JP2013006333A - 液体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズル内壁面との間の壁面抵抗により形成される境界層に起因する液体の吐出安定性に対する影響を抑制し、特に高周波領域における吐出性能の安定化を実現し得る液体噴射装置を提供する。
【解決手段】駆動信号S1の供給により変形して圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、圧力変化に伴い圧力発生室の液体を吐出させるノズル開口とを備えた液体噴射ヘッドと、駆動信号S1を供給する制御手段とを備えた液体噴射装置であって、駆動信号S1は、前記圧力発生手段の駆動により前記圧力発生室を膨張させる立下り部Cを含む予備パルス部Ppと、立下り部Cの後に前記圧力発生室を収縮させて前記ノズル開口から液滴を吐出させる立上り部Eを含む吐出パルス部Pmとを有し、立下り部Cの終端から立上り部Eの始端までの期間T1と、前記圧力発生室の固有振動数の周期Tcとが、T1≦Tc/2の関係になっている。
【選択図】図6

Description

本発明は液体噴射装置に関し、特に光輝性を有する箔印刷が可能な平板状粒子を含むインクを吐出する場合に適用して有用なものである。
液体噴射装置に搭載されノズル開口を介して液体を吐出する液体噴射ヘッドの代表例として、例えば圧電アクチュエーターの変位による圧力を利用してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドが知られている。この種のインクジェット式記録ヘッドは、一般に、ノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板の一方面側に圧電アクチュエーターを設け、この圧電アクチュエーターを変形させることで圧力発生室内のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるように構成してある。
かかるインクジェット式記録ヘッドの中には、金属光沢を有する印刷物を作成すべく、平板状粒子の金属顔料を含むメタリックインクを吐出するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
かかるメタリックインクを吐出させるインクジェット式記録ヘッドにおいては、ヘッド内の流路に吐出に伴う流れが形成された際に、粘度は通常のインクと同程度であってもメタリックインクに含まれる金属顔料である多数の平板状粒子が、流路の壁面近傍の領域において流路内の流れを乱すことによって、厚い境界層が形成される。これは、壁面近傍の領域において流体の速度勾配が大きくなり、この速度勾配に起因して平板状粒子が非対称な力を受けて、回転等、流れ方向と異なる方向に運動することによって、流れをさらに乱すためと考えられる。
こうして、厚い境界層が形成される結果、壁面抵抗が大きくなって吐出が不安定になるという問題を生起する。さらに詳言すると次の通りである。
図8は圧電アクチュエーターに供給する従来技術に係る駆動信号S11の一例を示す波形図である。同図に示すように、かかる波形の駆動信号S11をアクチュエーターに印加すれば最初の立上り部で圧力発生室内のメタリックインクに吐出圧力が作用し、ノズル開口を介してメタリックインクが問題なく吐出される。かかる駆動信号S11による吐出動作ではメタリックインクを単純に吐出方向に押圧して吐出させるだけであるので、メタリックインクの粘度や平板状流体の顔料を含みノズル開口の壁面抵抗が大きいことは特別な不都合を生起するものではない。ただ、前述の如く、単純にメタリックインクを吐出方向に押圧するだけであるので、大きな吐出速度が得られない。
そこで、十分な吐出速度を得るための工夫として図9に示す駆動信号が提案されている。図9に示すように、駆動信号S12では、所定の中間電位Vmの電圧を印加し、圧電アクチュエーターを若干撓ませた状態からメタリックインクの吐出方向とは逆の引込み方向にメタリックインクを移動させ、勢いをつけた状態で、その後吐出方向にメタリックインクに圧力を作用させている。このことにより、引込み方向に勢いが付いたメタリックインクを吐出方向に急激に押すことができ、充分大きな吐出速度を得ることができる。
特開2007−46034号公報
