JPH11170509A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JPH11170509A
JPH11170509A JP36417397A JP36417397A JPH11170509A JP H11170509 A JPH11170509 A JP H11170509A JP 36417397 A JP36417397 A JP 36417397A JP 36417397 A JP36417397 A JP 36417397A JP H11170509 A JPH11170509 A JP H11170509A
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JP
Japan
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diaphragm
voltage
electrode
ink
displacement
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JP36417397A
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English (en)
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Tomoki Kato
知己 加藤
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14314Structure of ink jet print heads with electrostatically actuated membrane

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 (復元力)<(静電力)となる微小ギャップ
領域での大変位を有効に利用し、効率良くインクを吐出
可能とし、高集積度、高密度インクジェットヘッドを実
現する。 【解決手段】 ノズル6を有する液室5の一部に形成さ
れた振動板3と該振動板3に設けられた第一の電極1と
該第一の電極1と微小間隔(GAP)隔てて対向して設
けられた第二の電極2の間に電位差を生ぜしめ、静電力
で該振動板3を変形させてノズル6からインク滴9を吐
出する。前記静電力が、前記振動板3の復元力より大き
くなる臨界電圧よりも大きい電圧を適宜な時間印加する
ことにより、(復元力)<(静電力)となる微小ギャッ
プ領域を利用し、振動板3に大変位を発生させることが
できる。したがって、液室5を小さくしても十分な大き
さのインク滴を吐出できるので、高密度、高集積度のイ
ンクジェットヘッドを実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド、より詳細には、静電力を利用したインクジェット
ヘッドに関し、例えば、複写機、ファックス、プリン
タ、プロッター等の記録ヘッド、更には、マイクロポン
プ等に利用可能な静電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】オンデマンド型のインクジェット記録技
術には、インクを充填した液室の壁の一部に圧電体を配
置して、圧電体への電圧印加により液室内の体積を変化
させて圧力を高め、インクを吐出する方式(ピエゾオン
デマンド型インクジェット)や、通電によって発熱する
発熱体を液室内に設けて、発熱体の発熱により生じる気
泡によって液室内の圧力を高め、インクを吐出する方式
(バブルジェットインクジェット)が広く知られてい
る。
【0003】また、上記方式の課題を解決し、更なる小
型高密度、高速印字、高品質印字、長寿命、高信頼性の
実現する方式として、静電力によって液室の体積変化を
生ぜしめ、インクを吐出する方式(静電力型インクジェ
ット)が新たに提案されている。例えば、特開平5−5
0601号公報では、シリコンからなる中基板にエッチ
ングによりノズル、吐出室、インク流路および振動板を
形成する凹部を一体的に形成し、インク供給口を有する
上基板と、中基板の凹部に対応して電極が設けられた下
基板とを接合することによりヘッドを構成し、振動板と
電極との間に電圧を印加によりインクを吐出する方法が
