32Si〕2Si〕(特願
昭61−210719)があげられる。
これらの高歪シクロポリシランは、大きな歪エネルギ
ーを持ち、熱的に反応性に富んでいて、種々の分子との
反応試薬として用いられる。又、シクロポリシラン中の
Si−Si結合は光照射(約200〜400nm)により容易に分解
し、シリレン(:SiR2)を放出するため、これを用いて
種々の光反応を行ない得る。特に鎖側にシリル基を有す
るシクロポリシランは、Si−Si結合も多く、その光反応
性が極めて大きいことが予想される。更には開環重合さ
せることによりポリマー用原料として、フォトレジスト
として、又、SiCセラミックス用原料として、広範囲に
おける用途が期待できる。
更に、近年、易加工性の鎖状ポリシラン (但し、は正の整数、R′はアルキル基、フェニ
ル基など)が発見され(ジャーナル オブ アメリカン
ケミカル ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.),61(197
8)504)、このポリマーが電導性、感光性を有すること
から、フォトレジスト、半導体、セラミックス用プレポ
リマーなどの種々の機能材料としての用途が活発に開発
されるようになった。
本発明者らは、上記のように種々の機能を有するポリ
シランに着目し、更に高機能の期待できる新規ポリシラ
ンの開発に鋭意努力した。即ち、本発明の課題は、入手
し易い有機ケイ素化合物を原料に用い、ケイ素原子をは
しご状に配列した構造の新規なポリシラン類、およびそ
の製造方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明のはしご状ポリシラン類とは、下記の(I)式
に示されるようなものである。
(但し、nは正の整数、Rはハロゲン、水素、水酸基、
炭素数20以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基
もしくはアルコキシ基類であって、これらは官能基とし
て−COOH、−SO3H、−NH2、−NO2、−NCO、−F、−C
l、−Br、−I、−OHを含んでいても良い。) R基の具体例としては、塩素、臭素、ヨウ素、水素、
水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−
プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチ
ル基、n−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシ
ル基、n−オクチル基、ヘキサデシル基、ビニル基、ア
リル基、n−ブテニル基、フェニル基、トルイル基又は
ナフチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ
基、フェノキシ基、及びこれらの誘導体、即ちハロゲン
原子、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ
基を置換基に含むものがあげられる。
これら分子中のR基は、全て同一である必要はなく、
種々の組み合わせのものをとり得る。
又、nは、特に制限はないが、1〜100,000、好まし
くは1〜1,000の範囲である。
シクロテトラシラン類の具体的な例示としては、デカ
メチルビシクロ〔2.2.0〕ヘキサシラン(Decamethyl bi
cyclo〔2.2.0〕hexasilane)、デカイソプロピルビシク
ロ〔2.2.0〕ヘキサシラン(Decaisopropyl bicyclo〔2.
2.0〕hexasilane)、ドデカメチルトリシクロ〔4.2.0.0
2,5〕オクタシラン(Dodecamethyl tricyclo〔4.2.0.0
2,5〕octasilane)、ドデカイソプロピルトリシクロ
〔4.2.0.02,5〕オクタシラン(Dodecaisopropyl tricyc
lo〔4.2.0.02,5〕octasilane)、テトラデカイソプロピ
ルテトラシクロ〔6.2.0.02,7.03,6〕デカシラン(Tetra
decaisopropyl tetracyclo〔6.2.0.02,7.03,6〕decasil
ane)、ヘキサデカイソプロピルペンタシクロ〔8.2.0.0
2,9.03,8.04,7〕ドデカシラン(Hexadecaisopropyl pen
tacyclo〔8.2.0.02,9.03,8.04,7〕dodecasilane)、 (但し、iPrはイソプロピル基、Etはエチル基を示
す。)等が挙げられる。
本発明におけるはしご状ポリシランは、安定であり、
例えば空気中での酸素との反応(Si−0結合を生成)は
極めて遅く、保存や取り扱いが容易である。この効果は
R基が嵩高い程大きく、これはR基の立体障害によると
思われる。さらに利用上好ましいことには該化合物は熱
可塑性を有し、且つトルエン、ベンゼン、テトラヒドロ
フランなどの種々の有機溶媒に可溶である。
次に本発明のポリシラン類の製造方法について述べ
る。
原料に用いられるものは下式(II)及び(III)であ
る。
X2RSiSiRX2(II)、XR2SiSiR2X(III) (但し、Xはハロゲンであり、好ましくはClである。) 所定の割合から成る(II)と(III)の混合物を、ア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属と反応させる。反応物
