JPH11160709A - ラビング布選定方法と配向処理装置並びに液晶表示素子 - Google Patents

ラビング布選定方法と配向処理装置並びに液晶表示素子

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JPH11160709A
JPH11160709A JP32902897A JP32902897A JPH11160709A JP H11160709 A JPH11160709 A JP H11160709A JP 32902897 A JP32902897 A JP 32902897A JP 32902897 A JP32902897 A JP 32902897A JP H11160709 A JPH11160709 A JP H11160709A
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liquid crystal
rubbing cloth
crystal display
compression
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Shinichi Murayama
真一 村山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示素子用基板の配向膜に対してラビン
グ処理を行う際に用いられるラビング布を選定する際
に、ラビング布の材料や織り方などに関わらずに、ラビ
ング布自体を定量的に評価することによって、性質の優
れたラビング布を選び出す方法を実現する。 【解決手段】 種々のラビング布に対して、パイルの圧
縮量と圧縮応力との関係を測定し、圧縮量が所定の範囲
(0.5 〜1.0 mm)において、圧縮応力が所定の範囲内
(4 〜6kgf/25cm2)にあり、かつ、圧縮応力の最大値と
最小値との差が所定の値(1.0kgf/25cm2)以下となって
いるラビング布を選定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ワードプ
ロセッサやパーソナルコンピュータ等のOA(Office A
utomation )機器のディスプレイとして使用される液晶
表示素子及び液晶表示素子における配向処理装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えばSTN(Super Twisted Nematic
)方式を用いたドットマトリクス液晶表示素子は、近
年著しい特性向上により、ノート型パーソナルコンピュ
ータのモニターとして用いられるだけでなく、汎用の薄
型モニターとしても使用され、その市場が拡大してい
る。それに伴い、液晶表示素子の大画面化、高精細化へ
の要求がますます高まり、表示の均一性、特に中間調表
示における均一性とコントラストの向上が重要な課題と
なっている。このような課題を解決する上で、液晶表示
素子中の液晶分子を一方向に基板界面上に並べるための
配向処理を、いかに均一に行うかという点が重要になっ
てくる。
【0003】従来、配向処理の1つとしてラビング法が
用いられている。ラビング法とは、液晶表示素子の基板
上に形成された配向膜に対して、ラビング布を巻き着け
たローラを回転させながら押圧し、一定方向に移動させ
ることにより配向処理を行う方法である。
【0004】ラビング布は、縦横に編まれた地糸に数十
本のフィラメントを束ねたパイルを編み込み、各パイル
の植毛長さが均一になるようにカットされたものであ
る。上記ラビング布の材質としては、ナイロンやレーヨ
ンなどが用いられている。これらの材質は、ラビング布
に植毛されたパイルの圧縮復元性、耐久性、保湿性、お
よびコストなどの点で優れている。
【0005】以上のような種々の材質によるラビング布
の適性評価に関しては、定量的な評価方法がなく、ラビ
ング布によって実際にラビング処理を行った基板の配向
処理状態の評価により、使用したラビング布の評価を間
接的に行っている。
【0006】一方、例えば特開平6−202112号公
報には、以下に示すようなラビング装置が開示されてい
る。このラビング装置は、ガラス基板を載置するステー
ジにラビングローラの押し込み量を測定する荷重量測定
装置を備えており、ラビング条件を定量的に設定するこ
とが可能になっている。しかしながら、ラビング布の材
料特性を規定するような内容は開示されていない。
【0007】また、例えば特開平7−270798号公
報には、以下に示すようなラビング装置が開示されてい
る。このラビング装置におけるラビング布は、耐熱性や
機械的性質に優れた起毛状のアラミド繊維によって形成
されている。これにより、ラビング布の消耗を低減し、
配向膜における異物の付着や傷の発生を防止し、かつ欠
陥のない良好な配向状態を得ることができる。しかしな
がら、パイルの応力を規定するような内容は開示されて
いない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ラビン
グ布によって実際にラビング処理を行った基板の配向処
理状態の評価により、使用したラビング布の評価を間接
的に行う場合、ラビング布のパイル長の精度、裏打ち樹
脂の種類、実験時の条件のばらつきなどにより、ラビン
グ布自体の正確な評価を得ることができなかった。よっ
て、実際にはラビング布として優れた材質のものでも、
実験時の種々のパラメータの値によっては低い評価を受
けてしまい、実用化に至らないような状況が発生してい
た。
【0009】また、一般に用いられている配向膜材料
は、耐熱性、耐磨耗性のある樹脂が用いられ、その代表
的な材料がポリイミド樹脂である。STN方式の液晶表
示素子では、配向膜はポリイミドワニスを印刷法などに
より基板表面に塗布し、熱もしくは紫外線照射により硬
化、成膜を行って形成される。通常、配向膜の膜厚は2
00Åから1000Å程度に設定されている。このよう
に、配向膜は非常に薄い膜であり、たとえ耐磨耗性のあ
る樹脂を用いても、ラビング布で擦る際の押圧が強けれ
ば、表面に傷を生じさせる。一方、押圧が小さければ、
液晶分子のプレティルト角を安定して発現させることが
できない。
【0010】しかしながら、現状では、適度な押圧で均
一にラビング処理を行うために、ラビング時の、基板に
対するパイルの押し込み量を、実験的に求めた値に維持
するというような制御しか行われていない。
【0011】ラビングローラは、液晶表示素子の基板上
を一定の押圧を保ちながら回転し、通過していくが、こ
の時に、基板自体の凹凸やラビング布のパイル長がばら
ついていると、押圧が不安定になり、配向膜表面を摩擦
する力、すなわちラビング強度が不均一になる。
【0012】一般に知られているラビング強度の尺度
は、下記の数式により算出されるラビング密度Lとして
定義される。なお、下記の数式において、Nはラビング
回数、hはパイル押し込み量、rはローラ半径、nはロ
ーラ回転数、Vはローラ移動速度を表している。
【0013】L=N×h×(1+(2πrn/V)) 上記数式で得られるラビング密度Lは、条件によるラビ
ング強度の強弱を比較する尺度にはなり得るが、均一で
適度なラビングが行われる条件を見出したり、多少の条
件のばらつきでも安定したラビングが行われるラビング
布を選びだしたりする目的には不向きである。
【0014】これは、パイル押し込み量hが、上記数式
では単純な係数として扱われており、パイルの材質・植
設密度・太さなどの要因を無視しているからである。実
際には、パイルが基板に対して押し込まれる量に対する
反発力が、液晶表示素子の基板の表面に圧力として加わ
っており、パイルの材質・植設密度・太さなどの要因に
より、ラビングの状態が複雑に変化する。
【0015】本発明の目的は、液晶表示素子用基板の配
向膜に対してラビング処理を行う際に用いられるラビン
グ布の選定に関して、ラビング布の材料や織り方などに
関わらずに、ラビング布自体を定量的に評価することに
よって、性質の優れたラビング布を選定するラビング布
選定方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1記載のラビング布選定方法は、パイルが
複数形成されており、液晶表示素子用基板の配向膜に対
してラビングを行うラビング布を選定する際に、パイル
の圧縮量と圧縮応力との関係を測定し、所定の圧縮量の
範囲内では、圧縮量の増加に対して圧縮応力が略一定と
なるラビング布を選定することを特徴としている。
【0017】ラビング布は、材料の種類、パイルの植毛
密度、パイルの長さなどにより、その性質が大きく変化