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記静電力型インクジ
ェットでは、振動板に作用する静電力と振動板が変形す
ることにより生じる復元力によって振動を得ている。静
電力は振動板が変位してギャップが小さくなると、その
ギャップの2乗に反比例して増加するが、振動板の復元
力は振動板の変位のほぼ1乗に比例して大きくなるの
で、電極間電圧を大きくして振動板を大きく変位させる
と、(復元力)<(静電力)となり、振動板が対向電極
に衝突するに至る。つまり、(復元力)<(静電力)と
なる微小ギャップ領域では小さな電圧で大変位を発生す
る。
【0005】本発明は、(復元力)<(静電力)となる
微小ギャップ領域での大変位を有効に利用し、効率良く
インクを吐出可能なインクジェットヘッドの駆動方法を
実現することを目的としてなされたもので、本発明によ
り、高集積度、高密度インクジェットヘッドを実現でき
る。
【0006】請求項1の発明は、(復元力)<(静電
力)となる微小ギャップ領域での大変位を有効に利用
し、インクジェットヘッドを高密度化、高集積化するこ
とを目的とするものである。
【0007】請求項2の発明は、振動板の変位を安定し
て維持できるようにして、変位の制御性を向上すること
を目的とするものである。
【0008】請求項3の発明は、振動板の変位の制御性
を向上することを目的とするものである。
【0009】請求項4の発明は、振動板の変位の制御性
を向上することを目的とするものである。
【0010】請求項5の発明は、振動板の変位の制御性
を向上すると共に、駆動回路を簡略化することを目的と
するものである。
【0011】請求項6の発明は、振動板の変位の制御性
を向上することを目的とするものである。
【0012】請求項7の発明は、振動板が対向電極に衝
突することを回避することを目的とするものである。
【0013】請求項8の発明は、インクジェットヘッド
の駆動回路を簡略化することを目的とするものである。
【0014】請求項9の発明は、振動板の変位制御性を
向上し、信号電圧の駆動回路を低コスト化することを目
的とするものである。
【0015】請求項10の発明は、振動板の挙動を安定
化することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ノズ
ルを有する液室の一部に形成された振動板と、該振動板
に設けられた第一の電極と、該第一の電極と微小間隔隔
てて対向して設けられた第二の電極とを有し、前記第一
の電極と第二の電極との間に電位差を生ぜしめ、静電力
にて前記振動板を変形させて前記ノズルよりインクを吐
出するインクジェットヘッドにおいて、前記静電力が前
記振動板の復元力よりも大きくなる臨界電圧よりも大き
い電圧を所定時間印加することを特徴とし、もって、
(復元力)<(静電力)となる微小ギャップ領域を利用
し、大変位を振動板に発生させることができ、したがっ
て、液室を小さくしても十分な大きさのインク滴を吐出
でき、高密度、高集積度のインクジェットヘッドを実現
可能としたものである。
【0017】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、臨界電圧に近い大きさのベース電圧に該ベース電圧
よりも高周波の信号電圧を重畳することを特徴とし、も
って、振動板の変位を安定して維持させ、変位の制御性
を向上させるようにしたものである。
【0018】請求項3の発明は、請求項2の発明におい
て、信号電圧の周波数によって振動板の振動変位を制御
することを特徴とし、もって、振動板の挙動安定性を制
御するようにしたものである。
【0019】請求項4の発明は、請求項2の発明におい
て、ベース電圧あるいは信号電圧の振幅によって振幅板
の振動変位を制御することを特徴とし、もって、振動板
の変位量の制御性を向上させるようにしたものである。
【0020】請求項5の発明は、請求項2の発明におい
て、信号電圧がパルス波形であることを特徴とし、もっ
て、振動板の変位の制御性を向上すると共に、駆動回路
を簡略化するようにしたものである。
【0021】請求項6の発明は、請求項5の発明におい
て、パルスのデューティ比によって振動板の振動変位を
制御することを特徴とし、もって、振動板の変位量の制
御性を向上させるようにしたものである。
