JPH11158772A - 有機過酸化物複合体、繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents
有機過酸化物複合体、繊維構造物およびその製造方法Info
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- JPH11158772A JPH11158772A JP23728498A JP23728498A JPH11158772A JP H11158772 A JPH11158772 A JP H11158772A JP 23728498 A JP23728498 A JP 23728498A JP 23728498 A JP23728498 A JP 23728498A JP H11158772 A JPH11158772 A JP H11158772A
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】有機過酸化物の水への安定な分散を可能にする
こと、そしてホモポリマーの生成を抑制し、また、キャ
リヤーを用いない作業者の安全性を向上した新しいグラ
フト重合方法を提供する。 【解決手段】両親媒性化合物によって形成された2分子
膜あるいはフッ素系界面活性剤ミセルに有機過酸化物が
内包されてなる有機過酸化物複合体とする。また、両親
媒性化合物によって形成された2分子膜あるいはフッ素
系界面活性剤ミセルに有機過酸化物が内包された有機過
酸化物複合体を用いて、グラフト重合加工を繊維構造物
に施す。
こと、そしてホモポリマーの生成を抑制し、また、キャ
リヤーを用いない作業者の安全性を向上した新しいグラ
フト重合方法を提供する。 【解決手段】両親媒性化合物によって形成された2分子
膜あるいはフッ素系界面活性剤ミセルに有機過酸化物が
内包されてなる有機過酸化物複合体とする。また、両親
媒性化合物によって形成された2分子膜あるいはフッ素
系界面活性剤ミセルに有機過酸化物が内包された有機過
酸化物複合体を用いて、グラフト重合加工を繊維構造物
に施す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラフト重合の開
始剤として利用される有機過酸化物複合体と、有機過酸
化物複合体を利用してグラフト重合加工される繊維構造
物およびその製造方法とに関する。
始剤として利用される有機過酸化物複合体と、有機過酸
化物複合体を利用してグラフト重合加工される繊維構造
物およびその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、グラフト重合における開始剤とし
て有機過酸化物を用いる場合には、有機過酸化物が水に
不溶であるので有機溶媒やモノマーに溶解し、界面活性
剤などを加えて懸濁液として用いていた。特に繊維構造
物への機能付与を目的としたグラフト重合加工において
は、有機過酸化物を繊維構造物を膨潤させるキャリヤー
と呼ばれる化合物に溶解させたり、モノマーに溶解させ
る試みがなされてきた。
て有機過酸化物を用いる場合には、有機過酸化物が水に
不溶であるので有機溶媒やモノマーに溶解し、界面活性
剤などを加えて懸濁液として用いていた。特に繊維構造
物への機能付与を目的としたグラフト重合加工において
は、有機過酸化物を繊維構造物を膨潤させるキャリヤー
と呼ばれる化合物に溶解させたり、モノマーに溶解させ
る試みがなされてきた。
【0003】しかし、このような方法では開始剤の分散
が難しく、安定な分散が得られにくいという問題があっ
た。また、開始剤が繊維中ではなく処理液中で分解して
重合反応が起こることにより、繊維構造物にグラフトし
ていないポリマー、いわゆるホモポリマーが多量に生成
するという問題や、有機溶剤を用いた場合には、グラフ
ト重合加工の作業者の健康に悪影響を与えるという問題
などもあった。
が難しく、安定な分散が得られにくいという問題があっ
た。また、開始剤が繊維中ではなく処理液中で分解して
重合反応が起こることにより、繊維構造物にグラフトし
ていないポリマー、いわゆるホモポリマーが多量に生成
するという問題や、有機溶剤を用いた場合には、グラフ
ト重合加工の作業者の健康に悪影響を与えるという問題
などもあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機過酸化
物の水への安定な分散を可能にし、キャリヤーを用いな
いで作業者の安全性を向上すること、そしてホモポリマ
ーの生成を抑制する、より現実的な繊維構造物のグラフ
ト重合方法を提供することを目的とする。
物の水への安定な分散を可能にし、キャリヤーを用いな
いで作業者の安全性を向上すること、そしてホモポリマ
ーの生成を抑制する、より現実的な繊維構造物のグラフ
ト重合方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の有機過酸化物複合体の一態様は、両親媒性化合物に
よって形成された2分子膜に有機過酸化物が内包されて
いるものである。また本発明の有機過酸化物複合体の他
の態様は、フッ素系界面活性剤によって形成されたミセ
ルに有機過酸化物が内包されているものである。
明の有機過酸化物複合体の一態様は、両親媒性化合物に
よって形成された2分子膜に有機過酸化物が内包されて
いるものである。また本発明の有機過酸化物複合体の他
の態様は、フッ素系界面活性剤によって形成されたミセ
ルに有機過酸化物が内包されているものである。
【0006】次に、本発明による繊維構造物の一態様
は、両親媒性化合物によって形成された2分子膜に有機
過酸化物が内包された有機過酸化物複合体により、グラ
フト重合加工されてなるものである。また、本発明によ
る繊維構造物の他の態様は、フッ素系界面活性剤によっ
て形成されたミセルに有機過酸化物が内包された有機過
酸化物複合体により、グラフト重合加工されてなるもの
である。
は、両親媒性化合物によって形成された2分子膜に有機
過酸化物が内包された有機過酸化物複合体により、グラ
フト重合加工されてなるものである。また、本発明によ
る繊維構造物の他の態様は、フッ素系界面活性剤によっ
て形成されたミセルに有機過酸化物が内包された有機過
酸化物複合体により、グラフト重合加工されてなるもの
である。
【0007】さらに、本発明による繊維構造物の製造方
法の一態様は、両親媒性化合物によって形成された2分
子膜に有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体を
用いて、繊維構造物にグラフト重合加工を施すものであ
る。また、本発明による繊維構造物の製造方法の他の態
様は、フッ素系界面活性剤によって形成されたミセルに
有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体を用い
て、繊維構造物にグラフト重合加工を施すものである。
法の一態様は、両親媒性化合物によって形成された2分
子膜に有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体を
用いて、繊維構造物にグラフト重合加工を施すものであ
る。また、本発明による繊維構造物の製造方法の他の態
様は、フッ素系界面活性剤によって形成されたミセルに
有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体を用い
て、繊維構造物にグラフト重合加工を施すものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における有機過酸化物複合
体は、両親媒性化合物によって形成された2分子膜、ま
たはフッ素系界面活性剤によって形成されたミセルに有
機過酸化物が内包されていることが重要である。
体は、両親媒性化合物によって形成された2分子膜、ま
たはフッ素系界面活性剤によって形成されたミセルに有
機過酸化物が内包されていることが重要である。
【0009】ここで、両親媒性化合物とは、親水性部分
と疎水性部分の両方から構成される化合物全般を意味す
る。両親媒性化合物の親水性部分は、アニオン性、カチ
オン性、両性、中性のいずれであってもよい。また、疎
水性部分としては長鎖アルキル基やその誘導体などを用
いればよい。さらに両親媒性化合物中の長鎖アルキル基
やその誘導体などの数は、2分子膜を形成する限りにお
いて特に限定はされない。
と疎水性部分の両方から構成される化合物全般を意味す
る。両親媒性化合物の親水性部分は、アニオン性、カチ
オン性、両性、中性のいずれであってもよい。また、疎
水性部分としては長鎖アルキル基やその誘導体などを用
いればよい。さらに両親媒性化合物中の長鎖アルキル基