しかしながら、図9に示す駆動信号S12で圧電アクチュエーターを駆動した場合には、壁面抵抗が大きいメタリックインクを吐出させる際に次のような不都合を生起する。すなわち、本吐出に先立つ引込み動作に際し、大きな壁面抵抗で移動が規制されているノズル開口の内壁面近傍の境界層部分に存在するメタリックインクにより中央部のメタリックインクに対する吐出圧力の作用により吐出しようとしても吐出方向への流れが阻害される結果、吐出が不安定になる。吐出動作に先立つ引込み動作による移動方向と吐出動作に伴う移動方向が逆転するが、かかる移動方向の逆転に境界層のメタリックインクが追随することができない場合が生起されるからである。かかる傾向は、吐出周波数が高周波になればなるほど顕著になる。したがって、メタリックインクを使用する場合において高周波化を図る場合の大きな障害となってしまう。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、平板状粒子の顔料を含む液体や高粘度の液体であればインク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、ノズル内壁面との間の壁面抵抗により形成される境界層に起因する液体の吐出安定性に対する影響を抑制し、特に高周波領域における吐出性能の安定化を実現し得る液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体が充填される圧力発生室と、駆動信号の供給により前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、前記圧力変化に伴い前記圧力発生室内の液体を吐出させるノズル開口とを備えた液体噴射ヘッドと、前記駆動信号を前記圧力発生手段に供給する制御手段とを備えた液体噴射装置であって、前記駆動信号は、前記圧力発生手段の駆動により前記圧力発生室を膨張させる第1要素を含む予備パルス部と、前記第1要素の後に前記圧力発生室を収縮させて前記ノズル開口から液滴を吐出させる第2要素を含む吐出パルス部とを有し、前記第1要素の終端から前記第2要素の始端までの期間T1と、前記圧力発生室の固有振動数の周期Tcとが、T1≦Tc/2の関係になっていることを特徴とする液体噴射装置にある。
本態様によれば、予備パルス部の第1要素の終端から第2要素の始端までの期間T1と、圧力発生室の固有振動数の周期Tcとが、T1≦Tc/2の関係を有しているので、予備パルス部で一旦吐出方向の力が作用した後、メニスカスが引き込まれた状態の液体のうち境界層を形成している液体が動かないうちに吐出パルス部でノズル開口から液体を吐出させることができる。したがって、境界層を形成しないノズル開口の横断面の中央部の液体は、図9に示すような従来の駆動信号で駆動された状態と実効的に等価となり、充分な吐出速度が得られる。これに対し境界層の液体は予備パルス部では移動せず吐出パルス部の吐出力により吐出されるので、予備パルス部での引込み動作の影響を除去することができる。この結果、例え高周波で吐出動作を行わせた場合でも、ノズル開口の内壁面と接する部分での液体の振動による吐出不安定要素を除去することができる。このため、特に壁面部との接触抵抗が大きい平板状粒子を顔料として含むメタリックインクや高粘度のインクであっても、またこれらを高周波数で吐出させる場合であっても、常に安定した吐出特性を得ることができる。
ここで、前記予備パルス部の第1要素の期間T2は、T2<Tcの関係になっていることが望ましい。圧力発生室の固有振動数の周期Tcに合わせて境界層が移動することを防止し、上記第1の態様の効果を補完してより確実かつ良好なものとすることができるからである。
前記駆動信号には、アクチュエーターの変形による吐出動作が完了して初期状態に戻る際の前記吐出パルス部に、前記アクチュエーターの変位を減少させる少なくとも一個の平坦部が形成されていることが望ましい。この場合には流速が大きい中央部の液体の流れが、流速が小さい境界層の液体の流れを待って一体的に流れるので、全体としての流速分布を小さくすることができ、その分吐出の安定性に寄与させることができる。
前記液体は、扁平な形状をもつ平板状粒子を含むものであることが望ましい。さらに、平板状粒子の面積を同面積の円に置き換えたときの円の半径をRとするとき、半径Rの前記粒子の存在率が50%となる粒径をR50とし、前記平板状の粒子の厚さをZとするとき(R50/Z)>2となるような扁平な形状をもつものであることが望ましい。これらの場合に上述の如き作用効果が顕著に発揮されるからである。
液体噴射装置の構成を示す模式的斜視図である。 実施の形態に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 図2の平面図である。 図3のA―A´線断面図である。 液体噴射装置の制御系の構成を示すブロック線図である。 本発明に係る液体噴射装置の駆動信号の波形を示す波形図である。 駆動波形とノズル開口におけるメニスカスの関係を示す説明図である。 従来の液体噴射装置の駆動信号の波形の一例を示す波形図である。 従来の液体噴射装置の駆動信号の波形の他の例を示す波形図である。
