JPH11165068A - 脱硝触媒及びその製造方法 - Google Patents

脱硝触媒及びその製造方法

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JPH11165068A
JPH11165068A JP10128711A JP12871198A JPH11165068A JP H11165068 A JPH11165068 A JP H11165068A JP 10128711 A JP10128711 A JP 10128711A JP 12871198 A JP12871198 A JP 12871198A JP H11165068 A JPH11165068 A JP H11165068A
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oxide
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靖彦 水流
Masazumi Taura
昌純 田浦
Satoshi Omura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排ガス中の窒素酸化物を従来の触媒よりも低
温で浄化できる脱硝触媒及びその製造方法に関する。 【解決手段】 アナターゼ型構造の酸化チタンを担体と
し、酸化バナジウム微粒子又は酸化バナジウムにモリブ
デン及び/又はタングステンを固溶させた酸化バナジウ
ム固溶体微粒子を活性体として共沈法により3〜30重
量%担持させた比表面積が100m2 /g以上であるこ
とを特徴とする脱硝触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排ガス中の窒素酸化
物を従来の触媒よりも低温で浄化できる脱硝触媒及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ボイラ、ゴミ焼却炉等の排ガス中の窒素
酸化物(NOx )は環境汚染の原因物質であり、環境浄
化のためのNOx 無害化方法としては、通常酸化チタン
(TiO2 )−5酸化バナジウム(V2 5 )系触媒を
用い、アンモニア(NH3 )を還元剤とする接触還元法
が行われている。この方法では、排ガス温度が約200
℃よりも低くなると脱硝率小さくなるという問題があ
る。最近ゴミ焼却炉や産業廃棄物焼却炉ではダイオキシ
ンの生成が新たな環境問題となっている。ダイオキシン
を除去するためには、その蒸気圧が低くなる約200℃
以下の低温に排ガス温度を下げる必要がある。そこで、
従来の技術では、約150℃程度の低温でダイオキシン
を除去した後、排ガス温度を約200℃以上に加熱し、
TiO2 −V2 5 系触媒で脱硝する方法を用いざるを
得ない。このV2 5 系触媒の脱硝性能が低温で小さく
なる原因としては、含浸法で製造されているため比表面
積が約50〜90m2 /gと小さい触媒しか得られない
ことが考えられる。そこで、触媒の活性を低温でさらに
高くするためには、これよりも比表面積が大きい触媒が
必要となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の課題
は、上記技術レベルを考慮して、現用のTiO2 −V2
5 系触媒よりも低温度でも脱硝活性が高い高比表面積
の触媒を提供し、環境浄化に役立てようとするものであ
る。通常5価のバナジウムは従来メタバナジン酸アンモ
ニウム(NH4 VO3 )が原料として用いられ、この原
料を用いると含浸法しか触媒にする方法がないので、比
表面積が約50〜90m2 /gと小さい触媒しか得られ
ないという問題点があった。これに対し、3価のバナジ
ウムとしては3塩化バナジウム等があり、これは共沈法
により水酸化バナジウム(3価)としてTiO2 に担持
することが可能であるので、調製条件を適正化すること
により高比表面積の微粒子が得られ、これをさらに酸化
することによりV2 5 に変える方法、すなわち共沈及
び原子価制御法(共沈後、酸化によりバナジウムの価数
を3価から5価に変える方法)により比表面積が100
2 /g以上の触媒を提供できる可能性がある。本発明
はその比表面積が100m2 /g以上の脱硝触媒及びそ
の製法を適用しようとするものである。本発明の第二の