するものである。従って、従来、ラビング布を選定する
際には、種々のラビング布で、実際に液晶表示素子用基
板の配向膜に対してラビング処理を行い、その処理状態
が優れているものを選定していた。これに対して、上記
の方法によれば、パイルの圧縮量と圧縮応力との関係の
測定を行うだけで、種々のラビング布の中から、性質の
優れたものを選定することができる。これは、上記の方
法によって選定されたラビング布は、パイル長のばらつ
きや基板の凹凸などによりパイルの圧縮量が変化して
も、圧縮応力が略一定となっているために、ラビング時
における基板にかかる圧力が安定しているからである。
これにより、従来と比較して、ラビング布の選定に要す
る時間やコストを大幅に削減することができる。
【0018】なお、圧縮応力が略一定とは、圧縮応力が
必ずしもある特定の数値をとることを意味するものでは
なく、所定の圧縮量の範囲における圧縮応力の最大値と
最小値との差が、所定の範囲内に収まっていれば良い。
【0019】また、請求項2に記載のとおり、上記のラ
ビング布選定方法は、パイルの圧縮量が0.5〜1.0
mmの範囲で、ラビング布の圧縮応力が4〜6kgf/
25cm2 の範囲にあり、かつ、上記の範囲におけるラ
ビング布の圧縮応力の最大値と最小値との差が1.0k
gf/25cm2 以下であることが好ましい。
【0020】請求項3記載の配向処理装置は、液晶表示
素子用基板の配向膜に対してラビング処理を施す配向処
理装置において、請求項1記載のラビング布選定方法に
よって選定されたラビング布を備えたラビング手段が設
けられていることを特徴としている。
【0021】上記の構成によれば、請求項1記載のラビ
ング布選定方法によって選定されたラビング布は、その
圧縮圧力が、パイルの圧縮量の変動に対してほとんど変
動しないので、液晶表示素子用基板の凹凸やパイル長の
ばらつきなどに対して、比較的安定した圧縮圧力による
ラビング処理を行うことができる。よって、液晶表示素
子用基板に対して、むらのない、均一なラビング処理を
施すことができる。
【0022】請求項4記載の液晶表示素子は、上記の課
題を解決するために、配向膜が形成された2枚の基板
が、一定の間隙をおいて互いに対向するように配置さ
れ、上記2枚の基板の間隙に液晶が挟持されている液晶
表示素子において、上記基板は、請求項3に記載の配向
処理装置によって配向処理されていることを特徴として
いる。
【0023】上記の構成によれば、請求項3記載の配向
処理装置によって配向処理された基板は、ラビング処理
が均一に施されているので、液晶の配向均一性を向上さ
せることができる。また、これにより、液晶表示素子に
おける表示品位の均一性も改善することができる。
【0024】また、上記液晶表示素子は、請求項5記載
のように、上記配向処理装置による配向処理によって、
上記液晶のツイスト角が210〜260°になるように
設定することによって、表示品位の均一性に優れたST
N方式の液晶表示素子を提供することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図4に基づいて説明すれば、以下のとおりであ
る。
【0026】図2は、本発明の実施の形態に係る配向処
理装置の概略構成を示す模式図である。配向処理装置
は、円筒状のラビングローラ(ラビング手段)1と、ラ
ビングローラ1を中心軸まわりに高速に回転させる回転
用モータ(図示せず)と、液晶表示素子用基板2を載置
する載置台(図示せず)と、ラビングローラ1を、液晶
表示素子用基板2の上面に平行に、かつ、該上面に接し
ながら一方向(図2におけるA方向)に移動させるラビ
ングローラ移動手段(図示せず)とを備えている。ま
た、ラビングローラ1と液晶表示素子用基板2との接触
面において、ラビングローラ1の移動方向であるA方向
と、ラビングローラ1の回転方向であるB方向のA方向
成分とが角度θをなすように、ラビングローラ1と液晶
表示素子用基板2とが配置されている。
【0027】ラビングローラ1は、ラビング布3を円筒
状のローラ4の円筒面上に両面粘着シートなどにより巻
きつけたものである。なお、ラビング布3は、ローラ4
の円周を一方の辺とし、ローラ4の幅を他方の辺とした
長方形に裁断されている。
【0028】液晶表示素子用基板2の上面には、互いに