やその誘導体などの数は、2分子膜を形成する限りにお
いて特に限定はされない。
【0010】本発明における両親媒性化合物長鎖アルキ
ル基やその誘導体などに含まれる炭素原子の数は、有機
過酸化物を繊維構造物に吸尽し易くし、短時間・低温度
で加工を行うために18以下であることが好ましい。ま
た、2分子膜を形成し易くするためには炭素原子の数が
8以上であることが好ましい。
ル基やその誘導体などに含まれる炭素原子の数は、有機
過酸化物を繊維構造物に吸尽し易くし、短時間・低温度
で加工を行うために18以下であることが好ましい。ま
た、2分子膜を形成し易くするためには炭素原子の数が
8以上であることが好ましい。
【0011】両親媒性化合物の具体例としては、例えば
天然脂質であるホスファチジルコリン、ホスファチジル
エタノールアミン、ホスファチジルセリン、およびホス
ファチジルイノシトールなど、さらには合成の両親媒性
化合物であるジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジア
ルキルリン酸塩などが挙げられる。その他の2分子膜を
形成する合成の両親媒性化合物は、成書「酵素・生体膜
モデルの化学」(村上幸人、砂本順三著、株式会社南江
堂発行)などに記載されているものをあげることができ
る。
天然脂質であるホスファチジルコリン、ホスファチジル
エタノールアミン、ホスファチジルセリン、およびホス
ファチジルイノシトールなど、さらには合成の両親媒性
化合物であるジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジア
ルキルリン酸塩などが挙げられる。その他の2分子膜を
形成する合成の両親媒性化合物は、成書「酵素・生体膜
モデルの化学」(村上幸人、砂本順三著、株式会社南江
堂発行)などに記載されているものをあげることができ
る。
【0012】また、本発明における2分子膜とは、両親
媒性化合物分子が溶媒中で会合し、膜の厚さ方向に2分
子が向き合う形で配列した膜構造物のことをいう。この
2分子膜の形態としては、膜構造体が空洞部を包囲して
球状体となってもよく、また繊維構造物中の単繊維表面
に膜構造体が付着した状態で2分子膜となっていてもよ
い。ここで、2分子膜構造体が空洞部を包囲して形成さ
れる球状体は一般にベシクルと呼ばれる。
媒性化合物分子が溶媒中で会合し、膜の厚さ方向に2分
子が向き合う形で配列した膜構造物のことをいう。この
2分子膜の形態としては、膜構造体が空洞部を包囲して
球状体となってもよく、また繊維構造物中の単繊維表面
に膜構造体が付着した状態で2分子膜となっていてもよ
い。ここで、2分子膜構造体が空洞部を包囲して形成さ
れる球状体は一般にベシクルと呼ばれる。
【0013】2分子膜に有機過酸化物が内包されている
状態とは、2分子膜の膜内に有機過酸化物が内包されて
いる状態、および/または2分子膜で形成された球状体
(ベシクル)の空洞部に有機過酸化物が内包されている
状態をいう。2分子膜に有機過酸化物が内包されている
ことによって、有機過酸化物の分散安定性が大きく向上
する。これは2分子膜の特異的な構造により、有機過酸
化物が安定に取り込まれるためであると考えられる。さ
らに、2分子膜に有機過酸化物が内包されていることに
よって、ホモポリマーの生成を大幅に抑制することがで
きる。これは2分子膜の特異的な構造により、親水性モ
ノマーがミセル内部に取り込まれにくく、水溶液中で有
機過酸化物と反応しにくくなるためと考えられる。
状態とは、2分子膜の膜内に有機過酸化物が内包されて
いる状態、および/または2分子膜で形成された球状体
(ベシクル)の空洞部に有機過酸化物が内包されている
状態をいう。2分子膜に有機過酸化物が内包されている
ことによって、有機過酸化物の分散安定性が大きく向上
する。これは2分子膜の特異的な構造により、有機過酸
化物が安定に取り込まれるためであると考えられる。さ
らに、2分子膜に有機過酸化物が内包されていることに
よって、ホモポリマーの生成を大幅に抑制することがで
きる。これは2分子膜の特異的な構造により、親水性モ
ノマーがミセル内部に取り込まれにくく、水溶液中で有
機過酸化物と反応しにくくなるためと考えられる。
【0014】また、本発明におけるフッ素系界面活性剤
とは、化学構造式の中にフッ素原子を少なくとも1個以
上含有した界面活性剤全般を意味する。このフッ素系界
面活性剤は両親媒性化合物の一種で、一般には2分子膜
は形成しないが、ベシクルと同様球状のミセルを形成す
る。本発明のフッ素系界面活性剤の親水性部分は、アニ
オン性、カチオン性、両性、中性のいずれであってもよ
い。また、疎水性部分はすべてあるいは一部がフッ素原
子で置換されたアルキル鎖やその誘導体などを用いれば
よい。
とは、化学構造式の中にフッ素原子を少なくとも1個以
上含有した界面活性剤全般を意味する。このフッ素系界
面活性剤は両親媒性化合物の一種で、一般には2分子膜
は形成しないが、ベシクルと同様球状のミセルを形成す
る。本発明のフッ素系界面活性剤の親水性部分は、アニ
オン性、カチオン性、両性、中性のいずれであってもよ
い。また、疎水性部分はすべてあるいは一部がフッ素原
子で置換されたアルキル鎖やその誘導体などを用いれば
よい。
【0015】フッ素系界面活性剤の具体例としては、例
えばパーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロ
アルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレン
オキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアン
モニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸
塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオ
ロアルキルベタイン、パーフルオロアルキル基含有オリ
ゴマー、もしくはこれらの混合物などが挙げられる。
えばパーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロ
アルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレン
オキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアン
モニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸
塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオ
ロアルキルベタイン、パーフルオロアルキル基含有オリ
ゴマー、もしくはこれらの混合物などが挙げられる。
【0016】また、本発明におけるミセルとは、界面活
性剤の分子が分子間力で会合してできた構造物のことを
いう。この構造物の形態は多くの場合は球状体である
が、棒状や板状になっていてもよい。また繊維構造物中
の単繊維表面に付着して膜状となっていてもよい。
性剤の分子が分子間力で会合してできた構造物のことを
いう。この構造物の形態は多くの場合は球状体である
が、棒状や板状になっていてもよい。また繊維構造物中
の単繊維表面に付着して膜状となっていてもよい。
【0017】フッ素系界面活性剤によって形成されたミ
セルに有機過酸化物が内包されている状態とは、通常フ
ッ素原子が多く含まれるミセル内部に有機過酸化物が内
包されている状態をいう。フッ素系界面活性剤によって
形成されたミセルに有機過酸化物が内包されていること
によって、有機過酸化物の分散安定性が大きく向上す
る。これはより疎水的なフッ素原子がミセル内部に多く
含まれることにより、有機過酸化物がミセル内部で安定
化されるからであると考えられる。さらに、フッ素系界
面活性剤によって形成されたミセルに有機過酸化物が内
包されていることによって、ホモポリマーの生成を大幅
に抑制することができる。これはより疎水的なフッ素原
子がミセル内部に多く含まれることにより、親水性モノ
マーがミセル内部に取り込まれにくく、水溶液中で有機
過酸化物と反応しにくくなるためと考えられる。
セルに有機過酸化物が内包されている状態とは、通常フ
ッ素原子が多く含まれるミセル内部に有機過酸化物が内
包されている状態をいう。フッ素系界面活性剤によって
形成されたミセルに有機過酸化物が内包されていること
によって、有機過酸化物の分散安定性が大きく向上す
る。これはより疎水的なフッ素原子がミセル内部に多く
含まれることにより、有機過酸化物がミセル内部で安定
化されるからであると考えられる。さらに、フッ素系界
