JPH11160708A - 配向樹脂膜及びその製造方法並びにその配向樹脂膜を用いた光学素子 - Google Patents

配向樹脂膜及びその製造方法並びにその配向樹脂膜を用いた光学素子

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JPH11160708A
JPH11160708A JP25983898A JP25983898A JPH11160708A JP H11160708 A JPH11160708 A JP H11160708A JP 25983898 A JP25983898 A JP 25983898A JP 25983898 A JP25983898 A JP 25983898A JP H11160708 A JPH11160708 A JP H11160708A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 力学的な操作を用いることなく、光の作用で
分子配向された樹脂膜を製造すること、光で配向させた
状態を熱や光、さらには電場に対して高度に安定にする
こと、均一な膜厚で大面積化を図ること、製造方法が複
雑化しないこと、生産性を向上するために光配向に要す
る露光エネルギー量をできるだけ低減すること、画素の
多分割に対応するために多軸配向状態を容易に与えるこ
と、大面積露光に対応するために活性光の波長は過度に
短波長に偏らないこと、などを一挙に解決し、持続性の
ある配向樹脂膜を提供する。 【解決手段】 二色性光反応性構成単位を含む樹脂皮膜
に、直線偏光の光の照射又は非偏光の光の斜め方向から
の照射及び加熱処理を施して形成させてなる配向樹脂
膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配向方向が任意に
制御された配向樹脂膜及びその製造方法並びにその配向
樹脂膜を用いた光学素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機材料や高分子系材料の分子を配向さ
せる技術は、それらの材料の機械的強度の向上を図るた
めのみならず、光学的異方性に基づくさまざまな光学素
子、たとえば、偏光素子、光学補償フィルム、光導波
路、光情報記録体などを製造するための基本的な技術で
ある。有機・高分子系材料の分子配向を実現するもっと
も普遍的な方法は、高分子の繊維やフィルムを力学的に
延伸するものであり、これによって繊維やフィルムの強
度の増強が図られる。また、延伸フィルムによって位相
補償板が製造されるし、あるいは、延伸フィルムによっ
て色素分子を配向させて偏光素子が製造される。ところ
が、これらの機械的な方法では、繊維あるいはフィルム
全体にわたって均一に延伸力が働くために、任意の位置
に任意の配向方向を付与することはできない。また、延
伸方向への配向は可能であっても、その方向に対して垂
直な面内での配向を制御することはできない。また、有
機材料では機械的な強度がないために、このような延伸
処理を直接用いることはできない。
【0003】一方、液晶は光学的に異方性を示すので、
その複屈折性や二色性、さらには旋光性を用いることに
よって表示あるいは記録などの素子、さらには偏光や光
干渉などの光学特性に基づくさまざまな光学素子に利用
可能である。また、透明電極を設けた2枚の基板の間に
液晶を挟持させて、多数の画素からなる液晶セルを構成
し、その液晶層に電圧を印加することによって、液晶配
向のスイッチングに基づく液晶表示装置が実現される。
このような液晶表示装置の光学特性を最適とするために
は、液晶を均一方向に配列、配向させることが不可欠で
あり、このために、基板表面を化学的あるいは物理的に
処理する方法が知られている(J.Cognard, Mol.Cryst.L
iq.Cryst., Spplement 1, p1(1982))。
【0004】たとえば、基板表面に平行、かつ、一方向
に均一に配向した液晶のホモジニアス配向を得るため
に、ポリイミドなどの高分子樹脂膜で基板表面を被覆
し、これを一方向に布などで擦るラビング処理する方法
が知られている。この方法は、液晶セルを構築するうえ
で不可欠な液晶用配向膜の製造に広く用いられている。
【0005】ラビング法以外の配向処理方法として、斜
方蒸着法(特開昭56-66826号公報)、基板表面に高分子
単分子膜を設けるラングミュア・ブロジェット法(特開
昭62-195622号公報)、すでに配向処理された基材を用
いて配向状態を転写するスタンプ法(特開平6-43457号
公報など)が提案されている。
【0006】液晶配向を制御する他の方法として、基板
表面の光化学反応を利用する液晶配向制御法が知られて
いる。この方法は、基板表面に光の作用で異性化反応を
起こす分子を含む分子層あるいは高分子層を設け、その
層に直線偏光の光を照射させることにより配向制御を行
うものである(市村、表面、32,671,(1994)参照)。上
記の分子層あるいは高分子層に直線偏光の光を照射する
ことによって、その分子構造あるいは分子配向の変化が
喚起されて液晶の配向が変化し、かつ、直線偏光の偏光