平行に透明電極5…が形成されている。ラビング処理を
行うときには、液晶表示素子用基板2の外周を形成する
辺のうち、透明電極5…に平行な辺がA方向に対して垂
直になるように、液晶表示素子用基板2は載置台に配置
される。
【0029】図3は、ラビングローラ1が液晶表示素子
用基板2をラビングする様子を拡大して示した断面図で
ある。ラビング布3は、縦横に編まれた地糸6に数十本
のフィラメントを束ねたパイル7…を編み込み、各パイ
ルの植毛長さが均一になるようにカットされたものであ
る。また、液晶表示素子用基板2は、ガラス基板8の片
面に透明電極5…が形成され、さらにその上層に配向膜
9が形成されたものである。
【0030】配向処理装置は、ラビングローラ1をB方
向に回転させ、液晶表示素子用基板2に対して押圧をか
けながらA方向に移動させることにより、配向膜9に配
向処理を施している。この際に、液晶表示素子中の液晶
の配向方向は、ラビングローラ1と液晶表示素子用基板
2との接触面における上記B方向と一致する。なお、ラ
ビングローラ1を移動させずに、液晶表示素子用基板2
をA方向の逆方向に移動させてもよい。
【0031】上記のような配向処理装置において、ラビ
ング布3として用いる材料を選択するために、以下に示
すような評価実験を行った。
【0032】〔評価実験1〕吉川化工株式会社のレーヨ
ン製ラビング布と、帝人株式会社のアラミド繊維製ラビ
ング布(商品名:コーネックス(登録商標))の2種類
の材料を用い、パイルの圧縮量と圧縮応力との関係を測
定した。
【0033】測定は、5cm角(底面積25cm2 )の
平板に対して、種々のパイル長さをもつラビング布を押
しつけ、株式会社島津製作所製のオートグラフAGS−
100Bを使用して行った。測定結果を図1に示す。な
お、使用したラビング布の種類は、パイル長さが1.6
mmのレーヨン製ラビング布C1、パイル長さがそれぞ
れ2.3mm、2.8mm、3.3mm、3.8mmの
アラミド繊維製ラビング布C2、C3、C4、C5の5
種類である。
【0034】ラビング布C1では、圧縮量を大きくして
いくと、圧縮応力が急激に上昇し、ある圧縮量L1で圧
縮応力が急激に下降し、ある圧縮量L2を超えると再び
圧縮応力が上昇する。これは、以下に示すようなパイル
の挙動によって説明される。圧縮量L1までは、パイル
自体の圧縮応力が平板にほぼ垂直な方向で生じている
が、圧縮量L1を超えるとパイルが変形し、圧縮応力が
減少する。その後、圧縮量L2に到るまで、圧縮応力は
圧縮量に対する変形応力と等しい状態で推移し、さらに
圧縮量L2になると、パイルが変形できないくらい押し
込まれ、パイル自身の弾性による応力が強くなる。
【0035】ラビング布C2では、圧縮量の増大ととも
に圧縮応力が急激に上昇し、そのまま測定限界まで達し
てしまった。一方、ラビング布C3〜C5では、ラビン
グ布C1と同様に、圧縮応力の極大点と極小点とを有す
る変化曲線を示したが、ラビング布C1と比較して極大
点と極小点との差が小さく、圧縮量の増加に対して圧縮
応力がほとんど変化しない範囲が存在した。
【0036】〔評価実験2〕ガラス基板上に透明電極と
してITO(Indium Tin Oxide)を成膜し、実際の液晶
表示素子と同じ電極パターンを形成した後、評価実験1
に用いた5種類のラビング布C1〜C5を用いて、配向
膜を塗布した基板に対するラビング処理を施す実験を行
った。なお、配向膜の材料として、日産化学工業社製S
E−3510を使用し、膜厚は600Åとした。また、
ラビング処理を行う装置として、上述した配向処理装置
を用いた。
【0037】直径13cmのローラ4に、ラビング布3
として上記の5種類のラビング布C1〜C5をそれぞれ
巻着し、1500回転/分でラビングローラ1を回転さ
せ、ラビングローラ1を80mm/秒のスピードで基板
の上面を通過させてラビングを行った。なお、この時の
パイルの圧縮量が、0.2mm、0.5mm、0.8m
m、1.2mmになるように、ラビングローラ1の押圧
力を調整してラビング処理を行った。
【0038】上記のようにラビング処理が施された基板
の配向膜の削れている状態を、顕微鏡で観察した。ま
た、株式会社オーク製作所製微小複屈折測定装置(製品
名:ADR−300)を用いて、基板の位相差を測定し