面活性剤によって形成されたミセルに有機過酸化物が内
包されていることによって、ホモポリマーの生成を大幅
に抑制することができる。これはより疎水的なフッ素原
子がミセル内部に多く含まれることにより、親水性モノ
マーがミセル内部に取り込まれにくく、水溶液中で有機
過酸化物と反応しにくくなるためと考えられる。
【0018】本発明において、フッ素系界面活性剤によ
るミセルと両親媒性化合物2分子膜によるベシクルと
は、有機過酸化物を有効に分散させる球状体という点で
共通点を持つ。さらに、効果の点でもホモポリマーの生
成を大幅に抑制するという点で共通点を持つ。
るミセルと両親媒性化合物2分子膜によるベシクルと
は、有機過酸化物を有効に分散させる球状体という点で
共通点を持つ。さらに、効果の点でもホモポリマーの生
成を大幅に抑制するという点で共通点を持つ。
【0019】本発明で使用される有機過酸化物とは、一
般に過酸化水素(H2O2)の誘導体とみなされるもの
で、H−O−O−Hの中の1個または2個の水素原子を
有機原子団で置換することにより得られるものである。
有機過酸化物は熱分解あるいは還元性物質との反応など
により遊離ラジカルを生成し、不飽和2重結合をもつ有
機化合物のラジカル重合反応や、有機化合物からの水素
引き抜き反応などを誘起する。
般に過酸化水素(H2O2)の誘導体とみなされるもの
で、H−O−O−Hの中の1個または2個の水素原子を
有機原子団で置換することにより得られるものである。
有機過酸化物は熱分解あるいは還元性物質との反応など
により遊離ラジカルを生成し、不飽和2重結合をもつ有
機化合物のラジカル重合反応や、有機化合物からの水素
引き抜き反応などを誘起する。
【0020】有機過酸化物の具体例としては、化学構造
の系統としてケトンパーオキサイド、パーオキシケター
ル、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイ
ド(ジアシルパーオキサイド)、パーオキシエステル、
パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。
さらに化合物の具体名としては、ケトンパーオキサイド
としてメチルエチルケトンパーオキサイド、ハイドロパ
ーオキサイドとしてクメンハイドロパーオキサイド、t-
ヘキシルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ
アルキルパーオキサイドとしてジクミルパーオキサイ
ド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジアルキルパーオ
キサイドとしてイソブチルパーオキサイド、ラウリルパ
ーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイ
ルパーオキサイド、パーオキシエステルとしてt-ブチル
パーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシベンゾ
エートなどを挙げることができる。本発明においてはこ
れらの有機過酸化物を単独あるいは複数の組合せで用い
ることができる。またこれらの有機過酸化物の反応を促
進するアミン類や還元剤などと併用することもできる。
の系統としてケトンパーオキサイド、パーオキシケター
ル、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイ
ド(ジアシルパーオキサイド)、パーオキシエステル、
パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。
さらに化合物の具体名としては、ケトンパーオキサイド
としてメチルエチルケトンパーオキサイド、ハイドロパ
ーオキサイドとしてクメンハイドロパーオキサイド、t-
ヘキシルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ
アルキルパーオキサイドとしてジクミルパーオキサイ
ド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジアルキルパーオ
キサイドとしてイソブチルパーオキサイド、ラウリルパ
ーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイ
ルパーオキサイド、パーオキシエステルとしてt-ブチル
パーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシベンゾ
エートなどを挙げることができる。本発明においてはこ
れらの有機過酸化物を単独あるいは複数の組合せで用い
ることができる。またこれらの有機過酸化物の反応を促
進するアミン類や還元剤などと併用することもできる。
【0021】次に、有機過酸化物と両親媒性化合物ある
いはフッ素系界面活性剤との混合比率が、モル比で0.
1〜5であることが望ましい。この混合比率とは、有機
過酸化物複合体中の有機過酸化物のモル数を、同じ有機
過酸化物複合体中の両親媒性化合物あるいはフッ素系界
面活性剤のモル数で除した値を意味する。本発明におい
てはこの混合比率を上記範囲内に設定することが好まし
く、より好ましくは0.2以上2以下、さらに好ましく
は0.5以上1.2以下である。混合比率が小さい場合
は有機過酸化物の繊維構造物への吸尽量が不足してグラ
フト重合加工において十分なグラフト率が得られにく
く、混合比率が大きいと有機過酸化物複合体が不安定に
なってホモポリマーの生成が増加したり、グラフト重合
加工においてムラが生じたりする。
いはフッ素系界面活性剤との混合比率が、モル比で0.
1〜5であることが望ましい。この混合比率とは、有機
過酸化物複合体中の有機過酸化物のモル数を、同じ有機
過酸化物複合体中の両親媒性化合物あるいはフッ素系界
面活性剤のモル数で除した値を意味する。本発明におい
てはこの混合比率を上記範囲内に設定することが好まし
く、より好ましくは0.2以上2以下、さらに好ましく
は0.5以上1.2以下である。混合比率が小さい場合
は有機過酸化物の繊維構造物への吸尽量が不足してグラ
フト重合加工において十分なグラフト率が得られにく
く、混合比率が大きいと有機過酸化物複合体が不安定に
なってホモポリマーの生成が増加したり、グラフト重合
加工においてムラが生じたりする。
【0022】両親媒性化合物によって形成された2分子
膜に有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体を製
造するには、天然脂質の2分子膜を製造する方法として
よく知られている方法を使用すればよい。例えば、有機
溶媒に両親媒性化合物と有機過酸化物を溶解した後、ロ
ータリーエバポレーターを用いて溶媒を徐々に蒸発させ
ることで、丸底フラスコの底面に有機過酸化物が内包さ
れた両親媒性化合物の2分子膜が形成される。さらにこ
の底面に2分子膜が付着した丸底フラスコに水などの極
性溶媒を加えて振盪すれば、本発明の有機過酸化物複合
体を含んだ処理液を得ることができる。また、フッ素系
界面活性剤によって形成されたミセルに有機過酸化物が
内包された有機過酸化物複合体も上記と同様の方法で製
造することができる。
膜に有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体を製
造するには、天然脂質の2分子膜を製造する方法として
よく知られている方法を使用すればよい。例えば、有機
溶媒に両親媒性化合物と有機過酸化物を溶解した後、ロ
ータリーエバポレーターを用いて溶媒を徐々に蒸発させ
ることで、丸底フラスコの底面に有機過酸化物が内包さ
れた両親媒性化合物の2分子膜が形成される。さらにこ
の底面に2分子膜が付着した丸底フラスコに水などの極
性溶媒を加えて振盪すれば、本発明の有機過酸化物複合
体を含んだ処理液を得ることができる。また、フッ素系
界面活性剤によって形成されたミセルに有機過酸化物が
内包された有機過酸化物複合体も上記と同様の方法で製
造することができる。
【0023】本発明の有機過酸化物複合体の他の製造方
法として、グラフト重合に用いるモノマーに有機過酸化
物を溶解し、それに両親媒性化合物やフッ素系界面活性
剤を加え、さらに水を加えて攪拌する方法がある。この
方法は工程が簡便でより興行的生産に適したものであ
る。
法として、グラフト重合に用いるモノマーに有機過酸化
物を溶解し、それに両親媒性化合物やフッ素系界面活性
剤を加え、さらに水を加えて攪拌する方法がある。この
方法は工程が簡便でより興行的生産に適したものであ
る。
【0024】本発明の有機過酸化物複合体において、両
親媒性化合物によって形成された2分子膜やフッ素系界
面活性剤によって形成されたミセルに有機過酸化物が内