【0022】請求項7の発明は、請求項5の発明におい
て、パルスのデューティ比が50%以下であることを特
徴とし、もって、振動板の対向電極への接触を回避する
ようにしたものである。
【0023】請求項8の発明は、請求項2の発明におい
て、ベース電圧のON−OFFで振動板の駆動を行うこ
とを特徴とし、もって、駆動回路を簡略化したものであ
る。
【0024】請求項9の発明は、請求項2の発明におい
て、ベース電圧の振幅と信号電圧の振幅の比が10:1
以上であることを特徴とし、もって、振動板の変位制御
性を向上し、信号電圧の駆動回路を低コスト化したもの
である。
【0025】請求項10の発明は、請求項2の発明にお
いて、ベース電圧の立上がりと信号電圧の立上がりが同
位相でないことを特徴とし、もって、振動板の挙動を安
定化させたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は、静電力型インクジェット
の基本構成を示す図で、図1(A)は縦断面図、図1
(B)は図1(A)のB−B線断面図で、図示のよう
に、液室5を構成する壁面の一部が振動板3を兼ねてお
り、該振動板3の変形により液室5内の体積変化が生
じ、液室5内に充填されたインクがノズル6からインク
滴9として吐出する。振動板3の変形は、該振動板3の
裏面に設けられた第1電極1と該第1電極1と離間して
設けられた第2電極2との間に作用する静電力によって
もたらされる。この場合、第1電極1と第2電極2のギ
ャップを小さくするほど、また、振動板3の板厚を薄く
するほど低電圧で振動板3を変位させることができる。
また、駆動電圧は振動板3の幅、長さにもよるが、小
型、高解像度のインクジェットプリンタヘッドを想定し
た場合、振動板3のサイズを小さくすることが必要であ
る。
【0027】サイズの小さい振動板を大きく撓ませるた
めに、振動板3の板厚を薄くしすぎると振動板3の剛性
が減少してインクを吐出できなくなってしまう。したが
って、小型、高解像度、低電圧駆動のインクジェットヘ
ッドの実現するには、電極間のギャップをいかに小さく
するかが大きな課題である。実際、100[V]以下程
度の電圧で駆動するには、2〜3[μm]以下の微小ギ
ャップを形成しなければならないのが現実である。この
ようなギャップで電極間に電圧を印加すると、静電力が
振動板3に作用して振動板3が撓む。電極間ギャップが
ある程度大きな場合には、振動板3には撓み量にほぼ比
例した大きさの復元力が生じているため、静電力と復元
力がつりあって振動板3の変位は維持される。
【0028】しかし、さらに電圧を加えて振動板3を変
位させていくと、静電力が復元力よりも大きくなり、2
つの電極が衝突するほどの大変位を生じる。これは、復
元力は振動板の変位にほぼ比例するのに対して、静電力
は振動板が変位したことによるギャップ変化の2乗に比
例することが原因である。この(復元力)<(静電力)
となる臨界電圧以上の電圧を用いて、微小ギャップ領域
の大変位を有効に利用すれば、液室の容積が小さくても
十分な量のインクを吐出することができる。したがっ
て、高密度、高集積度のインクジェットヘッドを実現す
ることができる。
【0029】しかしながら、臨界電圧以上の大きさの電
圧を必要以上長い時間印加してしまうと、ギャップを構
成する電極同士が衝突し、電極の構成によっては保護膜
7の剥離やショート等の不具合が発生する。このような
不具合を回避するためには、まず、図2,図3に示すよ
うに、(復元力)<(静電力)となる臨界電圧を用い
て、振動板が衝突する前に静電力をカットするような駆
動波形にすればよい。ただし、このような駆動波形の場
合には、振動板3を最大限に撓ませている時間は一瞬で
あり、吐出性能を安定に行うには不適切である。
【0030】そこで、図4,図5に示すように、高周波
で臨界電圧を上下するような駆動波形にすれば、実質的
に除界電圧以上の電圧で発生する大変位を安定した維持
することが可能となる。
【0031】図4,図5の駆動波形は、図6に示すよう
な臨界電圧近傍のベース電圧及びインク吐出周波数でO
N−OFFする矩形波状の電圧に高周波の正弦波状ある
いはパルス状の信号電圧を重畳することによって得られ
る。この信号電圧は、三角波でも良いし、鋸波でも良い
が、回路の簡易性の点からはパルス波が最も適してい
る。
【0032】図4,図5に示すような重畳電圧を用いる