た。以上の測定結果を表1に示す。また、パイルの圧縮
量と基板の位相差との関係を表すグラフを図4に示す。
【0039】
【表1】
【0040】ここで、基板の位相差と、ラビング処理さ
れた基板の状態との関係について説明する。位相差と
は、光が物質を透過した際に生じる偏光の度合いを示す
数値である。ラビング処理された基板に位相差のない
光、例えばレーザ光などを透過させると、僅かではある
が位相差が生じる。この位相差の大小は、ラビングによ
ってどの程度配向膜が延伸されたかの目安となる。
【0041】通常、ラビング条件と位相差との関係にお
いて、毛当たり量が大きい、すなわち圧縮量が大きい
程、位相差が大きくなり、位相差が大きい程、配向力が
強くなる。しかしながら、圧縮量を大きくしすぎると、
配向膜がラビング布によって剥ぎ取られ、削れが発生す
ることになる。この削れが生じた基板を用いた液晶表示
素子には、表示面に線状の傷が現れてしまうので、削れ
が生じない程度の適度な位相差に合わせる必要がある。
【0042】ただし、位相差は、配向膜材料やラビング
条件により変化するので、好ましい位相差の範囲につい
て一概には言及できないが、本評価実験で用いた配向膜
材料およびラビング条件では、位相差が0.4〜1.0
nmの範囲で、かつ削れが生じないならば、良好な表示
品位が得られることが経験的に判っている。
【0043】表1および図4に示すように、ラビング布
C3・C4・C5は、パイルの圧縮量に対して、削れ難
く、位相差もなだらかな変化になっており、圧縮応力の
変化が大きなラビング布C1やC2に比べて、ラビング
時の圧縮量が変化しても、安定したラビング処理を行え
ることが確認できた。
【0044】すなわち、図1において、ある圧縮量の範
囲で、圧縮応力の変化が小さくなっているラビング布C
3・C4・C5は、削れが生じにくく、また、位相差の
変化もおだやかになっていることがわかる。これは、パ
イル長のばらつきや基板の凹凸などによりパイルの圧縮
量が変化しても、圧縮応力が安定しているために、ラビ
ング時における基板にかかる圧力が安定しているためで
あると考えられる。
【0045】上記の結果より、評価実験1において、パ
イルの圧縮量が0.5mmから1.0mmまでの範囲
で、パイルの圧縮応力が4〜6kgf/25cm2 の範
囲にあり、かつ、圧縮応力の変化、すなわち、上記の範
囲におけるラビング布の圧縮応力の最大値と最小値との
差が1.0kgf/25cm2 以下であるラビング布を
用いることが好ましいといえる。
【0046】なお、パイルの圧縮応力に関する上記の数
値条件は、あくまでも好適な例の一つにすぎない。すな
わち、配向膜の材料、ラビング時の各種条件、液晶の種
類等の様々な要因に基づいて、パイルの圧縮量の範囲お
よび圧縮応力の範囲を適切に決定すれば良い。
【0047】以上のように、ある圧縮量の範囲で、圧縮
応力の変化が小さくなっているラビング布C3・C4・
C5を選定すれば、これらのラビング布を用いて、実際
に基板に対してラビング処理を行った場合、基板におけ
るラビング処理の状態が良好となることが確認できた。
【0048】〔評価実験3〕評価実験2で使用した基板
2枚を、各基板におけるラビング方向が互いに260°
になるように配置し、かつ、基板の隙間の間隔が6.7
μmになるようにして対向させ、その間隙に液晶材料を
挟持したSTN型液晶表示素子(液晶表示素子)を作成
し、ラビング処理によって生じた表示上の欠陥を評価し
た。評価結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】ラビング布C1を用いてラビング処理を行
った液晶表示素子は、以下のような評価結果であった。
圧縮量0.8mmでラビング処理した場合は、ラビング
方向に細い筋状の傷が確認され、圧縮量0.2mmでラ
ビング処理した場合は、液晶の配向が十分にされず、ド
メインと呼ばれる配向異常が発生した。
【0051】一方、ラビング布C2を用いてラビング処
理を行った液晶表示素子は、以下のような評価結果であ
った。圧縮量0.2mmでラビング処理した場合、ドメ
インの発生はなかったが、圧縮量0.5mmでラビング
処理した場合に、筋状の傷が少し確認された。また、圧
縮量0.8mm以上でラビング処理した場合に、表示面