包されていることを確認する方法としては、有機過酸化
物分子に起因する、可視・紫外や赤外領域などにおける
吸収スペクトルおよび反射スペクトルの変化を利用する
方法を採用することができる。つまり、通常の有機過酸
化物粉体では有機過酸化物が塊上に集合しているのに対
し、本発明の有機過酸化物複合体では2分子膜やミセル
中に有機過酸化物分子が分子レベルで分散しているた
め、有機過酸化物分子の周囲の環境の違いによるスペク
トルの変化が生じるという特性を利用した方法である。
親媒性化合物によって形成された2分子膜やフッ素系界
面活性剤によって形成されたミセルに有機過酸化物が内
包されていることを確認する方法としては、有機過酸化
物分子に起因する、可視・紫外や赤外領域などにおける
吸収スペクトルおよび反射スペクトルの変化を利用する
方法を採用することができる。つまり、通常の有機過酸
化物粉体では有機過酸化物が塊上に集合しているのに対
し、本発明の有機過酸化物複合体では2分子膜やミセル
中に有機過酸化物分子が分子レベルで分散しているた
め、有機過酸化物分子の周囲の環境の違いによるスペク
トルの変化が生じるという特性を利用した方法である。
【0025】すなわち、本発明の有機過酸化物複合体と
通常の有機過酸化物粒子の分散物を区別するには、有機
過酸化物複合体および有機過酸化物単体、もしくはそれ
らを溶媒に分散した状態で吸収スペクトルおよび/また
は反射スペクトルを測定し比較すればよい。また、2分
子膜やミセルの構造を可視化するためには、透過型電子
顕微鏡のような微細構造解析装置を用いればよい。
通常の有機過酸化物粒子の分散物を区別するには、有機
過酸化物複合体および有機過酸化物単体、もしくはそれ
らを溶媒に分散した状態で吸収スペクトルおよび/また
は反射スペクトルを測定し比較すればよい。また、2分
子膜やミセルの構造を可視化するためには、透過型電子
顕微鏡のような微細構造解析装置を用いればよい。
【0026】本発明の両親媒性化合物やフッ素系界面活
性剤の分析には、通常有機化合物の分析に用いられる元
素分析、質量分析やクロマトグラフィーなどの手法を用
いればよく、特に長鎖アルキル基、パーフルオロアルキ
ル基やその誘導体などの炭素数の分析には質量分析、高
速液体クロマトグラフィー、TOC(全有機体炭素計)
が有効である。
性剤の分析には、通常有機化合物の分析に用いられる元
素分析、質量分析やクロマトグラフィーなどの手法を用
いればよく、特に長鎖アルキル基、パーフルオロアルキ
ル基やその誘導体などの炭素数の分析には質量分析、高
速液体クロマトグラフィー、TOC(全有機体炭素計)
が有効である。
【0027】次に、本発明の繊維構造物は、両親媒性化
合物によって形成された2分子膜、あるいはフッ素系界
面活性剤により形成されたミセルに有機過酸化物が内包
された有機過酸化物複合体により、グラフト重合加工さ
れてなることが重要である。
合物によって形成された2分子膜、あるいはフッ素系界
面活性剤により形成されたミセルに有機過酸化物が内包
された有機過酸化物複合体により、グラフト重合加工さ
れてなることが重要である。
【0028】グラフト重合加工とは、繊維構造物を構成
するポリマーの主鎖から枝状に延びるようにモノマーを
重合するグラフト重合によって繊維構造物を加工する方
法全般のことをいう。グラフト重合の形態にはラジカル
重合、縮合重合、開環重合など種々の反応機構があり、
本発明ではそのすべての機構を用いることができるが、
中でも好ましくはラジカル重合である。ラジカル重合機
構によるグラフト重合反応は、ラジカルを発生させる種
々の過酸化物を開始剤として用いて主鎖にラジカルを導
入し、それを起点としてラジカル重合性を持つモノマー
を重合することにより行われる。
するポリマーの主鎖から枝状に延びるようにモノマーを
重合するグラフト重合によって繊維構造物を加工する方
法全般のことをいう。グラフト重合の形態にはラジカル
重合、縮合重合、開環重合など種々の反応機構があり、
本発明ではそのすべての機構を用いることができるが、
中でも好ましくはラジカル重合である。ラジカル重合機
構によるグラフト重合反応は、ラジカルを発生させる種
々の過酸化物を開始剤として用いて主鎖にラジカルを導
入し、それを起点としてラジカル重合性を持つモノマー
を重合することにより行われる。
【0029】モノマーとしては、高分子合成一般に用い
られるモノマーを用いることができるが、上記ラジカル
重合性のあるモノマーを用いることが好ましく、なかで
も、疎水性モノマーは2分子膜内部で有機過酸化物と反
応する傾向にあるので、親水性モノマーであることがよ
り好ましい。
られるモノマーを用いることができるが、上記ラジカル
重合性のあるモノマーを用いることが好ましく、なかで
も、疎水性モノマーは2分子膜内部で有機過酸化物と反
応する傾向にあるので、親水性モノマーであることがよ
り好ましい。
【0030】ラジカル重合性のあるモノマーとしては、
不飽和結合を持つ低分子有機化合物一般を用いればよ
い。例として、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳
香族ビニル化合物類、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸エステル
類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル類、アクリ
ロニトリルなどのニトリル基含有モノマー類、グリシジ
ルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー類、
1,4−ブタンジオールジメタクリレートなどのジメタ
クリレート類、1,4−ブタンジオールジアクリレート
などのジアクリレート類、トリフルオロエチルメタクリ
レートなどのフッ素含有化合物類、2,2−ビス[4−
(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパンな
どのビスフェノールA構造含有化合物類などを挙げるこ
とができる。
不飽和結合を持つ低分子有機化合物一般を用いればよ
い。例として、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳
香族ビニル化合物類、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸エステル
類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル類、アクリ
ロニトリルなどのニトリル基含有モノマー類、グリシジ
ルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー類、
1,4−ブタンジオールジメタクリレートなどのジメタ
クリレート類、1,4−ブタンジオールジアクリレート
などのジアクリレート類、トリフルオロエチルメタクリ
レートなどのフッ素含有化合物類、2,2−ビス[4−
(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパンな
どのビスフェノールA構造含有化合物類などを挙げるこ
とができる。
【0031】また、ラジカル重合性のある親水性モノマ
ーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸などの有機
カルボン酸類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2
−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシア
ルキルアクリレート類またはヒドロキシアルキルメタク
リレート類、アクリルアミドなどのアミド化合物類、N
−メチロールアクリルアミドなどのメチロール化合物
類、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの3級ア
ミン含有化合物類、ジメチルアミノメチルメタクリレー
ト4級化物など4級アミン含有化合物類、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスル
ホン酸などのスルホン酸基含有化合物類またはその塩、
2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェートな
どのリン酸基含有化合物類またはその塩、ポリエチレン
グリコールジメタクリレートなどのポリエチレングリコ
ール部分含有化合物類、グルコシルエチルメタクリレー
トなどの糖鎖含有化合物類、N−ビニルピロリドン、N
−ビニルアセトアミドなどを挙げることができる。
ーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸などの有機
カルボン酸類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2
−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシア
ルキルアクリレート類またはヒドロキシアルキルメタク
リレート類、アクリルアミドなどのアミド化合物類、N
−メチロールアクリルアミドなどのメチロール化合物
類、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの3級ア
ミン含有化合物類、ジメチルアミノメチルメタクリレー
ト4級化物など4級アミン含有化合物類、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスル
ホン酸などのスルホン酸基含有化合物類またはその塩、
2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェートな
どのリン酸基含有化合物類またはその塩、ポリエチレン
グリコールジメタクリレートなどのポリエチレングリコ
ール部分含有化合物類、グルコシルエチルメタクリレー
トなどの糖鎖含有化合物類、N−ビニルピロリドン、N
−ビニルアセトアミドなどを挙げることができる。
【0032】本発明の有機過酸化物複合体を用いたグラ
フト重合は、ラジカル重合性をもつモノマーが水酸基を
持つ場合にさらに有効になる。この理由は、水酸基を持
つモノマーは親水性モノマーの中では比較的親水性が低
く、水溶液中に分散された有機過酸化物と反応してホモ
ポリマーを形成しやすいためである。本発明の製造方法
を用いることで、反応性の官能基の少ない繊維構造物に
水酸基を導入する現実的な方法を提供できる。
フト重合は、ラジカル重合性をもつモノマーが水酸基を
持つ場合にさらに有効になる。この理由は、水酸基を持
つモノマーは親水性モノマーの中では比較的親水性が低
く、水溶液中に分散された有機過酸化物と反応してホモ
ポリマーを形成しやすいためである。本発明の製造方法
を用いることで、反応性の官能基の少ない繊維構造物に
水酸基を導入する現実的な方法を提供できる。
【0033】水酸基を持つラジカル重合性モノマーの例
としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキ
ルアクリレート類またはヒドロキシアルキルメタクリレ
ート類を挙げることができる。
としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキ
ルアクリレート類またはヒドロキシアルキルメタクリレ
ート類を挙げることができる。
【0034】本発明において、グラフト重合加工に供す
る繊維構造物としては、天然繊維、再生繊維、半合成繊
維、合繊繊維のうち少なくとも一つからなるフィラメン
ト、紡績糸、織物、編み物、不織布などを用いることが
できる。天然繊維としては綿、獣毛繊維、絹、朝など、
再生繊維としてはセルロース系再生繊維のレーヨン(ビ
スコースレーヨン)、キュプラ(銅アンモニアレーヨ
ン)など、半合成繊維としてはセルロース系半合成繊維
としてアセテート(トリアセテート)など、また合成繊
維としてはポリエステル、ナイロン、アクリル、アラミ
ドなどの各種繊維を挙げることができる。なかでも、グ
ラフト加工による機能付与が求められる汎用繊維の中で
ポリエステル繊維が最も実用面で重要であり、そして近
年のニーズの多様化に伴いポリエステル繊維構造物にお
ける吸湿、吸水、難燃、耐久撥水、高発色、高耐光など
の各種の機能加工の向上への要求が大きくなっているた
め、ポリエステル繊維を含有する繊維構造物を用いるこ
とがより有効である。ポリエステル繊維構造物として
は、ポリエステルのみからなる繊維構造物以外に、綿、
羊毛などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、レ
ーヨンなどの再生繊維、ナイロンなどの合成繊維のうち
少なくとも一つとポリエステル繊維を混紡または交撚、
交織、交編などしたものなどが含まれる。上記繊維構造
物を、両親媒性化合物によって形成された2分子膜ある
いはフッ素系界面活性剤によって形成されたミセルに有
機過酸化物が内包されている有機過酸化物複合体を含む
処理液を用いて、グラフト重合加工する。この処理液
は、少なくとも有機過酸化物複合体を含有する。開始剤
である有機過酸化物が2分子膜あるいはミセルに内包さ
れていることにより水相中ではモノマーと反応せず、繊
維に吸尽された後にはじめてモノマーと反応できるた
め、従来のグラフト重合加工法で問題となっていたホモ
ポリマーの生成を大幅に抑制することができる。そし
て、有機過酸化物複合体以外に、溶媒、補助剤などを含
有して、処理液が形成される。この処理液のpHは2〜
11とすればよい。
る繊維構造物としては、天然繊維、再生繊維、半合成繊
維、合繊繊維のうち少なくとも一つからなるフィラメン
ト、紡績糸、織物、編み物、不織布などを用いることが
できる。天然繊維としては綿、獣毛繊維、絹、朝など、
再生繊維としてはセルロース系再生繊維のレーヨン(ビ
スコースレーヨン)、キュプラ(銅アンモニアレーヨ
ン)など、半合成繊維としてはセルロース系半合成繊維
としてアセテート(トリアセテート)など、また合成繊
維としてはポリエステル、ナイロン、アクリル、アラミ
ドなどの各種繊維を挙げることができる。なかでも、グ
ラフト加工による機能付与が求められる汎用繊維の中で
ポリエステル繊維が最も実用面で重要であり、そして近
年のニーズの多様化に伴いポリエステル繊維構造物にお
ける吸湿、吸水、難燃、耐久撥水、高発色、高耐光など
の各種の機能加工の向上への要求が大きくなっているた
め、ポリエステル繊維を含有する繊維構造物を用いるこ
とがより有効である。ポリエステル繊維構造物として
は、ポリエステルのみからなる繊維構造物以外に、綿、
羊毛などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、レ
ーヨンなどの再生繊維、ナイロンなどの合成繊維のうち
少なくとも一つとポリエステル繊維を混紡または交撚、
交織、交編などしたものなどが含まれる。上記繊維構造
物を、両親媒性化合物によって形成された2分子膜ある
いはフッ素系界面活性剤によって形成されたミセルに有
機過酸化物が内包されている有機過酸化物複合体を含む
処理液を用いて、グラフト重合加工する。この処理液
は、少なくとも有機過酸化物複合体を含有する。開始剤
である有機過酸化物が2分子膜あるいはミセルに内包さ
れていることにより水相中ではモノマーと反応せず、繊
維に吸尽された後にはじめてモノマーと反応できるた
め、従来のグラフト重合加工法で問題となっていたホモ
ポリマーの生成を大幅に抑制することができる。そし
て、有機過酸化物複合体以外に、溶媒、補助剤などを含
有して、処理液が形成される。この処理液のpHは2〜
11とすればよい。
【0035】処理液中の有機過酸化物の濃度は、反応を
速め短時間でグラフト重合を行うために0.1g/l以
上であることが好ましく、そして、反応速度が大きくな
りすぎることによるグラフトムラを防ぐために、5g/
l以下であることが好ましい。
速め短時間でグラフト重合を行うために0.1g/l以
上であることが好ましく、そして、反応速度が大きくな
りすぎることによるグラフトムラを防ぐために、5g/
l以下であることが好ましい。
【0036】また、グラフト重合加工は加熱下で行われ
ることが好ましい。グラフト重合加工を加熱下に行うに
は、繊維構造物の染色・仕上げ加工に通常用いられる処
理装置を用いればよく、液流染色機、気流染色機、ウイ
ンス、樹脂加工機、テンター、スチーマなどが例として
挙げられる。
ることが好ましい。グラフト重合加工を加熱下に行うに
は、繊維構造物の染色・仕上げ加工に通常用いられる処
理装置を用いればよく、液流染色機、気流染色機、ウイ
ンス、樹脂加工機、テンター、スチーマなどが例として
挙げられる。
【0037】ここで、反応を速め短時間でグラフト重合
を行うために、グラフト重合加工温度は20℃以上であ
ることが好ましく、そして、反応速度が大きくなりすぎ
ることによるグラフトむらを防ぐために140℃未満で
あることが好ましい。より好ましくは80℃以上130
℃未満である。
を行うために、グラフト重合加工温度は20℃以上であ
ることが好ましく、そして、反応速度が大きくなりすぎ
ることによるグラフトむらを防ぐために140℃未満で
あることが好ましい。より好ましくは80℃以上130
℃未満である。
【0038】
【実施例】分散安定性の評価、グラフト率、ホモポリマ
