JPH11170811A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JPH11170811A
JPH11170811A JP9336925A JP33692597A JPH11170811A JP H11170811 A JPH11170811 A JP H11170811A JP 9336925 A JP9336925 A JP 9336925A JP 33692597 A JP33692597 A JP 33692597A JP H11170811 A JPH11170811 A JP H11170811A
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fiber cord
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Kazuyuki Umeda
和幸 梅田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチールコードに比べて軽量化が可能な有機
繊維コードでありながら、アラミド繊維コードからなる
ベルト層に比較して操縦安定性と乗心地性能を向上する
ことを可能にした空気入りラジアルタイヤを提供する。 【解決手段】 トレッド部3におけるカーカス層2の外
周側に2層のベルト層4d,4uを設けた空気入りラジ
アルタイヤにおいて、カーカス層2側から数えて第1番
目のベルト層4dをスチールコードから構成すると共
に、第2番目のベルト層4uをポリエチレン−2,6−
ナフタレート系繊維コードから構成し、該ポリエチレン
−2,6−ナフタレート系繊維コードの総デニール数D
を2000〜6000とし、該総デニール数Dとコード
100mm当たりの撚り数Tとから求まる撚り係数K
(=T√D)を500〜1500とし、下撚り数に対す
る上撚り数の比を1.00〜1.60とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート系繊維コード(以下、PEN繊維
コードと略す)をベルト層に使用した空気入りラジアル
タイヤに関し、さらに詳しくは、アラミド繊維コードか
らなるベルト層に比べて操縦安定性と乗心地性能を向上
することを可能にした空気入りラジアルタイヤに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、ベルト層をスチールコードから
構成した空気入りラジアルタイヤは、スチールコードが
高強度・高弾性率を有するため優れた操縦安定性を発揮
することが知られている。ところが、スチールベルトは
比重が大きいためタイヤ重量を軽減することが困難であ
ると同時に、操縦安定性と乗心地性能は相反性能であ
り、これらを両立することは極めて困難であった。
【0003】そこで、ベルトコードとして有機繊維コー
ドであるアラミド繊維コードを使用し、ベルト層を構成
するスチールコードの一部をアラミド繊維コードで置き
換えることが提案されている。しかしながら、アラミド
繊維コードからなるベルト層はタイヤの軽量化や乗心地
性能の向上に貢献しているが、スチールコードのみから
なるベルト層に比べて操縦安定性が劣るという問題があ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スチ
ールコードに比べて軽量化が可能な有機繊維コードであ
りながら、アラミド繊維コードからなるベルト層に比較
して操縦安定性と乗心地性能を同時に向上することを可
能にした空気入りラジアルタイヤを提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッド部にお
けるカーカス層の外周側に2層のベルト層を設けた空気
入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカス層側から数
えて第1番目のベルト層をスチールコードから構成する
と共に、第2番目のベルト層をポリエチレン−2,6−
ナフタレート系繊維コードから構成し、該ポリエチレン
−2,6−ナフタレート系繊維コードの総デニール数D
を2000〜6000とし、該総デニール数Dとコード
100mm当たりの撚り数Tとから求まる撚り係数K
(=T√D)を500〜1500とし、下撚り数に対す
る上撚り数の比を1.00〜1.60としたことを特徴
とするものである。しかも、前記ポリエチレン−2,6
−ナフタレート系繊維コードは5kg荷重時の伸びが
0.5〜1.0%であり、かつ15kg荷重時の伸びが
2.0〜2.5%というコード物性を有することを特徴
とする。
【0006】このように超低撚りのPEN繊維コードを
使用することにより、ベルト層の面外曲げ硬さを低減す
るので、アラミド繊維コードからなるベルト層に比較し
て乗心地性能を向上することができる。また、超低撚り
のPEN繊維コードにおいて下撚り数に対する上撚り数
の比を上記範囲で調整することにより、上撚り係数に支
配的なコードの耐久性を損なうことなく初期モジュラス
を更に高めることが可能であるので、アラミド繊維コー
ドからなるベルト層に比べて操縦安定性を向上すること
ができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施
形態からなる空気入りラジアルタイヤを例示するもので