の全面に筋状の傷が確認され、液晶表示素子として実使
用に耐えないものであった。
【0052】ラビング布C3を用いてラビング処理を行
った液晶表示素子は、以下のような評価結果であった。
圧縮量0.2mmでラビング処理した場合は、ラビング
布C1を用いた液晶表示素子と同様に、ドメインが発生
したが、圧縮量0.5〜0.8mmの範囲では、非常に
均一な配向を示した。また、圧縮量1.2mmでラビン
グ処理した場合でも、一部に筋状の傷が確認できたもの
の、実使用上特に問題がない程度であった。よって、ラ
ビング布C3を用いてラビング処理を行った場合、圧縮
量のばらつきがあっても、十分な表示均一性が得られる
ことが確認された。
【0053】ラビング布C4を用いてラビング処理を行
った液晶表示素子では、圧縮量0.2〜0.5mmの範
囲でドメインが発生し、ラビング布C5を用いてラビン
グ処理を行った液晶表示素子では、圧縮量0.2〜0.
8mmの範囲でドメインが発生しており、配向力がやや
弱いことが確認された。ラビング処理時の圧縮量を更に
上げれば、液晶表示素子の配向力および配向の均一性は
向上するが、実際には、圧縮量をガラス基板の厚み
(0.7〜1.1mm)以上に上げることはできない。
これは、圧縮量をガラス基板の厚み以上に上げると、ガ
ラス基板を置いている載置台にパイルが当たるので、載
置台の汚れが配向面に付着する可能性が生じるからであ
る。
【0054】なお、本評価実験3において使用したST
N型液晶表示素子は、ラビング方向が互いに260°に
なるように配置することによって、上記液晶のツイスト
角が260°となるものであったが、このツイスト角の
範囲は210〜260°の間の任意の角度をとることが
できる。
【0055】以上のように、種々のラビング布の圧縮量
と圧縮応力との関係を示すデータと、各ラビング布でラ
ビング処理を施した液晶表示素子における液晶の配向状
態および表示品位との間には、相関があることが確認さ
れた。従来は、種々のラビング布の材料の評価を行う際
に、各ラビング布によってラビング処理が施された基板
をもとに液晶表示素子を実際に試作し、その試作品を評
価していたため、多大な時間と費用がかかっていた。し
かしながら、本実施形態に係る評価方法によれば、上記
の評価実験1のように、ラビング布の圧縮応力を測定す
るだけで、ラビング布の選択の絞り込みが可能となる。
この結果、開発期間の短縮およびコストの低減化が可能
になる。
【0056】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明に係るラ
ビング布選定方法は、パイルが複数形成されており、液
晶表示素子用基板の配向膜に対してラビングを行うラビ
ング布を選定する際に、パイルの圧縮量と圧縮応力との
関係を測定し、所定の圧縮量の範囲内では、圧縮量の増
加に対して圧縮応力が略一定となるラビング布を選定す
る。
【0057】これにより、パイルの圧縮量と圧縮応力と
の関係の測定を行うだけで、種々のラビング布の中か
ら、性質の優れたものを選定することができ、ラビング
布の選定に要する時間やコストを大幅に削減することが
できるという効果を奏する。
【0058】請求項2の発明に係るラビング布選定方法
は、パイルの圧縮量が0.5〜1.0mmの範囲で、ラ
ビング布の圧縮応力が4〜6kgf/25cm2 の範囲
にあり、かつ、上記の範囲におけるラビング布の圧縮応
力の最大値と最小値との差が1.0kgf/25cm2
以下となっている。
【0059】これにより、請求項1の構成による効果に
加えて、液晶表示素子基板の配向膜上に、削れや筋状の
傷などを生じさせることなく、ラビング処理を行うこと
が可能なラビング布を選定することができるという効果
を奏する。
【0060】請求項3の発明に係る配向処理装置は、以
上のように、液晶表示素子用基板の配向膜に対してラビ
ング処理を施す配向処理装置において、請求項1記載の
ラビング布選定方法によって選定されたラビング布を備
えたラビング手段が設けられている構成である。
【0061】これにより、液晶表示素子用基板の凹凸や
パイル長のばらつきなどに対して、比較的安定した圧縮
圧力によるラビング処理を行うことができ、液晶表示素
子用基板に対して、むらのない、均一なラビング処理を
施すことができるという効果を奏する。