ー生成率の測定は以下の方法で行った。
ー生成率の測定は以下の方法で行った。
【0039】<分散安定性の測定>分散液を温度60℃
の恒温槽中で24時間放置し、その後室温まで放冷し、
沈殿生成の有無を目視により観察した。観察の結果、沈
殿のほとんどないものを分散安定性良好とし、分散した
有機過酸化物の20%以下が沈殿するものをやや不良、
沈殿生成量がそれ以上のものを不良とした。
の恒温槽中で24時間放置し、その後室温まで放冷し、
沈殿生成の有無を目視により観察した。観察の結果、沈
殿のほとんどないものを分散安定性良好とし、分散した
有機過酸化物の20%以下が沈殿するものをやや不良、
沈殿生成量がそれ以上のものを不良とした。
【0040】<グラフト率とホモポリマー生成率の測定
>まずグラフト重合加工直後のサンプルの重量増加率を
下記の式により算出した。
>まずグラフト重合加工直後のサンプルの重量増加率を
下記の式により算出した。
【0041】 重量増加率(%)=(W1−W0)/W0×100 W0:グラフト重合加工前のサンプルの絶乾重量 W1:グラフト重合加工直後のサンプルの絶乾重量 次に、グラフト重合加工直後のサンプルをメタノールと
温水で交互に3回ずつ洗浄してホモポリマーを完全に除
去し、次の式によりグラフト率を算出した。
温水で交互に3回ずつ洗浄してホモポリマーを完全に除
去し、次の式によりグラフト率を算出した。
【0042】 グラフト率(%)=(W2−W0)/W0×100 W2:洗浄後のサンプルの絶乾重量 さらにホモポリマー生成率を下記の式により算出した。
【0043】 ホモポリマー生成率(%)=重量増加率−グラフト率 実施例1 有機過酸化物としてベンゾイルパーオキサイド(BP
O)、両親媒性化合物として長鎖アルキル基の炭素数が
12であるジドデシルジメチルアンモニウムブロミド
(DDDMAB)を用いて有機過酸化物複合体を作成し
た。すなわち、BPOを0.05モル/l、DDDMA
Bを0.1モル/lの濃度で含むクロロホルム溶液10
0mlを丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレータ
ーで回転させながらクロロホルムをすべて蒸発させた。
次いで丸底フラスコに水を100ml加えてボルテック
スで振盪することにより有機過酸化物複合体を含む分散
液を得た。このときはじめの有機過酸化物と両親媒性化
合物の比率から、混合比率は0.5であった。
O)、両親媒性化合物として長鎖アルキル基の炭素数が
12であるジドデシルジメチルアンモニウムブロミド
(DDDMAB)を用いて有機過酸化物複合体を作成し
た。すなわち、BPOを0.05モル/l、DDDMA
Bを0.1モル/lの濃度で含むクロロホルム溶液10
0mlを丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレータ
ーで回転させながらクロロホルムをすべて蒸発させた。
次いで丸底フラスコに水を100ml加えてボルテック
スで振盪することにより有機過酸化物複合体を含む分散
液を得た。このときはじめの有機過酸化物と両親媒性化
合物の比率から、混合比率は0.5であった。
【0044】上記で得た分散液にモノマーとしてメタク
リル酸を加え、さらに水を加えて希釈して、有機過酸化
物濃度0.5g/l、モノマー濃度が50g/lとなる
ようなグラフト重合加工用処理液を調製した。その処理
液の分散安定性を上記の方法で評価した。
リル酸を加え、さらに水を加えて希釈して、有機過酸化
物濃度0.5g/l、モノマー濃度が50g/lとなる
ようなグラフト重合加工用処理液を調製した。その処理
液の分散安定性を上記の方法で評価した。
【0045】結果、この処理液の分散安定性は良好であ
った。
った。
【0046】実施例2 グラフト重合加工用処理液中の有機過酸化物濃度が2g
/lとなるように処理液を調整した以外は実施例1と同
様に行った。
/lとなるように処理液を調整した以外は実施例1と同
様に行った。
【0047】結果、この処理液の分散安定性は良好であ
った。
った。
【0048】実施例3 グラフト重合加工用処理液中の有機過酸化物濃度が4g
/lとなるように処理液を調整した以外は実施例1と同
様に行った。
/lとなるように処理液を調整した以外は実施例1と同
様に行った。
【0049】結果、この処理液の分散安定性は良好であ
った。
った。
【0050】実施例4〜6 有機過酸化物濃度とモノマー濃度をそのままにして、両
親媒性化合物の量を増大して有機過酸化物と両親媒性化
合物の混合比率を1.0にすることを除いては実施例1
〜3と同様に行った。
親媒性化合物の量を増大して有機過酸化物と両親媒性化
合物の混合比率を1.0にすることを除いては実施例1
〜3と同様に行った。
【0051】結果、これらの処理液の分散安定性はすべ
て良好であった。
て良好であった。
【0052】実施例7〜9 有機過酸化物濃度とモノマー濃度をそのままにして、両
親媒性化合物の量を増大して有機過酸化物と両親媒性化
合物の混合比率を2.0にすることを除いては実施例1
〜3と同様に行った。
親媒性化合物の量を増大して有機過酸化物と両親媒性化
合物の混合比率を2.0にすることを除いては実施例1
〜3と同様に行った。
【0053】結果、これらの処理液のうち有機過酸化物
濃度が4g/lとした実施例9で分散安定性がやや不良
であった以外は、分散安定性はすべて良好であった。
濃度が4g/lとした実施例9で分散安定性がやや不良
であった以外は、分散安定性はすべて良好であった。
【0054】実施例10〜18 両親媒性化合物として長鎖アルキル基の炭素数が18で
あるジステアリルジメチルアンモニウムブロミド(DS
DMAB)を用いて有機過酸化物複合体を作成した以外
は実施例1〜9と同様に行った。
あるジステアリルジメチルアンモニウムブロミド(DS
DMAB)を用いて有機過酸化物複合体を作成した以外
は実施例1〜9と同様に行った。
【0055】結果、実施例9のように混合比率が2.
0、有機過酸化物濃度が4g/lの場合も含めて、これ
らの処理液の分散安定性はすべて良好であった。
0、有機過酸化物濃度が4g/lの場合も含めて、これ
らの処理液の分散安定性はすべて良好であった。
【0056】実施例19〜27 両親媒性化合物の代わりに、フッ素系界面活性剤として
パーフルオロオクチルスルホン酸カリウムを用いて有機
過酸化物複合体を作成した以外は実施例1〜9と同様に
行った。
パーフルオロオクチルスルホン酸カリウムを用いて有機
過酸化物複合体を作成した以外は実施例1〜9と同様に
行った。
【0057】結果、この処理液の分散安定性はすべて良
好であった。
好であった。
【0058】実施例28 有機過酸化物としてベンゾイルパーオキサイド(BP
O)、フッ素系界面活性剤としてパーフルオロオクチル
スルホン酸カリウムを用いてを用いてグラフト重合加工
用処理液を調整した。すなわち、BPOをモノマーであ
るメタクリル酸に溶解し、それにパーフルオロオクチル
スルホン酸カリウムを加えた後、水を加えて有機過酸化
物濃度0.5g/l、パーフルオロオクチルスルホン酸
カリウム濃度1g/l、モノマー濃度50g/lとなる
ように処理液を調整した。このグラフト重合加工用処理
液について、実施例1と同様にその分散安定性を評価し
た。
O)、フッ素系界面活性剤としてパーフルオロオクチル
スルホン酸カリウムを用いてを用いてグラフト重合加工
用処理液を調整した。すなわち、BPOをモノマーであ
るメタクリル酸に溶解し、それにパーフルオロオクチル
スルホン酸カリウムを加えた後、水を加えて有機過酸化
物濃度0.5g/l、パーフルオロオクチルスルホン酸
カリウム濃度1g/l、モノマー濃度50g/lとなる
ように処理液を調整した。このグラフト重合加工用処理
液について、実施例1と同様にその分散安定性を評価し
た。
【0059】結果、この処理液の分散安定性は良好であ
った。
った。
【0060】実施例29 グラフト重合加工用処理液中の有機過酸化物濃度が2g
/l、パーフルオロオクチルスルホン酸カリウム濃度4
g/lとなるように処理液を調整した以外は実施例28
と同様に行った。
/l、パーフルオロオクチルスルホン酸カリウム濃度4
g/lとなるように処理液を調整した以外は実施例28
と同様に行った。
【0061】結果、この処理液の分散安定性は良好であ
った。
った。
【0062】実施例30 グラフト重合加工用処理液中の有機過酸化物濃度が4g
/l、パーフルオロオクチルスルホン酸カリウム濃度8
g/lとなるように処理液を調整した以外は実施例28
と同様に行った。
/l、パーフルオロオクチルスルホン酸カリウム濃度8
g/lとなるように処理液を調整した以外は実施例28
と同様に行った。
【0063】結果、この処理液の分散安定性は良好であ