ある。図において、1はビード部、2はカーカス層、3
はトレッド部、4d,4uはベルト層である。左右一対
のビード部1,1間にはカーカス層2が装架されてい
る。このカーカス層2はタイヤ周方向に対して実質的に
90°のコード角度で配置され、そのタイヤ幅方向両端
部がビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返
され、その端末がビードフィラー6の外側上方まで巻き
上げられている。
【0008】トレッド部3におけるカーカス層2の外周
側には、タイヤ周方向に対して5〜40°のコード角度
で互いに交差する2層のベルト層4d,4uがタイヤ1
周にわたって配置されている。カーカス層2側から数え
て第1番目のベルト層4dは引き揃えられた複数本のス
チールコードから構成されている。このスチールコード
は特に限定されるものではなく、従来から使用されてい
る一般的なコードを適用することができる。一方、カー
カス層2側から数えて第2番目のベルト層4uは引き揃
えられた複数本のPEN繊維コードから構成されてい
る。
【0009】上記PEN繊維コードを構成するポリエチ
レン−2,6−ナフタレートとしては、単独重合体のみ
ならず、85モル%以上のポリエチレン−2,6−ナフ
タレートと15モル%未満の共重合可能な第3成分とか
らなる共重合体であってもよい。第3成分としては、例
えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外のナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェ
ニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、
セバシン酸、アジピン酸、テトラメチレングリコール、
トリメチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙
げられる。
【0010】ベルトコードとして使用するに当たって、
PEN繊維コードの総デニール数Dは2000〜600
0とし、撚り係数K(=T√D)は500〜1500と
することが必要である。但し、Tは単位長さ当たりの撚
り数(回/100mm)であり、上撚りと下撚りの平均
撚り数である。このようにPEN繊維コードを低撚りに
することにより、ベルト層4uの面外曲げ硬さを低減す
るので、従来のアラミド繊維コードからなるベルト層に
比較して乗心地性能を向上することができる。この撚り
係数Kが500未満であるとコードの耐久性が不十分に
なり、逆に1500を超えると操縦安定性が低下する。
【0011】また、PEN繊維コードの下撚り数に対す
る上撚り数の比は1.00〜1.60、より好ましくは
1.05〜1.60とすることが必要である。このよう
に超低撚りのPEN繊維コードにおいて下撚り数に対す
る上撚り数の比を上記範囲で調整することにより、上撚
り数を大きくしてコードの耐久性を確保しながら下撚り
数を小さくし初期モジュラスを更に高めることが可能で
あるので、従来のアラミド繊維コードからなるベルト層
に比較して操縦安定性を向上することができる。この下
撚り数に対する上撚り数の比が小さ過ぎるとベルトコー
ドに実用上必要な耐疲労性能が不十分になり、逆に1.
60を超えると撚りのバランスが崩れて操縦安定性が低
下してしまう。
【0012】上記PEN繊維コードは5kg荷重時の伸
びが0.5〜1.0%となり、かつ15kg荷重時の伸
びが2.0〜2.5%となる物性を有していることが必
要とされる。特に、PEN繊維コードの5kg荷重時の
伸びが1.0%を超えるとベルト層のタイヤ周方向の変
形歪が大きくなり、操舵時にベルトの張力が上がり難く
なるので操縦安定性が著しく低下し、また15kg荷重
時の伸びが2.5%を超えるとアラミド繊維に比較して
コードの変形が大きくなり、スチールベルト側の圧力分
担率が高くなるので、その結果として圧力容器としての
内圧保持能力が低下してしまう。
【0013】本発明によれば、ベルト層を構成するスチ
ールコードの一部をPEN繊維コードに置き換えること
により軽量化を図ることが可能であり、しかも上述のよ
うな超低撚りのPEN繊維コードをベルト層に適用する
ことで初期モジュラスと面外曲げ硬さとのバランスを改
善し、従来のアラミド繊維コードからなるベルト層に比
べて操縦安定性と乗心地性能を同時に向上させることが
可能である。また、本発明では、アラミド繊維コードに
比べて安価でかつゴムに対する接着性が優れたPEN繊
維コードでベルト層を構成可能にするという利点もあ
る。
【0014】
【実施例】タイヤサイズを225/50R16とし、図
1のようにカーカス層側から数えて第1番目のベルト層
をスチールコードから構成すると共に、第2番目のベル
ト層の適用コードを下記表1のように種々異ならせた従
来タイヤ、本発明タイヤ1及び比較タイヤ1〜6を製作
した。なお、表1において、PETはポリエチレンテレ
フタレートを意味するものである。また、ディスク疲労
後の強力保持力(%)は、ゴム中にコードを所定の荷重
をかけた状態で埋め込み加硫し、ゴムが付いたままでコ
ード長手軸方向に圧縮と伸長の歪みを繰り返し与えた
後、コードをゴムから取り出してコード強力を測定し、
これを未試験のサンプルのコード強力に対する割合
(%)で示したものである。