【0062】請求項4の発明に係る液晶表示素子は、以
上のように、配向膜が形成された2枚の基板が、一定の
間隙をおいて互いに対向するように配置され、上記2枚
の基板の間隙に液晶が挟持されている液晶表示素子にお
いて、上記基板は、請求項3に記載の配向処理装置によ
って配向処理されている構成である。
【0063】これにより、請求項3記載の配向処理装置
によって配向処理された基板は、ラビング処理が均一に
施されているので、液晶の配向均一性を向上させること
ができ、液晶表示素子における表示品位の均一性も改善
することができる。
【0064】請求項5の発明に係る液晶表示素子は、上
記配向処理装置による配向処理によって、上記液晶のツ
イスト角が210〜260°になるように設定されてい
る構成である。
【0065】これにより、請求項4の構成による効果に
加えて、上記基板の配向処理が適度にかつ均一に施され
ているので、高プレティルト角が要求される高ツイスト
角の液晶表示素子においても、高コントラストの表示画
面を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のラビング布における、パイルの圧縮量と
圧縮応力との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の実施の一形態に係る配向処理装置の概
略構成を示す模式図である。
【図3】上記配向処理装置におけるラビングローラが液
晶表示素子用基板をラビングする様子を拡大して示した
断面図である。
【図4】透明電極と配向膜とが形成されたガラス基板に
対して、種々のラビング布を用いてラビング処理を施し
た際の、パイルの圧縮量とガラス基板の位相差との関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ラビングローラ(ラビング手段) 2 液晶表示素子用基板 3 ラビング布 4 ローラ 5 透明電極 6 地糸 7 パイル 8 ガラス基板 9 配向膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パイルが複数形成されており、液晶表示素
    子用基板の配向膜に対してラビングを行うラビング布を
    選定する際に、パイルの圧縮量と圧縮応力との関係を測
    定し、所定の圧縮量の範囲内では、圧縮量の増加に対し
    て圧縮応力が略一定となるラビング布を選定することを
    特徴とするラビング布選定方法。
  2. 【請求項2】パイルの圧縮量が0.5〜1.0mmの範
    囲で、ラビング布の圧縮応力が4〜6kgf/25cm
    2 の範囲にあり、かつ、上記の範囲におけるラビング布
    の圧縮応力の最大値と最小値との差が1.0kgf/2
    5cm2 以下であることを特徴とする請求項1記載のラ
    ビング布選定方法。
  3. 【請求項3】液晶表示素子用基板の配向膜に対してラビ
    ング処理を施す配向処理装置において、請求項1記載の
    ラビング布選定方法によって選定されたラビング布を備
    えたラビング手段が設けられていることを特徴とする配
    向処理装置。
  4. 【請求項4】配向膜が形成された2枚の基板が、一定の
    間隙をおいて互いに対向するように配置され、上記2枚
    の基板の間隙に液晶が挟持されている液晶表示素子にお
    いて、上記基板は、請求項3に記載の配向処理装置によ
    って配向処理されていることを特徴とする液晶表示素
    子。
  5. 【請求項5】上記配向処理装置による配向処理によっ
    て、上記液晶のツイスト角が210〜260°になるよ
    うに設定されていることを特徴とする請求項4記載の液
    晶表示素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010204173A (ja) * 2009-02-27 2010-09-16 Fujifilm Corp ラビング用布材及びそれを用いたラビング処理方法
WO2011055852A1 (ja) * 2009-11-06 2011-05-12 セーレン株式会社 ラビング布

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