が液状の場合には無溶媒でも行ない得るが、通常はヘプ
タン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テト
ラヒドロフランなどの溶媒を用いる方法を採用する。ア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属のうち好適なものは、
リチウム、ナトリウム、マグネシウムである。
反応温度は−100〜400℃、好ましくは0〜300℃、反
応時間は好ましくは10分〜50時間の範囲である。
反応終了後の処理方法は本発明において特に限定する
ものではないが、生成した塩をろ別、水洗等により分離
除去し、しかる後に目的生成物を分取する。更に必要に
応じ、後述の実施例に記載のように種々の溶媒を用い
て、再結晶法により精製することができる。目的生成物
の種類((I)式中のnの値)及び収率は、反応条件、
特には原料である(II)と(III)の使用割合によって
変わる。
特に高分子量(例えば(I)式中のnの値が5以上の
もの)のポリシランを得ようとする場合には、上記の製
造方法において、原料(II)の使用割合を大きくするこ
とが好ましい。この場合反応によって得られたポリシラ
ンを更に(III)の原料、又はアルキルアルカリ、アル
コール、水などによって末端処理することができ、又数
種の溶媒を用いていくつかの分子量のものに分別するこ
とも可能である。
原料である(II)と(III)は、例えば以下の方法に
よって入手できる。
a)金属ケイ素とハロゲン化炭化水素(クロルメタン、
クロロベンゼン等)の反応 b)ヘキサハロゲン化ジシランとグリニャール試薬との
反応 (例えばSi2Cl6+2RMgCl→RCl2SiSiCl2R) a)は現在工業的大規模に行なわれているプロセスで
あり、種々のアルキルクロロシランとともに生産されて
いる。b)は近年、半導体用ガスとして急速に需要がの
びているSi2H6の製造用原料として工業的に生産される
ようになったSi2Cl6(例えば、特開昭59−232910、特開
昭59−207829、特開昭59−207830)を用いる反応であ
る。
本発明は、原料である(II)と(III)の製造方法を
特に限定するものではないが、上述のような方法により
容易に入手することができる。
以上のように本発明におけるはしご状ポリシランは、
入手容易な原料から製造することが可能であり、且つ熱
可塑、溶媒に可溶などのすぐれた物性を有する。
ポリシランは、電導性や感光性(UVを吸収)を有し、
種々の機能材料としての利用が考えられる。例えば、フ
ォトレジスト、半導体、複写機の感光体、光反応開始
剤、ラジカル開始剤、セラミックス用プレポリマーなど
の種々の用途が期待できる産業上有用な化合物である。
(実施例) 以下、本発明を実施例によって説明する。
<実施例1> 200mlのフラスコにCl2(iso−C3H7)SiSi(iso−C
3H7)Cl2を0.68g(2.39mmol)、Cl(iso−C3H72SiSi
(iso−C3H72Clを2.15g(7.18mmol)、Liを0.18g(2
5.9mmol)、溶媒としてTHFを100ml加え、窒素雰囲気
中、室温にて24時間攪拌しながら反応させた。反応終了
後反応液を液体クロマトグラフィーに通し、目的生成物
を分取した。この生成物を更にアセトンを用いての再結
晶により精製し、47mg(収率3.3%)の無色の結晶を得
た。
得られた結晶の融点は384〜385℃の範囲であり、元素
分析、及び下記の1H NMR、13C NMR、29Si NMR、IR、U
V、MS(マススペクトル)、X線結晶構造解析の結果よ
り、結晶構造が以下のものであることを確認した。
1H NMR:(C6D6,Me4Si)δ p.p.m. 1.362−1.804(−C(C )p.p.m. IR(KBr disc):875cm-1(cyclotetrasilane) UV:λmax310nm(ε=971) FDMS:m/z 589 parent clusters(rel,ints(%))598
(M+)、599(M++1)、600(M++2)、601(M+
3) Exact MS Found:598.4097 Calcd for C30H70Si6:598.4094 Mass Intensity nmu Elemental Formula 596.9662 0.70 ・・・ 598.4097 4.22 0.3 599.1284 1.20 ・・・C30H70Si6 <実施例2> 2のフラスコにCl2(iso−C3H7)SiSi(iso−C
3H7)Cl2を21g(70.4mmol)、Cl(iso−C3H72SiSi(i
so−C3H72Clを20g(70.4mmol)、Liを3g(428mmo
l)、溶媒としてTHFを1加え、窒素雰囲気中、室温に
て50時間攪拌しながら反応させた。反応終了後反応液の
一部を液体クロマトグラフィーに通し、低分子量生成物
を分取した。この生成物を更にエーテルとアセトニトリ
ルを用いての再結晶により精製し、約30mgの無色の結晶
を得た。
得られた結晶の融点は220〜248℃の範囲であり、元素
分析、および下記の1H NMR、13C NMR、29Si NMR、UV、M
S(マススペクトル)の結果より、結晶構造が以下のも
のであることを確認した。