った。
った。
【0064】比較例1 有機過酸化物としてベンゾイルパーオキサイド(BP
O)、これを分散させるための界面活性剤としてラウリ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いてグラフト重合
加工用処理液を調整した。すなわち、BPOをモノマー
であるメタクリル酸に溶解し、それにラウリルベンゼン
スルホン酸ナトリウムを加えた後、水を加えて有機過酸
化物濃度2g/l、ラウリルベンゼンスルホン酸濃度5
g/l、モノマー濃度50g/lとなるように処理液を
調整した。このグラフト重合加工用処理液について、実
施例1と同様にその分散安定性を評価した。
O)、これを分散させるための界面活性剤としてラウリ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いてグラフト重合
加工用処理液を調整した。すなわち、BPOをモノマー
であるメタクリル酸に溶解し、それにラウリルベンゼン
スルホン酸ナトリウムを加えた後、水を加えて有機過酸
化物濃度2g/l、ラウリルベンゼンスルホン酸濃度5
g/l、モノマー濃度50g/lとなるように処理液を
調整した。このグラフト重合加工用処理液について、実
施例1と同様にその分散安定性を評価した。
【0065】結果、この界面活性剤ではBPOはほとん
ど分散せず、分散安定性は不良であった。
ど分散せず、分散安定性は不良であった。
【0066】比較例2 有機過酸化物を分散させるための界面活性剤としてポリ
エチレングリコールラウリルエーテルを用いて比較例1
と同様にグラフト重合加工用処理液を調整し、同様にそ
の分散安定性を評価した。
エチレングリコールラウリルエーテルを用いて比較例1
と同様にグラフト重合加工用処理液を調整し、同様にそ
の分散安定性を評価した。
【0067】結果、この界面活性剤ではBPOは比較例
1よりもよく分散したが、分散安定性はやはり不良であ
った。 実施例31〜33 実施例1〜3と同様にして有機過酸化物複合体を含む分
散液を作成した。その分散液にモノマーとしてメタクリ
ル酸を加え、さらに水を加えて希釈して、有機過酸化物
濃度0.5g/l、モノマー濃度が50g/lとなるよ
うなグラフト重合加工用処理液を調製した。この処理液
100mlにタテ:20cm、ヨコ:10cmの大きさ
のポリエステルタフタ布帛片(中間セット後布帛、糸使
い:経糸、緯糸とも総繊度75デニール、36マルチフ
ィラメント、織密度:経98×緯84本/inch、目付:
70g/m2)を浸漬して120℃で30分処理した。
処理後、その布帛片のグラフト率とホモポリマー生成率
を上記の方法で算出した。
1よりもよく分散したが、分散安定性はやはり不良であ
った。 実施例31〜33 実施例1〜3と同様にして有機過酸化物複合体を含む分
散液を作成した。その分散液にモノマーとしてメタクリ
ル酸を加え、さらに水を加えて希釈して、有機過酸化物
濃度0.5g/l、モノマー濃度が50g/lとなるよ
うなグラフト重合加工用処理液を調製した。この処理液
100mlにタテ:20cm、ヨコ:10cmの大きさ
のポリエステルタフタ布帛片(中間セット後布帛、糸使
い:経糸、緯糸とも総繊度75デニール、36マルチフ
ィラメント、織密度:経98×緯84本/inch、目付:
70g/m2)を浸漬して120℃で30分処理した。
処理後、その布帛片のグラフト率とホモポリマー生成率
を上記の方法で算出した。
【0068】その結果を表1に示す。
【0069】この処理液を用いるとホモポリマー生成の
少ないグラフト重合加工ができた。
少ないグラフト重合加工ができた。
【0070】実施例34〜36 有機過酸化物濃度とモノマー濃度をそのままにして、両
親媒性化合物の量を増大して有機過酸化物と両親媒性化
合物の混合比率を1.0にすることを除いては実施例3
1〜33と同様に行った。
親媒性化合物の量を増大して有機過酸化物と両親媒性化
合物の混合比率を1.0にすることを除いては実施例3
1〜33と同様に行った。
【0071】結果を表1に示す。
【0072】この処理液を用いるとホモポリマー生成の
少ないグラフト重合加工ができた。
少ないグラフト重合加工ができた。
【0073】実施例37〜39 有機過酸化物濃度とモノマー濃度をそのままにして、両
親媒性化合物の量を増大して有機過酸化物と両親媒性化
合物の混合比率を2.0にすることを除いては実施例3
1〜33と同様に行った。
親媒性化合物の量を増大して有機過酸化物と両親媒性化
合物の混合比率を2.0にすることを除いては実施例3
1〜33と同様に行った。
【0074】結果を表1に示す。
【0075】この処理液を用いるとホモポリマー生成の
少ないグラフト重合加工ができた。
少ないグラフト重合加工ができた。
【0076】実施例40〜48 両親媒性化合物として長鎖アルキル基の炭素数が18で
あるジステアリルジメチルアンモニウムブロミド(DS
DMAB)を用いて有機過酸化物複合体を作成した以外
は実施例31〜39と同様に行った。
あるジステアリルジメチルアンモニウムブロミド(DS
DMAB)を用いて有機過酸化物複合体を作成した以外
は実施例31〜39と同様に行った。
【0077】結果を表1に示す。
【0078】この処理液を用いるとホモポリマー生成の
少ないグラフト重合加工ができた。
少ないグラフト重合加工ができた。
【0079】実施例49〜57 両親媒性化合物の代わりに、フッ素系界面活性剤として
パーフルオロオクチルスルホン酸カリウムを用いて有機
過酸化物複合体を作成した以外は実施例31〜39と同
様に行った。
パーフルオロオクチルスルホン酸カリウムを用いて有機
過酸化物複合体を作成した以外は実施例31〜39と同
様に行った。
【0080】結果を表2に示す。
【0081】この処理液を用いるとホモポリマー生成の
少ないグラフト重合加工ができた。
少ないグラフト重合加工ができた。
【0082】実施例58〜60 実施例28〜30と同様にして有機過酸化物複合体を含
む分散液を作成した以外は実施例31〜33と同様に行
った。
む分散液を作成した以外は実施例31〜33と同様に行
った。
【0083】結果を表3に示す。この処理液を用いると
ホモポリマーの少ないグラフト重合加工ができた。
ホモポリマーの少ないグラフト重合加工ができた。
【0084】比較例3 比較例1と同様にしてグラフト重合加工用処理液を調整
した。それから実施例31と同様に、この処理液でポリ
エステルタフタ布帛片を処理してグラフト率とホモポリ
マー生成率を算出した。
した。それから実施例31と同様に、この処理液でポリ
エステルタフタ布帛片を処理してグラフト率とホモポリ
マー生成率を算出した。
【0085】結果を表1に示す。この処理液を用いると
ほとんどグラフト反応が起こらなかった。
ほとんどグラフト反応が起こらなかった。
【0086】比較例4 比較例2と同様にしてグラフト重合加工用処理液を調整
し、実施例30と同様にこの処理液でポリエステルタフ
タ布帛片を処理してグラフト率とホモポリマー生成率を
算出した。
し、実施例30と同様にこの処理液でポリエステルタフ
タ布帛片を処理してグラフト率とホモポリマー生成率を
算出した。
【0087】結果を表1に示す。この処理液を用いると
ホモポリマー生成が非常に大きくなった。
ホモポリマー生成が非常に大きくなった。
【0088】実施例61〜63 モノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートを
用いる以外は実施例58〜60と同様に行った。
用いる以外は実施例58〜60と同様に行った。
【0089】結果を表4に示す。この処理液を用いると
特に水酸基を持つモノマーにおいてホモポリマーの少な
いグラフト重合加工ができる。
特に水酸基を持つモノマーにおいてホモポリマーの少な
いグラフト重合加工ができる。
【0090】比較例5 モノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートを
用いる以外は比較例3と同様に行った。
用いる以外は比較例3と同様に行った。
【0091】結果を表4に示す。この処理液を用いると
ほとんどグラフト反応が起こらなかった。
ほとんどグラフト反応が起こらなかった。
【0092】比較例6 モノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートを
用いる以外は比較例4と同様に行った。
用いる以外は比較例4と同様に行った。
【0093】結果を表4に示す。この処理液を用いると
ホモポリマー生成が非常に大きくなった。
ホモポリマー生成が非常に大きくなった。
【0094】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0095】
