JPH11161141A - ホログラム記録材料 - Google Patents

ホログラム記録材料

Info

Publication number
JPH11161141A
JPH11161141A JP32503497A JP32503497A JPH11161141A JP H11161141 A JPH11161141 A JP H11161141A JP 32503497 A JP32503497 A JP 32503497A JP 32503497 A JP32503497 A JP 32503497A JP H11161141 A JPH11161141 A JP H11161141A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording material
hologram recording
hologram
photoinitiator
thermosetting resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP32503497A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3491509B2 (ja
Inventor
Yasushi Oe
靖 大江
Hiromitsu Ito
浩光 伊藤
Makoto Kume
誠 久米
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP32503497A priority Critical patent/JP3491509B2/ja
Publication of JPH11161141A publication Critical patent/JPH11161141A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3491509B2 publication Critical patent/JP3491509B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Holo Graphy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】耐候性、耐熱性、化学的安定性、さらに保存安
定性に優れるものであり、しかも乾式処理による高解像
度、高回折効率、高透明性、再生波長再現性に優れた体
積位相型ホログラムの形成が可能なホログラム記録材料
を提供する。 【解決手段】溶媒可溶性でカチオン重合可能なエチレン
オキシド環を構造単位中に少なくとも一つ有し融点が6
0℃以上である熱硬化性樹脂、ラジカル重合可能なエチ
レン性モノマー、化学作用放射線に露光するとラジカル
重合とカチオン重合を活性化する光開始剤、光開始剤を
増感する増感色素からなり、増感色素が吸収波長350
〜420nmで、光開始剤を分光増感可能な化合物であ
ることから、可視光の波長域を含まないため、ホログラ
ム記録材料が着色されることがなく、ホログラム形成後
に残存する色素の影響もなく、見た目も無色透明で、高
透明性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、350〜420n
mの光線、とくにアルゴンレーザ光、クリプトンレーザ
光に対して高感度であり、耐候性、耐熱性及び保存安定
性に優れ、かつ解像度、回折効率、透明性などのホログ
ラムの諸特性値が良好な体積位相型ホログラム形成に用
いられるホログラム記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ホログラムは三次元立体像の再生
が可能であることから、その優れた意匠性、装飾効果か
ら書籍、雑誌等の表紙、POPなどのディスプレイ、ギ
フトなどに利用されている。またホログラムはサブミク
ロン単位での情報の記録と等価であるといえることから
有価証券、クレジットカードなどの偽造防止用のマーク
などにも利用されている。
【0003】とくに体積位相型ホログラムは、ホログラ
ム記録媒体中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる空間
的な干渉縞を形成することによって、像を通過する光ビ
ームを吸収することなく位相を変調することができるた
め、近年においては、ディスプレイ用途の他に自動車搭
載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)に代表され
るホログラム光学素子(以下、HOEとする)への応用
が期待されている。
【0004】ところで、体積位相型ホログラムを構成す
る体積位相型ホログラム記録材料は、可視発振波長を持
つレーザ光に高感度で感光し、しかも高い解像性を示す
ことが要求されている。また、実際にホログラムの形成
に使用するに当たり、ホログラムの回折効率、再生光の
波長再現性やバンド幅(再生光ピークの半値幅)等の特
性がその目的に合うことが要求される。とくにHOE用
反射旗ホログラムのホログラム記録材料には、回折効率
が空間周波数5000〜6000本/mmで90%以
上、再生光のピークの半値幅(バンド幅)が20〜30
nm、再生波長のピーク波長は、撮影波長から5nm以
内であることが望ましい。一方、透過型ホログラムのホ
ログラム記録材料には、空間周波数は800〜2000