軸によって規定される方向に液晶を配向させることがで
き、容易にホモジニアス配向制御が実現される(kawani
shiら、Polym.Mater.Sci.Eng., 66, p263(1992))。
【0007】光反応性分子が可逆的な光反応を起こすホ
トクロミック分子であれば、これらのホトクロミック分
子を含む分子層あるいは高分子層に直線偏光の光を照射
することによって、所定の方向へ液晶を可逆的にホモジ
ニアス配向させることができるので、書き換え可能な光
記録や光表示のための素子に利用可能である(市村、化
学と工業、48, p1232 (1995))。また、ポリイミドに二
色性色素を溶解分散して形成される皮膜に直線偏光の光
を照射して、液晶用配向膜とする方法も提案されている
(Gibbonら、Nature, 351, p49(1991))。
【0008】一方、光二量化反応を起こす桂皮酸誘導体
(M. Schadtら, Jpn. J. Appl. Phys., 74, p2071 (199
2))やクマリン誘導体(M. Schadtら, Nature, 381, p2
12 (1996))を側鎖に有する高分子膜に直線偏光を照射
することからなる液晶配向処理方法が提案されている。
今一つの方法はポリイミド膜に直線紫外線を照射して液
晶用配向膜とするものである(Hasegawaら、J. Photopo
lym. Sci. Technol.,2, p241 (1995))。あるいは、高
分子表面にエキシマレーザーを照射して周期的な縞状模
様を表面に形成させる方法も報告されている(特開平2-
196219号公報など)。
【0009】ところで、ラビング処理は比較的容易にホ
モジニアス配向を与えるが、その配向方向は一方向に限
定されるため、微細、かつ、多軸の配向状態を与えるこ
とは困難、もしくは不可能である。このため、とくに液
晶表示装置における視野角依存性を改善する一方法とし
て提案されている配向分割法(特開昭62-159119号公
報、特開昭63-106624号公報)では、一画素を複数に分
割して各領域毎に異なるプレチルト角や液晶配向の方向
を設定するが、これをラビング処理法で行うことは困難
であり、生産性に欠ける。また、他の物理的方法も以下
のように生産性に著しく欠ける。すなわち、斜方蒸着法
では真空系を必要とするし、ラングミュア・ブロジェッ
ト法では水面展開膜を引き上げることが不可欠である
し、スタンプ法では、あらかじめ配向処理層を作製しな
ければならない。
【0010】これに対して、光の作用によって液晶配向
を制御する方法は、基板の大面積を一括して露光するこ
とによって液晶配向状態を与えるうえに、フォトリソグ
ラフィーの技術を転用することによって多分割画素を与
えることから、原理的に優れた方法である。しかしなが
ら、この方法を液晶用配向膜に応用する上で、以下のよ
うな問題点が存在していた。すなわち、ポリイミドに色
素分子を溶解してなる液晶用配向膜は、液晶素子を構築
した後に色素分子が液晶層に再溶解するおそれがある。
基板表面に設けた高分子層における光異性化反応を利用
する場合には、可逆的に繰り返し液晶配向を変化させる
うえでは有効であるが、液晶用配向膜のように光の作用
によって規定された配向状態は熱的、あるいは光に対す
る安定性に欠けるという問題点が残る。さらには、これ
らの光異性化反応を組み込んだ液晶用配向膜を用いて作
製された液晶素子に電圧印加すると、配向が乱れること
も報告されている(Yaroshchukら、SPIE, 2795, p71 (1
996))。また、光二量化性高分子を用いる方法では、光
配向に用いられる光の波長は紫外線に偏っているために
大面積照射が可能な偏光素子が得られにくい上に、熱的
に安定な配向を発現するに要する露光エネルギー量が大
きいという欠点を有していた(Ichimuraら, Macromolec
ules, 30, 903 (1996))。さらに、エキシマレーザーの
ように短波長の光によって高分子膜表面を光分解する方
法は、活性な光の波長は紫外線に偏っている上、露光エ
ネルギー量は大きく、実用に供するために大きな障害と
なっているだけではなく、光照射によって発生する分解
生成物が表面汚染の一因になるおそれがあり、精緻な液
晶用配向膜に応用するうえで問題となる可能性がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、力学的な操
作を用いることなく、光の作用で分子配向された樹脂膜
を製造すること、光で配向させた状態を熱や光、さらに
は電場に対して高度に安定にすること、均一な膜厚で大
面積化を図ること、製造方法が複雑化しないこと、生産
性を向上するために光配向に要する露光エネルギー量を
できるだけ低減すること、画素の多分割に対応するため
に多軸配向状態を容易に与えること、大面積露光に対応
するために活性光の波長は過度に短波長に偏らないこ
と、などを一挙に解決し、持続性のある配向樹脂膜及び
その製造方法並びにその配向樹脂膜を用いた光学素子を
提供することをその課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、二色性光反応構成
