JPH11163111A - 静電チャック - Google Patents

静電チャック

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JPH11163111A
JPH11163111A JP32368997A JP32368997A JPH11163111A JP H11163111 A JPH11163111 A JP H11163111A JP 32368997 A JP32368997 A JP 32368997A JP 32368997 A JP32368997 A JP 32368997A JP H11163111 A JPH11163111 A JP H11163111A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸着面がガラス面になる場合においても絶縁
基板を保持固定又は搬送するのに十分な吸着力が得られ
る静電チャックを提供する。 【解決手段】 電圧印加電極2を有する絶縁性誘電体層
3上に載置した絶縁基板(液晶表示装置用ガラス基板)
6を電気的に吸着する静電チャックにおいて、絶縁性誘
電体層3の抵抗が絶縁基板(液晶表示装置用ガラス基
板)6の抵抗より低くしてなる静電チャック。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁基板、特に、
液晶表示装置用基板を電気的に吸着して保持固定又は搬
送する静電チャックに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶の製造工程において、ガラス基板な
どの絶縁基板にドライエッチング、CVD、スパッタリ
ング等の処理を行う際に絶縁基板の保持固定又は搬送手
段としては、メカニカルチャックや真空チャックが使用
されている。しかしながら、絶縁基板の大型化やスルー
プットの向上に伴い、半導体の製造工程で実用化されて
いる静電チャックの実用化が検討されている。
【0003】この静電チャックの構造は、特開昭53−
77489号公報に示されるように金属板上に絶縁性高
分子材料のポリイミドシートを接着剤で貼り付けたも
の、特開昭63−95644号公報、特開平4−206
545号公報、特開平5−36819号公報等に示され
るように2枚の絶縁性セラミックス板間に電極を設けた
もの、特開昭59−152636号公報に示されるよう
に絶縁性セラミックス板上の電極を溶射法により絶縁性
セラミックス膜で被覆したものなどがある。
【0004】電気的に試料を保持する静電チャックの吸
着力は、平行平面コンデンサの電極に働く力で説明さ
れ、その吸着力は電荷の2乗に比例するものである。図
4は従来の原理的構成を説明する静電チャックの断面図
であり、絶縁性基板1、電圧印加電極2、絶縁性誘電体
層3及び直流電源4から構成されている静電チャックに
おいて、半導体ウエハ5に働く吸着力Fは次式で表わさ
れる。
【0005】
【数1】 ただし、εoは真空の誘電率、εrは絶縁性誘電体層の比
誘電率、Sは電圧印加電極の面積、Vは印加電圧及びd
は絶縁性誘電体層の厚さである。
【0006】上式に示されるように吸着力は、真空の誘
電率の1乗、絶縁性誘電体層の比誘電率の2乗、面積の
1乗、印加電圧の2乗に比例し、絶縁性誘電体層の厚さ
の2乗に逆比例する。従って、低い印加電圧で吸着力の
大きな静電チャックを得るためには絶縁性誘電体層の厚
さをできるだけ薄く、例えば3mm以下にする必要があ
る。
【0007】しかしながら、従来の静電チャックは、半
導体ウエハを吸着することを目的としているため、絶縁
基板を吸着するにはその吸着力が非常に小さく実用化が
困難である。そこで、絶縁基板の片面には静電吸着する
際に吸着電極となる導電性の透明な電極が形成されてい
る。絶縁基板を静電チャックで吸着する場合、吸着面が
ガラス面又は吸着電極面になる場合がある。吸着面が吸
着電極面になる場合は、半導体ウエハを吸着する場合と
類似しており、絶縁基板を保持固定又は搬送するのに十
分な吸着力が得られる。しかし、吸着面がガラス面にな
る場合は、絶縁基板を吸着するにはその吸着力が非常に
小さくなり、実用化が困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、吸着面がガ
ラス面になる場合においても絶縁基板を保持固定又は搬
送するのに十分な吸着力が得られる静電チャックを提供
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、電圧印加電極
を有する絶縁性誘電体層上に載置した絶縁基板を電気的
に吸着する静電チャックにおいて、絶縁性誘電体層の抵
抗が絶縁基板の抵抗より低くしてなる静電チャックに関
する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、絶縁性誘電体層の抵抗
が絶縁基板の抵抗よりも低いことが必要とされ、絶縁性
誘電体層の抵抗が絶縁基板の抵抗と同等又は絶縁性誘電
体層の抵抗が絶縁基板の抵抗より高い場合は、吸着力が
低下し、絶縁基板を保持固定又は搬送することができな
い。絶縁性誘電体層の抵抗を絶縁基板の抵抗より低くす
るには、絶縁性誘電体層の材質とその厚さを選定するこ
とにより達成できる。絶縁性誘電体層の抵抗は、絶縁基
板の抵抗の1/3〜1/1000であることが好まし
く、1/10〜1/1000であることがさらに好まし
い。例えば、寸法が50×50mm及び体積固有抵抗が5
×104Ωcmのときの絶縁基板の抵抗が1.4×1012
Ωの場合、絶縁性誘電体層の抵抗は、4.7×1011
1.4×109Ωであることが好ましく、1.4×10
11〜1.4×109Ωであることがさらに好ましい。本
発明における絶縁基板としてはガラス基板などがあり、
例えば液晶表示装置用の絶縁基板として使用されるもの
がある。
【0011】本発明において、絶縁性誘電体層に用いら
れる材料としては、機械的強度に優れるAl23、Si
34、AlN、SiC、SiO2、BaTiO3等のセラ
ミックス材料が用いられる。絶縁性誘電体層は、1層又
は2層以上形成してもよく特に制限はない。なお2層以
上形成する場合は、前記のセラミックス材料の表面にポ
リイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を被膜してもよ
い。
【0012】電圧印加電極としては、例えばAg−P
d、W、Ag、Au−Pt等の金属ペーストを焼付けて
形成するか又はAl、Cu、Ag、Au等の金属板又は
箔を電極として用いることができる。なお本発明におけ
る電圧印加電極の一方の面、即ち絶縁基板を吸着する側
の面は絶縁性誘電体層で覆われている。他方の面は露出
しておいても差し支えないが、放電防止、電圧印加電極
を保護するなどの点で絶縁性基板で被覆することが好ま
しい。
【0013】絶縁性基板としては、Al23、Si
34、AlN、SiC、SiO2等のセラミックス材
料、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィ
ルム、ポリアミドイミドフィルム、エポキシ樹脂ガラス
布基材積層板などが用いられる。
【0014】絶縁基板に形成される吸着電極材料として
は、透明なインジウム−スズ酸化物(ITO膜)が用い
られているが、この他にAl、Ta、Mo、Cr、Ti
等の金属を用いることができる。
【0015】以下、本発明の実施の形態を図面を引用し
て詳述する。図1は、本発明の原理的構成を説明する静
電チャックの断面図、図2は、本発明の他の原理的構成
を説明する静電チャックの断面図及び図3は、図1、図
2の等価回路を示す図である。
【0016】次に上記に示す構成の静電チャックを用い
て液晶表示装置用ガラス基板を電気的に吸着する方法を
示す。図1及び図2に示すように、静電チャックの絶縁
性誘電体層3上に、液晶表示装置用ガラス基板6を載置
し、電圧印加電極2と直流電源4とを接続し、直流電源
4により電圧Vを電圧印加電極2と液晶表示装置用ガラ
ス基板6間に印加すると、液晶表示装置用ガラス基板6
にかかる電圧V1は図3に示す等価回路により、
【数2】 となる。ここで絶縁性誘電体層3の抵抗をR3、液晶表
示装置用ガラス基板6の抵抗をR4とすると、絶縁性誘
電体層3の抵抗R3を液晶表示装置用ガラス基板6の抵
抗R4よりも小さくなるように、静電チャックの絶縁性
誘電体層3の材質とその厚さを選定すると、液晶表示装
置用ガラス基板6にかかる電圧V1を上式により印加電
圧Vに近い値にすることができる。即ち液晶表示装置用
ガラス基板6にかかる電圧V1を電圧Vを印加した状態
にほぼ近い状態にすることができ、この液晶表示装置用
ガラス基板6に誘起される電荷により吸着力を発生する
ことができる。
【0017】
【実施例】以下本発明の実施例を説明するが、本発明は
これに制限されるものではない。 実施例1 図1及び図2に示すように、絶縁性誘電体層3として厚
さが2mm、縦及び横の寸法が54mmで、体積固有抵抗が
3×1011ΩcmのSiCセラミックス焼結体(日立化成
工業(株)製、商標名ヘキサロイ)を用い、この片側の表
面にAg−Pdペーストをスクリーン印刷法で塗布し、
650℃の温度で焼き付けて、厚さが10μmで縦及び
横の寸法が50mmの正方形状に電圧印加電極2を形成し
た。
【0018】次に電圧印加電極2の露出面に、絶縁性基