課題は、この共沈法により作製した高比表面積の触媒の
組成や細孔分布を適正にして、低温脱硝活性に優れた触
媒及びその製法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記技術レベル
を考慮して優れた低温脱硝触媒を提供するため、以下の
構成(1)〜(5)よりなるものである。 (1)アナターゼ型構造の酸化チタンを担体とし、酸化
バナジウム微粒子又は酸化バナジウムにモリブデン及び
/又はタングステンを固溶させた酸化バナジウム固溶体
微粒子を活性体として共沈法により3〜30重量%担持
させた比表面積が100m2 /g以上であることを特徴
とする脱硝触媒。 (2)(1)の触媒において、平均粒径10nm以下の
酸化チタン超微粒子と平均粒径10〜50nmの酸化チ
タン微粒子の大小2種の粒径から構成されるアナターゼ
型構造の酸化チタン混合物を担体として活性体を担持さ
せてなることを特徴とする脱硝触媒。 (3)上記(1)〜(2)の脱硝触媒において、細孔径
1〜8nmの細孔、又は細孔径が1〜8nmと8〜50
nmの大小2種の細孔からなる細孔を全部で0.1cc
/g以上含有してなることを特徴とする脱硝触媒。
【0005】(4)4塩化チタン又は硫酸チタンを含有
する水溶液に、3〜30重量%活性体を担持させるのに
必要なバナジウム(3価)又はバナジウム(3価)とモ
リブデン及び/又はタングステンのイオンを含有する溶
液を添加し、さらに水又は水と水溶性アルコールを加
え、溶液中のチタン化合物の濃度が0.5〜0.05モ
ル/リットルの水溶液になるように調整し、続いてこの
溶液に濃度3〜0.5規定のアンモニア水を徐々に滴下
して中和することにより、酸化チタンとバナジウム水酸
化物又はバナジウム水酸化物固溶体の共同沈澱物を生成
させ、この沈澱を洗浄、乾燥した後、280〜550℃
の温度で酸化雰囲気中で熱処理して酸化することによ
り、酸化チタンに担持させた酸化バナジウムの価数を3
価から5価に変えることを特徴とする上記(1)〜
(3)いずれかに記載の脱硝触媒の製造方法。 (5)上記(4)記載の製造方法において、4塩化チタ
ン又は硫酸チタンを含有する水溶液に平均粒径10〜5
0nmの酸化チタン微粒子を加え、攪拌しながら共沈さ
せることにより、共沈により生成した平均粒径10nm
以下の酸化チタン超微粒子と添加した平均粒径10〜5
0nmの酸化チタン微粒子からなる大小2種の酸化チタ
ン混合物を担体として活性体を担持させることを特徴と
する上記(1)〜(3)いずれかに記載の脱硝触媒の製
造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の脱硝触媒及びその製造方
法をまとめて、その数値限定の理由を説明する。なお、
本発明の脱硝触媒はアンモニアを還元剤として用いるこ
とにより脱硝性能を有するものであり、本発明の脱硝触
媒を用いてアンモニアを注入することにより窒素酸化物
を高性能に無害化できる。
【0007】(1)沈澱を作る時の溶液中のチタン化合
物の濃度を0.5〜0.05モル/リットルにする。溶
液中のTiCl4 濃度が0.5モル/リットルより大き
い場合、濃度が濃すぎて沈澱が糊状になり攪拌しにくく
なる等、取扱いにくくなるので、濃度を0.5モル/リ
ットル以下にする必要がある。しかし、濃度が0.05
モル/リットルよりも小さい場合、溶液が薄いので触媒
を作るのに多量の溶液が必要になり実用的でない。より
好ましいTiCl4 濃度は0.05〜0.3モル/リッ
トルの範囲である。TiCl4 濃度をこの範囲に保つた
めには、水で希釈するが、水とメタノール、エタノー
ル、プロパノール、ポリビニルアルコール、ポリエチレ
ングリコールなどの水溶性アルコールの混合物を用いる
こともできる。アルコールは触媒を高温で調製する時に
分解し、生成した触媒微粒子に細孔を形成させ、比表面
積を大きくする作用を有するからである。アルコールの
添加量は特に制限するものではないが、10重量%以下
の範囲が好ましい。さらに、ポリビニールアルコール等
の水溶性ポリマーを同じ目的で添加することもできる
が、このような添加物を用いた場合も、本発明の例外と
するものではない。
【0008】(2)アンモニア水の濃度を3〜0.5規
定とする。中和に使用するアンモニア水が3規定よりも
濃い場合、滴下したアンモニア水のまわりに沈澱が固ま