本/mm程度でもよいが、ホログラムの透過率は可視域
で80%以上が望ましく、透過率が80%以上であって
も増感色素等によるホログラムの着色は見た目の点で問
題となる。さらに、これらのホログラムは長期にわたっ
て保存安定性に優れていることも必要とされている。
【0005】従来、このような体積位相型ホログラムの
記録材料としては、漂白処理銀塩および重クロム酸ゼラ
チン系の感光材料が一般に使用されていた。この重クロ
ム酸ゼラチン系の感光材料は、その高い回折効率と低ノ
イズ特性から、体積位相型ホログラムを記録するのに最
も広く用いられるが、この感光材料は貯蔵寿命が短く、
ホログラム作製の度に調製しなければならない問題点
や、湿式現像を行うことによりホログラム作製の際に必
要となるゼラチンの膨潤および収縮過程においてホログ
ラムの変形が生じることによるホログラムの再現性が悪
いという問題点も有している。また、銀塩感材は、記録
後に煩雑な処理を必要とし、安定性および作業性の観点
から満足できる感光材料ではない。さらに、これらの上
記の感光材料は、何れも耐環境特性、例えば耐湿性、耐
候性に劣るという問題点を有していた。
【0006】このような問題点に対して、耐環境特性に
優れ、かつ高解像度、高回折効率などのホログラム記録
材料の有すべき特性を備えた材料として、溶媒可溶性で
カチオン重合可能なエチレンオキシド環を構造単位中に
少なくとも一つ有する熱硬化性樹脂とラジカル重合可能
なエチレン性モノマーからなるホログラム記録材料(特
開平8−1676号公報、特開平8−1677号公報、
特開平8−1678号公報、特開平8−1679号公
報)がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のホログラム記録材料は、いずれも可視域、とくにアル
ゴンレーザ光(488nm)及びそれよりも長波長のレ
ーザ光で感光するものであり、分光増感のための各種増
感色素を添加している。反射型ホログラムの場合は、ブ
ラック反射に従い特定波長(一般には記録波長)近傍の
みの光を反射するミラーと同等になるため、その補色が
現れ、フルカラー化しなければホログラムの着色を避け
ることはできない。またホログラム中に残存する色素に
よる着色が多少は目立たない透過型ホログラムの場合は
可視域での透過率が80%前後でも残存する色素の影響
が大きく、見た目が無色透明であることが必要な場合に
は問題となる。そこで、本発明は耐候性、耐熱性、化学
的安定性、さらに保存安定性に優れるものであり、しか
も乾式処理による高解像度、高回折効率、高透明性、再
生波長再現性に優れた体積位相型ホログラムの形成が可
能なホログラム記録材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべくなされたものであり、請求項1記載の発明は、
(A)溶媒可溶性でカチオン重合可能なエチレンオキシ
ド環を構造単位中に少なくとも一つ有し融点が60℃以
上である熱硬化性樹脂、(B)ラジカル重合可能なエチ
レン性モノマー、(C)化学作用放射線に露光するとラ
ジカル重合とカチオン重合を活性化する光開始剤、
(D)(C)光開始剤を増感せしめる増感色素からなる
ホログラム記録材料において、(D)増感色素が吸収波
長350〜420nmにあり、(C)光開始剤を分光増
感可能な化合物からなることを特徴とするホログラム記
録材料である。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1に記載の
ホログラム記録材料において、(A)熱硬化性樹脂が、
一般式(1)で示されることを特徴とする。
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R1 、R2 はそれぞれ水素原子、
或いはメチル基、エチル基、トリフルオロ基から選択さ
れた官能基を示し、n=1〜20である。)
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1に記載の
ホログラム記録材料において、(A)熱硬化性樹脂が、
一般式(2)で示されることを特徴とする。
【0013】
【化5】
【0014】(式中、 n=1〜20である。)
【0015】請求項4記載の発明は、請求項1に記載の
ホログラム記録材料において、(A)熱硬化性樹脂が、
一般式(3)で示され、かつエポキシ当量が400から
6000であることを特徴とする。
【0016】
【化6】
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1に記載の
ホログラム記録材料において、光開始剤が、トリハロゲ
ノメチル置換s−トリアジン、ジアリールヨードニウム
塩のいずれかであることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明のホログラム記録材料からなるホログラム
記録用媒体1の構成を説明する概略図であり、図2はホ
ログラム撮影用の光学系を説明する概略説明図である。
【0019】本発明のホログラム記録材料のホログラム
層を構成する成分(A)は、溶媒可溶性でカチオン重合
可能なエチレンオキシド環を構造単位中に少なくとも一
つ有する熱硬化性樹脂であり、例えばビスフェノール
A、ビスフェノールAD、ビスフェノールB、ビスフェ
ノールAF、ビスフェノールS、ブロム化ビスフェノー
ルA、ノボラック、o−クレゾールノボラック、p−ア