場合、高周波でスイッチングする電圧を小さくした方
が、回路を安価に作ることができるので、ベース電圧の
大きさは、なるべく臨界電圧に近いことが望ましい。本
出願人の実験では、信号電圧の大きさは、10[V]以
下で十分であるとの結果が得られている。振動板3の最
大振動変位は、ベース電圧あるいは信号電圧の振幅で制
御することができる。また、信号電圧の周波数を変化さ
せることによっても振動板3の挙動を制御することがで
きる。さらに信号電圧をパルス波形にすると、振動板3
の振動変位をパルスのデューティ比で制御可能となる。
【0033】前述したように臨界電圧以上のところで
は、静電力が復元力に対して大きくなるため、静電力の
作用する時間が作用しない時間よりも長いと振動中心が
次第に対向電極の方に移動していくことになる。したが
って、振動中心を安定させるには、パルスのデューティ
比が50%以下でなければならない。また、信号電圧が
パルス波のように急峻に立上がる波形の場合には、ベー
ス電圧と信号電圧の立上がりが同位相であると、ベース
電圧の立上がり時の振動板の過渡応答の関係で、振動板
3の挙動が不安定になりやすい。したがって、望むらく
は、ベース電圧の立上がりによって生じる振動板3の残
留振動が減衰してから信号電圧が立上がるように、信号
電圧を遅らせて印加するようにした方が良い。
【0034】なお、本発明の駆動方法では、インク吐出
はベース電圧の立ち上がりで行われる。この時、信号電
圧がベース電圧に対して十分小さい条件、例えば、信号
電圧がベース電圧の1/10以下であれば、信号電圧
は、ON−OFFする必要はない。したがって、ON−
OFFのスイッチングはベース電圧だけで済み、駆動回
路が簡易になる。
【0035】(実施例1)図7は、本発明の第1の実施
例を説明するための図で、図7(A)は縦断面図、図7
(B)は図7(A)のB−B断面図で、基板4として
は、厚さ1[mm]のパイレックスガラスを用い、ギャ
ップを形成する部分のみを開口したレジストパターンを
用いて該基板4をエッチングして該基板4上に溝状の段
差を設けた。次に、この溝部にスパッタ法にてNi薄膜
を第2電極2として設けた。第2電極2の上には、厚さ
0.1[μm]の保護膜7としてのSiO2層をスパッタ
法で製膜した。ここで、ガラス基板4の溝幅は幅約24
0[μm]、深さは約1.1[μm]、第2電極2の幅
は約220[μm]、厚みは約0.1[μm]とした。
振動板は、Si(100)をKOH水溶液を用いてエッ
チングを行うことにより形成し、板厚が約7[μm]に
なるようにした。
【0036】次に、基板4上の電極位置と振動板3の位
置を正確に位置決めして、両者を陽極接合により接合
し、約0.9[μm]のギャップを形成した。第1電極
1としては振動板裏面に金属層をコートしてもよいが、
本実施例では、振動板3が半導体のSiであるため、振
動板3で第1電極1を兼用した。
【0037】上述のような構成で、振動板3と第2電極
2の間に周波数10[kHz]の正弦波状の電圧を印加
しながら振動変位を測定した。その結果、振動変位は理
論通り印加電圧の2乗に比例して増加していった。印加
電圧が70[V]の時に0.1[μm]の変位が観測さ
れた後、2[V]電圧を大きくしたところで振動板3が
大きくへこんでしまった。その後、第2電極を観察した
ところ、中央部に電極剥がれがあることから、振動板3
が初期ギャップの0.9[μm]以上撓み、第2電極2
に接触したことが確認された。
【0038】図8及び図9は、上記臨界電圧付近の変位
波形を詳しく調べた結果である。図8は印加電圧が7
0.8[V]の時、図9は印加電圧が71.0[V]の時
の変位である。このように臨界電圧より少しだけ大きな
電圧を短時間印加することにより、効率良く大変位を得
ることができた。
【0039】(実施例2)実施例1と同構成のアクチュ
エータに、ベース電圧として、図6に示したような形状
の周波数10[kHz]、電圧70[V]のパルス電圧
を印加した。その時、図10のような変位波形が得ら
れ、変位量は約0.1[μm]であった。次に、前述の
ベース電圧に信号電圧としての周波数100[kH
z]、振幅1.5[V]の正弦電圧を重畳した印加し
た。その結果、振動変位は、図11のように2倍以上に
大きくなった。振動変位は信号電圧とベース電圧の振幅