って生成するため不均一となり、粗大化して沈澱の比表
面積が小さくなるので、アンモニア水の濃度を3規定以
下とする必要がある。しかし、濃度が0.5規定未満の
場合、多量のアンモニア水を中和のため加える必要があ
り、溶液の体積が増えすぎて実用的でない。アンモニア
水のより好ましい濃度は0.5〜2規定の範囲である。
なお、アンモニア水で中和する時、一度に混ぜると沈澱
が不均質に生成し比表面積が小さくなるので、アンモニ
ア水を徐々に滴下することが高比表面積の触媒を調製す
るためには必要である。
【0009】(3)担体に対し、酸化バナジウム又はそ
の固溶体微粒子を活性体として3〜30重量%担持させ
る。触媒としてバナジウム系酸化物又はその固溶体を用
いる理由は、低温でも脱硝性能の劣化が小さいこと及び
バナジウム酸化物にMo及び/又はWを固溶させること
により、バナジウムの価数が変化して5価と4価の混合
状態となり、脱硝反応にともなう酸化還元が起こりやす
くなるためである。なお、溶液中のV等の遷移金属イオ
ンの濃度は、TiO2 に対し何重量%バナジウム系酸化
物を担持させるかという担持量でおのずから決まるもの
である。TiO2 担体に対し担持させる触媒の担持量
は、3重量%未満の場合、脱硝性能が低く、また30重
量%より多くしても脱硝性能が増えることはなく、逆に
触媒粒子の成形性が悪く、触媒の形状を保てないこと、
2 5 粒子が互いに接触する確率が高くなり、熱処理
により粒成長して比表面積が小さくなる等の不具合が生
じるからである。担体粒子を活性体粒子で覆うために
は、10重量%程度添加すれば十分であり、本発明の触
媒では担持量が15重量%になれば150℃での脱硝率
は100%になりほぼ目的を達成しているので、担持量
としては、5〜15重量%の範囲がより好ましい実施態
様である。活性体の原料としては、VCl3 、MoCl
5 、WCl6 等の塩化物を用いることができる。TiO
2 に担持することにより高比表面積の触媒が得られる
が、その作用としては、V2 5 粒子がTiO2 粒子に
より均一に分散されているためV2 5 粒子の粒成長が
防止され、超微粒子からなる高比表面積の触媒が得られ
ることが考えられる。
【0010】(4)沈澱を洗浄し、乾燥した後、酸化雰
囲気中280〜550℃の温度で熱処理する。アンモニ
ア水で中和すると多量のNH4 Clが生成するため、こ
れを洗浄し除去する必要がある。さらに、吸着している
水分を乾燥器中で乾燥して除去する必要がある。得られ
た沈澱は、アナターゼ型のTiO2 微粒子とV(3価)
と他の遷移金属の水酸化物であるので、これを酸化雰囲
気中で280〜550℃に加熱し、脱水させるとともに
酸化雰囲気中で熱処理し、バナジウムの原子価を3価か
ら5価に変えて、V(5価)酸化物又はその固溶体にす
る必要がある。280℃よりも低温では非晶質の酸化物
が含まれており、さらに触媒が長期間使用により劣化し
た場合、300℃以上に加熱して触媒を再生する等の必
要が生ずるので、280℃よりも低温で触媒を調製して
も低温で調製した効果がなくなるので意味がない。ま
た、550℃よりも高温では触媒中の酸化物系超微粒子
が粒成長して、比表面積が小さくなるので脱硝性能が低
くなるためである。より好ましい熱処理温度は300〜
500℃である。熱処理時間は得に制限する必要はない
が1〜2時間で十分である。300℃で2時間熱処理し
て調製した触媒(表3の試料番号1)中のバナジウムの
価数をX線光電子スペクトルで解析したところ、バナジ
ウムの価数は主として5価であるが、他に4価と3価の
バナジウムが約10%混在していることが明らかになっ
た。すなわち、酸化バナジウムとしては、V2 5 以外
に4価と3価のバナジウム酸化物が含まれていても本発
明の例外とするものではない。5価のバナジウムに4価
と3価のバナジウムが混在した状態の方が酸化還元にと
もなう電子の移動が速く、活性が高いという作用を有す
るからである。
【0011】(5)触媒中に細孔径1〜8nmの細孔又
は細孔径1〜8nmと8〜50nmの大小2種の細孔径
からなる細孔を0.1cc/g以上含有させる。共沈及
び原子価制御法により得られた触媒の細孔は、その細孔
径が1〜8nmの小さい細孔又は細孔径1〜8nmと8
〜50nmの大小2種の分布をもった細孔からなり、そ
こに含まれる全細孔は0.1cc/g以上であることが