ルキルフェノールノボラック、水添ビスフェノールA、
水添ビスフェノールAD、水添ビスフェノールB、水添
ビスフェノールAF、水添ビスフェノールS、水添ブロ
ム化ビスフェノールA等の各種フェノール化合物とエピ
クロロヒドリンとの縮合反応により生成される、以下の
化学式に示すエポキシ化合物が挙げられる。なお、これ
らに限定されるものではない。
【0020】
【化7】
【0021】(式中、R1 、R2 はそれぞれ水素原子、
或いはメチル基、エチル基、トリフルオロ基から選択さ
れた官能基を示し、n=1〜20である。)
【0022】
【化8】
【0023】(式中、n=1〜20である。)
【0024】
【化9】
【0025】上記成分(A)の熱硬化性樹脂の分子量が
900から6000の範囲が好ましく、この範囲より分
子量が小さい場合には成膜性が劣化し、均一な塗布が困
難であり、また、この範囲より分子量が大きい場合では
一般的に合成が困難である。さらに、この熱硬化性樹脂
はエポキシ当量は400から6700が好ましく、この
範囲以外では良好なカチオン重合が進行しない問題があ
る。
【0026】また上記成分(B)のラジカル重合可能な
脂肪族モノマーとしては、構造単位中にエチレン性の不
飽和結合を少なくとも1個以上含むものであり、1官能
であるビニルモノマーの他に多官能ビニルモノマーを含
むものであり、またこれらの混合物であってもよい。さ
らに、成分(A)の熱硬化性樹脂との屈折率差が大きい
ものが好ましく、成分(A)の熱硬化性樹脂が芳香族で
ある場合は、脂肪族モノマーが好ましい。具体的には、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、(メ
タ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の高沸点ビニ
ルモノマー、さらには脂肪族ポリヒドロキシ化合物、例
えばエチレングルコール、ジエチレングルコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,1
0−デカンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトー
ル、マンニトールなどのジあるいはポリ(メタ)アクリ
ル酸エステル類を挙げることができる。なお、これらに
限定されるものではない。
【0027】また上記成分(C)の化学作用放射線に露
光するとラジカル重合とカチオン重合を活性化する光開
始剤としては、J.Photochem.Sci.Te
chnol.,2,283(1987).に記載される
化合物があり、例えば鉄アレーン錯体、トリハロゲノメ
チル置換s−トリアジン、スルフォニウム塩、ジアゾニ
ウム塩、フォスフォニウム塩、セレノニウム塩、アルソ
ニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。このヨード
ニウム塩として、Macromolecules、
、1307(1977).に記載される化合物があ
り、例えばジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニ
ウム、フェニル(p−アニシル)ヨードニウム、ビス
(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、ビス(p−te
rt−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロ
ロフェニル)ヨードニウムなどのヨードニウムのクロリ
ド、ブロミド、或いはホウフッ化塩、ヘキサフルオロフ
ォスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩、芳香
族スルホン酸塩等を挙げることができる。なお、上記の
特性を満たすものであれば、これらに限定されるもので
はない。
【0028】さらに、本発明の成分(D)の増感色素と
しては、波長350〜420nmに吸収を有し、(C)
光開始剤を分光増感可能な有機染料化合物であり、その
他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講談社 1
986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編 シ
ーエムシー 1986年)、「特殊機能材料」(池森忠
三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載される色
素及び増感剤を用いることができる。なお、これらに限
定されるものではない。さらに必要に応じて、これらの
色素及び増感剤は任意の比率で二種以上を組み合わせて
用いることができる。具体的には、p−(N,N−ジメ
チルアミノ)安息香酸ブチル、p−(N,N−ジメチル
アミノ)安息香酸エチル、o−(N,N−ジメチルアミ
ノ)安息香酸エチル、2−クロルチオキサントン、2,
4−ジエチルチオキサントン、ビス(N,N−ジメチル
アミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、ビス
(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、チオフラ
ビンT、2−[p−(N−ジメチルアミノフェニル)エ
ニテル]マロン酸ジエチル、2−シアノ−3−インドリ