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、インクジェット式記録装置(以下、記録装置ともいう)の一例を示す概略図である。図1に示すように、記録ヘッドユニット1A及び1Bは、液体吐出装置としてのインクジェット式記録装置Iに設けられている。即ち、記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インクジェット式記録装置Iのキャリッジ3に搭載され、キャリッジ3は、インクジェット式記録装置Iの装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動可能に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出する。本形態におけるインクは、金属粒子である平板状粒子を顔料として含ませることにより光揮性を具備させたメタリックインクを使用している。本形態の効果(後に詳述する)を顕著に発揮させることができるからである。ここで、平板状粒子とは、平板状の粒子の面積を同面積の円に置き換えたときの円の半径をRとするとき、半径Rの前記粒子の存在率が50%となる粒径をR50とし、前記平板状の粒子の厚さをZとするとき(R50/Z)>2となるような扁平な形状をもつものをいう(以下、同じ)。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図1中は図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
図2は、図1に示す記録ヘッドユニット1A,1Bが内蔵するインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドともいう)の概略構成を示す分解斜視図であり、図3は、図2の平面図であり、図4は図3のA−A′線断面図である。
図2〜図4に示すように、記録ヘッド10の流路形成基板11は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなり、本形態における振動部となる弾性膜50が形成されている。流路形成基板11には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板11の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板30のマニホールド部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。かくして本形態では、流路形成基板11に、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられていることになり、圧力発生室12にインクが充填される。
また、流路形成基板11の一方の面である開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。ここで、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等で好適に構成することができる。
流路形成基板11の反対側の開口面には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、例えば厚さ30〜50nm程度の酸化チタン等からなり弾性膜50等の第1電極60の下地との密着性を向上させるための密着層56が設けられている。なお、弾性膜50上に、必要に応じて酸化ジルコニウム等からなる絶縁体膜が設けられていてもよい。
さらに、この密着層56上には、第1電極60と、厚さが2μm以下、好ましくは0.3〜1.5μmの薄膜である圧電体層70と、第2電極80とが、積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、本形態における圧力発生手段であり、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、密着層56、第1電極60及び必要に応じて設ける絶縁体膜が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50や密着層56を設けなくてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
かかる圧電素子300の個別電極である第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、弾性膜50上や必要に応じて設ける絶縁体膜上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
圧電素子300が形成された流路形成基板11上、すなわち、第1電極60、弾性膜50や必要に応じて設ける絶縁体膜及びリード電極90上には、マニホールド100の少なくとも一部を構成するマニホールド部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このマニホールド部31は、本形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板11の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。また、流路形成基板11の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、マニホールド部31のみをマニホールドとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板11に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板11と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、必要に応じて設ける絶縁体膜等)にマニホールド100と各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板11の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本形態では、流路形成基板11と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成してある。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられており、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍が、貫通孔33内に露出するように構成してある。
一方、保護基板30上には、後に詳述する制御部(図2〜図4には図示せず)で制御されて圧電素子300を駆動する駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
かかる記録ヘッド10では、図示しない外部のインク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの駆動信号にしたがい、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧が印加され、弾性膜50、密着層56、第1電極60及び圧電体層70を撓み変形させることにより、振動部として機能する弾性膜50を介して各圧力発生室12内のインクに前記変形に伴う振動を伝達させる。この結果、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出される。かかるインクの吐出駆動動作に関しては後に詳述する。
図5はインクジェット式記録装置Iの制御系を示すブロック線図である。同図に示すように、インクジェット式記録装置I内には、インクジェット式記録装置Iの制御を行う制御部110が設けられている。制御部110は、CPU111と、装置制御部112と、容量性負荷である圧電素子300の駆動回路であるヘッド制御部113とを備えている。
さらに詳言すると、CPU111からキャリッジ3(図1参照)の移動を示す信号が装置制御部112に入力されると、装置制御部112は、駆動モーター6を駆動させてキャリッジ3をキャリッジ軸5に沿って移動させるとともに、CPU111からの記録シートS(図1参照)の搬送を示す信号が装置制御部112に入力され、装置制御部112は、供給ローラー23を駆動して記録シートSを搬送させる。
一方、ヘッド制御部113には、CPU111からヘッドの駆動信号S1を生成するためのアナログ信号S2及び当該ヘッド制御部113の動作の制御を行う制御信号S3が入力される。この結果、ヘッド制御部113はインクジェット式記録ヘッド10の各圧電素子300に駆動信号S1を選択的に印加してインクを吐出させる。ここで、インクジェット式記録ヘッド10は図示しないドライバーICがCPU111からヘッド制御信号を供給されて各圧電素子300を選択的に駆動させる。
図6は駆動信号S1の波形を示す波形図である。同図に示すように、駆動信号S1には、ノズル開口21(図2参照;以下同じ)からメタリックインクを吐出させる吐出動作を行わせる吐出パルス部Pmに時間的に先行させて予備パルス部Ppが形成されている。予備パルス部Ppの駆動信号S1が圧電素子300(図2参照;以下同じ)に印加された場合には、その変形によりノズル開口21におけるメタリックインクのメニスカスがノズル開口21から突出され、その後一旦平坦になって逆方向に引込まれる。このため、予備パルス部Ppは、立上り部A、平坦部B、立下り部Cおよび立下り部Cの終端から吐出パルス部Pmの立上り部Eの始端に至る平坦部Dを有している。ここで、立下り部Cが予備パルス部Ppにおいて圧力発生室12(図2参照;以下同じ)を膨張させるための第1要素となっており、立上り部Eが吐出パルス部Pmにおいて圧力発生室12を収縮させてノズル開口21(図2参照;以下同じ)を介しインク滴を吐出させる第2要素となっている。
さらに、本形態においては、平坦部Dの期間T1と圧力発生室12の固有振動数の周期Tcとの関係が(T1≦Tc/2)となり、同時に立下り部Cの期間T2と固有振動数の周期Tcとの関係が(T2<Tc)となるように駆動信号S1が制御部110(図5参照;以下同じ)で生成される。