を調節することで制御できた。ただし、0.1[V]刻
みあるいはそれ以下の刻み幅での制御であるので、ベー
ス電圧よりは信号電圧の方で調節した方が簡易であっ
た。
【0040】次に、信号電圧の周波数の影響を調べた。
周波数が小さい場合、最大撓みを生じている時(図11
の矢印A参照)の変位波形にリップルが目立ち、振動板
の挙動が不安定になりやすい傾向があった。周波数を大
きくしていくと、振動波形自体は滑らかになっていくが
周波数を大きくしすぎると、振動変位が減少する傾向が
見られた。このようなことから、実際上は、周波数は5
0〜400[kHz]の範囲が望ましい。
【0041】(実施例3)実施例1と同構成のアクチュ
エータに、ベース電圧としての図6のような形状の周波
数10[kHz]、電圧70[V]のパルス電圧を印加
した。その時、図10のような変位波形が得られ、変位
量は約0.1[μm]であった。次に、前述のベース電
圧に信号電圧としての周波数100[kHz]、電圧
1.5[V]、デューティ比30%のパルス波を重畳し
た印加した。その結果、振動変位は、図11のように2
倍以上に大きくなった。
【0042】本実施例では、信号電圧にパルス波形を用
いたので、実施例2のような正弦波形に比べて、信号発
生回路を簡単なものとすることができた。振動変位に対
するデューティ比の寄与は、信号電圧の振幅値などによ
って大きく変化するが、デューティが50%以上の場合
には、図11のような安定した振動波形は得られなかっ
た。デューティ比が50%以上であると、図12のよう
な変位波形になることが多く、場合によっては振動板が
撓みすぎて、対向している電極に接触するに至った。し
たがって、安定した振動変位を得るためには、デューテ
ィ比は50%以下であることが望ましい。
【0043】(実施例4)実施例1と同構成のアクチュ
エータに、ベース電圧としての図6のような形状の周波
数10[kHz]、電圧70[V]のパルス電圧を印加
した。その時、図10のような変位波形が得られ、変位
量は約0.1[μm]であった。次に、前述のベース電
圧に信号電圧としての周波数150[kHz]、電圧約
1.5[V]、デューティ比40%のパルス波を重畳し
て印加した。その結果、振動変位は、図11のように2
倍以上に大きくなった。
【0044】次に、このアクチュエータにノズル板等を
接合し、図13(図13(A)は縦断面図、図13
(B)は図13(A)のB−B縦断面図)のようなイン
クジェットヘッドを形成した。そして、図14のように
ベース電圧のON−OFFのみで吐出制御する場合と、
図15のようにベース電圧と信号電圧の両方をON−O
FFして吐出制御する場合でインクの吐出性能に差があ
るかどうか調べた。その結果、いずれの場合も良好なイ
ンク吐出性能を示し、両者に差がなく、ON−OFFの
スイッチングはベース電圧のみで良いことが確認でき
た。
【0045】(実施例5)実施例4において、ベース電
圧を60[V]に減らし、信号電圧を約10[V]にし
て同様の評価を行った。振動変位は実施例4と同様の大
きさを得ることができた。しかし、振動板が撓んだ状態
の時の変位波形にリップルが多く、やや不安定であっ
た。次に、アクチュエータにノズル板等を接合し、図1
3に示したようなインクジェットヘッドを形成した後、
実施例4と同様に、図14のようにベース電圧のON−
OFFのみで吐出制御する場合と、図15のようにベー
ス電圧と信号電圧の両方をON−OFFして吐出制御す
る場合でインクの吐出性能に差があるかどうか調べた。
その結果、どちらの場合も実施例4と比較すると吐出す
るインク滴の大きさなどがばらついていた。また、信号
電圧をOFFしない方式の場合には、ベース電圧がOF
Fしている時のノズル部のインクのメニスカスが大きく
振動してしまっていた。
【0046】実施例4の結果と合わせて、ベース電圧と
信号電圧の比は可能な限り大きい方がよいことが確認で
きた。こうすることにより、振動板の挙動が安定し、イ
ンクの吐出性能も向上する。また、ベース電圧と信号電
圧の比を大きくすることにより、高周波の信号電圧の電
圧を小さくすることができ、駆動回路を比較的容易に作
製することができた。なお、本実施例のアクチュエータ
で調べたところでは、ベース電圧と信号電圧の比が1
0:1以上であれば吐出性能に悪影響は現れなかった。
【0047】(実施例6)実施例1と同構成のアクチュ