ルアクリル酸エチル、2−ベンゾイル−3−インドリル
−2−プロペンニトリル等のジアルキルアミノベンジリ
デン化合物を挙げることができる。なお、これらに限定
されるものではない。
【0029】上記の組成からなるホログラム記録材料
は、上記(A)熱硬化性樹脂100重量部に対して、上
記(B)エチレン性モノマーを20から200重量部を
混合したものであり、好ましくは、30から100重量
部である。また上記(C)光開始剤の量は、上記(A)
熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.1から20重量
部、好ましくは1から10重量部である。さらに上記
(D)増感色素の量は、上記(A)熱硬化性樹脂100
重量部に対し、0.1から5重量部、好ましくは0.2
から0.5重量部である。使用量は、形成するホログラ
ム記録層とその膜厚の光学濃度によって制限を受けるた
め、光学濃度が2を越えない範囲で使用することが好ま
しい。この範囲を逸脱すると高い回折効率を得ることが
困難となるとともに感度特性が低下する。
【0030】このように、これらの各成分を適宜選択
し、任意の割合で混合して得たホログラム記録材料の感
光液をバーコーター、アプリケーター、ドクターブレー
ド、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、
コンマコーター、コンマーリバースコーター、グラビア
コーター、マイクログラビアコーター、リップコータ
ー、リップリバースコーター、ファウンテンリバースコ
ーターなど公知の塗工手段を用いて、ガラス板やポリカ
ーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリメチルペンテン、三酢酸セルロー
ス、ポリエステルフィルムなどの各種樹脂からなる基材
2上に皮膜状に塗布しホログラム層3を形成し、さらに
必要に応じて保護層4を貼り合わせ、押出機などによる
積層、溶液の塗工などにより形成され、図1に示すホロ
グラム記録用媒体1が作製されるものである。
【0031】なお、ホログラム層3を塗布する際にホロ
グラム記録材料を適当な溶剤で希釈することも可能であ
るが、基材2に塗布した後に乾燥を要し、また上記した
ように、撮影時の照射光の透過率が1%以上となるよう
に、調製することが望ましい。具体的には、この溶剤と
してはジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、2−
ブタノン、シクロヘキサノン、エチルアセテート、2−
メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブ
トキシエタノール、2−エトキシエチルアセテート、2
−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルエー
テル、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキ
シエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキ
シ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エチル
アセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセ
テート、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が
挙げられる。
【0032】また、上記の保護層4は、例えばポリビニ
ルアルコール樹脂からなる無延伸フィルム(膜厚:50
〜100μm)・二軸延伸フィルム(膜厚:12〜25
μm)、またポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルア
ルコール樹脂を主成分とする塗液の塗布乾燥による塗膜
形成、或いはポリエチレンテレフタレート、ポリメタク
リレート、三酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリエ
チレン等の任意のフィルム状の支持材上にポリビニルア
ルコール樹脂水溶液、例えばケン化度87〜89%、中
重合度(20℃で4%水溶液の粘度が20〜30cp
s)のポリビニルアルコール樹脂が好ましく、その5〜
10%水溶液が特に好ましい。これを用いてポリビニル
アルコール樹脂(PVA)の乾燥膜厚0.5〜5μmに
形成した積層材を設けてもよい。
【0033】また、本発明のホログラム層3を構成する
ホログラム記録材料に、必要に応じて公知のバインダ
ー、可塑剤、熱重合禁止剤、連鎖移動剤、酸化防止剤な
どの各種添加剤を加えてもよい。
【0034】さらに光学的な複製方法でホログラムを作
製する際にホログラム記録用媒体1は、ホログラムマス
ター又はミラーとの密着性を上げるために中間液を両者
の間に用いても良い。具体的にはホログラムマスターお
よびホログラム記録用媒体1(ホログラム記録材料)を
侵すことのない、屈折率1.4〜1.6程度の比較的高
沸点のものが好ましい。例えばn−ヘプタン、n−オク
タン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカンなどの飽
和炭化水素やそれらの混合物であるアイソパー、または