吸着試験により判明し、これが低温で脱硝性能が高いと
いう作用をもつことがわかった。細孔径1〜8nmの小
さい細孔は、NO、NH3 等の反応ガス分子の吸着を起
こしやすくし低温での反応活性を高めるとともに、細孔
径8〜50nmの大きい細孔は、SO2 とNH3 との反
応でできた酸性硫安の付着による細孔の閉塞を遅くする
とともに反応ガス分子の触媒内部への拡散を速くするの
で、低温での反応活性が高くなる作用を有する。これに
対し、従来の含浸法による触媒では、細孔径は約20n
m前後と大きく、細孔径1〜8nmの微細な細孔が少な
いことが判明した。すなわち、従来法では、担体となる
酸化チタンの粒径は10nmより大きいので、小さい細
孔があまり存在しないのに対し、本発明の共沈法では、
触媒粒子の粒径が10nm以下と小さく、このため微細
な細孔が増えて、活性が向上したと考えられる。本発明
の酸化物触媒では、細孔は主として触媒粒子の間隙に存
在していると考えられる。このため、2種の細孔分布を
持たせるためにはは、大小2種の粒径を持つ酸化物粒子
の混合物を担体として用いる方法が有効である。すなわ
ち、塩化チタン又は硫酸チタンの水溶液に平均粒径10
〜50nmの酸化チタン微粒子を加え、攪拌しながらア
ンモニア水を滴下し共沈させるか、粒径の大きい粒子を
加えずに、共沈させた触媒沈澱物を400〜550℃の
高温で熱処理させて触媒粒子を部分的に粒成長させる方
法も用いることができる。
【0012】
【実施例】以下、具体的な実施例及び参考例をあげ、本
発明の効果を一層明らかにする。
【0013】(例1)初めに、VCl3 の0.1モル/
リットル濃度の水溶液を調製し、アンモニア水で中和し
沈澱を作製し、適正なアンモニア水の濃度を把握する試
験を行った。アンモニア水の濃度が3規定よりも大きい
場合、中和により沈澱が局所的に生成し、不均質に反応
が起こっているのが認められた。アンモニア水の濃度が
0.5〜2規定であれば、中和により溶液の色が次第に
変化し、均一に沈澱が生成することが観察された。アン
モニア水の濃度が0.1規定よりも薄いと、原料溶液の
数倍の体積のアンモニア水を加える必要があり、実用性
がないことがわかった。
【0014】(例2)VCl3 の0.1モル/リットル
濃度の水溶液を調製し、1規定のアンモニア水で中和し
沈澱を作製した。得られた沈澱は水酸化物であり、熱分
析により加熱すると200℃でほぼ脱水が終了し、水酸
化物から酸化物に変わった。この酸化物は結晶化度は低
く主として非晶質であり、さらに加熱すると約300℃
で発熱し、結晶化して結晶質酸化物に変わった。すなわ
ち、結晶質バナジアを得るためには約300℃以上に加
熱する必要があることが明らかになった。また得られた
酸化物を空気中300〜350℃で1時間熱処理した試
料の結晶構造をX線回折により調べた結果、V2 5
あることが確認され、3価のV化合物を原料としても5
価の酸化物が得られることが判明した。
【0015】(例3)触媒を担持させるためのTiO2
微粒子を得るための条件を把握するため、TiCl4
液を1規定のアンモニア水で中和してTiO2 の沈澱を
作製した。得られた沈澱を300℃で1時間熱処理した
TiO2 担体微粒子の特性を表1に示す。TiCl4
度は0.05〜0.3モル/リットルの範囲では高比表
面積の触媒が得られ、かつ溶液の取扱いやすさも良好で
あった。表1中のS1は硫酸チタンを原料として作製し
たTiO2 微粒子である。結晶構造はいずれも主として
アナターゼ型であることがX線回折により判明した。
【0016】
【表1】
【0017】(例4)TiCl4 の溶液を作製する時、
水と同時にエタノールを加えて、溶液中のエタノール濃
度が10重量%になるように調整した後、例3と同じ処
理をし、触媒を作製した結果を上記表1の試料A1及び
A2に示す。エタノールを加えて沈澱を作製した後、熱
処理することにより、超微粒子の比表面積が若干増える
ことが認められた。
【0018】(例5)TiCl4 の溶液にVCl3 及び
Mo、Wの塩化物を添加し、水を加えて溶液中のTiC
4 濃度を0.2モル/リットルに調整し、1規定のア
ンモニア水で中和し、得られた沈澱を120℃で24時
間乾燥し、さらに300〜550℃で2時間熱処理して
TiO2 担持V2 5 系触媒を得た。得られた触媒の比
表面積は後記表3に示すように100〜380m2 /g
で、従来のもの(比較材)よりも大きかった。これは、
共沈法ではV2 5 粒子がTiO2 粒子の間に均一に分
散しているため、V2 5 粒子が接触する確率が減少し
粒成長が抑えられたためと考えられる。これが本発明に
より高比表面積の触媒が得られた原因と考えられる。沈
澱を550℃で2時間熱処理した場合、微粒子が粒成長
するので、触媒の比表面積が減少した。また、600℃
よりも高温に加熱するとV2 5 固溶体は溶融する危険
性があるので、これ以上高温での熱処理はできない。S
1、S2は硫酸チタンを原料として同じ方法で調製した
触媒である。K1、K2、K3は塩化チタンの半分を市
販の平均粒径20nmの酸化チタン粒子で置換し、共沈
及び原子価制御法により作製した触媒である。SK1は
硫酸チタンの半分を市販の平均粒径20nmの酸化チタ
ン微粒子で置換した触媒である。共沈及び原子価制御法
により作製した触媒を300℃で熱処理すると、細孔径
1〜8nmの微細な細孔が多く存在するが、これを50
0〜550℃で熱処理した場合、大小2種の細孔が存在
していた。表2中の細孔径の表示で2種の数字がある場
合、細孔径分布のピークが2つあることを示す。比較材
は、NH4 VO3 を原料として含浸法により調製した従
来法による触媒である。結晶粒径は主として担体である
酸化チタンの粒径により決まるX線回折ピークの半値幅
から求めた触媒粒子の平均粒径である。
【0019】
【表2】
【0020】(例6)脱硝率の評価は、上記に示した触
媒をガラス管中に充填し、NH3 とNOを含む反応ガス
を空間速度5000h-1で流し、150℃及び130℃
で行った。得られた結果を表3に示す。脱硝試験は15
0℃及び130℃で100時間行ったが、脱硝率の劣化
は2%以内であり、安定であることが確認された。得ら
れた触媒の結晶構造は、X線回折によりアナターゼ型で
あることが確認された。なお、V2 5 にMoO3 やW
3 を微量添加した場合、他の結晶構造の混在物は特に
は観察されなかったので、MoやWは5〜10重量%程
度の添加量であれば固溶している可能性が考えられる。
固溶により脱硝性能が向上する傾向があるが、この原因
としては、固溶により欠陥が導入されるので酸素が拡散
しやすくなること、Vイオンが4価と5価の価数をもつ
ようになり、酸化還元が起こりやすくなること等が考え
られる。脱硝率の評価に用いたガスの組成は、NOx
100ppm、NH3 :100ppm、SO2 :10p
pm、CO2 :10%、H2 O:20%、残部空気であ
る。
【0021】
【表3】
【0022】以上の結果、本発明のTiO2 にV2 5
又はV2 5 固溶体を3〜30重量%担持させた触媒
は、比表面積が従来材の値よりも大きく、従来の触媒で
は性能が低かった150℃及びさらに低温の130℃で
も高い脱硝率をもつので、低温度領域でも安定して使用
できる脱硝触媒が提供できた。活性体の担持量としては
10〜15重量%のものが、150℃で脱硝率95%以
上、130℃で90%以上であり特に高性能であった。
【0023】
【発明の効果】本発明により、従来の触媒よりも低温度
で使用できる高比表面積の脱硝触媒を提供することがで
き、環境浄化に有用な新しい脱硝触媒が提供でき、産業
上の利用価値が高い。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】(4)沈澱を洗浄し、乾燥した後、酸化雰
囲気中280〜550℃の温度で熱処理する。アンモニ
ア水で中和すると多量のNH4 Clが生成するため、こ
れを洗浄し除去する必要がある。さらに、吸着している
水分を乾燥器中で乾燥して除去する必要がある。得られ
た沈澱は、アナターゼ型のTiO2 微粒子とV(3価)
と他の遷移金属の水酸化物であるので、これを酸化雰囲
気中で280〜550℃に加熱し、脱水させるとともに
酸化雰囲気中で熱処理し、バナジウムの原子価を3価か
ら5価に変えて、V(5価)酸化物又はその固溶体にす
る必要がある。280℃よりも低温では非晶質の酸化物
が含まれており、さらに触媒が長期間使用により劣化し
た場合、300℃以上に加熱して触媒を再生する等の必
要が生ずるので、280℃よりも低温で触媒を調製して
も低温で調製した効果がなくなるので意味がない。ま
た、550℃よりも高温では触媒中の酸化物系超微粒子
が粒成長して、比表面積が小さくなるので脱硝性能が低
くなるためである。より好ましい熱処理温度は300〜
500℃である。熱処理時間は特に制限する必要はない
が1〜2時間で十分である。300℃で2時間熱処理し
て調製した触媒(表3の試料番号1)中のバナジウムの
価数をX線光電子スペクトルで解析したところ、バナジ
ウムの価数は主として5価であるが、他に4価と3価の
バナジウムが約10%混在していることが明らかになっ
た。すなわち、酸化バナジウムとしては、V2 5 以外
に4価と3価のバナジウム酸化物が含まれていても本発
明の例外とするものではない。5価のバナジウムに4価
と3価のバナジウムが混在した状態の方が酸化還元にと
もなう電子の移動が速く、活性が高いという作用を有す
るからである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 37/03 B01J 37/08 37/08 B01D 53/36 102C (72)発明者 田浦 昌純 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内 (72)発明者 大村 聡 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アナターゼ型構造の酸化チタンを担体と
    し、酸化バナジウム微粒子又は酸化バナジウムにモリブ
    デン及び/又はタングステンを固溶させた酸化バナジウ
    ム固溶体微粒子を活性体として共沈法により3〜30重
    量%担持させた比表面積が100m2 /g以上であるこ
    とを特徴とする脱硝触媒。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の触媒において、平均粒径
    10nm以下の酸化チタン超微粒子と平均粒径10〜5
    0nmの酸化チタン微粒子の大小2種の粒径から構成さ
    れるアナターゼ型構造の酸化チタン混合物を担体として
    活性体を担持させてなることを特徴とする脱硝触媒。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の触媒におい
    て、細孔径1〜8nmの細孔、又は細孔径が1〜8nm
    と8〜50nmの大小2種の細孔からなる細孔を全部で
    0.1cc/g以上含有してなることを特徴とする脱硝
    触媒。
  4. 【請求項4】 4塩化チタン又は硫酸チタンを含有する
    水溶液に、3〜30重量%活性体を担持させるのに必要
    なバナジウム(3価)又はバナジウム(3価)とモリブ
    デン及び/又はタングステンのイオンを含有する溶液を
    添加し、さらに水又は水と水溶性アルコールを加え、溶
    液中のチタン化合物の濃度が0.5〜0.05モル/リ
    ットルの水溶液になるように調整し、続いてこの溶液に
    濃度3〜0.5規定のアンモニア水を徐々に滴下して中
    和することにより、酸化チタンとバナジウム水酸化物又
    はバナジウム水酸化物固溶体の共同沈澱物を生成させ、
    この沈澱を洗浄、乾燥した後、280〜550℃の温度
    で酸化雰囲気中で熱処理して酸化することにより、酸化
    チタンに担持させた酸化バナジウムの価数を3価から5
    価に変えることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記
    載の脱硝触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の製造方法において、4塩
    化チタン又は硫酸チタンを含有する水溶液に平均粒径1
    0〜50nmの酸化チタン微粒子を加え、攪拌しながら
    共沈させることにより、共沈により生成した平均粒径1
    0nm以下の酸化チタン超微粒子と添加した平均粒径1
    0〜50nmの酸化チタン微粒子からなる大小2種の酸
    化チタン混合物を担体として活性体を担持させることを
    特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の脱硝触媒の製
    造方法。
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