板1として厚さが4mmで、縦及び横の寸法が54mmのア
ルミナセラミックス焼結体(日立化成工業(株)製、商品
名ハロックス580)を接着剤で張り合わせて静電チャ
ックを得た。
【0019】実施例2 実施例1で用いた絶縁性誘電体層に代えて、平均粒径が
0.7μmのアルミナ粉末95重量部に対し、平均粒径
が0.6μmのSiC粉末5重量部を添加した体積固有
抵抗が4×1013ΩcmのSiC−アルミナセラミックス
焼結体を用いた以外は実施例1と同様の工程を経て静電
チャックを得た。
【0020】実施例3 実施例1で用いた絶縁性誘電体層に代えて、平均粒径が
0.7μmのアルミナ粉末90重量部に対し、平均粒径
が0.6μmのSiC粉末10重量部を添加した体積固
有抵抗が2×1012ΩcmのSiC−アルミナセラミック
ス焼結体を用いた以外は実施例1と同様の工程を経て静
電チャックを得た。
【0021】実施例4 実施例1で用いたSiCセラミックス焼結体の片面の表
面に実施例1と同様の電圧印加電極を形成し、他の全表
面にスピンコート法によりポリイミド樹脂(日立化成工
業(株)製、商品名PIQ1400)を塗布し、厚さが1
0μmのポリイミド膜を形成した。以下実施例1と同様
の工程を経て静電チャックを得た。
【0022】比較例1 実施例1で用いた絶縁性誘電体層に代えて、体積固有抵
抗が1×1016Ωcmのアルミナセラミックス焼結体(日
立化成工業(株)製、商品名ハロックス580)を用いた
以外は実施例1と同様の工程を経て静電チャックを得
た。
【0023】次に図1及び図2に示すように各実施例及
び比較例1で得られた静電チャックの絶縁性誘電体層3
上に、片側の全表面に厚さが0.3μmのインジウム−
スズ酸化物膜を形成した吸着電極7を有する厚さが0.
7mmで、縦及び横の寸法が60mm並びに体積固有抵抗が
5×1014Ωcmの液晶表示装置用ガラス基板6を載置し
た後、電圧印加電極2と直流電源4とを接続した。
【0024】次いで電圧印加電極2と液晶表示装置用ガ
ラス基板6間に直流電源4により、図1に示すものは3
00V及び図2に示すものは3kVの電圧を印加し、吸
着力の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
なお表1は、図1に示すように吸着面が吸着電極面とな
る場合の吸着力の評価を示し、表2は、図2に示すよう
に吸着面がガラス面となる場合の吸着力の評価を示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】表1及び表2においてR4は液晶表示装置
用ガラス基板の抵抗を示し、この液晶表示装置用ガラス
基板の抵抗R4は1.4×1012Ωである。また実施例
4の絶縁性誘電体層の抵抗R3はポリイミド樹脂膜を含
む抵抗である。
【0028】ここで抵抗R3及びR4は次式により求めら
れる。
【数3】 ただしρは絶縁性誘電体層の体積固有抵抗、dは絶縁性
誘電体層の厚さ及びSは絶縁性誘電体層の面積又は液晶
表示装置用ガラス基板面積である。またρ′は液晶表示
装置用ガラス基板の体積固有抵抗及びd′は液晶用ガラ
ス基板の厚さである。
【0029】表1及び表2に示されるように、本発明の
実施例になる静電チャックを用いたものは、比較例の静
電チャックを用いたものに比較して大きな吸着力が得ら
れ、液晶表示装置用ガラス基板を保持固定又は搬送する
のに十分な吸着力が得られることが明らかである。
【0030】
【発明の効果】本発明になる静電チャックは、絶縁基板
を保持固定又は搬送するのに十分な吸着力が得られ、工
業的に極めて好適な静電チャックである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成を説明する静電チャックの
断面図である。
【図2】本発明の他の原理的構成を説明する静電チャッ
クの断面図である。
【図3】図1及び図2の等価回路を示す図である。
【図4】従来の原理的構成を説明する静電チャックの断
面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 電圧印加電極 3 絶縁性誘電体層 4 直流電源 5 半導体ウエハ 6 液晶表示装置用ガラス基板 7 吸着電極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電圧印加電極を有する絶縁性誘電体層上
    に載置した絶縁基板を電気的に吸着する静電チャックに
    おいて、絶縁性誘電体層の抵抗が絶縁基板の抵抗より低
    くしてなる静電チャック。
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