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0035】上記のホログラム記録材料を用いたホログ
ラム記録媒体1に対してホログラフィック露光を施して
潜像を形成する工程を図2のホログラム撮影用の光学系
を説明する概略図によれば、レーザ5から発振されたレ
ーザ光6は、ミラー7、ビームスプリッター10、レン
ズ8、スペイシャルフィルター9を介してホログラム記
録用媒体1に入射し、さらにホログラム記録媒体1を透
過した光がホログラムマスターまたはミラーで反射し
て、再びホログラム記録媒体1に入射することにより干
渉縞が形成されホログラム画像が記録される。さらに本
発明では露光によるホログラム撮影後、定着工程を乾式
処理で行なっている。
【0036】このホログラム性記録媒体1にホログラム
画像を記録する場合は、所望の画像に合わせてレーザ照
射をホログラム層3に加えることにより、レーザ照射部
位の光干渉作用の強い部位は、(A)熱硬化性樹脂中に
均一に分散している(B)ラジカル重合可能なエチレン
性モノマーが、レーザー(レーザ干渉光)照射により感
光させると(C)光重合開始剤の作用によって、重合し
ポリマー化するため、その周囲の(B)ラジカル重合可
能なエチレン性モノマーの移動が生じる。このためレー
ザ照射部位の光干渉の強い部位では、(B)ラジカル重
合可能な脂肪族モノマーの濃度が高くなり、また光干渉
作用の弱い部位では、(B)ラジカル重合可能なエチレ
ン性モノマーの濃度が低下するので、ホログラム記録媒
体1の光干渉の強い部位と光干渉作用の弱い部位との密
度差から屈折率が異なることによる屈折率変調が生じ、
これによりホログラム画像記録が行われるものである。
ここで(D)増感色素は吸収波長350〜420nmに
あり、(C)光開始剤を分光増感可能な化合物であるこ
とから、可視光の波長域を含まないため、ホログラム記
録材料が着色されることがなく、ホログラム形成後に残
存する色素の影響もほとんどなく、見た目も無色透明と
なり、高透明性を有する。また、このホログラム性記録
媒体1のホログラム層3に積層される保護層4は、ホロ
グラム露光により発生したラジカル種によるエチレン性
モノマーの重合の際の酸素遮断膜としての機能、ホログ
ラムマスター又はミラーと本発明のホログラム記録媒体
1との密着性を上げるために中間液からホログラム層3
を保護する保護膜としての機能、そしてホログラム層3
を高い回折効率とすることができる。さらに、ホログラ
ム露光後の紫外線全面露光処理および加熱処理により、
残留した(B)モノマーが重合により固定されるととも
に、支持体である熱硬化性樹脂(A)がカチオン重合に
より架橋構造となるため、ホログラム記録用媒体1の耐
候性、耐熱性、化学的安定性が向上する。
【0037】なお、干渉パターンの露光工程における、
本発明のホログラム記録材料に適した光源としては、ヘ
リウム−カドミウムレーザ、アルゴンレーザ、クリプト
ンレーザ等が利用できるが、これに限定されるものでは
ない。
【0038】また、本発明のホログラム記録材料は、従
来のホログラム記録材料よりも、再生光のピーク波長な
らびにそのバンド幅の再現性が優れており、さらに可視
域での透明性を有し、かつ耐環境特性も優れ、量産化も
可能であることから、ホログラム光学素子(HOE)へ
の応用が可能である。
【0039】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づき詳細
に説明する。 <実施例1−4>ビスフェノール系エポキシ樹脂(商品
名「エピコート1007」重合度n=10.8 エポキ
シ当量:1750〜2100 油化シェルエポキシ社
製)100重量部、トリエチレングリコールジアクリレ
ート(TEGDA)50重量部およびジフェニルヨード
ニウムヘキサフルオロフォスフェート5重量部、2−
[p−(N−ジメチルアミノフェニル)エテニル]マロ
ン酸ジエチル0.5重量部を2−ブタノン100重量部
に混合溶解しホログラム記録材料を作製し感光液とし
た。この感光液を青板ガラス(1.1mm厚、5インチ
角)に、膜厚が約20μmになるようにドクターブレー
ドで塗布、乾燥させ、ホログラム層を形成し、さらに、
このホログラム記録材料の塗布面にポリビニルアルコー
ル水溶液を塗布、乾燥させ、保護層を形成し、ホログラ
ム記録用媒体を作製した。
【0040】このホログラム記録用媒体を図2に示すホ
ログラム撮影用の光学系により光源としてクリプトンレ
ーザ(409nm)を用いて露光し、二光束の透過型回
折格子を作製した。このホログラフィック露光後、80
℃で30分加熱処理を行い、高圧水銀灯によりホログラ
ム記録用媒体の全面照射を行い、ホログラムの定着を行
った。
【0041】得られたホログラムの回折効率は、島津製
作所社製の分光光度計(UV2400PC)を用いて、
ホログラムの角度(θ)を変えながら測定した。測定は
単色光を試料に入射し、試料からの回折光を検出した時
の最も透過率が低くなるときの角度で求めた透過率を1
00から差し引いた値を回折効率とした。可視光透過率
は、同じ分光光度計を用いて同様に測定し、400〜7
00nmの範囲で再生光の吸収を除いた透過率の極小値
とした。その評価結果を表1に示す。
【0042】<実施例2−6>上記実施例1のトリエチ
レングリコールジアクリレート(TEGDA)に代えて
ジエチレングリコールジアクリレート(DEGDA)、
ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGD
A)、エチルカルビトールアクリレート(EKA)、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDD
A)、トリエチレングリコールメタアクリレート(TE
GDMA)を用いる以外は、実施例1と同様にホログラ
ムを作製し、定着を行い、その回折効率、可視光透過率
を測定した。その評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】 TEGDA ; トリエチレングリコールジアクリレー
ト DEGDA ; ジエチレングリコールジアクリレート NPGDA ; ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト EKA ; エチルカルビトールアクリレート HDDA ; 1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート TEGDMA; トリエチレングリコールメタアクリレ
ート
【0045】<実施例7−12>上記実施例1−6のビ
スフェノール系エポキシ樹脂(商品名「エピコート10
07」重合度n=10.8 エポキシ当量:1750〜
2100 油化シェルエポキシ社製)に代えて、臭化エ
ポキシ樹脂(商品名「アラルダイトXAC8101」チ
バガイギー社製)とした以外は、実施例1−6と同様に
ホログラムを作製し、定着を行い、その回折効率を測定
した。その評価結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】<実施例13−17>上記実施例1−6の
2−[p−(N−ジメチルアミノフェニル)エテニル]
マロン酸ジエチルに代えて、チオフラビンTとした以外
は、実施例1−6と同様にホログラムを作製し、定着を
行い、その回折効率を測定した。その評価結果を表3に
示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、上記したよ
うに溶媒可溶性でカチオン重合可能なエチレンオキシド
環を構造単位中に少なくとも一つ有する熱硬化性樹脂、
ラジカル重合可能なエチレン性モノマー、化学作用放射
線に露光するとラジカル重合とカチオン重合を活性化す
る光開始剤、増感色素からなるホログラム層からなるホ
ログラム記録材料であり、増感色素は吸収波長350〜
420nmにあり、この増感色素の吸収波長に優れた感
度、解像度、回折効率、透明性を有するとともに、耐熱
性、耐候性に優れ、かつ化学的に安定し、保存安定性に
優れ、とくに光開始剤を分光増感可能な化合物であるこ
とから、可視光の波長域を含まないため、ホログラム記
録材料が着色されることがなく、ホログラム形成後に残
存する色素の影響もほとんどなく、見た目も無色透明と
なり、高透明性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム記録材料からなるホログラ
ム記録用媒体1の構成を説明する概略図である。
【図2】ホログラム撮影用の光学系を説明する概略説明
図である。
【符号の説明】
1 ホログラム記録用媒体 2 基材 3 ホログラム層 4 保護層 5 レーザ 6 レーザ光 7 ミラー 8 レンズ 9 スペイシャルフィルター 10 ビームスプリッター

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)溶媒可溶性でカチオン重合可能なエ
    チレンオキシド環を構造単位中に少なくとも一つ有し融
    点が60℃以上である熱硬化性樹脂、(B)ラジカル重
    合可能なエチレン性モノマー、(C)化学作用放射線に
    露光するとラジカル重合とカチオン重合を活性化する光
    開始剤、(D)(C)光開始剤を増感せしめる増感色素
    からなるホログラム記録材料において、前記(D)増感
    色素が吸収波長350〜420nmにあり、前記(C)
    光開始剤を分光増感可能な化合物からなることを特徴と
    するホログラム記録材料。
  2. 【請求項2】前記(A)熱硬化性樹脂が、一般式(1)
    で示されることを特徴とする請求項1に記載のホログラ
    ム記録材料。 【化1】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ水素原子、或いはメチル
    基、エチル基、トリフルオロ基から選択された官能基を
    示し、n=1〜20である。)
  3. 【請求項3】前記(A)熱硬化性樹脂が、一般式(2)
    で示されることを特徴とする請求項1に記載のホログラ
    ム記録材料。 【化2】 (式中、n=1〜20である。)
  4. 【請求項4】前記(A)熱硬化性樹脂が、一般式(3)
    で示され、かつエポキシ当量が400から6000であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録材
    料。 【化3】
  5. 【請求項5】前記光開始剤が、トリハロゲノメチル置換
    s−トリアジン、ジアリールヨードニウム塩のいずれか
    であることを特徴とする請求項1記載のホログラム記録
    材料。