駆動信号S1において、圧電素子300の変形による吐出動作が完了して初期状態に戻る際の吐出パルス部Pmには、圧電素子300の変位を減少させるための平坦部Pが形成されている。平坦部Pの機能に関しては後に詳述する。
上述の如き実施の形態においては駆動信号S1が圧電素子300に供給されることによりノズル開口21を介してインク滴が吐出される。このとき、駆動信号S1は吐出パルス部Pmに時間的に先行する予備パルス部Ppを有するので、次のような吐出態様となる。
図7は駆動信号S1の波形とノズル開口21におけるメタリックインクによるメニスカスの関係を示す説明図である。まず、予備パルス部Ppの立上り部A(図6参照)では、駆動信号S1を漸増することにより圧電素子300を伸張させて圧力発生室12の容積が縮小されるように圧力を作用させる。この結果、図7(a)に示すように、このときの圧力変動により、図中に矢印で示すように、ノズル開口21内のメタリックインク36に図中下向き(以下、「吐出方向」という)の力が作用する。このとき、ノズル開口21の内壁面近傍の境界層は大きな壁面抵抗により移動が規制されている。
かかる状態から、図7(b)に示すように、駆動信号S1を一定電圧とすることにより、圧電素子300に印加する電圧を一定として平坦部B(図6参照)を形成することでメニスカスMを平坦にする。その後、駆動信号S1による圧電素子300へ印加する電圧を漸減する立下り部C(図6参照)により圧電素子300の撓み量が小さくなって圧力発生室12の容積を拡大させる。この結果、図7(c)に示すように、このときの圧力変動により、ノズル開口21内のメタリックインク36に、図中に矢印で示すように上向き(以下、「引込方向」という)の力が作用する。この場合でもノズル開口21の内壁面近傍の境界層は大きな壁面抵抗により移動が規制されている。この結果、メニスカスMは引込方向に引込まれて上に凸の円弧状となる。
かかる予備動作の後、駆動信号S1の吐出パルス部Pmの立上り部E(図6参照)で所定の電圧まで増加させることにより圧電素子300を大きく撓ませて圧力発生室12の容積が縮小されるように大きな圧力を作用させる。この結果、図7(d)に示すようにメタリックインク36がノズル開口21から吐出される。
ここで本形態では、予備パルス部Pp(図6参照;以下同じ)の平坦部Dの期間T1と、圧力発生室12の固有振動数の周期Tcとが、T1≦Tc/2の関係となっており、同時に立下り部Cの期間T2と固有振動数の周期Tcとの関係がT2<Tcとなるように構成してあるので、吐出周波数が高周波であってもメタリックインク36の吐出を安定して行わせることができる。これは、次の理由による。
一般に粘性流体を振動させた場合、その境界層における流体の運動は、それ以外の部分(例えば、ノズル開口21の横断面内における中央部)の流体の運動に比べてπ/2だけ位相が遅れ、π/2の位相差を持つことが知られている(「流体力学(前編)(物理学選書(14))」,今井 功著,第299頁参照 裳華房)。すなわち、中央部の流れにおける流体の運動に対し、境界層の流れにおける流体の運動は、振動の周期に対して半周期分(π/2)だけ位相が遅れる。
本形態によれば、上述のごとく、T1≦Tc/2の関係を有しているので、予備パルス部Ppで一旦吐出方向の力が作用した後、メニスカスMが引き込まれた状態のメタリックインク36のうち境界層を形成している部分が引き込み方向に動き出さないうちに吐出パルス部Pmでノズル開口21からメタリックインク36を吐出させることができる。したがって、境界層を形成しないノズル開口21の横断面の中央部のメタリックインク36は、図9に示すような従来の駆動信号S12で駆動された状態と実効的に等価となり、充分な吐出速度が得られる。
これに対し境界層のメタリックインク36は予備パルス部Ppでは移動せず吐出パルス部Pmの吐出力により吐出されるので、予備パルス部Ppの引込み動作の影響は受けない。
さらに、上述のごとく本形態では、T2<Tcの関係を有しているので、予備パルス部Ppで一旦吐出方向の力が作用した後、メニスカスMが引き込まれた状態のメタリックインク36のうち境界層を形成している部分が動かないうちに吐出パルス部Pmでノズル開口21からメタリックインク36を確実に吐出させることができる。すなわち、T1≦Tc/2の関係に起因する一連の作用・効果を補完してより確実かつ良好に円滑な吐出特性を得ることができる。ただ、T2<Tcの関係は所定の作用・効果を発揮させることができる要件ではあるが、必ずしも必要ではない。
この結果、例え高周波数(例えば30kHz)で吐出動作を行わせた場合でも、ノズル開口21の内壁面と接する部分でのメタリックインク36の振動による吐出不安定要素を除去することができる。
また、本形態においては、吐出動作が完了して初期状態に戻る際の吐出パルス部Pmの立下り部Fには平坦部Pが形成されている。