単位を含む樹脂が潜在的に液晶性あるいは結晶性を示す
場合には、溶液から形成させた高分子の皮膜へ光照射に
よって生じる配向状態は、高分子膜を加熱処理すること
によって著しく向上するのみならず、高度に安定化でき
ることを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0013】即ち、本発明によれば、二色性光反応性構
成単位を含む樹脂皮膜に、直線偏光の光の照射又は非偏
光の光の斜め方向からの照射及び加熱処理を施して形成
させてなる配向樹脂膜が提供される。また、本発明によ
れば、二色性光反応性構成単位を含む潜在的に液晶性又
は結晶性の樹脂皮膜に、直線偏光の光の照射又は非偏光
の光の斜め方向からの照射及び加熱処理を施して形成さ
せてなる配向樹脂膜が提供される。また、本発明によれ
ば、二色性光反応性構成単位を含む樹脂皮膜に、直線偏
光の光を照射するか又は非偏光の光を斜め方向から照射
した後、加熱処理を施すことからなる配向樹脂膜の製造
方法が提供される。また、本発明によれば、下記一般式
(1)で表されるアゾベンゼンで置換された液晶性又は
結晶性の樹脂のすくなくとも一種を含有してなる配向樹
脂膜用材料が提供される。
【化3】 (式中、Xは高分子主鎖に結合する二価の残基、Yは水
素原子、炭素数8までのアルキル基、シクロアルキル
基、シアノ基、ニトロ基、炭素数6までのアルコキシ
基、炭素数6までのアルコキシカルボニル基、ハロゲン
基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基
を示す) また、本発明によれば、上記の配向樹脂膜を有する基板
が提供される。さらに、本発明によれば、上記の配向樹
脂膜を形成させた基板と、これと同一あるいは異なって
もよい配向樹脂膜を形成させた基板とを対向配置し、こ
れらの基板の間に液晶を挟持してなる光学素子が提供さ
れる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳述する。本
発明の配向樹脂膜は、二色性光反応性構成単位を含む樹
脂皮膜、より好ましくは潜在的に液晶性又は結晶性の樹
脂皮膜に、直線偏光の光の照射又は非偏光の光の斜め方
向からの照射及び加熱処理を施して形成してなることを
特徴とする。
【0015】液晶性あるいは結晶性を示す高分子は溶液
中では等方相であり、異方性は示さない。したがって、
この溶液から形成される高分子皮膜中に残存溶媒が存在
したり、塗布製膜化された条件下では、非晶質のまま
か、あるいは、部分的にのみ液晶性あるいは結晶性が生
じる。つまり、製膜状態では光反応性基が光化学的な構
造変化あるいは配向変化が起こりやすいが、これを加熱
することによって液晶化あるいは結晶化させ、配向状態
を高度に安定化させることができる。このことは、液晶
性あるいは結晶性が高分子の主鎖あるいは側鎖間での分
子間相互作用によって発現するためであり、直線偏光の
光の照射の結果発生する微小な分子配向が加熱処理によ
って分子配向度が増幅され、しかも、転移温度以下であ
ればその分子間相互作用の結果配向状態が高度に安定に
なるためと考えられる。
【0016】本発明において用いる樹脂皮膜は、二色性
光反応性構成単位を含むものであるが、ここで「二色性
光反応性構成単位」とは、互いに直交する分子軸におけ
る同一波長での吸収強度が異なり、かつ、光吸収によっ
て異性化反応をもたらす分子性単位を言う。本発明の樹
脂皮膜において含まれる二色性光反応性構成単位として
は、分子間相互作用が効率よく起こる棒状構造を持つこ
とが好ましい。このようなものとして特に好ましいもの
は、下記一般式(1)で表されるアゾベンゼンで置換さ
れた液晶性又は結晶性のものである。
【化4】 (式中、Xは高分子主鎖に結合する二価の残基、Yは水
素原子、炭素数8までのアルキル基、シクロアルキル
基、シアノ基、ニトロ基、炭素数6までのアルコキシ
基、炭素数6までのアルコキシカルボニル基、ハロゲン
基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基
を示す)
【0017】上記の樹脂皮膜を設けるために必要な本発
明に用いられる基板としては、これらの樹脂が塗布され
るものであればよく、透明、不透明を問わないが、例え
ば液晶セルを構成する場合には液晶セルを構成する2枚
の基板のうち少なくとも一方は透明であることが必要で
ある。透明な基板としては、シリカガラス、硬質ガラ
ス、石英、各種プラスチックなどのシートあるいはそれ
らの表面に、酸化珪素、酸化スズ、酸化インジウム、酸
化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛な
どの金属酸化物や、窒化珪素、炭化珪素などを被覆した
ものが用いられる。不透明な基板としては、金属あるい
はガラスやプラスチックシートなどの表面に金属層や金
属酸化物層を付着させたものが用いられる。
【0018】本発明で樹脂皮膜に用いる高分子は前記二
色性光反応性構成単位を結合、または、混合してなるも