【発明の効果】本発明の有機過酸化物複合体によれば、
両親媒性化合物の2分子膜あるいはフッ素系界面活性剤
ミセルに有機過酸化物が内包されていることによって、
有機過酸化物の水中での分散安定性が大きく向上する。
そして、有機過酸化複合体を用いてグラフト重合加工を
行うことによってホモポリマーの生成を抑制し、繊維構
造物の親水化が可能になる。これより、従来困難であっ
たグラフト重合加工の量産が現実的になり、繊維構造物
の吸湿、吸水、難燃、耐久撥水、高発色、高耐光などの
各種の機能加工の向上・実用化が可能となる。
両親媒性化合物の2分子膜あるいはフッ素系界面活性剤
ミセルに有機過酸化物が内包されていることによって、
有機過酸化物の水中での分散安定性が大きく向上する。
そして、有機過酸化複合体を用いてグラフト重合加工を
行うことによってホモポリマーの生成を抑制し、繊維構
造物の親水化が可能になる。これより、従来困難であっ
たグラフト重合加工の量産が現実的になり、繊維構造物
の吸湿、吸水、難燃、耐久撥水、高発色、高耐光などの
各種の機能加工の向上・実用化が可能となる。
【0096】特に、グラフト加工による機能付与が求め
られるポリエステル繊維構造物に本発明のグラフト重合
加工方法を適用する場合、吸水、難燃、耐久撥水、高発
色、高耐光などの各種の機能加工の向上に加え、ホモポ
リマーの付着による風合いの硬化がなく、ホモポリマー
洗浄工程も不要となり、ポリエステル繊維の吸湿加工の
実用化に大きく貢献できる。また水酸基を有するモノマ
ーのグラフト重合に本発明を適用することにより、反応
性の官能基の少ない繊維構造物に水酸基を導入して共有
結合による耐久的な機能加工剤付与が行える。
られるポリエステル繊維構造物に本発明のグラフト重合
加工方法を適用する場合、吸水、難燃、耐久撥水、高発
色、高耐光などの各種の機能加工の向上に加え、ホモポ
リマーの付着による風合いの硬化がなく、ホモポリマー
洗浄工程も不要となり、ポリエステル繊維の吸湿加工の
実用化に大きく貢献できる。また水酸基を有するモノマ
ーのグラフト重合に本発明を適用することにより、反応
性の官能基の少ない繊維構造物に水酸基を導入して共有
結合による耐久的な機能加工剤付与が行える。
【0097】さらに、本発明の有機過酸化物複合体では
有機過酸化物を溶解するキャリヤーなどを使用する必要
がないため、作業者の健康を害する恐れがない。
有機過酸化物を溶解するキャリヤーなどを使用する必要
がないため、作業者の健康を害する恐れがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08F 283/02 C08F 283/02
Claims (22)
- 【請求項1】両親媒性化合物によって形成された2分子
膜に有機過酸化物が内包されてなることを特徴とする有
機過酸化物複合体。 - 【請求項2】前記有機過酸化物複合体を構成する有機過
酸化物と両親媒性化合物との混合比率が、モル比で0.
1〜5であることを特徴とする請求項1に記載の有機過
酸化物複合体。 - 【請求項3】前記2分子膜を構成する両親媒性化合物の
アルキル鎖の炭素数が、8以上18以下であることを特
徴とする請求項1または2に記載の有機過酸化物複合
体。 - 【請求項4】両親媒性化合物によって形成された2分子
膜に有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体によ
り、グラフト重合加工されてなることを特徴とする繊維
構造物。 - 【請求項5】前記有機過酸化物複合体を構成する有機過
酸化物と両親媒性化合物との混合比率が、モル比で0.
1〜5であることを特徴とする請求項4に記載の繊維構
造物。 - 【請求項6】前記2分子膜を構成する両親媒性化合物の
アルキル鎖の炭素数が、8以上18以下であることを特
徴とする請求項4または5に記載の繊維構造物。 - 【請求項7】フッ素系界面活性剤によって形成されたミ
セルに有機過酸化物が内包されてなることを特徴とする
有機過酸化物複合体。 - 【請求項8】前記有機過酸化物複合体を構成する有機過
酸化物とフッ素系界面活性剤との混合比率が、モル比で
0.1〜5であることを特徴とする請求項7に記載の有
機過酸化物複合体。 - 【請求項9】フッ素系界面活性剤によって形成されたミ
セルに有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体に
より、グラフト重合加工されてなることを特徴とする繊
維構造物。 - 【請求項10】前記有機過酸化物複合体を構成する有機
過酸化物とフッ素系界面活性剤との混合比率が、モル比
で0.1〜5であることを特徴とする請求項9に記載の
繊維構造物。 - 【請求項11】両親媒性化合物によって形成された2分
子膜に有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体を
用いて、グラフト重合加工を施すことを特徴とする繊維
構造物の製造方法。 - 【請求項12】前記有機過酸化物複合体を構成する有機
過酸化物と両親媒性化合物との混合比率が、モル比で
0.1〜5であることを特徴とする請求項11に記載の
繊維構造物の製造方法。 - 【請求項13】前記2分子膜を構成する両親媒性化合物
のアルキル鎖の炭素数が8以上18以下であることを特
徴とする請求項11または12に記載の繊維構造物の製
造方法。 - 【請求項14】フッ素系界面活性剤によって形成された
ミセルに有機過酸化物が内包された有機過酸化物複合体
を用いて、グラフト重合加工を施すことを特徴とする繊
維構造物の製造方法。 - 【請求項15】前記有機過酸化物複合体を構成する有機
過酸化物とフッ素系界面活性剤との混合比率が、モル比
で0.1〜5であることを特徴とする請求項14に記載
の繊維構造物の製造方法。 - 【請求項16】ラジカル重合性をもつモノマーを用いて
グラフト重合を施すことを特徴とする請求項11〜15
のいずれかに記載の繊維構造物の製造方法。 - 【請求項17】前記ラジカル重合性をもつモノマーが親
水性であることを特徴とする請求項16に記載の繊維構
造物の製造方法。 - 【請求項18】前記ラジカル重合性をもつモノマーが水
酸基を持つことを特徴とする請求項16または17に記
載の繊維構造物の製造方法。 - 【請求項19】ポリエステル繊維構造物に前記グラフト
重合を施すことを特徴とする請求項11〜18のいずれ
かに記載の繊維構造物の製造方法。 - 【請求項20】前記グラフト重合加工を加熱下で行うこ
とを特徴とする請求項11〜19のいずれかに記載の繊
維構造物の製造方法。 - 【請求項21】前記グラフト重合加工時の温度が20℃
以上140℃未満であることを特徴とする請求項11〜
20のいずれかに記載の繊維構造物の製造方法。 - 【請求項22】前記グラフト重合における処理液中の有
機過酸化物の濃度が0.1g/l以上5g/l以下であ
ることを特徴とする請求項11〜21のいずれかに記載
の繊維構造物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23728498A JPH11158772A (ja) | 1997-08-29 | 1998-08-24 | 有機過酸化物複合体、繊維構造物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23398197 | 1997-08-29 | ||
JP9-233981 | 1997-08-29 | ||
JP23728498A JPH11158772A (ja) | 1997-08-29 | 1998-08-24 | 有機過酸化物複合体、繊維構造物およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11158772A true JPH11158772A (ja) | 1999-06-15 |
Family
ID=26531299
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23728498A Pending JPH11158772A (ja) | 1997-08-29 | 1998-08-24 | 有機過酸化物複合体、繊維構造物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11158772A (ja) |
-
1998
- 1998-08-24 JP JP23728498A patent/JPH11158772A/ja active Pending
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