【0015】これら8種類の試験タイヤについて、下記
の測定条件により操縦安定性、乗心地性能を評価すると
共に、耐水圧試験を行い、その結果を表1に示した。 操縦安定性:各試験タイヤを空気圧220kPaとして
排気量1600ccの乗用車に装着し、一定間隔でパイ
ロンが立てられたスラローム試験路を走行し、その平均
速度により評価した。評価結果は、従来タイヤの測定値
の逆数を100とする指数値で示した。この指数値が大
きいほど操縦安定性が優れている。
【0016】乗心地性能:各試験タイヤを空気圧220
kPaとして排気量1600ccの乗用車に装着し、5
人のテストドライバーによるフィーリングテストにより
評価した。評価結果は、従来タイヤを100とする指数
値で示した。この指数値が大きいほど乗心地性能が優れ
ている。
【0017】耐水圧試験:各試験タイヤをリムサイズ1
6×7JJ(JATMA標準サイズ)のホイールに組付
け、タイヤ内部に水圧を負荷し、タイヤが破裂したとき
の水圧(MPa)を測定した。評価結果は、従来タイヤ
を100とする指数値で示した。この指数値が大きいほ
ど耐水圧性能が優れている。
【0018】
【表1】
【0019】この表1から明らかなように、本発明タイ
ヤ1は従来タイヤに比べて操縦安定性と乗心地性能が共
に向上していた。これに対して、比較タイヤ1〜4は従
来タイヤにおける適用コードの材質及び撚り構造を適当
に変更したものであるが、いずれも良好なコード物性が
得られず、従来タイヤに比べて操縦安定性が低下してい
た。また、比較タイヤ5,6は従来タイヤにおける適用
コードの撚り構造を適当に変更したものであるが、比較
タイヤ5では耐疲労性能が劣るため実用には不適であ
り、比較タイヤ6では従来タイヤに比べて乗心地性能が
低下していた。つまり、コード撚り構造とコード物性が
両方とも本発明で規定される範囲内にないものは、必要
とされるタイヤ性能を満たすことができないことが判っ
た。
【0020】次に、上記本発明タイヤ1における適用コ
ードの撚り係数又は撚り数上下比を下記図2のように種
々異ならせた本発明タイヤ2及び比較タイヤ7〜9を製
作した。これら試験タイヤについて、上記と同様の評価
を行い、その結果を表2に示した。
【0021】
【表2】
【0022】この表2に示すように、コードの耐疲労性
能を損なうことなくタイヤ性能を向上するにはPEN繊
維コードの撚り係数Kを500〜1500にすることが
必要であった。また、PEN繊維コードの下撚り数に対
する上撚り数の比は1.00〜1.60、より好ましく
は1.05〜1.6にすることが必要であった。つま
り、撚り係数Kと撚り数上下比が両方とも本発明で規定
される範囲内にないと、たとえコード物性を満足してい
ても実用上問題があることが判った。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ト
レッド部におけるカーカス層の外周側に2層のベルト層
を設けた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカ
ス層側から数えて第1番目のベルト層をスチールコード
から構成すると共に、第2番目のベルト層をポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート系繊維コードから構成し、該
ポリエチレン−2,6−ナフタレート系繊維コードの総
デニール数Dを2000〜6000とし、撚り係数Kを
500〜1500とし、下撚り数に対する上撚り数の比
を1.00〜1.60としたから、アラミド繊維コード
からなるベルト層に比較して操縦安定性と乗心地性能を
向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタ
イヤを一部切り欠いて示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1 ビード部 2 カーカス層 3 トレッド部 4d,4u ベルト層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレッド部におけるカーカス層の外周側
    に2層のベルト層を設けた空気入りラジアルタイヤにお
    いて、前記カーカス層側から数えて第1番目のベルト層
    をスチールコードから構成すると共に、第2番目のベル
    ト層をポリエチレン−2,6−ナフタレート系繊維コー
    ドから構成し、該ポリエチレン−2,6−ナフタレート
    系繊維コードの総デニール数Dを2000〜6000と
    し、該総デニール数Dとコード100mm当たりの撚り
    数Tとから求まる撚り係数K(=T√D)を500〜1
    500とし、下撚り数に対する上撚り数の比を1.00
    〜1.60とした空気入りラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記ポリエチレン−2,6−ナフタレー
    ト系繊維コードは5kg荷重時の伸びが0.5〜1.0
    %であり、かつ15kg荷重時の伸びが2.0〜2.5
    %である請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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