のである。二色性光反応性構成単位を結合した高分子の
うち、光照射で配向した状態が熱あるいは溶媒に対して
安定な液晶性又は結晶性高分子が好ましい。液晶性又は
結晶性高分子は、その膜を偏光顕微鏡によって複屈折に
基づく明視野として観察されるので容易に判別すること
ができる。また、該液晶性又は結晶性高分子は、熱分析
によって、液晶相・等方相転移温度や融点を測定するこ
とができる。
【0019】該樹脂皮膜をアゾベンゼン誘導体で置換さ
れた液晶性又は結晶性高分子膜で構成する場合、アゾベ
ンゼンを結合した高分子が液晶性あるいは結晶性を発現
するためには、分子間相互作用が増強する効果を有する
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シアノ
基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基をアゾベンゼン
骨格に導入することが好ましい。また、非光反応性のメ
ソゲン基を一部導入することによっても液晶性を発現す
ることができる。
【0020】アゾベンゼンを有する液晶性高分子とし
て、主鎖がポリメタクリレート、ポリアクリレートの場
合であれば、下記表1に例示されているモノマー単位を
有する高分子が挙げられる。
【表1】
【0021】この場合、表2で表される非光反応性モノ
マー単位を共重合単位とすることが好ましい。
【表2】
【0022】アゾベンゼンを有する液晶性高分子で主鎖
がポリエステル、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリウ
レタン、ポリウレアなどである多くの例が知られており
(V.Shibaev編, Polymers as Electrooptical and Phot
ooptical Active Media、Springer社、1996、p37-110参
照)、これらも本発明に用いることができる。本発明に
用いられる液晶性アゾベンゼン高分子の例を表3に示す
が、これに限定されるものではない。
【表3】
【0023】また、本発明で用いる結晶性を示すアゾベ
ンゼン高分子の例を表4に示す。
【表4】
【0024】本発明で用いる結晶性を示すアゾベンゼン
高分子としては、次のようなものの使用可能である。ス
チレンと無水マレイン酸との交互共重合体にヒドロキシ
アルキル基を有するp−置換アゾベンゼンを反応させた
もの(R. H. Tredgoldら、J. Phys. D: Appl. Phys., 2
0, 1385 (1985))p−フェニレンジアクリル酸から製造
されるアゾベンゼン置換ポリエステル(A. Natansohn
ら、Macromolecules, 27, 2580 (1994))また、上記表
4の(22)に示す、シアノアゾベンゼンを側鎖に持つ
ポリメタクリレートは融点が高い結晶性高分子である。
【0025】本発明による配向樹脂膜は、上記樹脂皮膜
に光照射を施して形成されるものであるが、ここで、二
色性光反応性構成単位を含む樹脂皮膜への光照射につい
て説明する。上記樹脂の溶液を基板上に回転塗布、流延
塗布、スクリーン印刷などに供して薄膜とする。膜厚は
5nmから1000nmの範囲、より好ましくは10n
mから500nmの範囲である。例えば、アゾベンゼン
を有する高分子の場合、上記の範囲の膜厚であれば、ア
ゾベンゼンに由来する膜の色は無視することができ、実
質的に無色透明となる。液晶の配向は高分子膜の表面層
におけるアゾベンゼン残基の配向によって規制されるの
で、これ以上に膜厚が大きくても液晶配向を制御するた
めには意味がなく、膜厚が大きすぎると、アゾベンゼン
あるいは置換アゾベンゼンの光吸収に基づく着色を無視
することができず、得られる液晶素子の品質が低下して
しまう。一方、上記範囲以下の膜厚では均質な膜が得ら
れにくい上に、基板表面が部分的に露出するために、液
晶配向の均質性が損なわれてしまう。
【0026】高分子の均一配向を得るための光照射法と
しては、直線偏光の光照射と、非偏光の光の斜め方向か
らの照射がある。直線偏光の光照射の場合には、上記の
方法によって調製した樹脂皮膜に光源からの光を偏光素
子を通して照射する。光源としては、超高圧水銀灯、キ
セノン灯、蛍光灯、水銀・キセノン灯などを用いること
ができ、偏光素子としては、ポリビニルアルコール系の
偏光シートが好適に用いられる。非偏光の光の斜め方向
からの照射は、上記の光源からの光を、樹脂皮膜に、樹
脂膜表面に対する垂線からある角度をなす方向から入射
させる。垂線と入射方向のなす角度は5度から60度、
より好ましくは10度から45度である。単位面積当た
りの照射エネルギー量は樹脂の特性、照射波長などに大
きく依存するが、10mJ/cm2から10mJ/cm2
程度、より好ましくは50mJ/cm2から2mJ/c
2の範囲である。アゾベンゼンは、紫外線照射によっ
てシス体を主成分とする異性化反応が起こる一方、可視
光照射ではトランス体を主成分とする異性化反応が起こ
る。このように光異性化反応には波長依存性があること
がよく知られているが、意外にも、本発明における光照
射では、紫外線、可視光のいずれも用いることができ
る。したがって、本発明の光照射では、波長領域を分離
する必要がない上に、光源からの活性な波長光を最大限
に利用することができる。とくに、紫外線照射において
は、配向をもたらすに必要な照射エネルギー量は数十m
J/cm2程度と著しく低くて良い。
【0027】本発明による配向樹脂膜は、上記光照射の
後に加熱処理を施して形成される。その加熱温度は、結
晶性高分子の場合であれば、融点以下、液晶性高分子で
あれば、液晶相・等方相転移温度以下である。結晶性高
分子であれば、融点は好ましくは100度以上、液晶性
高分子であれば液晶相・等方相転移温度は好ましくは1
00度以上である。加熱処理を施すことによって、光照
射で発現した光反応性分子の配向度は著しく向上する。
これは、例えばアゾベンゼン高分子の場合、溶液からの
塗布によって調製された高分子膜は溶液中でのコンホー
メーションを反映しているために、液晶性あるいは結晶
性を十分に示しておらず、非晶性を主成分としているた
めであると考えられる。しかしながら、光照射によって
生じる光反応性分子の配向性は、加熱処理の過程でアゾ
ベンゼン基の自己組織化能によって増強される。しか
も、加熱処理後に発現する高度に配向した状態は効果的
な分子間相互作用によって分子運動性が高度に束縛され
るために、高度に熱的に安定となる。例えば、ポリ(1
−メタクロイルオキシ−4’−シアノアゾベンゼン)の
スピン塗布薄膜に偏光の光を照射した後に加熱すること
によって、アゾベンゼン基の配向度は著しく向上し、し
かも意外なことに、200度という高温にもかかわらず
配向は全く乱れることはなかった。光照射した潜在的に
液晶性あるいは結晶性であるアゾベンゼン高分子の薄膜
自体は二色性を示し、公知のように加熱処理を施さなく
とも液晶配向能を有しておりホモジニアス配向を与える
が、液晶の相転移温度以上に加熱することによってその
均一配向は失われてしまう。それに対して、光照射後に
加熱処理を施した高分子では、アゾベンゼン基の配向が
安定化されるために液晶の相転移温度に長時間保っても
配向が乱れることはない。また、このような加熱によっ
て安定化された配向樹脂膜は光を照射しても配向が崩れ
ることはない。言い換えると、加熱処理を施さない状態
では、直線偏光照射軸を変えることによって可逆的に配
向方向を変えることが可能であるが、加熱処理を施すこ
とによってアゾベンゼン残基の配向状態が定着されるた
めに、光照射による再配向ができないか、あるいは、き
わめて困難となる。このことから、以下のような安定な
パターン化された多軸配向膜を容易に調製することがで
きる。すなわち、製膜した高分子膜を必要な回数だけ偏
光軸の異なる光によってパターンに応じて照射する。つ
いで、この照射膜を加熱することによって多軸配向状態
を定着させる。この高分子膜を配向樹脂膜とすることに
よって、アゾベンゼンの配向に忠実に配向制御された液
晶配向状態を得ることができ、しかも、この状態は高度
に光や熱に安定となる。
【0028】本発明によれば、上記の配向樹脂を液晶用
配向膜とし、該液晶用配向膜を有する基板を用いて液晶
セル等の光学素子を構成することができる。例えば、電
界駆動型液晶セルを作成する場合には、二色性光反応性
構成単位を含む潜在的に液晶性又は結晶性の樹脂の溶液
をスピン塗布法あるいはスクリーン印刷によって、IT
Oなどの透明電極を設けた基板表面に塗布して高分子膜
を形成する。このとき、樹脂の融点あるいは相転移温度
は用いる液晶の相転移温度以上のものを選定する。この
樹脂膜を設けた基板全面を直線偏光の光で照射するか、
又は非偏光の光で斜め方向から照射した後、樹脂の融点
あるいは相転移温度より低い温度で加熱処理を施す。多
分割画素を形成するためには、全面を光照射した後に、
直線偏光の偏光軸、あるいは非偏光の光の入射方向を変
えてからフォトマスク越しに必要な部分のみを光照射
し、ついで、同様に樹脂の融点あるいは相転移温度以下
に加熱処理を施すことができる。以下この液晶用配向膜
付き基板を用いて、公知の方法により液晶セルを作成す
ることができる。液晶セルの表示動作モードはTNでも
よいし、STNでもよい。また、配向制御される液晶と
しては、低分子液晶にとどまらず、高分子液晶をも用い
ることができる。高分子液晶を均一配向させるために
は、通常相転移温度近傍に加熱することが必要である
が、本発明によれば、この加熱操作においてもなんら配
向膜における配向が乱れることがないので好適に用いる
ことができる。この場合、用いられる高分子液晶として
は、ネマチック相をとるものであれば、メソゲンを高分
子側鎖に結合してもよいし、主鎖に結合してもよい。メ
ソゲンとしては、p−シアノビフェニル基およびp−フ
ェニルベンゾエ−ト基が好適に用いられる。側鎖に結合
した高分子液晶の例を以下に示すが、本発明はこれに限
定されない。
【表5】 さらに、リオトロピック液晶やディスコティック液晶へ
も適用することができる。また、重合性の低分子液晶モ
ノマーを本発明の方法によって配向させた後に重合させ
ることによって、さらに熱的に安定な液晶素子を作製す
ることができる。
【0029】本発明では、上記のようにして製造した配
向樹脂膜の上に、必要に応じて保護膜を設けることがで
きる。
【0030】また、本発明の樹脂配向膜は、液晶用配向
膜として液晶素子に使用することのみならず、光学異方
性に基づくさまざまな光学素子、たとえば、偏光素子、
光学補償フィルム、光導波路、光情報記録媒体等に適用
することが可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明の配向樹脂膜及びその製造方法の
特徴は、液晶性あるいは結晶性に基づく高度秩序性によ
って配向状態を安定化させるところにある。光照射によ
る膜中での光反応性残基、たとえば、アゾベンゼン誘導
体の再配向は非晶性の状態で行われるので、照射エネル
ギー量が少なくて済み、均一な膜厚で大面積の配向樹脂
膜を得ることができる。また、本発明では、パターニン
グも任意であり、多軸配向膜も製造可能である。さら
に、液晶化あるいは結晶化によって配向状態を定着させ
ることによって配向の耐久性が著しく向上する。このよ
うな特徴をもとにして、液晶表示装置に不可欠な液晶用
配向膜はもとより、偏光素子、光導波路、カラーフィル
ターなどのさまざまな光学材料及び素子を製造すること
ができる。
【0032】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。
【0033】実施例1 1−ヒドロキシ−4−シアノアゾベンゼンとメタクリル
酸クロリドを、トリエチルアミンの存在下で反応させ
て、1−メタクロイルオキシ−4’−シアノアゾベンゼ
ンを得た。このモノマーをテトラヒドロフラン中でアゾ
ビスイソブチロニトリルを重合開始剤として重合させ、
重量平均分子量3.8×104のポリ(1−メタクロイ
ルオキシ−4−シアノアゾベンゼン)(表4の(2
2))を得た。熱分析の結果、このホモポリマーの融点
は240度であった。このホモポリマーをシクロヘキサ
ノンに溶解し、その溶液をガラス板の上にスピン塗布し
て薄膜を形成した。この薄膜を180度まで加熱した後
に室温で偏光顕微鏡で観察したところ、結晶化に基づく
複屈折性が発現していることが確認された。次に、ガラ
ス板に回転塗布して得た厚さ50nmの高分子膜に36
5nmの偏光紫外線を単位面積当たりの照射エネルギー
量100mJ/cm2で照射してから偏光吸収スペクト
ルによって配向度を求めたところ、加熱前においては二
色比は0.037であった。この高分子膜を200度で
それぞれ2分、5分、10分加熱して、それぞれの配向
度を測定したところ、配向度は0.18、0.20、
0.20と向上し、しかも安定であることが分かった。
また、上記において、365nmの非偏光紫外線を膜面
に対して垂線から20度をなす角度で、単位面積当たり
の照射エネルギー量100mJ/cm2で照射したこ
と、及びその後180度で加熱処理を施したこと以外は
同様にして、本発明による液晶用配向膜付き基板を得
た。この液晶用配向膜付き基板を2枚用い、その間にネ
マチック液晶(DON-103)を挟持させ、液晶セルを作製
したところ、液晶層が均一配向していることが偏光顕微
鏡観察によって認められた。この液晶セルを液晶相転移
温度(74度)以上である80度で1時間加熱してから
室温に戻したところ、均一配向は変化していなかった。
また、この液晶セルにつきクリスタルローテーション法
によってプレチルト角を測定したところ、0.8度であ
った。
【0034】比較例1 実施例1において、ポリ(1−メタクロイルオキシ−4
−シアノアゾベンゼン)の薄膜に365nmの直線偏光
紫外線を単位面積当たりの照射エネルギー量100mJ
/cm2で照射したのち、加熱処理を行わないこと以外
は同様にして液晶用配向膜付き基板を得た。そしてこの
液晶用配向膜付き基板を用いて液晶セルを作製したとこ
ろ、液晶層が均一配向していることが分かった。しか
し、このセルを80度で1時間加熱してから室温に戻し
たところ、配向はまったく消失していた。
【0035】実施例2 実施例1で作成したポリ(1−メタクロイルオキシ−4
−シアノアゾベンゼン)の薄膜に、436nmの直線偏
光の可視光を単位面積当たりの照射エネルギー量50m
J/cm2及び100mJ/cm2で照射してから偏光吸
収スペクトルによって配向度を求めたところ、それぞれ
0.0054、0.037であった。次に、これらの薄
膜をそれぞれ240度で5分加熱したところ、配向度は
0.049、0.18と向上していることが分かった。
これらの加熱処理を施した膜で被覆した基板を2枚用
い、その間にネマチック液晶(DON-103)を挟持させ、
液晶セルを作製したところ、液晶層が均一配向している
ことが偏光顕微鏡観察によって認められた。この液晶セ
ルを液晶相転移温度(74度)以上である80度で1時
間加熱してから室温に戻したところ、均一配向は全く変
化していなかった。
【0036】比較例2 非晶質高分子であるポリ(1−メタクロイルオキシアゾ
ベンゼン)の厚さ50nmの薄膜に436nmの直線偏
光の光を単位面積当たりの照射エネルギー量2J/cm
2で照射してからアゾベンゼン残基の配向度を測定した
結果、0.06であった。この膜を100度で30分加
熱したところ、光照射で誘起された配向度はほとんどゼ
ロであった。直線偏光の光を照射した加熱処理前の薄膜
は実施例1及び2で用いた液晶(DON-103)を均一配向
させたが、80度で5分加熱することによって均一配向
は全く消失した。
【0037】実施例3 実施例1で得た1−メタクロイルオキシ−4’−シアノ
アゾベンゼンとアクリロニトリルを、テトラヒドロフラ
ン中でラジカル共重合することによって、1:0.6の
共重合比を持つ分子量2.8×104の高分子を得た。
この高分子のシクロヘキサノン溶液をガラス板にスピン
塗布して薄膜を形成し、実施例1と同様にして365n
mの直線偏光の紫外線を単位面積当たりの照射強度20
0mJ/cm2で照射してから200度で5分加熱し
て、液晶用配向膜付き基板を得た。この液晶用配向膜付
き基板を2枚用い、その間にネマチック液晶(DON-10
3)を挟持させ、液晶セルを作製したところ、液晶層は
均一配向していることが偏光顕微鏡観察によって認めら
れた。この液晶セルを液晶相転移温度(74度)以上で
ある80度で1時間加熱してから室温に戻したところ、
均一配向は全く変化していなかった。
【0038】実施例4 重量平均分子量1600のスチレンと無水マレイン酸と
の交互共重合体のテトラヒドロフラン溶液に、水素化ナ
トリウムの存在下で、1−ブトキシ−4’−(4−ヒド
ロキシブチル)アゾベンゼンを反応させた。メタノール
を加えて反応を終結し、得られた高分子(表4の(2
5))のメチルエチルケトン溶液をガラス板にスピン塗
布し、薄膜を形成した。この薄膜に偏光白色光を照射し
てから70度に加熱したところ、二色比が増大した。こ
の照射、加熱した薄膜を設けたガラス板を用いて液晶セ
ルを作成したところ、液晶層は均一配向していることが
偏光顕微鏡観察によって認められた。この液晶セルを液
晶相転移温度(74度)以上である80度で1時間加熱
してから室温に戻したところ、均一配向は変化していな
かった。
【0039】実施例5 p−シアノアゾベンゼンを側鎖に持つポリウレタン系高
分子液晶(表3の(19))のジオキサン溶液を、透明
電極で被覆したガラス板にスピン塗布して薄膜を形成し
た。この薄膜に偏光白色光を照射してから90℃で10
分間加熱した。この薄膜を設けた基板を用いて実施例1
と同様にして液晶セルを作成したところ、液晶層にホモ
ジニアス配向が観察された。この液晶セルを80℃で1
時間加熱したが、配向に乱れは生じなかった。
【0040】実施例6 p−シアノアゾベンゼン及びp−シアノビフェニル基を
側鎖に持つポリメタクリル系高分子液晶(液晶相・等方
相転移温度=128度)(表3の(14))のジオキサ
ン溶液を、透明電極で被覆したガラス板にスピン塗布し
て薄膜を形成した。この薄膜に偏光白色光を照射してか
ら100℃で10分間加熱した。この薄膜を設けた基板
を用いて実施例1と同様にして液晶セルを作成したとこ
ろ、液晶層にホモジニアス配向が観察された。この液晶
セルを80℃で1時間加熱したが、配向に乱れは生じな
かった。
【0041】実施例7 ポリ{4−[4−(4−ニトロフェニルアゾフェニルオ
キシ)]ブトキシ}スチレン(液晶相・等方相転移温度=
155°)(表3の(21))のジオキサン溶液を、透
明電極で被覆したガラス板にスピン塗布して薄膜を形成
した。この薄膜に偏光白色光を照射してから140℃で
10分間加熱した。この薄膜を設けた基板を用いて実施
例1と同様にして液晶セルを作成したところ、液晶層に
ホモジニアス配向が観察された。この液晶セルを80℃
で1時間加熱したが、配向に乱れは生じなかった。
【0042】実施例8 実施例1で用いたポリ(1−メタクロイルオキシ−4−
シアノベンゼン)の1重量%シクロヘキサノン溶液をガ
ラス板の上に回転塗布して膜厚50nmの薄膜を形成し
た。この薄膜に波長436nmの直線偏光の可視光を単
位面積当たりの照射エネルギー量100mJ/cm2
照射した後、240℃で2分間加熱処理を行った。この
薄膜の上、ネマチック・アイソトロピック相転移温度が
76℃である高分子液晶、ポリ[(p−メトキシフェニ
ル・p−(3−アクリロイルオキシプロピルオキシ)ベ
ンゾエート](Mw=4200、Mw/Mn=1.6
3)の20重量%トルエン溶液を1000rpm、20
秒の条件で回転塗布した。これを100℃まで加熱して
から75.5℃に30分間保った。この膜を偏光顕微鏡
で観察した結果、90゜周期で明暗が観察され、高分子
液晶膜がホモジニアス配向していることが分かった。
【0043】実施例9 実施例8と同様にして、ポリ(1−メタクロイルオキシ
−4−シアノベンゼン)の1重量%シクロヘキサノン溶
液をガラス板の上に回転塗布して膜厚50nmの薄膜を
形成した。この薄膜全体に波長436nmの直線偏光の
可視光を単位面積当たりの照射エネルギー量100mJ
/cm2で照射した後、フォトマスク越しに偏光軸を4
5゜変えた直線偏光の可視光を単位面積当たりの照射エ
ネルギー量200mJ/cm2で照射した。この光照射
した膜を240℃で2分間加熱処理した後、実施例8で
用いた高分子液晶の溶液を回転塗布し、同様な条件で加
熱処理を施した。室温に戻した後に偏光顕微鏡によって
観察した結果、4μmの線幅が明瞭に解像された均質の
配向パターンが観察された。
【0044】実施例10 ポリ{2−[4−(4−メトキシフェニルアゾ)フェニ
ルオキシ]エチルメタクリラート}(重量平均分子量=
2.26×10、液晶相・等方相転位温度=171
℃)を、対応するモノマーをトルエン中でラジカル重合
させることによって得た。この高分子のジオキサン溶液
を調製し、これをガラス基板上にスピン塗布して膜厚5
0nmの薄膜とした。これに436nmの直線偏光の光
を照射してから110℃に加熱したところ、二色性は
0.44と増大した。
【0045】実施例11 ポリ{2−[4−(4−メトキシフェニルアゾ)フェニ
ルオキシ]ヘキシルメタクリラート}(重量平均分子量
=1.25×10、スメクティック・ネマチック相転
位温度=95℃、ネマチック・等方相転位温度=137
℃)を、対応するモノマーをトルエン中でラジカル重合
させることによって得た。この高分子のジオキサン溶液
を調製し、これをガラス基板上にスピン塗布して膜厚5
5nmの薄膜とした。これに436nmの直線偏光の光
を照射してから110℃に加熱したところ、二色性は
0.64に達した。
【0046】実施例12 実施例10で用いたポリ{2−[4−(4−メトキシフ
ェニルアゾ)フェニルオキシ]ヘキシルメタクリラー
ト}のジオキサン溶液をガラス基板上にスピン塗布して
膜厚55nmの薄膜とした。これに436nmの非偏光
の光を基板表面から60°方向から照射した。この照射
した膜を110℃に10分間加熱したところ、二色性は
0.1に達した。
【0047】実施例13 実施例10で用いたポリ{2−[4−(4−メトキシフ
ェニルアゾ)フェニルオキシ]ヘキシルメタクリラー
ト}のジオキサン溶液をガラス基板上にスピン塗布して
膜厚55nmの薄膜とした。これに436nmの非偏光
の光を基板表面から80°方向から照射した。この膜の
上にフォトマスクを置いてから、最初の照射における入
射面を90度回転させてから基板表面から80°方向か
ら照射した。これを110℃に10分間加熱した。偏光
顕微鏡観察によって、複屈折による明瞭な画像がこの高
分子液晶膜中に形成されていることが確認された。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二色性光反応性構成単位を含む樹脂皮膜
    に、直線偏光の光の照射又は非偏光の光の斜め方向から
    の照射及び加熱処理を施して形成させてなる配向樹脂
    膜。
  2. 【請求項2】 二色性光反応性構成単位を含む潜在的に
    液晶性又は結晶性の樹脂皮膜に、直線偏光の光の照射又
    は非偏光の光の斜め方向からの照射及び加熱処理を施し
    て形成させてなる配向樹脂膜。
  3. 【請求項3】 二色性光反応性構成単位が、下記一般式
    (1)で表されるアゾベンゼン誘導体で置換された潜在
    的に液晶性又は結晶性の構成単位である請求項1又は2
    に記載の配向樹脂膜。 【化1】 (式中、Xは高分子主鎖に結合する二価の残基、Yは水
    素原子、炭素数8までのアルキル基、シクロアルキル
    基、シアノ基、ニトロ基、炭素数6までのアルコキシ
    基、炭素数6までのアルコキシカルボニル基、ハロゲン
    基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基
    を示す)
  4. 【請求項4】 二色性光反応性構成単位を含む樹脂皮膜
    に、直線偏光の光を照射するか又は非偏光の光を斜め方
    向から照射を施した後、さらに加熱処理を施すことから
    なる配向樹脂膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 下記一般式(1)で表されるアゾベンゼ
    ンで置換された液晶性又は結晶性の樹脂のすくなくとも
    一種を含有してなる配向樹脂膜用材料。 【化2】 (式中、Xは高分子主鎖に結合する二価の残基、Yは水
    素原子、炭素数8までのアルキル基、シクロアルキル
    基、シアノ基、ニトロ基、炭素数6までのアルコキシ
    基、炭素数6までのアルコキシカルボニル基、ハロゲン
    基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基
    を示す)
  6. 【請求項6】 請求項1又は2のいずれかの配向樹脂膜
    を有する基板。
  7. 【請求項7】 該配向樹脂膜の上に高分子液晶層を有す
    る請求項6に記載の基板。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3のいずれかの配向樹脂膜を
    形成させた基板と、これと同一あるいは異なってもよい
    配向樹脂膜を形成させた基板とを対向配置し、これらの
    基板の間に液晶を挟持してなる光学素子。
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