エータに、ベース電圧としての図6のような形状の周波
数10[kHz]、電圧70[V]のパルス電圧を印加
した。さらに、信号電圧としての周波数150[kH
z]、電圧約1.5[V]、デューティ比40%のパル
ス波を重畳し、図15のような波形の駆動電圧をアクチ
ュエータに印加した。振動変位波形を測定したところ、
図11のようであった。
【0048】次に、ベース電圧のパルスの立上がりと信
号電圧のパルスの立上がりに位相差を設けて、図16の
ような波形の駆動電圧でアクチュエータを駆動した。そ
の結果、振動変位波形は図17のようになった。ベース
電圧と信号電圧のパルスの立上がりが同位相の場合に
は、両者の電圧の和の電圧が振動板に一度にかかるの
で、振動板の変位のオーバシュート量が大きくなり、残
留振動が長く残ってしまう結果となった。しかし、両者
のパルスの立上がりに位相差を設けると、振動板の変位
の応答は若干遅れるものの、2つの電圧により生じる静
電力が同時に作用しないため、オーバシュートの少ない
滑らかな振動変位が得られた。このようにベース電圧の
立上がりに対して信号電圧の立上がりを遅らせることに
よって、吐出直前のインクのメニスカスがより安定し、
吐出性能が安定することが確認できた。
【0049】
【発明の効果】請求項1の発明の効果:請求項1の発明
は、インクが充填されたノズルを有する液室の一部に形
成された振動板と該振動板に設けられた第一の電極と該
第一の電極と微小間隔隔てて対向して設けられた第二の
電極の間に電位差を生ぜしめ静電力で該振動板を変形さ
せて該ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッ
ドにおいて、前記静電力が前記振動板の復元力より大き
くなる臨界電圧よりも大きい電圧を適宜な時間印加する
ようにしたので、静電力が振動板の復元力より大きくな
る臨界電圧よりも大きい電圧を適宜な時間印加すること
により、(復元力)<(静電力)となる微小ギャップ領
域を利用し、大変位を振動板に発生させることができ
る。したがって、液室を小さくしても十分な大きさのイ
ンク滴を吐出できるので、高密度、高集積度のインクジ
ェットヘッドを実現できる。
【0050】請求項2の発明の効果:請求項2の発明
は、請求項1の発明において、臨界電圧に近い大きさの
ベース電圧に該ベース電圧よりも高周波の信号電圧を重
畳するようにしたので、振動板の変位を安定して維持す
ることができ、変位の制御性を向上させることができ
る。
【0051】請求項3の発明の効果:請求項3の発明
は、請求項2の発明において、信号電圧の周波数によっ
て振動板の振動変位を制御するので、振動板の挙動安定
性を制御することができる。
【0052】請求項4の発明の効果:請求項4の発明
は、請求項2の発明において、ベース電圧あるいは信号
電圧の振幅によって振幅板の振動変位を制御するので、
振動板の変位量の制御性を向上させることができる。
【0053】請求項5の発明の効果:請求項5の発明
は、請求項2の発明において、信号電圧がパルス波形で
あるので、振動板の変位の制御性を向上すると共に、駆
動回路を簡略化することができる。
【0054】請求項6の発明の効果:請求項6の発明
は、請求項5の発明において、パルスのデューティ比に
よって振動板の振動変位を制御するので、振動板の変位
量の制御性を向上させることができる。
【0055】請求項7の発明の効果:請求項7の発明
は、請求項5の発明において、パルスのデューティ比が
50%以下であるので、振動板の対向電極への接触を回
避することができる。
【0056】請求項8の発明の効果:請求項8の発明
は、請求項2の発明において、ベース電圧のON−OF
Fで振動板の駆動を行うので、駆動回路を簡略化するこ
とができる。
【0057】請求項9の発明の効果:請求項9の発明
は、請求項2の発明において、ベース電圧の振幅と信号
電圧の振幅の比が10:1以上であるので、振動板の変
位制御性を向上し、信号電圧の駆動回路を低コスト化す
ることができる。
【0058】請求項10の発明の効果:請求項10の発
明は、請求項2の発明において、ベース電圧の立上がり
と信号電圧の立上がりが同位相でないので、振動板の挙
動を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 静電力型インクジェットの基本構成を示す断