JP32503497A 1997-11-26 1997-11-26 ホログラム記録材料 Expired - Fee Related JP3491509B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32503497A JP3491509B2 (ja) 1997-11-26 1997-11-26 ホログラム記録材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32503497A JP3491509B2 (ja) 1997-11-26 1997-11-26 ホログラム記録材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11161141A true JPH11161141A (ja) 1999-06-18
JP3491509B2 JP3491509B2 (ja) 2004-01-26

Family

ID=18172419

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32503497A Expired - Fee Related JP3491509B2 (ja) 1997-11-26 1997-11-26 ホログラム記録材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3491509B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002254011A (ja) * 2001-02-28 2002-09-10 Dainippon Printing Co Ltd 積層体連続塗布装置及び多層塗膜製品

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002254011A (ja) * 2001-02-28 2002-09-10 Dainippon Printing Co Ltd 積層体連続塗布装置及び多層塗膜製品

Also Published As

Publication number Publication date
JP3491509B2 (ja) 2004-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100296083B1 (ko) 감광성기록재료,감광성기록매체및이감광성기록매체를사용하는홀로그램의제조방법
EP0697631B1 (en) Photosensitive recording material, photosensitive recording medium, and process for producing hologram using this photosensitive recording medium
JP2849021B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物
JP3532675B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JPH08101501A (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP3161230B2 (ja) ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体
JP3532621B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP3075082B2 (ja) ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法
JPH09106242A (ja) ホログラム記録用感光性樹脂組成物とホログラム記録用媒体およびこのホログラム記録用媒体を用いたホログラムの製造方法
JP2000047552A (ja) 体積位相型ホログラム用感光性組成物およびホログラム用記録媒体
JP3180566B2 (ja) ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法
JP3491509B2 (ja) ホログラム記録材料
JP2000310932A (ja) ホログラム記録材料およびホログラム記録媒体
JP2000122515A (ja) 体積位相型ホログラム再生光波長変換組成物
JPH0962169A (ja) ホログラム記録媒体
JP2000112322A (ja) 透明ホログラム記録材料
JPH11184361A (ja) ホログラム表示素子
JP3389669B2 (ja) ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法
JP3075081B2 (ja) ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法
JP3900629B2 (ja) 透明ホログラムの製造方法
JPH11202744A (ja) ホログラム表示素子
JPH11161139A (ja) ホログラム記録材料
JPH11161136A (ja) ホログラム表示素子
JP2000075774A (ja) ホログラム記録材料
JP2000310933A (ja) ホログラム記録材料

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees