JPH11159509A - ワンサイドボルト - Google Patents

ワンサイドボルト

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JPH11159509A
JPH11159509A JP34051597A JP34051597A JPH11159509A JP H11159509 A JPH11159509 A JP H11159509A JP 34051597 A JP34051597 A JP 34051597A JP 34051597 A JP34051597 A JP 34051597A JP H11159509 A JPH11159509 A JP H11159509A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな軸力の確保を可能としながら、部品点
数が少なく、安価に製造できるものとする。 【解決手段】 ピン頭部2aを有するピン2と、このピ
ン2の外周に嵌合するスリーブ3と、ピン2の雄ねじ部
2bに螺合するナット4とからなる。スリーブ3は、ス
リーブ本体3aと、その後端の外周に剪断用鍔部3cを
介して後方へ延びる受け輪部3dとを有する一体品とす
る。スリーブ本体3aは、先端部付近が鍔状に座屈可能
な軟質スリーブ部3bとされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋼管等の閉鎖断
面または締め付け側より一人でボルト挿入が不可能な鉄
骨を使用した鉄骨躯体の接合等に用いられるワンサイド
ボルトに関する。
【0002】
【従来の技術】ワンサイドボルトは、盲ボルト、あるい
は片側締込みリベッド等とも呼ばれる軸状の盲止め具で
あり、各種の用途に使用されている。鉄骨躯体において
も、角形鋼管柱等の閉鎖断面の鉄骨材の接合において、
無溶接で接合する場合に、ワンサイドボルトを使用する
と、通常の高力ボルトと異なり、ジョイントボックスに
雌ねじを切ったり、裏ナット溶接を行う必要が無くて、
作業性の向上,構造の簡易化が図れる。従来の一般的な
ワンサイドボルトとして、ピンに外嵌するスリーブの先
端に、締め付けに伴うバルビング部を形成し、このバル
ビング部の後端を加圧するナットとの間で被締め付け材
を締め付けるものがある。しかし、この種のワンサイド
ボルトは、スリーブに軸力が作用した状態で締め付ける
ものであるため、鉄骨躯体のように、大きな締め付け力
を長期間に渡って維持することが必要なものには適切で
ない。
【0003】そこで、軸力の増大を図ったワンサイドボ
ルトとして、従来、図9に示すものが提案され、使用さ
れつつある。これは、ピン52と、その外周にピン頭部
52a側から順に並んで被さったバルブスリーブ53,
グリップスリーブ54,シェア座金55,受け座金5
6,およびナット57を有するものである。ナット57
は、ピン52の雄ねじ部52bに螺合する。このワンサ
イドボルト50は、同図(A)のように、被締め付け材
60のボルト孔に挿入した後、ナット57を締め付ける
と、バルブスリーブ53に同図(B)のようにバルビン
グ部53aが形成され、さらに締め込むことで、シェア
座金55が剪断し、同図(B)の締め込み状態となる。
この構成のワンサイドボルト50は、ナット57とバル
ビング部53aとの間で被締め付け材60を締め付ける
ものであるが、バルビング部53aに作用する締め付け
荷重はピン頭部52aで受けられるため、締め付け軸力
はピン52に作用することになり、そのため大きな締め
付け力が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の図
9の例のワンサイドボルト50は、大きな締め付け力が
得られることで優れているが、ピン52の他に、バルブ
スリーブ53,グリップスリーブ54,シェア座金5
5,受け座金56,およびナット57を必要とし、部品
点数が多くなる。そのため、一般の高力ボルト等に比べ
てコストが大幅に増大する。鉄骨躯体を、無溶接構造と
すると、ボルト本数が非常に多くなるが、そのため前記
のワンサイドボルト50を使用すると、鉄骨躯体のコス
トが高くなってしまう。このため、ワンサイドボルト5
0の使用箇所を最小限とし、できるだけ高力ボルトを併
用する工夫も図られているが、ボルト締め方法が各部で
異なることから、現場作業性が低下する等の問題が生じ
る。
【0005】この発明は上記課題を解消するものであ
り、大きな軸力の確保を可能としながら、部品点数が少
なく、安価に製造できるワンサイドボルトを提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1記載
のワンサイドボルトは、軸部よりも若干拡径したピン頭
部を先端に有し後部に雄ねじ部が形成されたピンと、こ
のピンの外周に嵌合して先端が前記ピン頭部に係合する
スリーブと、前記ピンの雄ねじ部に螺合して前記スリー
ブの後端を押しつけ可能なナットとを備える。前記スリ
ーブは、スリーブ本体と、このスリーブ本体の後端の外
周に剪断用鍔部を介して後方へ延びる受け輪部とを有す
る一体品である。前記スリーブ本体は、先端部付近に他
の部分よりも軟質の軟質スリーブ部を有し、この軟質ス
リーブ部は、前記スリーブに軸方向の圧縮荷重を加える
ことで外周に膨らみ状態に座屈可能なものとする。前記
剪断用鍔部は、軟質スリーブ部が所定の座屈状態となる
圧縮荷重よりも大きな所定の圧縮荷重が前記スリーブに
加わることで剪断可能なものである。前記受け輪部の内
径は、前記剪断用鍔部が剪断した状態のスリーブ本体の
後端が進入可能な径とする。
【0007】この構成のワンサイドボルトは、被締め付
け材のボルト孔に挿入した後、ナットを締め付けると、
ナットとピン頭部との間でスリーブに作用する軸力によ
り、軟質スリーブ部が、外側へ鍔状に座屈し始める。す
なわち、バルビングが生じる。さらにナットを締め付け
ると、剪断用鍔部が剪断を生じ、スリーブ本体の後端が
受け輪部内に進入する。これにより、さらにナットが締
め付けられることで、軟質スリーブ部の鍔状の座屈部と
ナットとの間で被締め付け材が締め付けられることにな
る。このとき、鍔状座屈部を有するスリーブ本体は、ピ
ン頭部に係合しており、締め付け軸力はスリーブに作用
せずに、ピンに作用することになる。そのため、強い締
め付け軸力を確保することができる。しかも、このワン
サイドボルトは、ピンと、スリーブと、ナットとの3部
品で構成されるため、部品点数が少なく、安価に製作で
きる。また、このワンサイドボルトは、ナットを回して
締め付ける形式であるため、二度締めや締め直しも可能
である。
【0008】この発明の請求項2記載のワンサイドボル
トは、前記構成のワンサイドボルトにおいて、ナットを
用いる代わりに、締め付け加工でピンに止め付けられる
加圧輪を設けたものである。すなわち、ピンには、雄ね
じ部に代えて結合用凹凸面部を設けると共に、後端に工
具係合部を設ける。加圧輪は、前記ピンの前記結合用凹
凸面部に遊嵌して前記スリーブの後端を押しつけ可能と
されかつ絞り加工により前記ピンの前記結合用凹凸面部
に止め付け可能なものである。その他の構成は前記構成
のワンサイドボルトと同じである。この構成のワンサイ
ドボルトの場合、工具係合部を把持して加圧輪を加圧す
る工具を用いて、スリーブに軸方向の圧縮力を与え、軟
質スリーブ部の座屈、および剪断用鍔部の剪断から、そ
の後の締め付けまでを行う。この軸力導入状態で、工具
により加圧輪を絞り加工などで加締め、ピンの外周の結
合用凹凸面部に止め付ける。この構成の場合、二度締め
や締め直しは困難であるが、その他の作用,効果は前記
構成のワンサイドボルトと同様に得られる。このワンサ
イドボルトも、ピンと、スリーブと、加圧輪との3部品
で済む。
【0009】これら各構成のワンサイドボルトにおい
て、前記スリーブは、全体が一体の冷間鍛造または熱間
鍛造の鍛造品であっても良い。この場合に、細部の補助
的な切削加工等を併用しても良い。例えば、受け輪部の
内径部における剪断用鍔部の付近などは、補助的に切削
加工等で整形しても良い。このように冷間鍛造とするこ
とで、前記形状のスリーブを生産性良く量産でき、一層
のコスト低下が図れる。
【0010】また、前記請求項1または請求項2記載の
構成のワンサイドボルトにおいて、前記軟質スリーブ
部、剪断用鍔部、および受け輪部を一体に有するスリー
ブに代えて、このスリーブを前後に分割した先端側スリ
ーブと後端側スリーブとを用いても良い。先端側スリー
ブは前記軟質スリーブ部を有し、後端側スリーブは前記
剪断用鍔部および受け輪部を有するものとする。この構
成の場合、スリーブを2分割したため、部品点数はそれ
だけ増えるが、スリーブの構成が簡素化されるため、ス
リーブ長が長くなってもスリーブの製造が容易である。
そのため、鉄骨躯体の肉厚が厚い場合など、締め付け厚
が厚くなっても対処可能である。スリーブは、先端側ス
リーブと後端側スリーブとに分割されていても、2分割
であり、剪断用鍔部および受け輪部が後端側スリーブに
設けられているため、従来のバルブスリーブ,グリップ
スリーブ,シェア座金,および受け座金の4部品で構成
されたものに比べると、部品点数が少なく、コスト低下
の効果が得られる。
【0011】また、前記請求項1または請求項2記載の
構成のワンサイドボルトにおいて、前記軟質スリーブ
部、剪断用鍔部、および受け輪部を一体に有するスリー
ブに代えて、先端から後端まで略同径に形成されて先端
部付近に他の部分よりも軟質の軟質スリーブ部を有する
同径スリーブを用いても良い。この同径スリーブは、前
記軟質スリーブ部の座屈のための軸方向の圧縮荷重を、
前記ナットまたは加圧輪から受ける代わりに、後端面で
工具から受けるものとする。ここで言う工具は、治具を
含む意味であり、例えば、同径スリーブを加圧する工具
部分が、同径スリーブと略同径の筒部とされたものとす
る。この構成の場合、このワンサイドボルトを被締め付
け材のボルト孔に挿入した後、工具で同径スリーブの後
端を加圧して同径スリーブの軟質スリーブ部を座屈させ
る。この後、雄ねじ部およびナットを有する形式のワン
サイドボルトでは、そのナットを締め付け、また結合用
凹凸面部および加圧輪を有する形式のワンサイドボルト
では、ピンに軸力を導入した状態で加圧輪を加締める。
このため、専用の工具が必要となるが、スリーブに剪断
用鍔部や受け輪部が不要で、ワンサイドボルトが非常に
簡素な構成となり、低コストのものとできる。また、締
め付け厚に対する柔軟性も大きく、しかも、この構成の
場合も、締め付け状態でスリーブには軸力が作用せず、
ピンに軸力が作用するため、強固な締め付けが可能であ
る。
【0012】これら各構成のワンサイドボルトにおい
て、前記各スリーブは、その軟質スリーブ部を熱処理に
よりスリーブの他の部分よりも軟質としたものであって
も良い。このように熱処理を行うことにより、スリーブ
の一部を軟質とすることが容易に行える。特に、スリー
ブを冷間鍛造で製造した場合に、その軟質スリーブ部を
熱処理により他の部分よりも軟質とする処理を併用する
ことで、スリーブ全体の製造が非常に簡単に行え、一層
のコスト低下、量産性の向上が図れる。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態にかるワン
サイドボルトを図1および図2と共に説明する。このワ
ンサイドボルト1は、ピン2と、このピン2の外周に嵌
合して先端がピン2のピン頭部2aに係合するスリーブ
3と、ピン2の雄ねじ部2bに螺合してスリーブ3の後
端を押しつけ可能なナット4とを備える。
【0014】ピン2は、丸軸部2cよりも若干拡径した
ピン頭部2aを先端に有し、後部に雄ねじ部2bが形成
されたものであり、雄ねじ部2bの後方へ延びる工具係
合部2dが形成されている。工具係合部2dの外径面
は、多数の凹凸が形成された凹凸面とされている。工具
係合部2dは、ピン2の他の部分よりも小径に形成して
も良い(後述の各実施形態も同様である。)雄ねじ部2
bの軸方向中間には破断溝2eが形成され、この破断溝
2eよりも後方のピン部分がピンテール2fとなる。ス
リーブ3は、スリーブ本体3aと、このスリーブ本体3
aの後端の外周に剪断用鍔部3cを介して後方へ延びる
厚肉円筒状の受け輪部3dとを一体に有するものであ
る。スリーブ本体3aは、先端部付近の所定長さ範囲
を、一般部3abよりも軟質の軟質スリーブ部3bとし
てある。この軟質スリーブ部3bは、スリーブ3に軸方
向の圧縮荷重を加えることで外周に膨らみ状態に座屈可
能なものである。この例では、軟質スリーブ部3bは、
図2のように先端から若干離れた位置に設けてあるが、
先端から設けても良い。軟質スリーブ部3bとする所定
長さ範囲は、例えば座屈を生じさせる長さ範囲とする
が、これよりも長く設けても良い。剪断用鍔部3cは、
軟質スリーブ部3bが所定の座屈状態となる圧縮荷重よ
りも大きな所定の圧縮荷重がスリーブ3に加わることで
剪断可能なものである。受け輪部3dの内径は、剪断用
鍔部3cが剪断した状態のスリーブ本体3aの後端が進
入可能な径であり、スリーブ本体3aの内径よりも段差
をもって大径となっている。
【0015】スリーブ3は、全体が鋼材等の金属材料か
らなる一体の冷間鍛造品であり、軟質スリーブ部3a
は、スリーブ3の所定長さ範囲の全周に、焼きなまし等
の熱処理を施すことにより一般部よりも軟質としてあ
る。したがって、軟質スリーブ部3bと一般部との境界
部分は、次第に硬度が変わる部分となっている。スリー
ブ3の受け輪部3dの内径部における剪断用鍔部3cの
付近は、補助的に切削加工を施し、剪断用鍔部3cの厚
み精度等を向上させるようにしてもよい。
【0016】このワンサイドボルト1の締結作業は、回
転式の電動締付工具(図示せず)を用いて行うことがで
きる。すなわち、被締め付け材21,22のボルト孔2
3に挿入した後、締付工具でピンテール2fを把持した
状態で、同工具のボックス状のナット係合部でナット4
を締め付ける。これにより、ピン頭部2aと受け輪部3
dとの間に圧縮力が作用してスリーブ本体3aが挟み付
けられ、まず先端の軟質スリーブ部3bが外側へ鍔状に
座屈し始める。すなわち、バルビングが生じる。さら
に、ナット4の締め付けを行うと、剪断用鍔部3cが剪
断し、スリーブ本体3aの後端が受け輪部3d内に進入
する。さらに締め付けが進むと、ナット4と鍔状座屈部
分3eとの間で、互いに重なった被締め付け材21,2
2に締め付け軸力が導入される。被締め付け材21,2
2は、例えば鉄骨躯体の構成部材であり、角形鋼管柱の
管壁やスプリットティー等からなる。ナット4をさらに
締め付け回転させると、所定の軸力が導入された状態
で、ピンテール2fが破断溝2eで破断する。
【0017】このワンサイドボルト1によると、剪断用
鍔部3cの剪断のため、ナット4と軟質スリーブ3aの
鍔状変形部分3eとの間の締め付け力が、そのまま被締
め付け材21,22を挟む締め付け力となる。そのた
め、強固な締め付けが行える。また、この構成のワンサ
イドボルト1は、ピン2と、スリーブ3と、ナット4と
の3部品で構成されるため、部品点数が少なく、安価に
製作できる。しかも、このワンサイドボルト1は、ナッ
ト4を回して締め付ける形式であるため、二度締めや締
め直しも可能である。
【0018】なお、前記実施形態において、ピン2の頭
部2aは、図3に示すように半球状等の球面状のものと
しても良い。図4ないし図8に示す後述のワンサイドボ
ルトにおいても同様である。このようにピン頭部2aを
球面状とすると、頭部2aの強度が確保され易いうえ、
外観が綺麗であり、橋梁等のようにピン頭部2aが露出
した状態となる鉄骨躯体等に用いられても景観を維持で
きる。また、ピン頭部2aが球面状であると、ボルト孔
に通し易く、さらに、角パイプ等に使用した場合に、隣
合う2面のワンサイドボルト1の頭部2aが角パイプ内
で相互に干渉し難く、ボルト位置を角パイプの角部に近
づけることができる。ピン2の鍛造等による製造に際し
ても、ピン頭部2aが球面状であると、金型の耐久性が
向上するという利点が得られる。
【0019】図4はこの発明の他の実施形態を示す。こ
の例のワンサイドボルト1Aは、図1と共に説明したワ
ンサイドボルト1において、そのスリーブ3の代わり
に、このスリーブ3を前後に分割したものに相当する先
端側スリーブ3Aと後端側スリーブ3Bとを用いたもの
である。先端側スリーブ3Aは、図1の例のスリーブ3
と同じ軟質スリーブ部3bを有する。後端側スリーブ3
Bは、図1の例のスリーブ3と同じ剪断用鍔部3cおよ
び受け輪部3dを有する。この実施形態のワンサイドボ
ルト1Aにおけるその他の構成は図1の例と同じであ
る。この構成のワンサイドボルト1Aの場合、先端側ス
リーブ3Aと後端側スリーブ3Bとに分割されているた
め、ボルト長さが長尺となる場合にも、剪断用鍔部3c
および受け輪部3dを有する後端側スリーブ3Bの製造
が容易に行え、安価に製造できる。そのため、特に、橋
梁等のように、鉄骨躯体の肉厚が厚く、締め付け厚が厚
くなる箇所に使用されるワンサイドボルトの場合に、そ
の製造の簡易,低コストの効果が大きい。このワンサイ
ドボルト1Aの締め付け操作、および他の作用,効果
は、図1の例と同様である。
【0020】図5はさらに他の実施形態を示す。この例
のワンサイドボルト1Cは、図1と共に説明したワンサ
イドボルト1において、そのスリーブ3の代わりに、こ
のスリーブ3の後部を除去した構成の同径スリーブ3C
を用いたものである。したがって、この同径スリーブ3
Cは、先端から後端まで略同径に形成されて先端部付近
に、他の部分よりも軟質の軟質スリーブ部3bを有する
ものとされる。同径スリーブ3Cの長さは、締め付け完
了状態で、このワンサイドボルト1Cで締め付ける各被
締め付け材21,22のボルト孔23から外れない長さ
とすることが好ましい。また、この例では、ピン2の雄
ねじ部2bに螺合するナット4の他に、座金31を設け
ている。座金31は、必ずしも設けなくても良い。ピン
2は、雄ねじ部2bから破断溝2eを介してピンテール
となる工具係合部2dが続くものとされている。
【0021】このワンサイドボルト1Cは、次のように
締め付け操作が行われる。図5(A)は、ワンサイドボ
ルト1Cの保管時の状態であり、各構成部品を互いにセ
ットした状態としてある。ボルト締めに際しては、ナッ
ト4および座金31を外し、同図(B)のように被締め
付け材21,22のボルト孔に挿入して、工具41によ
り同径スリーブ3Cに、その後端面に接する円筒状の工
具チップ41aで軸方向の加圧力を与え、同径スリーブ
3Cの軟質スリーブ部3bを前記と同様に座屈させる。
工具41は、例えば、ピン2の後端の工具係合部2dを
把持して前記工具チップ41aに加圧力を与えるもので
ある。軟質スリーブ部3bの座屈が完了すると、工具4
1を外し、座金31およびナット4をピン2に挿通して
ナット4を通常のボルトと同様に締め付ける。この締め
付け完了状態が同図(C)の状態である。この構成のワ
ンサイドボルト1Cの場合、専用の工具41が必要とな
るが、同径スリーブ3Cに剪断用鍔部や受け輪部が不要
で、ワンサイドボルト1Cの全体が非常に簡素な構成と
なり、低コストのものとできる。しかも、この構成の場
合も、締め付け状態で同径スリーブ3Cには軸力が作用
せず、ピン2に軸力が作用するため、強固な締め付けが
可能である。また、この構成のワンサイドボルト1Cの
場合、同径スリーブ3Cは軟質スリーブ部3bの鍔状座
屈部分3eが形成可能な程度の長さがあれば良く、締め
付け厚に対する柔軟性が高い。ただし、同径スリーブ3
Cは、軟質スリーブ3bの座屈完了状態で、その後端が
ボルト先端側の被締め付け材21から外れない長さとす
ることが好ましい。これにより、締め付け完了前に、柱
等からなる先端側の被締め付け材21に対して、梁のエ
ンドプレート等からなるボルト後部側の被締め付け材2
2が同径スリーブ3Cの肉厚分だけ脱落することを防止
し、被締め付け材22を保持しておくことができる。こ
れにより、両被締め付け材21,22における他のボル
ト孔の芯ずれが防止され、これらのボルト孔への他のボ
ルトやワンサイドボルトの挿入を容易にできる。ボルト
後端側の被締め付け材22のボルト孔径は、ボルト先端
側の被締め付け材21のボルト孔23の孔径よりも少し
大きくすることが好ましい。これにより工具41の取り
外しが容易となる。その他の構成,効果は図1の例と同
じである。
【0022】図6は、この発明のさらに他の実施形態を
示す。この実施形態にかかるワンサイドボルト1Dは、
図1のワンサイドボルト1においてナット4を用いた代
わりに、加圧輪4Aを設けたものである。ピン2には、
雄ねじ部に代えて結合用凹凸面部2hを設ける。結合用
凹凸面部2hは、この例では螺旋状の突条を外径面に形
成することで凹凸面としてある。螺旋状に代えて、円周
状の多数の突条を並べて設けても良い。ピン2の後端の
工具係合部2gは、この例では雄ねじ部とし、図1の例
よりも長く形成してある。加圧輪4Aは、ピン2の結合
用凹凸面部2hに遊嵌してスリーブ3の後端を押しつけ
可能とされ、かつ加締めによりピン2の結合用凹凸面部
2hに止め付け可能なものである。加圧輪4Aは、この
例では、内径がピン2よりも若干大きな短筒状であっ
て、後部が前部よりも若干拡径し、かつ前端に外鍔を有
する形状としてある。ピン2の破断溝2eは、結合用凹
凸面部2hの後端に隣接して形成してある。その他の構
成は図1のワンサイドボルト1と同じである。
【0023】この構成のワンサイドボルトの場合、工具
係合部2gに螺合して加圧輪4Aを軸方向に加圧する工
具(図示せず)を用いて、スリーブ3に軸方向の圧縮力
を与え、軟質スリーブ部3bの座屈、および剪断用鍔部
3cの剪断から、その後の締め付けまでを行う。この軸
力導入状態で、前記工具により加圧輪4Aを絞り加工
し、ピン2の外周の結合用凹凸面部2hに止め付ける。
この構成の場合、二度締めや締め直しは困難であるが、
その他の作用,効果は前記構成のワンサイドボルトと同
様に得られる。このワンサイドボルトも、ピン2と、ス
リーブ3と、加圧輪4Aとの3部品で済む。
【0024】このように加圧輪4Aを用いる構成のワン
サイドボルトにおいても、図7に示すワンサイドボルト
1Eのように、図4の例のような先端側スリーブ3Aと
後端側スリーブ3Bとを用いたものとすることができ、
また図8に示すワンサイドボルト1Fのように、図5の
例のような同径スリーブ3Cを用いて専用工具で締めつ
けるものとすることができる。
【0025】
【発明の効果】この発明の請求項1ないし請求項3記載
のワンサイドボルトは、鍔部形成用の軟質スリーブ部、
スリーブ一般部、剪断用鍔部、および受け輪部が一体化
されたスリーブを用いたものであるため、大きな軸力の
確保を可能としながら、部品点数が少なく、安価に製造
することができる。特に、前記スリーブを冷間鍛造品と
し、また軟質スリーブ部を熱処理により他の部分よりも
軟質とした場合は、スリーブの製造が簡単に行え、より
一層のコスト低下が図れる。また、この発明の請求項4
記載のワンサイドボルトは、前記スリーブを前後に分割
した先端側スリーブと後端側スリーブとを用い、前記先
端側スリーブは前記軟質スリーブ部を有し、後端側スリ
ーブは前記剪断用鍔部および受け輪部を有するものとし
たため、長いスリーブの製造が容易であり、肉厚の厚い
鉄骨など、締め付け厚が厚い場合にも対処できる。ま
た、この発明の請求項5記載のワンサイドボルトは、軟
質スリーブ部を有する同径スリーブを用い、その後端を
工具で加圧して軟質スリーブ部の座屈を生じさせ、その
座屈部分と軸部に係合するナットまたは加圧輪とで被締
め付け材を締め付ける構成としたため、非常に簡素な構
成で安価に製造可能なワンサイドボルトとなり、しかも
締め付け厚に対する柔軟性があり、また大きな締め付け
軸力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかるワンサ
イドボルトの締め付け前の状態を被締め付け材と共に示
す断面図、(B)はその締め付け完了状態の断面図であ
る。
【図2】同ワンサイドボルトのスリーブの断面図であ
る。
【図3】この発明の他の実施形態にかかるワンサイドボ
ルトの断面図である。
【図4】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかか
るワンサイドボルトの締め付け前の状態を被締め付け材
と共に示す断面図、(B)はその締め付け完了状態の断
面図である。
【図5】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかか
るワンサイドボルトの断面図、(B)はその締め付け過
程を工具の一部と共に示す断面図、(C)はその締め付
け完了状態の断面図である。
【図6】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかか
るワンサイドボルトの締め付け前の状態を被締め付け材
と共に示す断面図、(B)はその締め付け完了状態の断
面図である。
【図7】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかか
るワンサイドボルトの締め付け前の状態を被締め付け材
と共に示す断面図、(B)はその締め付け完了状態の断
面図である。
【図8】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかか
るワンサイドボルトの締め付け前の状態を被締め付け材
と共に示す断面図、(B)はその締め付け完了状態の断
面図である。
【図9】(A),(B)は各々従来例の締め付け前およ
び締め付け完了状態の断面図である。
【符号の説明】
1,1A〜1F…ワンサイドボルト 2…ピン 2a…頭部 2b…雄ねじ部 2c…丸軸部 2h…結合用凹凸面部 3…スリーブ 3a…スリーブ本体 3b…軟質スリーブ部 3c…剪断用鍔部 3d…受け輪部 3e…鍔状座屈部分 3A…先端側スリーブ 3B…後端側スリーブ 3C…同径スリーブ 4…ナット 4A…加圧輪 21,22…被締め付け材 41…工具

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部よりも若干拡径したピン頭部を先端
    に有し後部に雄ねじ部が形成されたピンと、このピンの
    外周に嵌合して先端が前記ピン頭部に係合するスリーブ
    と、前記ピンの雄ねじ部に螺合して前記スリーブの後端
    を押しつけ可能なナットとを備え、前記スリーブは、ス
    リーブ本体と、このスリーブ本体の後端の外周に剪断用
    鍔部を介して後方へ延びる受け輪部とを有する一体品で
    あり、前記スリーブ本体は先端部付近に他の部分よりも
    軟質の軟質スリーブ部を有し、この軟質スリーブ部は、
    前記スリーブに軸方向の圧縮荷重を加えることで外周に
    膨らみ状態に座屈可能であり、前記剪断用鍔部は、前記
    軟質スリーブ部が所定の座屈状態となる圧縮荷重よりも
    大きな所定の圧縮荷重が前記スリーブに加わることで剪
    断可能なものであり、前記受け輪部の内径は、前記剪断
    用鍔部が剪断した状態のスリーブ本体の後端が進入可能
    な径としたワンサイドボルト。
  2. 【請求項2】 軸部よりも若干拡径したピン頭部を先端
    に有し後部に後端から順に工具係合部および結合用凹凸
    面部を有するピンと、このピンの外周に嵌合して先端が
    前記ピン頭部に係合するスリーブと、前記ピンの前記結
    合用凹凸面部に遊嵌して前記スリーブの後端を押しつけ
    可能とされかつ加締めにより前記ピンの前記結合用凹凸
    面部に止め付け可能な加圧輪とを備え、前記スリーブ
    は、スリーブ本体と、このスリーブ本体の後端の外周に
    剪断用鍔部を介して後方へ延びる受け輪部とを有する一
    体品であり、前記スリーブ本体は先端部付近に他の部分
    よりも軟質の軟質スリーブ部を有し、この軟質スリーブ
    部は、前記スリーブに軸方向の圧縮荷重を加えることで
    外周に膨らみ状態に座屈可能であり、前記剪断用鍔部
    は、前記軟質スリーブ部が所定の座屈状態となる圧縮荷
    重よりも大きな所定の圧縮荷重が前記スリーブに加わる
    ことで剪断可能なものであり、前記受け輪部の内径は、
    前記剪断用鍔部が剪断した状態のスリーブ本体の後端が
    進入可能な径としたワンサイドボルト。
  3. 【請求項3】 前記スリーブは、全体が一体の鍛造品で
    ある請求項1または請求項2記載のワンサイドボルト。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載のワンサイ
    ドボルトにおいて、前記軟質スリーブ部、剪断用鍔部、
    および受け輪部を一体に有するスリーブに代えて、この
    スリーブを前後に分割した先端側スリーブと後端側スリ
    ーブとを用い、前記先端側スリーブは前記軟質スリーブ
    部を有し、後端側スリーブは前記剪断用鍔部および受け
    輪部を有するものとしたワンサイドボルト。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2記載のワンサイ
    ドボルトにおいて、前記軟質スリーブ部、剪断用鍔部、
    および受け輪部を一体に有するスリーブに代えて、先端
    から後端まで略同径に形成されて先端部付近に他の部分
    よりも軟質の軟質スリーブ部を有する同径スリーブを用
    い、この同径スリーブは、前記軟質スリーブ部の座屈の
    ための軸方向の圧縮荷重を後端面で工具から受けるもの
    としたワンサイドボルト。
  6. 【請求項6】 前記各スリーブの前記軟質スリーブ部
    は、熱処理によりスリーブの他の部分よりも軟質とされ
    たものである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載
    のワンサイドボルト。
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TWI547647B (zh) * 2013-10-21 2016-09-01 希爾悌股份有限公司 具有局部高強度之脹開匣的脹開錨及其製造方法

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