面図である。
【図2】 振動板駆動電圧の一例を示す波形図である。
【図3】 振動板駆動電圧の他の例を示す波形図であ
る。
【図4】 振動板駆動電圧の他の例を示す波形図であ
る。
【図5】 振動板駆動電圧の他の例を示す波形図であ
る。
【図6】 振動板駆動電圧の更に他の例を示す波形図で
ある。
【図7】 本発明の第1の実施例を説明するための断面
構成図である。
【図8】 臨界電圧付近の振動板の変位波形を説明する
ための波形図である。
【図9】 臨界電圧付近の振動板の他の変位波形を説明
するための波形図である。
【図10】 本発明の第2の実施例を説明するための振
動板の変位波形図である。
【図11】 本発明の第2の実施例を説明するための振
動板の変位波形図である。
【図12】 本発明の第3の実施例を説明するための振
動板の変位波形図である。
【図13】 本発明の第4の実施例を説明するための静
電型インクジェットヘッドの断面図である。
【図14】 本発明の第4の実施例を説明するための振
動板の変位波形図である。
【図15】 本発明の第4の実施例を説明するための振
動板の変位波形図である。
【図16】 本発明の第6の実施例を説明するための振
動板の変位波形図である。
【図17】 本発明の第6の実施例を説明するための振
動板の変位波形図である。
【符号の説明】
1…第1電極、2…第2電極、3…振動板、4…基板、
5…液室、6…ノズル、7…保護膜、8…流体抵抗、9
…インク滴、10…インク供給路、11…ノズルプレー
ト。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルを有する液室の一部に形成された
    振動板と、該振動板に設けられた第一の電極と、該第一
    の電極と微小間隔隔てて対向して設けられた第二の電極
    とを有し、前記第一の電極と第二の電極との間に電位差
    を生ぜしめ、静電力にて前記振動板を変形させて前記ノ
    ズルよりインクを吐出するインクジェットヘッドにおい
    て、前記静電力が前記振動板の復元力より大きくなる臨
    界電圧よりも大きい電圧を、前記第一の電極と第二の電
    極との間に所定時間印加することを特徴とするインクジ
    ェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記臨界電圧に近い大きさのベース電圧
    に該ベース電圧よりも高周波の信号電圧を重畳すること
    を特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記信号電圧の周波数によって振動板の
    振動変位を制御することを特徴とする請求項2記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記ベース電圧あるいは信号電圧の振幅
    によって振動板の振動変位を制御することを特徴とする
    請求項2記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記信号電圧がパルス電圧であることを
    特徴とする請求項2記載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記パルス電圧のデューティ比によって
    前記振動板の振動変位を制御することを特徴とする請求
    項5記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 前記パルス電圧のデューティ比が50%
    以下であることを特徴とする請求項5記載のインクジェ
    ットヘッド。
  8. 【請求項8】 前記ベース電圧のON−OFFで振動板
    の駆動を行うことを特徴とする請求項2記載のインクジ
    ェットヘッド。
  9. 【請求項9】 前記ベース電圧の振幅と信号電圧の振幅
    の比が10:1以上であることを特徴とする請求項2記
    載のインクジェットヘッド。
  10. 【請求項10】 前記ベース電圧の立上がりと信号電圧
    の立上がりが同位相でないことを特徴とする請求項2記
    載のインクジェットヘッド。
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