この結果、流速が大きい中央部のメタリックインクの流れが、流速が小さい境界層のメタリックインクの流れを待って一体的に流れるので、全体としての流速分布を小さくすることができ、その分吐出の安定性に寄与させることができる。
なお、このように平坦部Pを形成することは必須ではない。図6に点線で示すように、立下り部Fが直線的に立ち下がるようにしても構わない。ただ、この場合には流速分布の平準化という本形態の効果は得られない。また、平坦部Pを一個に限定する必要もない。必要に応じ立下り部Fの途中の複数個所に設けても、勿論良い。
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態における記録装置Iは、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電素子を用いた圧電アクチュエーターを具備するもので説明したが、これに限定する必要はない。例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子を用いた圧電アクチュエーター等を使用することもできる。この場合、使用するインクも上述の如き平板状粒子である顔料を含むメタリックインクに限定するものでもない。一般に、インクないし液体とノズル内壁面との間の壁面抵抗により何れにしても境界層は形成されるので、インクないし液体の種類に限定されることなく本願発明の固有の効果は発揮されるからである。ただ、上述の如く壁面抵抗に起因して大きな境界層が形成されるメタリックインクや高粘度インクを吐出する場合に適用して、しかもこれらのメタリックインクや高粘度インクを高周波数で吐出させる場合に適用して顕著な効果を発揮させることができる。
さらに、図1に示す実施の形態は、記録シートSの搬送方向と交差する方向(主走査方向)に移動するキャリッジ3に記録ヘッドユニット1A,1Bを搭載し、記録ヘッドユニット1A,1Bを主走査方向に移動させながら印刷を行う、いわゆるシリアル型のインクジェット式記録装置であるがこれに限るものではない。記録ヘッドが固定されて記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、いわゆるライン式のインクジェット記録装置であっても、勿論構わない。
また、上記実施の形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
I 記録装置(インクジェット式記録装置)、 1A、1B 記録ヘッドユニット、 10 記録ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)、 12 圧力発生室、 21 ノズル開口、 36 メタリックインク、 110 制御部、 300 圧電素子、 S1 駆動信号、 Pp 予備パルス部、 Pm 吐出パルス部、 C 立下り部、 D,P 平坦部、 T1,T2 期間、 M メニスカス

Claims (5)

  1. 液体が充填される圧力発生室と、駆動信号の供給により前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、前記圧力変化に伴い前記圧力発生室内の液体を吐出させるノズル開口とを備えた液体噴射ヘッドと、
    前記駆動信号を前記圧力発生手段に供給する制御手段とを備えた液体噴射装置であって、
    前記駆動信号は、前記圧力発生手段の駆動により前記圧力発生室を膨張させる第1要素を含む予備パルス部と、前記第1要素の後に前記圧力発生室を収縮させて前記ノズル開口から液滴を吐出させる第2要素を含む吐出パルス部とを有し、
    前記第1要素の終端から前記第2要素の始端までの期間T1と、前記圧力発生室の固有振動数の周期Tcとが、T1≦Tc/2の関係になっていることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 請求項1に記載する液体噴射装置において、
    前記予備パルス部の第1要素の期間T2が、T2<Tcの関係になっていることを特徴とする液体噴射装置。
  3. 請求項1または2に記載する液体噴射装置において、
    前記駆動信号には、アクチュエーターの変形による吐出動作が完了して初期状態に戻る際の前記吐出パルス部に、前記アクチュエーターの変位を減少させる少なくとも一個の平坦部が形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載する液体噴射装置において、
    前記液体は、扁平な形状をもつ平板状粒子を含むことを特徴とする液体噴射装置。
  5. 請求項4に記載する液体噴射装置において、
    前記液体は、平板状粒子の面積を同面積の円に置き換えたときの円の半径をRとするとき、半径Rの前記粒子の存在率が50%となる粒径をR50とし、前記平板状の粒子の厚さをZとするとき(R50/Z)>2となるような扁平な形状をもつことを特徴とする液体噴射装置。
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