1H NMR:(C6D6,Me4Si)δ p.p.m. 1.32−1.90(−C(C )p.p.m. UV:λmax310nm(ε=3400)、355nm(ε=1160) FDMS:m/z 740 parent clusters(rel,ints(%))740
(M+,100)、741(M++1,86)、742(M++2,74)、743
(M++3,51)、744(M++4,14) 更に反応液中に高分子量成分を得る目的で以下の操作
を行った。反応液500mlにヘキサンを400ml加えろ過し、
更にろ液中に残存するLiを除去する目的で、ろ液を中性
アルミナカラムに通した。溶媒を除去して約1.1gの赤橙
色の固形物(A)(Mn=1900、Mx=3100 但し、ポリス
チレン換算での値)を得た。又、ヘキサン不溶物にトル
エンを加え、ろ過後ろ液を中性アルミナカラムで処理
し、溶媒を除くことによって約600mgの赤橙色の固形物
(B)(Mn=4000、Mw=10000)を得た。
元素分析及び下記のUV、29Si NMRの結果より、得られ
たポリシランの構造が以下のものであることを確認し
た。
(A) UV:λmax315nm、410〜440nm (B) UV:λmax315nm、420〜460nm29 Si NMR:p.p.m. (A)(B)共−58〜−22(ピーク多数) 更に反応液の一部からGPCを用いて、赤橙色の高分子
量ポリシラン(C)を約150mg(Mn=19000、Mw=2500
0)分取した。
元素分析および下記のUVの結果より、得られたポリシ
ランの構造が以下のものであることを確認した。
(C) UV λmax315nm、420〜460nm <実施例3> 2のフラスコにCl2(iso−C3H7)SiSi(iso−C
3H7)Cl2を84.0g(296mmol)、溶媒としてTHFを600ml、
ベンゼンを600ml加え、窒素雰囲気下、0℃にて撹拌し
ながら1.5時間かけてLiを8.2g(1180mmol)加えた。更
に室温にて20時間撹拌しながら反応させた。反応混合物
より溶媒を減圧下留去した後、残渣にヘキサンを600ml
加えてろ過した。ろ液を中性アルミナカラムで処理し残
存するLiを除去した後、溶媒を除くことによって、31.9
g(収率69.9%)の橙色の固形物(D)(数平均分子量M
n=1400、重量平均分子量Mw=2500、但し、ポリスチレ
ン換算での値)を得た。又、ヘキサン不溶物にトルエン
を300ml加えろ過した後、ろ液を中性アルミナカラムで
処理し、溶媒の除くことによって、13.8g(収率31.1
%)の赤橙色の固形物(E)(数平均分子量Mn=2900、
重量平均分子量Mw=7600、但し、ポリスチレン換算での
値)を得た。
元素分析及び下記のUVの結果より、得られたポリシラ
ンの構造が以下のものであることを確認した。
<実施例4> 500mlのフラスコにCl2(iso−C3H7)SiSi(iso−C
3H7)Cl2を16.19g(57mmol)、Liを1.60g(230mmol)、
溶媒としてTHFを230ml加え、窒素雰囲気中、室温にて撹
拌しながら、108時間かけて反応させた。更に反応溶液
に(CH33SiClを6.2g(57mmol)加え、更に室温にて24
時間撹拌しながら反応させた。反応混合物より溶媒を減
圧下留去した後、残渣にトルエンを100ml加えて、ろ過
した。ろ液を中性アルミナカラムで処理し残存するLiを
除去した後、溶媒を除くことによって、7.4g(収率57.0
%)の黄色のポリマー(F)(数平均分子量Mn=780、
重量平均分子量Mw=910、但し、ポリスチレン換算での
値)を得た。
元素分析及び下記のUVの結果より、得られたポリシラ
ンの構造が以下のものであることを確認した。
(nの平均値は3) (発明の効果) 本発明は、産業上有用な、特に将来その用途開発が期
待される新規なはしご状ポリシラン類、およびその製造
方法を提供するものである。本発明にかかる製造に際し
ては比較的入手容易な原料を出発物質としており、本発
明は経済的な製造方法を提供している。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (但し、nは正の整数、Rはハロゲン、水素、水酸基、
    炭素数20以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基
    もしくはアルコキシ基類であって、これらは官能基とし
    て−COOH、−SO3H、−NH2、−NO2、−NCO、−F、−C
    l、−Br、−I、−OHを含んでいても良い。)で表され
    るはしご状ポリシラン類。
  2. 【請求項2】一般式X2RSiSiRX2とXR2SiSiR2X(但し、X
    はハロゲン)で表わされるジシラン化合物を、所定量の
    アルカリ金属又はアルカリ土類金属と反応させる請求項
    1に記載のはしご状ポリシラン類の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式X2RSiSiRX2(但し、Xはハロゲン)
    で表わされるジシラン化合物を、所定量のアルカリ金属
    又はアルカリ土類金属と反応させる請求項1に記載のは
    しご状ポリシラン類の製造方法。
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